1. 生の お米は、どんな 見た目?
1. 生の米は「透けている」
1. 整粒の胚乳 ── 顆粒が密に詰まって半透明に見える
かわいた お米を、明るい ところで 見ます。つぶの 中に、光が すこし とおって、ぼんやり すけて 見えます。
お米の 中には、でんぷんの 小さな つぶが たくさん あります。ふつうの お米では、その つぶと つぶの あいだの すき間が ほとんど なくて、すこし すけて 見える、と せつめい されて います[2]。
本当の お米は、ガラスや 氷ほど すっかり とうめいには なりません。「すこし すける」くらいです。
顕微鏡で見ると、すき間がほとんどない
ふつうの形の米(整粒)の中身は、でんぷんの小さな粒(顆粒)でできています。顕微鏡で調べた解説では、その粒が複雑に組み合わさってぎっしり詰まり、粒と粒のすき間はほとんど見られないと書かれています[2]。
すき間が少ないため、光は米の中を通りやすくなります。生の米が、透明までいかなくても「透けた」ように見えるのは、この詰まり方のためだと説明されています。
整粒の胚乳では、でんぷん顆粒が複粒構造を示し、顆粒間に空隙がほとんど見られない。このため玄米は光を透過し、半透明に見える[2]。
ここで言う半透明は、生米の話である。炊いたあとの状態と混ぜずに、まず「生米は密で、光が通る」という出発点を押さえておく。
2. 「白い」と「すきとおる」は、どこが ちがうの?
2. 光がまっすぐ通るか、ばらばらに戻るか
2. 乱反射 ── 白さは光の進み方の結果である
ガラスは とうめいです。でも、ガラスを こなごなに こわして こなに すると、白く 見えます[1]。
ふしぎですが、ガラスの 中身が かわった わけでは ありません。こなに なって、光が あちこちで はねかえる ように なったからです。
光を あまり すいこまない ものでは、光が まっすぐ とおりぬければ、すきとおって 見えます。光が ばらばらの むきに はねかえると、白く 見えます。
透明なガラスも、粉にすると白い
白く見えるのは、物体の中で光が細かくばらばらの方向に反射(乱反射)し、元の形が分からないまま目に戻ってくるからです[1]。光をあまり吸収しない物体で、光がそのまま通り抜ければ、向こうの景色が見えて透明に見えます。
この考え方を使うと、透明なガラスを細かい粉にすると白くなる理由も説明できます[1]。粉の一粒ずつの表面や境目で、光の向きが変わるからです。
米に当てはめると、問いは「米の中で光が乱反射するようになったのはいつか」に言いかえられます。
白色は、光が物体内部で微細な界面ごとに多方向へ反射(乱反射)し、像を結ばないまま目に入ることで生じる。光の吸収が小さい物体では、光がそのまま透過すれば透明に見える。透明なガラスも粉砕すると白くなる[1]。
したがって、米が「透ける」か「白い」かは、米粒の内部に光を散らす境目(空隙や構造の違い)があるかどうかで整理できる。以降、この視点で各場面を見る。
3. 生の ときから 白い お米も ある
3. すき間や空気があると、生でも白い
3. 白濁粒・乳白粒 ── 空隙による光の散乱
お米の 中には、生の ときから まっ白な つぶが まじる ことが あります。農林水産省は、そういう つぶを 「にゅうはくりゅう」と せつめいして います[3]。
その つぶは、でんぷんが 十分に できなかったり、中に 空気が 入ったり して います。光が あちこちで はねかえるので、白く 見えます[3]。
食べても 体に がいは ないと されて います[3]。
白さの もとは、すき間です。ふつうの お米との ちがいが、光の はなしに つながりました。
4. 水に つけると、どう かわる?
4. 水を吸わせると、透けた米が白くなる
4. 浸水(吸水)による白色化 ── 理由は資料が直接語っていない
たく 前に、お米を 水に つける ことが あります。すると、すきとおって いた つぶが、だんだん 白く なって いきます[4]。
水を すう 前の お米は すこし すけたまま。十分に すった お米は 白く なる、という せつめいが あります[4]。
どうして 水で 白く なるのかは、まだ はっきり しません。つぶの 中の ようすが かわるのかも しれません。
白くなるのは、炊く前かもしれない
炊飯の前に米を水につける工程では、吸水が不十分な米は半透明のまま光が透けていて、十分に吸水した米は真っ白になると紹介されています[4]。
ここが最初の気づきです。「炊くと白くなる」のではなく、炊く前の水につけている間に、すでに白くなっているようです。
なぜ水を吸うと乱反射が増えるのかは、はっきり分かりません。粒の中に水が入って内部の様子が変わるのだろう、というのは推測です。
吸水が不十分な米は半透明のまま光を透過し、十分に吸水した米は真っ白になる。浸水は炊飯前の工程である[4]。ただし出典は家庭向けの調理解説であり、白色化の機構を光学的に説明したものではない。
吸水で乱反射が増える機構(水の入り方、屈折率、粒内の亀裂や空隙の関与)は、ここでは推測にとどまる。
5. 火に かけると、どう なるの?
5. 加熱では、白くなるとは限らない
5. 糊化と半透明化 ── 「炊くと白くなる」を問い直す
生の お米の でんぷんは、とても きつく ならんで います。火に かけて 水と ねつが くわわると、その ならびが ほぐれて、水を ふくんだ やわらかい じょうたいに なります[5]。これを 「糊化」と いいます。
中まで しっかり かわるには、98度 いじょうで 20分ほど あたためる ひつようが ある、と 農林水産省は せつめいして います[6]。
ここで おどろく 話が あります。ある じっけんでは、水に つけない お米を あたためると、でんぷんが 糊化するのと 同じ ころに、つぶが 「すきとおる」 ほうへ かわったと ほうこく されました[7]。
つまり、たく ことで 白く なる、とは かぎらない ようです。ごはんの 白さは、水を すった ときに もう できて いる のかも しれません。
でんぷんは、固い結晶からほぐれた状態へ
生の米のでんぷんは、結晶のように整列して非常に密に並んでいます。加熱すると、その間に水が入り込み、密だった構造がゆるくほぐれて、水分を含んだやわらかい状態になります。これが糊化(α化)です[5]。
農林水産省の資料によると、糊化は約60度から始まり、米粒の中心まで完全に糊化させるには98度以上で約20分の加熱が必要です。水分の割合も、生米の約15%から、ご飯では約60〜65%になります[6]。
加熱中に半透明になったという報告
1987年の日本の栄養・ビタミン学の雑誌に載った実験では、水につけなかった米を加熱すると、でんぷんの粒が糊化するのと同時に、米粒が半透明になったと報告されています[7]。
この実験は「加熱で白くなる」とは書いていません。「炊くと白くなる」は、吸水で白くなる場面と、加熱で半透明になる場面を分けて見たほうがよさそうです。
米のでんぷんは、生の状態ではアミロースとアミロペクチンが結晶状に整列し、非常に密である。糊化では、その密な構造の間に水が入り込んで緩み、水分を含んだ柔らかい状態になる[5]。炊飯での糊化は約60℃付近から始まり、粒の中心まで完全に糊化させるには98℃以上で約20分の加熱が必要とされる。水分は生米の約15%から飯の約60〜65%になる[6]。
He & Suzuki(1987)の実験では、浸漬しない米で、加熱中にデンプン粒の糊化と同時に米粒が半透明(translucent)になったと報告されている。浸漬した中アミロース米やもち米では、半透明の粒でも糊化が完全でないものがあった[7]。
この報告は、加熱が米を白くするという通念とは向きが異なる。結論として、「炊くと白くなる」は、吸水段階の白色化と加熱段階の半透明化に分けて検討する必要がある。糊化物の透明度については資料により記述が異なる点も、追加の確認が要る。
自分でも 調べて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること
すきとおる コップに 米を すこし 入れて、水を そそぎます。30分ごとに 米の 色を 見て みましょう。見るのは 同じ 日の うち、長くても 2時間ぐらいまでに します。すきとおって いた つぶは、どのくらいで 白く なるでしょう。お米は 食べものなので、見おわったら おうちの 人に 聞いて、むだに しない ように しましょう。
おうちの 人と できること
おうちの 人が ごはんを たく ときに、たく 前の お米、水に つけた あとの お米、たきあがった ごはんを、明るい ところで 見くらべて みましょう。火や あつい お湯は おうちの 人に まかせます。
おおやけの せつめい
農林水産省の 「米の 調理とくせい」や 「しょうひしゃの へや」の ページで、お米の ことが くわしく 読めます。
今日できること
透明なコップに米を少し入れ、水を注ぎます。30分おきに、粒の色と透け方を見ましょう。観察は同じ日のうち、長くても2時間ほどまでにします。水に入れる前の乾いた米と並べておくと、変化が見比べやすくなります。観察が終わった米は、家の人に確認して、ふつうに使うか捨てるかを決めてください。
家の人に頼んでできること
ご飯を炊くとき、家の人にお願いして、炊く前・浸水後・炊き上がりの三つを、同じ明るさの場所で見比べてみてください。炊飯は火や熱いお湯を使うので、見るだけにします。
公的機関の情報を読む
農林水産省の「米の調理特性」や「消費者の部屋」で、炊飯の温度と水分、乳白粒の説明が読めます。
観察
透明な容器に乾燥米と水を入れ、一定時間ごとに写真を撮って色を比べる。写真は同じ位置・同じ照明で撮る。食品を使うため、観察後は家の人に確認して扱う。炊飯そのものは火と熱湯を伴うので、家の人が行うときに見るだけにとどめる。
資料
- 農林水産省「米の調理特性」(炊飯温度・水分の一次資料)
- 『化学と生物』の白濁化の解説(日本語。白濁粒の顕微鏡像)
- 農林水産省「消費者の部屋」の乳白粒のQ&A(日本語)
- 英語が読める人向け:He & Suzuki (1987) J Nutr Sci Vitaminol 33(4):263-273(J-STAGE で公開)
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。家庭向けの記事は調べるきっかけとして使い、光の説明などは学術・公的資料と突き合わせました。
- 光合成の森「白と透明は何が違うか」 https://photosynthesis.jp/faq/faq12-2.html (乱反射と透明・白の違い)
- 『化学と生物』「高温登熟による米白濁化の分子生理機構」 https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=563 (整粒と白濁粒の顆粒の詰まり方)
- 農林水産省 消費者の部屋 Q&A(乳白粒) https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2105/01.html (乳白粒が白く見える理由・食べられること)
- ライフハッカー・ジャパン「ご飯を炊く前にお米を吸水させるのは何のため?」 https://www.lifehacker.jp/article/160824ricehacker/ (吸水した米の見た目。家庭向けの解説)
- 宝酒造 業務用調味料「米の食感〜でんぷんの糊化と老化〜」 https://chomiryo.takarashuzo.co.jp/knowledge/detail/106/ (糊化でのでんぷんの変化)
- 農林水産省「米の調理特性」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_summary/02/charact_eristic_01.html (糊化の温度・時間・水分)
- He & Suzuki (1987) J Nutr Sci Vitaminol 33(4):263-273 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnsv1973/33/4/33_4_263/_article (加熱中に米粒が半透明になった実験)
なおした ところ
更新履歴
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