このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

たいようの まんなかで できた ひかりは、そとへ でるまで どのくらい かかるの?

太陽の中心でできた光は、なぜ表面に出るまで何万年もかかるのか

太陽の中心でできた光は、なぜ表面に出るまで何万年もかかるのか ── 光子の寄り道と見積もりの幅

分野:宇宙・天文

たいようの まんなかで できた ひかりが、たいようの そとへ でる まで、なん万ねんも かかる と いう みつもりが あります[4]。

おなじ まんなかで できる、ニュートリノと いう ちいさな つぶは、数秒で たいようを ぬけます[6]。どうして ひかりだけ、そんなに おそいのでしょう。ひかりの たびを、まんなかから そとへ じゅんばんに 見ると、ぶつかりながら すすむ ためだと わかります。

太陽の中心でできた光が、太陽の表面に出るまでには、数万年から数十万年かかるという見積もりがあります[4][6]。同じ中心で生まれるニュートリノという小さな粒は、数秒で太陽を抜けるといいます[6]。

同じ場所で生まれたのに、なぜ光だけがこれほど遅れるのでしょうか。光のもとになるエネルギーの生まれ方から、内側の混み具合、数字に幅がある理由、旅の途中で光が姿を変えること、表面の外のふしぎな高温まで、順に見ると、その理由が分かります。

太陽の中心でつくられた光子は、表面に到達するまでに少なくとも数万年、資料によっては数十万年かかるとされる[4][6]。ところが、同じ中心で生じるニュートリノは、数秒で太陽を横切る[6]。

光の速さで進めるはずの光子は、なぜこれほど遅れるのか。そして「数万年」と「数十万年」という幅は、どこから生じるのか。エネルギーの源、内部での散乱、見積もりの前提、放射から対流への切りかわり、表面の外の高温という順に、確かな部分と推定の部分を分けて読むと、答えが分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. ひかりの もとは、へった おもさ

1. 光のもとは、毎秒数百万トンの「減った重さ」

1. 光のもとは、核融合で「減った質量」

たいようの まんなかは、やく1500万どの、とても あつい ところです[1]。ここでは、水素すいその つぶが くっついて、ヘリウムの つぶに かわり、大きな エネルギーが でます[1]。

ふしぎな のは、くっついた あとの ほうが、すこし かるい ことです。水素すいその つぶ 4こぶんの おもさを 100と すると、できた ヘリウムは 99.3 ほど。やく0.7 だけ たりません[2]。

この たりない ぶんが、ひかりや ねつの エネルギーに なる、と いわれて います[2]。たいようは 1秒に、400万から500万トンの おもさを エネルギーに かえて います[2][3]。

さて、こうして できた ひかりは、すぐに そとへ とびだせるのでしょうか。

太陽の中心は、約1500万℃という太陽でもっとも熱い場所です。ここでは水素の原子がヘリウムの原子にくっつく核融合が続き、莫大なエネルギーが出ています[1]。

ESA(欧州宇宙機関)の教材によると、ヘリウム4の原子核の質量は、材料になる4個の陽子の質量の合計の約99.3%です。つまり約0.7%が足りません[2]。足りない分は、アインシュタインの式 E=mc² にしたがってエネルギーになります。たとえば材料が1kgなら、約7gぶんです。

太陽全体では、毎秒どれほどが光や熱に変わっているのでしょうか。ESAは約400万トン[2]、スタンフォード大学の太陽センターは約500万トン[3]と述べています。資料によって数値が異なり、約400万〜500万トンと報告されています。

こうして中心で生まれたエネルギーは、すぐに外へ飛び出せるのでしょうか。

太陽の中心(コア)は約1500万℃に達し、核融合が自然に起こる場所である。水素原子が融合してヘリウム原子になるとき、莫大なエネルギーが放出される[1]。

エネルギーの出どころは質量の差である。ヘリウム4の原子核の質量は、材料の4個の陽子の質量の合計の約99.3%しかなく、約0.7%が足りない[2]。この差がE=mc²にしたがってエネルギーになる。材料を質量1kgとして単純に計算すれば、約7gが変換される割合である。

この変換の規模について、ESAの教材は毎秒約400万トン[2]、スタンフォード大学の太陽センターは毎秒約500万トン[3]としている。資料によって数値が異なり、約400万〜500万トンと報告されている。

ここで生じるエネルギーは、高エネルギーのガンマ線の光子として現れる[5]。ではこの光子は、中心からまっすぐ表面へ向かえるのか。

2. ひかりが まっすぐ すすめない わけ

2. 中心の光は、なぜまっすぐ外へ出られないのか

2. 密なガスの中で、光子はなぜ直進できないのか

こたえは、たいようの なかが ぎゅうぎゅうに こんで いるから です。

ひかりの つぶは、やく1センチ すすむと、まわりの つぶに ぶつかります[5]。ぶつかると、むきが かわり、まわりと エネルギーの やりとりが おきます。ひかりの つぶ 1こが そのまま たびを するのでは ありません[5]。

これを なんども なんども くりかえすので、ひかりは まっすぐ 行けず、ジグザグに すすみます[4]。たとえば、人でいっぱいの ひろばを、まっすぐ 走ろうと しても、人に ぶつかって 道が かわるのと にています。ただし 本当は、ぶつかる あいては 人では なく、あつい ガスの つぶです。

だから まんなかから そとへ でるまで、なん万ねんも かかる のです。でも その「なん万ねん」は、本に よって すうじが ちがいます。

答えは、太陽の内側が混み合っていて、光が一直線に進めないことです。

中心のすぐ外側の放射層では、プラズマの密度がとても高く、光(放射)は無数の回数はね返されながら、ジグザグの道すじで外へ向かいます[4]。光の粒(光子)は、わずか約1cm進むごとにガスの粒子にぶつかります。散乱をくり返す中でエネルギーが周囲とやりとりされるので、1個の光子がそのまま旅をするわけではありません[5]。

人でいっぱいの広場を、出口まで抜けるところを想像してください。まっすぐ走ろうとしても、ぶつかるたびに向きが変わり、前に進むより横や後ろへ寄り道するほうが多くなります。ただし本当は、ぶつかる相手は人ではなく、高温のガスの粒子です。

NASAのSOHO教材は、放射線が中心から放射層の上端に出るまで、数十万年かかると述べています[4]。ドイツのマックス・プランク核物理学研究所の解説では、光子は表面に達するまでに少なくとも数万年かかるとされます[6]。数万年と数十万年。なぜ、こんなに差があるのでしょうか。

光子が直進できない原因は、放射層のプラズマの密度が非常に高いことにある。放射は外向きにまっすぐ進まず、数えきれないほどはね返されて、ジグザグの経路をたどる[4]。

1回の飛行距離は短い。UMass Amherstの資料は、内部の光子がガスの粒子に散乱され、衝突から衝突までに動く距離を約1cmとしている[5]。散乱や相互作用をくり返す過程でエネルギーが周囲とやりとりされるので、光は1個の光子がそのまま旅をするのではなく、エネルギーをやりとりしながら外へ出ていく。混雑した広場で、ぶつかるたびに向きを変えられる歩行者に似ているが、実際の相手は人ではなく、高温のガスの粒子である。

時間の見積もりは資料によって異なる。NASAのSOHO教材は、放射が中心から放射層の上端に達するまで数十万年かかるとする[4]。マックス・プランク核物理学研究所は、光子は表面まで少なくとも数万年かかると述べ、同じ中心で生まれるニュートリノが数秒で太陽を横切ることと対比している[6]。差が一桁近くあるのはなぜか、次の章で扱う。

3. 「なん万ねん」は、どうして ばらばらなの?

3. 「数万年」と「数十万年」、数字がちがうのはどうして

3. 見積もりの幅は、どこから生じるのか

ひかりの たびの 長さは、ひかりが 1回に すすむ きょりを、どう かんがえるかで、大きく かわります[7]。

ある 大学の じゅぎょうでは、やく3万ねんと みつもって います[7]。NASAの SOHOの きょうざいは、ひかりが ほうしゃそうの うえはしに つくまで、数十万ねんと して います[4]。ドイツの けんきゅうじょは、ひょうめんまで すくなくとも 数万ねんと して います[6]。

どうして すうじに はばが あるのか、つぎのように かんがえられます。しりょうごとに、どこまでの たびを かぞえるのかも、みつもりの やりかたも ちがうからです。1つの すうじを しんじすぎず、「3万から 数十万」の ように、はばを もって おぼえるのが よさそうです。

では、ぶつかりながら 外へ でた ひかりは、たびの とちゅうで、どう なるのでしょう。

見積もりの差は、どこまでの旅を数えるかや、どんな前提で計算するかから生まれます。光子の旅の長さは、光子が1回に進む距離(平均自由行程)の見積もり方でも大きく変わります。オハイオ州立大学の講義は、光子の動きをランダムウォーク(酔っぱらいの歩き)と考えて計算しました。距離dを進むのに必要な歩数は、平均で(d÷1歩の長さ)²となり、1歩を約1cmとすると、中心から表面まで平均約3万年になるという見積もりです[7]。NASAのSOHO教材は、放射層の上端まで数十万年[4]、マックス・プランク核物理学研究所は、表面まで少なくとも数万年[6]としています。資料ごとに数える区間も前提もちがうので、数字の幅を一つの原因だけで説明することはできません。

ここに、歩数の考え方のおもしろさがあります。進みたい距離が2倍になると、必要な歩数は4倍になります。まっすぐなら距離が2倍で時間も2倍ですが、行ったり来たりする旅では、距離が少し延びるだけで歩数がぐんと増えるのです。

つまり「数万年か、数十万年か」は、どちらかが間違いというより、対象にする区間や前提がちがうことによる幅と考えるのが自然です。一つの数字を言い切るより、「数万年から数十万年」のように幅で覚えるほうが、資料の食いちがいに合っています。

では、そうして外へ出た光は、旅の途中でどうなっていくのでしょうか。

光子の脱出時間は、1回あたりの飛行距離(平均自由行程)の見積もりに強く依存する。オハイオ州立大学の講義は、ランダムウォークでは距離dを進むのに平均(d/l)²歩かかる(lは1歩の長さ)として、中心から表面まで約3万年と見積もっている。1歩を約1cmとする前提での値である[7]。NASAのSOHO教材は放射層の上端まで数十万年[4]、マックス・プランク核物理学研究所は表面まで少なくとも数万年[6]とし、資料ごとに対象区間も前提も異なる。

目的地までの距離が2倍になると、歩数は4倍に増える。直進なら距離に比例する所要時間が、往復を含む旅では、距離が増えるほど急に膨らむ。1歩を短く見積もるほど歩数は増え、時間は延びる。

したがって「約3万年」「数万年以上」「数十万年」といった数字の食いちがいは、どれかの誤りというより、前提(1歩の長さなど)と、どこまでの旅を数えるかの違いが重なった幅と読むのが妥当で、一つの原因には帰せない。たとえばNASAの教材の数十万年は、放射層の上端までの時間であり[4]、表面までの時間を数えるオハイオ州立大学の約3万年とは、数え方の区切りが異なる。単一の値を暗記せず、数万年から数十万年の幅を持つ推定と理解しておく。

さらに、この推定は太陽内部のモデルに頼っており、内部を直接観測しているわけではない。では、外へ向かう光は、旅の途中でどう姿を変えるのか。

4. たびの とちゅうで、ひかりは すがたを かえる

4. 光は、旅の途中で姿を変える

4. 放射から対流へ、光子は色を変えながら外へ出る

中心で できた ひかりは、ガンマせんと いう、人の 目に 見えない ものです。ぶつかりながら エネルギーが まわりと やりとり されて、そとに でる ころには、目に 見える ひかりに なって います[5]。

おんどは、まんなかで やく1500万どでしたが、そとに 近づくと 下がります。外がわの 近くでは やく200万どに[1]、いちばん そとでは やく5700どに なります[1]。

そとがわでは、ひかりが さえぎられやすく、つたわり方も かわります。あつい ガスが 上へ のぼり、つめたい ガスが 下へ しずむ「対流たいりゅう」が、エネルギーを はこぶ ように なります[5][8]。

たいようの ひょうめんには、この うごきの あとが 見えます。1000キロメートルほどの 大きさの、あかるい つぶが ならんでいるのです[9]。

ひょうめんまで 来た ひかりは、それで おしまいなのでしょうか。

中心でできたのは、目に見えない高エネルギーのガンマ線です。散乱をくり返す中でエネルギーが周囲とやりとりされ、光球に着くころには、はるかにエネルギーの低い、目に見える光として出てきます[5]。ぶつかり続ける旅は、光の姿を少しずつ変える旅でもあったのです。

温度も下がります。中心の約1500万℃から、放射層の上端付近では約200万℃に[1]、その外の対流層の上端では約5700℃になります[1]。

外側の冷えた層では、イオンが光の流れをさえぎりやすくなり、光ではエネルギーを運びにくくなります[5]。対流は光を通しにくい流体でよく働くので[8]、ここからは、熱い流体が上がり冷たい流体が沈む対流が、エネルギーを運ぶ主役になります。お湯をわかすとき、鍋の底の熱いお湯が上がってくる様子に似ています。

その対流のしるしは、表面で見えます。太陽の表面には、約1000km幅の明るい粒が、暗い筋に囲まれて並んでいます。これは粒状斑と呼ばれ、熱い流体が上がってきた場所です[9]。

表面に出た光は、そこで旅を終えるのでしょうか。いえ、表面のさらに外には、まだふしぎがあります。

中心で生じるのは高エネルギーのガンマ線の光子である。散乱や相互作用をくり返す過程でエネルギーが周囲とやりとりされ、光球付近では、エネルギーのずっと低い可視光として出てくる[5]。旅の長さは、光の「色」の変化とも対応している。

温度は外へ向かって下がる。中心は約1500万℃、放射層の上端付近では約200万℃、対流層の上端では約5700℃である[1]。

外側では、冷えたガスの中でイオンが光の流れをさえぎりやすくなる(不透明度が上がる)。すると放射だけではエネルギーが運びきれず、対流が加わる[5]。対流は光を通しにくい(不透明な)流体でよく働く性質があり、熱い流体が上がり、冷たい流体が沈む循環でエネルギーを運ぶ[8]。つまり、外へ向かう道の途中で、エネルギーの運び手が、光(放射)から流体(対流)へ交代する。

この対流は表面に痕跡を残す。HAO(高高度観測所)の解説によれば、表面には1個が約1000km幅の明るい斑点が、暗い筋の網目に囲まれて並び、これが熱対流の典型的なしるしである[9]。ただし、内部の巨大な対流の詳細な構造は、直接には観測できず、モデルによる推定に頼っている部分がある。

では、光が表面に出た先はどうなるのか。

5. ひょうめんの そとの ほうが、あつい ふしぎ

5. 表面の外のほうが熱い、ふしぎな逆転

5. 光球の外側で温度が逆転するのはなぜか

ひかりが 出る ところを「光球」と いいます。あつみは、およそ 500キロメートルしか なく、たいようの 中に くらべると うすい そうです[10]。

ここの おんどは、やく5500どから 6000どです[10][11]。

ふしぎな ことに、その 外がわの 「コロナ」と いう ところは、100万どより あつい のです[11]。ストーブから はなれた ほうが あつい、と いうような ふしぎな はなしです。

どうして そとの ほうが あつくなるのかは、まだ ぜんぶは わかっていません。これは、いま けんきゅうが つづく なぞです。

光が最後に通りぬける、目で見える表面の層を光球といいます。厚さは約500kmしかなく、太陽の内部にくらべるとごく薄い層です[10]。温度は約5500℃[10]。日本の太陽観測衛星「ひので」の紹介では約6000度とされます[11]。資料によってやや差がありますが、どれも「約5500〜6000度」という幅におさまります。

ふしぎなのは、その外側です。光球の上空の彩層は約1万度、さらに上のコロナは100万度以上と、外に行くほど温度が高くなっています[11]。NASAの教材も、コロナは約200万Kと、見える表面よりはるかに高温であると述べています[4]。

火に近づくほど熱い、という日常の感覚と逆です。なぜ、表面より外のコロナのほうが熱いのかは、完全には分かっていないとされ、コロナ加熱問題と呼ばれる未解決の問題です。

では、この光の旅を、自分の手で確かめることはできるでしょうか。

光が最終的に脱出する可視光の面は光球である。厚さは約500kmで、内部の層に比べて非常に薄い[10]。光球の温度は、UCARの教材で約5500℃[10]、先の資料では対流層上端で約5700℃[1]、国立天文台の「ひので」の解説では約6000度[11]とされる。いずれも概数であり、約5500〜6000度の範囲とみてよい。

さらに外側に目を移すと、温度の傾向が反転する。「ひので」の解説は、光球が約6000度、その上空の彩層がおよそ1万度、さらに上のコロナが100万度以上と述べる[11]。NASAのSOHO教材は、コロナを約200万K(約360万℉)としている[4]。「100万度以上」と「約200万K」は、同じ高温域を指す表現である。

内部では、中心から外へ向かうほど温度は下がり続けた。それが光球の外でふたたび上昇に転じる。この逆転を説明する加熱の仕組み(コロナ加熱問題)は、完全には解明されていない。

では、ここまでの話を、手元でどう確かめられるのか。

6. コインで 光の たびを ためしてみよう

6. コインと電卓で、光の旅を確かめる

6. 計算と資料で、推定の幅を自分で確かめる

おもてが 出たら みぎへ 1ぽ、うらが 出たら ひだりへ 1ぽ、コインを 100回 なげて すすんで みましょう。ひかりのように、まっすぐ ではなく、ぶつかって むきが かわる たびです。

100回 なげても、はじめの ところから 10ぽ ぐらいしか はなれない ことが おおい はずです。まっすぐ すすめば 100ぽ なのに、です。

たいようの ひかりは、これを ものすごい かずで くりかえして います。ただし、たいようを 直せつ 見ては いけません。目を いためる ので、ひかりの たびは、あたまの なかで 考えるだけに しましょう。

もういちど、コインを 100回 なげて、どこまで はなれたか くらべてみましょう。まいかい ちがう ばしょに なるはずです。

光子の旅を、コインで体験できます。表が出たら右へ1歩、裏が出たら左へ1歩進むことにして、100回投げてみましょう。向きがランダムに変わる点が、光子の寄り道に似ています。

100歩ぶん動いても、スタート地点から10歩前後しか離れないことが多いはずです。まっすぐなら100歩進めるのに、行ったり来たりするので、遠くへ行くには何倍もの歩数が必要になります。目的地の距離が2倍なら歩数は4倍、という式の感覚がつかめます。

電卓では、核融合の計算ができます。材料の質量の約0.7%が足りなくなるので、毎秒約400万〜500万トンが減るなら、材料の水素は毎秒およそ5.7億〜7.1億トンが核融合している計算になります。これは0.7%という割合から単純に逆算した目安です。

注意点として、太陽は絶対に直接見ないでください。目を傷めます。光の旅は、頭の中で想像するだけにしましょう。

コインを何回も投げて、10歩前後というのが毎回同じになるか、くらべてみましょう。

推定の幅は、手を動かすと実感できる。表なら右へ1歩、裏なら左へ1歩とするランダムウォークを、コインで100回試す。多くの場合、出発点から10歩前後の位置にとどまる。直進なら100歩進むところで、これが(d/l)²の関係、すなわちdを進むのに約(d/l)²歩かかるという式の感覚である。

核融合の規模は、電卓で概算できる。質量の欠損率を約0.7%とし、減少する質量を毎秒400万〜500万トンとすると、融合する水素は毎秒およそ5.7億〜7.1億トンと計算できる。これは割合からの単純な逆算であり、実際の核反応の詳細を含まない目安である。

また、ニュートリノは光子とちがい、数秒で太陽を抜ける[6]。この速度差は、光の旅が長いのは速さの問題ではなく、道のりが折れ曲がるためだと示している。

太陽を直接見てはならない。観察は公的機関の資料やデータで行う。一次資料に当たるなら、NASAのSOHO教材、国立天文台「ひので」、UCAR、ESAの教材、マックス・プランク核物理学研究所の解説、各大学の講義ノートを出典欄から読み比べ、数字がどう食いちがい、どんな前提で出ているかを自分で確かめるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の数字は、次の資料にもとづきます。数字に差がある場合は、本文で幅として示しました。

  1. UCAR Center for Science Education「Inside the Sun」 https://scied.ucar.edu/learning-zone/sun-space-weather/inside-sun (中心・放射層・対流層の温度、核融合)
  2. ESA Science Portal「Stellar Processes and Evolution - Educational Support」 https://sci.esa.int/web/education/-/36828-stellar-processes-and-evolution (質量欠損0.7%、E=mc²、毎秒約400万トン)
  3. Stanford SOLAR Center「Ask A Solar Physicist FAQs」 https://solar-center.stanford.edu/FAQ/Qfusion.html (毎秒約500万トン)
  4. NASA/ESA SOHO「Our Star the Sun」 https://soho.nascom.nasa.gov/classroom/sun101.html (放射層の通過時間、ジグザグの経路、コロナ温度)
  5. UMass Amherst「The Sun and Stellar Structure」 https://people.umass.edu/wqd/strobel/starsun/strsunb.htm (約1cmごとの散乱、ガンマ線から可視光へ、対流への移行)
  6. Max Planck Institute for Nuclear Physics「Research: BOREXINO」 https://www.mpi-hd.mpg.de/lin/research_bx.en.html (ニュートリノと光子の脱出時間の比較)
  7. Ohio State University「A162, Lecture 7」 https://www.astronomy.ohio-state.edu/weinberg.21/Intro/lec7.html (ランダムウォークによる約3万年の見積もり)
  8. Ohio State University「Lecture 3: Inside the Sun」 https://www.astronomy.ohio-state.edu/ryden.1/ast162_1/notes3.html (対流が不透明な流体でよく働くこと)
  9. NCAR High Altitude Observatory「Solar Convection and Mean Flows」 https://www2.hao.ucar.edu/hao-science/science-topic/solar-convection-and-mean-flows-lsv (表面の粒状斑)
  10. UCAR Center for Science Education「The Surface of the Sun」 https://scied.ucar.edu/learning-zone/sun-space-weather/surface-of-the-sun (光球の厚さと温度)
  11. 国立天文台「ひので」「「ひので」が見た新しい太陽の姿」 https://hinode.nao.ac.jp/intro/science/discovery.html (光球・彩層・コロナの温度)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。