1. むかしの せんたくきは、水を たくさん つかって いたの?
1. 昔の洗濯機は、水をたくさん使っていたのか
1. 昔の洗濯機の水 ── 2槽式は200リットル前後、と関係者は語る
にほんで はじめて つくられた でんきの せんたくきは、1930ねんの「ソーラー」です。1かいで あらえる ふくは、2.7キロぐらいでした。ねだんは 370円でした[2]。
むかしの せんたくきは、水を たくさん つかって いたのでしょうか。せんたくきを つくる しごとを して いた 人は、「あらう おけと、だっすいする おけが べつべつの せんたくきでは、200リットルぐらい つかって いた」と はなして います[1]。ふつうの いえの おふろに のこる おゆが 180リットルぐらいですから[4]、それと おなじくらいの 水です。
水が たりなく なる なつを けいけんして、すこしの 水で あらえる せんたくきが つくられました。ぜんぶを 1つの おけで やる ぜんじどうの せんたくきで、100リットルぐらいで あらえる ものが 出た、と いいます[1]。
いえで つかう 水の うち、せんたくは 15パーセントぐらいです[5]。
いまの せんたくきの カタログには、「ひょうじゅん しようすいりょう」が のって います。ふつうの コースで、きまった りょうの ふくを あらう ときに つかう 水の りょうです[6]。ある メーカーの ページの れいでは、12キロの ふくが あらえる たて がたで 123リットルでした。1キロに つき 10リットルぐらいです[7]。ただし、この かずは きしゅに よって かなり ちがいます。
その 水は、せんたくで なにを して いるのでしょうか。よごれを おとして いるのは、水なのでしょうか。
日本で最初の国産電気洗濯機は、1930年に芝浦製作所(今の東芝の前身)が売り出した「ソーラー」です。洗濯物をかき混ぜるタイプで、洗える量は約2.7キログラム、値段は370円でした[2]。多くの家庭に広がったのは戦後で、1953年に渦巻きの水流で洗うタイプが出てからだそうです。1960年には日本で初めての2槽式(洗う槽と脱水する槽が別々のタイプ)が発売され、1960年代なかばに全自動が登場するまで主流でした[1][3]。1974年には、脱水しながらシャワーで泡を取るなど工夫した、節水タイプの全自動も発売されました[3]。
当時、水はどれくらい使っていたのでしょうか。寺田さんによると、2槽式は通常200リットル前後の水を使っていました。渇水を経験し、オイルショックで資源への関心も高まって、少ない水で洗える機械の開発が急がれ、全自動で100リットル前後で洗える商品が出たそうです[1]。200リットルは、一般家庭のふろの残り湯(約180リットル)と同じくらいです[4]。これは現場にいた人の記憶で、年ごとの統計ではありません。全自動が出はじめたころは、「水をたくさん使うのではないか」という不安も、買いかえをためらう理由になった、とも話しています[1]。
家庭で使う水のうち、洗濯が占めるのは約15%です。国土交通省のページが紹介する東京都水道局の2015年の調査では、風呂が約40%、トイレが約21%、炊事が約18%、洗濯が約15%でした[5]。
水の量を比べるときは、一度に洗える量も見る必要があります。家庭電気文化会の資料によると、1979年に洗濯容量4.2キログラムの2槽式が「大型」として発売されたとき、ふつうの機種は2キログラムが中心でした[3]。
今の洗濯機のカタログには「標準使用水量」が書かれています。標準コースで、決まった量の洗濯物を洗ったときに使う水の量のことです[6]。あるメーカーの説明ページの例では、洗える量が12キログラム(乾いた状態の布の重さ)の縦型で、洗い・すすぎ・脱水までの標準使用水量が123リットルで、1キログラムあたり約10リットルです[7]。1930年の約2.7キログラムと比べると、一度に洗える量は4倍以上です。ただし、水の量は機種によってかなりちがうので、これは1つの例です。
水の量は、槽の大きさと、水をためる回数で決まります。ある解説では、標準的な全自動洗濯機の槽は約50リットルで、「洗い1回」と「ためすすぎ2回」だと、槽3杯分の150リットルを使います[8]。
水を減らせば節約になります。でも水は、洗濯の材料の1つでもあります。洗濯で汚れを落とす主役は、水なのでしょうか。
日本で最初の国産電気洗濯機は、1930年に芝浦製作所(東芝の前身)が売り出した「ソーラー」だ。洗濯物をかき混ぜる撹拌式で、洗濯容量は6ポンド(約2.7キログラム)、値段は370円だった[2]。寺田さんによれば、一般の家庭に広がったのは戦後で、1953年に渦巻き水流で洗う噴流式が発売されてからだという。1960年に日本初の2槽式が出て、1960年代なかばに全自動式が登場するまで、2槽式が主流だった。全自動の登場年は、寺田さんの話では1966年、家庭電気文化会の資料では1965年になっている[1][3]。1974年には、脱水しながらシャワーで泡を取るなど工夫した節水タイプの全自動が発売された[3]。
では、水はどれだけ使っていたのか。寺田さんは、2槽式では通常200リットル前後の水が使われていたと語る。渇水を経験し、オイルショックで資源への関心も高まって、少ない水で洗える機器の開発が急務になり、全自動式で100リットル前後で洗える商品が出た、という[1]。200リットルは、一般家庭のふろの残り湯(約180リットル)と同じくらいの量だ[4]。これは開発現場にいた人の記憶で、年ごと・機種ごとの統計ではない。全自動への移行期には、「水をたくさん使うのではないか」という不安も、買い替えをためらう理由の1つだったという[1]。
家庭で使う水のうち、洗濯が占める割合は約15%だ。国土交通省のページが引く東京都水道局の2015年の調査では、風呂が約40%、トイレが約21%、炊事が約18%、洗濯が約15%だった[5]。
水の量を比べるときは、一度に洗える量も見る必要がある。家庭電気文化会の資料によると、1979年に洗濯容量4.2キログラムの大型2槽式が発売されたとき、当時の機種は2キログラムが中心だった[3]。
今の洗濯機のカタログには「標準使用水量」が書かれている。標準コースで、決められた量の洗濯物を洗ったときに使う水の量のことだ[6]。あるメーカーの説明ページに例として出ている、標準洗濯容量12キログラム(乾燥状態での布の質量)の縦型は、洗い・すすぎ・脱水までの標準使用水量が123リットル、1キログラムあたりにすると約10リットルになる[7]。1930年の約2.7キログラムと比べると、一度に洗える量は4倍以上だ。ただし機種によって水の量は大きく違うので、これは1つの例にすぎない。
水の量は、槽の大きさと、水をためる回数で決まる。環境情報の解説サイトによれば、標準的な全自動洗濯機の洗濯槽は約50リットルで、洗い1回とためすすぎ2回を行うと、槽3杯分の150リットルを使う[8]。水を減らすには、1回に入れる水を減らすか、すすぎの回数や方法を変えるか、ということになる。
水を減らせば節約になる。ただ、水は洗濯の材料の1つでもある。洗濯で汚れを落とす主役は、水なのだろうか。
2. まわすだけで、どうして よごれが おちるの?
2. 回すだけで汚れが落ちるのはなぜか ── 洗剤・水・機械の力
2. 洗剤・水・機械の力 ── 汚れを落とす3つの条件
あぶらの よごれは、水だけでは なかなか おちません。せんざいが、よごれを つつんで ふくから はなして、水の 中に うかせて くれるから、あらえます[9]。(くわしい はなしは、せっけんの メモに かきました。)
せんたくきの しごとは、その せんざいの 入った 水を、ふくの おくまで うごかす ことです。スポンジを 水の 中で ぎゅっ、ぎゅっと おすと、あわだった 水が スポンジの 中まで 入って いきます。それと にた ことです。ただし ほんとうは、せんたくきの うごきは、ほかにも いろいろ あります。
せんざいの ちから、水、せんたくきの うごき。この 3つの バランスが たいせつだと、せんざいを つくる かいしゃの あつまりは かいて います[9]。それに、せんたくきが つよく まわすほど よごれが おちる とは かぎらない、と いう けんきゅうも あります[10]。
では、水を へらすと、なにが かわるのでしょう。
服の汚れでいちばん多いのは、皮脂などの油の汚れです。これは水で流しただけでは、なかなか落ちません。洗剤(界面活性剤)の粒が油汚れを包んで服からはがし、水の中に散らし、服に戻るのも防ぐので、洗えるのです[9]。しくみの詳しい話は、石けんのメモで書きました。
日本石鹸洗剤工業会の解説は、汚れを落とす条件として、水、ちょうどよい量の洗剤、洗濯機がかき混ぜる力の3つをあげ、この3つのバランスが大切だと書いています[9]。
洗濯機の「機械の力」は、何をしているのでしょうか。新潟大学の長谷川富市さんは、洗濯での機械の力を、布が曲がったりこすれたりする力と、洗う液の流れの2つに分けて、それまでの研究をまとめました[10]。要旨には、2つのことが書かれています。1つ目は、布に与えるエネルギーは、ある値までは汚れ落ちに役立つけれど、それを超えると役立たなくなる、ということです。2つ目は、洗剤の水溶液は、汚れが布にくっつく力を弱めるだけでなく、糸や繊維のあいだを流れるときの抵抗を減らして、水より多く流れ、汚れを落とす助けにもなる、ということです[10]。
この要旨を読むと、機械の力は、強ければ強いほどよいわけではないようです。洗濯機の仕事は、こすったり、たたいたりすることだけではありません。洗剤の入った液を、服の奥で動かすことも、大事な仕事です。
この3つのうち、水の量を減らすと、何が変わるのでしょうか。
衣類の汚れでいちばん多い皮脂などの油汚れは、水で流しただけでは簡単には落ちない。洗剤の界面活性剤の分子が、油汚れを包みこんで衣類の表面からはがし、洗濯液の中に分散させ、繊維へ戻るのも防ぐから、洗える。日本石鹸洗剤工業会(JSDA)の解説は、この働きが発揮される条件を、水という媒体、洗浄力を最適に発揮できる適量の洗剤、洗濯機の撹拌による機械的な力の3つとし、そのバランスが大切だとしている[9]。しくみの詳しい話は、石けんのメモで書いた。
では、機械の力は何をしているのか。新潟大学の長谷川富市は、洗濯洗浄における機械力を、布の変形と摩擦によるものと、洗液の流れによるものに分け、従来の研究結果を整理した。その抄録には、2つの点が書かれている。1つは、布に与えたエネルギーは、ある値以下では洗浄に有効に働くが、それ以上では有効に働かないこと。もう1つは、洗剤水溶液には、汚れの付着力を弱める化学的な作用のほかに、糸や繊維のあいだを流れるときの抵抗を減らし、水に比べて大きな流量を実現することで、汚れを落とす効果があることだ[10]。
この抄録によれば、機械の力は、強ければ強いほどよいわけではない。洗濯機の役目は、こする、たたくだけでなく、洗剤を含んだ液を服の奥で動かすことでもある。
この3つのうち、水の量を減らすと、何が変わるのか。
3. 水は、おおければ おおいほど いいの?
3. 水は多すぎても少なすぎてもよくない ── 「浴比」という考え方
3. 浴比 ── 水が多すぎても少なすぎても、汚れ落ちは悪くなる
ふくを あらう 水の りょうには、ちょうど いい ところが あります[9]。
水が すくなすぎると、ふくが 水から でて しまって、あらい ムラが できます。せんざいも ふくに くっついて しまって、よごれを おとす ちからが よわく なります。
では、おおいほど いいのでしょうか。とても おおきな プールに ボールが 1つ だけ うかんで いる ようすを、おもいうかべて みましょう。うでを うごかしても、ボールは あまり うごきません。水が おおすぎると、せんたくきの ちからが ふくに とどきにくく なります。ただし ほんとうは、せんたくきは うでで かきまぜるのでは なく、はねや ドラムを まわして うごかします。
せんざいの りょうにも、ちょうど いい ところが あります。すくなすぎると よごれが おちにくく、おおく 入れても おちかたは あまり かわらず、すすぎが ふえて 水が むだに なります。せんざいの はこに かいて ある「つかう りょうの めやす」を まもるのが いちばんだと、せんざいを つくる かいしゃの あつまりは かいて います[9]。
洗濯で使う水の量は、服1キログラムあたり何リットルか、で表します。これを「浴比」といいます[9]。
日本石鹸洗剤工業会の解説によると、水が少なすぎると、服が洗濯液から飛び出して洗いムラができます。洗剤の粒は服にくっつくので、水の中に残る量が減り、汚れ落ちも悪くなります。反対に、水が多すぎて、少ない洗濯物が大量の水の中を泳ぐようになると、機械の力が服に伝わりにくくなり、水がむだになるだけでなく、汚れ落ちも悪くなることがあります。同じ解説は、洗濯機の大型化で、少ない水で大量に洗う低浴比の洗濯が進んでいるので、きれいに洗えているか注意が必要だとも書いています[9]。
洗剤の量にも、ちょうどよい幅があります。洗剤の目安の量は、汚れを包む「ミセル」という粒の集まりが十分できるように、少し余裕をもって決められています。控えめに使うと、汚れが落ちにくくなったり、汚れが服に戻ったりします。目安より多くしても、洗う力はあまり変わらず、洗剤がむだになるうえ、すすぎの回数が増えれば水もむだになります[9]。
水は「多いほどよい」でも「少ないほどよい」でもなく、服の量と洗剤の量に合った幅があるようです。それなら、水を大きく減らしても洗える洗い方は、どうして成り立つのでしょうか。
洗濯で使う水の量を、衣類1キログラムあたりのリットル数で表したものを、浴比という[9]。JSDAの解説によれば、浴比が低すぎて洗濯物に対して水が足りないと、衣類が洗濯液から飛び出して洗いムラができる。さらに、洗剤の界面活性剤が洗濯物に吸着して、水中にできるミセルの量が減り、汚れ落ちが悪くなる。逆に浴比が高すぎて、大量の水の中で少ない洗濯物が泳ぐような状態になると、機械の力が洗濯物に伝わりにくくなり、水がむだなだけで汚れ落ちも悪くなることがある。同じ解説は、洗濯機の大型化で低浴比化が進んでいるため、きれいに洗えているか注意が必要だとも書いている[9]。
洗剤の量にも、同じ釣り合いがある。界面活性剤は、ある濃度を超えるとミセルという集合体を作る。その境目の濃度が臨界ミセル濃度(CMC)だ。ミセルが油汚れを包み、洗濯液中に分散させ、繊維への再付着も防ぐ。洗剤の使用量の目安は、CMCより少し高めの濃度になるように設定されている。控えめに使うとミセルが足りなくなり、汚れ落ちが悪くなったり、再汚染しやすくなったりする。目安より多くしても、ミセルは十分あるので洗浄力はさほど変わらず、洗剤がむだになるうえ、すすぎの回数が増えれば水もむだになる[9]。
水は「多ければよい」でも「少ないほどよい」でもなく、洗濯物の量と洗剤の量に合った幅がある。それなら、水を大きく減らしても洗える洗い方は、どう成り立つのか。
4. たて がたと ドラムしきは、どう ちがうの?
4. 縦型とドラム式 ── 洗い方の動きのちがい
4. 縦型のもみ洗いと、ドラム式のたたき洗い ── 水の使い方のちがい
「たて がた」の せんたくきは、おけの そこに ある はねが 水を ぐるぐる うごかして、ふくを もみ あらいます。おなべの 中を おたまで ぐるぐる かきまぜる ような ものです。ただし ほんとうは、おたまでは なく、そこの はねが まわります[11]。
「ドラムしき」は、よこに ねかせた まるい ドラムを まわして、ふくを もちあげては おとします。ぬれた タオルを もちあげて、ぱたんと おとす ような うごきで、これを「たたきあらい」と いいます[11]。ただし ほんとうは、ぱたんと おとす だけでは なく、こきざみに うごかす もみあらいも くみあわせて います。
ドラムしきは、すくない 水で あらえます[9]。でも、こい いろの ふくと うすい いろの ふくを いっしょに あらうと、いろが うつる ことが あります[11]。どちらにも、とくいな ことと にがてな ことが あります。
あらいかたは、くにに よっても ちがいます。ヨーロッパでは ドラムが おおく、じかんを かけて、おゆを つかって、すくない 水で あらう、と せんたくきの しごとを した 人は はなして います[1]。
では、せんたくきは、ふくが どれくらい 入って いるのかを、どうやって しるのでしょう。
洗い方は、縦型とドラム式でちがいます。あるメーカーの説明ページによると、縦型は、槽の底にある回転羽根(パルセーター)が作る水流で、服をもみ洗いするのが基本の動きです。ドラム式は、ドラムを回して服を持ち上げ、落とす「たたき洗い」が基本で、ドラムを急に反対向きに回して小刻みに動かす「もみ洗い」も組み合わせます[11]。
水の使い方も変わります。日本石鹸洗剤工業会は、節水型の洗濯機の究極は、水の少ない「たたき洗い」をするドラム式だと書いています。たたく効果を出すには、少ない水で洗うしかないからです。ただし、節水型では、これまでの水の量をもとにした洗剤の量だと汚れ落ちが足りなくなることがあるので、洗剤の作りや使う量も見直されているそうです[9]。
それぞれに、得意なことと苦手なことがあります。メーカーの説明では、ドラム式は少ない水で洗剤を溶かすので洗剤液が濃くなり、皮脂汚れが得意で、服もこすれにくいそうです。一方で、濃い色の服と淡い色の服を一緒に洗うと色移りすることがあり、洗濯だけでタオルを洗うと、ふかふかの毛が寝てゴワつくことがある、とも書かれています。縦型は、かき混ぜる動きが基本なので、服のこすれやからみがドラム式より多くなります[11]。メーカー自身がこう書くほど、それぞれに一長一短があります。どちらが上とは言えません。
洗い方は国によってもちがいます。洗濯機の企画に長く関わった寺田さんは、2002年のインタビューで、水が豊富に使えた日本では渦巻き式(底の羽根で水流を作るタイプ)が圧倒的に多く、ヨーロッパでは主にドラム型で、時間をかけ、お湯を使って少ない水で洗う、と話しています。アメリカは大きな容量の撹拌式が中心だそうです[1]。少ない水で洗うやり方は、時間がかかることや、お湯を使うこととセットで語られています。
水の量は、洗濯物の量に合わせて決めるものです。では洗濯機は、服の量をどうやって知るのでしょうか。
縦型は、洗濯槽の底にあるパルセーター(回転羽根)が作る撹拌水流で、衣類をもみ洗いするのが基本の動きだ。ドラム式は、ドラムを回して衣類を持ち上げて落とす「たたき洗い」が基本で、ドラムを急に反転させて衣類を小刻みに動かす「もみ洗い」を組み合わせる。機種によっては、ドラムの高速回転で洗剤液を繊維のあいだに勢いよく通す「押し洗い」も加える。以上は、あるメーカーの説明ページにある分類だ[11]。
水の使い方は大きく違う。JSDAは、節水型の洗濯機の究極は、水の少ない「たたき洗い」をとるドラム式だと書いている。たたく効果を出すには、必然的に少ない水で洗うことになるからだ。ただし、節水型では、従来の水量をもとにした洗剤量だとミセルが少なくなって汚れ落ちが不十分になるため、洗剤の設計や使用量も、洗濯機の変化に合わせて見直されているという[9]。
それぞれに得意と不得意がある。同じメーカーの説明では、ドラム式は少ない水で洗剤を溶かすため洗剤液の濃度が高く、皮脂汚れが得意で、こすれや絡みが少なく衣類が傷みにくい。一方で、色の濃い衣類と淡い衣類を一緒に洗うと色移りすることがあり、洗濯のみでタオルを洗うとパイルが寝てゴワつくことがある。縦型は、かき混ぜる動きが基本なので、洗濯物のこすれや絡みがドラム式より多くなる[11]。メーカー自身がここまで書くほど、それぞれに一長一短がある。どちらが上とは言えない。
洗い方は国や地域でも違う。寺田さんは、2002年のインタビューで、水が豊富に使えた日本では渦巻き式(底の羽根で水流を作るタイプ)が圧倒的に多く、ヨーロッパでは主にドラム型で、時間をかけ、お湯を使って少ない水で洗うと話している。アメリカは容量の大きい撹拌式が中心だという[1]。少ない水で洗う方式は、時間がかかることや、お湯を使うこととセットで語られている。
水の量は、洗濯物の量に合わせて決めるものだ。では洗濯機は、服の量をどうやって知るのか。
5. せんたくきは、ふくの りょうを どうやって しるの?
5. 洗濯機は、服の量をどう見分けるのか
5. 布量センサーと水位センサー ── 「回しにくさ」で量を知る
せんたくきの 水の りょうは、ふくの りょうに あわせて かわります。せんたくきに、「水の たかさが この くらい なら、ふくは なんキロまで」と かいて あります[12]。
これを せんたくきが 自分で やる しくみが あります。はじめに すこしだけ 水を 入れて、モーターを みじかい あいだ うごかします。そのとき、ふくが おもいほど、まわしにくく なります[13]。ブランコに のった 人が おもいほど、こぎだすのに ちからが いるのと おなじ かんがえです。ただし ほんとうは、せんたくきは、モーターの でんきの かわりかたを よみとって います。
ふくの おもさを、はかりでは なく、まわしにくさで しって います。
つぎは、あらった あとの はなしです。だっすいで、どうして 水だけが でて いくのでしょう。
水の量は、服の量に合わせて決めるものです。日本電機工業会は、洗濯機には水位ごとに洗える服の重さ(高水位なら何キログラム、低水位なら何キログラム)が書いてあるので、量に合った水位でむだなく洗うようすすめています[12]。
この選び方を洗濯機が自分でする仕組みを、日立製作所の飛田秀幸さんが1989年に『電気学会誌』で解説しています。布の量を調べる「布量センサー」は、水位センサーとともに、1985年9月に製品に初めて採用され、1989年には各社の標準装備になっていました。原理は、羽根やモーターの回りにくさを調べて、布の量を判断するものです。低い水位まで水を入れてから、モーターを短い時間だけ動かし、その回転数や、モーターの電圧・電流・電力の変化をとらえます。どんな方法かは、会社ごとに違うと書かれています[13]。
服の重さを、はかりではなく、回しにくさで知っていることになります。ブランコに乗った人が重いほど、こぎ出すのに力がいるのと同じ考え方です。ただし本当は、ブランコと洗濯機では仕組みが別で、洗濯機は電気の変化を読み取っています。
同じ解説には、水槽の水位を空気の圧力にして測る水位センサーや、洗いやすすぎが終わったのを見分ける濁度センサーも出てきます[13]。洗濯機は、水の濁りも見ていたことになります。1989年の解説なので、今の機種の方式は、各社の資料で確かめてください。
水の量が決まったら、洗って、水を出して、次は脱水です。水だけが服から出ていくのは、なぜなのでしょうか。
水の量は、洗濯物の量に合わせて決めるものだ。JEMAは、洗濯機には高水位なら何キログラム、低水位なら何キログラムというように、水位ごとに洗える衣類の重さが表示されており、量に適した水位でむだなく洗うようすすめている[12]。
この選び方を洗濯機が自分で行う仕組みは、日立製作所の飛田秀幸が1989年に『電気学会誌』で解説している。布量センサーは、水位センサーとともに1985年9月に初めて製品に採用され、1989年には各社で標準装備されるまでになった。原理は、回転翼あるいはモーターの回転抵抗を検知して布量を判定する方式だ。具体的には、低水位まで給水したあとモーターを短時間運転し、起動時・定常時・慣性回転時のいずれかのタイミングで、回転数やモーターの電圧・電流・電力の変化を捉える。方法は各社各様だと書かれている[13]。
服の重さを、はかりではなく、回しにくさで見分けていることになる。
同じ解説には、水槽の水位を空気圧として取り出して測る水位センサー(ダイヤフラムによる変位変換方式が主流)や、洗い・すすぎの完了検知に使う濁度センサーも出てくる[13]。洗濯機は、水の濁りも見ていたことになる。1989年の解説なので、今の機種の方式は、各社の資料で確かめる必要がある。
水量が決まり、洗い、排水し、次は脱水になる。水だけが服から出ていくのは、なぜなのか。
6. だっすいで、どうして 水だけ でて いくの?
6. 脱水で、水だけが出ていくのはなぜか
6. 遠心力による脱水 ── 服は槽に残り、水はすき間を抜ける
だっすいでは、せんたくの おけを ものすごい はやさで まわします。すると、ふくも 水も、おけの かべの ほうへ おされます。ふくは かべに おしつけられて、そこに のこります。水は、ふくの すきまを ながれて、そとへ でて いきます。
あめに ぬれた かさを くるくる まわすと、水の つぶが とんで いきます。それと にた ことです。ただし ほんとうは、せんたくきの だっすいでは、かさよりも ずっと つよい ちからが かかります。ふくや 水を そとがわへ おす ちからが、それぞれの おもさの 400ばいぐらいに なる、と かいて ある むかしの ほんが あります[14]。
でも、水は ぜんぶは でません。せんいは 水を すうので、だっすいが おわった ふくも、すこし しめって います[14]。
あらった あとは、すすぎと だっすいが つづきます。すすぎで、せんざいを 水で うすめる ときに、だっすいが やくに たちます。
脱水は、洗濯槽を高速で回して、遠心力で服から水を分けます。回る槽の中では、服も水も、槽の壁のほうへ押されます。服は槽の壁やほかの服に押しつけられて、その場にとどまります。水は、服のすき間を流れて、槽の外へ出ていきます。
雨にぬれた傘を、くるくる回すと、水のつぶが飛んでいきます。似た仕組みです。ただし本当は、洗濯機の脱水では、傘よりずっと強い力がかかります。1991年の解説記事には、家庭用の遠心脱水機の加速度がおよそ400G(重力の約400倍)という記述があります[14]。
水が出ていく道は、穴だけではありません。穴のない槽の洗濯機もあります。メーカーの説明では、槽の底から集中して排水して、強い遠心力で槽の上のほうから脱水するそうです[15]。
ただし、水は全部は出ません。繊維は水を吸うので、脱水が終わった服も湿っています。同じ1991年の記事は、絞り方を変えた綿のワイシャツの乾燥時間を図にして、室内の自然乾燥には4〜6時間必要だと書いています(実験には、家庭用の遠心脱水機が使われました)。布がどれだけ水を含むかは、繊維の種類より、布の作りによるところが大きい、とも書かれています[14]。
脱水は、水を減らすためだけの工程ではありません。すすぎでも、洗剤を含んだ水を服から出すために使われます。
脱水は、洗濯槽を高速で回し、遠心力で洗濯物から水を分ける。回る槽の中では、服も水も槽の壁の向きに押される。服は、槽の壁やほかの服に押しつけられてその場にとどまる。水は液体なので、繊維や服のすき間を流れて、槽の外へ抜け出せる。
その力は重力よりずっと大きい。1991年の解説記事(『繊維製品消費科学』)には、家庭用遠心脱水機の加速度が「およそ400G程度」とある[14]。
水の出口は、槽の壁の穴だけとは限らない。穴のない槽を採用した機種もあり、メーカーの説明では、槽の底から集中排水したうえで、強い遠心力で槽の上部から脱水するという[15]。
ただし、水は全部は出ない。繊維は水を吸うので、脱水後の服も湿っている。同じ記事は、絞り条件を変えた綿のワイシャツの乾燥時間を図にして、室内の自然乾燥には4〜6時間必要だと書いている(実験には家庭用の遠心脱水機が使われた)。布がどれだけ水を含むかは、繊維の種類というより布の構造によるところが大きいとも書かれている[14]。
脱水は、水を減らすだけの工程ではない。すすぎでも、洗剤を含んだ水を服から出すために使われる。
7. すすぎの 水を へらしても、せんざいは おちるの?
7. すすぎの水を減らしても、洗剤は落ちるのか
7. すすぎの水を減らす ── 中間脱水、「すすぎ1回」、洗剤の設計
あらい おわった ふくは、せんざいの 入った 水を ふくんで います。すすぎは、その 水を きれいな 水で うすめて、そとへ だす しごとです。
にごった 水の コップに、きれいな 水を たして、すこし すてて、また たします。これを くりかえすと、コップの 水は だんだん うすく なります。それと おなじです。ただし ほんとうは、せんたくきの 中には、ふくと 水が いっしょに 入って います。
水を へらした ぜんじどうの せんたくきは、だっすいで せんざいの 入った 水を だして、すこし 水を 入れて、また だっすいする、という くりかえしで すすぎます[1]。水を ながしつづける すすぎなら、にごった 水が だんだん すんで くるので、きれいに なった ことが 目で わかります。水を へらした すすぎでは、それが 見えません。だから、「においが のこってる」と かんじて しまう ことが あった、と せんたくきを つくって いた 人は ふりかえって います[1]。
せんざいの はこには、「すすぎ 1かい OK」と かいて ある ものが あります[18]。かいてある とおりの りょうを つかえば、すすぎを へらしても いいように、つくられて います。でも、せんざいを 入れすぎると、すすぎが ふえて、水が むだに なります[12]。
せんざいが 水に どれだけ のこって いるかを、はかって しらべた けんきゅうも あります。「すすぎ 1かいで いい」と される せんざいでは、1かいで じゅうぶんに とれて いた、と ほうこく されて います[17]。ただし、しらべた せんざいは 4しゅるいだけです。
水を へらす くふうと、せんざいの りょうを まもる ことは、セットです。
洗い終わった服は、洗剤の入った水を含んでいます。すすぎは、その水を新しい水で薄めて、外に出す作業と考えるとわかりやすいでしょう。寺田さんによると、節水型の全自動洗濯機は、洗ったあとに脱水で洗剤の泡を落とし、水を少し入れてまた脱水する、という繰り返しで洗剤を落とします。水を流し続ける「流しすすぎ」と同じ効果を少ない水で出しているのですが、消費者は、頭では分かっても、感覚として納得しにくかったそうです[1]。
日本では、水を流し続ける流しすすぎが主流でした。2槽式で流しすすぎをすると、汚れた水がだんだん澄んでくるので、汚れが落ちたことが目で分かります。節水型では、その変化が見えません。だから、洗い上がった服のにおいで不安になる、という話になりがちだった、と寺田さんは言います[1]。
すすぎの方法は、あるメーカーの説明では3つに分けられます。槽に水をためて行う「ためすすぎ」、水をためたうえでさらに給水しながら行う「注水すすぎ」、槽をゆっくり回しながら水を服にふりかける「シャワーすすぎ」です。同じ説明によると、3分のためすすぎ、脱水、もう一度3分のためすすぎと、6分の注水すすぎは、すすぎの効果がほぼ同じで、どちらも、それ以上すすいでも効果はあまり上がりません[16]。
洗剤の容器に「すすぎ1回OK」などの表示があれば、1回でよいことになっています。洗剤メーカーの解説では、液体洗剤はすすぎ1回のものが多く、粉末洗剤はすすぎ2回をすすめるものが多いそうです。表示がない洗剤は2回以上をすすめています[18]。洗剤を入れすぎても汚れ落ちは変わらず、すすぎの時間が長くなって水がむだになる、と日本電機工業会も書いています[12]。
水を減らす工夫は、洗剤の側の見直しとも重なっています。2024年9月20日、洗剤の洗浄力などを評価する方法を決めた日本産業規格「JIS K 3362」が改正されました。日本石鹸洗剤工業会によると、改正の背景には、節水・節電につながる「すすぎ性」の向上が多くの製品で見られることや、大容量の洗濯機の普及とともに、水の少ない洗濯(低浴比)や、衣類が黒ずむ問題が目立ってきていることがありました。衣類が黒ずむ原因の1つには、洗濯のときの洗剤が足りないことが考えられるそうで、黒ずみを防ぐ力を評価する方法も加わりました[19]。
すすぎの水を減らしても洗剤が落ちるかどうかは、洗剤の種類、入れた量、脱水の入れ方で変わります。洗剤の残り具合を測った研究もあります。鳴門教育大学の福井典代さんは、2011年の研究発表要旨で、洗濯の工程ごとの水の表面張力(洗剤が溶けていると小さくなる性質)を測り、水に含まれる洗剤の濃度を予測しました。すすぎ1回でよいとされる市販の超コンパクト洗剤では、すすぎ1回目の表面張力が水に近い値になり、すすぎ1回で洗剤の成分は十分に取り除かれていた、と報告しています[17]。ただし、これは4種類の洗剤での基礎実験で、今の機種ごとに、節水したすすぎでの洗剤の残りを比べた第三者の測定は、このメモの調べでは見つけられませんでした。分かっているのは、水を減らす工夫が、洗剤の量を守ることとセットで作られている、ということです。洗剤は、入れすぎても、少なすぎても困ります。
洗い終わった服は、洗剤を含んだ洗濯液を含んでいる。すすぎは、その洗濯液を新しい水で薄めて外に出す作業と考えると分かりやすい。寺田さんによれば、節水型の全自動洗濯機は、洗ったあとに脱水で洗剤の泡を落とし、水を少し入れてまた脱水する、という繰り返しで洗剤を落とす。流しすすぎと同じ効果を少ない水で出しているのだが、消費者は頭では分かっていても、感覚として納得しにくかったという[1]。
日本では、水を流し続ける流しすすぎが主流だった。2槽式で流しすすぎをすると、汚れた水がだんだん澄んでくるので、汚れが落ちたことが目で分かる。節水型ではその変化が見えず、洗い上がった服のにおいで「まだすすぎが足りない」という話になりがちだった、と寺田さんは語る[1]。
すすぎの方法は、あるメーカーの説明では3つに分けられる。槽に水をためて行う「ためすすぎ」、水をためたうえでさらに給水しながら行う「注水すすぎ」、洗濯槽をゆっくり回しながら水を洗濯物にふりかける「シャワーすすぎ」だ。同じ説明によると、3分のためすすぎ、脱水、もう一度3分のためすすぎと、6分の注水すすぎは、すすぎ効果がほぼ同じで、どちらも、それ以上すすいでも効果はあまり向上しない[16]。
洗剤の容器に「すすぎ1回OK」などの表示があれば、1回でよい。洗剤メーカーの解説では、液体洗剤にはすすぎ1回のものが多く、粉末洗剤にはすすぎ2回をすすめるものが多い。表示のない洗剤は、2回以上をすすめている[18]。洗剤を入れすぎても汚れ落ちは変わらず、すすぎの時間が長くなって水がむだになる、とJEMAも書いている[12]。
水を減らす工夫は、洗剤の側の見直しとも重なっている。2024年9月20日、洗剤の洗浄力などを評価する方法を定めた日本産業規格「JIS K 3362」が改正された。JSDAによれば、改正の背景には、節水・節電につながるすすぎ性の向上が多くの製品に見られること、大容量洗濯機の普及とともに低浴比洗濯や衣類が黒ずむ問題が顕在化していること(さらに衣料品の大量廃棄の問題)があり、再汚染(黒ずみ)の防止力を評価する方法も新たに加わった。再汚染の原因の1つには、洗濯時の洗剤量の不足による再付着防止力の低下が考えられるという[19]。
すすぎの水を減らしても洗剤が落ちるかどうかは、洗剤の種類、入れた量、脱水の入れ方で変わる。洗剤の残り具合を測った研究もある。鳴門教育大学の福井典代は、2011年の研究発表要旨で、洗濯の工程ごとの水の表面張力(洗剤が溶けていると小さくなる性質)を測り、水に含まれる洗剤の濃度を予測した。すすぎ1回でよいとされる市販の超コンパクト洗剤では、すすぎ1回目の表面張力が水に近い値になり、すすぎ1回で洗剤成分は十分に除去されていた、と報告している[17]。ただし、これは4種類の洗剤での基礎実験で、現在の機種ごとに、節水したすすぎでの洗剤の残りを比べた第三者の測定は、このメモの調べでは見つけられなかった。分かるのは、水を減らす工夫が、洗剤の量を守ることとセットで作られている、という点だ。洗剤は、入れすぎても、少なすぎても具合が悪い。
8. じぶんで しらべて みよう
8. 自分でも調べてみたくなったら
8. 自分でも調べてみたくなったら
おうちの 人と いっしょに、せんたくきの ラベルや せつめいしょで、「〇〇キロ」と かいて ある かずを さがして みましょう。あらえる ふくの おもさの かずです。
せんざいの はこの うらも 見て みましょう。「つかう りょうの めやす」と、「すすぎ 1かい OK」の ひょうじが あるでしょうか。
せんたくきを ばらばらに したり、せんざいを たくさん 入れて ためしたり する ことは しません。せんざいの りょうは、はこの めやすを まもって ください。
家にある洗濯機で、このメモの話を確かめられます。
取扱説明書かカタログ(メーカーのサイトにも載っています)で、「洗濯容量」と「標準使用水量」を探します。標準使用水量を洗濯容量で割ると、服1キログラムあたりの水の量、つまり浴比が出ます。このメモの例(約10リットル)と比べてどうでしょうか。乾燥機能のある機種は、洗濯のみと洗濯乾燥の2つの数字があるので、洗濯のみのほうを使います[6]。
洗剤の容器の裏には、「使う量の目安」と、「すすぎ1回OK」などの表示があるか探します。洗濯機のすすぎの設定と、洗剤の表示が合っているかを見比べられます[18]。
洗濯機を分解したり、洗剤を多く入れて試したりはしません。洗剤の量は、容器の目安を守ってください。
洗濯機の話は、家にある洗濯機で確かめられる。
まず、取扱説明書かカタログ(メーカーのサイトにも載っている)で、「洗濯容量」と「標準使用水量」を探す。標準使用水量を洗濯容量で割ると、衣類1キログラムあたりの水の量、つまり浴比が出る。このメモの例(約10リットル)と比べてどうだろう。乾燥機能つきの機種は、洗濯のみと洗濯乾燥で標準使用水量が2つ書かれているので、洗濯のみの数字を使う[6]。
次に、洗剤の容器の裏を見る。「使用量の目安」と、「すすぎ1回OK」などの表示の有無を探し、洗濯機のすすぎの設定と合っているかを見比べる[18]。洗濯機に表示された、水位ごとに洗える衣類の重さも探してみるとよい[12]。
読み比べるなら、寺田さんのインタビュー[1]と、長谷川富市さんの論文の抄録[10]がよい。前者は、水を減らす洗濯機を売る現場が、人の感覚とどう向き合ったかを語る。後者は、機械の力が「強ければよい」ものではないことを、実験の積み重ねから整理している。
洗濯機の分解や、洗剤を多く入れて試すといったことは、しない。洗剤の量は、容器の目安を守る。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
出典について:洗濯機の開発に関わった人のインタビュー、業界団体(日本電機工業会、日本石鹸洗剤工業会)、公的機関(国土交通省、東京都水道局)、学術論文と学会誌、メーカーの説明ページを使いました。メーカーの説明ページは、その会社の機種や洗剤についての説明です。数字は資料が示した年・条件のものです。
- 寺田實(インタビュー)「土地の文化を知らないと洗濯機は作れない ── 洗濯機の商品開発と消費者のライフスタイル」『水の文化』11号(洗うを洗う)、ミツカン水の文化センター、2002年8月。 https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no11/04.html (三洋電機で洗濯機の商品企画に長く関わった人の話。洗濯機の歴史、水量の変化、消費者の反応、国ごとの洗い方のちがいに使った。開発の現場にいた人の証言で、統計ではない)
- 東芝ライフスタイル「PRODUCT HISTORY 洗濯機」。 https://www.toshiba-lifestyle.com/jp/corporate/rd/research/history/laundries/ (国産第1号の電気洗濯機「ソーラー」の年・容量・値段に使った、メーカーの製品史のページ)
- 家庭電気文化会「家電の昭和史 洗濯機」。 https://www.kdb.or.jp/syouwasisentakuki.html (全自動洗濯機の発売年(1965年)、1974年の節水タイプの全自動、1979年ごろの洗濯容量についての、家電の歴史をまとめた団体の解説)
- 東京都水道局「水の上手な使い方」。 https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/shiyou/jouzu (一般家庭のふろの残り湯が約180リットル、という数字に使った)
- 国土交通省「水資源:水資源の利用状況」。 https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk2_000014.html (家庭用水の使われ方の割合。東京都水道局が2015年に行った調査の結果として紹介されている)
- 日本電機工業会(JEMA)「すぐわかる!家電エコ用語ナビ ── 標準使用水量」。 https://www.jema-net.or.jp/living/eco/g01_07.html (標準使用水量の意味と、洗濯乾燥機に2つの標準使用水量があることの説明に使った)
- 日立の家電品(お客さまサポート)「1回の運転で使用する水量を知りたいです。」。 https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/wash/q_a/a105.html (カタログの標準使用水量の読み方を、ある機種を例に説明したページ。12キログラム・123リットルの数字は、この機種の例)
- 環境イノベーション情報機構(EICネット)エコライフガイド「洗濯機にまつわるエコライフ(1)」。 https://www.eic.or.jp/library/ecolife/waterdir/water06.html (全自動洗濯機の槽の大きさと、洗い1回・ためすすぎ2回で使う水の量の解説)
- 日本石鹸洗剤工業会(JSDA)「洗剤メモシート 6) 洗剤の濃度と浴比」(『CLEAN AGE』No.219、2009年9月15日更新)。 https://jsda.org/w/03_shiki/senzaimemo_06.html (洗剤の働き、洗濯の3つの条件、洗剤の濃度と浴比、たたき洗いと節水についての、洗剤メーカーの業界団体による解説)
- 長谷川富市「洗浄における機械力」『オレオサイエンス』8巻11号(2008年)、495〜501ページ。 https://doi.org/10.5650/oleoscience.8.495 (洗濯洗浄での機械の力を整理した論文。本文では、公開されている抄録の内容を使った)
- パナソニック「ドラム式と縦型 洗浄方式の違いは?」(洗濯機・衣類乾燥機)。 https://panasonic.jp/wash/select/washing.html (縦型とドラム式の洗い方の動きと、それぞれの得意・不得意についてのメーカーの説明)
- 日本電機工業会(JEMA)「お洗濯のポイント」(電気洗濯機)。 https://jema-net.or.jp/Japanese/ha/sentakuki/wash.html (水位ごとに洗える衣類の重さの表示、洗剤を入れすぎたときのむだについての説明)
- 飛田秀幸「洗濯機と衣類乾燥機とエレクトロニクス化」『電気学会誌』109巻3号(1989年)、202〜204ページ。 https://doi.org/10.11526/ieejjournal1888.109.202 (布量センサー・水位センサー・濁度センサーの原理の解説。1989年の時点の記述)
- 平松峻「水と繊維 第2部 水による繊維の変化」『繊維製品消費科学』32巻3号(1991年)、88〜96ページ。 https://doi.org/10.11419/senshoshi1960.32.88 (繊維が水を吸うこと、家庭用遠心脱水機の加速度、脱水したシャツの乾燥時間の例)
- シャープ「穴なし槽の脱水のヒミツ」(洗濯機)。 https://jp.sharp/sentaku/dassui/ (穴のない洗濯槽での脱水のしくみについてのメーカーの説明)
- 東芝ライフスタイル「洗濯機のすすぎには、どんな方法がありますか」(よくあるご質問)。 https://faq-toshiba-lifestyle.dga.jp/answer.html?category=1180&page=1&id=277 (ためすすぎ・注水すすぎ・シャワーすすぎの説明と、すすぎ効果の比較についてのメーカーの説明)
- 福井典代「合成洗剤のすすぎ性能に関する基礎的研究とその教材化」日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集、第54回大会・2011例会、P01。 https://doi.org/10.11549/jhee.54.0.74.0 (洗濯の工程ごとの水の表面張力を測って、すすぎ1回での洗剤の残りを調べた研究発表の要旨。4種類の市販洗剤での基礎実験)
- ライオン Lidea「「すすぎ1回」でも大丈夫?柔軟剤は使える?洗剤選びや設定の方法もご紹介」。 https://lidea.today/articles/946 (洗剤の「すすぎ1回OK」表示の見分け方についての、洗剤メーカーの解説。記事の更新日は2024年7月19日)
- 日本石鹸洗剤工業会(JSDA)「JSDAの活動:当工業会と大学が協力し、洗濯環境の変化に対応したJIS規格改正を実現」。 https://jsda.org/w/01_katud/senzai_jis2024.html (JIS K 3362:2024の改正の背景と、再汚染(黒ずみ)についての説明)
なおした ところ
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