1. つまさきの くろさは、なにが ふしぎ?
1. 白い靴の先だけが黒い
1. 上履きの四つの特徴と、一つの空白
うわばきを よく 見ると、ふしぎが いくつも あります。
どうして しろい ものが おおいのか。どうして こうの ところに ゴムが あるのか。どうして そこが ギザギザなのか。そして、どうして つまさきだけ くろく なるのか。
ぜんぶには こたえられません。でも、うわばきの かたちが どう できたかを たどると、いくつかは ヒントが 見えて きます。
上履きをよく見ると、不思議なところがいくつもあります。白いものが多いこと、甲にゴムが通っていること、つま先に色のついたゴムがあること、底に溝があること。そして、室内で履くのにつま先だけが黒くなること。
すべてに答えられるわけではありません。ただ、鍵になりそうなのは、足袋の会社が作った前ゴム靴です。この靴の話をたどると、いくつかは手がかりが見えてきます。
バレーシューズ型の上履きには、白が多い、甲にゴムテープが通る、つま先にカラーゴムを使う製品がある[1]、底に溝がある、という共通した特徴がある。加えて、室内履きなのにつま先のゴムが黒ずむ、という日常の疑問もある。
形の由来から順に、見ていく。
2. なぜ きょうしつで、くつを はきかえるの?
2. 洋風の校舎に、靴を脱ぐ習慣が残った
2. なぜ教室で靴を履き替えるのか ── 学制(1872年)と履き替えの習慣
そもそも、どうして がっこうでは、くつを はきかえるのでしょう。
むかしの にほんの いえは、くつを ぬいで あがります。1872ねんに 「がくせい」と いう きまりが できて、がっこうの たてものは ようふうに なって いきました。でも、くつを ぬぐ くせは のこった、という せつが あります[3]。
そのころは、たびなどに はきかえる こどもが おおかった、と いわれます。うわばきの ごせんぞは、たびだったのです。
そもそも、なぜ学校では靴を履き替えるのでしょうか。日本の家は、靴を脱いで上がります。ところが1872年に学制が出されると、校舎は洋風の建物へと変わっていきました。それでも、靴を脱いで室内に入る習慣は残った、と説明されています[3]。
戦前は、足袋などに履き替える生徒が多かったそうです。現在の上履きのような、履き替え用の靴が広まるのは、もう少しあとの話です。
学校の上履きは、1872年の学制と関係すると説明される。学制で校舎が洋風化した一方、靴を脱いで室内に入る習慣が残り、生徒は足袋などに履き替えていたという[3]。
ここで気づくのは、上履きが「靴の一種として新しく現れた」のではなく、日本の脱ぐ習慣と洋風の校舎のあいだに生まれた、という点である。では、足袋に代わる靴を、誰が、どんな形で作ったのか。
3. たびの かいしゃが つくった くつって?
3. 足袋づくりの会社が作った「前ゴム靴」
3. 足袋づくりの会社が作った前ゴム靴(1927年ごろ)
ふくおかけんの くるめに、1873ねんに できた かいしゃが あります。さいしょは、たびを つくって いました。
1927ねんごろ、この かいしゃは、こどもむけの 「まえゴムぐつ」を つくりはじめました。つまさきの ところに、さんかくの ゴムを はめこんだ くつです[2]。
これが、いまの うわばきの ごせんぞの ひとつだと いわれます。ただ、この かいしゃが うわばきを はつめいした、と いう わけでは ありません。
福岡県久留米に、1873年に創業した会社があります。はじめは足袋づくりの会社でした。1927年ごろ、上履きの前身となる児童用の「前ゴム靴」を作り始めます。甲に三角のゴムをはめ込んだ靴でした[2]。
ただし、この会社が上履きを発明した、という話ではありません。上履きの前身になった靴を作った会社の一つ、という範囲で受け取るのが、資料に合っています。
足袋の会社がゴムを使う靴を作った、というつながりは、上履きの形を考えるとき、おもしろい手がかりになりそうです。
久留米のムーンスターは、1873年創業で足袋づくりから始まり、1927年ごろに上履きの前身となる児童用の前ゴム靴を作り始めた。甲に三角ゴムをはめ込む形だった[2]。
記事の資料はこの会社の紹介記事であり、上履きの起源をこの一社で説明するものではない。
前ゴム靴から、いまの形へは、どう変わったのか。
4. バレエの くつが おてほん だった?
4. バレエの靴が手本? ── 1950年代の変化
4. バレエの靴が手本だったのか ── 「上履き」の語とバレーシューズ型の発売(1957・58年)
「バレーシューズ」という なまえは、バレエの トウシューズを まねて つくった から、という せつが あります[3]。
「うわばき」という ことばが しりょうに あらわれるのは、1957ねん。つぎの としに、バレエの くつの かたちの うわばきが うられた、と いわれます[1]。
がっこうで うわばきが だんだん ひろまった、と いう せつめいも あります。
5. こうの ゴムや、つまさきの いろは、なんの ため?
5. 甲のゴムやつま先の色は、何のためにあるのか
5. ゴムバンドやカラーゴムは何のためか ── 形の説明と、理由の説明
うわばきの こうには、はば 2センチほどの ゴムテープが とおって います。これで、あしを すべりこませて はきます[1]。
つまさきに、あかや あおの ゴムを つかった ものも あります。クラスを わけるのに つかう ことも あるそうです。
ムーンスターの うわばきは、ゴムと つまさきの いろの デザインが、うられた ときから ほとんど かわって いない、と しょうかいされて います[2]。ただ、ゴムが 「ぬげにくく する ため」かどうかは、しりょうに ありません。
6. どうして しろい うわばきが おおいの?
6. 白が多い理由は、一つに決められない
6. 白い上履きが多い理由 ── 説はあるが、一つに決まらない
しろい うわばきが おおい りゆうを、しらべました。
ほんとうの りゆうは、まだ わかりません。
白い上履きが多い理由は、確かめられる出典が見つかりませんでした。
ですから、理由は一つに決めないでおきます。
白が一般的になった理由を一つに決める材料は、いまのところない。
7. そこの ギザギザは、なにを して いるの?
7. 底の溝は何のためか ── ゴム底についての資料から
7. 底の溝は何のためか ── メーカーが説明するソールのゴム
うわばきの そこの ギザギザは、なんの ため でしょう。
ろうかは、つるつるして います。くつの そこの みぞは、なんの ために あるのでしょう。
ゴムの メーカーの ページには、ソールに 「アメゴム」を つかって、すべりにくさを あげた うわばきが のって います[4]。
底のギザギザは、何のためでしょうか。
日進ゴムの教育シューズのページには、ソールに「アメゴム」を使って耐滑性を上げた型や、かかとに衝撃吸収ゴムを使った型が紹介されています[4]。ただし、そのページに、溝の形や役目についての記述はありません。
ここでは、ゴム底についてのメーカーの紹介を載せておきます。
日進ゴムの教育シューズのページは、ソールにアメゴムを使って耐滑性を高めた型や、かかとに衝撃吸収ゴムを使った型を紹介している[4]。
8. つまさきの くろさは、なにが おきて いるの?
8. つま先の黒ずみは何なのか ── 汚れの説明と、まだ残る問い
8. つま先はなぜ黒くなるのか ── 混合汚れの説明
さいごに、さいしょの ふしぎに もどります。
うわばきの くろずみは、つち・みず・あぶらの まざった よごれだと、せつめいする ひとが います[5]。すな、ホコリ、ずこうの えのぐ、しょどうの すみ、きゅうしょくの よごれ、あせも かさなる、と いいます。
でも、これは うわばき ぜんたいの はなしで、つまさきの ゴムだけの はなしでは ありません。
ゴムぶぶんは、せんざいで おちにくい、という しょうかいが あります[6]。ゴムは もともと くろく なく、タイヤは すみの こなを まぜて くろく して います[7]。これは タイヤの はなしです。
つまさきの くろずみが なぜ おきるのか、しっかり こたえて くれる しりょうは、みつかりませんでした。
最初の不思議に戻ります。上履きの黒ずみは、土・水・油分を主とした混合汚れだと、家事アドバイザーが説明しています。砂やホコリ、図工の絵の具、書道の墨汁、給食の汚れ、汗や皮脂などが重なるそうです[5]。
ただし、これは上履き全体の話で、つま先のゴムに限った説明ではありません。ゴム部分は洗剤では落ちにくく、消しゴム型のクリーナーやメラミンスポンジを使う方法が紹介されています[6]。
ゴムそのものは黒くなく、タイヤは炭素の微粒子カーボンブラックを混ぜて耐摩耗性を上げている、という解説もあります[7]。ただしこれはタイヤの話です。
つま先だけが黒くなる仕組みは、汚れが重なるらしい、という説明にとどまります。
上履きの黒ずみは、土・水・油分を主体とした混合汚れとする説明がある。砂やホコリ、図工の絵の具、書道の墨汁、給食の汚れ、汗や皮脂などが重なる、という[5]。しかし、これはつま先のゴムだけを説明したものではない。
ゴム部分の汚れは洗剤で落ちにくく、消しゴム型クリーナーやメラミンスポンジが使われる、という紹介もある[6]。この記述は検索要約に由来するため、本文での再確認が要る。
ゴム自体は黒くなく、タイヤは炭素の微粒子カーボンブラックを混ぜて耐摩耗性や剛性を上げるという[7]。ただしこれはタイヤの話である。
床との摩擦、ゴムの配合、汚れの付着のうち、どれがどの程度つま先の黒さに関わるのかを説明した公的機関・メーカーの資料は、今回は確認できなかった。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること
うわばきの つまさきの くろい ところを、かわいた ティッシュで かるく ふいて みましょう。ティッシュに いろが つくか、つかないかを 見ます。つくなら、ひょうめんに なにかが ついて います。つかなくても、よごれか ゴムの いろかは きめられません。ふいた あとは、てを あらいます。
出かけてできること
くつやさんで、つまさきの いろが ちがう うわばきを 見て みましょう。ゴムの いろは いろいろ ありますか。ぜんぶ、おなじ ところに あるでしょうか。
こうしきの 情報
くつの メーカーの ホームページに、うわばきや きょういくシューズの しょうかいが のって います。
今日できること
上履きのつま先の黒い部分を、乾いたティッシュで軽くふいてみます。ティッシュに色がつけば、表面に付いたものがあります。つかなくても、汚れかゴムの色かは決められません。黒い場所がつま先の先か、横か、かかとかも見比べてみましょう。ふいたあとは手を洗います。
出かけてできること
靴屋や学校用品の売り場で、つま先の色やゴムの付き方が違う上履きを見比べてみます。
公式情報
靴メーカーの教育シューズのページや、日本教育シューズ協議会の情報にあたると、素材や作りの説明が見つかることがあります。
今日できること
つま先の黒い部分を乾いたティッシュで軽くふき、色が移るかを見る。移れば表面に付着物がある。移らなくても、汚れか素材の色かは決められない。判定ではなく観察の記録として、黒くなる場所(先端・側面・かかと)を書きとめる。ふいたあとは手を洗う。
出かけてできること
売り場で、つま先のカラーゴムの色や付き方、底の溝の形をメーカーごとに見比べる。
公式情報
メーカー各社の教育シューズの製品ページと、日本教育シューズ協議会の解説を読み、白・溝・黒ずみについてどう説明しているかを読み比べてみてほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
今回は、形の由来は解説記事とメーカー紹介記事を突き合わせた。
- 上履き(Wikipedia日本語版) https://ja.wikipedia.org/wiki/上履き (「上履き」の語の年・ゴムテープとカラーゴムの形の説明)
- ウォーカープラス(ムーンスター紹介記事) https://www.walkerplus.com/article/120407/ (前ゴム靴・デザインの改良)
- JOCR「学校の上履き、なぜ和歌山では『バレーシューズ』」 https://jocr.jp/raditopi/2023/03/22/491770/ (学制と履き替え・名前の由来説)
- 日進ゴム 教育シューズ製品紹介 https://www.nisshinrubber.co.jp/product/footwear/educational_shoes/index.html (ソールのゴム)
- All About(家事アドバイザー・毎田祥子) https://allabout.co.jp/gm/gc/487049/ (黒ずみの混合汚れ)
- HugKum(小学館) https://hugkum.sho.jp/146717 (ゴム部分の汚れ落とし)
- くるまのニュース https://kuruma-news.jp/post/107635/2 (タイヤのゴムの色)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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