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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

チューリップの はなが おわったら、はっぱは なにを しているの?

花が散ったあとのチューリップの葉は、何をしているのか

花が散ったチューリップの葉は、何をしているのか ── しぼむ親の球根と、育つ新しい球根

分野:自然

チューリップの はなが ちっても、はっぱは しばらく みどり色の ままです。この はっぱは、つちの 中の 新しい 球根を ふとらせて いると いう けんきゅうが あります。そのあいだ、おやの 球根は しぼんで いきます。

はなが おわった あとの はっぱは、なにを しているのでしょう。この メモでは、チューリップが 1ねんの あいだに、ねっこ、はな、はっぱ、球根を どう つかうのかが わかります。

春に咲いたチューリップの花びらが落ちたあとも、葉は緑のまま残ります。花が散り、葉が黄ばみ始めても、チューリップの光合成は盛んな時期の約50%を保ち、葉が枯れるまで続きました(島根大学の研究)。作られた養分は、新しい球根を太らせるために使われます。

花が終われば株の仕事も終わり、というわけではないようです。では葉は、花のあとに何をしているのでしょうか。この記事では、秋の根から夏の球根まで、チューリップの1年の流れと、親の球根から新しい球根へ世代が移るようすが分かります。

チューリップは、花が終わると葉も用済みになるように見える。しかし島根大学の観察では、開花後の光合成でできた養分は、重点的に新しい球根の肥大に回されていた。葉が黄ばみ始めても、光合成は盛時の約50%(見かけの量)を枯れるまで続けたという。

では、その養分は何に使われ、親の球根はどうなるのか。この記事では、栽培マニュアルと山形・島根・新潟の研究をもとに、根、低温、開花、新球の肥大、夏の花芽という1年の流れが分かる。

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1. あきに うえた 球根から、さいしょに のびるのは?

1. 秋に植えた球根は、まず根をのばす

1. 秋植え球根の発根:植えつけの地温が15℃以下とされる理由

あきに 球根を うえると、つちの 中で さいしょに のびるのは、はっぱでは ありません。ねっこです。

チューリップの ねっこは、うえた ことを きっかけに、いっせいに のび はじめると いわれます。えだ わかれは せず、細かい けも あまり はえません。一どきずが つくと、もとには もどらないそうです[1]。

だから うえる ときは、ねっこが のびやすい あつさに なるまで まちます。地めんの 温度が 15度いかに なってからです。

球根の 中は、みじかい くきの まわりに、うすい かわのような ものが かさなって います。これは 養分ようぶんを ためる やくに かわった はっぱです[1]。

では、さむい ふゆの あいだ、球根は ただ ねて いるのでしょうか。

花屋で球根を買って、秋に植えたとします。土の中で最初に動くのは、芽ではなく根です。

チューリップは、中央アジアから地中海沿岸が原産とされるユリ科の植物です。秋に植え、冬の寒さを通って春に咲く「秋植え球根」の代表で、夏は地上部が枯れて、新しい球根に養分をためたまま休眠して過ごします[1]。

富山県の栽培マニュアルによると、根は植えつけをきっかけに一斉にのび始めます。枝分かれせず、根毛も発達せず、一度傷つくと再生しないとされています[1]。そのため植えつけは、発根に向く地温15℃以下になってから行うよう示されています。10月以降は、球根の底にある根盤部の先端がふくらみ、幼い根が見えてきます。

球根そのものは、短くなった茎のまわりに、養分をためる役に変わった葉(鱗片)が重なり、外側を木のように硬い外皮が包む形です[1]。この鱗片が、あとの章で大切な役をします。

根がのびても、地面の上にはまだ何も見えません。冬の間、球根は何を待っているのでしょうか。

秋に球根を植えると、最初に動くのは根である。富山県の栽培マニュアルは、根が植えつけをきっかけに一斉にのび始め、分枝せず根毛も発達せず、一度傷つくと再生しないと述べる。そのため、発根に適する地温15℃以下になってから植えることが示されており、10月以降に根盤部の先端がふくらんで幼根が見えてくる[1]。根が枝分かれしないため、植えつけるときは根を傷めないように扱う必要がある。

チューリップはユリ科チューリップ属で、原産地は中央アジアから地中海沿岸とされる。秋に植え、冬の低温を経て春に生育・開花し、高温乾燥期になると地上部が枯れて、新球に養分を蓄えた休眠状態で夏を越す[1]。この一年周期が、以降の章の骨組みになる。

では、休眠中の球根の体は何でできているのか。同マニュアルによれば、球根は短縮した茎のまわりに、葉が養分貯蔵器官に変化した鱗片がつき、外側を木質化した鱗片の外皮が包む有皮鱗茎である[1]。園芸会社の解説にも、鱗片が養分(デンプン)を蓄えた厚い層で、中心には小さな未発達の花があるという記述がある[7]。ただしこちらは販売会社の補助的な説明である。

根が先に出ても、地上は動かない。この冬の間に何が必要なのかを、次に調べる。

2. ふゆの さむさは、チューリップに ひつようなの?

2. 冬の寒さは、咲くための準備の時間

2. 低温要求:5℃・8週間の促成栽培が示す、寒さと茎の長さの関係

チューリップは、ふゆの さむさを とおって、はるに さきます。ある けんきゅうでは、花を はやく さかせる ために、球根を 5度の れいぞうこに 8しゅうかん いれてから、はちに うえて いました[2]。

この さむい じかんを みじかく すると、くきは みじかく なりました。ただし、しゅるいに よっては、3しゅうかんでは めが でなかったり、ふつうに さかなかったり しました[2]。

「8しゅうかんが ぜったい」と いう ことでは ありません。しゅるいごとに、ちょうど いい さむさの ながさは ちがうのです。

さむさを とおった 球根は、はるに なると、いよいよ めを だします。

栽培の資料では、チューリップの生育を4つの時期に分けています。植えつけから翌春の雪解けまでは「発育準備期」で、5〜15℃くらいの低温にあうことで、咲くのに必要な寒さの条件を満たす時期とされています。これは産地での目安で、野外にそのまま当てはまる固定値ではありません[1]。

寒さが関わっていることは、花を早く咲かせる促成栽培の研究からも分かります。埼玉県の研究では、球根を5℃の冷蔵庫に8週間入れてから鉢に植えていました。その低温処理を短くするほど、茎は短くなりました[2]。

ただし短ければ得、という話ではありません。品種によっては、3週間では芽が出なかったり、正常に咲かなかったりしたと報告されています[2]。8週間が正解という意味でもなく、品種ごとに合う寒さの長さは違うようです。

冬の寒さをくぐった球根は、春になると芽を地上に出します。花を咲かせるための栄養は、どこから来るのでしょうか。

冬の寒さは、チューリップにとって単なる耐えるべき環境ではなく、咲くための条件になっている。富山県のマニュアルは生育を4期に分け、植えつけから翌春の融雪までを発育準備期とし、5〜15℃の低温で低温要求を満たす期間と位置づける。その前の器官分化期(掘り取りから植えつけまで)は、植えつけまでの貯蔵温度として20〜23℃、早春の萌芽から開花までの発育伸長期は17℃前後、開花後の球根肥大期は20℃前後とされるが、これらは産地栽培での目安であり、野外の固定値ではない[1]。

低温の長さが形に出る例が、埼玉県の促成栽培の研究である。球根を5℃の冷蔵庫に8週間入れてから鉢に植える方法では、低温処理を短くするほど茎が短くなった。茎が短い鉢花に仕立てたいなら処理を短縮したくなるが、品種によっては3週間では発芽しなかったり、正常に咲かなかったりした[2]。茎の長さの調整と、咲くこと自体の確実さがぶつかる、というのがこの研究の見せる限界である。そのため、8週間を普遍的な正解と読むことはできず、品種ごとに最適な低温処理が異なると理解するのが妥当である。

では、この寒さをくぐった球根は、春に何を材料にして伸びるのか。次に、芽が地上に出てから開花までを見る。

3. はるに さくまでの あいだ、えいようは どこから くるの?

3. 春に咲くまでの数週間、養分は何に使われるのか

3. 芽が出てから開花まで:貯蔵養分の移動と、葉の光合成の役割

島根大学の人が しらべた ときは、3月の はじめに めが ちじょうに でました。4月の はじめから ぐんぐん のびて、4月の なかごろに はなが さきました[3]。これは その ばしょ、その としの ようすで、どこでも おなじ ひでは ありません。

のびて いるあいだ、えいようは どこから くるのでしょう。ある けんきゅうでは、球根に ためて あった 養分ようぶんが、のびる ところへ うつって、くきや はっぱが のびました[5]。

はっぱが ひらくと、日の ひかりで 養分ようぶんを つくる 光合成こうごうせいも はじまります。はなが さくまでは、この 養分ようぶんは くきを のばしたり、はっぱを ひろげたり、はなを さかせたり するのに つかわれました[3]。

では、はなが さいた あとは、どうなるのでしょう。

島根大学砂丘農場での観察(品種アペルドールン)では、チューリップは3月上旬に芽が地上に出て、4月上旬から生育が速まり、4月中旬に咲きました[3]。これはその場所と年と品種での値で、全国共通の日付ではありません。

のびるあいだの材料は、どこから来るのでしょうか。山形県の研究では、低温処理をした球根を植えると、球根にためてあった養分が生長点に移って茎や葉がのびました[5]。球根の中心には、まだ小さな花があるという解説もあります[7]。

葉が広がると、日光を使った光合成も始まります。島根大学の研究では、開花までの光合成でつくられた養分は、茎ののび、葉の拡大、開花に使われたと整理されています[3]。

ところが、この研究は、開花のあとで使い道が変わることも示していました。花が咲いたとき、葉の仕事は終わるのでしょうか。

島根大学砂丘農場での観測(品種アペルドールン)では、チューリップは3月上旬に芽が地上に出て、4月上旬から生育が速まり、4月中旬に開花した[3]。この日付は栽培地・年・品種に依存し、全国共通ではない。

では、伸長期の材料はどこから来るのか。山形の研究(低温処理した球根を植えた試験)では、母球の貯蔵養分が生長点へ移行して茎葉が伸び、同時に新球もある程度は発育し始めた[5]。つまり春の最初の成長は貯蔵養分に支えられているが、それは新球づくりがすでに始まっていることとも並行している。この記述は低温処理区での試験であり、一般の畑の状況として断定はできない。

葉が展開すると光合成が加わる。島根大学の研究は、光合成でできた同化物質が、茎葉発育期には茎の伸長・葉面積の拡大・開花に使われ、開花期後は重点的に新球根の肥大に使われると整理している[3]。また、球根の中心には未発達の小さな花と生長点があるとする園芸会社の解説もある[7]。

開花後は、光合成でできた養分が新球の肥大に重点的に使われる。次に、花後の葉を見る。

4. はなが ちったあとも、はっぱが みどりなのは なぜ?

4. 花びらが落ちたあとも、葉が働き続ける

4. 開花後の葉の光合成:盛時の約50%が枯死まで続くという測定

はなが おわった ばしょを みると、はっぱだけが のこって います。かれて しまいそうに みえます。

でも、島根大学の けんきゅうでは、はなが さいたあとの 養分ようぶんは、おもに あたらしい 球根を ふとらせる ために つかわれて いました[3]。

5月に なって、はっぱが きばんで きても、光合成こうごうせいは すっかり とまりません。いちばん さかんな ときの 半分くらい(約やく50%)を、かれるまで つづけて いました[3]。

はっぱが おおきいと、ひかりを うける ところも ひろく なります。はっぱが みどりの あいだに つくった 養分ようぶんは、あたらしい 球根の せいちょうに つかわれます。そこで 球根を そだてる 農家では、はっぱが おおきく なるように、水やりを くふうして います[1]。これは 農家の はたけの やりかたで、おうちの はちと おなじでは ありません。

では、つちの 中では おやの 球根が どうなって いるのでしょう。

花びらが落ちると、残った葉は役目を終えたように見えます。ところが島根大学の研究では、開花期のあとの養分は、重点的に新しい球根の肥大に使われていました[3]。

5月に入り、葉が老いて黄ばみ始めても、光合成は盛時の約50%ほどを、茎葉が枯れるまで続けました。著者はこの結果を、開花後の茎葉が大切であることを示すものと述べています[3]。この50%は、そのときの見かけの光合成量の盛時との比べで、花後の養分全体の半分という意味ではありません。

葉の大きさが関わることは、栽培の現場の工夫にも出ています。富山県のマニュアルは、春から5月中旬にかけて、葉の面積が大きくなるよう水やりを管理するよう示しています[1]。葉面積が球根の収量を左右する要因であることは、島根大学の研究にも書かれています[3]。これは農家の畑での方法で、家庭の鉢にはそのまま使えません。

葉の働ける期間にも、限りがあります。球根が育つ時期の目安は20℃前後で、フェーン現象のような高温にあうと枯れ上がりが早まり、球根の肥大が抑えられると報告されています[1]。

さて、葉が養分を送り込む先の新しい球根は、どこにできるのでしょうか。親の球根は、そのあいだ、どうなっているのでしょう。

開花後の葉は役目を終えた器官ではない、というのが島根大学の測定の読みである。光合成でできた同化物質は、開花期後は重点的に新球根の肥大に使われている。5月に入って葉が老化し黄ばみ始めても、光合成は盛時の約50%程度を茎葉の枯死まで続けた。著者はこれを、開花期後の茎葉の重要性を如実に示すと述べている[3]。ただし50%は盛時比の見かけの光合成量であり、花後の養分全体の半分という意味ではない。

この結果は、栽培の指針とも整合する。富山県のマニュアルは、春から5月中旬にかけて、第1葉の葉長×葉幅で表す葉面積指数が大きくなるよう、うね間かん水を行うよう示す[1]。葉の大きさが球根収量を左右することは島根の研究も述べており[3]、葉が大きいほど光を受けて新球に回せる養分が増える、という筋道が両者から読み取れる。ただし、かん水の目安は農家の圃場での方法で、家庭の鉢でそのまま同じ手順になるわけではない。

葉が働ける期間には限りがある。球根肥大期は20℃前後で、開花から枯れ上がりまでの新球の肥大が盛んな時期だが、フェーン現象などの高温に遭うと枯れ上がりが早まり、球根の肥大が抑えられる[1]。つまり新球の大きさは、葉の大きさと、葉が緑でいられる日数の両方に左右されうる。

では、その養分を受け取る側で、何が起きているのか。次に、親の球根と新球の関係を見る。

5. おやの 球根は、どうなって しまうの?

5. 親の球根はしぼみ、新しい球根が育つ

5. 母球から新球へ:鱗葉の萎縮、低温による球根形成、掘り取りの目安

つちを ほりおこすと、おやの 球根は ちいさく しぼんで います。そして そのよこに、あたらしい 球根が できています。

山形大学の 研究では、あたらしい 球根が できると、おやの 球根の うすい かわのような ぶぶんは だんだん ちぢんで かれました。その 養分ようぶんが うつって、あたらしい 球根が そだつと わかりました[4]。

べつの 研究では、くきや はっぱが 黄色く なって、せいちょうが とまる ころから、あたらしい 球根が いきおいよく そだちました[5]。

実験じっけんで よく そだった ものは、あたらしい 球根の おもさの 合計が、はじめの 球根の 半分ほどに なりました[4]。これは 実験室じっけんしつでの 話で、はたけの ふつうの そだて方の わりあいでは ありません。

こうして チューリップは、おやから 子へ、せだいを うつして いくのです。

花が咲き、葉が光合成を続けるあいだ、土の中では世代交代が進みます。

山形大学の研究(掘り上げた球根を温度処理した実験)では、新しい球根の形成が進むと、親の球根の鱗葉は次第に縮み、やがて乾いて枯れました。鱗葉の養分が移って、新しい球根が育つと調べられています[4]。

実験でよく育った区では、新球の重さの合計が、調査時の球根重の約80%、はじめの球根重の約50%に達しました[4]。ただし恒温器で貯蔵した球根での値で、畑の一般的な割合ではありません。

低温との関係も調べられています。0.5〜5℃で60日以上の処理をした球根は、親の球根の中に新球を作りましたが、30日では作らず、15℃では140日置いてもほとんど作りませんでした。新球ができ始める温度は0〜5℃、新球の発育に向く温度は10〜15℃と考えられました[4]。さらに別の研究では、低温処理した球根を植えると、茎葉と並行して新球もある程度育ち、茎葉の成長が止まって黄ばむころから新球が急に育ちました[5]。

産地の掘り取りは、おおむね5月下旬〜6月下旬です。外皮の約5割が色づいたときに掘ります。早すぎると外皮の色が淡く、乾いて割れやすく、貯蔵中にかびやすいとされています[1]。

掘り上げられた新しい球根は、夏のあいだ、休んでいるだけなのでしょうか。

葉の光合成が養分を供給するなら、受け取る側の新球はどう育つのか。山形大学の青葉による実験(掘り上げた球根の温度処理、品種ウィリアムピット)では、新球の形成が進むにつれて母球の鱗葉は次第に萎縮して乾枯し、母球鱗葉の栄養の転移によって新球が発育すると結論づけられた[4]。よく形成した区では、新球の重さの合計が調査時の球根重の約80%、当初の球根重の約50%に達した。これは低温処理した球根を17℃で貯蔵した恒温器内の実験の値で、畑での普通栽培の割合ではない。

その新球は、いつ作られ始めるのか。同じ実験では、新球形成を誘導する温度は0〜5℃、発育に向く温度は10〜15℃と考えられた。0.5〜5℃で60日以上処理した球根は母球内に新球を作ったが、30日では作らず、15℃では140日でもほとんど作らなかった[4]。つまり低温は花を咲かせる条件であるだけでなく、新球の形成の引き金にもなりうる。ただし掘り上げた球根を温度処理した条件での結果で、庭の球根の値ではない。

植えた球根でも似た傾向が見える。青葉・渋谷の低温処理球を使った試験では、母球の貯蔵養分は生長点に移って茎葉が伸びたが、低温処理区は茎葉の生長と並行して新球もある程度発育し、茎葉の生長が停滞して黄化するころから新球は急速に発育した[5]。島根の光合成の測定が、花後も葉の働きが続くことを示していたこととあわせて読むと、親の鱗片からの移動と、花後の葉の光合成の両方が新球の肥大に関わりうると考えられる。ただし、どちらがどれだけ寄与するかの割合は、これらの資料からは分けられない。

産地では、この新球が育ちきった時点を見計らって掘り上げる。掘り取りはおおむね5月下旬〜6月下旬で、主球の外皮の約5割が着色したときに速やかに掘る。早く掘りすぎると外皮の色が淡く、乾燥して割れやすく、貯蔵中にかびやすい[1]。

掘り上げた球根の内部は、夏のあいだ休眠しているだけなのか。次の章で見る。

6. なつの 球根の 中で、つぎの はなが できるの?

6. 掘り上げたあとの夏、球根の中で次の花の準備が進む

6. 夏の花芽分化:6月10日に掘った球根が7月末に示した段階と、貯蔵温度

なつの あいだ、球根は つちの 中で ねむって いるように みえます。でも、中では つぎの はなの じゅんびが すすむと いわれます。

新潟県にいがたけんの観察かんさつでは、6月10日に ほりあげた 球根は、7月の おわりに、めしべが できる ところまで すすんで いました[6]。ただし、としや しゅるいに よって すすみ方は かわります。

この じゅんびには、ちょうど いい 温度が あります。産地さんちの しりょうでは、20度より ひくいと すすまず、30度より たかいと、かたちの ふつうでない はなが ふえると しています[1]。

こうして、1ねんが ひとまわりします。ねっこ、さむさ、はな、はっぱ、新しい 球根、そして つぎの はな。

掘り上げられた球根は、夏のあいだ眠っているだけではありません。新潟県の花き生育情報によると、6月10日に掘った球根のひとつ(品種イルデフランス)は、7月31日の時点でめしべができる段階(雌ずい分化の始まりから柱頭分化の完成まで)に達していました。年や品種によって進み具合は変わります[6]。

この準備には、ちょうどよい温度があります。富山県のマニュアルは、掘り取り後の球根の貯蔵温度が20℃以下だと花芽の分化が進まず、30℃以上だと奇形の花が増えるとし、貯蔵の適温を23〜25℃としています[1]。

こうして1年が一巡します。秋に根がのび、冬の寒さを通り、春に咲き、花が散ったあとも葉が新しい球根を太らせ、親の球根はしぼみ、夏には次の花の準備が進みます。今年の花の養分は、前の年の葉と球根から続いているわけです。

掘り上げ後の球根の内部では、次の花の形成が進む。新潟県の花き生育情報によれば、6月10日に掘った球根の花芽分化は、7月31日時点で雌ずい分化始期(G1)から柱頭分化完成期(G3)に達していた。年により進み具合は変わるため、特定の日付に特定の段階になると読むべきではない[6]。

この過程には貯蔵温度の影響がある。富山県のマニュアルは、掘り取り後の球根の貯蔵温度が20℃以下だと花芽分化が進まず、30℃以上だと奇形花が増えるとし、貯蔵適温を23〜25℃としている[1]。ここで生育段階の温度の話とつながる。マニュアルでは器官分化期(掘り取りから植えつけまで)の貯蔵温度が20〜23℃とされており、夏に球根が過ごす暖かさが、次の花を準備する期間にあたることが分かる。

こうして一年が一巡する。秋に根がのび、冬の低温で咲く条件がそろい、春に開花し、花後も葉が新球を肥大させ、母球の鱗片がしぼみ、夏に次の花が分化する。今年の花は前の年の葉と球根から続き、今年の葉は来年の花の球根を作っている。

ただし、日本の資料は産地での栽培の目安であり、昭和50年代の実験の多くは、掘り上げた球根や低温処理球を使っている。庭や鉢の球根にそのまま当てはめず、条件つきの結果として読む必要がある。

7. たまねぎを きって、球根と くらべて みよう

7. 花が終わったあとの葉を、観察してみる

7. 原典で確かめる:昭和の実験と、産地のマニュアル

きょう できる こと

おうちの ひとに たまねぎを よこに きって もらい、きりくちを みて みましょう。うすい かわが かさなって います。チューリップの 球根の 中も、養分ようぶんを ためた うすい ぶぶんが かさなって いると いわれます。くらべて、ちがいを さがして みましょう。

みつけたら

こうえんや 花だんを とおる ときに、はいって よい ばしょから、花が おわった チューリップの はっぱが まだ みどりか みて みましょう。つちの 中では、あたらしい 球根が そだっているかも しれません。

今日できること

家族に玉ねぎを横に切ってもらい、断面を見てみましょう。薄い層が何枚も重なっています。チューリップの球根も、養分をためた葉の重なりでできているといわれるので、見比べるとイメージしやすくなります。

咲き終わった花だんで

公園や花だんを通るとき、入ってよい場所から、花が終わったチューリップの花のあとの葉の色と大きさを見てみましょう。葉が緑のあいだは、土の中で新しい球根が育っているころかもしれません。

資料を読むなら

富山県の「チューリップ球根栽培マニュアル」[1]と、島根大学の吉野蕃人「チューリップの光合成について」[3]は、日本語で読めます。

今日できること

玉ねぎを横に切り、層が重なる断面を観察するとよい(刃物は大人に頼む)。チューリップの鱗茎も、養分を蓄えた葉が重なった構造であり、見比べると鱗片の役割が想像しやすい。

原典に当たる

産地の栽培の目安は富山県のマニュアル[1]、開花後の光合成は島根大学の吉野の論文[3]、母球から新球への養分の移動は山形大学の青葉の論文[4][5]に、実験の条件とともに書かれている。条件(品種・温度処理・年)に注目して読むと、どの結果がどこまで一般化できるかが見えてくる。

残る問いは、新球の養分が母球の鱗片の移動と花後の光合成からそれぞれどれだけ来るかの割合である。資料はこの割合を分けていないため、どの部分をどう測れば分かるのかを考えることが、次の課題になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. 富山県 農業技術課 広域普及指導センター『チューリップ球根栽培マニュアル』(令和8年3月). https://www.pref.toyama.jp/documents/36022/kyuukon_manyuaru.pdf (生育の4段階、根、球根の構造、掘り取り、貯蔵温度)
  2. 埼玉県農林総合研究センター「促成栽培における鉢花チューリップの草姿改善」(うりんさいたま2016年1月号). https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/63952/201501techno.pdf (低温処理の長さと茎の長さ)
  3. 吉野蕃人「チューリップの光合成について」(島根大学農学部). https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/3844/files/10030 (開花後の光合成と新球の肥大)
  4. 青葉高「球根作物の球根形成に及ぼす温度の影響(第9報)チューリップの鱗茎形成について」山形大学紀要(農学)7(3), 1976. https://yamagata.repo.nii.ac.jp/records/2212 (母球から新球への養分の移動、温度)
  5. 青葉高・渋谷幸男「チューリップ球の温度処理が茎葉の生長と球根形成に及ぼす影響」山形農林学会誌 33:51-54, 1976. https://yamagata.repo.nii.ac.jp/record/2000758/files/norin-33-00510054.pdf (茎葉の生長と新球の発育)
  6. 新潟県 経営普及課『2026年花き生育情報(チューリップ花芽分化・第5報)』令和8年8月4日. https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/506450.pdf (夏の花芽分化)
  7. Longfield Gardens, What Is a Tulip Bulb and How Does It Grow?. https://www.longfield-gardens.com/blogs/tulip-care/what-is-a-tulip-bulb-and-how-does-it-grow (球根の内部の補助的な説明)

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