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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ネズミを ゾウの 大きさに したら、立って いられるの?

動物をそのまま大きくすると、なぜ同じ体の形ではいられないのか:ネズミ・ノミ・ゾウで見る長さ・広さ・重さ

長さが2倍なら骨の強さは4倍、重さは8倍:ガリレオとホールデンが考えた体の大きさと形の関係

分野:歴史・文化

からだの たて・よこ・高さを ぜんぶ 10ばいに すると、ひょうめんの ひろさは 100ばい、たいせきは 1000ばいに なります。長さと ひろさと おもさは、ふえかたが ちがいます。

では、「東京ドーム 5こぶん」や「からだが 2ばいの どうぶつ」は、どう くらべれば いいのでしょうか。このページでは、大きさを「なんばいか」で くらべる 見かたが わかります。

ある動物の縦・横・高さをすべて10倍にすると、表面の広さは100倍、体積は1000倍になります。長さ・広さ・体積は、増え方がそれぞれ違うのです。

では、「東京ドーム何個分」のような言い方や、体が2倍の動物は、どう比べればいいのでしょうか。この記事を読むと、大きさを「何倍か」で比べる見方と、大きさが変わると体のつくりが変わる理由が分かります。

縦・横・高さをそれぞれ10分の1にしても、体重は1000分の1、表面は100分の1にしかならない。J・B・S・ホールデンは、1926年のエッセイ「On Being the Right Size」でそう書いた[6]。

では、「東京ドーム何個分」という身近な言い方は何を測っていて、大きさを比べるとき、長さ・広さ・体積はどう使い分けるのか。このメモを読むと、東京ドームの数字の読み方、10倍ずつ広げる映画の発想、ガリレオとホールデンの議論が分かる。

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1. 東京ドーム 5こぶんって、どのくらい?

1. 「東京ドーム何個分」は、広さの話か、体積の話か

1. 「東京ドーム何個分」は何の量か:建築面積46,755平方メートルと容積124万立方メートル

「この ひろばは、東京ドーム 5こぶんの 大きさです」と 言われても、目に うかびにくい ことが あります。じつは、東京ドームには、ひろさの 数字と、なかの 大きさの 数字が、べつべつに あります。

たてものが たっている ばしょの ひろさは、46,755へいほうメートルです。なかの 大きさ(たいせき)は、124万りっぽうメートルです[1]。

ひろさの ほうを 正方形に して みましょう。計算すると、1つの へんは やく 216メートルです。たいせきの ほうを さいころの かたちに すると、1つの へんは やく 107メートルです。どちらも、公式の 数字から この 記事で 計算した 数字です。

おなじ「東京ドーム 1こ」でも、ひろさで 見るか、たいせきで 見るかで、思いうかべる かたちが ちがいます。

ひろさが 10こぶん なら、正方形の へんは 10ばいではなく、やく 3.2ばいです。数が 10ばいに なっても、長さは 10ばいに なりません。

では、長さを 10ばいずつ ひろげて いくと、なにが 見えて くるのでしょうか。

広さの数字と、体積の数字は別もの

東京ドームの公式FAQによると、「何個分」と言うときの広さの基準としてよく使われるのは建築面積で、46,755平方メートルです。容積は124万立方メートルで、こちらは広さではなく、中に入る空間の大きさです[1]。単位が平方メートルか立方メートルかを見れば、別の量だと分かります。

正方形と立方体にして、辺の長さで見る

46,755平方メートルを正方形にすると、1辺は約216メートルになります。124万立方メートルを立方体にすると、1辺は約107メートルです。どちらも公式の数字から計算した値で、実際の形ではありません。同じ「東京ドーム1個」でも、広さで見るか体積で見るかで、思い浮かべる形の大きさが変わります。

個数が増えたときの変化も、思ったとおりにはなりません。広さが10個分なら、正方形の1辺は約3.2倍です。体積が10個分の立方体なら、1辺は約2.2倍にしかなりません。数が10倍になっても、長さは10倍にならないのです。

長さ・広さ・体積は、別々の増え方をします。では、もっと大きな範囲まで、同じ見方で見渡すにはどうすればよいのでしょうか。

「東京ドーム何個分」は、何の量を指すのか。TOKYO DOME CITYの公式FAQによると、広さの基準としてよく使われるのは建築面積の46,755平方メートルで、容積は124万立方メートルである[1]。建築面積は建物が地面を覆う面積で、グラウンドの面積とは別の数字だ。平方メートルと立方メートルという単位の違いが、そのまま量の違いを表している。

この2つを、辺の長さに直してみる。46,755平方メートルを正方形にすると1辺は約216メートル、124万立方メートルを立方体にすると約107メートルになる。ともに公式の数字からの計算値で、ドームの実際の形ではない。それでも、同じ「1個分」が長さにすると2倍ほども違って見える。「何個分」と言うときは、広さの話か体積の話かで、思い浮かべる大きさが変わるということだ。

個数と長さの関係にも注意がいる。広さが10個分なら、正方形の1辺は10倍ではなく√10、つまり約3.2倍である。体積が10個分なら、立方体の1辺は10の3乗根で約2.2倍にとどまる。逆に言えば、1辺を10倍にすると、広さは100個分、体積は1000個分になる。この関係を、後の章でホールデンの文章と照らし合わせる。

身近な単位の落とし穴は分かった。では、長さを一定の倍率で広げていくと、世界はどう見えるのか。

2. 10ばいずつ ひろげると、なにが 見える?

2. 1メートルから10倍ずつ広げると、何が見えてくるのか

2. 「Powers of Ten」:1メートルを起点に、10倍ずつ広げる見せ方

チャールズさんと レイさんの イームズふうふが つくった「パワーズ・オブ・テン」という えいがが あります。はじまりは、1メートル はなれた ところから 見た、シカゴの みずうみの ほとりの 男の人です[2]。

そこから 10ばいずつ とおざかります。1メートルの つぎは 10メートル、その つぎは 100メートル、1000メートル…。やがて うちゅうまで ひろがります。そのあと、こんどは 男の人の 手へ もどり、どんどん ちいさい ほうへ すすんで、たんその げんしの なかまで 行きます[2]。

1977ねんの ばんは、りょうはしに 2つずつ、つまり 100ばいぶん ひろげた ものです[2]。この えいがは、1998ねんに アメリカの 国会図書館の「のこす べき えいが」の リストに えらばれた、と しょうかいされて います[3]。

さっきの 東京ドームの 正方形の へんは 216メートルでした。1メートル、10メートル、100メートル、1000メートルと ならべた とき、100メートルと 1000メートルの あいだに はいります。10ばいずつの ものさしを つかうと、「どの くらいの 大きさか」が 見えやすく なります。

でも、10ばいに ひろげた とき、ものの「つくり」は おなじままで いられるのでしょうか。

1メートルから、10倍ずつ

チャールズ・イームズとレイ・イームズが作った映画『パワーズ・オブ・テン』は、シカゴの湖のほとりにいる男性を、1メートル離れたところから見る場面で始まります。そこから10倍ずつ遠ざかり、宇宙の果てのほうへ進みます。そのあと、男性の手へ戻って、今度は小さいほうへ10倍ずつ進み、炭素原子の核にまで届きます[2]。

1977年版は、両端に2桁ずつ、つまり100倍ぶんを広げた版です[2]。この映画は、1998年にアメリカ議会図書館の国立フィルム登録簿に選ばれたと紹介されています[3]。

10倍ずつのものさしで、東京ドームを置いてみる

1メートル、10メートル、100メートル、1000メートルと並べると、前の章の216メートルは、100メートルと1000メートルの間に入ります。「何個分」で考えるより、「10倍ずつ」の段のどこにあるかで考えるほうが、大きさの位置がはっきりします。

ただ、ここには見落としやすい点があります。映画の中で動いているのは「長さ」です。長さが10倍になったとき、その物の面積や重さまで同じ倍率で増えるわけではありません。では、長さを倍にしたとき、体のつくりはそのままでいられるのでしょうか。

身近な単位が落とし穴を持つなら、倍率そのものを物差しにする方法がある。イームズ夫妻(チャールズとレイ)の映画「Powers of Ten」は、シカゴの湖畔にいる男性を1メートルの距離から見る場面で始まり、10倍ずつ遠ざかって宇宙の側へ進む。そのあと男性の手へ戻り、10倍ずつ縮めて炭素原子の核まで進む[2]。1977年版は、両端にそれぞれ2桁(100倍)を足して広げた版だ[2]。

この映画には前身がある。1957年のキース・ボーケ(Kees Boeke)の本『Cosmic View』をもとにしている、と説明されている。1977年版は1998年に米国議会図書館の国立フィルム登録簿に選ばれた[3]。

前の章の216メートルは、1、10、100、1000メートルという段のうち、100と1000の間にある。大きさを「何個分」ではなく「何桁目の段か」で言えば、位置が決まる。ただし、映画が10倍ずつ動かしているのは長さである。長さを10倍にしたとき、面積や体積まで10倍になるわけではない、というのが前章の計算の教えだった。では、体のつくりまで同じ比率で大きくできるのか。

3. きょじんは、人と おなじ かたちで 立てるの?

3. 巨人は、人と同じ体の形のまま立てるのか

3. ガリレオの巨人論:長さが2倍になると、骨の強さと重さは何倍か

1638ねん、イタリアの ガリレオは、「新科学対話」という 本の なかで、おもしろい ことを 書きました。大きさが かわると、ひろさと たいせきは、ちがう ふえかたを する、という ことです[4]。

つみ木で かんがえて みましょう。1この つみ木を、たて・よこ・高さ ぜんぶ 2ばいにすると、つみ木は 2×2×2で 8こ ぶんに なります。かさは 8ばいです。でも、ひょうめんの ひろさは 4ばいです。

ほねも おなじです。ほねの きりくちの ひろさは 4ばい、からだの おもさは 8ばいに なります。たいせつな ところだけ 取り出した かんたんな モデルでは、ほね1ぽんが うける おもさは 2ばいです。

ガリレオは、きょじんが 人と おなじ かたちの まま 大きく なるなら、もっと かたくて つよい ほねの ざいりょうが いるか、ちからが 弱く なる ことを うけいれるしか ない、と かんがえました[5]。

では、反たいに 10ぶんの 1に ちいさく すると、どう なるのでしょうか。

1638年のガリレオの考え

ガリレオ・ガリレイは、1638年の『新科学対話』で、2つの物の体積の比は、表面(面積)の比より大きい、という趣旨のことを述べたとされています[4]。長さが2倍なら、面積は2×2で4倍、体積は2×2×2で8倍。これが、いわゆる「2乗3乗の法則」の出発点です。

骨は4倍、重さは8倍

ガリレオの論点は、こうです。相似な(形が同じで大きさだけ違う)物体では、大きさによって、自分の重さを支えられるかどうかの条件が変わる、という議論です。断面積は長さの2乗、重さは長さの3乗で増えます[5]。ここで体が2倍になる場合を考えると、骨の断面積は4倍、体重は8倍です。単純化した模型では、骨1本あたりの負担は2倍になります(この倍率は、この記事で計算した値です)。

そのため、巨人が人と同じ体の比率のまま大きくなるなら、もっと硬くて強い骨の材料を探すか、強さが落ちるのを認めるしかない、とガリレオは考えました[5]。

では、反対に小さくしたとき、同じ関係はどう現れるのでしょうか。

ガリレオは1638年の『新科学対話』で、2つの物の体積の比は表面の比より大きい、と述べた[4]。ガリレオは、相似な物体では大きさによって自重を支える条件が変わると論じた。断面積は長さの2乗、重さは長さの3乗で増える[5]。

これを巨人に当てはめる。体を縦・横・高さとも2倍にすると、骨の断面積は4倍、体重は8倍になる。単純化した模型では、骨1本あたりの負担は2倍だ。10倍にすれば、断面積は100倍、重さは1000倍で、負担は10倍になる。これらは、ガリレオの論点から自分で計算した値である。人と同じ体の比率を保ったまま大きくするなら、より硬く強い骨の材料を見つけるか、強さの低下を認めるしかない、とガリレオは述べた[5]。

ここで条件がある。この議論は「体の形(比率)を変えないまま拡大する」と仮定している。比率を変える道、たとえば骨を太くする道なら、巨人は否定されない。ただ、そのとき見かけは人と同じ形ではなくなる。では、縮める方向では、同じ関係がどんな現象に現れるのか。

4. 10ぶんの 1に ちいさく なると、なにが かわる?

4. 10分の1に縮めると、体重と表面はどうなるのか

4. ホールデンの1926年のエッセイ:長さを10分の1にして、重さ1000分の1・表面100分の1

1926ねん、ホールデンという イギリスの 科学者が、「On Being the Right Size」(ちょうど いい 大きさで いる こと)という エッセイを 書きました。

どうぶつの たて・よこ・高さを 10ぶんの 1に すると、おもさは 1000ぶんの 1に なります。でも、ひょうめんの ひろさは、100ぶんの 1にしか なりません[6]。

ホールデンは、ネズミの はなしも 書きました。ふかい あなに ネズミを おとしても、じめんが やわらかければ、少し おどろくだけで あるいて いく かも しれません。けれど、どうぶつが 大きく なる ほど、おちた ときの ようすが ひどく なる、と 書きました[6]。これは、かんがえる ための はなしです。ぜったいに まねしないで ください。

大きさが かわると、「からだの ほとんどが ひょうめん」の ものと「からだの ほとんどが おもさ」の ものの バランスが かわります。では、この ちがいは、ほかの どうぶつの すがたに、どう あらわれるのでしょうか。

縦・横・高さを10分の1にすると

1926年、イギリスの生物学者J・B・S・ホールデンは、エッセイ「On Being the Right Size」(ちょうどよい大きさでいること)で、動物の縦・横・高さをそれぞれ10分の1にすると、体重は1000分の1になるのに、表面は100分の1にしか減らない、と書きました[6]。長さ10分の1なら体積は10×10×10分の1、表面は10×10分の1、という計算どおりです。

ネズミの縦穴という思考実験

ホールデンは、深さ1000ヤード(約900メートル)の縦穴にネズミを落とす場面を例に出しました。地面がやわらかければ、ネズミは軽い衝撃を受けただけで歩き去る。ところが動物が大きくなるほど、被害は重くなる、という書き方です[6]。これは大きさと体のつくりを考えるための例で、実際に試すものではありません。

ここで大事なのは、「小さい体は丈夫、大きい体は弱い」という単純な話ではない点です。体重と表面の比が、大きさとともに変わる。それが、体の形や暮らし方の差につながる、という見方です。この見方は、ほかの動物の姿にも出てくるのでしょうか。

ホールデンは1926年のエッセイで、動物の長さ・幅・高さをそれぞれ10分の1にすると、重さは1000分の1に、表面は100分の1にしか減らないと書いた[6]。体重と表面積の比が、大きさとともに変わるという主張の核になる計算である。1章の「長さを10倍にすると広さは100個分、体積は1000個分」とも同じ構造だ。

よく引かれる例が、落下の話だ。ホールデンは、深さ1000ヤード(約900メートル)の縦穴に落とした場合を、段階的に書いた。地面がやわらかければ、ハツカネズミ(mouse)は軽い衝撃を受けただけで歩き去る。ドブネズミ(rat)は命を落とし、人は骨を折り、馬はつぶれる[6]。ここで注意したいのは、これが体の大きさを考えるための文章上の例で、実験や実測の結果ではない点だ。ネズミなら必ず無事と言い切れるわけではない。落下は、子どもが真似してよいものでもない。

では、この比の違いは、現実の動物のどんな特徴に出るのか。

5. ノミも ゾウも、おなじ かたちでは いられない?

5. ノミの大ジャンプと、ゾウの太い脚は、どうつながるのか

5. ノミの跳躍・脚の太さ・熱の逃げ方:大きさの影響を3つの場面で見る

「ノミが 人の 大きさだったら、千フィート(やく 300メートル)も ジャンプできる」という はなしを 聞いた ことは ありませんか。ホールデンは、ガリレオが 300年いじょう まえに、ぎゃくの ことを しめして いたのに、いまでも しんじられて いる、と 書きました[6]。

大きな どうぶつほど、あしが 太い はしらのように なって いる、とも せつめいされます。体が 大きく なると、おもさが 大きく ふえる ので、ほねを 太く しないと、ささえにくく なるからです。

もう 1つ あります。大きな どうぶつは、からだの おもさに くらべて、ひょうめんの ひろさが 小さく なります。からだの かたちの わりあいだけを くらべると、ゾウは、ネズミよりも、おもさに くらべた ひょうめんが 小さい ため、ねつを 外へ にがしにくい、と せつめいされて います[4]。

おなじ かたちの まま 大きさだけを かえると、からだに かかる ちからの バランスが かわります。ですから、どうぶつの かたちを 見ると、大きさの ひみつが 見えて きます。

ノミが人の大きさなら

ホールデンは、「ノミが人の大きさになったら、千フィート(約300メートル)も跳べる」という俗説に触れています。そして、ガリレオが300年以上前に反対のことを示していたのに、今も信じられている、と書きました[6]。体が大きくなると、筋肉の強さは断面積のように増え、重さは体積のように増えます。そのため、体の形が同じまま大きくなっても、ジャンプ力が同じ割合で伸びるわけではない、という考え方です。

脚が太い柱になる理由

体が大きくなると、骨1本あたりの負担が増えます。そのため、大きな動物ほど脚が太い柱のようになっていると説明されます。ガリレオの議論にあった「もっと硬い骨か、強さの低下か」の、もう一つの道が、骨を太くすることだともいえます。

ゾウが熱を逃がしにくい理由

体が大きくなるほど、体重に対する表面積の割合は小さくなります。体の比率だけを比べると、ゾウはネズミより体重に対する表面積が小さく、熱を逃がしにくいと説明されています[4]。

形を変えずに大きさだけを変えることは、むずかしいのです。身の回りのものや動物の図鑑の絵で、確かめられるでしょうか。

ホールデンは、ノミが人の大きさなら千フィート(約300メートル)跳べるという俗説に対し、ガリレオが300年以上前に反対のことを示していたと書いた[6]。この主張の背後には、断面積と体積の増え方の差がある。筋肉の断面積は長さの2乗、重さは3乗で増えるので、形を保ったまま大きくなれば、跳躍に使える力が重さに対して相対的に小さくなる、という解釈になる。ただし、この解釈は筆者の整理であり、ホールデンが引用箇所でそこまで述べているわけではない。

脚の太さも同じ考え方で読める。骨1本あたりの負担は、長さが2倍なら2倍、10倍なら10倍に増える。耐えるには骨を太くするしかなく、大きな動物ほど脚が太い柱のように見える、と説明される。ただし、これも考え方の整理であって、個々の動物の骨の実測値を使った議論ではない。

熱の逃げ方も、表面と体積の比の話になる。体の比率だけを比べると、ゾウはネズミより体重に対する表面積の割合が小さく、熱を放出しにくいとされる[4]。つまり「大きいから強い」のではなく、「大きさが変わると、条件が全体にずれる」のが共通点だ。大きさを測るとき、長さ・面積・体積のどれを見ているのかを分けて考えることが、比べ方の出発点になる。

この見方を、家の中で確かめることはできないか。

6. つみ木で、2ばいに して みよう

6. つみ木で確かめる、2倍の箱と動物の形

6. 2倍の立方体を作って数える:手で確かめる方法と、原典の探し方

つみ木や さいころが 8こ あれば、できます。1こを 手に とって、1つの めんの 数を 数えて ください。つぎに、8こを つかって、2×2×2の 大きな はこを つくります。

大きな はこの まわりの めんを 数えると、1つの めんが 2×2で 4こぶん、それが 6つで 24こぶんです。さいしょの 1こは、6こぶん でした。ひょうめんは 4ばい、つみ木の 数は 8ばい。ホールデンや ガリレオの 計算が、手で たしかめられます。

つぎに、どうぶつえんや 図かんで、大きな どうぶつと 小さな どうぶつを 見くらべて みましょう。あしの 太さは どうでしょうか。

「東京ドーム 何こぶん」と 聞いた ときは、「ひろさの こと? なかの 大きさの こと?」と 聞いて みるのも いいですね。

8個の立方体で、2倍の箱を作る

積み木かさいころが8個あれば、確かめられます。まず1個の面を数えると6面です。次に、8個を組み合わせて2×2×2の大きな立方体を作り、外側の面を数えます。1つの面は2×2で4個ぶん、それが6面で24個ぶんです。表面は4倍、個数(体積)は8倍だと、手で数えて確かめられます。

動物の姿を見比べる

動物園や図鑑で、大きな動物と小さな動物の脚の太さを見比べてみます。ただし、種類によって体の形はいろいろなので、「大きいから太い」と決めつけず、体の大きさと重さのバランスに注目するのがコツです。

数字を見たら、単位を見る

「東京ドーム何個分」を見かけたら、広さの話か体積の話かを探します。チラシやニュースで、平方メートルか立方メートルかが書いてあるか、見てみてください。書いていなければ、どちらの意味で使っているのかは、読む人が思い浮かべる形しだいで変わります。

手で確かめるには、8個の立方体(積み木やさいころ)を使う。1個の表面は6面。8個で2×2×2の立方体を作ると、外側の面は1面が4個ぶんで、6面なので24個ぶんになる。表面は4倍、体積は8倍になり、骨の断面積と重さの関係と同じ構造を、手で数えて確認できる。10倍の場合は100倍・1000倍になるが、これは計算で確認する。

広告やニュースの「東京ドーム何個分」も、平方メートルか立方メートルか、単位を探して読み分けてみるとよい。単位が書かれていなければ、広さと体積のどちらの意味かは、受け取る側の想像しだいになる。英語の原文(ホールデンのエッセイなど)は、参考にした情報源の欄にある。

身の回りの「何個分」「何倍」の数字を見たとき、長さ・広さ・体積のどれかを意識して読む。その習慣が、数字に振り回されない第一歩になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。数字の一部は、資料の数字から自分で計算した値で、その旨を本文に書いています。

  1. TOKYO DOME CITY「公式FAQ(東京ドームについて)」 http://www.tokyo-dome.co.jp/faq/facility/dome/ (建築面積と容積の数字)
  2. Eames Foundation「Powers of Ten and the Relative Size of Things in the Universe」 https://eamesfoundation.org/work/powers-of-ten-and-the-relative-size-of-things-in-the-universe (映画の内容と1977年版)
  3. Wikipedia, Powers of Ten (film series) https://en.wikipedia.org/wiki/Powers_of_Ten_(film_series) (映画の経緯。二次資料)
  4. Wikipedia, Square–cube law https://en.wikipedia.org/wiki/Square%E2%80%93cube_law (ガリレオの記述、体重と表面積の比。二次資料)
  5. Scientific American, 388 years ago, Galileo worked out why human giants can't exist https://scientificamerican.com/article/388-years-ago-galileo-worked-out-why-human-giants-cant-exist-and-explained-a-law-of-nature (梁の強さと重さの議論)
  6. J. B. S. Haldane, On Being the Right Size (1926) https://www.cs.utexas.edu/~witchel/S25-380L/papers/right-size.html (10分の1の例、縦穴の例、ノミの俗説。英語)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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  •  題名を見直した(読む前の子どもの疑問に近い形に。似た記事との違いが分かるように)。

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