1. おなじ はから、ちがう おちゃが できる
1. 三つのお茶を分けるのは「酵素をどこで止めるか」
1. 緑茶・ウーロン茶・紅茶の分かれ目は酸化酵素の扱い
おちゃの はを つんで、そのまま おいて おくと、はは すこしずつ かわって いきます。はの 中に ある 酵素が、はたらくからです。
リンゴを きって おくと、茶色く なる ことが ありますね。あれも、中の ものが はたらく ためで、ちょっと にて います。ただし、ほんとうは リンゴと おちゃの はは、べつの ものです。
この はたらきを とめると、みどりの おちゃに なります。すこし はたらかせると ウーロン茶、いっぱい はたらかせると こうちゃです。
「はっこう」という ことばが つかわれますが、ここでは、びせいぶつでは なく、はの 酵素の はたらきの ことです。
では、みどりの おちゃは、どうやって はたらきを とめるのでしょう。
同じ葉、三つの顔
埼玉県の資料によれば、茶の葉の酸化酵素の働きを止めて作るのが「不発酵茶」で、代表は緑茶です。働きをある程度利用すると「半発酵茶」のウーロン茶に、最大限に利用すると「発酵茶」の紅茶になります[1]。
紅茶はインドやスリランカで多く作られ、ウーロン茶は紅茶と緑茶の中間のお茶として中国で多く作られる、という説明もあります[2]。
「発酵」は微生物ではない
お酒やみそのように、微生物が働くから発酵茶と呼ぶのではありません。ここでいう発酵は、葉に含まれる酸化酵素の働きのことです[1]。つまり三つのお茶の違いは、酵素にいつ、どれだけ働かせるかの違いと言えます。
では、緑茶は、その酵素の働きをどうやって止めるのでしょうか。
2. つんだ はを、まず むす
2. 摘んだ葉は、まず蒸気で蒸される
2. 一芯二葉の生葉を蒸す:30〜60秒で何が決まるか
おちゃの はは、はるに つみます。いちばん ちゃは、4月の なかごろから 5月の はじめごろに つむ ところが おおいです。ただし、ばしょに よって ちがいます。
つむのは、さきっぽの 芽と、ちいさな はっぱ 2まいです。これを「いっしんにょう」と いいます。
つんだ はは、じょうきで むします。ふつうの 煎茶は、30びょうから 1ぷんくらいです。ふかむしの おちゃは、2ふんくらい むします。
むすと、はの 中の 酵素の はたらきが とまります。むした あとは、かぜを あてて、ひやします。
むし方で、おちゃの あじが かわると いわれます。でも、むしたはは、まだ ぬれて います。これを どうするのでしょう。
摘むのは先端の芽と2枚の葉
一番茶は、4月の中旬から5月の上旬ごろに摘まれ、立春から数えて88日目の八十八夜のころが最盛期だといわれます[3]。ただし、摘む時期は地域によって違い、全国で同じ日ではありません。
代表的な摘み方は「一芯二葉摘み」で、枝の先の芽と、小さな2枚の葉だけを摘みます[3]。
蒸す30秒の重み
農林水産省の資料では、荒茶づくりは、生葉を蒸気で蒸して酸化酵素の活性を止めることから始まります。蒸し上げは、お茶の品質や味わいを左右する重要な工程とされます[3]。
蒸す時間は、一般的な煎茶で約30〜60秒、深蒸し茶で120秒前後です。蒸したあとは、風を当てて葉の表面の水分を取りながら冷まします[3]。
酵素を止めれば、色は緑のまま保たれるはずです。けれど蒸した葉は水分たっぷりで、そのままでは飲み物になりません。次は、この濡れた葉をどう乾かすかです。
一番茶は4月中旬から5月上旬ごろに摘まれ、立春から88日目の八十八夜(はちじゅうはちや)のころが最盛期とされる。ただし、摘採の時期は地域で異なり、全国一律の日付ではない[3]。
摘み方の代表は、先端の芽と小さな2枚の葉だけを摘む一芯二葉(いっしんにょう)摘みである[3]。
荒茶(あらちゃ)づくりは、この生葉を蒸気で蒸し、葉の中の酸化酵素の活性を止めることから始まる。蒸し上げの工程は、品質と味わいを左右する要点とされる[3]。
蒸し時間は、一般的な煎茶で約30〜60秒、深蒸し茶で120秒前後とされる。蒸したあとは風を当て、葉の表面の水分を取り除きながら冷却する[3]。つまり、酵素を止める時間は、わずか1〜2分ほどで足りる計算になる。
ただし、酵素が止まっても、葉は水分を多く含んだままである。では、この水分はどのように減らされ、あの細長い形はどこでできるのか。
3. ぬれた はを もんで、かわかす
3. 水分約78%の葉が、もまれながら乾いていく
3. 揉みの順に水分が減る:78%から4〜5%へ
むした はは、水が たくさん ふくまれて います。ざっと 100の うち 78が 水です。これを、4つの ステップで もんで かわかします。
まず、あつい かぜを おくりながら もみます。つぎに、かぜを あてずに ぎゅっと おさえて もみます。これは、水の ぶぶんを そろえる ためです。
そのあと、もう いちど あつい かぜで もんで、さいごに おなじ むきに ちからを くわえて もみ、ほそながい かたちに します。
さいごに かんそうすると、水は 4から 5くらいに なります。おもさを けいさんすると、はじめの 4ぶんの 1ぐらいです。ただし、これは 水だけが へったと かんがえた ばあいです。
これで できあがりかと いうと、まだ ひとつ のこって いました。
揉みと乾燥の五つの段階
蒸した葉は、次の順で揉みながら乾かされます。熱風を送りながら揉む「粗揉」、一塊にして加熱せず圧力をかけて揉む「揉捻」、もう一度熱風を使う「中揉」、手揉みと同じように一定方向に力を加えて形を作る「精揉」、そして乾燥です[3]。
水分は一直線には減らない
三重県の工程表では、葉の水分はおよそ次のように下がります。蒸した直後が78%、粗揉のあとが50%、揉捻のあとも50%、中揉のあとが26%、精揉のあとが13%、乾燥のあとが4%です[4]。
不思議なのは、揉捻で水分がほとんど減らないことです。この工程は水分を均一にするための作業で、乾かすためのものではありません[3]。熱風を使う粗揉と中揉で、水分は大きく下がります。精揉のあたりで、細長い茶の形ができるとされます[4]。
重さはどれくらい減るのか
乾燥後の水分は、三重県の例で約4%、農林水産省の資料では約5%と少し違うため、約4〜5%とみておきます[4][3]。
これを使って計算してみます。水分78%の生葉100gの固形分は22g。水分が4%になると、固形分は全体の96%になるので、全体の重さは22÷0.96で約23gです。ざっと4分の1になる計算です。ただし、出典に書かれた数字ではなく、水以外は減らないと仮定した派生計算です。
乾いたところで、緑茶はできあがりでしょうか。
蒸した葉は、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥の順に処理される。粗揉は熱風を送りながら摩擦や圧迫を加えて揉む工程、揉捻は水分の均一化を図るため、葉を一塊にして加熱せず圧力を加えて揉む工程、中揉は再び熱風を用いる工程、精揉は手揉みと同じように一定方向にだけ力を加えて形を整える工程である[3]。
三重県の工程表によれば、水分は蒸し葉の78%から、粗揉後50%、揉捻後50%、中揉後26%、精揉後13%、乾燥後4%と推移する[4]。
ここには読み取れる点が二つある。一つは、揉捻で水分がほぼ変わらないことで、この工程の目的は乾燥ではなく水分の均一化にある。もう一つは、減少幅が段階で違うことだ。粗揉で28ポイント、中揉で24ポイント下がるのに対し、精揉は13ポイント、最後の乾燥は9ポイントにとどまる。熱風を使う工程で大きく乾き、精揉のあたりで細長い形ができる[4]。
最終の水分は、三重県の資料で約4%、農林水産省の資料で約5%と食い違うため、約4〜5%と幅で書く[4][3]。
ここから重さの変化を試算できる。水分78%の生葉100gには固形分が22g含まれる。水分が4%に下がると固形分は全体の96%になるから、全体は22÷0.96で約23gとなる。5%なら約23gのままで、およそ4分の1である。ただし、これは出典に明記された値ではなく、水以外の成分が減らないと仮定した派生計算であり、実際には揉みの過程で成分の一部も変化する。
では、水分が4〜5%に達した状態は、完成品なのか。
4. かわいた はは、まだ おちゃの とちゅう
4. 乾いた「荒茶」は、仕上げの前の状態
4. 荒茶は完成品ではない:乾燥の役割と仕上げ工程
かわかして できた ものを、「あらちゃ」と いいます。水が 5くらいまで へると、ながく おいて おけます。それに、おちゃらしい かおりと あじも、うまれると いわれます。
でも、まだ おみせに ならぶ すがたでは ありません。ふるいに かけて わけたり、きったり、あぶったり、いろいろな おちゃを まぜたりして、せいひんに なります。
みどりの おちゃは、つんでから、こうして いくつもの しごとを へて、とどくのですね。
ここまでは、ふつうの 煎茶の はなしでした。では、はを つむ まえに ひとくふう する おちゃは あるのでしょうか。
5. つむ まえに、ひかりを さえぎる
5. 玉露は、収穫前の約20日、光を遮って育てる
5. 被覆栽培の玉露:光を遮ると渋みが減るとされる理由
玉露は、つむ まえの 20にち くらい、おちゃの 木に おおいを かけて、ひかりを さえぎって そだてます。そのあと、煎茶と おなじように むして、もんで、かわかします。
おおいを かけると、あまみの もとが ふえ、しぶみが すくなく なると いわれます。ふだんの おちゃより、あまく かんじる ことが あるのは、この ためです。
「かぶせちゃ」という おちゃも あって、これは 7にち くらいの おおいです。
また、おおいの ある ちゃえんで そだてた はを むして、もまずに かわかしたものを、こなに すると、まっちゃに なります。
おおいを かけすぎると、木が げんきを なくす ことも あると いわれます。ひかりは、そだつ ために 大切だからです。
被覆栽培という工夫
埼玉県の資料では、玉露は収穫前の20日程度、かぶせ茶は7日程度の被覆栽培を行い、そのあとは煎茶と同じように蒸して、揉んで、乾燥させて作ると説明されています[2]。
被覆の日数は産地や方法で幅があるので、「約」と考えるのが無難です。
光を遮ると味が変わる理由
三重県の資料では、被覆でテアニンがカテキンに変わるのが抑えられ、渋みが少なく甘みが強くなるとされます。「かぶせ香」という独特の香りも出ます[5]。京都府の資料は、光を遮って作る茶は、露天の煎茶にはない鮮やかな緑色と、まろやかなうま味や甘みがあると説明します[6]。
ただし、長く被覆しすぎると光合成が制限され、樹勢が落ちることもあるそうです[5]。
抹茶は揉まない
被覆した茶園の葉を蒸し、揉まずに乾燥させたものが「てん茶」で、これを茶臼などで粉にしたものが抹茶、と説明されています[2]。同じ蒸した葉でも、揉むか揉まないかで別のお茶になります。
ここまで読んで、実際の茶葉を見たくなった人もいるかもしれません。
玉露は収穫前の20日程度、かぶせ茶は7日程度の被覆栽培を行い、その後は煎茶と同様に、新芽を蒸して揉み、乾燥させて製造する[2]。ただし、被覆日数は産地や方法で幅がある。
味が変わる理由として、三重県の資料は、被覆によってテアニンがカテキンに変化するのが抑制され、渋みが少なく甘みが強くなると説明する。独特の「かぶせ香」も出る[5]。京都府の資料は、鮮緑色、独特の芳香、まろやかなうま味と甘味を挙げ、方法として棚がけ被覆と直がけ被覆の二つを示す[6]。
ただし、被覆を長く続けると光合成が制限され、樹勢が落ちることもある[5]。つまり、被覆は味を良くする一方で、木への負担という限度を伴う技術である。
被覆した茶園の葉を蒸し、揉まずにてん茶炉などで乾燥させたものがてん茶で、これを茶臼などで微粉末にしたものが抹茶とされる[2]。蒸す工程は同じでも、揉まないことで別の茶になる。
ここまでの工程を、自分の目で確かめられるか。
6. きゅうすの 中で、はを ひろげて みよう
6. 急須の中で、葉がほどける様子を見る
6. 揉まれた葉をほどいて、芽と葉の形を探す
おうちに 煎茶の はが あれば、おとなと いっしょに ためせます。
まず、しろい おさらに ちゃばを すこし だして、ほそく よれた かたちを みます。これが、もまれた あとの すがたです。
つぎに、おとなに おゆを いれて もらい、まって から、ひらいた はを おさらに だします。
はが ひろがって いるでしょう。もし、ちいさな 芽と はっぱの かたちが みつかれば、「いっしんにょう」かも しれません。
おゆは あついので、さわらないで、おとなに まかせて くださいね。
おとなと一緒に、葉を広げてみる
家に煎茶の茶葉があれば、白い皿に少し出して、細く捩れた形を見てください。精揉で形づくられたものです。
次に、大人にお湯を注いでもらい、少し待ってから、急須の中の葉を白い皿に広げます。お湯は熱いので、扱いは大人に任せてください。
広がった葉の中に、小さな芽と葉の形が見つかるかもしれません。見つかれば、一芯二葉に近い摘み方だった可能性があります。すべての茶葉で見つかるわけではありません。
原典を読むなら
工程の全体は、農林水産省の特集「日本茶」の記事にまとまっています。水分の推移は三重県農業研究所のページに、玉露の被覆は三重県普及センターのページに、それぞれ書かれています。
家庭で観察するなら、煎茶の茶葉を白い皿に少量出して、細く捩れた形を見る。お湯を注いで開いた葉を皿に広げれば、葉が揉みでどれほど細く巻かれていたかが分かる。開いた葉の中に芽と小さな葉の組み合わせが見つかれば、一芯二葉摘みの名残かもしれないが、茶葉の種類や等級によっては見つからないこともある。お湯の扱いは大人に任せたい。
原典にあたるなら、工程全体は農林水産省の特集「日本茶」、水分の推移は三重県農業研究所の荒茶加工のページ、被覆の効果は三重県普及センターの「茶の栽培」が詳しい。出典欄の資料の多くは県などの解説なので、数値の細部は産地や製法で異なる点に注意してほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。日数や水分などの数字は、資料や産地によって幅があります。
- 埼玉県「お茶のいろいろ」 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0904/ochanoiroiro.html (不発酵茶・半発酵茶・発酵茶の分類)
- 埼玉県「狭山茶・お茶の種類」 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0904/sayamachairoiro.html (紅茶・ウーロン茶の産地、玉露・かぶせ茶・てん茶の作り方)
- 農林水産省 aff(あふ)特集「日本茶」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2204/spe1_02.html (摘採、蒸し、揉み、乾燥、荒茶)
- 三重県農業研究所「荒茶加工」 https://www.pref.mie.lg.jp/nougi/hp/28920026849.HTM (工程ごとの水分の推移)
- 三重県 普及センター「茶の栽培」 https://www.pref.mie.lg.jp/fukyuc/hp/31602030303.htm (被覆による渋みの減少、かぶせ香、樹勢)
- 京都府農林水産技術センター「被覆資材」 https://www.pref.kyoto.jp/chaken/mame_shade.html (被覆で生まれる色と香り、被覆の方法)
なおした ところ
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