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はっぽうスチロールは、どうして こんなに かるいの?

発泡スチロールはどうして軽いのか ── 大きな箱のつくりを、体積と計算で調べる

発泡スチロールはなぜ軽いのか ── 原料の粒から箱になるまでを、体積の割合と検算で考える

分野:技術

はっぽうスチロールの 大きな 箱は、手に 持つと ふわっと かるくて、中が からっぽ みたいです。じつは、この 箱の 体積たいせきの ほとんどは、空気だと いわれて います[1]。

では、どうやって 空気を かためて、箱の 形に して いるのでしょう。この きじを 読むと、小さな 粒つぶが 大きく ふくらむ ようすと、その 空気が かるさ いがいにも はたらく ことが わかります。

発泡スチロールの大きな箱は、体積のおよそ98%が空気で、原料の樹脂は2%ほどだといわれます[1]。ほとんど空気の箱が、どうして割れずに形を保てるのでしょうか。

この記事では、1mmほどの粒が約50倍にふくらんで箱になる流れと、「50倍」と「2%」が計算でつながること、そして同じ空気の小部屋が断熱やクッションにも働くことが分かります。

発泡スチロール(EPS)は、製品の体積の約98%が空気で、原料の樹脂は約2%とされる[1]。ここで言う98%は体積の割合であって、重さの割合ではない。

では、ほとんどが空気のものが、なぜ形を保ち、なぜ魚箱や断熱材として使えるのか。この記事では、予備発泡と金型成形の二段階、50倍と2%の検算、独立気泡が軽さ・断熱・緩衝の3つを同時に生むことが分かる。

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1. 箱の 中には、なにが はいって いるの?

1. 箱の体積の98%は、空気でできている

1. 98%は「重さ」でなく「体積」の割合である

手に 持った 箱を、よこから 見て ください。かべは 白くて、小さな つぶつぶが くっついて います。

この 箱の 体積たいせきの 98%は、空気です。のこりの 2%だけが、プラスチックの なかまの 樹脂じゅしです[1]。東京都の デザインアワードの しりょうも、おなじ 数字を のせて います[3]。

ただし 98%は、「場所を とる 大きさ」の はなしです。重さの 98%が 空気と いう ことでは ありません。

発泡スチロール協会の説明では、発泡スチロールは製品の体積の約98%が空気で、原料はわずか2%です[1]。東京都のデザインアワードのテーマ資料も、98%が空気で、プラスチック原料は2%しか使われていないと書いています[3]。

注意したいのは、この98%が体積の割合だという点です。重さで98%が空気だという意味ではありません。大きな箱を持って軽く感じるのは、場所をとっている部分のほとんどが空気で、樹脂がごく少ないからです。

発泡スチロール協会は、発泡スチロールを「製品体積の約98%が空気、原料は2%」と説明する[1]。東京都のデザインアワードのテーマ資料も、98%が空気でプラスチック原料は2%と述べる[3]。業界団体の資料は販売側の立場なので、行政側の資料と数字が一致する点を確かめておく価値がある。

読み方の要点は、98%が体積比であって質量比ではないことだ。体積の大部分を空気が占め、固体の樹脂は2%程度しかない。軽さの正体は、軽い材料を使っていることではなく、重い固体の割合が小さいことにある。なお、この98%は倍率が約50倍の製品での値で、倍率が変われば割合も変わる[1][2]。

2. 1ミリの 粒つぶは、どうやって 大きく なるの?

2. 1mmの粒を蒸気でふくらませ、型の中でくっつける

2. 予備発泡と金型成形 ── 蒸気を2回あてる二段階

もとに なる のは、1ミリ ほどの 小さな 粒つぶです。ポリスチレンと いう 樹脂じゅしで できて います[2]。

この 粒つぶに じょうきを あてると、ふくらんで、体積たいせきが やく 50ばいに なります。これが 1かいめです[2]。

ふくらんだ 粒つぶを かながたに 入れて、もう 1かい じょうきを かけます。すると 粒つぶどうしが くっついて、箱や 板の 形に なります[2]。

小さな ふうせんを たくさん ふくらませて、箱の 中で おしくらまんじゅうを させる ような ものです。ただし 口で 空気を 入れる わけでは ありません。

原料は、直径1mmほどのポリスチレンの粒(原料ビーズ)です[2]。作り方は二段階です。まず、この粒に蒸気をあててふくらませます。これを予備発泡といい、多くの製品で体積は約50倍になります[2]。

次に、ふくらんだ粒(発泡ビーズ)を金型に入れて、もう一度蒸気をかけます。粒どうしがくっついて、型の形の箱や板ができあがります[2]。

風船をたくさんふくらませて、箱の中で押し合わせてくっつけた様子を思い浮かべるとよいでしょう。ただし風船のように口で空気を入れるわけではなく、蒸気で粒そのものがふくらみます。

50倍は目安で、ほかの倍率でも作れると書かれています[2]。原料ビーズの大きさも、同じ協会のページに「1mm程度」と「0.3〜2mm」の二通りの書き方があり、幅があります[2]。

原料は直径1mm程度のポリスチレンビーズで、同じ協会のページには0.3〜2mmという記述もあり、粒の大きさには幅がある[2]。製造は、まず原料ビーズに蒸気をあててふくらませる予備発泡を行う。ここで体積が約50倍になる。次に、発泡ビーズを金型に入れてもう一度蒸気をかけ、粒どうしを融着させて成形する[2]。

ふくらませる工程と、形をつくる工程は別々に行われる。50倍は代表的な倍率で、50倍以外の倍率も可能とされるため、「98%」は50倍発泡品の値として読む必要がある[2]。

3. 50ばいなら、ほんとうに 98%に なる?

3. 「50倍」と「2%」は、計算でつながる

3. 50倍と98%の検算 ── 直径では何倍になるか

けいさんで たしかめて みましょう。樹脂じゅしの りょうは、ふくらんでも かわりません。体積たいせきだけが 50ばいに なります。

すると 樹脂じゅしは、全体の 50分の1です。50分の1は、2%です。のこりの 98%が、空気と いう ことに なります[1]。

ただし これは 50ばいの ときの 数字です。ふくらませ方が ちがえば、わりあいも かわります。

協会の資料にある「約50倍」と「98%が空気」が合うかどうかは、自分で計算できます。ふくらんでも樹脂の量は変わらないので、体積が50倍になれば、樹脂が占める割合は50分の1です。1÷50=0.02で、2%になります。残りの98%が空気です[1]。

もう一つ、粒の大きさも見積もれます。体積が50倍でも、長さが50倍になるわけではありません。粒が球のまま均等にふくらむと考えると、直径は50の3乗根で約3.7倍です。1mmの粒なら、3.7mm前後になる計算です。実際の粒の形は不規則なので、これは目安です。

検算は単純だ。樹脂の質量が変わらず体積だけがk倍になれば、樹脂の体積割合は1/kになる。k=50なら1/50=2%で、空気は98%となり、協会の記述と一致する[1]。倍率を30倍にすれば約97%、100倍なら99%と変わるので、98%は「倍率による値」である。

体積が50倍でも、長さは50倍にはならない。粒が球のまま均等にふくらむと仮定すると、直径は50の3乗根で約3.7倍だ。1mmの粒なら3.7mm前後という計算になる。実際の粒の形はもっと不規則なので、これも概算である。

4. 空気の 小部屋は、かるさ いがいにも はたらく

4. 空気の小部屋は、軽さのほかに何をしているのか

4. 独立気泡 ── 軽さ・断熱・緩衝が同じ構造から出る

98%の 空気は、1つに つながって いる のでは ありません。小さな 小部屋に わかれて いて、ひとつひとつが とじて います。これを どくりつきほうと よびます[1]。

空気は ねつを つたえにくい ものです。小部屋が たくさん あると、あたたかさや つめたさが 外へ にげにくく なります[4]。

ぶつかった ときは、小部屋の 空気が クッションに なります。ひとつひとつが 力を うけとめるから、こわれ物を まもれます[4]。

むかしは 魚を 木の 箱で はこんで いました。1967年ごろから、あなの あいた はっぽうスチロールの 魚箱が 使われはじめ、氷と 海水ごと 魚を 町まで はこべる ように なりました[6]。

空気が体積の大部分を占めているだけでなく、その空気が独立気泡という小さな部屋に閉じこめられている点が大切です[1]。発泡ビーズがハチの巣のようにつながり、一つ一つの部屋が空気を抱えています[4]。

空気は熱を伝えにくいので、小部屋が並ぶと熱が伝わりにくくなります。ぶつかったときは、小部屋の空気が衝撃を受けとめるクッションになります[4]。軽さ、断熱、クッションは、別々の性質というより、同じ小部屋の三つの顔だと言えます[1]。

この性質が、魚箱に向いていました。1967年ごろから、木箱に代わって穴あきの発泡スチロール魚箱が使われ、氷と海水ごと鮮魚を消費地へ運べるようになったと紹介されています[6]。魚が傷みにくいのは、小部屋の空気が熱を伝えにくいからです。

独立気泡とは、壁で仕切られて互いにつながっていない小さな空気の部屋のことだ。協会は、ほとんどが空気という構成が軽さと断熱性を生むと説明する[1]。発泡ビーズがハチの巣状につながり、独立した空気の部屋が熱を伝わりにくくし、一つ一つが空気のクッションとして衝撃を吸収するという解説もある[4]。

ここでの要点は、軽さ・断熱・緩衝が別々の工夫ではなく、同じ構造の別の側面だという点だ。発泡スチロールの小部屋の構造では、空気の割合が高いことが、軽さや熱の伝わりにくさにつながる。

用途の広がりを裏づける例として、魚箱がある。木箱に代わり、穴あきの発泡スチロール魚箱が1967年ごろから使われ、氷と海水ごと鮮魚を消費地へ運べるようになった[6]。鮮度を保つ働きは、小部屋の空気が熱を伝えにくいという性質を使ったものだ。

5. はじまりは、魚箱では なくて コルクの かわり

5. 最初の仕事は、魚箱ではなくコルクの代わりだった

5. 魚箱の前史 ── ドイツの泡の樹脂が日本へ来るまで

いまは 魚箱の イメージが 強い はっぽうスチロールですが、はじまりは ちがいました。1950年に ドイツで 開発され、コルクの かわりの ざいりょうとして 考えられた と いわれます[6]。

ドイツの 会社 BASFの 年表には、1951年に 作りはじめた こと、いちばん はじめの 実験じっけんが くつクリームの かんの 中で 行われた ことが かかれて います[5]。

日本では 1950年代の おわりごろに、国内で 作れる ように なったと いわれます[6]。

今は魚箱の印象が強い発泡スチロールですが、出発点はコルクの代替品だったと紹介されています。1950年にドイツで開発され、日本では1950年代の終わりごろに国産化されたとされます[6]。

BASFの年表には、1951年にスチロポール(Styropor)の製造が始まったことが記されています。この硬い白い泡は98%が空気で断熱性にすぐれること、最初の実験は靴クリームの缶の中で行われたことも書かれています[5]。軽さと断熱性は、最初から見つかっていた特長でした。

コルクの代わりとして生まれた材料が、のちに魚箱や住宅の断熱材として広がりました。同じ空気の小部屋が、時代によって別の仕事を見つけてきたことになります。

発泡スチロールの日の解説は、1950年にドイツで開発され、日本では1950年代の終わりごろに国産化されたとし、出発点は魚箱ではなくコルクの代替品だったと述べる[6]。国産化の年は資料によって幅があり、ここでは「1950年代」としておく。

BASFの年表は、1951年にStyroporの製造が始まり、この硬い白い泡は98%が空気で断熱性にすぐれるとする。最初の実験は靴クリームの缶で行われた[5]。ビーズ法の原料に当たるStyroporと、英語圏のStyrofoamは同じものではなく、後者は別会社の押出法断熱材の商標だとされる点に注意したい。日本語の「発泡スチロール」は、広い意味でEPSを指して使われる。

資料から読み取れる範囲では、コルクの代わりという出発点のあと、魚箱や断熱材へと使い道が移っている。軽く、熱を伝えにくく、衝撃をやわらげるという同じ性質が、場面ごとに別の役に立ってきたと読める。

6. 家の はっぽうスチロールを、ちかくで 見て みよう

6. 家の発泡スチロールの切り口を、よく見てみる

6. 出口 ── 断面の粒を測り、自分の数字で確かめる

おうちに、はっぽうスチロールの 箱や クッションが あれば、おとなの 人に いって、かけた ところを 見せて もらいます。

むしめがねが あれば、かけた ところの めんを 見て ください。小さな つぶつぶが くっついて いる のが 見えます。ものさしを あてて、つぶの 大きさを はかって みましょう。1ミリより 大きく 見えるかも しれません。

あんぜんの ために、かけらを 口に 入れない、手で ちぎって ちらかさない、小さな 子の ちかくで 行わない ことを まもります。

見おわったら、家の 中で ほかに はっぽうスチロールを 使って いる ところを さがして みましょう。そこでは 小部屋の 空気は、かるさ、あたたかさ、クッションの どれの ために 使われて いるでしょうか。

家に発泡スチロールの箱や緩衝材があれば、もともと欠けている部分や割れた面を、虫めがねで見てみましょう。小さな粒がくっついた跡が見えるはずです。定規を当てて粒の大きさを測り、原料の1mmの何倍に見えるか考えてみます。

安全のため、かけらは口に入れないこと、手でちぎって散らかさないこと、小さな子の近くで行わないことを守ってください。新しく割るのではなく、すでに欠けた面を使います。

見終わったら、家の中で発泡スチロールが使われている場所を探してみます。そこで空気の小部屋は、軽さ、保温、クッションのどれのために使われているでしょうか。理由まで考えると、同じ素材の別の顔が見えてきます。

家庭の発泡スチロール(箱や緩衝材)の、すでに欠けた面や割れた面を虫めがねで観察する。粒が融着した境目の模様が見えるはずだ。定規で粒の大きさを測り、原料ビーズの約1mmと比べる。球状に均等にふくらんだなら直径は約3.7倍の計算だが、実測値はそれと合うか、合わないならなぜかを考える。粒の形が不規則であることや、型の中で押し合うことが理由の候補になる。

安全のため、新たに割らず、かけらを口に入れない。小さな粒は散らばりやすいので、小さい子の近くでは行わない。

出典の読みどころは、製法の資料と、断熱・緩衝の説明の資料とで、根拠の強さがちがう点だ。協会の資料[1][2]は製造の数字を示し、断熱や緩衝の説明は解説記事[4]に頼る部分が大きい。この違いを頭に置いて、家にある発泡スチロールの断面と、ここに書いた数字を見比べてみてほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:発泡スチロール協会の解説、東京都の資料、BASFの年表、解説記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 発泡スチロール協会(JEPSA)「発泡スチロールとは」。https://www.jepsa.jp/eps/ (体積の98%が空気であること、独立気泡について。業界団体の資料)
  2. 発泡スチロール協会(JEPSA)「発泡スチロールができるまで」。https://www.jepsa.jp/styrofoam/howtomake/ (原料ビーズの大きさと、予備発泡・金型成形について)
  3. 東京ビジネスデザインアワード「発泡スチロール」(テーマ資料)。https://design-award.metro.tokyo.lg.jp/archive/2017/03/thema.html (98%が空気という数字の確認に)
  4. マイナビ農業「発泡スチロール解説」。https://agri.mynavi.jp/2019_01_30_54957 (小部屋の断熱・クッションの説明について。解説記事)
  5. BASF Chronology 1951。https://www.basf.com/global/en/who-we-are/history/chronology/1945-1964/1951 (1951年の製造開始と最初の実験について。英語の公式年表)
  6. 発泡スチロールの日(記念日解説)。https://bestcalendar.jp/dates/kinenbi/3026 (開発の年、コルクの代替品としての出発点、魚箱の歴史について。二次資料)

なおした ところ

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