1. 白い まるい ところは、根っこ なの?
1. 白い丸い部分の正体は、茎と根のあいだ
1. 「根」と呼ばれる食用部の大部分は胚軸である
カブを 土から ぬくと、白くて まるい ところの 下に、ほそい 根が ついて います。上には 葉が はえて います。
この 白い ところは、ぜんぶが 根では ありません。大きな ぶぶんは、胚軸と いう ところが ふくらんだ ものです。はいじくは、くきと 根の あいだに あります[1]。
ただし、下の はしの ほうには 根も ふくまれます。ぜんぶが 胚軸と いうわけでは ありません。
この あとは、この 白い ところが どう 太って いくのかを 見て いきます。
2. めが 出たら、どうして 1本だけ のこすの?
2. 芽が出たあと、なぜ1本だけ残すのか
2. 双葉から本葉へ ── 間引きが株間を広げる理由
たねを まくと、まず ふたつの ふたばが ひらきます。そのあと、ほんものの 葉の「ほんば」が 出て きます。
たねは たくさん まくので、めが ぎっしり 出ます。そこで、元気な 1本を のこして ぬく「まびき」を します。
やさいを そだてる 本では、ほんばが 1〜2まいの ころに 3〜4センチ、3〜5まいの ころに 5〜6センチ、6まいの ころに 10〜12センチの あいだを あけます[3]。
ただし この 数字は、本や 品種で ちがいます。広いほど、のこった 1本は 横にも 太りやすく なると かんがえられます。
種をまくと、まず子葉が2枚開きます。いわゆる「双葉」です。そのあとに、カブらしい形の本葉が出てきます。
種は多めにまくので、芽はぎっしり並んで出ます。そこで間引きをして、元気な株を1本ずつ残します。家庭菜園の資料では、間引きは3回が目安です。本葉が1〜2枚のころに株の間を3〜4cm、3〜5枚のころに5〜6cm、6枚のころに10〜12cmにする、とされています[3]。
ただし、株の間隔は品種や育て方で変わるため、数字は1つに決められません。
間隔を広げるのは、残した株が隣と光や土の養分を取り合わず、胚軸が横にふくらむ場所を確保するためだと考えられます。その太る力のもとは、どこからくるのでしょうか。
発芽後、まず子葉(双葉)が開き、続いて本葉が展開する。種子は多めに播くので、そのままでは密生する。間引きで1株ずつに絞る。家庭菜園向けの資料では、間引きは3回が目安で、本葉1〜2枚で株間3〜4cm、3〜5枚で5〜6cm、6枚で10〜12cmとする[3]。
この数値は一つの資料の目安で、品種や方法で幅がある。そのため、数字を暗記するより、段階的に間隔を広げることで残った株が光と土の養分を独占でき、胚軸が肥大する空間も確保できる、という考え方を押さえるほうがよい。ただしこれは栽培の理屈からの推測である。
発芽適温は、Wikipediaでは15〜25℃、生育適温は15〜20℃とされ、山梨県の資料は発芽適温を15〜20℃とし、高温期には肥大が悪くなるとする[2]。資料で数値が割れる点にも注意が要る。
では、肥大のエネルギーは、どこで作られるのか。
3. 葉が ないと、白い ところは 太れない?
3. 太るための養分は、葉でつくられる
3. 光合成産物と肥大 ── 近縁のハツカダイコンで分かっていること
葉は、おひさまの 光を うけて、養分を つくります。これを「こうごうせい」と いいます。
カブと おなじ アブラナの なかまの ハツカダイコンで、しらべた 研究が あります。葉で こうごうせいが 強く なると、胚軸が 太りやすく なったそうです[4]。
これは ハツカダイコンの 研究です。カブも にた しくみだと かんがえられますが、カブで たしかめた ものでは ありません。
胚軸が太るには、材料とエネルギーが必要です。葉は光合成で糖などの養分をつくり、それが胚軸の肥大に使われると考えられます。
カブと同じアブラナ科の根菜、ハツカダイコンで調べた研究があります。食べる部分は胚軸で、種子の処理で地上部の光合成が高まると、胚軸の肥大が促されたと報告されています[4]。
肥大が始まる初期には、胚軸の外側の皮のような層が裂けて、ふくらみが目に見えるようになることも別の報告で示されています[5]。
ただし、これはハツカダイコンの結果です。カブも近い仕組みだと考えられますが、カブそのもので調べた結果として書くことはできません。
太った胚軸は、いつ収穫すればよいのでしょうか。
肥大には、葉が光合成でつくる養分(光合成産物)の供給が欠かせないと考えられる。岡山大学の報告は、同じアブラナ科の根菜であるハツカダイコン(可食部は胚軸)で、種子処理により地上部の光合成活性が高まると胚軸の肥大が促進されたことを示している[4]。
また学会の講演要旨は、ハツカダイコンの肥大初期に胚軸根の初生皮層が裂開し、肥大が外見上も分かるようになることを述べる[5]。つまり、葉からの養分の供給と、外側の組織が裂けてふくらみを受け入れる構造変化が、肥大の初期段階で対になって進むと読める。
ただしいずれもハツカダイコンの研究である。近縁種の知見を、カブの結果として断定しないことが重要である。
では、実際の栽培では、肥大のどの時点で収穫するのか。
4. いつ ぬけば いいの? おそすぎると どうなる?
4. 収穫の目安は直径5〜6cm。遅れると割れる
4. 収穫適期 ── 直径5〜6cmと日数の幅、遅れた場合の裂開
カブを ぬく めやすは、直径が 5〜6センチに なった ころです。たねまきから、小さい カブで 45〜50日ぐらいが めやすです[3]。
おそく なると、大きくなりすぎて、白い ところが さけて しまうと いわれます[3]。
日にちは、品種や きせつで かわります。ある 県の 本では、早く 育つ ものは 30〜40日、大きい ものは 100日ほどに なると あります[3]。
収穫の目安は、根(胚軸)の直径が5〜6cmになったころです。収穫が遅れると、根が裂けてしまうとされます[3]。丸い胚軸が大きくなりすぎて、中からの膨らみに外側が耐えられなくなるのだと考えられます。
種まきから収穫までの日数は、小カブで1か月半から2か月、45〜50日ほどが目安です。山梨県の資料(秋まき)では、早生の品種で30〜40日、中型で60〜70日、大型では約100日とされています[3]。
数字に幅があるのは、品種と季節で育ち方が違うからです。特に高温の時期は肥大が悪くなるとする資料もあります[2]。日数より、実際の大きさを見て決めるのが基本です。
こうして育つカブは、日本ではいつから食べられているのでしょうか。
収穫の目安は、根(胚軸)の直径5〜6cmである。収穫が遅れると、根が裂ける[3]。胚軸が過大になり、外側の組織が内部の肥大に追いつかなくなるためと考えられる。
種まきから収穫までは、小カブで約1.5〜2か月(45〜50日)が一般的な目安で、山梨県の資料(秋まき)では早生30〜40日、中型60〜70日、大型約100日とされる[3]。同じカブでも日数が3倍近く違うのは、品種による肥大の速さと大きさの違い、季節(温度)が影響するためと考えられる。
これらの日数は固定値ではなく、目安として読むのがよい。
ここまでが育ち方である。では、このカブという野菜は、どこから来て、日本でどう受け継がれてきたのか。
5. カブは、いつ から 日本で 食べられて いるの?
5. 日本で昔から食べられ、品種は約80ある
5. 日本での栽培の記録と原産地の諸説、品種の広がり
カブは、とても むかしから 日本で 食べられて きた 野菜です。日本書紀という 古い 本に、むかしの えらい 人が カブを つくる ことを すすめた きろくが あると いわれます[6]。
お正月の あとに 食べる 春の 七草に ある「すずな」も、カブの ことです[6]。
日本には、およそ 80しゅるいの 品種が あります。赤い カブも あります[2]。ちなみに、赤くて まるい ハツカダイコンを 赤カブと よぶ ことが ありますが、あれは ダイコンの なかまです。
日本では、『日本書紀』に、持統天皇がカブの栽培を勧めた記録があるとされます。ALIC(農畜産業振興機構)の紹介でも、持統天皇の時代の記録として挙げられています[6]。年については資料によって扱いが違うため、ここでは「栽培を勧めた記録があるとされる」という言い方にとどめます。
春の七草の「すずな」もカブのことです[6]。
原産地は、地中海沿岸(南西ヨーロッパ)とする説と、地中海沿岸とアフガニスタン付近の二つとする説があり、資料で一致していません。日本へは、中国や朝鮮半島を経て伝わったとされます[2]。
日本では約80品種が生産され、赤カブ(大野紅かぶ、温海かぶなど)もあります。ハツカダイコンを赤カブと呼ぶこともありますが、それはダイコンの品種です[2]。
日本での栽培の記録は、『日本書紀』にある、持統天皇がカブの栽培を奨励したという記事に求められる。ALICの紹介も持統天皇の時代の記録として挙げる[6]。年代は資料により扱いが異なり、『日本書紀』の成立は720年とされるが、栽培奨励の記事そのものの年は「とされる」の範囲にとどめる。
春の七草の「すずな」はカブである[6]。原産地は、地中海沿岸(南西ヨーロッパ)の単一起源説と、地中海沿岸とアフガニスタン付近の二元説があり、一致していない。日本には中国や朝鮮半島経由で伝わったとされる[2]。
国内では約80品種が生産され、大野紅かぶ、温海かぶなどの赤カブもある。ハツカダイコンを赤カブと呼ぶ場合があるが、これはダイコンの品種であり、混同しやすい[2]。品種が多いのは、地域ごとに胚軸の大きさ、色、育つ速さが選ばれてきた結果かもしれない。
6. カブを 半分に 切って、たしかめて みよう
6. 買ったカブを縦に切って、「どこが胚軸か」を探す
6. 縦断面で、食用部の「上と下」を観察する
おうちの 人と いっしょに、スーパーで 葉の ついた カブを 買って みましょう。
まず、葉の ねもとと、下の ほそい 根を 見ます。そのあいだに ある 白い まるい ところが、胚軸が ふくらんだ ところです。
つぎに、おうちの 人に ほうちょうで 半分に 切って もらいます。切り口の 上と 下で、かたさや すじの ようすが ちがうか、見て みましょう。ほうちょうは、ぜったいに 自分では つかいません。
葉つきのカブを見つけたら、買って縦に切ってみましょう。包丁を使うので、必ず大人と一緒に、手を切らないよう気をつけてください。
まず切る前に、葉の付け根、白い丸い部分、下に伸びる細い根の位置を確かめます。この白い丸い部分の大部分が、今回の記事で出てきた胚軸です。
切り口では、上のほうと下の端とで、すじや色の様子が違うかを見てみましょう。資料によれば、下の端には根が含まれるとされています。見た目で境目がはっきり分かるかどうかは分かりませんが、観察してみると発見があるかもしれません。
もう一つ、葉も食べられます。捨てずに炒めたりみそ汁に入れたりして、白い部分と味を比べてみるのも面白いでしょう。
葉つきのカブを入手できれば、縦断面を観察できる。包丁を使うため、必ず大人と一緒に、安全に配慮して行うこと。
観察の視点は三つある。第一に、葉の付け根、肥大部、下の細い根の位置関係である。肥大部の大部分が胚軸に由来するという資料の説明[1]を、実物の形と照らし合わせる。第二に、切り口の上部と下端で、組織の色やすじの密度に違いがあるかである。下端は根を含むとされる[1]ので、境界の見え方は個体や品種で異なる可能性がある。第三に、ダイコンと並べて比べると、胚軸と主根の割合の違いを確かめられる[1]。
調べる価値のある問いも残る。カブそのものの胚軸肥大の仕組み(ホルモンや養分の流れ)には、まだ調べる余地がある。東京大学は、植物が縦に伸びたあと横方向に肥大成長するとき、サイトカイニンの応答が幹細胞を目覚めさせるスイッチになると報告している[7]が、対象は樹木を中心とした植物一般で、カブへの当てはめは今後の課題である。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:辞書・百科事典、家庭菜園の資料、大学と学会の研究、公的機関の紹介ページを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Weblio辞書「根菜類」(Wikipedia日本語版の転載)。https://www.weblio.jp/content/根菜 (カブとダイコンの食用部が胚軸に由来することについて)
- Wikipedia日本語版「カブ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/カブ (食用部、温度、原産地、品種について。百科事典なので補助的に使用)
- ヤンマー家庭菜園「カブ」。https://www.yanmar.com/jp/agri/agrilife/kitchen_garden/veranda/turnip/ (間引き、収穫の目安、日数について。メーカーの栽培資料)
- Li・Sasakawa「岡山大学農学部学術報告」97(1)、9-15頁(2008年)。https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/en/list/ou_authors/S/950cfc74697980f874506e4da22f6611/item/12356 (ハツカダイコンの胚軸肥大と光合成について)
- 日本植物生理学会 年会講演要旨集(2004年)。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspp/2004/0/2004_0_559/_article/-char/ja (ハツカダイコンの肥大初期の組織の変化について)
- 農畜産業振興機構(ALIC)「今月の野菜:かぶ」。https://alic.go.jp/koho/kikaku03_001603.html (日本での記録、すずなについて)
- 東京大学大学院理学系研究科 プレスリリース。https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/10864/ (植物の肥大成長のスイッチについて)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。