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学校の ふくそうの きまりは、だれが きめて いるの?

学校の服装の決まりは、だれが決めているのか ── 校長の権限と、子どもたちの参加

校則(服装)を定める権限の所在 ── 校長の権限、「合理的な範囲」の考え方、児童生徒の参画

分野:歴史・文化

ぼうしの いろ、くつしたの いろ、かみの ながさ。学校には、ふくそうの きまりが たくさん あります。ところが、日本の ほうりつを さがしても、「くつしたは 白」と かいた じょうぶんは、見つかりません[3]。

では、だれが きめて いるのでしょう。そして、その きまりは、かえても いいのでしょうか。この 記事で、その こたえが わかります。

制服の形、靴下の色、髪の長さ。学校の服装の決まりは細かいのに、その細かさを書いた法律は、見当たりません[3]。決まりは、いったいどこから来ているのでしょうか。

決めているのはだれなのか、その決まりに限りはあるのか、そして子どもは口を出せるのか。文部科学省や裁判所の資料から、この3つの答えが分かります。

学校教育法は懲戒の根拠を定めるが、服装の細目を定める条文ではない[3]。それでも学校には、制服や髪型にまで及ぶ決まりが現に存在する。この決まりの権限は、どこにあるのか。

文部科学省の整理、判例の考え方、2022年の生徒指導提要の改訂を手がかりに、権限の所在、その限界、児童生徒が関わる位置づけの3点が分かるようにする。

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1. ふくそうの きまりは、ほうりつに かいて あるの?

1. 服装の細かい決まりは、法律に書いてあるのか

1. 懲戒の条文はあるが、服装の細目は法律にない

学校の ふくそうの きまりは、ふつう 「こうそく」と よばれます。この こうそくは、くにの ほうりつに 一つ一つ かいて ある わけでは ありません[1][2]。

ほうりつに あるのは、たとえば 「先生は、教育の ために ひつような とき、しかる ことが できる。でも、たたいては いけない」と いう ことです[3]。ふくそうの こまかい ことは、のっていません。

では、だれが きめるのでしょう。文部科学省もんぶかがくしょうは、こうそくは 学校が 教育の ために きめる もので、見直しを するか どうかは、さいごには 校長先生に けんげんが ある、と せつめいして います[1]。つまり、校長先生が 学校の 代表として きめる しくみです。

ただし、なんでも 自由に きめて いい わけでは ありません。つぎの 章で、その 「かぎり」を 見ます。

学校教育法は、校長と教員が、教育上必要があるときに生徒を懲戒できること、ただし体罰はできないことを定めています[3]。これは、叱ったり、決まりを破った生徒に対応したりするときの、法律の土台です。ところがこの条文には、靴下の色や髪の長さといった服装の細目は書かれていません。

では、服装の決まり、つまり校則は、だれが決めているのでしょうか。文部科学省は2021年の事務連絡で、校則を、学校が教育の目的を達成するために必要で、かつ合理的な範囲内で定めるものと整理しています。校則の内容を見直す権限は、最終的には、教育に責任を負う校長にあるとされています[1]。

2022年に改訂された生徒指導提要についての解説でも、校則は法令に細かく規定されたものではなく、社会通念上合理的と認められる範囲で、教育の目標の実現のために校長が定めるもの、という整理が紹介されています[2]。

つまり答えの要点は、国が一律に決めるのではなく、各学校の校長が、教育のためにという理由で決める、という形です。ただし「合理的な範囲」という言葉が付いています。その線はどこにあるのでしょうか。

学校教育法第11条は、校長と教員が教育上必要と認めるときに児童生徒へ懲戒を加えられると定め、体罰を禁じる[3]。懲戒の権限の根拠はここにあるが、条文は服装の細目、たとえば靴下の色や髪型を定める形にはなっていない。施行規則が退学・停学・訓告を校長の権限と定めることも、校則の中身を直接決める規定とは別の層にある[3]。

では、校則の内容を定める権限は、どこから説明されるのか。文部科学省の2021年6月の事務連絡は、校則を、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内で定めるものと整理し、見直しの権限は最終的に校長にあるとする[1]。2022年12月に改訂された生徒指導提要についても、校則は法令上は細かく規定されず、判例が、社会通念上合理的と認められる範囲で教育目標の実現のために校長が定めるものとしてきたことを踏まえた記述が、解説で紹介されている[2]。

ここで押さえたいのは、「校長が決める」という答えが、法律の細かい条文ではなく、学校という組織の教育上の裁量にもとづくという点だ。ただし、解説記事は二次資料であり、提要の逐語は原典で確かめる必要がある。ただし、裁量には限界がある。「合理的な範囲」とは、何を指すのか。

2. 校長先生は、なんでも きめて いいの?

2. 校長の決める力には、「合理的」という条件がある

2. 「必要かつ合理的な範囲」という限界と、裁判所の見方

こうそくには、「ひつようで、ほどほどの ところまで」と いう じょうけんが あります[1]。学校が 教育の ために ひつよう だと かんがえた ことでも、あまりに むりな きまりは、みとめられない、と いう 考え方です。

この 考え方は、さいばんしょの 考え方でも 使われて きました。さいばんしょは、きまりを つくる 学校の 立場を みとめつつ、その 中身が 社会の ふつうの 考え方から 大きく はずれて いないかを 見ます[2]。

たとえば 1996ねんに、さいこうさいばんしょは、パーマを きんし する きまりのある しりつの 高校で、きまりを やぶった 生徒せいとに、自分から 学校を やめる ことを すすめた ことを、ちがほうだとは いえない、と 考えを 出した れいが あります[4]。

つまり 学校の きまりは、校長先生が きめる ものだけれど、いつも 「ひつようか」「ほどほどか」を 考える ことが もとめられます。では、きまりを 守る ことだけが もくてきなのでしょうか。

「合理的な範囲」という条件は、文部科学省の整理にも、提要の解説にも出てきます。校長に校則を決める権限があるといっても、教育の目的に照らして必要で、社会の常識から見て不合理でない範囲に、限られるということです[1][2]。

ここで、1996年(平成8年)7月18日の最高裁判所の判決が参考になります。この事案では、私立高校がパーマを禁じ、運転免許の取得を制限する校則を持っており、これに違反した生徒に自主退学を勧めました。裁判所は、その勧告に違法があるとはいえないと判断した事例です。また、この私立高校の校則をめぐっては、憲法の自由権の規定が私人どうしの間に当然に適用されるわけではない、という考えも示されました[4]。

この判決は、学校側の判断が尊重された例ですが、読み取りたいのは「何でも自由」という意味ではない点です。私立か公立か、どんな内容の決まりか、従わないときにどんな対応が予定されているかで、見方は変わります。校長の権限に枠があることは、文部科学省の整理が「必要かつ合理的な範囲内」と述べていることからも分かります。

では、その枠の中で、決まりをよりよいものにするには、だれが関われるのでしょうか。

校長の権限に限界があることは、文部科学省の整理が「必要かつ合理的な範囲内」と明記することで表れている[1]。提要の解説も、校則を社会通念上合理的と認められる範囲で定めるものと紹介している[2]。

実際の例として、最高裁判所1996年(平成8年)7月18日判決がある。私立高校が、パーマの禁止と運転免許の取得制限を定め、これに違反した生徒に自主退学の勧告をした事案で、判決はその勧告に違法があるとはいえないとした。この事案の校則をめぐっては、憲法の自由権の規定が私人間に当然に適用されるわけではない、との考えも示された[4]。

この判決の射程には注意が要る。対象は私立高校の事案であり、公立の中学校の服装規制を直接に判断したものではない。また、判決の骨子は「違法とはいえない」であって、「校則の内容が望ましい」と評価したものではない[4]。つまり、法的に許される範囲と、教育上よい決まりであるかどうかは、別の問題だ。

この二つが別ならば、「許されるか」だけでなく「よいか」を学校の中で考え続ける仕組みが要る。それが、次に述べる見直しの流れである。

3. 子どもも、きまりの 見直しに さんかできるの?

3. 決める側に、子どもが加わる流れ

3. 見直しへの児童生徒の参画 ── 提要が位置づけた「自己指導能力」

文部科学省もんぶかがくしょうは、こうそくを 見直す ときに、子どもたちが 話し合う きかいを つくったり、おうちの 人に アンケートを とったり する れいが ある、と しょうかい して います[1]。校長先生が さいごに きめる けれど、子どもや おうちの 人の 声を きく 学校も あるのです。

また、2022ねんに かいていされた 生徒せいとしどうの 手引きでは、きまりを 見直す ときに 子どもが かかわる ことが、大切だと されました。自分で 考えて、自分で 行動する 力を そだてる ことに つながる、という 考え方です[2]。

こうそくは、学校の ホームページなどで みんなが 読めるように し、なぜ その きまりが あるのか も しめす、と いう 方向も 出て います[2]。きまりを 「守らされる もの」から、「みんなで 考える もの」に する 動きです。

文部科学省の事務連絡は、校則の見直しの例として、児童生徒が話し合う機会を設けること、保護者にアンケートをとること、校則を学校のホームページに載せることを挙げています。決める権限は校長にあります。そのうえで、文部科学省は児童生徒や保護者が見直しに参加する取り組みも紹介しています[1]。この事務連絡は、児童生徒が校則を自分のものとして受け止め、自主的に守れるようにすることを求め、守らせること自体を目的にしてはいけないという考え方も示しています。

2022年に改訂された生徒指導提要の解説でも、新たに「児童生徒の参画」の考え方が加わったと紹介されています。校則の見直しに主体的に関わることが、自分で自分を導く力、つまり自己指導能力を育てることにつながる、という位置づけです。児童会や生徒会で校則を議論する機会を持つことも、例として挙げられています[2]。

さらに解説では、少数の意見を尊重することの大切さ、学校のホームページなどで校則を公開し、決まりができた背景も示すこと、社会の変化を踏まえてたえず見直すことも述べられています[2]。

ここまでをまとめると、決める権限は校長にあり、その枠は「合理的な範囲」で、最近はその過程に子どもが関わる流れがある、ということです。では、いまの自分の学校では、どうなっているでしょうか。

権限が校長にあるとしても、その行使の過程に児童生徒を関わらせる方向が、公式に示されている。文部科学省の事務連絡は、見直しの方法として、児童生徒が話し合う機会、PTAへのアンケート、学校ホームページでの掲載を例示し、校則を児童生徒が自分のものとして自主的に守れるようにすること、規則を守らせること自体を目的にしないことを求めた[1]。

2022年12月の生徒指導提要の改訂では、「児童生徒の参画」が新たな項目として加わったと解説されている。校則の見直しに主体的に関わることが自己指導能力の育成につながるとされ、児童会・生徒会で校則を議論する機会が例に挙がる。あわせて、少数意見の尊重、校則の公開と制定の背景の提示、社会の変化を踏まえた継続的な見直しも示された[2]。

この流れを、前の章と合わせて読むと、校長の権限は「合理的な範囲」という外側の枠に囲まれ、その内側では、児童生徒・保護者の意見を聞く手続きが整えられつつある、という構図になる。ただし、これらは国が示した考え方と例であり、どの学校がどこまで実施しているかは、学校ごとに異なる。

だからこそ、自分の学校の実情は、自分の学校の資料で読むしかない。その手がかりを、最後の章に置く。

4. 自分の 学校の きまりを、読んで みよう

4. 自分の学校の決まりを、読んで、聞いてみる

4. 手元の学校で確かめられること、原典で読めること

おうちの 人と いっしょに、学校の ホームページを 見て みましょう。こうそくが のって いる 学校も あります[2]。

のって いたら、一つ えらんで 「どうして この きまりが あるのかな」と 考えて みます。おうちの 人や 先生に 「この きまりは、だれが きめたの?」と 聞いて みるのも いいでしょう。

学校から くばられた プリントにも のって いないか、見て みましょう。見つからなければ、それも 一つの 発見です。どこに のって いるのか、先生に 聞いて みましょう。

学校のホームページに、校則が載っているかどうかを、家の人と見てみましょう。載せることは、文部科学省の事務連絡でも、見直しの例のひとつとして挙げられています[1]。

載っていたら、決まりをひとつ選んで、「何のために必要なのか」「必要な範囲に収まっているのか」を、自分なりに考えてみます。先生や家の人に、「この決まりは、だれが、どんな話し合いで決めたのか」と聞くのも、ひとつの方法です。

文部科学省の事務連絡と生徒指導提要は、どちらも文部科学省のホームページで読めます。条文や判決は、e-Gov法令検索や裁判所のホームページで原文を読めるので、気になった箇所を自分の目で確かめられます。

確かめる手順を三つ挙げる。第一に、学校のホームページで校則が公開されているかを見る。公開は、事務連絡と提要の解説で、見直しの方向として示されている[1][2]。第二に、決まりをひとつ選び、「教育目的に照らして必要か」「範囲は妥当か」を自分の言葉で書いてみる。第三に、その決まりの制定や見直しに、児童生徒の意見を聞く場があったかを、先生に尋ねる。

学校の決まりを調べたあとは、国の資料も読める。原典としては、文部科学省の事務連絡(2021年6月)と、生徒指導提要(2022年12月改訂)が読める。この記事で引いた生徒指導提要の記述は解説記事を経由しているため、「法令に規定されていない」といった文言は、提要の本文で確かめるのがよい。学校教育法の条文は e-Gov法令検索、最高裁判所1996年(平成8年)7月18日の判決は裁判所のホームページの裁判例検索から読める[4]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

校則の位置づけと見直しの例は文部科学省の事務連絡、提要改訂の要点は解説記事、懲戒の条文はe-Gov法令検索、判決は裁判所の裁判例情報による。

  1. 文部科学省「校則の見直し等に関する取組事例について」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1414737_00004.htm (校則の位置づけ、校長の権限、見直しの例)
  2. School Voice Project「生徒指導提要の改訂のポイント」 https://megaphone.school-voice-pj.org/2022/12/post-2366/ (提要改訂の要点の解説)
  3. e-Gov法令検索「学校教育法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000026 (懲戒と体罰の条文)
  4. 裁判所「裁判例結果詳細」(最高裁判所1996年7月18日判決) https://www.courts.go.jp/hanrei/76112/detail2/index.html (私立高校の校則と自主退学勧告の判断)

なおした ところ

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