1. ごみの ねつが、どうして でんきに なるの?
1. ごみを燃やした熱は、どうやって電気になるのか
1. 焼却の熱が電気になるまで ── 江東区の学校69校と、全国415施設
せいそうこうじょうでは、あつめた ごみを もやします。そのとき、ものすごい ねつが でます。この ねつで おゆを わかして、じょうきを つくります[2]。
じょうきが いきおいよく ふくと、タービンという はねぐるまが まわります。まわる はねぐるまが、でんきを つくります。かざぐるまが かぜで まわるのと にた しくみです。ただし、うごかして いるのは かぜではなく、じょうきです[2]。
こうして できた でんきを、こうとうくの 学校が つかって います[1]。日本には、こうした はつでんの できる ごみの しょりじょうが、2024ねんど(れいわ6ねんど)で 415か しょ あります[3]。
清掃工場では、燃やしたごみの熱で水を沸かし、蒸気にします。その蒸気で蒸気タービンという羽根車を回し、発電機を動かして電気を起こします[2]。かざぐるまが風で回るのに似ていますが、ここで羽根車を回すのは、ごみの熱でできた蒸気です。
こうした発電設備を持つごみ焼却施設は、環境省の統計で、令和6年度(2024年度)に全国で415施設ありました。焼却施設全体の41.9%にあたります[3]。江東区の学校に届く電気は、そうした施設のひとつから来ています[1]。
ただ、学校の電気がすべてごみ発電だという意味ではなく、区の説明には、使っているのは「ごみ発電の電力」とあるだけです[1]。それでは、できた電気は、まず誰が使うのでしょうか。
焼却炉で出る熱は、廃熱ボイラーで蒸気として回収され、蒸気タービン発電機を回して電気になる[2]。燃やすときに出る熱を捨てずに電気へ変えるのが、ごみ発電である。
環境省の令和6年度(2024年度)の集計では、発電設備をもつごみ焼却施設は415施設で、焼却施設全体の41.9%だった。総発電電力量は10,448GWhで、これは約104億kWhにあたり、環境省は約267万世帯分の年間電力使用量に相当すると概算している[3]。世帯数への換算は環境省の基準による目安であり、年度が違う集計とは単純に比べられない。
江東区の学校は、この電気を実際に使う側の一例だ。区の説明は、全区立小・中学校と義務教育学校の全69校でごみ発電の電力を使うというもので、学校の電気のすべてをまかなうとは書かれていない[1]。では、発電した電気は、まず工場の外へ出ていくのか。それとも、別の使い道が先にあるのか。
2. せいそうこうじょうは、じぶんの でんきも つかうの?
2. 工場は、つくった電気の一部を自分で使っている
2. 場内利用と売電 ── 大阪府の清掃工場の例で見る内訳
せいそうこうじょうの なかでは、ごみを もやす ろや、くうきを おくる そうちが、うごいて います。その うごかす ための でんきにも、ごみから つくった でんきが つかわれます[2]。
おおさか ふの せいそうこうじょうの 2021ねんどの きろくを みると、つくった でんきの うち、およそ 36%を こうじょうの なかで つかって いました[4]。のこりの 64%ほどは、うられました[4]。つくった でんきの 3ぶんの 1ぐらいは、じぶんで つかった ことに なります。
これは おおさか ふの ひとつの れいで、ぜんこくの わりあいでは ありません。
清掃工場の中では、炉にごみを送り込み、燃焼に必要な空気を送る送風機などが、一日中動いています。発電した電気の一部はその動力として工場内で使われ、残りは売られます[2]。
大阪府内の清掃工場の令和3年度(2021年度)の実績を見ると、発電量が約4億7,374万kWhでした。そのうち売った電気は約3億226万kWhで、約64%です。工場の中で使った電気は約1億7,148万kWhで、約36%でした[4]。電気の3分の1ほどは、工場が自分で使っている計算です。
これは大阪府の工場の一年分の例で、全国の比率とは言えません。それでも、発電所のように外へ送るだけの施設ではなく、自分の運転にも電気を使う施設だと分かります。では、売ったり、余ったりした電気は、実際にどこへ届くのでしょうか。
ごみ焼却施設の電気は、一部が炉や送風機などの動力として場内で使われ、残りが売電される[2]。ごみを燃やす設備を動かす電気を、そのごみの熱でまかなう形である。
では、その割合はどれくらいか。大阪府内の清掃工場の令和3年度(2021年度)実績では、発電電力量は473,738,860kWh、売電電力量は302,259,465kWh、工場内消費電力量は171,479,395kWhだった[4]。割ると売電が約63.8%、場内消費が約36.2%で、発電量のおよそ3分の1を工場自身が使っている計算になる。ただし、これは大阪府内の一事例であり、全国の場内利用と売電の比率とは限らない。
この見方は、次の章で重要になる。自治体が学校や庁舎に届ける電気は、場内で使った分とは別の余剰分だからだ。では、その余剰分は、具体的にどこへ向かうのか。
3. あまった でんきは、どこの 学校へ いくの?
3. 広島市では、余った電気が小学校にもごみ処理施設にも届く
3. 広島市の余剰電力供給 ── 市有施設79か所と、ごみ処理施設へ戻る電気
広島市(ひろしまし)では、2025ねんの 4がつから、せいそうこうじょうで つくった あまりの でんきを、市の たてもの 79か しょに おくる ことに しました[5]。
おくり先は、市やくしょなどの 10か しょ、小学校など 64か しょ、そして ごみを あつかう しせつ 5か しょです[5]。
ごみから できた でんきが、ごみを あつかう しせつにも もどって いくのは、おもしろい ところです。
市の はっぴょうでは、小学校などに おくる でんきは、1ねんに 1500まん キロワットアワー ほどの よていです[5]。
広島市は、2025年4月から、清掃工場で発電した余りの電気を、市の施設79か所で使う取り組みを始めると発表しました[5]。電気は、小売電気事業者のアーバンエナジーを通して届けられます[5]。
内訳は、庁舎関連が10施設で年約900万kWh、小学校等が64施設で約1,500万kWh、ごみ処理施設が5施設で約800万kWhです。合わせて年約3,200万kWhになります[5]。供給量は市の予定の数字です。
注目したいのは、届け先の中に、ごみ処理施設が入っていることです。ごみを燃やして生まれた電気が、別のごみ処理施設を動かす電気になって戻っていきます。小学校等への約1,500万kWhは、全体のおよそ半分近くにあたります。
ところで、広島市の電気は小売電気事業者を通って届きます。電気を送る道が、別にもあるのでしょうか。
広島市は、令和7年(2025年)4月から、本市の清掃工場で発電した余剰電力を、小売電気事業者のアーバンエナジーを介して市有施設で活用する取り組みを始めると発表した[5]。余った電気を、市自身の施設で使う形である。
供給の内訳は、庁舎関連10施設で年約900万kWh、小学校等64施設で約1,500万kWh、ごみ処理施設5施設で約800万kWhで、あわせて79施設、年約3,200万kWhである。数字は市が示した予定で、900+1,500+800で合計と合う[5]。小学校等が全体のおよそ47%を占める計算になる。
ごみ処理施設にも電気が届くのは興味深い点で、焼却の熱から生まれた電気が、別のごみ処理施設の運転に戻る。ごみ発電の電気は、外へ売られるだけでなく、同じ「ごみの処理」の側にも還流する。広島市は小売電気事業者を介したが、自治体が電気を送る方法はこれだけではない。送電網を借りる方法がある。
4. でんせんを かりて、まちの たてものへ おくる ことも できるの?
4. 船橋市は、送電網を借りて市の施設に電気を送る
4. 自己託送という方法 ── 船橋市の10施設と、固定価格買取制度の対象外の電気
船橋市(ふなばしし)は、ふたつの せいそうこうじょうで あまった でんきを、10の しせつに おくって います[6]。
おくる とき、でんきの みちは、でんきの 会社が もっている そうでんもうを かります。これを 「じこたくそう」と よびます[6]。
2024ねんの 10がつから、2027ねんの 9がつの おわりまで、この やりかたで おくります[6]。
2023ねんどに あまった でんきは、4870まん キロワットアワー でした[6]。船橋市は、CO2が 1ねんに 1まん 4700トンほど へる みこみだと つたえて います[6]。
船橋市は、北部と南部の2つの清掃工場で発電した余剰電力のうち、固定価格買取制度(FIT)の対象になっていない分を、市の10施設に送っています。送るときは、一般送配電事業者の送電網を借りる「自己託送」という方法をとります[6]。
期間は、令和6年(2024年)10月から令和9年(2027年)9月末までです。令和5年度の余剰電力は4,870万kWhで、市はCO2を年に約1万4,700トン減らせる見込みとしています[6]。この削減量は市の見込みの数字です。
広島市は小売電気事業者を通して届け、船橋市は送電網を借りて自分の施設に届けます。同じ清掃工場の電気でも、届け方は自治体によって違います。では、こうした電気は、全国でどれくらい作られ、増えているのでしょうか。
船橋市は、北部・南部の清掃工場の余剰電力のうち、固定価格買取制度(FIT)の対象にならない分を、一般送配電事業者の送電網を使う自己託送により、市の10施設に送っている。期間は令和6年(2024年)10月から令和9年(2027年)9月末まで、令和5年度のFIT非該当分の余剰電力は4,870万kWh(原文は48,700千kWh)だった[6]。
自己託送は、自分の発電所の電気を、送電網を借りて自分の別の施設へ届ける方法である。広島市は小売電気事業者を介したので、届け方の仕組みが違う。市はCO2削減を年約1万4,700トンと見込むが、これは市の見込みの数字で、実績ではない[6]。
2つの市の例から、清掃工場の余剰電力の行き先は、売る相手と届け方の組み合わせで複数あることが分かる。では、全国の統計では、この電気の総量はどう変わってきたのか。
5. ごみの はつでんは、ぜんこくで ふえて いるの?
5. ごみ発電の施設は増えたが、発電量の伸びは小さい
5. 全国統計で見る4年間 ── 施設の割合は上がり、総発電量の伸びは小さい
2020ねんどは、はつでんの できる ごみの しょりじょうが 387か しょ ありました[7]。2024ねんどには 415か しょに ふえました[3]。
わりあいで みると、36.6%から 41.9%に あがりました[7][3]。
でも、つくった でんきの りょうは、10153GWhから 10448GWhへ、すこし ふえました。しょりじょうの かずほどは、ふえて いません[7][3]。
しょりじょうは ふえたのに、でんきの りょうは あまり ふえて いません。どうしてなのかは、この しりょうからは わかりません。
環境省の統計で、令和2年度(2020年度)と令和6年度(2024年度)を比べます。発電設備を持つごみ焼却施設は、387施設(36.6%)から415施設(41.9%)に増えました[7][3]。
ところが、総発電電力量は10,153GWhから10,448GWhへ、4年間で約2.9%増えただけです[7][3]。令和5年度から令和6年度では1.9%の増加でした[3]。
施設の割合は5ポイントほど上がったのに、発電した量は約2.9%しか増えていません。環境省が示す「世帯数に換算した量」は、年度によって基準が変わるので、ここでは世帯数の比較はしません[7]。
この資料だけでは、なぜ量の伸びが小さいのかは分かりません。調べる価値のある問いです。
環境省の統計で、令和2年度(2020年度)と令和6年度(2024年度)を比べる。発電設備をもつごみ焼却施設は、387施設(36.6%)から415施設(41.9%)へと、割合で約5ポイント増えた[7][3]。
一方、総発電電力量は10,153GWhから10,448GWhへ、約2.9%の増加にとどまる。令和5年度から令和6年度の前年度比は1.9%増である[3]。施設の割合が上がっても、総発電量は約1万GWhのまま、4年間で約2.9%増えただけだ。
なお、環境省が示す世帯数換算は、年度によって換算基準が変わる。令和元年度の約336万世帯分から令和2年度の約238万世帯分への変化は、発電量の減少ではなく基準の違いが一因とみられるため、世帯数の年度比較は避けた[7]。統計から読めるのは、発電する施設の割合は増えたが、総量の伸びは小さいという点までで、その理由は資料からは分からない。
6. じぶんの まちの せいそうこうじょうの でんきを しらべて みよう
6. 自分のまちの清掃工場の電気は、どこへ行くのか
6. 自分の市の清掃工場で確かめられること
おうちの 人と、まちの ホームページを ひらいて みましょう。「せいそうこうじょう」「はつでん」と いう ことばで さがします。
みつかったら、つくった でんきを、じぶんの 工場で つかうのか、学校に おくるのか、読んで みます。
見つからなくても、だいじょうぶです。見つけた ときに、「ここに とどくのか」と かんがえる のが、たのしみ です。
自分の住むまちにも、清掃工場があるかもしれません。市や区のホームページで「清掃工場 発電」と検索してみましょう。
発電設備があるか、余った電気を売るのか学校や庁舎に届けるのか、届け方に小売電気事業者や自己託送を使うのかを見てみましょう。
見つかれば、江東区、広島市、船橋市との違いを比べられます。書かれていないときは、広報の窓口に聞いてみるのも手です。
自分の市区町村の清掃工場について、公開資料で確かめられる点を挙げる。
第一に、発電設備の有無と、年間の発電量。第二に、場内で使う量と、売電や供給に回す量の内訳。大阪府の例のように、一事例を全国の比率として扱わないよう、必ずそのまちの数字を読む。第三に、供給の方式。小売電気事業者を介するのか、自己託送なのか、あるいは売電にとどまるのかを区別する。
環境省の統計(令和6年度版、令和2年度版)は、都道府県や施設ごとの数字を調べる入口になる。自治体の資料は、ここまでに取り上げた江東区、広島市、船橋市のように、供給先や期間が書かれていることがあるので、あわせて読むと比べやすい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
江東区・広島市・船橋市は各市区の公式ページ、全国の数字は環境省の公表資料による。大阪府と函館市の資料は、個別の例・一般的な説明としての使用にとどめた。
- 江東区「ごみ発電」 https://www.city.koto.lg.jp/380201/denryokunochisanchishou/gomihatsuden.html (区立学校69校での利用)
- 函館市「ごみ焼却施設エネルギー回収」資料 https://joruri-cms.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2016081500047/file_contents/2016081500047_hk_docs_2016081500047_files_dai8kaishiryou2.pdf (蒸気による発電と場内利用の一般的な説明)
- 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)について」 https://www.env.go.jp/press/press_03502.html (発電施設数・総発電電力量)
- 大阪府「清掃工場 発電量・売電量(令和3年度)」 https://www.osaka-env-paa.jp/shokyaku/energy/document/hatsuden-ryo-R3.pdf (場内消費と売電の一例)
- 広島市「清掃工場の余剰電力を市有施設で活用」 https://www.city.hiroshima.lg.jp/shisei/kouhou/1004010/1033044/1036684/1037688.html (供給先と供給量の予定)
- 船橋市「清掃工場の余剰電力の自己託送」 https://www.city.funabashi.lg.jp/machi/kankyou/004/p103869.html (自己託送の期間・余剰電力量)
- 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について」 https://www.env.go.jp/press/110813.html (令和2年度の施設数・発電量)
なおした ところ
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