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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

いちご農家は、はちを どうやって せわするの?

イチゴ農家は、ハウスのミツバチをどう預かるのか

イチゴ農家は、ハウスのミツバチをどう預かるのか ── 数・置き場所・温度・農薬・世代交代を公的資料から読む

分野:生きもの

いちごの ハウスでは、およそ 9わりの ひろさで、ミツバチが はたらいて います[1]。ハウスの 中は、自分で とんで くる 虫を あてに できないからです。

ところが、ハウスで はたらく はちの 日数は、1〜2か月 ほどと いわれます。いちごは、その 何ばいも ながく さきます。のうかの 人は、はちを どう せわして いるのでしょうか。その くふうが わかります。

日本の施設イチゴは、令和6年の統計で、面積の約9割でミツバチが使われています[1]。ハウスの中は野生の虫による受粉をあてにできないためです。

ところが、ハウスで働く働きバチの寿命は1〜2か月ほどといわれ、イチゴは6か月近くも実をつけ続けます。農家は、ハチの数、置き場所、温度、農薬、えさに、どんな気づかいをしているのか。その工夫が分かります。

令和6年の園芸用施設の統計では、施設イチゴ3,171haのうち2,815ha(約89%)で花粉交配用ミツバチが使われている[1]。ハウスの花は野生の虫の受粉をあてにできないためだ。

ところが、ハウス内の働きバチの寿命は1〜2か月とされ、イチゴは秋から春まで6か月近く働いてもらう必要がある[1][3]。この差を農家はどう埋めるのか。数・置き場所・温度・農薬・世代交代の順に、公的資料から読み解く。

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1. ハウスの 中で、だれが かふんを はこぶの?

1. 冬のハウスで、花粉を運ぶのはだれか

1. 虫媒花のイチゴと、ハウスの受粉 ── 1968年ごろからの花粉交配用ミツバチ

いちごの 花は、虫が かふんを はこぶと、形の よい み に なりやすく なります。ミツバチが 花の みつを すって まわる とき、体の 毛に ついた かふんが、めしべの 先に つきます[2]。

かふんが ついた ところが ふくらんで、赤く なります。だから、かふんが たりないと、形が ゆがんだ いちごに なります。

ハウスの 中には、野生の 虫が あまり いません。そこで、1968ねんごろから、ミツバチを ハウスに 入れる ように なりました[1]。

イチゴの花は虫媒花で、虫が花粉を運ぶと形のよい実になりやすくなります。ミツバチが花の上で蜜を吸い、花粉を集めて回るとき、体の毛についた花粉が雌しべの先につきます[2]。受粉した部分がふくらんで赤く色づくため、受粉が不十分だと、形のゆがんだ奇形果になります。

ハウスの中では、野生の虫による受粉をあてにできません。そこでイチゴ栽培では、1968年ごろから花粉交配用のミツバチを入れ始めました[1]。

農林水産省の資料によると、令和6年に施設イチゴの面積3,171haのうち2,815ha、約9割でミツバチが使われています。花粉交配用ミツバチを使う面積の合計6,031haのうち、イチゴが約47%で最も多い、とも書かれています[1]。ただし使用面積は延べで数えたものなので、「約9割」という目安にとどめます。

では、農家はミツバチをハウスに放せば終わりなのでしょうか。管理の資料を読むと、気をつかうことがたくさん出てきます。

イチゴは虫媒花で、ミツバチが蜜を吸い花粉を集めて回る際、体毛についた花粉が雌しべの先に付着して受粉する[2]。受粉した部分がふくらんで赤く色づくので、受粉が不十分だと奇形果になる。

ハウス栽培では野生昆虫による受粉が期待できず、1968年ごろから花粉交配用ミツバチの導入が始まった[1]。ただし「導入開始」の年ごろであり、普及の時期を示すものではない。

昆虫の不在が奇形果を増やすことを示す古い試験もある。1974年の岩手県の報告では、促成栽培のハウスでシマハナアブ(ミツバチではないハエの仲間)を放した区の奇形果率は3.9〜5.2%、放さない区は13.0%だった[6]。ミツバチの効果を示す数字ではないが、昆虫がいない場合の受粉の難しさは読み取れる。

現在の普及は、令和6年に施設イチゴ3,171haのうち2,815ha(約89%)でミツバチを使用、とされる。花粉交配用ミツバチの使用面積の合計6,031haのうちイチゴが約47%で最多だ[1]。延べ面積の統計なので、「約9割」にとどめる。では、そこまで広がった管理は、どんな細かい気づかいでできているのか。

2. はこばれて きた す箱を、10ぷん まつのは なぜ?

2. 巣箱が届いたら、なぜ10分待つのか

2. 設置後10分の静置と定位飛行 ── 巣箱を「動かさない」理由

はこんで きた ミツバチは、ゆれで おちつきません。そこで ハウスに す箱を おいて から、10ぷんほど そのままに します[2]。それから、出入り口を あけます。

はちは、すの まわりを とびまわって、ばしょを おぼえます。ふつうは、これを「ていいひこう」と いいます。

だから、いちど おいた す箱は、うごかして は いけません。ミツバチは すの ばしょを せいかくに おぼえて いるので、少し うごかしただけで、もどれなく なる はちが 出ます[4]。

高い ところに つくる いちごでは、あおい かんばんなどの めじるしを おくと、す箱の ばしょを おぼえて くれます[2]。

輸送の振動で、ミツバチは興奮しています。協議会のマニュアルは、巣箱をハウスに置いてから10分ほどそのままにして落ち着かせ、それから巣門(巣箱の出入り口)を開けるよう勧めています[2]。ハウスの中が20℃以下になる夕方なら、日没後に開けます。ハチは巣箱のまわりを飛び回って位置を覚えます。これを定位飛行といいます。

巣箱は動かさない

ミツバチは巣の位置を正確に覚えて飛ぶため、少し動かしただけでも巣に戻れなくなるハチが出ます。香川県のパンフレットも、みつばち協議会のマニュアルも、同じ注意をしています[4][2]。置き場所は、巣門を太陽に向け、花と同じか少し高いところの目立つ場所です。腰の高さにベッドをつくる高設栽培では、巣に戻れないハチが多くなりがちなので、青い看板のような目印を置くと位置を覚える、とされています[2]。

向きは地域やハウスで違いますが、一般的な例として、南北に長いハウスなら北側に置いて巣門を南へ、東西に長いハウスなら西側に置いて巣門を東へ向けます[2]。換気扇の近くに置くと、ハチが吸い寄せられて戻れなくなるので、換気扇にはネットをつけます[4]。

紫外線をさえぎるフィルム

ミツバチは、人には見えない紫外線を手がかりに位置を知ります。人が見える光は400〜800nm、ミツバチは300〜650nmで、赤は色として見えません[3]。そのため、特殊な紫外線カットのフィルムをハウスに使うと、うまく飛べなくなることがあります。すべてのフィルムでそうなるわけではありません[3]。

輸送の振動でハチは興奮しているため、協議会マニュアルは、設置後10分ほど静置してから巣門を開けるよう勧める[2]。ハウス内が20℃以下の夕方であれば、日没後に開ける。巣のまわりを飛び回って位置を覚える「定位飛行」を行わせるのが狙いだ。

ミツバチは巣の位置を正確に覚えるので、巣箱を転々と動かすと戻れないハチが出る。香川県のパンフレットも、少し動かしただけで戻れなくなると注意し、巣箱を換気扇の近くに置くとハチが吸い寄せられて戻れなくなるため、換気扇にネットをつけるよう述べる[4]。別の機関の資料が同じ点を指しているので、「動かさない」は共通の注意と読める。

置き場所は、巣門を太陽に向け、花の高さかやや上の目立つ場所とする。高設栽培(腰の高さにベッドをつくる栽培)では、帰巣に失敗するハチが多くなりがちで、青い看板などの目印を置くと巣箱の位置を覚える[2]。向きは「一般的な配置の例」として、南北棟のハウスでは北側に置いて巣門を南へ、東西棟では西側に置いて巣門を東へ向ける[2]。

見る光の違いも管理に関わる。人は400〜800nm、ミツバチは300〜650nmの光が見え、赤は色として見えない。普段頼りにしている紫外線が使えなくなるので、特殊な紫外線カットフィルムをハウスの被覆材に使うと、うまく飛べなくなることがある[3]。すべてのフィルムでそうなるとは書かれていない。

3. ミツバチは、おおいほど いいの?

3. ミツバチは、多ければ多いほどよいのか

3. 適正なハチの数 ── 10aあたり1群と、増やしても受粉率が上がらない理由

いちごの ハウスでは、ひろさ 10アール(1000へいほうメートル)に つき、1つの す箱が めやすです。中に、6000〜8000ぴきの はちが います[3]。

1へいほうメートルに すると、6〜8ぴき ほどです。たたみ 1まいに、10ぴきくらいです。

では、おおめに 入れた ほうが、あんしん でしょうか。じつは、たくさん 入れても、かふんが つく わりあいは 上がりません。えさが たりなく なって、かえって へる ことも あります[3]。

協議会のマニュアルでは、イチゴのハチの数は、10aあたり1群(6000〜8000匹)が目安とされています[3]。10aは1000㎡なので、1㎡あたりに直すと6〜8匹です。畳1枚(約1.65㎡)なら10〜13匹ほどです。ただし資料も「目安」と断っていて、地域や時期で変わります。

それなら多めに入れたほうが安心、と思うかもしれません。ところがマニュアルによると、たくさん入れても受粉率は上がりません。群を維持したり増やしたりするためのえさが足りなくなり、かえって減ってしまうこともあります[3]。広い連棟ハウスでは、2群、3群と置くこともあります。

協議会マニュアルは、適正なハチの数の目安を10aあたり1群(6000〜8000匹)とする[3]。10a=1000㎡なので、6000÷1000=6、8000÷1000=8から、1㎡あたり6〜8匹になる。畳1枚(約1.65㎡)に直せば10〜13匹ほどだ。原文も「目安」と明記しており、地域・時期で異なる。

注目すべきは、多く入れても受粉率が上がらないという記述だ。多すぎると、群を維持・増やすためのえさが足りなくなって、かえって群が減るという[3]。大きな連棟ハウスでは、2群、3群と複数の巣箱を置く。入れる数は、ハウスの広さと花の量に合わせて決めることになる。

4. ひるは あつく、よるは さむい す箱は?

4. 昼は暑く夜は寒いハウスで、巣箱の温度をどう守るか

4. 巣内33〜34℃・訪花20〜25℃ ── 日よけと外置きの工夫

ミツバチは、すの まんなかを 33〜34どに たもちます[2]。ひるまの ハウスは あつく、よるは さむく なります。だから、よるは あたため、ひるは ひやす はたらきが ひつようです。

はちが 花に いく のは、ハウスの 中が 20〜25どの ときが さかんです。それより あつく なっても、花に くる はちは ふえません[2]。

ひなたの す箱は、あがりすぎます。そこで、やねの ような ひよけを のせます。

ミツバチは巣の中心を約33〜34℃に保ちます。日中と夜の差が大きいハウスでは、夜は暖め、昼は冷やす行動が必要になります。働き続けるだけで、ハチには負担です[2]。

花を訪れる訪花活動は、気温が20〜25℃のときに盛んになります。それより高くなると、飛ぶハチの数は増えても、花を訪れるハチの数は増えません[2]。ビニール越しの直射日光でも巣箱は上がりすぎるので、屋根のような日よけをのせます。ハウス内が30℃以上になると、巣箱の中が高くなりすぎて危険です。

巣箱をハウスの外に置く方式もあります。巣箱の中の温度上昇が避けられるので、暑い地域では役立つこともあります。ただし寒いときには、防寒が必要です[2]。

ミツバチは巣の中心を約33〜34℃に保つ。日中と夜の気温差が大きいハウスでは、夜は暖め昼は冷やす行動が必要になり、それ自体がハチの消耗につながる[2]。

訪花活動は気温20〜25℃で盛んになる。それ以上に高くなると、飛翔するハチの数は増えるが、訪花するハチの数は増えない[2]。ハウス内が高いほど働くわけではないため、高温は受粉の面でも得にならない。ビニール越しの直射日光でも巣箱は過熱するので、屋根状の日よけをのせる。ハウス内が30℃以上になると、巣箱内が高くなりすぎて危険とされる。

巣箱をハウスの外に置く外置き式では、巣箱内の温度上昇による消耗が解消され、暑い地域では有効なこともある。ただし寒いときは、防寒処置が必要になる[2]。置き方は「一般的な配置の例」で、地域・ハウスごとに違う。

5. はちの いのちより ながい はんとしを、どうする?

5. 寿命より長い半年を、どう働いてもらうのか

5. 寿命1〜2か月より長い6か月を、世代交代とえさでどう支えるか

ハウスで はたらく はちの 日数は、1〜2か月です[1]。でも、いちごは 6か月ちかく みを つけます。

そこで、す箱の 中で、あたらしい はちが うまれる ことが たいせつです[3]。その ためには、こどもの はちの えさに なる かふんが いります。

花が とぎれると、こそだても とまります。だから、のうかの 人は、ようほうか(はちを かう 人)と そうだんして、かふんの かわりを あげる ことも あります。

花が さく まえに 入れると、えさが すくなく、はちが つかれて しまいます。花が さく ころに あわせて 入れます[2]。

ハウスの中の働きバチの寿命は1〜2か月と短いといわれます[1]。ところがイチゴでは、秋から春まで、6か月近く働いてもらう必要があります。

そこで大切になるのが、巣箱の中で第2、第3世代の働きバチが生まれることです。幼虫が育つにはえさとして花粉がいるので、花が途切れると産卵や子育てが止まり、肝心な時期にハチが足りなくなります。そのため、養蜂家と相談して代用花粉をあげることがあります[3]。

導入の時期も、同じ理由で大切です。花がまだ咲いていない時期に入れると、えさが少なくハチが消耗するため、開花に合わせて入れます。ミツバチは寒い時期や花の少ない時期には働きを抑えて、長生きするとも説明されています[2]。

えさは、あげたほうがよいのか

養蜂家から借りた(リースの)巣箱には、蜜が十分たくわえられていることが多く、養蜂家の指示がなければ、えさは原則いりません。買い取りの巣箱は蜜が少ないので、指示どおりに砂糖水をあげます。ハチ蜜はあげません[2]。えさの与え方は業者によって違うため、養蜂家の指示を聞くことが基本です[4]。

ハウス内の働きバチの寿命は1〜2か月と短い。一方、イチゴでは秋から春まで、6か月近く働いてもらう[1][3]。寿命は条件で変わり、農林水産省の資料では越冬時は約半年とされるため、1〜2か月はあくまで目安だ。

では、どうやって半年を乗り切るのか。答えは、世代交代だ。協議会マニュアルによると、初冬から春まで働いてもらうには、巣箱の中で第2・第3世代の働きバチが育つ必要がある。幼虫のえさには花粉が要るので、花が途切れると産卵と子育てが止まり、肝心な時期にハチが不足する。そこで養蜂家と相談して、代用花粉をあげることがある[3]。

導入時期も同じ理屈で考える。花がない時期に入れると、ハチは消耗するだけなので、開花に合わせて入れる。ミツバチは寒い冬や花の少ない時期には働きを抑え、長生きするとされる[2]。

えさは、リースと買い取りで扱いが違う。リースの巣箱は貯蜜が十分あることが多く、養蜂家の指示がなければ原則不要だ。砂糖水を与えると、ハチに濃縮という余計な作業をさせてしまう。買い取りの巣箱は貯蜜が少ないので、指示どおり砂糖水を与える。ハチ蜜は与えない[2]。業者で指示が異なる点は、香川県の資料にも明記がある[4]。

6. のうやくを まく ひ、す箱は どこへ いくの?

6. 農薬をまく日、巣箱はどこへ行くのか

6. 農薬散布時の巣箱の避難 ── 前日の夕方・5〜10℃の保管・安全日数

ミツバチは、のうやくに とても びんかんです。どくせいが ひくい のうやくでも、花に いく うごきに えいきょうが 出る ことが あります[5]。

だから、のうやくを まく まえの ひの ゆうがた、はちが すに かえって から、す箱を ハウスの そとへ 出します。

そとでは、ひかげなどの すずしい ばしょに おきます。もどす ときは、のうやくごとの あんぜんな 日数を たしかめ、もとの ばしょに おきます[4]。

ミツバチは農薬にとても敏感で、毒性が低いとされる農薬でも、花を訪れる行動に影響が出ることがあります。殺菌剤も同じです[5]。

そのため、散布の前日の夕方、ハチが巣に帰ってから、巣箱をハウスの外に出します。外では日陰など涼しい場所に置きます。香川県の資料では、適温は5〜10℃とされています[5]。戻すときは、薬ごとの安全日数を確かめて、元の場所に置きます[4]。

巣箱を動かせば戻れなくなる、という前の章の話とあわせて考えると、元の場所に正確に戻すことも大切な作業だと分かります。

ミツバチは農薬に非常に敏感で、毒性が低い農薬でも訪花行動に影響が出ることがある。殺菌剤も同様だ[5]。

そのため、散布の前日の夕方、ハチが帰巣してから巣箱をハウスの外に出し、日陰など涼しい場所で保管する。香川県の資料では、保管の適温は5〜10℃とされる[5]。協議会マニュアルは「日没後」と書き、香川県は「夕方」と書くなど表現に差があるため、ここでは「前日の夕方、ハチが帰ってから」とまとめる。戻すときは、安全日数を確認して元の場所に置く[4]。

前の章の「動かせば戻れない」と合わせると、一度出した巣箱を元の位置にそろえて戻すことも、管理の一部だと読める。

7. はちが たりない いま、のうかは どうしてる?

7. ミツバチが足りない今、農家は何を考えているのか

7. 花粉交配用ミツバチの需給と、クロマルハナバチ・ビーフライという別の選択肢

のうりんすいさんしょうの しりょうは、受こに つかう ミツバチに、よゆうは ないと かいて います[1]。ミツバチを かう 人の おおくは、はちみつを とる ために かって います。ダニの びょうきなども ありました。

だから、のうかの 人には、はちを じょうずに せわして、ながもち させる ことが もとめられて います。

ミツバチの ほかに、クロマルハナバチや、ハエの なかまの ビーフライを つかう くふうも すすんで います[1]。

農林水産省の資料は、花粉交配用ミツバチの数に余裕はない、としています。養蜂の多くは蜜をとるのが目的で、近年の自然災害やダニの寄生による病気などで、需要と供給がきびしくなっているためです[1]。そこで、農家が適切に管理して群を長持ちさせ、養蜂家へ返すときの生存率を上げることが必要だとされます。ここまで見てきた気づかいは、その目標につながっています。

ミツバチ以外の昆虫の利用も進められています。クロマルハナバチと、ハエの一種のビーフライ(ヒロズキンバエ)です[1]。冬の1〜2月は低温と紫外線不足でミツバチの活動が制限され、2〜3月に受粉不良の奇形果が多発する地域があり、奈良県・島根県などでビーフライの利用技術が研究されました[7]。ただしこれは研究計画の背景説明で、効果が実証されたとまでは言えません。ミツバチは作業者を刺すことがあり、観光農園では課題とされます[7]。

農林水産省の資料は、花粉交配用ミツバチの数に余裕はないとし、背景に、養蜂の多くが採蜜目的であること、近年の自然災害やダニの寄生による疾病で需給が逼迫していることを挙げる[1]。同資料は、平成20年(2008年)以降に、ダニや農薬被害、増殖不足、豪州からの女王蜂の輸入見合わせなどでミツバチ不足が大きく報じられたことにも触れる。

そのため、園芸農家による適切な管理で蜂群を長命化し、養蜂家へレンタルで返却するときの生存率を上げることが必要とされる[1]。これまでの章で見た、数・置き場所・温度・農薬・えさへの気づかいは、この目標の中身にあたる。

補う手段として、クロマルハナバチとビーフライ(ヒロズキンバエ)の利用も進められている[1]。農研機構の事業の計画書は、冬の1〜2月は低温と紫外線不足でミツバチの活動が制限され、2〜3月に受粉不良による奇形果が多発する地域があるとして、奈良県・島根県などでビーフライの利用技術を扱った。作業者がミツバチに刺されることが観光農園で課題とされる点も挙げる[7]。ただしこれは研究計画の背景説明で、効果が実証されたとまでは書かない。なお現在の不足群数の数字は、今回確認した資料の範囲にはない。

8. ハウスの すみに、す箱は あるかな?

8. ハウスの隅にある巣箱と、青い目印を探してみる

8. 農園で確かめたいこと ── 巣箱の位置・向き・目印と、読める資料

いちごの ハウスを 見る ことが あったら、はちの す箱が どこに あるか、さがして みましょう。めじるしの かんばんも、あるかもしれません。

ただし、す箱には ちかづかないで ください。さわったり、ゆらしたり しては いけません。はちが おどろきます。のうかの 人の いう ことを まもって、とおくから 見ます。

ハウスに よって、す箱の おきかたは ちがいます。ふたつの ハウスを くらべて みても、おもしろいです。

イチゴ農園や直売所に行く機会があったら、ハウスの中を遠くから見て、巣箱がどこに置かれているか探してみましょう。巣門の向きや高さ、近くの目印、日よけがあるかどうかも、この記事で読んだことと見比べられます。

安全のため、巣箱には近づかず、触らず、揺らさないでください。農園の人の案内に従い、少しでも不安があれば、離れたところから見るだけにしてください。

資料は、農林水産省の「施設園芸における花粉交配をめぐる情勢」[1]、みつばち協議会の管理マニュアル[2]、香川県の飼養管理パンフレット[4]がそれぞれ公開されています。農家から返却されたリース巣箱が、その後、養蜂家のもとでどう使われるのかは、この記事では触れられなかった問いです。

農園で確かめられるのは、巣箱の置き場所(ハウスの北側・西側など)、巣門の向き、花と同じ高さか、高設栽培の場合の目印、日よけの有無だ。ここまで読んだ内容と見比べると、「置き方は地域・ハウスで違う」という資料の断り書きが実感できる。安全のため、巣箱には近づかず、触らず、揺らさない。農園の人の案内に従うこと。

資料としては、農林水産省の「施設園芸における花粉交配をめぐる情勢」(令和8年3月)[1]が、使用面積の数字と、ミツバチ不足の経緯をまとめている。管理の細かい手順は、みつばち協議会(日本養蜂はちみつ協会)の管理マニュアル[2][3]と、香川県のパンフレット[4][5]が日本語で読める。数の目安やリース・買い取りのえさは協議会マニュアルのみの記述なので、読むときは出典を意識したい。

さらに調べるなら、リース後に返却された巣箱が、養蜂家のもとでどう使われるのかが問いとして残る。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:農林水産省の資料、みつばち協議会の管理マニュアル、香川県の資料、農業試験場・農研機構の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 農林水産省「施設園芸における花粉交配をめぐる情勢」(令和8年3月)。https://www.maff.go.jp/j/chikusan/gijutu/mitubati/attach/pdf/index-100.pdf (導入の経緯、使用面積、ミツバチの需給、ほかの昆虫の利用について)
  2. みつばち協議会 花粉交配用ミツバチ管理マニュアル(平成22年度)。https://www.maff.go.jp/kanto/seisan/engei/houkakonchu/attach/pdf/houkakonchu-7.pdf (受粉のしくみ、巣箱の置き方、温度、導入時期、えさについて)
  3. みつばち協議会 花粉交配用ミツバチ管理マニュアル(平成23年度)。https://www.maff.go.jp/kanto/seisan/engei/houkakonchu/attach/pdf/houkakonchu-4.pdf (ハチの数の目安、世代交代と花粉、紫外線カットフィルムについて)
  4. 香川県 花粉交配用ミツバチの飼養管理(パンフレット)。https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/12277/shiyoukanri.pdf (巣箱を動かさない注意、換気扇、農薬散布時の扱いについて)
  5. 香川県 花粉交配用ミツバチの飼育管理について。https://www.pref.kagawa.lg.jp/noukei16300/gijutu-keiei/mitsubachi.html (農薬散布時の巣箱の移動と保管について)
  6. 岩手県園芸試験場「訪花昆虫シマハナアブのイチゴ利用効果」東北農業研究 第15号(1974)。https://www.naro.go.jp/org/tarc/to-noken/DB/DATA/015/015-358.pdf (昆虫がいないときの奇形果の割合について。ミツバチではなくシマハナアブの試験)
  7. 農研機構 革新的技術開発・緊急展開事業「ビーフライの利用」(奈良県農業研究開発センターほか)。https://www.naro.go.jp/brain/h27kakushin/chiiki/research/files/subject3_08.pdf (冬の受粉不良と、補う昆虫の研究計画について。計画書の背景説明)

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