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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

雨つぶは、どうやって 大きく なるの?

雲のつぶは、どうやって雨粒になるのか

雨粒の成長 ── 凝結だけでは足りない雲粒が、氷晶過程と衝突併合で雨粒になるまで

分野:自然

雨つぶ 1つの 中には、雲を つくる 小さな 水の つぶが 100まん こぐらい はいって いると いわれます。

そんなに たくさんの つぶが、どうやって あつまるのでしょう。じつは、雨が できる 道は 2つ あります。この きじを 読むと、その 2つの 道と、おちて くる とちゅうで 雨つぶの 形が かわる ことが わかります。

雨粒1つは、雲をつくる小さな水滴およそ100万個ぶんの大きさがあります。ただし、これは半径0.01mm(10μm)の雲粒と半径1mmの雨粒を比べたときの計算です。

水蒸気が水に変わるだけでは、そこまで育つのに時間がかかりすぎます。それなのに、雨はなぜ短い時間で降るのでしょうか。氷にくっつく道と、水滴どうしがぶつかる道という2つの近道と、落ちながら変わる雨粒の形があることが分かります。

雨粒1つの体積は、雲粒およそ100万個ぶんにあたる(半径約0.01mmと約1mmの比の3乗による概算)[4]。凝結だけでこの大きさまで育つのは遅すぎる[4]。

では、雲粒はどんな近道で雨粒に追いつくのか。氷晶過程と衝突併合の2つの条件と、落下中の雨粒の形・速さ・大きさの上限が分かる。

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1. 雨つぶは、雲の つぶの なんこ ぶん?

1. 雨粒1つは、雲のつぶ何個ぶんなのか

1. 雲粒と雨粒の大きさの差 ── 雲粒と雨粒の体積は、約100万倍ちがう

雲は、水の とても 小さい つぶで できて います。この つぶを 雲粒つぶと よびます。大きさは、半径はんけいで 0.01ミリ ぐらいの ものが あります。

いっぽう、雨つぶの 半径はんけいは 1ミリ ぐらいです。半径はんけいは 100ばい。でも 体積たいせきは 100ばいを 3かい かけた 数に なります。つまり 100まん ばいです[4]。

雨つぶ 1つは、雲粒つぶが 100まん こ あつまった もの、と 考えられます。ただし 大きさに よって かわる、おおよその 数です。

雲の水滴は「雲粒」と呼ばれます。半径は例えば0.001〜0.01mmほどで、落ちる速さは1秒間に約1cmです[1]。雲粒の直径は赤血球と同じくらい(3〜10μm)と書く資料もあります[7]。

雨粒は、直径がおよそ0.5mmから数mmです[2]。ハワイ大学の教科書は、半径0.01mm(10μm)の雲粒が約100万個合わさって、半径1mmの雨粒1つになると説明します[4]。半径が100倍になると、体積は100×100×100で100万倍です。

この数は、半径10μmと半径1mmを比べた計算です。雨粒の大きさが変われば、必要な雲粒の数も変わります。

雲粒の大きさは出典で幅がある。名古屋大学の解説は半径約0.001〜0.01mm(直径で0.002〜0.02mm)、落下速度は1秒間に約1cmとする[1]。別の資料は直径3〜10μmで、赤血球の直径(6〜8μm)と同程度とする[7]。このため、以下の数は「半径10μmの雲粒」という一つの条件で読む。

雨粒は直径およそ0.5mmから数mm[2]。半径10μmの雲粒と半径1mmの雨粒では、半径が100倍で、体積は100³=10⁶倍になる。ハワイ大学の教科書は、雲粒約100万個が合わさって雨粒1つになると述べ[4]、別の学習資料も同じ比を示す。ただしこれは条件つきの比であり、半径が100倍だからといって、雲粒100個で雨粒になるわけではない。

2. 雲の つぶは、なにから できるの?

2. 水蒸気は、何を足がかりに雲粒になるのか

2. 凝結核 ── 湿度101%でも雲粒が育つ理由

空気の 中には、目に 見えない 水蒸気すいじょうきが まざって います。これが 小さな 水の つぶに かわる とき、足がかりに なる ものが ひつようです。

それは、空気に ういて いる とても 小さな ちりです。「エアロゾル」と いいます。ちりが あると、水蒸気すいじょうきは くっつきやすく、雲の つぶが できます[1]。

ちりが なければ、水蒸気すいじょうきだけで 水の つぶに なるには、空気が ふつうの 3ばいから 4ばい ぐらい しめって いる ことが 必要ひつようと されます[1]。ふつうの 空では まず おこりません。

でも、雲の つぶは ここから 先が たいへんです。まだ 雨つぶの 100まんぶんの 1しか ありません。

空気中の水蒸気は、足がかりがないと水滴になりにくい性質があります。名古屋大学の解説では、空気中の微粒子(エアロゾル)が核になるおかげで、湿度が101%以下でも雲粒に成長できるとされています[1]。

核がない場合、水蒸気だけで雲粒になるには湿度300〜400%が必要という値が示されています[1]。これは核がない理想的な場合の値で、実際の空気には微粒子が漂っています。

ここまでで、雲粒ができる理由は分かりました。ところが、雲粒は雨粒の100万分の1の体積しかありません。水蒸気が水に変わるだけで、雨粒の大きさまで育てることはできるのでしょうか。

水蒸気だけで雲粒を作ろうとすると、湿度300〜400%が必要とされる。そのため、実際の雲ではエアロゾルが凝結核になる。核があると、湿度101%以下でも雲粒に成長できる[1]。300〜400%は核がない場合の理論的な値で、現実の空気に当てはまる値ではない。

ただし、核の話は雲粒の「できはじめ」の説明にすぎない。雲粒は体積で雨粒の約100万分の1しかない。凝結によって水蒸気が水滴に集まる過程だけで、雨粒の大きさまで育つのかが次の問題になる。

3. ゆっくり 大きく なるだけでは、まに あわない

3. 水蒸気がつくだけでは、雨粒まで育つのが遅すぎる

3. 凝結成長の限界 ── 水蒸気がつくだけでは雨粒まで育つのが遅すぎる

水蒸気すいじょうきが くっついて 少しずつ 大きく なる やりかたを「ぎょうけつ」と いいますが、これだけでは 雨つぶまで そだつのに、時間が かかりすぎます[4]。

ところが 本当の 雨は、もっと 短い 時間で ふって きます。しかも 雲の つぶは、1びょうに 1センチ ぐらいしか おちません。空気が 上に うごく 力の ほうが 強い ことが 多く、雲の つぶは ふわふわ ういて います[1]。

だから 雲の つぶが 100まんこ 分の 大きさに なるには、なにか 近道が ある はずです。

水蒸気が雲粒の表面で水に変わる「凝結」だけで、雲粒を雨粒の大きさまで育てるのは、遅すぎます。ハワイ大学の教科書も、凝結だけでは雨粒をつくるには遅すぎると書いています[4]。

そのうえ雲粒は軽く、落ちる速さは1秒間に約1cmです。ほとんどの雲の下には、これを上回る上昇流があります[1]。雲粒は、雲の中をただよっています。

そこで、ゆっくり育つ道とは別の、速く育つ道が必要になります。それが、雲の中の氷の粒がかかわる道と、水滴どうしがぶつかる道の2つです。

凝結だけで雲粒を雨粒の大きさまで育てるのは、現実の降雨の時間尺度からすると遅すぎる。ハワイ大学の教科書も、凝結過程は雨粒をつくるには遅すぎると述べる[4]。

雲粒は1秒間に約1cmしか落ちず、ほとんどの雲の下にはこれを上回る上昇流がある[1]。したがって、凝結で少しずつ育つだけでなく、別の成長過程が必要になる。気象学では、その過程を雲の温度で2つに分けて考える。

4. 近道その1 大きい つぶが、小さい つぶに ぶつかる

4. 近道1:大きな水滴が、小さな水滴に追いつく

4. 衝突併合(暖かい雨)── 雲粒の大きさに幅があることが条件

1つめの 近道は、水の つぶどうしが ぶつかって、くっつく ことです[5]。

大きい つぶは、おちる とちゅうで、まわりの 小さい つぶに おいついて ぶつかります。ぶつかると、1つの つぶに なります。これを くりかえして、つぶが 大きく なります。

この 近道が はじまるには、雲の つぶの 大きさに ばらつきが ひつようです[4]。ぜんぶ 同じ 大きさだと、おいつく ものが いないからです。

この ように、氷に ならない まま ふる 雨を「あたたかい 雨」と いいます[3]。

1つ目の近道は、水滴どうしの衝突併合です。大きな水滴ほど速く落ちるので、落ちながら、まわりの小さな水滴に追いついてぶつかり、1つに合わさります[5]。これを繰り返して雨粒に育ちます。

衝突併合が始まるには、雲の中の水滴の大きさに幅があることが必要です[4]。全部が同じ大きさなら、追いつく水滴がいないからです。

氷にならないまま降る雨は「暖かい雨」と呼ばれます[3]。熱帯の海の上や層雲では、衝突併合が主役といわれます[4]。

1つ目の過程は衝突併合で、氷を経由しない雨は「暖かい雨」と呼ばれる[3]。大きい水滴は落下速度が大きく、落ちる途中で小さい水滴に追いついて合体する[5]。

この過程が始まるには、雲粒の大きさに幅があることが必要だ[4]。ただし、全部の雲粒が同じ大きさなら追いつく粒がなく、この過程は始まらない。熱帯の海上や層雲では衝突併合が主役とされる[4]。

5. 近道その2 つめたい 雲の 中の 氷の つぶ

5. 近道2:氷の粒が水滴をうばって育つ

5. 氷晶過程(冷たい雨)── 過冷却水滴が氷晶に水蒸気を渡す

2つめの 近道は、雲の 中の 氷です。雲の 上の ほうは、とても つめたくて、氷の つぶが できて います。

ふしぎな ことに、0度より 下でも、こおらない 水の つぶが あります。これを「かれいきゃく」と いいますが、むずかしいので 今は おぼえなくて いいです。つめたい 雲には、氷の つぶより、こおって いない 水の つぶの ほうが 多い とも いわれます[4]。

水蒸気すいじょうきは、水の つぶより 氷の ほうに くっつきやすい ことが わかって います[5]。だから 氷の つぶが、まわりの 水の つぶを へらしながら、どんどん 大きく なります。

大きく なった 氷は おちて きて、あたたかい ところで とけ、雨に なります[5]。

2つ目の近道は、氷の粒を使います。気温が0℃より低くても、液体のままの水を「過冷却水」といいます。冷たい雲の中では、氷の粒よりも、この液体の水滴のほうが多いとされています[4]。

氷の粒と過冷却水滴が同じ雲の中にあると、水蒸気は水滴より氷にくっつきやすいため、水滴の水が水蒸気になって氷の粒につき、氷の粒だけが育ちます[5]。育った氷の粒は落ちる途中で、暖かい層で融けて雨になります[5]。

雨は、空の上では氷や雪だったものが融けたものかもしれません。名古屋大学の解説では、温帯では冷たい雨が多いとされます[3]。熱帯以外では、氷を経由する過程が降水の主な仕組みとされます[4]。

2つ目の過程は氷晶過程で、氷を経由する雨を「冷たい雨」と呼ぶ。0℃より低くても液体のまま存在する水が過冷却水で、冷たい雲には氷の粒より液体の水滴が多い[4]。

氷晶と過冷却水滴が共存すると、水蒸気は液体の水滴より氷晶に直接つきやすく、水滴の水が蒸発して氷晶につくことで、氷晶が育つ[5]。育った氷晶は落下中に暖かい層で融け、雨になる[5]。

地域による違いも指摘される。ハワイ大学の教科書は、熱帯以外では氷の過程が降水の主要な仕組みだとし[4]、名古屋大学の解説は、温帯では冷たい雨が多いとする[3]。ただしこれは地域全体の傾向で、地上の1粒の雨が氷を経由したか見分ける方法は、ここで使った資料には出てこない。

6. おちて くる 雨つぶの 形と 速さ

6. 落ちてくる雨粒は、どんな形で、どれくらい速いのか

6. 落下中の雨粒 ── 大きい雨粒ほど速く落ち、つぶれた形になる

雨つぶは、なみだの 形だと 思って いませんか。じつは ちがいます。

小さい 雨つぶは ほぼ 丸い 形です。大きい ものは、空気に おされて つぶれた、おまんじゅうのような 形に なります[2]。

大きい ほど 速く おちます。雲の つぶは 1びょうに 1センチぐらいしか おちませんが、大きな 雨つぶは ずっと 速く おちて きます。

でも、あまり 大きく なると、雨つぶは 空の 中で こわれやすく なります。

雨粒の形は、涙のような形ではありません。小さい雨粒はほぼ球形ですが、大きい雨粒は、空気抵抗でつぶれたおまんじゅうのような形になります[2]。

大きいほど速く落ちます。雲粒が1秒間に約1cmしか落ちないのに比べて、大きな雨粒はずっと速く落ちてきます。

あまり大きくなると、雨粒は空の中で分裂しやすくなります。ゆっくり育った小さな水滴が、ぶつかったり氷になったりして大きくなり、落ちながら形を変えます。そして大きくなりすぎると、また分かれていきます。

雨粒は小さいうちはほぼ球形だが、大きくなると空気抵抗で下側から押され、平たくつぶれた形(おまんじゅう形)になる[2]。涙の形という通念とは異なる。

落下速度は大きさとともに増す。雲粒が約1cm/sで落ちるのに比べ、大きな雨粒ははるかに速く落ちてくる。ただし大きくなりすぎた雨粒は、空の中で分裂しやすくなる。

流れをまとめると、エアロゾルを核に凝結で雲粒ができ、凝結だけでは遅すぎるので衝突併合か氷晶過程で雨粒の大きさへ育ち、落下中に形を変え、大きすぎれば分裂する。

7. 雨の 日に 見て みよう

7. 雨の日に見られる「合体」と雨粒の旅

7. 雨粒の旅を確かめる ── 観察の手がかりと読む資料

雨の 日に、まどの ガラスを 見て みましょう。水の つぶが ぶつかって、1つに なり、大きく なって すべりおちる ところが 見られます。

これは 空の 上で おきて いる こととは ちがいますが、水の つぶが くっついて 大きく なる ようすを、思い うかべる ヒントに なります。

もう 1つ。雨が 小ぶりの ときと、強い ときで、かさに あたる 音が ちがうか、耳を すまして みましょう。音の ちがいが 雨つぶの 大きさと つながって いるか、考えて みると 楽しいです。

雨の ことを もっと 知りたく なったら、名古屋大学の「気象きしょう50のなぜ」を 読んで みて ください。

雨の日に、家の窓ガラスで水滴を見てみましょう。小さな水滴が動いてほかの水滴にぶつかり、合体して大きくなり、流れ落ちるところが見られます。空の上の雲の中と同じではありませんが、水滴どうしが合体して大きくなるようすを思い浮かべる手がかりになります。

傘に当たる雨の音を、小雨のときと強い雨のときで聞き比べるのも、1つの方法です。音の違いが雨粒の大きさとどうつながるのか、自分で考えてみてください。

もっと知りたくなったら、名古屋大学ISEEの「気象50のなぜ+10」の第1・10・16話を読むと、雲粒、雨粒の大きさ、暖かい雨と冷たい雨の話が、ここよりくわしく書かれています。

観察の手がかりは2つある。窓ガラスの水滴が合体して流れ落ちる様子は、衝突併合を思い浮かべる助けになる(大気中の現象そのものではない)。傘に当たる雨音を小雨と強雨で比べれば、雨粒の大きさの違いを耳で感じられる。

資料としては、名古屋大学ISEEの「気象50のなぜ+10」第1・10・16話[1][2][3]、ハワイ大学のオープン教科書の降水の章[4]、NOAAのJetStream[5]がある。雲粒の大きさは資料で幅があるため、数値を引くときは出典と条件(半径か直径か)を必ず確かめたい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の数字と仕組みは、次の資料を突き合わせて書きました。

  1. 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 気象50のなぜ+10 「1. 雲はどうやってできている?」 https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/50naze/meteorology/1.html (雲粒の核と大きさ・落下速度)
  2. 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 気象50のなぜ+10 「10. 雨粒の大きさってどのぐらい?」 https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/50naze/meteorology/10.html (雨粒の大きさと形)
  3. 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 気象50のなぜ+10 「16. 暖かい雨・冷たい雨って何?」 https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/50naze/meteorology/16.html (暖かい雨と冷たい雨)
  4. Nugent, A. & DeCou, J. (2018) Atmospheric Processes and Phenomena, Chapter 7 Precipitation Processes(ハワイ大学) https://pressbooks-dev.oer.hawaii.edu/atmo/chapter/chapter-7-precipitation-processes/ (100万個の比・過冷却水・衝突併合の条件・熱帯と熱帯以外)
  5. NOAA JetStream「Precipitation」 https://www.noaa.gov/jetstream/atmosphere/precipitation (衝突併合と氷晶過程のしくみ)
  6. Wikipedia「雨」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A8 (凝結だけでは遅いことの背景。数値は本文に使っていない)
  7. Wikipedia「雲粒」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%B2%E7%B2%92 (雲粒の直径と赤血球との比較)

なおした ところ

更新履歴

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