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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

おこめは、どんな ことを して つくるの? たねもみから ごはんまで

お米は、どんな手間をかけて作られるのか:たねもみから、茶わん1杯のごはんまで

「八十八の手間」といわれる米づくり:たねもみ1粒が千粒ほどに増えるまで、水と芽の様子を見て手を入れる

分野:自然

「米」と いう 字は、「八十八」から できたと いわれて います。おこめが できるまでに、88回の てまが かかると いう いいつたえです。

ほんとうに 88回 あるのか、数えた 人は いません。でも、たねもみが 苗なえに なり、田に うえられ、穂ほを つけて かりとられるまでの 道のりには、たしかに たくさんの てまが あります。この ノートを 読むと、その 道のりと、1粒つぶが 千粒つぶほどに ふえる ことが 分かります。

「米」の字は「八十八」からできたといわれ、お米ができるまでには88回の手間がかかる、という言い伝えがあります。[1]ただし、実際に作業を数えた根拠があるわけではなく、字の成り立ちとして確かめられた説でもありません。

では、本当の手間はどこにあるのでしょうか。種もみを苗に育て、田に植え、水を入れたり抜いたりし、穂が出て花が咲き、刈り取って乾かし、もみ殻を取るまでの流れの中で、お米が1粒から千粒ほどに増える様子が分かります。

「米」の字は「八十八」からつくられたといわれ、お米には88回の手間がかかるという言い伝えがある[1]。ただし作業を実際に数えた記録ではなく、字源として確定した説でもない。

では、現場の手間は何をしているのか。この記事では、県や農林水産省の資料をもとに、種もみの浸種から収穫・乾燥・もみ殻取りまでの工程をたどる。水を入れたり抜いたりする理由と、1粒の種もみから千粒ほどのもみができるという目安の意味も見る。

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1. 88回の てまって、ほんとうなの?

1. 「88回の手間」は数えた数字なのか

1. 「八十八」は作業回数の実測ではない

「米」の 字を よく 見て ください。「八」と 「十」と 「八」を かさねた 形に 見えます。ここから、「88回 てまを かけて できる」と いう はなしが うまれたと いわれます。[1]

でも、これは いいつたえです。農家の 人が 1年に 88回 なにかを した、と 数えた きろくでは ありません。

おこめづくりの 大きな ながれは、こうです。たねもみを 水に つける。苗なえに そだてる。田に うえる。水を ふやしたり へらしたり する。穂ほが 出て、花が さく。みのったら かりとって、かわかして、もみ殻からを とる。この ながれの 中に、小さな てまが、たくさん つまって います。

「米」を分解すると、「八」「十」「八」の形が見えます。この形から、お米ができるまでに88回の手間がかかる、という説明が生まれたといわれます。農林水産省のこども向けページも、「八十八からつくられたといわれる」という言い方をしています。[1]

これは言い伝えで、88という数が作業を数えた結果だと示す資料は、ここでは使えません。そのため、この記事では「88」を数字の事実としては扱いません。そのかわり、手間が何にあたるのかを、種もみから順に見ていきます。

大きな流れは、種もみに水を吸わせる、苗を育てる、田に植える、水を調節する、穂が出て花が咲く、刈り取って乾かし、もみ殻を取る、というものです。次の章から、順番に中身を見ていきます。

農林水産省のこども向け資料は、「米」の字が「八十八」からつくられたといわれると説明する[1]。しかし、これは言い伝えであり、88回の作業を数え上げた根拠は、本稿で使った資料には見当たらない。したがって88は、手間の多さを表す象徴的な数として読むのが妥当である。

手間の中身は、資料を並べると工程として見えてくる。種もみに水を吸わせ(浸種)、苗箱で育苗し、本田に移植し、水の出し入れで茎数と根を調整し、出穂・開花ののち登熟させ、刈り取った籾を乾燥して籾殻を除き玄米にする。次章から、この順に、なぜその作業が要るのかを確かめる。

2. たねもみは、まず 水を のむ

2. 種もみは、まず水を吸ってから苗になる

2. 浸種と育苗:乾いた種もみに水を吸わせ、箱で苗にする

たねもみは、かわいた 種たねです。まず 水に つけて、水を すわせます。かわいた ときの やく1.2倍の おもさに なるまで すわせる のが めやすで、水の 温度に よりますが、1週間ほど かかります。[2]

そのあと、せんようの はこに たねもみを まいて、ビニールハウスなどで 苗なえに そだてます。1はこに まく 量りょうは、かわいた もみで 150グラムが めやすです。[2]

外の 田に うえる 前に、はこの 中で 小さな 苗なえに します。こうして おけば、田に 出す ころには、手で うえられる 大きさの 苗なえに なって います。

お米の元になる種もみは、乾いた状態では、まだ芽を出す準備ができていません。そこで、水に浸して水を吸わせます。香川県の資料では、乾いたときの約1.2倍の重さになるまでが目安で、水温によりますが1週間ほどかかるとされています。[2]

水を吸った種もみは、専用の箱にまかれ、ビニールハウスなどで苗に育てられます。乾いたもみで1箱150gが目安です。[2]苗を箱の中でそろえて育てるのは、田植えの日に合わせて、同じ大きさの苗を用意するためだと考えられます。

なお、種まきの時期は地域や品種で変わります。ある県の例では、田植えの日から逆算して、種まきの日を決めるやり方が紹介されています。

種もみ(籾)は乾燥状態で貯蔵されており、発芽の前に吸水させる。この工程が浸種で、香川県の資料では、乾いたときの約1.2倍の重さになるまで水を吸わせるのが目安とされ、水温によるが1週間程度かかる[2]。

吸水した種もみは、専用の育苗箱にまかれ、ビニールハウスなどで苗にする。乾いた籾で1箱150gが適当とされる[2]。

種まきの時期は地域や品種で変わり、田植え日から逆算して決める例が県の資料で示されている。

3. 3本の 苗なえが、1か月で 21本ほどに なるの?

3. 3本の苗が、1か月ほどで21本ほどに増えることがある

3. 田植え・分げつ:1株3〜5本の苗が、茎を分けて増える

田に うえる ときは、1つの 株かぶに つき、苗なえを 3〜5本 うえるのが よいと されます。ふかさは 2〜3センチくらいです。[2]

うえた 苗なえは、そのまま ではありません。くきの ねもとから 新しい くきが 出て、ふえて いきます。これを 分げつと いいます。ある 資料しりょうの ずでは、3本の 苗なえが 1か月ほどで 21本ほどに ふえます。[4]

さらに、ほくりくの 農林水産省のうりんすいさんしょうの 資料しりょうは、この 時期の 1株かぶの くきの 数を、14〜18本と しめして います。この 数は くきの 数で、もみの 数では ありません。[3]

田植えでは、1株に3〜5本の苗を植えるのが適当とされ、植える深さは2〜3cmが目安です。[2]植えた直後の田んぼは、細い苗がぽつぽつと並んでいるだけに見えます。

ここから、1株の茎が分かれて増えていきます。これを分げつといいます。京都府の資料の図解では、3本の苗が約1か月後に21本ほどになるとされています。[4]農林水産省北陸農政局の資料は、分げつ期の1株の茎数を14〜18本と示しています。[3]数に幅があるのは、品種や時期によるためだと考えられます。

ここで気をつけたいのは、この14〜18本が「茎の数」であり、お米の粒の数ではないことです。茎が増えた分だけ穂の数が増えるかどうかは、このあとの水の管理にも関わります。

移植の標準は、1株あたり3〜5本の苗を、2〜3cmの深さに植えることである[2]。植えられた苗は、茎の基部から新しい茎を出して数を増やす。これが分げつで、京都府の資料の図解では、3本の苗が約1か月後に21本ほどになる[4]。北陸農政局の資料は、分げつ期の1株の茎数を14〜18本としている[3]。資料間で数に幅があるのは、品種・植え付け本数・時期が異なるためと考えられるが、条件をそろえて比較した資料は確認していない。

注意すべきは、14〜18本は茎の数であり、もみの数でも粒の数でもないことだ。茎が増えれば穂が増えるが、増えすぎると別の問題が生じる。それが次章の中干しにつながる。

4. 田んぼの 水を、どうして わざと ぬくの?

4. 田んぼの水を、どうしてわざと抜くのか

4. 中干し:増えすぎる茎を抑えるために、水を落として乾かす

田うえから 30日ほど たつと、田んぼの 水を いったん ぬいて、かわかします。これを 中ぼしと いいます。[2]

理由の 1つは、これいじょう いらない くきが ふえないようにする ためです。[2]ある 県の 資料しりょうでは、ほかに、根を じょうぶに する、たおれにくく する、という やくわりも あげられて います。[5]

とっとり県の しけんでは、ちょうどよい ときに 中ぼしを すると、もみの 数が おさえられて、そろった つぶの 米が ふえました。[5]水を ぬくのも、お米を よく そだてる ための てまの 1つです。

田植えから30日ほどたつと、農家の人は田んぼの水を落とし、土を乾かします。これが中干しです。香川県の資料は、これ以上不要な分げつが出ないようにするため、と説明しています。[2]

鳥取県や秋田県の資料の要約では、中干しには、増えすぎる分げつを抑える、根を健全にする、稲を倒れにくくする、といった役目があるとされています。鳥取県の‘きぬむすめ’の試験では、適切に中干しをすると、もみの数が抑えられ、実の入り方や整った粒の割合がよくなったそうです。[5]

苗を増やしたあとで、今度は増えすぎを抑える。水を足すのが基本の稲作で、水を抜くのも大切な作業になっています。

田植え後およそ30日ごろ、水を落として田面を乾かす作業が中干しで、香川県の資料は「これ以上に必要のない分げつが出ないようにするため」と説明する[2]。分げつは多いほど穂が増えそうに見えるが、無効な茎が多いと、のちの穂やもみの数が過剰になる。

鳥取県・秋田県の資料(本稿では要約を参照)は、中干しの効果として、過剰分げつの抑制、根の健全化、倒伏しにくくなることをあげる。鳥取県の‘きぬむすめ’の試験では、適切な中干しによりもみ数が制限され、登熟歩合と整粒率が改善した[5]。つまり中干しは、増えすぎた茎数を整えるための作業と読める。条件は地域・品種で異なる。

5. 穂ほは いつ 出て、花は いつ さくの?

5. 穂が出て花が咲き、実るまでに何日かかるのか

5. 出穂・開花・登熟:茎の中から穂が現れ、玄米が育つ

穂ほの もとが できてから 30日ほどで、くきの 中から 穂ほが 出て きます。これを 出穂ほと いいます。[3]出て まもなく、穂ほの 先に 花が さきます。[3]

イネの 花は、1日の 中でも ごく みじかい 時間に ひらくと いわれます。ある 資料しりょうでは、午前10〜12時ごろに ひらき、1時間ほどで とじる と いう せつめいが あります。気温などで ずれる ことも あります。

花が さいた あと、もみの 中で お米が すこしずつ そだちます。みのると、穂ほは おもく なって 下がって きます。[3]

しゅうかくの やく30日前には、田んぼの 水を また ぬきます。出穂ほから しゅうかくまでは、ある 県の れいで 35〜37日と、44〜46日の 品種ひんしゅが あります。[2]

幼穂ができておよそ30日後に、茎の中から穂が現れます。これが出穂です。出穂して間もなく、穂の先から花が咲きます。[3]イネの花は、通常10〜12時ごろに開き、閉じるまでおよそ1時間といわれます。1日で終わる花です。ただし時刻は気温などで前後します。

花が咲いたあと、もみの中では玄米(植物としては子房)が少しずつ育ちます。これを登熟といいます。実が充実すると、穂は重みで垂れてきます。十分に熟して硬くなったところで、収穫が始まります。[3]

収穫の約30日前には、もう一度、田んぼの水を落とします。香川県の例では、6月に田植えした場合、出穂から収穫までがコシヒカリで35〜37日、ヒノヒカリで44〜46日ほどです。[2]品種によって、日数がちがう点がおもしろいところです。

幼穂が形成されてからおよそ30日で、茎の内部から穂が現れる(出穂)。出穂後まもなく穂の先端から開花する[3]。イネの花は通常10〜12時ごろに開き、閉じるまで約1時間という報告があり、1日で終わる一日花とされるが、時刻は気温などで前後する。

開花ののち、籾の中では子房が発達して玄米になる(登熟)。充実が進むと穂は垂れ、十分に硬く熟したところで収穫に入る[3]。この過程の長さは品種によって異なり、香川県の例では、6月に田植えした場合の出穂から収穫までは、コシヒカリで35〜37日、ヒノヒカリで44〜46日である[2]。また、収穫のおよそ30日前に落水する[2]。登熟期の水管理は、地域や品種で幅があるため、一例として読む必要がある。

6. 1つぶの たねもみは、いくつの つぶに なるの?

6. 1粒の種もみは、いくつの粒になって返ってくるのか

6. 刈り取り・乾燥・もみ殻取り:1粒から約1,200粒という目安をどう読むか

みのった 穂ほは、かりとって かわかします。そして、もみ殻からを とると、玄米げんまいに なります。[2]

ある 県の 資料しりょうに よると、お米 1粒つぶから、やく1,200粒つぶが みのる という めやすが のって います。また、お茶わん 1ぱいの ごはんは、やく3,500粒つぶくらいだ そうです。[4]

この 2つの 数を くらべると、お茶わん 1ぱいの 粒つぶの 数は、1粒つぶから みのる 数の 3ばい ほどです。ただし、ごはん 1ぱいに たねもみが なんこ いるかを しめす 計算では ありません。品種ひんしゅや じょうけんで、数は かわります。

いつも 食べて いる ごはんの 1粒つぶは、たねもみ 1粒つぶが、水と 土と てまを うけて、ふえた 1つ なのです。

刈り取ったもみは乾燥させ、もみ殻を取り除くと玄米になります。[2]ここまでで、種もみから始まった米づくりの一巡が終わります。

では、1粒の種もみからは、どれほどの粒ができるのでしょうか。京都府山城広域振興局の資料は、1粒から約1,200粒が実ると示し、お茶碗1杯のごはん(約70g)を約3,500粒としています。[4]これは単一の資料に出てくる目安で、品種や栽培条件で変わります。

この2つの数字を比べると、3,500÷1,200は約2.9です。お茶碗1杯の粒数は、1粒から実る粒数の約3倍にあたります。ただし、これは粒数どうしの単純な比較であり、ごはん1杯に種もみが何粒必要かを示す計算ではありません。実際の収量とも別のものです。

刈り取った籾は乾燥させ、籾殻を取り除いて玄米にする[2]。ここで、1粒の種もみがどれほど増えるかを、目安として確かめる。京都府山城広域振興局の資料は、お米1粒から約1,200粒が実ると示し、お茶碗1杯のごはん(約70g)を約3,500粒とする[4]。これは京都府の地域資料にある目安であり、品種や条件によって変わる。

この2つを使うと、3,500÷1,200≒2.9となり、お茶碗1杯の粒数は、1粒から実る粒数の約3倍になる。ただし、これは粒数の目安どうしを割っただけで、ごはん1杯に必要な種もみの数を示すものではない。収量予測は、通常は「1㎡あたりの株数×1株の穂数×1穂のもみ数」から行い、最終的には玄米の重さで求める。したがって、この比較は実際の収量とは別の見方として扱う。

7. おこめを 見るとき、なにを たしかめて みる?

7. 手間の数を、自分の目で数え直してみる

7. 数字の出どころを、自分で確かめる道すじ

おうちの おこめの ふくろを 見て みましょう。「品種ひんしゅ」や「産地さんち」が かいて あります。産地さんちの 県の ホームページを 日本語で ひらくと、たねまきや 田うえの 時期が のって いる ことが あります。

見つかったら、きょうの ごはんを 1口 食べる 前に、「この 1粒つぶは、たねもみ 1粒つぶの 千分の 1なのかな」と 考えて みて ください。ごはんの 見え方が、少し かわるかもしれません。

家にあるお米の袋を見ると、品種や産地が書かれています。産地の県のホームページを探すと、種まきや田植えの時期、水の管理についての情報が載っていることがあります。時期が地域で違うことを、自分の目で比べられます。

もう一つ、お米1杯のごはんを前に、「1粒から約1,200粒、1杯で約3,500粒」という数字を、自分で割り算してみるのもおすすめです。品種を変えれば、数字も変わります。「88」という数が何を数えたものか、あなたならどう数えるか、考えてみてください。

この記事で使った数字は、県などの資料にある目安である。たとえば、お米1粒から約1,200粒、お茶碗1杯が約3,500粒という数字は、京都府山城広域振興局の資料のものである。「約1,200粒」の説明の前後に、品種や条件が書かれているかを、原典で見てみよう。

同じ作業でも、時期や日数は、地域と品種で変わる。農林水産省北陸農政局、香川県、京都府、鳥取県の資料を、自分の地域の資料と並べて比べると、出穂までの日数、水の管理の時期の違いが見える。「88」は数えた数字なのか、そうでないのか、どう数えれば手間を表せるのか。それを考えることも、調べる入口になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

時期・日数・本数は、地域・品種・年で変わる目安です。県の資料は一例として使いました。

  1. 農林水産省「こどもナビ 米」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/learn/power02.html (「米」の字と八十八の言い伝え)
  2. 香川県「イネの育ち方」 https://www.pref.kagawa.lg.jp/seiryu/kome-mugi/okome/ine.html (浸種・育苗・田植え・中干し・落水・乾燥)
  3. 農林水産省北陸農政局「お米の一生」 https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/okome/riceland8-3.html (分げつ・出穂・開花・登熟)
  4. 京都府山城広域振興局「お米の資料」 https://www.pref.kyoto.jp/yamashiro/jimotoyasai/documents/yamasirokome.pdf (分げつの図解・粒数の目安)
  5. 鳥取県「稲作情報」 https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1114743/55skinunakabosi.pdf (中干しの役目)

なおした ところ

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