このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

しいたけは、どうやって そだつの? かみなりが おちると ふえるって ほんとう?

しいたけは木の中でどう育つのか 雷が落ちると増えるという言い伝えから考える

雷が落ちると、しいたけは増える? ── 原木栽培と、菌糸が実をつけるきっかけ

分野:生きもの

むかしから、「かみなりが おちると、きのこが ふえる」と いわれて きました。いわて大学の 先生たちが、ほだぎに 人の手で 電気を ながす じっけんを したところ、しいたけが へいきんで やく2ばいに なったと つたえられて います。

かみなりの 電気が、どうして きのこに きくのでしょう。そもそも、しいたけは どこで どうやって そだつのでしょう。この ページを よむと、そのことが わかります。

昔から「雷が落ちるとキノコが増える」といわれてきました。岩手大学の高木浩一さんたちが、しいたけを育てる木に人工の放電を当てる実験をしたところ、何もしない木より平均で約2倍のしいたけが採れたと報じられています。

では、雷の電気は、木の中の何に働いたのでしょうか。そもそもしいたけは、どこで、どうやって育つのでしょうか。この記事を読むと、しいたけの本体の正体と、原木栽培の流れ、そして雷や木をたたく工夫との関係が分かります。

雷が落ちた年は豊作になるという言い伝えがあり、岩手大学の高木浩一氏らの人工放電実験では、何も処理しないほだ木に比べて平均で約2倍のしいたけが収穫できたと報じられている[7]。ただし報道間で電圧や年の表記が一致せず、原論文も未確認のため、倍率は「報道された値」として扱う。

では、電気や振動のような刺激は、木の中の菌糸に何を起こしているのか。この記事を読むと、しいたけの体の構造、原木栽培の工程と温度条件、浸水や打木の説明、そして栽培法が運まかせの鉈目から種駒・菌床へ変わった流れが分かる。

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1. かみなりの 電気で、しいたけが ふえた?

1. 雷の代わりに電気を流すと、しいたけが約2倍に

1. 人工放電実験:電圧と報じられた倍率を読む

たんぼや はたけを ゆらす かみなりの 音を きいた とき、きのこの ことなんて 思いませんよね。でも、むかしの のうかの 人たちは、「かみなりの あとは、きのこが よく とれる」と かたって きたそうです[7]。

この いいつたえを ヒントに、いわて大学の たかぎ先生たちは、人の手で 電気を ながす じっけんを しました。ほだぎ(しいたけを そだてる 木)に、かみなりの ような 強い 電気を、ほんの 一しゅんだけ ながします。すると、なにも しない ほだぎより、へいきんで やく2ばい とれたと つたえられて います[7]。なめこでは やく8わり ふえたと いう ほうこくも あります[8]。

ただし、これは 人が 小さな 電気を ながした じっけんで、ほんものの かみなりが おちた わけでは ありません。

電気は、木の 中の 何に きいたのでしょう。それを しるには、しいたけが どこに いるのかを 知る ひつようが あります。

夏の夕立のあと、山の斜面にキノコが顔を出していた。昔の農家は「雷が落ちると豊作になる」と語り継いできたといわれます[7]。

人工の放電で調べた研究

この言い伝えとは別に、岩手大学の高木浩一さんたちは、しいたけを育てるほだ木に、5万〜12万5千ボルトの電気を1千万分の1秒だけ流しました。何もしないほだ木と比べて、平均で約2倍のしいたけが収穫できたと報じられています[7]。英語のメディアも、同じ研究を「放電でしいたけの収量が最大で約2倍、なめこは約80%増」と伝えています[8]。

注意したいのは、これが人工的な放電の実験で、本物の落雷が木に当たった記録ではないことです。報道によって電圧の幅(5万〜12万5千ボルトと5万〜10万ボルト)や報じられた年が食い違うため、この記事では数値を「報じられた値」として紹介し、実験の年は書きません。

では、電気の刺激は、木の中の何に届いたのでしょうか。その答えに近づくには、まず、しいたけの本体がどこにあるのかを知る必要があります。

「雷が落ちるとシイタケが増える」という言い伝えがある。これとは別に、人工的な放電を当てて収量を調べたのが、岩手大学の高木浩一氏らの研究である。ニューズウィーク日本版の記事によると、ほだ木に5万〜12万5千ボルトの電気を1千万分の1秒だけ流したところ、処理をしないほだ木より平均で約2倍のシイタケが収穫できた[7]。National Geographicは、同じ研究をシイタケ最大約2倍、ナメコ約80%増として伝えている[8]。

読み方には限界がある。第1に、これは人工放電の実験であり、本物の落雷が木に当たったときの再現とは限らない。第2に、報道間で電圧の幅(5万〜12万5千ボルト、5万〜10万ボルト)や報じられた年が一致せず、筆者は原論文を確認していない。倍率は「約2倍」としか言えず、条件の細部は報道の表現に頼ることになる。

それでも、電気という外からの刺激でシイタケが増えたという報道は、菌糸が「何か」を合図にキノコを作ることを示唆する。その合図を理解する出発点は、シイタケという生物のどこが本体なのかを整理することである。

2. しいたけの 本体は、木の 中に いる

2. しいたけの本体は、傘ではなく木の中の菌糸

2. 子実体と菌糸体:しいたけの体のつくり

しいたけの かさと ほそい え(じくの ぶぶん)は、じつは 「実み」に あたる ぶぶんです。りんごの 木に ついた りんごと 同じ ように、木の 中に ひろがる ほんたいが つけた 実なのです[1]。

ほんたいは、菌糸きんしと いう、とても 細い 糸の あつまりです。木の 中で、あみのように ひろがって います。この 糸が、木を とかして 食べて そだちます[3]。

ただし、りんごの 木は 生きて いますが、しいたけが 食べる のは、かれた 木です。ここが ちがいます。

はじまりは、風に のって とんできた 胞子ほうし(たねのような もの)が たおれた 木に おちて、そこから 糸が のびます。ちょうどよい あたたかさや しめりけが そろうと、糸が ぎゅっと あつまって、きのこの つぼみ(原基げんき)が できます。それが 大きく なって、えと かさに なります[1]。

では、人は この 糸を、どうやって 木に 住まわせるのでしょう。

柄も傘も、菌糸の集まり

スーパーのしいたけを思い出してください。傘も柄も、実は菌糸がぎっしり集まってできています。この部分を、きのこの「実」にあたる子実体といいます。本体は、木の中に広がっている菌糸の集まり(菌糸体)のほうです[1]。

胞子から原基まで

風に乗った胞子が倒木に落ちると、そこから菌糸が伸びます。栄養や温度、湿度の条件がそろうと、菌糸の一部が密に集まって「原基」というつぼみのような塊ができ、それが育って柄と傘になります[1]。しいたけは、木材を分解して栄養にする「腐生性」のきのこで、人工栽培されているきのこの約20種類は、どれも腐生性だと説明されています[3]。

つまり、木の中の菌糸が元気に育つことと、条件が整って原基ができることは、別の段階です。栽培する人は、この2つの段階をどう助けているのでしょうか。

シイタケの体は、菌糸と呼ばれる細い管状の細胞の集合である。木材中に広がる菌糸体が本体であり、私たちが食べる傘と柄は、菌糸が集まって作った子実体(実)にあたる[1]。したがって、「シイタケを育てる」とは、本体である菌糸を木の中で十分に広げ、そののちに実をつけさせる、という2段階の作業になる。

農林水産省の解説によれば、倒木や落ち葉に胞子が落ちて発芽し、菌糸が伸びる。栄養条件や温度・湿度に応じて、菌糸の一部が密に集まって原基ができ、それが発達して柄と傘になる[1]。シイタケは木材を分解して栄養にする腐生性のきのこで、人工栽培されている約20種類はすべて腐生性とされる[3]。

この2段階には、それぞれ別の条件が関わるはずである。菌糸を広げる段階では、第3章で見る適温(22〜26℃)と、栄養になる枯れた木が欠かせない。実をつける段階では、温度・湿度の変化などの刺激が関わると考えられている。ただし、この対応は本記事の整理であり、個々の条件がどちらの段階にどう効くかは、品種や木によって幅がある。次の章では、この2段階のうち、菌糸を広げる側の手順を確かめる。

3. 木に たねを うえて、2ねん まつ

3. 木に種駒を打ち、2年待つ

3. 原木栽培の工程と温度条件:2年という期間の中身

もみじの ころ、山で くぬぎの 木を きります。はっぱが かれるまで ほして(葉枯らしはがらし)、1メートル20センチくらいに きります[2]。

ここに、しいたけの きんが ついた 木の かけら(種駒たねこま)を うちこみます。この 木が、ほだ木ほだぎです。

それから 2ねんほど、山の 中に おいて、菌糸きんしが 木の 中に ひろがるのを まちます[2]。

ひろがり やすい あたたかさは、22〜26どだそうです。木の おんどが 35〜40どに なると、菌糸きんしは しんでしまうと いう 長野県の しりょうも あります。1ねんの うちで いちばん ひろがるのは、6〜8がつです[4]。これは 1992年の しりょうで、ひんしゅや 土地で かわります。

2ねん まって、いよいよ しいたけを だす ばんです。ここで、また ふしぎな くふうが あります。

木を切って、種駒を打つ

農林水産省の資料に、原木栽培の流れが紹介されています。紅葉のころに山でクヌギを切り、葉を付けたまま乾かす「葉枯らし」をして、約1メートル20センチに切ります。そこへ、しいたけの菌を植えた木片(種駒)を打ち込み、このほだ木を2年ほど山の中に置いて、菌糸を広げます[2]。

菌糸にとっての心地よい温度

長野県の技術資料(1992年)では、菌糸が伸びる最適温度は22〜26℃で、ほだ木の温度が35〜40℃まで上がると菌糸は死んでしまうとされます。1年で菌糸がもっともよく広がるのは6〜8月です[4]。ただし、これは一例で、品種や地域でも違いがあります。

2年の間、菌糸は木の中で静かに広がります。それなのに、収穫の前にもうひと手間かける場所があるのは、なぜでしょうか。

原木栽培の流れは、農林水産省の紹介によると、紅葉のころにクヌギを伐採して葉枯らしし、約1メートル20センチに切って種駒を打ち、ほだ木を約2年山中に置いて菌糸を繁殖させ、ほだ場に移して温度や湿度の刺激で発生させる、というものである[2]。

ではなぜ「2年」なのか。長野県の技術資料(1992年)は、菌糸の伸びる最適温度を22〜26℃、ほだ木の温度が35〜40℃になると死滅すること、1年のうちでもっとも菌が広がり「ほだ化」が進むのは6〜8月であることを示す[4]。さらに、植菌から発生可能になるまでに必要な「有効積算温度」(毎日の温度を足し合わせた値)は、高温性品種で約3000℃、低温性品種で約6000℃とされる[4]。暖かさを日ごとに積み上げる考え方なので、低温性品種ほど長く待つ必要が出る。「2年」はこの積み上げが目安に達するまでの期間と読めるが、1992年の長野県の資料であり、品種や地域、年によって幅がある。

菌糸が木に行き渡っても、キノコはまだ出ない。むしろ、ここからが「出す」ための工夫の本番である。

4. 木を たたいたり、水に つけたり すると どうなる?

4. 木をたたいたり水に浸けたりすると増えるのはなぜか

4. 打木と浸水打木:刺激で発生が増えるという報告と、その理由の説明

ほだぎに 水を かけてから、プラスチックの ハンマーで こつこつ たたく。大分県の けんきゅうせんたー(2021ねん)では、2ねん目の ほだぎで これを すると、しいたけが ふえたと ほうこく されました[5]。木の きりくちよりも、かわの ほうを たたく ほうが、より きいたそうです。

ほだぎを 水に つけて たたく 「しんすいうちぎ」と いう やり方も あります。水や ゆれが、木の 中の 糸に 「いまだよ」と つたえる のでは、と いう 見かたが ありますが[6]、まだ、はっきり わかった ことでは ありません。

かみなりの 電気も、同じ ような 「いまだよ」の しらせ なのでしょうか。それも、これから しらべる ことです。

水をかけてたたくと増える

大分県農林水産研究指導センターの研究(2021年発表)では、2年目のほだ木に散水してから樹脂製のハンマーでたたくと、収穫量が増えました。木口(切り口)より樹皮をたたくほうが、効果が大きかったそうです[5]。

なぜ「刺激」が効くと考えられているのか

ほだ木を水に浸けてたたく「浸水打木」という方法もあります。水で温度や湿度が急に変わることや、たたく振動が、菌糸に実をつくるきっかけを与えるのではという見方がありますが、まだ確定した説明ではありません[6]。

電気、振動、水。刺激の形はちがいます。「環境が変わった」という合図として並べて考えることもできそうですが、これは仮説です。雷の電気が同じ仕組みで効いたのかは、分かっていません。

昔の人は、こうした仕組みを知らずに、どうしてしいたけを増やしていたのでしょう。

原木栽培では、菌糸が広がったあとも、発生を誘うために刺激を与えることがある。大分県の研究(2021年発表)は、2年目のほだ木に散水した後に樹脂製ハンマーで打木すると発生量が増加し、木口より樹皮に打木するほうが効果が大きいことを示した[5]。

ほだ木を水に浸けてたたく「浸水打木」という方法もある。浸水による温度・湿度の急変や、打木の振動が菌糸の分化を促すのではないか、と考えられている[6]。ただし、これは「考えられている」段階の説明であり、細胞レベルで何が起きているかが解明されたとは読めない。

ここで、第1章の雷の実験と並べてみる。水、打木、人工放電は、いずれも木の中の状態を急に変える刺激と見ることができる。雨や地震のあとにキノコが増えるという経験談まで含めて「菌糸は急な環境変化を合図に原基を作る」とまとめるのは、見通しのよい整理に見える。しかし、電気による増加がこれらと同じ経路かどうかは、本稿が用いた資料では示されていない。2つの現象を結びつけるのは仮説にとどめるべきである。

では、こうした菌糸の性質を、人はいつ、どのように栽培に取り込んだのか。

5. 木の きずに 胞子ほうしを まつ 方ほうから、種駒たねこまへ

5. 運まかせの鉈目から、種駒、菌床栽培へ

5. 鉈目栽培から種駒、菌床栽培まで:人工栽培の移り変わり

しいたけを 人が そだてる ように なったのは、300ねんほど 前の えど時代と いわれます[9]。豊後ぶんごの くに(いまの 大分県)の すみやきが、すみに する 木に なたで きずを つけて おいたら、しいたけが はえてきた。それが 鉈目なためさいばいほうの はじまりだと つたえられて います[7]。

この ころは、きずぐちに 胞子ほうしが とんでくる のを まつ だけ。しいたけが 出るかどうかは、胞子ほうしが きずぐちに おちるかどうかに かかって いました。

そこで 出て きたのが 種駒たねこまです。1940年代の はじめごろ、もり きさく さんたちが、しいたけの きんを きれいに そだてて、木の かけらに つけて うえる 方ほうを つくりました[3]。いまの 原木さいばいと ほぼ 同じ やり方です。

いまは、おがくずと こめぬかを かためた かたまりで そだてる 「きんしょう」が 多くなり、スーパーには 1年じゅう しいたけが ならびます[3]。2014ねんには、とれた しいたけの やく9わりが きんしょうでした。山で 木から そだてる 人は、すこしずつ 少なく なって います[10]。

それでも、木で そだてる しいたけを まもる 人が います。大分県の 国東半島では、くぬぎの はやしと ためいけが ささえる くらしが、2013ねんに 「せかいのうぎょういさん」に えらばれました[11]。

きずに胞子が落ちるのを待つ

しいたけの人工栽培は、約300年前の江戸時代に始まったといわれます[9]。豊後国(今の大分県)の炭焼きが、炭にする木に鉈で傷をつけて放っておいたら、しいたけが出たので「鉈目栽培法」を見つけた、と伝えられています[7]。傷口に胞子が飛んでくるのを待つ方法で、出るかどうかは運まかせでした。

種駒が、運を計画に変えた

1940年代はじめ(昭和17年とも1943年とも書かれます)に、森喜作さんたちによって、純粋に培養した菌を木片(種駒)に付けて木に植える方法が確立し、現在とほぼ同じ原木栽培が成り立ちました[3][7]。種駒が登場したことで、「いつ、どの木に、どの菌を植えるか」を人が決められるようになりました。

おがくずに植える方法と、原木の今

おがくずに米ぬかなどを混ぜて固めた培地に菌を植える菌床栽培が広まり、生しいたけは年間を通して出回るようになりました[3]。平成26年(2014年)の生しいたけ生産量6万7510トンのうち、菌床が6万73トン、原木が7437トンで、計算すると約89%が菌床栽培でした[3]。令和5年(2023年)には、きのこ類の生産者約2.1万戸のうち原木しいたけの生産者は約1.1万戸で、高齢化により10年間で半減したと報告されています[10]。

一方で、大分県は乾しいたけの生産量が全国の約半分を占める産地で、2013年(平成25年)に「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」が世界農業遺産に認定されています[11]。

運まかせから計画へ、木から培地へ。変わったのは「どう植えるか」です。菌糸がどんな刺激を受けて実をつけるのかには、まだ分からない点があります。

人がシイタケを栽培できるようになったのは、約300年前の江戸時代とされる[9]。当時の方法は、豊後国(現在の大分県)の炭焼きが、炭にする木に鉈で傷を付けて放置したところシイタケが発生したことから、「鉈目栽培法」を見つけたと言われているものである[7]。この方法は、傷口に胞子が自然に付着するのを待つだけなので、発生は運に左右された[9]。人名は伝承であり、断定はできない。

この「運」を減らしたのが、種駒による接種である。1940年代はじめ、森喜作氏らにより、種菌を純粋培養して木片に付け、原木に植える方法が確立され、現在とほぼ同じ原木栽培が成立した。ただし出典によって年が異なり、昭和17年(1942年)とする資料と、1943年とする資料がある[3][7]。そのため本稿は「1940年代はじめ」と書く。胞子任せだった菌の入り口を、人が選べるようになった点が重要である。

さらに、おがくずに米ぬかなどを混ぜて固めた培地に菌を植える菌床栽培が普及し、生シイタケは年間を通して出回るようになった[3]。原木栽培は、ほだ木の運搬が重労働であるうえ、発生が天候に左右される。この差が、生産構造に表れている。2014年の生シイタケ生産量は6万7510トンで、菌床が6万73トン、原木が7437トンだった。60073÷67510=約0.89で、菌床栽培が約89%にあたる[3]。令和5年(2023年)の林野庁の白書では、原木しいたけの生産者は約1.1万戸で、高齢化により10年間で半減した[10]。

ただし、この89%は2014年の数字であり、現在の割合は別に調べる必要がある。また、原木栽培の価値が数字だけで測れるわけでもない。大分県は乾シイタケの生産量が全国の約半分を占め、「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」が2013年に世界農業遺産に認定された[11]。原木栽培は、クヌギ林を利用し続ける暮らしと結びついている。

運から種駒へ、原木から菌床へ。変わったのは菌の入れ方であり、菌糸がどんな刺激で実をつけるのかは、第4章で見たとおり、まだ分からない点が残っている。

6. しいたけの かさの うらを のぞいて みよう

6. 買ってきたしいたけの傘の裏と軸を観察する

6. 確かめられることと、資料の入り口

やってみよう

スーパーで しいたけを 見つけたら、おとなに ことわって 1つ かって みましょう。まず、かさを ひっくり かえして、うらを 見ます。うすい かべが たくさん ならんで いませんか。しいたけの かさの うらの この かべは 「ひだ」と いい、ここで 胞子ほうしが できると いわれます。

つぎに、手で えを ゆっくり さいて みます。いとが たばに なって いるような ようすが 見えます。これは 菌糸きんしそのものでは ありませんが、菌糸きんしが あつまって できた ものだと いわれます。見おわったら、手を あらって、ちゃんと かねつして 食べましょう。

もっと しりたく なったら

のうりんすいさんしょうの ホームページには、きのこの そだち方の かいせつが のって います。かみなりで きのこが ふえる 理由は、まだ 研究が つづく 話です。

やってみよう

スーパーで生しいたけを買い、傘の裏を見てください。薄い壁のような「ひだ」が放射状に並んでいます。ここで胞子ができると説明されます。次に柄を手で裂いて、繊維の向きを見てみます。菌糸そのものが見えるわけではありませんが、柄も傘も菌糸が集まったもの、という説明を、実物に近づいて感じる体験になります。観察のあとは手を洗い、しいたけは加熱して食べてください。

資料を読むなら

農林水産省の広報誌「aff」の2016年10月号と2021年10月号の特集は、栽培の流れときのこの育ち方が、写真つきで読めます。大分県の研究Nowには、打木の実験の結果が載っています。雷の電気が、浸水や打木と同じ仕組みで効いたのか。この問いは、読んだ資料からは答えが出ませんでした。

確かめられること

傘の裏のひだや、柄を裂いたときの繊維の向きは、市販の生シイタケで観察できる。繊維は菌糸そのものではないが、「傘も柄も菌糸の集まり」という説明を、実物の質感で実感できる。観察後は手を洗い、加熱して食べる。

資料を読むとき

農林水産省の広報誌「aff」2016年10月号・2021年10月号は、栽培工程と発生の仕組みの解説である[2][1]。長野県の技術情報No.80(1992年)は温度条件・積算温度の元の資料で、大分県の研究Now vol.116は打木実験の結果である[4][5]。

雷の実験については、本稿は報道のみで、原論文の電圧や年の記述が確認できていない。刺激と菌糸の関係は、北海道大学の学術成果コレクションにある子実体形成の研究を読むと、説明の根拠が追える[6]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

しいたけの育ち方・栽培の工程・雷の実験の紹介に使った資料です。数字は各資料の表記に従い、年が食い違う場合は本文で断っています。

  1. 農林水産省「aff」2021年10月号 特集1 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2110/spe1_01.html (きのこの体、胞子から原基まで)
  2. 農林水産省「aff」2016年10月号 特集1 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1610/spe1_01.html (原木栽培の手順)
  3. 農林水産省「aff」2016年10月号 特集1/農畜産業振興機構「野菜情報」2016年5月号 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1610/spe1_03.html (腐生性、種駒の確立、菌床栽培、生産量)
  4. 長野県 技術情報No.80 シイタケ原木栽培(1992) https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/gijyutsu/documents/080-1.pdf (温度条件、積算温度)
  5. 大分県農林水産研究指導センター 研究Now vol.116(2021年12月) https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2147744.pdf (打木の効果)
  6. 北海道大学 学術成果コレクション(シイタケ子実体形成の研究) https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/20829 (浸水打木の考え方)
  7. ニューズウィーク日本版 記事 https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/13289 (雷の実験の報道、鉈目栽培法、種駒の年)
  8. National Geographic「Lightning and mushrooms in Japan」 https://www.nationalgeographic.com/science/article/100409-lightning-mushrooms-japan-harvest (同じ研究の英語報道)
  9. nippon.com「Japan Glances」 https://www.nippon.com/ja/japan-glances/jg00131/ (江戸時代の鉈目法)
  10. 林野庁 令和6年度 森林・林業白書 https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r6hakusyo_h/all/chap2_2_1.html (原木しいたけ生産者の減少)
  11. 農林水産省 世界農業遺産 国東半島宇佐地域 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_3_050.html (世界農業遺産の認定)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  中学生向けの題名を、日常の疑問が先に来る形に見直した。

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