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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

木の 年輪ねんりんは どうして できるの? ふとるのは 外がわだけ

木はなぜ年輪ができて太るのか ── 太るのは外側だけ、縞は天気の記録にもなる

年輪のでき方と年輪年代学 ── 形成層の働きから、ヒノキ約3000年分の標準パターンまで

分野:自然

切り株きりかぶの まるい 縞しまを、1本ずつ 数えた ことは ありますか。木は、まんなかから ふくらんで 大きく なると 思いがちですが、じつは 外がわだけが ふとって います。

その 縞しまは、どうして できるのでしょう。あつい 年と うすい 年が あるのは なぜでしょう。ふるい 木の はしらが、いつ 切られたかまで わかる ことも あります。この 3つの ふしぎの こたえが わかります。

切り株の縞は、木の真ん中から外へ向かって増えていったように見えます。ところが、太っているのは幹の外側だけで、いちど できた内側の年輪の位置は動きません[2]。

では、縞はなぜ1年に1本ぶんできるのでしょうか。縞のない木があるのはなぜでしょうか。その並びを重ねると、古い柱を切った年が1年単位で分かるのはどういうことでしょうか。この記事で、その理由が分かります。

幹は中心から膨らむのではなく、樹皮のすぐ内側の形成層が外側へ新しい層を足して太る[1]。年輪の幅の並びは年ごとに異なり、奈良文化財研究所が整えたヒノキ・スギの標準パターンは約3000年分に及ぶ[7]。

なぜ縞ができ、幅は何を映し、なぜ木材の年代を1年単位で決められるのか。その理由が分かる。縞ができにくい木の事情と、年輪の数から推定された長寿樹の例にもふれる。

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1. 木は どこが ふとるの?

1. 幹は外側にだけ層を足していく

1. 形成層 ── 幹が太る場所

木を 切ると、切り株きりかぶに まるい 縞模様しまもようが 見えます。これが 年輪ねんりんです。

木が ふとる ところは、まんなかでは ありません。樹皮じゅひの すぐ 内がわに ある、うすい ところです。ここを 形成層けいせいそうと 言います。形成層けいせいそうは、内がわに 木の 部分を、外がわに 皮の もとに なる ものを つくります[1]。

ですから、いちばん 新しい 年輪ねんりんは、いつも 外がわに あります[2]。ゆきだるまに、まわりから ゆきを まいて 大きく するのに にて います。ただし ほんとうは ゆきではなく、小さな 細胞さいぼうが ふえて いくのです。

幹が太るのは、樹皮のすぐ内側にある形成層の働きです。形成層は細胞を増やす組織で、内側には木部(木材になる部分)を、外側には樹皮のもとになる組織をつくります[1]。

新しい細胞は外側に加わるので、外側の年輪ほど新しくなります[2]。「内側の年輪が上へ伸びていく」のではなく、真ん中に近い古い層はその場所に残ったまま、まわりに新しい層が巻きついていくイメージです。

たとえるなら、雪だるまに外から雪を巻きつけて大きくしていくようなものです。ただし木の場合、巻きつくのは雪ではなく、形成層が増やす細胞です。

形成層は樹皮の直下にある分裂組織で、内側に木部(木材)、外側に樹皮側の組織(樹皮の内側の部分)を生産する。幹の肥大成長(太ること)は、この働きによる[1]。

細胞は外側へ新しくつくられるので、外側の年輪ほど新しい[2]。内側の古い年輪が持ち上がるわけではなく、中心に近い層の位置は動かないまま、外周に層が積み重なる。

2. しまは どうして 1年に 1本?

2. 春〜夏と夏〜秋で、細胞の作りが変わる

2. 早材と晩材 ── 縞に見える細胞の差

形成層けいせいそうが つくる 細胞さいぼうは、季節きせつで すがたが かわります。

春から 夏に、木が げんきに そだつ ころは、大きくて かべの うすい 細胞さいぼうが できます。夏から 秋に、そだちが おとろえる ころは、小さくて かべの あつい 細胞さいぼうが できます[3]。

この 2つの ちがいが、色の うすい ところと こい ところに 見えます。うすい ところと こい ところで、1年ぶんです[3]。

ただし、そだつ 時期は 木や 場所で ちがいます。しらべた ところでは、そだち はじめは 4月の なかばから 6月の はじめ、おわりは 8月の なかごろから 10月まで と、ばらつきが ありました[3]。

春から夏にかけて成長が盛んな時期には、直径の大きい、壁の薄い細胞ができます。これを早材と呼びます。夏から秋に成長が衰える時期には、小さくて壁の厚い細胞ができ、こちらは晩材です[3]。

早材は色が淡く、晩材は濃く見えます。この濃淡の差が縞になり、早材と晩材の1組が1年ぶんです[3]。

ただし、成長の時期は一定ではありません。円周方向の成長は、始まりが4月半ばから6月上旬、終わりが8月中頃から10月までと、木によって開きがありました[3]。「春だけが早材、秋だけが晩材」と月で区切るのは、正確ではありません。

春から夏の成長が盛んな時期には、直径が大きく細胞壁の薄い細胞(早材)が、夏から秋の成長が衰える時期には、小型で壁の厚い細胞(晩材)が形成される。この差が濃淡の縞に見え、早材+晩材が1年輪にあたる[3]。

実測では、円周成長の開始は4月半ば〜6月上旬、終了は8月中頃〜10月と、木によって差がある[3]。時期は樹種・年・場所で異なるため、月を固定した説明は避けたほうがよい。

3. しまが 見えない 木も あるの?

3. 縞ができない木・見えにくい木がある

3. 年輪は「成長の休み」が生む ── 熱帯と散孔材

年輪ねんりんは、「そだつ 時期」と「やすむ 時期」の くりかえしで できます[4]。

1年じゅう あたたかい 熱帯雨林ねったいうりんでは、木が 1年じゅう そだつので、ふつう 年輪ねんりんは できません[4]。でも、雨季うきと 乾季かんきが はっきり 分かれる ところでは、乾季かんきに そだつのを やすむので、年輪ねんりんが 見える ことが あります[5]。

日本の コナラなどは、年輪ねんりんが 見えにくい 木です。水を はこぶ くだの 大きさが、春の 部分と 秋の 部分で あまり かわらないからです[4]。見やすさは、木の 作りにも よります。

年輪は、成長に適した時期と、成長を止める時期の繰り返しでできます[4]。季節の変化が少ない熱帯雨林では、木は連続して成長するため、ふつう年輪ができません[4]。

同じ熱帯でも、雨季と乾季がはっきり分かれるモンスーン林やサバンナでは、乾季に成長が止まるので年輪が確認できると説明されています[5]。縞の有無は、緯度そのものではなく、成長が止まる時期があるかどうかで決まるようです。

もう1つ、木の作りにもよります。コナラなど道管が全体に散らばる木(散孔材)は、早材と晩材で道管の大きさや密度に大きな差がなく、年輪が見えにくくなります[4]。

年輪は「成長に適した時期と成長を止める時期の繰り返し」で生じる。季節変動の少ない熱帯雨林では通年成長するため、ふつう年輪を形成しない[4]。一方、雨季と乾季が明確なモンスーン林やサバンナでは、乾季の成長停止により年輪が確認できる[5]。

樹種の構造も効く。コナラなどの散孔材は、早材でも晩材でも道管の大きさ・密度に大差がなく、年輪が見えにくい[4]。

4. しまの はばが、天気を おぼえて いる?

4. 年輪の幅は、その年の気候を映す

4. 年輪幅と気候 ── 江戸時代の飢饉の年

年輪ねんりんの 幅はばは、どの 年も 同じでは ありません。気候きこうによって、ひろく なったり せまく なったり します[6]。

たとえば、江戸時代えどじだいの 飢饉ききんの 年は、気温きおんが ひくくて 木の そだちが わるく、年輪ねんりんの 幅はばも せまい ことが わかって います[6]。

木は しゃべりませんが、幅はばの ならびが、その 年の 天気の ようすを のこして いるのです。

年輪の幅は、気候によって広くなったり狭くなったりします[6]。成長に向かない年は、木が太る量が少なくなるためです。

例として、江戸時代の飢饉の年は気温が低く、木の成長が悪いので、年輪の幅も狭いことが分かっています[6]。文字の記録が少ない時代の天気を、木が別の形で残していることになります。

年輪幅は気候によって変動する。奈良文化財研究所の解説によれば、江戸時代の飢饉の年は気温が低く、木の成長が悪いため年輪幅が狭いことが分かっている[6]。

幅の変動を古い時代の気候の手がかりとして使えることは、次章の年代測定の前提にもなる。

5. しまの ならびで、木が 切られた 年が わかる?

5. 幅の並びをつなげて、年代の物差しにする

5. 年輪年代学 ── 1年単位で伐採年を当てる仕組み

年輪ねんりんの 幅はばの ならびは、年ごとに ちがいます。生きている 木の 年輪ねんりんから、ふるい 木の 年輪ねんりんへと、ならびを 重ねて つないで いくと、年代の 物差しものさしが できます[6]。これを 年輪年代学ねんりんねんだいがくと 言います。

この やり方は、奈良文化財研究所ならぶんかざいけんきゅうじょが 1980年代に、つかえる ように しました。ヒノキと スギの 物差しものさしは、やく 3000年ぶんに なります[7]。

ただし、ヒノキが 3000さい という ことでは ありません。たくさんの 木の ならびを つないだ 長さです。

これで、古い 柱はしらなどの 木が、何年に 育ったか、1年の ちがいで しらべられると 言われて います[9]。ただし、外がわが けずられて いる 木では、切られた 年が はっきり しない ことも あると 考えられます。

年輪の幅の並びは、年ごとに違います。この変動を、現在から古い時代へ向かってつなぎ合わせると、年代を測る物差しができます[6]。これが年輪年代学です。

つなぎ方は、年が分かっている生きた木から始めます。古い木材の年輪パターンを、すでにできている標準の曲線と比べ、重なる部分を見つけて、少しずつ過去へ延ばしていきます[8]。

日本では、奈良文化財研究所が1980年代にこの方法を実用化しました。ヒノキやスギの標準パターンは約3000年分です[7]。約3000年とは、ヒノキ1本が3000歳という意味ではなく、多くの木を重ねてつなげた長さのことです。

奈文研の説明では、木質の文化財に使われた木の年輪が何年に形成されたかを、1年の精度で明らかにできるとされています[9]。ただし、削られて外側が残っていない材では、伐採年が分かるとは限りません。

年輪年代学は、年輪幅の変動を現在から遡ってつなぎ合わせ、年代の物差しをつくる方法だ。文化財の木材について、年輪が形成された年を1年単位で特定できる。伐採年まで分かるかは、外側の材が残っているかによる。数ある年代測定法の中で最も精度が高いとされる[6]。

標準パターンは、年が既知の生きた木の年輪変動から蓄積し、古い試料の年輪パターンを既知の標準曲線と比較して重なりを見つけ、過去へ延ばして作る(クロスデーティング)[8]。放射性炭素年代測定は数十〜数百年の統計誤差を含むのに対し、年輪年代法は年単位で決まると説明される[8]。この比較の記述は百科事典による整理である。

日本では、奈良文化財研究所が光谷拓実らの研究を通じて1980年代に実用化した。ヒノキ・スギの暦年標準パターンは約3000年分に及ぶ。約3000年は、多数の木を接続した長さであり、1本の木の樹齢ではない。適用できる主な樹種は、ヒノキ・スギ・コウヤマキ・ヒバだ[7]。

奈文研の年代学研究室は、木質文化財に使われた木の年輪が何年に形成されたかを1年の精度で誤差なく明らかにできる、と説明する[9]。ただし、伐採年まで分かるのは樹皮直下まで材が残る場合に限られると考えられる。外側が削られた材では、示されるのは「その年以降」となる。

6. いちばん 長生きの 木は、なん年?

6. 年輪を数えて推定された、約4700年の木

6. メトセラ ── コア試料の年輪から推定された長寿樹

アメリカに、ブリッスルコーンパインと いう 木が あり、「メトセラ」と 名づけられて います。1957年に シュルマン博士はかせが 見つけました[10]。

年輪ねんりんを 数えると、やく 4700年と 考えられて います[10]。木を まもる ため、生えて いる 場所は ひみつに されて います[10]。

米国のブリッスルコーンパインの1本は、「メトセラ」と呼ばれる長寿の木です。1957年にシュルマン博士が発見しました[10]。

コア試料の年輪から、約4700年と推定されています。木を守るため、正確な場所は公表されていません[10]。

米国の長寿樹メトセラ(ブリッスルコーンパイン, bristlecone pine)は、1957年にシュルマン博士が発見した。コア試料の年輪から約4700年と推定される[10]。ニューヨーク植物園(NYBG)の解説によれば、保護のため正確な場所は公表されていない[10]。

7. 切り株きりかぶの 縞しまを 見に 行こう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 出口 ── 縞を観察する/原典を読む

おうちに ある 木の まるい きれはしや、さわって よい 場所に ある 切り株きりかぶを 見つけたら、縞しまを ゆびで そっと なぞって みましょう。ぜんぶ 数えられなくても だいじょうぶです。

いちばん 外がわが 新しい 年輪ねんりんで、木の 皮の すぐ 下まで のこって いれば、切られた 年を しらべる てがかりに なります。ひろい 縞しまと せまい 縞しまを さがして、どちらが 多いか 見て みましょう。

家にある木の断面や、触れてよい場所にある切り株を探してみてください。外側(樹皮に近いほう)が新しい年輪です。幅の広い縞と狭い縞のどちらが多いか、縞が読みにくい木がないかを見てみましょう。

原典を読むなら、奈良文化財研究所のなぶんけんブログや年代学研究室のページ[6][9]が日本語で読めます。

家にある木材の小口や、触れてよい場所の切り株を見つけ、外側から内側へ縞を数えて、幅が広い年と狭い年を分けてみるとよい。縞が読みにくい樹種があるのも、前掲の通りだ。

原典に当たるなら、奈良文化財研究所のなぶんけんブログ[6][7]、年代学研究室のページ[9]が日本語で読める。年輪の形成の詳細は、日本植物生理学会の植物Q&A[3][4]が参考になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:大学・学会・奈良文化財研究所の解説ページ、ニューヨーク植物園のブログ、百科事典を使った。熱帯の年輪と年代測定の比較の一部は、二次的な解説による。

  1. 山形大学「年輪の構造」。 https://www.tr.yamagata-u.ac.jp/~fi/Treering/Structure/ (形成層と木部・樹皮のでき方について)
  2. 子供の科学「木にはどうして年輪があるの?」。 https://www.kodomonokagaku.com/read/hatena/5145/ (外側の年輪ほど新しいことについて)
  3. 日本植物生理学会 植物Q&A「年輪のできる季節・時期」。 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=6028 (早材と晩材、成長の始まりと終わりの時期について)
  4. 日本植物生理学会 植物Q&A「落葉樹の年輪がはっきりしない理由」。 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=5157&key=&target= (熱帯で年輪ができにくいことと、散孔材について)
  5. もりわく「年輪からわかる樹木のこと」。 https://moriwaku.jp/learn/836/ (雨季と乾季のある地域の年輪について)
  6. 奈良文化財研究所 なぶんけんブログ(22)「年輪から知る年代と気候」。 https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2014/06/tanken22.html (年輪幅と気候、年代の物差しについて)
  7. 奈良文化財研究所 なぶんけんブログ「年輪年代学」。 https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2010/01/koukokagaku-nenrin.html (実用化の時期と、標準パターンの長さについて)
  8. 「年輪年代学」日本語版ウィキペディア。 https://ja.wikipedia.org/wiki/年輪年代学 (標準パターンの延ばし方と、放射性炭素年代測定との比較について)
  9. 奈良文化財研究所 年代学研究室。 https://www.nabunken.go.jp/org/maibun/dating.html (年輪年代法で分かることについて)
  10. New York Botanical Garden, Plant Talk "A Bristlecone Pine Named Methuselah". https://www.nybg.org/blogs/plant-talk/2011/12/gardens-and-collections/a-bristlecone-pine-named-methuselah/ (メトセラの発見と、年数の推定、場所の非公開について)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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