1. ぶらさがる でんしゃは、どうやって はしるの?
1. 車両がぶら下がるとは、どういう仕組みなのか
1. 懸垂式は、箱形の桁の中を走る台車に車両をつり下げる
モノレールには、2しゅるい あります。ひとつは、レールを またぐように のって はしる 「またがる 形」です。もうひとつが、レールの 下に ぶらさがって はしる 「ぶらさがる 形」です。
ぶらさがる 形では、はこの 形を した 鉄の レールが あります。この はこの 中を、ゴムの タイヤの ついた だいしゃが はしります。でんしゃは、その だいしゃに ぶらさがって います。
だから、そとから 見ると、でんしゃが さかさまに はしって いるように 見えます。
では、この 形の モノレールは、日本に どれくらい あるのでしょうか。
モノレールは、大きく2つに分かれます。レールをまたいで車両が上に乗る跨座式と、レールの下に車両がぶら下がる懸垂式です。
日本モノレール協会の説明では、懸垂式は、ゴムタイヤの台車が鋼でできた箱形の軌道桁の中を走り、車両はその台車にぶら下がっています[1]。桁は全部が箱形の鋼製桁で、支える柱も鋼製です。跨座式の標準的な桁がプレストレストコンクリート製で、柱が鉄筋コンクリート製なのとは、材料がちがいます[1]。
この材料のちがいが、あとで大きな意味を持ちます。その前に、懸垂式が実際にどれくらい走っているのかを見てみましょう。
モノレールは、車両が軌道桁をまたぐ跨座式と、桁の下に車両が下がる懸垂式に大きく分けられる。日本モノレール協会によれば、懸垂式ではゴムタイヤの台車が鋼製の箱形軌道桁の内部を走り、車両はその台車からつり下げられる。軌道桁はすべて箱形の鋼製桁で、支柱も鋼製である。これに対して跨座式の標準的な軌道桁にはPC(プレストレストコンクリート)桁、支柱には鉄筋コンクリート支柱が使われる[1]。
この構造では、走行装置が桁の内部に収まる。鋼を主材料にするという選択が、あとで費用と環境条件に効いてくる。では、懸垂式は国内にどれほど存在するのか。
2. ぶらさがる 形は、日本に いくつ あるの?
2. 世界一の長さなのに、日本では2路線だけ
2. 世界一の営業距離をもつ一方で、国内の懸垂式は2路線にとどまる
千葉市の モノレールは、ぜんぶで 15.2キロメートル あります。ぶらさがる 形としては、せかいで いちばん 長く、ギネスレコードにも のって います。
でも、いま 日本で はしって いる ぶらさがる 形は、千葉と、かながわ県の しょうなんの 2つだけです。ほかの モノレールは、ぜんぶ またがる 形です。
せかいで いちばん 長い 路線が あるのに、日本では 2つだけです。
この 2つの まちには、ぶらさがる 形が ぴったりの わけが ありました。その 一方で、ほかの まちでは、むずかしい ことも ありました。つぎからは、まず ぴったりの わけを 見ます。
3. 千葉の まちは、どうして ぶらさがる 形を えらんだの?
3. 千葉市が懸垂型を選んだ理由:雨や雪、坂とカーブ
3. 千葉市が懸垂型を選んだ条件:天候、勾配と曲線、道路幅
千葉市の 人たちが 気に したのは、あめや ゆきと、道の ようすでした。
ぶらさがる 形は、タイヤも レールの 道も はこの 中に あります。だから、あめや ゆきに ぬれません。千葉市は、あめや ゆきの ひでも ふつうに はしれると 考えて、この 形を えらびました。
千葉市の 道は、さかが 多くて、まがる ところも たくさん あります。千葉市は、この 形が そんな 道に 合うと 考えて、えらんだ りゆうの ひとつに しました。
はこの 中で、ゴムの タイヤが はしるので、おとや ゆれも ほとんど ありません。
さらに、てつの はしらは 細いので、道はばが せまくても つくれます。
千葉市の資料は、懸垂型を採用した理由として、雨や雪などの天候に左右されないことと、勾配や曲線が多い市内の道路状況に特性を発揮できることを挙げています[2]。
天候に強い理由は、構造にあります。車輪や走る面が箱形の桁の中にあるため、雨水や積雪にさらされにくく、安定した運行ができるといいます。湘南モノレールの案内にも、同じ趣旨の説明があります[4]。
千葉モノレールの車両紹介には、ほかにも利点があります。走行装置が桁の中にあり、車輪にはゴムタイヤを使うので、騒音や振動がほとんどないとされます。また、鋼製の支柱は設置に必要な幅が狭く、道路幅をあまり広く必要としません[3]。道路の上に作るモノレールには、ありがたい性質です。
では、沖縄がこれらの長所よりも重く見た条件は何だったのでしょうか。次の章で見ます。
千葉市の資料によれば、懸垂型を採用した理由は、雨や雪などの天候に左右されないこと、そして道路の勾配や曲線が多いという市内の地形条件に特性を発揮できることだった[2]。
天候への強さは構造に由来する。車輪と走行面が箱形桁の内部にあるため、雨水や積雪にさらされず、安定した運行が可能とされる。湘南モノレールの案内も同様に説明している[4]。なお、この説明は事業者の案内であり、他方式との運行実績を数値で比べたものではない。
千葉モノレールの車両紹介によると、走行装置を箱形桁の中に組み込み、ゴムタイヤを使うため騒音と振動がほとんどない。加えて鋼製支柱は設置に要する幅が狭く、道路幅を広く必要としない[3]。既存の道路上に通す都市モノレールでは、これは実用的な利点である。
これだけ利点が並ぶなら、なぜ全国で選ばれなかったのか。その答えは、材料と立地にある。
4. おきなわは、どうして べつの 形を えらんだの?
4. 沖縄が懸垂式を選ばなかった理由:鋼の費用と塩害
4. 沖縄県が跨座式を選んだ根拠:鋼構造の費用、塩害、地元の資材
沖縄には、「ゆいレール」と いう モノレールが あります。沖縄では、またがる 形が えらばれました。
ぶらさがる 形は、てつを たくさん つかいます。てつは、うみの 近くだと、しおを ふくんだ 風で いたみやすく なります。それが 「えんがい」です。また、おかねも たくさん かかると 考えられました。
またがる 形は、おもに コンクリートで つくります。沖縄の 中に ある ざいりょうや はたらく 人を つかえるので、沖縄の しごとにも つながる、と 考えられました。
だから、どちらが いい、と 決まって いる わけでは ありません。まちの ようすで、ぴったりの 形は かわります。
沖縄のモノレール「ゆいレール」の経緯を説明したモノレール協議会のページは、懸垂式は鋼の軌道構造物を多く使うため塩害を受けやすく、費用の面でも割高になるので、沖縄には不向きだったと説明しています[6]。
塩害の説明は協議会のページにあります。沖縄県の型式選定の資料は、費用と地元資材の面から整理しています。懸垂型は鋼材が中心の構造で、建設にも維持にも費用が高くなる、という見方です。一方、跨座型は支柱や桁にコンクリートを主に使うため、県内の資材や労働力を活用でき、地元の産業への波及効果が大きいとされ、沖縄では跨座型が選ばれました[5]。
ここで大切なのは、懸垂式が悪い方式ではない、という点です。千葉では天候と地形が味方になり、沖縄では塩害と費用の見方が重く働きました。同じ方式でも、場所が変わると評価が逆になります。
ただし、建設費が跨座式の何倍かといった数字は、ここで使った資料にはありません。
モノレール協議会のゆいレールQ&Aは、懸垂式が鋼軌道構造物を多く使うため塩害を受けやすく、沖縄ではコスト面でも割高で不向きだったと述べる[6]。沖縄県の型式選定の資料も、懸垂型は鋼材主体の構造で、建設とメンテナンスの費用が割高になると整理している。一方、跨座型は支柱の建設と桁の製作でコンクリートが主体となるため、県内の資材と労働力を活用でき、地場産業への波及効果が大きいとされる[5]。
注目したいのは、比較の軸が単なる性能ではなく、塩害、建設・維持の費用、地元資材による地域経済への波及にまたがっている点だ。千葉では天候と勾配・曲線への適合が決め手になり、沖縄ではこれらが跨座型に傾いた。方式の優劣は固定されず、立地の条件で評価が入れかわる。
ただし、建設費が跨座式の何倍になるのかといった数値の比較は、参照した資料には示されていない。費用の差は方向(割高)としてのみ言え、大きさは言えない。
では、方式が登場したころの事情はどうだったのか。次に導入期を見る。
5. はじめの ころは、どんな ことが あったの?
5. 方式が並んだ時期と、メーカーの事業縮小
5. 導入期に方式が並び立った事情と、メーカーの事業縮小
日本で モノレールが 作られ はじめた ころは、いろいろな 形の モノレールが 同時に 作られました。1964年には、またがる 形と ぶらさがる 形が、どちらも 日本に あらわれました。
その 中には、うまく いかなかった ものも あります。ある モノレールは、せつびに こまった ことが あり、1年で おやすみに なりました。
さらに、モノレールを 長く すすめて きた 大きな 会社の グループが、2015年に、メンテナンスなどを のぞいて、モノレールの しごとから 一歩 ひきました。
日本のモノレールの歴史を大阪府の年表で見ると、1962年にモンキーパークモノレール線が跨座式のアルヴェーグ式の第1号として現れ、1964年には東山公園モノレールが、サフェージュ式(懸垂式)の第1号として現れました。1964年には、2つの方式が並んで登場したことになります[8]。
そのころは、方式が乱立していました。乗りものニュースの記事によると、東芝式のドリームランド線は設備の不備で1年で営業を休止し、モノレール全体の信頼を落としたそうです[7]。湘南モノレールは1970年に開業し、公共交通機関としては国内初の懸垂式(サフェージュ式)となりました[4]。
さらに同じ記事は、長く推進役だった三菱グループが2015年に株式を譲渡し、保守などを除いてモノレール事業から一歩引いた、と書いています[7]。
技術のほかに、導入期の混乱やメーカーの動きといった事情も、この方式をめぐる流れの中にあったことが分かります。
大阪府の年表によれば、日本初のアルヴェーグ式(跨座式)は1962年のモンキーパークモノレール線で、サフェージュ式(懸垂式)の第1号は1964年の東山公園モノレールである。つまり1964年には、二つの方式が並んで現れており、導入期は方式の選択肢が割れていた[8]。湘南モノレールは、1970年に開業した公共交通機関として国内初の懸垂式(サフェージュ式)である[4]。
この時期の混乱について、乗りものニュースは、東芝式のドリームランド線が設備の不備で1年で営業を休止し、モノレールへの信頼を落としたと伝える。さらに、長く推進役だった三菱グループが2015年に株式を譲渡して、保守などを除きモノレール事業から一歩引いた、とも述べる[7]。ただし、これらが少数派になった原因だと数値で示した資料ではない。
少数派になった背景としては、構造材と費用・塩害(沖縄の例)、立地の適合(千葉の例)に加え、導入期の混乱やメーカーの動きも語られている。
6. ちかくの モノレールは、どちらの 形かな?
6. 近くのモノレールは、どちらの形か見てみよう
6. 身近な路線の方式を、桁と柱から見分ける
モノレールを 見かけたら、でんしゃが レールの 上に のって いるか、下に ぶらさがって いるかを 見て みましょう。
テレビや しゃしんでも、見られます。上に のって いたら またがる 形、下に ぶらさがって いたら ぶらさがる 形です。
つぎに、はしらを 見て みて ください。ふつうは、コンクリートの はしらで 上に のって いたら またがる 形、てつの はしらで 下に ぶらさがって いたら ぶらさがる 形です。
道ばたでは、車に 気を つけて、はなれた ところから 見ましょう。
モノレールを見かけたら、まず車両がレールの上にあるか、下にぶら下がっているかを見てください。上なら跨座式、下なら懸垂式です。
次に支柱の材料を見ましょう。標準的な跨座式は鉄筋コンクリートの支柱、懸垂式は鋼製の支柱とされています[1]。支柱の形や材料に注目すると、手がかりになるかもしれません。
そのうえで、その町の天候、坂、海との距離を思い浮かべてみてください。なぜその方式が選ばれたのか、想像できるでしょう。千葉市のページと沖縄県のページには選んだ理由が書かれているので、読み比べると、同じ問いに町ごとにちがう答えが出ていることが分かります[2][5]。道路から観察するときは、歩道の上から安全に見てください。
近くのモノレールを観察するときの手がかりは、車両が桁の上か下か、そして支柱の材料である。日本モノレール協会の整理では、懸垂型の軌道桁は箱形鋼製桁、支柱は鋼製支柱、跨座型の標準的な軌道桁はPC桁、支柱は鉄筋コンクリート支柱とされる[1]。
そのうえで、その地域の気候、地形、海との距離を調べると、なぜその方式が選ばれたかを仮説として立てられる。千葉市と沖縄県の資料は、いずれも自治体のページで公開されており、選定の理由が直接書かれている[2][5]。
千葉市のページで挙がる条件(天候、勾配、曲線)と、沖縄県のページで挙がる条件(費用、地元資材)を並べて読むと、同じ問いに対して重く見た点がちがうことが分かる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った事実の出どころです。URLは各機関のページです。
- 一般社団法人 日本モノレール協会「モノレールの種類」 https://www.nihon-monorail.or.jp/about/type/ (懸垂型と跨座型の構造、材料)
- 千葉市「千葉モノレールに関する情報」 https://www.city.chiba.jp/toshi/toshi/kotsu/monorail_portal.html (採用理由、営業距離、ギネス登録)
- 千葉モノレール「車両紹介」 https://chiba-monorail.co.jp/index.php/about-monorail/sharyou/ (騒音、振動、道路幅)
- 湘南モノレール株式会社「世界のモノレール」 https://shonan-monorail.co.jp/fun/ (国内初の懸垂式、天候への強さ)
- 沖縄県「モノレール型式の選定」 https://www.pref.okinawa.jp/machizukuri/dorokotsu/1012558/1012560/1012571/1012734/1012736/1012738.html (費用と地元資材の比較)
- モノレール協議会「ゆいレールQ&A」 https://yui-rail-council.com/qanda/ (国内の方式の内訳、塩害と費用)
- 乗りものニュース「国内わずか2例『懸垂式モノレール』は『負け組』なのか?」 https://trafficnews.jp/post/126330/4 (導入期の乱立、メーカーの動き)
- 大阪府「日本のモノレールの歴史」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o130090/toshikotsu/monorail/monohistory1.html (1962年と1964年の第1号)
なおした ところ
更新履歴
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