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ここに書いてあることは、誰かが実際に手を動かして調べ、考え、作り上げてきたものを拾い集めています。専門の本や論文、作品、そしてそれを生み出した人たち。気になったことがあれば、ぜひそのおおもとに直接ふれてみてください。このメモには書ききれない熱を、感じてもらえると思います。

ふねは、どうやって あいての ばしょを しるの?

船は、どうやってお互いの位置を知るのか

船は、どうやってお互いの位置を知るのか

分野:海・釣り

なにも 見えない ひろい 海の 上で、ふねは どうやって ほかの ふねと ぶつからずに すすんで いるのだろう。

こたえは、じぶんの 名前や ばしょを、でんぱで じどうに おしえあう そうちに ある。

何も見えない広い海の上で、船はどうやってほかの船とぶつからずに進んでいるのだろう。

答えは、自分の名前や場所を、電波で自動的に教えあう装置にある。

広い海の上で、船どうしはどうやってぶつからずにすれ違っているのか。答えは、自分の名前・位置・速さ・行き先を無線で自動的に発信しつづける「AIS」という装置にある。この装置が世界中の船に義務づけられるまでには、1つの大事故と1つの事件が関わっている。

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1. ふねは、じぶんの ばしょを でんぱで おしえあって いる

1. 船は、自分の場所を電波で教えあっている

1. AISは船名・位置・速度・目的地をVHF電波で自動発信するしくみである

いまの おおくの ふねには「AIS」と いう そうちが ついて いる。この そうちは、船の 名前、いま いる ばしょ、すすんで いる 速さや 向き、これから いく いきさきまでを、電波を つかって、じどうに ほかの ふねへ おくりつづける[1]。だから、たとえ 雨や 夜で 目に 見えなくても、近くの ふねが どこに いて どっちに すすんで いるかが わかる。

いまの多くの船には「AIS」という装置がついている。この装置は、船の名前、いまいる場所、進んでいる速さや向き、これから行く目的地までを、電波を使って、自動的にほかの船へ送りつづける[1]。だから、たとえ雨や夜で目に見えなくても、近くの船がどこにいて、どっちに進んでいるかがわかる。

AIS(Automatic Identification System、自動船舶識別装置)は、VHF帯の電波(161.975MHzと162.025MHzの2波)を使い、識別符号・船名・位置・針路・速力・目的地などの情報を自動的に発信し合うしくみである[1]。そのおかげで、視界の悪い夜間や悪天候でも、近くの船の位置・進行方向を把握できるようになり、航行支援の一つとして衝突の予防に役立てられている[1]

2. 大きな ふねの じこが、船の あんぜんを 考える きっかけに なった

2. タイタニック号の事故が、船の安全を考えるきっかけになった

2. 1912年のタイタニック号沈没事故がSOLAS条約の起点となった

この あんぜんの ための そうちが できるまでには、むかしの 大きな じこが かんけいして いる。1912年、「タイタニック号」と いう 大きな ふねが、はじめての こうかいで こおりの かたまりに ぶつかって しずんで しまい、たくさんの 人が なくなった。この じこの あと、せかいの 国ぐには、「船の あんぜんの ための きまりを つくろう」と 話し合い、1914年に さいしょの じょうやくを むすんだ[2]

この安全のための装置ができるまでには、むかしの大きな事故が関係している。1912年、「タイタニック号」という大きな船が、はじめての航海で氷のかたまりにぶつかって沈んでしまい、たくさんの人が亡くなった。この事故のあと、世界の国々は、「船の安全のためのきまりを作ろう」と話し合い、1914年に最初の条約を結んだ[2]

1912年のタイタニック号沈没事故を受け、1914年に「海上における人命の安全のための国際会議」が欧米主要海運国13か国の出席のもとで開催され、救命艇の搭載義務や無線電信による24時間の遭難周波数聴守などを定める条約が締結された[2]。この最初の条約は第一次世界大戦の影響で発効しなかったが、修正を加えた条約が1929年に締結され、1933年に発効した。これが今日まで続く「海上人命安全条約(SOLAS条約)」の起点である[2]

3. AISと いう そうちが、じっさいに 作られた

3. AISという装置が、実際に作られた

3. 1990年代の技術開発を経て、AISは2000年のSOLAS条約改正で採択された

それから ずっと あとの 1990年代、電波を つかって 船どうしが じょうほうを おくりあう ぎじゅつが つくられて いった。そして 2000年、船の あんぜんの きまりに、この AISを つかう ことが くわえられた[3]

それからずっとあとの1990年代、電波を使って船どうしが情報を送りあう技術が作られていった。そして2000年、船の安全のきまりに、このAISを使うことが加えられた[3]

AISの技術は、国際海事機関(IMO)でSOLAS条約第V章の改正として審議され、2000年12月の第73回海上安全委員会(MSC73)で採択された[3]。その結果、2002年7月から一定の船舶への段階的な導入が始まることになった[3]

4. ある じけんの あと、AISを つける きげんが はやまった

4. ある事件のあと、AISをつける期限が早まった

4. 2001年の同時多発テロを受けAISの搭載義務化が加速した

もともとは じこを ふせぐ ための きまりだったが、この あと べつの もくてきでも つかわれる ように なる。AISを つける ことは、すでに 2000年に きまって いた。ところが 2001年、アメリカで おおきな テロじけんが 起きた。この あと、「船を つかった よくない ことも ふせがなければ」と いう 考えが 強まり、2002年に きまりが 見なおされて、船に AISを つける きげんが はやめられた[4]

もともとは事故を防ぐためのきまりだったが、このあと別の目的でも使われるようになる。AISをつけることは、すでに2000年に決まっていた。ところが2001年、アメリカで大きなテロ事件が起きた。このあと、「船を使った良くないことも防がなければ」という考えが強まり、2002年にきまりが見直されて、船にAISをつける期限が早められた[4]

SOLAS条約はもともと海難事故を防ぐ「安全(Safety)」のための条約だったが、この改正を境に、犯罪やテロを防ぐ「保安(Security)」の役割も担うようになる。AISの搭載自体は2000年のMSC73採択の時点ですでに決まっていたが、2001年9月の米国同時多発テロ事件を契機に、船舶を利用したテロや不正行為への対策としてSOLAS条約が2002年に改正され、対象船舶に搭載義務が適用される時期が早められて、2002年7月から2008年7月にかけて段階的に義務化が完了することになった[4]。現在では、国際航海に従事するすべての旅客船、総トン数300トン以上の国際航海船舶、国際航海に従事しない500トン以上のすべての船舶にAISの搭載義務が課されている[4]

5. AISの 電波は、思ったより ずっと 遠くまで とどいて いた

5. AISの電波は、思ったよりずっと遠くまでとどいていた

5. AISの電波は水平方向で約74kmしか届かないが宇宙のISSでも受信されている

AISの 電波は、海の 上を 水平に すすむ ときは、74キロメートルほどしか とどかない。でも おなじ 電波を、まうえの ほうに 向かって とばすと、たかさ 400キロメートルも ある こくさいうちゅうステーション(ISS)にまで とどく[5]。じっさいに ISSには、この 電波を つかまえる きかいが つけられて いて、うちゅうから 海の 上の ふねの ばしょを しらべる とりくみが おこなわれて いる[5]。まるで、山の むこうがわには 声が とどかないのに、たかい とうの 上から さけべば、山ごしにも きこえるようなものだ(ただし ほんとうは、電波と 声とでは とどく しくみが ちがう)。

AISの電波は、海の上を水平に進むときは、74キロメートルほどしかとどかない。でも同じ電波を、真上のほうへ飛ばすと、高さ400キロメートルもある国際宇宙ステーション(ISS)にまでとどく[5]。実際にISSには、この電波をつかまえる機械が取りつけられていて、宇宙から海の上の船の場所を調べる研究が行われている[5]。まるで、山の向こうがわには声がとどかないのに、高い塔の上からさけべば、山ごしにも聞こえるようなものだ(ただし本当は、電波と声とではとどくしくみがちがう)。

AISの電波は、水平方向にはおよそ74km(約40海里)しか届かないとされる[5]。ところが垂直方向には、高度およそ400kmを周回する国際宇宙ステーション(ISS)にまで届いている[5]。ESA(欧州宇宙機関)は、ISSのコロンバス実験棟に設置した受信機でAIS信号を捉える「COLAIS」計画を実施し、本来はこの程度の距離までしか届かないはずの信号を、ISSの軌道から、場合によっては2000km先まで届く電波として検出することに成功した[5]

6. AISの じょうほうの いちぶは、だれでも 見る ことが できる

6. AISの情報の一部は、だれでも見ることができる

6. AISの情報の一部は、民間の船舶追跡サイトを通じて誰でも閲覧できる

AISが おくる じょうほうの いちぶは、とくべつな ひとだけが 見られる ものでは ない。インターネットの ちずサイトで、いま どんな 船が 走って いるかを、だれでも 見る ことが できる[6]

AISが送る情報の一部は、特別な人だけが見られるものではない。インターネットの地図サイトで、いまどんな船が走っているかを、だれでも見ることができる[6]

AISで発信される船舶情報は、沿岸の受信局や人工衛星を通じて集められてデータベースに送られ、その一部は民間の船舶追跡サイトの地図上で誰でも閲覧できる[6]。安全のための装置が、結果として海上交通の一端を「見える化」することにもつながっている。

いまの 海を 見て みると?

いまの海を見てみると

いまの海を見てみると

おうちの人と いっしょに、船の いちを 見られる インターネットの ちずサイトを ひらいて、じぶんの すんで いる ばしょの ちかくの 海に、いま どんな 船が いるか さがして みよう。

家の人といっしょに、船の位置を見られるインターネットの地図サイトを開いて、自分の住んでいる場所の近くの海に、いまどんな船がいるかさがしてみよう。

船舶追跡サイトを開いて、身近な港や海域にいまどんな船が航行しているかを見てみると、貨物船・タンカー・フェリーなど、ふだん目にしない船の種類や、その行き先の広がりに気づくはずだ。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. フリー百科事典『ウィキペディア』「自動船舶識別装置」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/自動船舶識別装置 (AISがVHF帯の電波〈161.975MHz・162.025MHzの2波〉を使い識別符号・船名・位置・針路・速力・目的地などを自動発信すること、視界不良時の衝突予防に役立てられていることは同記事による)
  2. フリー百科事典『ウィキペディア』「海上における人命の安全のための国際条約」、横浜市「SOLAS条約(海上人命安全条約)とは」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/海上における人命の安全のための国際条約 https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/yokohamako/kkihon/kikikanri/solas.html (1912年のタイタニック号沈没事故を受け1914年に救命艇搭載義務・無線電信による遭難周波数聴守等を定める条約が締結されたこと、第一次世界大戦の影響で発効しなかったこと、1929年締結・1933年発効の条約がSOLAS条約の起点であることは両出典による)
  3. 笹川平和財団海洋政策研究所「AIS船舶自動識別装置の進展とe-Navigation戦略への期待」(Ocean Newsletter)。 https://www.spf.org/opri/newsletter/243_3.html (AISが国際海事機関〈IMO〉でSOLAS条約第V章の改正として審議され2000年12月のMSC73で採択されたこと、2002年7月から段階的導入が始まったことは同記事による)
  4. 総務省 電波利用ポータル「AIS(Automatic identification system:船舶自動識別装置)」、電波申請サポートセンター「AIS(船舶自動識別装置)とは?搭載義務・クラスA/Bの違い・免許申請」。 https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/system/satellit/ais/ https://denpa-shinsei.jp/ais-tousai-gimu/ (2001年9月の米国同時多発テロ事件を契機に2002年SOLAS条約が改正され2008年7月までの段階的搭載義務化が決定されたこと、国際航海の旅客船・総トン数300トン以上の国際航海船舶・国際航海に従事しない500トン以上のすべての船舶に搭載義務が課されていることは両出典による)
  5. フリー百科事典『ウィキペディア』「自動船舶識別装置」、European Space Agency (ESA) "ISS ship-tracker operating alongside Norwegian satellite"。 https://ja.wikipedia.org/wiki/自動船舶識別装置 https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Engineering_Technology/ISS_ship-tracker_operating_alongside_Norwegian_satellite (AISの電波が水平方向には約74km〈約40海里〉しか届かないが垂直方向には高度400kmのISSにまで届くことはウィキペディア「自動船舶識別装置」による。ESAがISSのコロンバス実験棟にCOLAIS受信機を設置し、本来はこの程度の距離までしか届かないはずの信号をISSの軌道から検出したことはESAによる)
  6. MarineTraffic "AIS receiving stations"。 https://support.marinetraffic.com/en/articles/9552994-ais-receiving-stations (沿岸の受信局や人工衛星を通じて集められたAIS情報がデータベースに送られ、その一部が民間の船舶追跡サイトの地図上で閲覧できることは同ページによる)

なおした ところ

更新履歴

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