1. べんざには、2つの かたちが あるの?
1. 輪の形のO形と、手前を削ったU形がある
1. 前がつながったO形、手前を削ったU形
べんざの かたちは、大きく 2つに 分けられます。1つは、前まで ぐるっと つながった「O形」です。もう 1つは、手前が すこし けずられて、前が あいた「U形」です。
いま、おうちの べんざは O形が ふつうに なって います。U形は、TOTOの せつめいを まとめた 記事では、だんだん 数が 少なく なって いると されます。
でも、むかしの 日本では、U形が 先に ひろまって いました。どうして わざわざ 前を けずったのでしょうか。
便座は、前までつながった輪のO形と、手前の部分を削ったU形に分けられます。TOTOの広報の説明をもとにした記事によると、いまはO形が広く普及していて、U形は少しずつ数が減ってきたとされています[1]。
家のトイレではO形を見る機会が多く、公共トイレではU形を見る機会が多い、と感じる人もいるでしょう。ここで気になるのは、手間をかけて前を削った形が、なぜ生まれたのかということです。
便座の形は、前方が閉じたO形と、手前を削ったU形に大きく分けられる。TOTO広報の説明をまとめた報道では、現在はO形が広く普及し、U形は徐々に数を減らしているとされる[1]。ただし、U形が日本から無くなったとまでは言えない。
家庭ではO形、公共の場ではU形が多いという印象は、多くの人が持っているだろう。そこで問題になるのは、輪をわざわざ切り欠いたU形が、どういう事情で生まれたのかという点だ。
2. どうして 日本で 前を けずったの?
2. 日本のU形は、体格への配慮から生まれたと説明されている
2. 日本のU形は、体格への配慮から生まれたと説明されている
TOTOの 人の せつめいでは、むかし、体の 大きな 人が O形に すわると、べんざの 前の ところに 体が ふれて しまう ことが ありました。それを さけるために、手前を けずった U形が 生まれたと いわれます。
つまり、日本の U形は、人の 体に あわせて 気を くばった かたちでした。ちなみに、べんざは もともと、すわった ときの つめたさを やわらげる ことと、べんきの ふちの よごれを おおう ことが もくてきでした。
では、そのとき U形が 多かったのは、どうしてでしょうか。
TOTO広報の説明によると、U形は、体格によっては、O形に座ったときに便座の前部が体に触れることがあったため生まれました。手前を削って、その接触を避けたのです[1]。
記事を書いた記者は衛生面の配慮ではないかとも書いていますが、これは記者の推測で、TOTOの説明とは分けて読む必要があります。メーカーが挙げているのは、あくまで体格と接触の問題です。
便座そのものは、もともと別の目的をもっていました。洋式便器は19世紀にイギリスやアメリカで発明されたとされ、便座の当初の役目は、座ったときの冷たさをやわらげることと、便器のふちの汚れを覆うことでした[1]。形の工夫は、そのあとに加わったものです。
TOTO広報の説明では、U形は、体格によってはO形に座ると便座の前部が体に触れることがあり、これを避けるために手前を削ったことで生まれた[1]。この記事の記者は衛生面の配慮という見方も添えているが、それは記者の推測であり、メーカーの説明とは区別して読む必要がある。
便座はもともと、別の目的で生まれた部品だ。洋式便器は19世紀にイギリスやアメリカで発明されたとされ、便座の当初の目的は、座ったときの冷たさの緩和と、便器の縁の汚れを覆うことだったという[1]。U形は、その便座に、体格への配慮という日本側の事情が加わって生まれた形だと整理できる。
U形の導入時期は、ここで紹介した説明には示されていない。
3. おうちの べんざが 丸く なったのは なぜ?
3. 家がひろくなり、輪の形が主流になった
3. 住宅の欧米化でU形を選ぶ理由が薄れた
むかしの 日本の トイレは、しゃがんで 使う 和式でした。それを 洋式に かえる とき、へやの 広さは そのままで、べんきだけ とりかえる 家も 多かった そうです。せまい へやには、小さめの U形が 合いました。
そのあと、日本では 1950年代の おわりごろから 家が 西洋ふうに かわり、トイレも 広く なりました。大きな べんざを おけるように なって、U形を えらぶ わけが うすく なったと TOTOは せつめいして います。
O形は、U形より こわれにくく、あたたかい べんざと 組み合わせやすいと せつめいされて います。
TOTOの担当者は、和式が主流だった時代には、間取りをそのままに便器だけを洋式に替える例が多く、狭い空間では小さめのU形が主流になった、と説明しています。1950年代後半からの高度成長期には住宅の欧米化が進んでトイレの空間が広がり、大きな便座を置けるようになって、U形を選ぶ必要が薄れたといいます[1]。「小さめ」という部分は記事の文脈からの推定なので、断定は避けておきます。
O形が広まった理由は、空間だけではありません。担当者は、O形のほうが強度に優れること、いま一般的な暖房便座と相性がよいことも挙げています[1]。
大きさにも2種類あります。日本の便座は、大型(エロンゲート)と標準(レギュラー)の2つに分かれます[2]。これは大きさの分類で、O形かU形かという形の分類とは別です。
では、なぜ日本ではU形からO形へ主流が移ったのか。TOTO担当者の説明によれば、和式の時代には、間取りを変えず便器だけを洋式に替える例が多く、狭い空間では小さめのU形が主流になった。ところが、1950年代後半からの高度成長期に住宅の欧米化が進み、トイレの空間が広がった。その結果、大きな便座を置けるようになり、U形を選ぶ必要が薄れたという[1]。ただし「小さめ」という部分は、取材記事の文脈からの推定であり、強くは言い切れない。
O形が選ばれる理由は、空間だけではない。担当者は、O形のほうが便座の強度に優れること、今は一般的な暖房便座と相性がよいことも理由に挙げている[1]。つまり、広さという制約がゆるんだあと、強度や暖房便座との組み合わせといった利点が、O形の普及を後押しした形になる。
なお、便座の大きさには「大型(エロンゲート)」と「標準(レギュラー)」の2種類がある。2012年以降のウォシュレットは、両方に取り付けられる兼用サイズが出ている[2]。注意したいのは、これが大きさの分類で、O形・U形という形の分類とは別の軸だという点だ。
4. アメリカの こうきょうの トイレは どうして 前が あいてるの?
4. アメリカの前あきは「規格」にあるが、理由は書かれていない
4. アメリカの前あき要件は1955年から。理由は規格に書かれていない
アメリカでは、こうきょうの べんざの 前を あける ことが、きまりに 入って います。ざいりょうに よると、1955年の きまりに はじめて 入り、1973年の きまりにも 入りました。
では、なぜ あけるのでしょうか。きまりを 作る だんたいの 人は、女の人が べんざに ふれないで ふける ように する ため だと 話しました。男の人にも、よごれやすい ところに ふれにくくなる 点が あると のべました。
でも、きまりそのものには 理由が 書かれて おらず、この せつめいが 理由だと 決まった わけでは ありません。日本の U形とは、べつの はなしです。
アメリカでは、公共用の便座を前があいた形(オープンフロント)にする要件を配管規則に入れている自治体が多く、規格としては1955年のAmerican Standard National Plumbing Codeに入り、1973年のUniform Plumbing Codeにも入りました[3]。日本のU形とは、別の国の、別の規格の話です。
この規格を管理するIAPMOの担当者は、前があいている理由を、女性が便座に触れずに拭けるようにするためと説明しました。男性にも、尿で汚れうる部分や局部の接触がなくなる利点がある、とも述べています[4]。
ところが、規格そのものには理由が書かれていません。IAPMOの担当者の説明も、規格が前あきを求めた理由として定まったものとは言えません。
アメリカでは、公共用の便座をオープンフロント(前があいた形)にする要件を配管規則に入れている自治体が多く、規格としては1955年のAmerican Standard National Plumbing Codeに入り、1973年のUniform Plumbing Code(IAPMO)にも入った[3]。日本のU形とは、別の国の別の規格の話で、理由も別に考える必要がある。
この前あきの理由について、IAPMOの担当者は、女性が便座に触れずに拭けるようにするためと説明した。さらに男性にも、尿で汚れうる部分や局部の接触がなくなる利点があると述べた[4]。しかし、規格そのものには、なぜ前をあけるのかという理由が書かれていない。
規格にはその理由が書かれていない。挙げられる説明も、規格の根拠として一つに定まってはいない。
5. 家と ほかの トイレの べんざを 見くらべて みよう
5. 便座の形から、くらしと決まりを見る
5. 便座の形に表れる、事情と規格のちがい
つぎに トイレに 行ったら、べんざの かたちを 見て みましょう。まるいか、前が あいているかを、見るだけで かまいません。
おでかけした 先の トイレでも、見くらべて みると おもしろいです。ただし、見る ときは まわりの 人の じゃまに ならない ように しましょう。
前が あく かたちの 理由は、日本の 体の ことと、アメリカの きまりで ちがいました。ひとつの かたちでも、理由は 一つとは かぎりません。
家のトイレの便座を、前から見てみましょう。輪の形なのか、手前が削られているのか。見るだけで、便座の形が、住宅の広さや時代によって変わってきたことを思い出せます。
出かけた先の公共トイレでも、形を見くらべられます。日本のU形にはメーカーが説明する体格への配慮があり、アメリカでは公共用便座の前あきが規格で定められています。同じ形でも理由が別になることがある、という点が、この話のいちばんの発見です。
家のトイレと、出かけた先のトイレを見くらべて、O形とU形がどこで使われているか、数えてみるのもよいでしょう。
家の便座を、前から見てみるとよい。O形かU形かを見分けると、便座の形が住宅の広さや時代によって変わってきたことを思い出せる。
出かけた先の公共トイレでも、形の見くらべができる。日本のU形にはメーカーが説明する体格への配慮があり、アメリカの前あきは規格で定められているという別々の経緯があり、見た目が似ていても同じ理由とは限らない。
前あきの理由は、規格そのものに書かれていない。IAPMOの担当者の説明を、規格の理由として読んでよいかは、各自で考える余地が残っている。出典欄の資料から、英語の原典にも当たってみてほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
便座の形・大きさ・規格の説明に使った資料。企業の説明は取材記事を通して読んでいる。
- J-CAST ニュース「便座のO形とU形の違い」(TOTO広報への取材) https://www.j-cast.com/2018/11/10343390.html?p=all (日本のU形・O形の事情)
- 交換できるくんNO(サンリフレ)「便座サイズの選び方」 https://www.sunrefre.jp/washlet/size/ (大型と標準の大きさの分類)
- Mental Floss「Why Are Public Toilet Seats U-Shaped?」 https://www.mentalfloss.com/article/64677/why-are-public-toilet-seats-u-shaped (アメリカの規格の年)
- Slate (2013)「Toilet seats: U-shaped in public, O-shaped at home. Why?」 https://www.slate.com/blogs/browbeat/2013/04/23/toilet_seats_u_shaped_in_public_o_shaped_at_home_why_photo.html (IAPMO担当者の説明)
なおした ところ
更新履歴
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