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ひげは 切れるのに、なぜ はだは 切れないの?

ひげは切れるのに、なぜ肌は切れないのか

ひげは切れるのに、なぜ肌は切れないのか

分野:技術

せっけんを つけて、かみそりを かおに あてる。ひげは きれいに 切れて いくのに、はだは 切れない。

考えて みると、ふしぎな 話だ。かみそりの は するどい ままなのに、なぜ ひげだけを 切って、はだは きずつけないのだろう。

せっけんをつけて、かみそりを顔にあてる。ひげはきれいに切れていくのに、肌は切れない。

考えてみると、不思議な話だ。かみそりの刃は鋭いままなのに、なぜひげだけを切って、肌は傷つけないのだろう。

シェービング剤をつけてかみそりを顔にあてると、ひげはきれいに切れていくのに、肌は切れない。同じ鋭い刃が、なぜひげと肌とでこれほど違う結果を生むのか。

この仕組みには、刃の角度と皮膚の滑りやすさが関わっている。かみそりの歴史をたどると、旧石器時代の黒曜石の刃から、戦国時代に日本へ伝わった剃刀、1901年のジレットの使い捨て刃まで、驚くほど長い試行錯誤が続いてきたことが分かる。そして、ジレットにまつわる有名なビジネスの逸話には、実は史実と異なる部分がある。

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1. かみそりは、なぜ ひげだけ 切れるの

1. かみそりは、なぜひげだけ切れるのか

1. 刃の角度とすべりが、ひげだけを切り分ける

かみそりの を、はだに まっすぐ たてると、はだに くいこんで きずを つけて しまう。だから かみそりの は、はだに ななめに あたるように 作られて いる。

せっけんの あわを つけると、はだの 上を すべりやすく なる。ひげは はだから まっすぐ 立って いるので、ななめの に ひっかかって 切れるが、はだの 表面は の 下を すべって いくだけに なる[1]

かみそりの刃を、肌に垂直に立てると、肌に食いこんで傷をつけてしまう。だからかみそりの刃は、肌に斜めに当たるように作られている。

せっけんの泡をつけると、肌の上を滑りやすくなる。ひげは肌からまっすぐ立っているので、斜めの刃に引っかかって切れるが、肌の表面は刃の下を滑っていくだけになる[1]

かみそりの刃を皮膚に対して垂直に立てると、皮膚に食い込んで傷をつけてしまう。そのため、実際のかみそりは刃が皮膚に対して斜め、目安としておよそ30度程度の角度で当たるように設計されている[1]

シェービング剤は、肌の表面の摩擦を減らし、刃が肌の上を滑るように動くことを助ける。皮膚からほぼ垂直に生えているひげは、この角度の刃にしっかり引っかかって断ち切られるが、平らな肌の表面は刃の下を滑り抜けるだけになる。この、角度と潤滑の組み合わせが、ひげだけを選んで切る仕組みの土台になっている[1]

2. いちばん 古い 剃刀かみそりは、石で できて いた

2. 一番古い剃刀は、石でできていた

2. 最古の剃刀は、黒曜石でできていた

大むかし、旧石器きゅうせっき時代の 人たちは、黒曜石こくようせきと いう 石を われた ときの するどい 切り口を、剃刀かみそりの かわりに つかって いたと 考えられて いる。

そのあと、青銅せいどう(どうと すずを まぜて 作る 金ぞく)で 作った 剃刀かみそりが、古代 エジプトで つかわれるように なった。3000年 いじょう 前の おはかから、この 金ぞくの 剃刀かみそりが 見つかって いる[2]

大昔、旧石器時代の人たちは、黒曜石という石が割れたときの鋭い切り口を、剃刀の代わりに使っていたと考えられている。

そのあと、青銅(銅とすずを混ぜて作る金属)で作った剃刀が、古代エジプトで使われるようになった。3000年以上前のお墓から、この金属の剃刀が見つかっている[2]

旧石器時代の人類は、黒曜石が割れたときにできる鋭い断面を、剃刀の代わりに利用していたと考えられている。黒曜石の切断面は、金属の刃物よりもはるかに鋭利になることが知られている[2]

古代エジプトでは、紀元前1500年ごろの官吏の墓から青銅製の剃刀が出土している。当時のエジプトでは、ひげや頭髪を剃った清潔な顔が身分の高さを示すものとされていた[2]

3. 日本にほん剃刀かみそりは、鉄ぽうと いっしょに やってきた

3. 日本の剃刀は、鉄砲と一緒にやってきた

3. 日本の剃刀は、鉄砲とともに戦国時代に伝わった

日本にほんの さむらいには、あたまの まえの 方の かみの 毛を そりあげる 「月代さかやき」と いう かみがたが あった。かぶとを かぶった とき、あたまが むれない ように する ためだと 言われて いる。

むかしは この かみの毛を、けぬきで ぬいて いた。でも 戦国時代せんごくじだいに、ポルトガルから 鉄ぽうと いっしょに 剃刀かみそりが つたわると、剃刀かみそりで そる やり方に かわって いった[3]

日本の侍には、頭の前の方の髪の毛を剃りあげる「月代」という髪型があった。かぶとをかぶったとき、頭が蒸れないようにするためだと言われている。

昔はこの髪の毛を、毛抜きで抜いていた。でも戦国時代に、ポルトガルから鉄砲と一緒に剃刀が伝わると、剃刀で剃るやり方に変わっていった[3]

日本の武士には、額から頭頂部にかけての髪を剃りあげる「月代」という髪型があった。兜をかぶった際の蒸れを防ぐための風習とされる。当初、この処理は毛抜きで髪を抜く方法が主流だった[3]

戦国時代、ポルトガルから鉄砲とともに剃刀が伝来すると、織田信長が家臣に毛抜きではなく剃刀で剃るよう命じたと伝えられる。江戸時代に入ると、日本刀の鍛造技術を応用した片刃の剃刀が普及し、男性が毎朝ひげを剃る習慣が定着していった[3]

4. 1880年、はだを きずつけにくい 剃刀かみそりが うまれた

4. 1880年、肌を傷つけにくい剃刀が生まれた

4. 1880年、カンプ兄弟が「安全剃刀」を発明した

むかしの 剃刀かみそりは、はの ぶぶんが むき出しに なって いて、つかい方を まちがえると はだを 深く きずつけて しまう ことが あった。

1880年、アメリカの カンプ きょうだいが、はの さきに カバーを つけた 「安全 剃刀かみそり」の とっきょを とった。カバーの おかげで、はが はだに 深く くいこみにくく なったのだ[4]

昔の剃刀は、刃の部分がむき出しになっていて、使い方を間違えると肌を深く傷つけてしまうことがあった。

1880年、アメリカのカンプ兄弟が、刃の先にカバーをつけた「安全剃刀」の特許を取った。カバーのおかげで、刃が肌に深く食いこみにくくなったのだ[4]

折りたたみ式のストレートレザー(西洋剃刀)は、刃全体がむき出しであるため扱いが難しく、熟練が必要だった。1880年、アメリカのカンプ兄弟が、刃の刃先だけを露出させ、両脇にガードを設けた「安全剃刀」の特許を取得した[4]

このガード構造により、刃先が皮膚に深く食い込む危険性は大きく減った。ただし、刃はまだ研ぎ直して繰り返し使う消耗品であり、使い捨てにできる薄い替え刃という発想には至っていなかった[4]

5. ジレットは、うすい 使いすての を 考えた

5. ジレットは、薄い使い捨ての刃を考えた

5. 1901年、ジレットは使い捨ての薄い刃を考えた

1901年、アメリカの 会社員 キング・ジレットは、「切れなく なったら すぐ すてられる、うすい 」の アイデアを 思いついた。でも、その アイデアを ほんとうに 作る ことは、思った よりも ずっと むずかしかった。

うすくて 安くて、それでいて するどい を 大りょうに 作る ほうほうが、なかなか 見つからなかったのだ。ジレットは ぎじゅつしゃの ニッカーソンと くみ、なん年も かけて、やっと 作り方を 見つけ出した[5]

1901年、アメリカの会社員キング・ジレットは、「切れなくなったらすぐ捨てられる、薄い刃」のアイデアを思いついた。でも、そのアイデアを本当に作ることは、思ったよりもずっと難しかった。

薄くて安くて、それでいて鋭い刃を大量に作る方法が、なかなか見つからなかったのだ。ジレットは技術者のニッカーソンと組み、何年もかけて、やっと作り方を見つけ出した[5]

1901年、セールスマンのキング・キャンプ・ジレットは、切れ味が落ちたら研ぎ直さずに捨てる「使い捨ての薄い両刃」というアイデアを考案した。しかし、薄く安価な鋼材を精密に硬化・研磨する量産技術は、当時存在しなかった[5]

ジレットはMIT出身の技術者ウィリアム・ニッカーソンを迎え、薄い鋼材を丈夫な台に挟みこんで刃先だけを露出させる構造や、量産のための研磨機を開発した。この技術的な壁を越え、1903年に世界初の使い捨て両刃かみそりが発売された[5]

6. 「本体を 安く、で もうける」話は、はじめは ちがった

6. 「本体を安く、刃でもうける」話は、はじめは違った

6. 替え刃ビジネスの有名な話は、特許の時代とはちがっていた

ジレットの 会社は、「かみそりの 本体を 安く 売って、あとから 買う で もうける」という やり方を、はじめから やって いたと よく 言われる。

でも しらべて みると、とっきょが 生きて いた 1904年から 1921年ごろまで、ジレットの 本体は むしろ 高い ねだんの ままだった。ほかの 会社が 安い かみそりを 売って いても、ジレットは ねだんを 下げなかったのだ[6]

ジレットの会社は、「かみそりの本体を安く売って、あとから買う刃でもうける」というやり方を、初めからやっていたとよく言われる。

でも調べてみると、特許が生きていた1904年から1921年ごろまで、ジレットの本体はむしろ高い値段のままだった。他の会社が安いかみそりを売っていても、ジレットは値段を下げなかったのだ[6]

「本体を安く提供し、消耗品の替え刃で継続的に利益を得る」という戦略は、ジレットが創業当初から意図的に採用したものとしてよく語られる。しかし、経済学者ランダル・ピッカーの研究によれば、この語られ方は史実と異なる[6]

1904年の特許によって他社はジレット規格の本体・替え刃を製造できなくなったが、ジレットはこの独占期間中、本体を5ドルという高価格に据え置いた。一方、特許を持たない競合他社は1ドル程度の安価な製品を販売していた。ジレットが本体価格を競合に合わせて引き下げたのは、1904年特許が失効した1921年前後になってからのことである。同時にジレットは、新たに特許を取得した別の本体を、従来の高価格帯で発売してもいる[6]

7. 電気 シェーバーと、はが 何まいも ある かみそりが 出てきた

7. 電気シェーバーと、刃が何枚もあるかみそりが登場した

7. 電気シェーバーと多枚刃かみそりが登場した

1930年ごろ、アメリカの ジェイコブ・シックが、水も せっけんも つかわない 「電気 シェーバー」を 作った。

1971年には、ジレットが はが 2まい ついた かみそりを 売り出した。さいしょの はで ひげを 少し うかせて から、2まい目の はで もっと 短く 切る しくみで、それまでより 深く それる ように なった[7]

1930年ごろ、アメリカのジェイコブ・シックが、水も石けんも使わない「電気シェーバー」を作った。

1971年には、ジレットが刃が2枚ついたかみそりを売り出した。最初の刃でひげを少し浮かせてから、2枚目の刃でもっと短く切る仕組みで、それまでより深くそれるようになった[7]

1930年前後、アメリカのジェイコブ・シックが乾式の電気シェーバーを発売し、水や石けんを使わない剃り方を可能にした[7]

1971年、ジレットは世界初の2枚刃かみそり「トラックII」を発売した。1枚目の刃がひげを根元から引き上げて肌の表面より浮かせ、その直後に2枚目の刃がより短く切断するという仕組みで、単純な刃の枚数増加ではなく、ひげの動きを利用した設計だった[7]

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

家に 剃刀かみそりや シェーバーが あったら、はが 何まい ついて いるか、大人と いっしょに 見て みましょう。

お店で うって いる 剃刀かみそりの 本体と、あとから 買う の ねだんを くらべて みるのも おもしろいでしょう。

家に剃刀やシェーバーがあったら、刃が何枚ついているか、大人と一緒に見てみましょう。

お店で売っている剃刀の本体と、あとから買う刃の値段を比べてみるのも面白いでしょう。

身近な製品の価格構造を調べてみる

家庭用の剃刀やシェーバーの本体価格と、交換用カートリッジ(替え刃)の価格を実際に比べてみる。プリンター本体とインクカートリッジなど、他の「本体と消耗品」の組み合わせ製品でも同じように比べると、価格の付け方の違いに気づくことがある。

資料を読む

  • ジレットの替え刃ビジネスの実際の価格戦略について、専門的な論文や記事で調べてみる。[6]

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. Yahoo!知恵袋、Gilletteジャパン「深剃りするには:刃が多い方がよく剃れる理由」。 https://gillette.jp/ja-jp/shaving-tips/shaving-science-and-technology/how-to-get-a-close-shave (かみそりの刃が肌に対しておよそ30度程度の角度で当たるように設計されていること、シェービング剤による潤滑と刃の角度の組み合わせによってひげだけを切る仕組み)
  2. ナショナルジオグラフィック日本版「ひげ剃りの習慣はいつから?」、カミソリ倶楽部「古代カミソリ史」。 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/111500581/ https://www.kamisoriclub.co.jp/blogs/museum/ancient (旧石器時代の黒曜石の切断面が剃刀代わりに使われたと考えられていること、古代エジプトの紀元前1500年ごろの墓から青銅製の剃刀が出土していること、当時のエジプトで清潔な顔が身分の高さを示したこと)
  3. 和樂web「月代とは?」、UNOイチカラ「カミソリが全国に普及した江戸時代」。 https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/124691/ https://uno-ichikara.jp/column/2220/ (月代が兜をかぶった際の蒸れを防ぐ風習とされること、戦国時代にポルトガルから鉄砲とともに剃刀が伝来したこと、織田信長が家臣に剃刀での処理を命じたとされること、江戸時代に日本刀の鍛造技術を応用した片刃剃刀が普及したこと)
  4. Wikipedia(日本語版)「安全剃刀」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/安全剃刀 (1880年にカンプ兄弟が刃先にガードを設けた安全剃刀の特許を取得したこと、当時はまだ研ぎ直して使う消耗品だったこと)
  5. Wikipedia(英語版)「William Emery Nickerson」、The Daily Economy「The Razor's Edge of Progress」。 https://en.wikipedia.org/wiki/William_Emery_Nickerson https://thedailyeconomy.org/article/the-razors-edge-of-progress/ (1901年にキング・キャンプ・ジレットが使い捨ての薄い両刃のアイデアを考案したこと、MIT出身の技術者ウィリアム・ニッカーソンが薄い鋼材の硬化・研磨技術を開発したこと、1903年に世界初の使い捨て両刃かみそりが発売されたこと)
  6. Randal C. Picker「The Razors-and-Blades Myth(s)」(The University of Chicago Law Review)。 https://chicagounbound.uchicago.edu/journal_articles/1717/ (1904年特許の存続期間中〔1904〜1921年ごろ〕、ジレットが本体を5ドルの高価格に据え置き、無特許の競合が1ドル程度の安価な製品を販売していたこと、1904年特許の失効後にジレットが本体価格を競合に合わせて引き下げると同時に、新たな特許取得済みの本体を従来の高価格帯で発売したこと)
  7. Connecticut History「Jacob Schick Invents the Electric Razor」、Badger & Blade「Gillette Trac II」。 https://connecticuthistory.org/jacob-schick-invents-the-electric-razor/ https://www.badgerandblade.com/forum/wiki/Gillette_Trac_II (1930年前後にジェイコブ・シックが乾式電気シェーバーを発売したこと、1971年にジレットが世界初の2枚刃かみそり「トラックII」を発売し、1枚目の刃がひげを浮かせてから2枚目の刃で切断する仕組みを採用したこと)

なおした ところ

更新履歴

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