1. 1まいで、平行な 線は ひけるの?
1. 平行な線を引くのに、なぜ2枚いるのか
1. 平行線の作図:1枚を固定し、もう1枚をすべらせる
ノートに 平行な 線を 2ほん ひきたい とき、三角じょうぎは 2まい つかいます[6]。
1まいは、紙の 上で うごかない ように おさえます。もう 1まいを、その へりに そって すべらせて、線を ひきます[2]。
まんなかに あなが あいた じょうぎが 多いのは、あなから 空気が にげて、紙の 上で ずれにくく なるからだと いわれます[3]。
はしの 2ほんが そろって つかいやすい ように、三角じょうぎも 2まいで ひとそろいです。ただし、はしは おなじ 形で、三角じょうぎは ちがう 形です。
では、その 2まいは、どんな 形なのでしょう。
1枚を押さえ、もう1枚をすべらせる
小学校の算数で平行な線を引くときは、三角定規を2枚使い、1枚を押さえる側、もう1枚をずらす側にすると教えられています[6]。武蔵野美術大学の解説でも、2枚をしっかり固定し、一方を決まった向きに動かして線を引く手順が紹介されています[2]。
押さえた1枚の辺に沿ってもう1枚を動かすと、動かした定規の向きが変わりません。だから、動かす前と後に引いた線が平行になります。1枚だけだと、動かしたとき基準になる辺が残りません。
製図の机では、T定規の上をすべらせる
製図では、T定規と組み合わせて使われます。T定規の上に三角定規を置いて左右にすべらせると、垂直な線や決まった角度の線を引けます[4]。三角定規の中心に穴が開いているものが多いのは、紙との間に空気が残らないようにして、紙の上で固定しやすくするためだと説明されています[3]。
平行線は2枚でできることが分かりました。では、その2枚は、なぜあの角度なのでしょうか。
平行線を引くには、動かしている間も向きが変わらない基準が要る。三角定規1枚を紙の上で動かすと、基準にした辺も一緒に動いてしまう。そこで、小学校では2枚を使い、1枚を押さえる側、もう1枚をずらす側にして平行線を引くと教えられている[6]。武蔵野美術大学の資料も、2枚をしっかり固定して一方を動かし、線を引く手順を示している[2]。
押さえた辺に沿って動かすかぎり、動かす定規の向きは保たれる。このため、動かす前後の辺は平行になる。製図ではこの役を、T定規が担うことが多い。T定規の上に三角定規を置いてすべらせると、垂直線や決まった角度の線が引ける[4]。
三角定規の中心に穴があるものが多い。その理由は、紙との間に空気が残らないようにするためだと説明される。ただしこれはWikipediaの記述[3]なので、「多い」程度の強さで読むのがよい。
平行線の引き方は、2枚の関係で決まる。では、その2枚の角度は、なぜ今の組み合わせなのか。
2. 2まいは、何を 半分に した 形?
2. 2枚は、正方形と正三角形を半分にした形
2. 直角二等辺三角形と半正三角形:辺の比で見る2枚
1まいは、角が 90度・45度・45度の 三角形です。もう 1まいは、90度・60度・30度の 三角形です[1]。
45度の ほうは、正方形を ななめの 線で 半分に した 形です。60度と 30度の ほうは、正三角形を、てっぺんから まっすぐ 下へ 切って 半分に した 形です[5]。
正方形の 紙を ななめに おって みると、45度の 三角形と おなじ 形が 2まい できます。
どうして この 形に 決まったのかを 書いた 本は、読んだ 中には ありませんでした。
3. 2まいの 長い へんは、おなじ 長さ?
3. 2枚の「長い辺」が、同じ長さにそろえてある
3. 辺の長さの対応:サイズが1つの長さで表される理由
この 2まいには、しかけが あります。45度の 三角形の いちばん 長い へんと、60度と 30度の 三角形の 2ばんめに 長い へんが、おなじ 長さに なって います[3]。
この 長さを、三角じょうぎの サイズを あらわす めやすに すると いわれます[3]。
たとえば、この 長さが 30センチなら、45度の 三角形の みじかい へんは 21センチ ぐらいです。60度と 30度の 三角形の いちばん みじかい へんは、17センチ ぐらいに なります。これは けいさんで 出した 数です。
長さが そろって いれば、2まいの へんを ならべても、ぴったり かさなります。
斜辺と、長いほうの隣辺
直角二等辺三角形の斜辺と、30°・60°・90°の三角形で、90°と30°ではさまれた長いほうの辺は、長さが等しくなっています。Wikipediaによると、この長さが三角定規のサイズを表す目安になります[3]。30°・60°・90°の三角形の斜辺は、これよりもさらに長い別の辺なので、取りちがえないようにします。
数字にすると
この長さを30cmとして、辺の比から計算してみます。直角二等辺三角形の短い2辺は、30÷√2で約21.2cmです。30°・60°・90°の三角形では、いちばん短い辺が30÷√3で約17.3cm、斜辺はその2倍の約34.6cmになります。製図用の直角二等辺三角形は斜辺が24〜30cmほどのものが多い、と紹介されているので[3]、手もとの定規とも見比べやすい大きさです。
長さがそろっていれば、2枚の辺を重ねて並べることができます。では、並べると何が増えるのでしょうか。
直角二等辺三角形の斜辺(45°と45°の間にある辺)と、30°・60°・90°の三角形の長いほうの隣辺(90°と30°の間にある辺)は、長さが等しい。Wikipediaによると、この長さが三角定規のサイズを表す目安になる[3]。30°・60°・90°の三角形の斜辺は、これとは別のさらに長い辺であり、混同しないようにしたい。
比で確かめると、直角二等辺三角形の斜辺は短辺の√2倍(約1.41倍)、30°・60°・90°の三角形の長いほうの隣辺は最短辺の√3倍(約1.73倍)である。この2つを等しくおくと、30cmなら、前者の短辺は約21.2cm、後者の最短辺は約17.3cm、後者の斜辺は約34.6cmになる。これは辺の比からの計算であり、実際の製品の寸法を示すものではない。製図用の直角二等辺三角形は斜辺が24〜30cmほどで、目盛りがないものが多いと紹介されている[3]。
長さの基準が1つにそろっていると、サイズを1つの数字で言え、2枚の辺どうしをそのまま重ねられる。この重ねられることが、次の章の角度に関わってくる。
4. 2まいを くみあわせると、どんな 角が できる?
4. 足したり引いたりすると、15°や75°も出てくる
4. 角の足し引き:15°・75°・105°ができる条件
2まいを つかうと、よこと たての 線の ほかに、30度・45度・60度の ななめの 線も ひけます[2]。
さらに、角を たしたり ひいたり して みます。45から 30を ひくと 15度です。45に 30を たすと 75度です。60に 45を たすと 105度に なります。
2まいを いちばん 長い へんの ところで あわせると、15度や 75度が できると 書いた 本も あります[4]。
ただし、ほんとうに 線が ひける 角は、2まいの おきかた しだいです。
まず、1組でできる角
2枚を組み合わせると、水平・垂直の線のほかに、30°・45°・60°・90°を使った斜めの線が引けます[1]。
足し引きでできる角
2枚の角を足したり引いたりする計算を考えると、45−30=15、45+30=75、60+45=105、60−45=15と、新しい角が出てきます。英語版Wikipediaにも、斜辺どうしを合わせる組み方で15°と75°の角ができる、という説明があります[4]。
ただし、これは角度の計算です。実際に引ける角は、2枚をどの辺で合わせ、どの向きで置くかによります。計算で出た数を、そのまま「どんな角度でも引ける」とは読みません。
では、2枚の組み合わせで足りない角度は、どうしてきたのでしょうか。
2枚の角は、30°・45°・60°・90°である。これらを組み合わせると、水平・垂直線のほかに、これらの角を使った斜線が引ける[1]。ここに角の足し引きを加えると、45−30=15、45+30=75、60+45=105、60−45=15という計算ができる。英語の資料でも、2枚を斜辺どうしで組み合わせると、15°と75°の角ができると説明されている[4]。
注意したいのは、これが「2枚の角を足し引きすれば何でも引ける」ことを意味しない点だ。実際に線を引けるのは、2枚の辺を重ね、置く向きを決めたうえで、その辺が目的の角を作るときに限られる。たとえば、2枚の角の和や差が15°の倍数に集まるのは、30°・45°・60°・90°がどれも15°の倍数だからであり、このような角の足し引きでは、15°の倍数以外は出てこない。
では、そうした限界に対して、人はどんな道具を使ってきたのか。
5. 2まいで たりない 角度は どうするの?
5. 2枚で足りない角度のために、別の道具がある
5. 三角規から勾配定規・ゲオドライエックまで
むかしの 三角じょうぎは、いまと ちがって いました。めいじの はじめごろは「さんかくき」と よばれ、おもに 直角を みる ための ものだった ようです[1]。
直角の ほかの 角は、まちまちでした[1]。
どんな 角度でも ひきたい 人には、角度を かえられる どうぐが あります。2まいの 三角形を つないで、ぶんどきの 目もりが ついた 板に とめた ものです[1]。
ドイツ語を つかう 国の 学校では、45度の 三角形に、ものさしと ぶんどきの 目もりを あわせた どうぐも つかいます。1964ねんに 作られた ものです[4]。
「三角規」と呼ばれていたころ
三角定規は、明治時代の初めには「三角規」という名前で文献に出てきます。そのころは、おもに直角を見るための道具だったようです。直角以外の角は、まちまちでした[1]。今のような決まった2枚1組になるまでの経緯は、用語集には書かれていません。
角度を自由に変えられる道具
角度を自由に変えられる勾配定規は、分度器つきの目盛板で、動かせる2枚の三角形をつないだ道具です。三角定規だけでも角の組み合わせでいろいろな角度が作れますが、勾配定規なら任意の角度の線が引けます[1]。
ドイツ語圏の学校では、45°・45°・90°の三角形に定規と分度器の目盛りを合わせたゲオドライエック(Geodreieck)が使われています。1964年にドイツのメーカーが開発したものです。日本の三角定規とは別の方式で、起源の話ではありません[4]。
三角定規は明治時代の初めに「三角規」の名で文献に現れ、当時は主に直角を見ることが目的だったようだ。そのため、直角以外の角はまちまちだった[1]。当時の三角規は、直角を見ることが主な目的だったようだ。
2枚の角の組み合わせの限界に対しては、別の道具がある。勾配定規は、分度器つきの目盛板でつないだ、可動式の2枚の三角形からなり、任意の角度の線を引け、角度を測ることもできる[1]。
ドイツ語圏の学校のゲオドライエックは、45°・45°・90°の三角形に、定規と分度器の目盛りを合わせたもので、1964年にDennert & Pape Aristo-Werkeが開発した[4]。日本の三角定規が角度の組み合わせで多くを賄うのに対し、こちらは目盛りで任意の角度を読む方式である。ただし、これは別の方式の紹介にとどまり、日本の三角定規の起源とは関係がない。
6. 三角じょうぎで、ためして みよう
6. 家の三角定規で、平行線と長さを確かめる
6. 手もとの2枚で検算する:平行線と辺の長さ
うちに 三角じょうぎが 2まい あれば、ノートで ためせます。1まいを おさえて、もう 1まいを すべらせ、線を 3ぼん ひいて みましょう。
3ぼんは、ずっと おなじ はばで ならびましたか。
つぎに、2まいの いちばん 長い へんを ものさしで はかって みます。おなじ 長さか どうかが、わかります。
2枚あれば、ノートで試せる
手もとに三角定規が2枚あれば、ノートに平行な線を3本引いてみます。1枚を押さえ、もう1枚をすべらせて、線の間がどこでも同じ幅になるか、ものさしで測って確かめます。
次に、直角二等辺三角形の長い辺と、30°・60°・90°の三角形の90°と30°の間の辺を、定規で測ってみます。同じ長さに近いかどうかを見ます。製品によって細かい寸法のちがいがあるかもしれません。
もっと知りたくなったら
武蔵野美術大学の「造形ファイル」の用語集と、同大学の三角定規の解説資料には、勾配定規を含む種類や使い方が出ています。出典欄から読めます。
手もとの2枚で、2つのことを検算できる。1つめは平行線で、ノートに1枚を固定し、もう1枚をすべらせて3本引き、線の間隔を定規で測る。何か所か測って間隔が同じなら、平行になっているか確かめる手がかりになる。
2つめは辺の長さで、直角二等辺三角形の斜辺と、30°・60°・90°の三角形の90°と30°の間の辺を測り、等しいかを確かめる。2つの辺を測り、手もとの定規でどのくらい同じ長さに見えるか比べてみる。
原典にあたるなら、武蔵野美術大学の「造形ファイル」の用語集と解説PDFがある。出典欄から読める。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。年・名称・寸法は、資料によって細部が異なることがあります。
- 武蔵野美術大学 造形ファイル「三角定規」 https://art-design-glossary.musabi.ac.jp/triangle (2枚組の角度、明治初期の三角規、勾配定規)
- 武蔵野美術大学 造形ファイル「三角定規」解説PDF https://zokeifile.musabi.ac.jp/wpwp/wp-content/uploads/2014/07/126_triangle.pdf (平行線の引き方、引ける角)
- Wikipedia「三角定規」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%A7%92%E5%AE%9A%E8%A6%8F (辺の長さのそろえ方、サイズ、穴。二次資料)
- Wikipedia, Set square https://en.wikipedia.org/wiki/Set_square (T定規との組み合わせ、15°と75°、ゲオドライエック。二次資料)
- Mathwords, 30-60-90 Triangle https://www.mathwords.com/3/30_60_90_triangle.htm (正三角形の半分としての30-60-90)
- えれすくーる 小学4年生の算数 垂直と平行 https://eleschool-compass.com/contents/sansu/tangen/g4-suichoku-heikou.php (学校での平行線の引き方。教材ページ)
なおした ところ
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