1. さむいと、いちばん さいしょに ふるえるの?
1. ふるえは、寒さへの最初の反応ではない
1. 寒さに対して、体は血管を縮めて熱を逃がさず、足りなければ筋肉をふるわせる
さむい ところに いくと、からだは ぶるぶる ふるえます。でも、ふるえは いちばん さいしょの はんのう では ないと せつめい されて います[2]。
さいしょは、ひふの ちかくの 血管が ほそく なります。そう すると、ねつが そとに にげにくく なります。それでも たりない ときに、筋肉が ぶるぶる うごいて、ねつを つくります[2]。
ただし、かるい さむさの ときは、ふるえない ねつづくりが さきに はたらく と いわれて います。これは 6しょうで しらべます[7]。
2. だれが「ふるえろ」と めいれい するの?
2. ふるえを起こしているのは、体温を見張る脳
2. 指令の経路 ── 視索前野・視床下部背内側部・淡蒼縫線核・脊髄前角
ふるえは、じぶんで「ふるえよう」と きめて おこす もの では ありません[1]。脳の なかに ある、からだの 温度を みはる ところが、はたらいて います[1][3]。
皮膚が つめたいと かんじると、その ことが 神経を とおって 脳に とどきます。すると 脳が、せなかの なかを とおる 神経を つかって、筋肉に「こまかく うごけ」と つたえます[3]。
3. ふるえを とめる スイッチは、どこに あったの?
3. ラットの実験で見つかった、ふるえを消す脳の場所
3. ラットでの検証 ── 視床下部背内側核・淡蒼縫線核の抑制(2011年)
2011ねんに、京都大学の ひとたちが、ねずみの なかまの ラットで しらべました。ひふを つめたく して ふるえが おきて いる ときに、脳の ある ところの 神経の はたらきを おさえると、ふるえが きえたのです[4]。
この ラットの じっけんでは、ふるえを とめる ばしょは 筋肉では なく、脳の なかでした。ただし、これは ラットの けっかです。ヒトでも まったく おなじかは、この けんきゅうだけでは いえません。
2011年、京都大学のグループの報告
2011年、京都大学のグループは、ラットの皮膚を冷やして起こしたふるえが、脳の視床下部背内側核や、延髄の淡蒼縫線核という場所の神経細胞の活動を抑えると消えることを、The Journal of Physiology で報告しました[4]。
ヒトにそのまま当てはめない
これはラットでの結果です。ヒトの脳でも同じ場所が同じように働くかどうかは、この研究だけでは分かりません。一方で、脳科学辞典が説明する指令の経路は、この結果と話がつながっています[3]。
2011年、京都大学のグループは、ラットで皮膚冷却により誘発したふるえが、視床下部背内側核または延髄の淡蒼縫線核の神経細胞活動を抑制すると消失することを示した(The Journal of Physiology)[4]。第2章の経路のうち、指令の中継点を実験的に押さえた結果にあたる。
ただし動物実験の結果であり、ヒトで同じ部位が同じ役割を持つと断定できる範囲ではない。
4. きんにくが うごくと、どうして ねつが 出るの?
4. 筋肉が動くと、なぜ熱が出るのか
4. 熱になるエネルギー ── ATP加水分解とカルシウムイオンの移動
はしると、からだが あつく なります。筋肉が たくさん うごくと、ねつが 出るからです。ふるえも おなじです。
筋肉は、ちぢむ たびに、エネルギーの もとを つかいます。つかう ときに、ねつも 出ます[6]。
ただし、ふるえは はしるのと ちがって、ほとんど すすみません。ちいさく ぶるぶる する だけですが、それでも ねつは 出ます。
収縮のたびに、エネルギーを使う
筋肉が縮むたびに、体はATPというエネルギーのもとを使い、カルシウムイオンを動かし続けます。この作業がくり返されるとき、熱が生まれます[6]。
ふるえは「熱づくり」に向いている
走ったあとに体が熱くなるのは、動いた筋肉が熱を出すからです。ふるえでは、それが小刻みな動きで起きていると考えると分かりやすいです。ただし、熱になる割合の数字は、確かな資料で確認できていないので、書きません。
5. どれくらい ねつを つくって、どこが ふるえるの?
5. ふるえが作る熱の大きさと、働く筋肉の場所
5. 熱産生の規模と分布 ── 安静時代謝の最大約5倍、体幹・近位筋が主役
ふるえは、あたたかく なる ための、けっこう おおきな しごとです。ある ろんぶんでは、からだの なかの 温度が 35どくらいまで さがると、じっと して いる ときの 5ばいくらいまで、ねつが ふえる ことが あると まとめて います[5]。
ふるえて いる ところも きまって います。おなかや せなか、あしの つけねの ちかくの 筋肉が よく はたらく ことが おおく、うでや すねの 筋肉は あまり ねつを つくりません[5]。ただし、どの 筋肉を どれだけ つかうかは、ひとに よって ちがいます。
6. ふるえないで ねつを つくる ほうほうも あるの?
6. ふるえる前後に働く、褐色脂肪という熱づくり
6. 非ふるえ熱産生 ── 褐色脂肪の動員と寒冷順化(2013年)、ふるえとの分担
じつは、ふるえないで ねつを つくる しくみも あります。かっしょく脂肪という もので、かるい さむさの ときは、こちらが さきに はたらき、たりない ときに ふるえが くわわると いわれて います[7]。
10にちかん、さむい へやで すごして もらった わかい おとな 17にんの けんきゅうが あります。ふるえないで つくる ねつの わりあいは、およそ 10パーセントから 18パーセントに ふえました[7]。
じぶんでも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
さむいと おもった とき、からだの どこが ぶるぶる するか、きが ついたら おぼえて おきましょう。おなかの あたりや あしの つけねと、うでや すねと、くらべて みると おもしろいです。
ただし、ふるえる ほど ひえた ときは、あたたかい ばしょで やすみましょう。わざと さむい ところに いく ひつようは ありません。
今日できること:寒いと感じたときや、冷たい風に当たったときに、体のどこがぶるぶるするかを覚えておきます。体の真ん中に近いところと、腕やすねで違いがあるか、自分の体で確かめてみます。わざと寒い場所へ行く必要はありません。ふるえるほど冷えたら、暖かい場所で休みます。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:日本語の解説、脳科学の辞典、大学のプレスリリース、論文の要旨と本文を突き合わせた。何に使ったかは項目の最後に書いている。教科書の原文は確認しておらず、ふるえの定義は百科事典の説明の範囲で書いた。
- シバリング(Wikipedia日本語版)。https://ja.wikipedia.org/wiki/シバリング (ふるえの定義、不随意であること、視床下部が関わることについて)
- テルモ体温研究所「体温調節の仕組み」。https://www.terumo-taion.jp/health/basic/article02.html (寒さへの反応の順番について)
- 脳科学辞典「体温調節の神経回路」。https://bsd.neuroinf.jp/wiki/体温調節の神経回路 (ふるえの指令経路について)
- 京都大学 プレスリリース(2011年5月31日)。https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2011/110531_1 (ラットでふるえが消えた実験について)
- Haman and Blondin, Temperature 4(3) (2017)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5605160/ (熱産生の大きさ、働く筋肉、褐色脂肪との関係について)
- Deranged Physiology, Mechanisms of thermoregulation。https://derangedphysiology.com/main/cicm-primary-exam/thermoregulation/Chapter-124/mechanisms-thermoregulation (筋肉が熱を出す理由について)
- Cold acclimation recruits human brown fat, Journal of Clinical Investigation (2013)。https://www.jci.org/articles/view/68993 (褐色脂肪と10日間の寒冷暴露の実験について)
なおした ところ
更新履歴
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