1. まい日 なにを 書いて、だれに とどけるの?
1. 連絡帳には、毎日だれが何を書くのか
1. 担任と保護者の日常の連絡路 ── 届け出から署名まで
あさ、じゅぎょうが はじまる まえに、れんらくちょうを 先生に だします。おなかが いたくて 早く 学校を 出る ときや、おやすみする ときは、おうちの 人が その ことを 書きます[1]。
先生からの おしらせも、れんらくちょうで とどきます。見た しるしに、おうちの 人が 名前を 書く ことも あります[1]。
つまり、れんらくちょうは、学校と おうちを つなぐ まい日の 手紙です。この 手紙を 毎日 はこぶ のは、だれでしょう。じつは、子ども 自分です。そして、中を 読む ことも できます。くわしくは 3の しょうで 見て みましょう。ただし、つかいかたは 学校や 町に よって ちがいます。
小学校では、担任の先生と保護者の連絡は、ふつう連絡帳を通して行われます。欠席や早退の届け出、こまごまとした連絡を書いて、子どもに持たせます[1]。
先生からの連絡も連絡帳で届きます。読んだことを知らせるだけなら、保護者の署名で済みます[1]。ここまでは、毎日の連絡の道具という役割です。ただし、決まり方は学校や地域によって異なるので、全国どこでも同じとは言えません。
では、連絡帳に書いてよいのは、こうした用件だけなのでしょうか。
小学校では担任と保護者の連絡は通常、連絡帳を通して行われる。欠席・早退の届け出や細かい連絡事項を書いて子どもに持たせ、先生からの連絡も連絡帳で届き、確認だけなら署名で足りる[1]。毎日使える連絡路が一本あることで、連絡帳があれば、電話や面談をしなくても伝えられる用件を、毎日やりとりできる。
ただし、これは解説記事が述べる一般的な運用であり、全国一律の決まりではない。学校や地域によって書式や使い方は異なる。そのため、ここでは「通常はこう使われる」という範囲で読む。では、用件の伝達だけが連絡帳の役目なのか。
2. うれしかった ことも 書いて いいの?
2. 「うれしかったこと」も書いてよい手紙
2. 家庭の様子を書く ── 心配の報告から、よかったことの共有まで
れんらくちょうには、しんぱいごと だけでなく、おうちでの 様子や、よかった こと、うれしかった ことを 書いても よい のです[1]。
「きのう、はじめて 自分で ごはんを よそいました」。そんな 一ことでも、先生は 子どもの 見えない 一面を 知る ことが できます。
かんたんな しつもんや そうだんを 書くと、あとで 先生から へんじが もらえる ことも あります[1]。れんらくちょうは、おうちから 学校へも 手紙を おくれる ノートです。
連絡帳には、家庭での子どもの様子や、よかったこと、うれしかったことを書いてもよいとされています[1]。「昨日、初めて自分でご飯をよそいました」のような一言でも、先生には教室では見えない一面が伝わります。
簡単な質問や相談を書いておくと、後日先生から返事がもらえることがある、とも説明されています[1]。連絡帳は、学校から家庭への一方通行ではなく、行き来する手紙の形をしています。
ところで、この手紙は、書いた人から読む人へ直接渡るわけではありません。間に、もう一人います。
連絡帳に書くのは心配事に限られない。家庭での子どもの様子や、よかったこと、うれしかったことを書いてもよいとされ、簡単な質問や相談を書けば後日先生から返事がもらえる[1]。つまり、学校から家庭への通達に加えて、家庭から学校へ情報を返す経路としても使える。
この「返す」経路があるから、先生は教室だけでは見えない家庭での姿を知りうる。もっとも、返事の頻度や書き方は先生や学校によって異なると考えられ、資料もそこまでは示していない。なお、双方向であっても、手紙を運ぶ途中には別の事情がある。
3. ふうとうが ない のに、だれが 読むの?
3. 手紙を運ぶ子どもは、中身を読んでいる
3. 運ぶのは子ども ── 電話で伝えたほうがよい内容
れんらくちょうは、ふうとうに 入って いません。そして、はこぶ のは 子ども 自分です。だから、子どもも 中を 読む ことが できます。
そのため、子どもが 読んで ふあんに なりそうな ことは、れんらくちょうでは なく、電話で 先生に そうだん したほうが よいと いわれます[1]。
手紙は、読む 人が 先生と おうちの 人 だけでは ありません。毎日 はこぶ 子どもが、いちばん 近くに いる 読み手 です。
連絡帳は、子どもの手を通って先生と保護者のあいだを往復します。子どもが読んで不安になりそうな内容は、連絡帳ではなく電話で相談するのがよいとされています[1]。
資料は理由をはっきり書いていませんが、連絡帳が子どもの手で運ばれ、子どもの目にも触れうるからだと読めます。つまり、連絡帳には先生、保護者、そして運ぶ子どもという三人の読み手がいる、と考えると使い方が分かりやすくなります。
三人目の読み手がいるから、うれしかったことを書く意味も出てきます。よい知らせは、運んでいる本人にも届くからです。では、そもそも、なぜ学校と家庭が連絡を取り合うのでしょうか。
連絡帳は子どもの手を通って運ばれる。子どもが読んで不安になりそうな事案は、連絡帳ではなく電話で相談するのがよいとされる[1]。
ただし、資料は理由を明言しておらず、「子どもの目に触れうるから」という説明は、運び手が子どもであるという運用の事実からの読み取りである。この読み取りに立てば、連絡帳の読み手は先生・保護者・運ぶ子ども本人の三者になる。この構造を踏まえ、内容によって連絡帳と電話を使い分ける考え方もある。
一方で、書き手の側から見れば、子どもが読む手紙だからこそ、よかったことをまっすぐ書く価値が高まる。では、この毎日のやりとりは、何を根拠に求められているのか。
4. どうして 学校と おうちは れんらく するの?
4. 学校と家庭が連携するという考え方
4. 教育基本法第13条 ── 連携・協力の考え方と、連絡帳の位置づけ
「きょういく きほんほう」と いう ほうりつが あります。そこには、学校や おうちの 人、町の 人が、子どもの べんきょうを いっしょに たすけるように、おたがいに ちからを あわせると 書かれて います[2]。
この きまりに、れんらくちょうという 名前は 出て きません。でも、学校と おうちが まい日 やりとりする ための 道具として、れんらくちょうが 使われて いると 考える ことが できます。
教育基本法第13条は、学校、家庭、地域住民その他の関係者が、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚し、相互の連携と協力に努めるものとする、と定めています[2]。
この条文に「連絡帳」という言葉はありません。連絡帳をこの連携の考え方と結びつけるのは、解釈です。研究では連絡帳を「学校と家庭が連携するためのツール」と説明する例があります。連絡帳は、法律が目指す連携を毎日の暮らしの中で支える小さな道具、と位置づけられます。
では、学校と家庭が手紙で連絡を取り合う工夫は、いつごろからあるのでしょうか。
教育基本法第13条は、学校・家庭・地域住民その他の関係者が、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚し、相互の連携及び協力に努めるものとする、と定める[2]。この条文は連絡帳を名指ししておらず、連絡帳との結びつけは解釈にとどまる。
とはいえ、連携を日常で実際に動かす手段が必要になる。研究では、連絡帳を学校と家庭が連携するためのツールとして説明する例がある。その意味で連絡帳は、学校と家庭が毎日連絡を取り合うための手段と読める。なお、文部科学省が連絡帳の目的を公式に定義した資料は、確認した範囲では見当たらず、目的は解説記事と上の理念からの整理である。
では、この「紙一枚の装置」は、歴史のなかではどこまでさかのぼれるのか。
5. むかしにも 家と つなぐ 手紙は あったの?
5. 明治の通信簿と、昭和2年の「学校家庭通信簿」
5. 明治期の家庭との連絡と、昭和2年の学校家庭通信簿
むかしの 学校も、おうちと れんらくを とる ための くふうを して いました。めいじの 学校は、つうしんぼを 出したり、おうちの 人に じゅぎょうを 見に きて もらったり、先生が 家を たずねたり して いました[3]。
昭和2年(1927ねん)には、東京の すがもの 小学校が 「学校家庭つうしんぼ」を 出した ものが、えど東京はくぶつかんに のこって います[4]。大きさは、たて 27.4cm、よこ 19.6cm です。
これが いまの れんらくちょうの ごせんぞだと、はっきり 言える わけでは ありません。でも、「学校と 家を つなぐ」ことは、むかしから 考えられて きました。
明治期の学校は、通信簿をはじめとする連絡文書の発行、授業の参観の奨励や懇話会、家庭訪問などで、家庭との連絡を図ろうとしたと、論文の要旨に書かれています[3]。
形のある資料も残っています。江戸東京博物館には、昭和2年(1927年)度の第四学年用の「学校家庭通信簿」(東京府北豊嶋郡、第五巣鴨尋常小学校)が所蔵されています。大きさは19.6cm×27.4cmです[4]。
この通信簿が、今の連絡帳の直接の先祖だとは、資料からは言えません。ただ、学校と家庭のあいだに紙を行き来させる工夫が、昭和初期にすでにあったことは分かります。では、この紙の連絡は、今どうなっているのでしょうか。
明治期の学校は、通信簿をはじめとする連絡文書の発行、参観の奨励や懇話会といった保護者を学校に招く取り組み、家庭訪問などを通じて、家庭との連絡を図ろうとしたと論文の要旨に記される[3]。連絡は文書だけでなく、顔を合わせる機会も使われていた。
実物の例として、江戸東京博物館のデジタルアーカイブには、昭和2年度の第四学年用「学校家庭通信簿」(東京府北豊嶋郡第五巣鴨尋常小学校)が所蔵され、昭和初期、19.6cm×27.4cmと記される[4]。ページからは中身の記述までは確認できない。
したがって、これを現在の連絡帳の直接の先祖と見なすことはできず、「学校と家庭をつなぐ紙の連絡」という点でのつながりをうかがわせる前身、と読むにとどめる。連絡帳という形の冊子が全国に広まった時期も、確かめられた資料はない。それでは、現代の連絡手段はどう変わりつつあるのか。
6. れんらくちょうは、これから どう かわるの?
6. 紙の連絡は、これからどう変わるのか
6. 連絡手段のデジタル化 ── 通知の報道と、市区町村の実施率
いま、学校から おうちへの れんらくを、パソコンや スマートフォンで 行う 学校が ふえて います[5]。
もんぶかがくしょうの しらべでは、2022ねんの 9月1日に、しらべた 市や 区や 町の うち、8わり いじょうで、おたよりや おやすみの れんらくなどに パソコンや スマートフォンを つかって いました。前の 年は、半分より すこし 多い くらいでした。ただし、これは そうした れんらくの 数で、れんらくちょうが なくなった 数では ありません[5]。
手紙の 形が かわっても、学校と おうちが 話し合う ことは、かわらず 大切に されて いくのでしょう。
近年は、学校と保護者の連絡手段をデジタル化する動きが進んでいます。
文部科学省の令和4年度(2022年9月1日時点)の調査では、保護者への連絡のデジタル化を実施している市区町村は8割以上で、前の年度は56.3%でした[5]。対象はWebアンケート、欠席や遅刻の連絡、お便りなどです。連絡帳そのものの数字ではないので、紙の連絡帳が減った割合とは読めません。
連絡手段が紙から画面に変わっても、学校と家庭が連絡を取り合う役割は続きます。
文部科学省の令和4年度(2022年9月1日時点)の学校の働き方改革に関する取組状況調査の資料では、保護者への連絡のデジタル化を実施している市区町村は8割以上で、前年度は56.3%だった[5]。この調査の対象はWebアンケート、欠席・遅刻連絡、お便りなどであり、連絡帳そのものの集計ではない。したがって「紙の連絡帳の廃止率」ではなく、「保護者への連絡のうち何らかがデジタル化された割合」と読むのが正確である。
全国的な連絡帳の実施率や使用実態の統計は、確認した範囲では見つかっていない。形が変わっても、教育基本法が求める連携という役割は変わらないと考えられる。
7. じぶんの れんらくちょうを 見て みよう
7. 手元の連絡帳を、三人の読み手の目で見直す
7. 手元の連絡帳と学校だよりを材料に、役割を確かめる
もし れんらくちょうが 手もとに あれば、1ページ 見て みましょう。だれが 書いて、だれが 読む ページ でしょうか。先生の ことばと、おうちの 人の 字が、どんな ならびで 書かれて いるでしょうか。
その ページを 読む 人が、ほかに もう 一人 いる ことに 気づいたら、それは 毎日 もって いく あなた 自身 です。うれしかった ことを 一つ、おうちの 人に 話して みても いいかも しれません。
手元に連絡帳やお便りがあれば、一日分を見てみましょう。用件の連絡か、家庭の様子か、先生からの返事か。ページごとに、何のための文なのかを分けてみると、連絡帳の役割が見えてきます。
次に、そのページを読む人を数えてみてください。先生、保護者のほかに、運ぶ自分も読み手であることに気づくでしょう。うれしかったことを書いてもらうとしたら、何を伝えたいでしょうか。
手元に連絡帳や学校だよりがあれば、一週間分を見て、書かれた内容を「用件」「家庭の様子」「返事」に分けてみるとよい。分けた結果を見て、手元の連絡帳や学校だよりが何に使われているか考えてみよう。
あわせて、教育基本法第13条の条文を文部科学省のサイトで読み、連絡帳との結びつきが解釈にとどまることを自分の目で確かめられる。連絡手段のデジタル化の調査資料も公開されているので、数字の対象が何かを確かめながら読んでみてほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の参照番号は、下の資料の番号に対応しています。法令は公的機関のものを使い、解説記事は運用の例として参照しました。
- HugKum(小学館)「連絡帳の書き方」 https://hugkum.sho.jp/49687 (連絡帳の使われ方・書いてよいこと)
- 文部科学省「教育基本法」 https://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/mext_00003.html (第13条・学校、家庭、地域の連携)
- 立教大学リポジトリ 論文要旨(AN00248863_57_03) https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/record/11683/files/AN00248863_57_03.pdf (明治期の学校と家庭の連絡)
- 江戸東京博物館 デジタルアーカイブ「学校家庭通信簿」 https://www.edohakuarchives.jp/detail-291689.html (昭和2年度の資料の所蔵情報)
- 文部科学省「令和4年度 学校の働き方改革 取組状況調査」資料 https://www.mext.go.jp/content/20230330-mxt_zaimu01-000027881_2.pdf (保護者への連絡のデジタル化の割合)
なおした ところ
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