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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

しずかな ところで、みみが キーンと なるのは どうして?

静かな部屋で耳が鳴る ── 音がないのに聞こえる音のなぞ

静寂下で知覚される音と耳鳴り ── 無響室の実験(1953年〜2022年)と聴覚皮質、中枢ゲイン仮説

分野:からだ

ふとんに はいって、しーんと した ときに、みみの なかで キーンと 音が した ことは ありませんか。まわりには、なにも 鳴って いないのに、ふしぎです。

この 音は、ひとに よっては、音の ない へやの ほうが よく 聞こえると いわれます。どこで 鳴って いるのでしょうか。

夜、部屋の電気を消して静かになったとき、耳の中でキーンと音がした経験はありませんか。まわりには何も鳴っていないのに、たしかに聞こえる気がします。

音のない部屋に入ると、かえって音が聞こえる人が多いという実験があります。その音は、脳で作られるという説明が有力な理論の一つになっています。どこまで分かっていて、どこからが仮説なのかを整理します。

外に音源がないのに感じる音は「耳鳴り」と呼ばれ、ほかの人には聞こえない[1]。ところが、聴力が正常な人でも、無響室に入ると多くが似た音を聞いたと報告されている。1953年の研究では約95%とされ、2022年の再現研究では74%、他の再現は64〜83%だった[3]。

音は脳の聴覚皮質で作られるという説明が有力な理論の一つとされる。この記事では、医学機関の解説と論文を突き合わせ、分かっていることと仮説の境目を整理する。日本の学会の解説や原論文の本文までは参照できていない。

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1. どうして よるに なると 気に なるの?

1. 静かな夜ほど気になる ── 昼には聞こえない音

1. 耳鳴りの定義と、静けさで目立つ性質

ひるまは、テレビや くるまの 音が あって、みみの キーンには 気が つきません。よるに なって しずかに なると、とつぜん 聞こえて くる ことが あります。

こういう、そとに 音が ないのに 聞こえる 音を、「みみなり」と いいます。ほかの 人には 聞こえません。

お医者さんの 本には、まわりが しずかで、気を そらす ものが ないほど、めだつと 書かれて います。だから ねる ときに ひどく なった ように 感じやすい そうです。

耳鳴りとは、外に音源がないのに感じる音の感覚のことで、ほかの人には聞こえません[1]。キーンという高い音に限らず、いろいろな聞こえ方があります。

日中は、話し声や車の音などがたくさんあり、この音は周りの音にまぎれます。夜に静かになると、まぎれるものがなくなって目立つようになります。

医学書のMSDマニュアルには、耳鳴りは静かな環境や、気をそらすものがない状況でもっとも目立ち、そのため就寝時に悪化したと感じやすい、という説明があります[2]。

耳鳴り(tinnitus)は、外部に音源がないのに知覚される音であり、他者には聞こえない[1]。

MSDマニュアルは、耳鳴りは静かな環境や注意をそらす刺激がない状況で最も顕著になり、就寝時に悪化すると感じられやすいとしている[2]。夜に気づきやすいのは、症状そのものが増えたというより、周囲の音によるマスキングが減るためだと読める説明だが、原文は「顕著になる」という記述にとどまる。

2. 音の ない へやに はいると?

2. 音のない部屋の実験 ── 聞こえた人の割合

2. 無響室での知覚 ── 1953年の報告と再現研究

音を ほとんど 消す ために、かべを とくべつに つくった へやが あります。「むきょうしつ」と いいます。

アメリカの マイクロソフトの むきょうしつは、せかいで いちばん しずかな ばしょと して、ギネスに みとめられた ことが あります。せっけいした 人は、ほんの かすかな 音まで 聞こえて、いきや くびを うごかす 音も 大きく 聞こえると のべて います。

むかしの 研究では、この へやに はいった 人の ほとんど(だいたい 95%)が、みみなりに にた 音を 聞いたと いわれます。あとで しらべ直した 研究では、人数の わり合が、もう少し 少なく なりました。

音をほとんど反射させない壁でできた「無響室」に入った人は、どんな音を聞くのでしょうか。1953年のHellerとBergmanの研究では、参加者の約95%が耳鳴りに似た音を聞いたと、後の論文が紹介しています(同じ論文に94%という書き方もあります)[3]。

2022年のDenysたちの研究では、無響室に4分間いた参加者の74%が、少なくとも1つの音を聞いたと答えました。ほかの再現研究では64〜83%で、1953年の値より低めです[3]。割合は研究ごとにちがい、「全員が聞く」わけではありません。

アメリカのマイクロソフト本社にある無響室は、ギネスに「世界一静かな場所」と認められたことがあります。設計者は、ほんのかすかな音でもはっきり聞こえ、首を動かす音や呼吸も大きく聞こえると話しています[4]。

この実験で聞こえた音が、ふだんの耳鳴りと同じ仕組みかどうかは、資料では確かめられていません。「耳鳴りに似た音」として読むのが安全です。

Heller & Bergman(1953)の研究で、無響室に入った参加者の約95%が耳鳴り様の音を体験したことは、Denysらの論文が紹介している。同論文は別の箇所で94%とも記しており、表記に揺れがある[3]。

Denysら(2022)の再現では、無響室に4分間滞在した参加者の74%が少なくとも1つの音を聞いたと報告し、この値は1953年の値より有意に低かった。他の再現研究の値は64〜83%(Tucker et al. 2005の64%を含む)と幅がある[3]。この研究の主題は恐怖が幻の音の知覚に与える影響であり、割合はその一部の結果である。

マイクロソフト本社(米レドモンド)の無響室は、ギネスに世界一静かな場所として認定された(当時の記録)。設計者は、ごくかすかな音でもはっきり聞こえ、頸部の動作音や呼吸も大きく聞こえると述べている[4]。

なお、無響室で聞こえる音が、日常的な耳鳴りと同じ機序かどうかは、参照した資料では断定されていない。

3. 音は、どこで 作られて いるの?

3. 耳鳴りの音はどこで作られる?

3. 幻の音はどこで生成されるか ── 聴覚皮質と入力の変化

みみなりは、みみの なかで 鳴って いるように 感じます。でも アメリカの 国の けんきゅうじょは、こう せつめいして います。この まぼろしの 音は、脳のうの 音を 感じる ところで 作られると。ただし、ぜんぶが わかって いる わけでは なく、いま ゆうりょくな かんがえの 一つです。

ラジオに たとえて みましょう。ラジオが 鳴って いないのに、スピーカーの おくで ちいさな 音が して いる ような ものです。ただし 本当は、ラジオのように 一つの はこでは なくて、みみから 脳のうまでの 道すじ ぜんたいが かかわって います。

耳鳴りは耳の中で起きているように感じますが、アメリカの国立難聴・コミュニケーション障害研究所(NIDCD)は、その幻の音は脳の「聴覚皮質」という場所で作られると説明しています[1]。ただし、NIDCDは原因を完全には分かっていないともしていて、これは有力な理論の一つとして説明されているものです。

MSDマニュアルも、耳鳴りの主な原因は聴覚皮質での異常な神経活動で、耳から脳へ音の情報を運ぶ道すじの入力が妨げられたり変わったりしたときに生じる、としています[2]。

ただし、これは「自分にだけ聞こえる」タイプの耳鳴りの説明で、すべての耳鳴りを一つの仕組みで言い切れるわけではありません。

NIDCDは、耳鳴りは耳で生じているように感じられても、幻の音は脳の聴覚皮質(ちょうかくひしつ)で生成されると説明する[1]。ただしNIDCDは原因の全容は未解明とし、これは有力な理論の一つという位置づけである。

MSDマニュアルも、自覚的耳鳴の主因を聴覚皮質の異常な神経活動とし、聴覚路からの入力が阻害または変更されると生じるとしている[2]。

ただし、これは主に自覚的耳鳴(本人にだけ聞こえるもの)の説明であり、他覚的耳鳴など例外もある。すべての耳鳴りを単一の機序で説明する資料ではない[1]。

4. しずかだと、なぜ 音が ふえるの?

4. 音量を上げる脳 ── 「中枢ゲイン」という仮説

4. 中枢ゲイン仮説 ── 入力の減少と増幅

ある 考えが あります。みみから 脳のうへ とどく 音の しらせが すくなく なると、脳のうが 「小さいぞ」と、しらせを 大きく しようと するのでは、という 考えです。

ラジオの つまみを 大きく まわすと、音楽が 聞こえない ときに サーッと いう ざつおんまで 大きく なりますね。それに にて います。ただし、これは しくみを せつめいする 「かせつ」の 一つで、どこまで あてはまるかは、けんきゅうが つづいて います。

耳鳴りがなぜ起きるかについては、「中枢ゲイン」という仮説があります。難聴などで耳から脳へ届く信号が減ると、脳の聴覚の中枢が信号を強めて補おうとし、それが耳鳴りや、音がまぶしく感じる聴覚過敏の一因になるかもしれない、という考えです[5]。

ラジオのつまみで考えると分かりやすいかもしれません。番組が聞こえないほど音量を上げると、ふだん気にならない「サー」という雑音が目立ちます。

ただし、これは仕組みを説明する仮説の一つで、どこまで当てはまるかは研究が続いています。この仮説が無響室の音まで説明できるかは、ここでは結論を出せません。

中枢ゲイン仮説は、難聴などで末梢から中枢への入力が減ると、聴覚中枢が利得(ゲイン)を上げて補償し、その結果が耳鳴りや聴覚過敏の一因になりうるとする。論文はこれを「仮説される機序」と位置づけている[5]。

ラジオの音量つまみを上げると雑音が目立つのに近い、という説明が分かりやすいが、たとえであり、脳の仕組みそのものではない。

この仮説が無響室の結果まで説明するかは、ここでは結論を出せない。

5. みみなりは、めずらしい こと?

5. 原因はひとつではない ── 多くの人が経験する

5. 有病率と原因の多様性

みみなりを けいけんする 大人は、10人に 1〜2人から、多い という 調べでは 4人に 1人ぐらい、と いわれます。調べ方で ちがうので、一つの 数には しぼれません。

ぎゃくに、げんいんも 一つでは ありません。大きな 音を 聞き つづけた こと、耳の 聞こえの 弱まり、くすり、耳あか、耳の びょうき など、いろいろ あげられて います。

だから、みみなりの 理由を 自分で 決める ことは できません。

NIDCDは、耳鳴りを経験する成人は10〜25%と推定しています。MSDマニュアルでは人口の10〜15%です[1][2]。調査によって幅があり、割合は一つに決められません。言いかえると、10人に1〜2人から、多い推定では4人に1人ほどです。子どもにも起きることがあります[1]。

原因として挙げられているのは、大きな音にさらされたこと、難聴、薬、耳あかや耳の感染、頭や首のけが、メニエール病、血管や慢性の病気などです[1]。原因は一つではありません。

ですから、なぜ自分の耳が鳴るのかを、本やインターネットの情報だけで決めることはできません。

NIDCDの推定では、耳鳴りを経験する成人は10〜25%であり、小児にも起こりうる[1]。MSDマニュアルは人口の10〜15%とする[2]。調査により幅があるため、数値は一つに固定できない(10%は10人に1人、25%は4人に1人に相当)。日本国内の数値は、本文を確認できた資料がなく採用していない。

NIDCDが挙げる原因は、騒音曝露、難聴、薬剤、耳垢や耳の感染、頭頸部外傷、メニエール病、血管性や慢性の疾患などである[1]。原因は単一ではない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

【きょう できること】 しずかな じかんに、耳を すませて、どんな 音が 聞こえるか、ノートに 書いて みましょう。えんぴつの 音、時計の 音、自分の いきの 音など、ふだんは 気が つかない 音が 見つかるかも しれません。大きな 音で ためすのは やめて ください。

【気に なる とき】 みみなりが 気に なる、ずっと つづく、聞こえが おかしい と 感じたら、まず おうちの 人に 話して みましょう。

【くらべて みよう】 おうちで、とけいや れいぞうこの 音を 耳を すませて 聞きくらべて、どの 音が いちばん 小さいか、ノートに 書いて みましょう。

【今日できること】 静かな時間に、目を閉じて耳をすまし、聞こえる音を書き出してみましょう。時計、冷蔵庫、自分の呼吸など、いつもは気づかない音が見つかるかもしれません。音を大きくして試すことはしないでください。

【気になるとき】 耳鳴りが気になる、続く、聞こえにくさがあるときは、まず大人に伝えて、医師に相談してください。NIDCDの解説には、かかりつけ医から耳鼻咽喉科医や聴覚の専門家へつながる流れが示され、難聴があるときはその治療が大切だとされています[1]。

【もっと知るには】 NIDCDとMSDマニュアルのページ(出典欄)を読み比べると、同じ現象でも説明の言葉がちがうことが分かります。

【今日できること】 静かな時間に周囲の音を書き出し、自分の耳で聞こえる音の種類を観察してみる。大きな音で刺激するような試みはしない。

【気になるとき】 耳鳴りが続く、聞こえの変化を伴う場合は、まず医師に相談する。NIDCDは、かかりつけ医による評価から耳鼻咽喉科医や聴覚専門家への紹介という流れを示し、難聴があればその治療が重要としている[1]。

【原典】 Denysら(2022)は、無響室の割合だけでなく恐怖の影響を扱っており、割合の背景を知るのに向く[3]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った説明の出どころです。数値は各ページの記述にもとづきます。

  1. NIDCD "Tinnitus". https://www.nidcd.nih.gov/health/tinnitus (定義・聴覚皮質・有病率・原因・受診の流れ)
  2. MSDマニュアル プロフェッショナル版「耳鳴」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional (静けさで目立つこと・聴覚皮質の異常な神経活動・有病率。サイト内で「耳鳴」を検索)
  3. Denys et al. 2022, Fear influences phantom sound percepts in an anechoic room. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9549870/ (無響室で聞こえた人の割合。1953年・2005年の研究は本論文の紹介による)
  4. CNN.co.jp 無響室の記事 https://www.cnn.co.jp/tech/35116978.html (マイクロソフトの無響室の設計者の話)
  5. Central Gain Control in Tinnitus and Hyperacusis (PMC). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/4208401 (中枢ゲイン仮説)

なおした ところ

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