このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

「暑さ指数」は、気温と なにが ちがうの?

暑さ指数は気温とどう違うのか ── 3本の温度計と、新兵の訓練所

暑さ指数(WBGT)が気温と違うところ ── 最高気温基準からの変更、3種類の温度、誕生の経緯、公表値の推定方法

分野:からだ

おなじ 33℃でも、からっと した 日と、むしむし する 日が あります。からだが つらいのは、どちらでしょう。

2020年の なつまで、熱中症ねっちゅうしょうの ちゅういは、いちばん 高い 気温だけで きめて いました。2021年から、べつの ものさしに かわりました。そのわけを、さがして みます。

同じ最高気温33℃でも、風が通ってからりとした日と、むしむしして汗が乾かない日があります。体が楽なのは、どちらでしょうか。

2020年の夏まで、気象庁の熱中症の注意情報は、最高気温だけを基準にしていました。2021年からは、暑さ指数という別の物差しに替わっています。この物差しがどこで生まれ、何を測り、どんな数字で使われているのかを、順に見ていきます。

同じ最高気温でも、湿度が高い日と低い日、日なたと日陰では、体にかかる暑さの負担が違う。2020年の夏まで気象庁の「高温注意情報」は最高気温だけを基準にしていたが[1]、2021年に熱中症警戒アラートへ替わり、基準は暑さ指数(WBGT)の33になった[1]。

この物差しは、アメリカの海兵隊の新兵訓練所で熱中症を防ぐために生まれた[4]。何を測り、どう組み合わせ、どんな段階に分けられているのか。さらに、環境省のサイトに並ぶ数字の多くが、実は温度計の実測ではなく推定式による値であることまで、公的機関の資料で確かめる。

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1. 2020年まで、なにを 見て いたの?

1. 2020年まで、注意情報は最高気温だけで決めていた

1. 「高温注意情報」から熱中症警戒アラートへ ── 基準が最高気温から暑さ指数に替わった2021年

2020年の なつまで、気象庁きしょうちょうには 「こうおんちゅうい じょうほう」と いう おしらせが ありました。出す めやすは、いちばん 高い 気温だけです。35℃か、それより 高く なりそうな とき、出して いました。青森県だけは 33℃です[1]。

2021年に、この おしらせは 「熱中症ねっちゅうしょう警戒けいかいアラート」に かわりました。めやすの ものさしも、気温から 「暑さ指数」に かわり、33が 目安です[1]。4月28日に、全国で はじまりました[2]。

さて、暑さ指数は、気温と なにが ちがうのでしょう。

2020年の夏まで、気象庁は「高温注意情報」を出していました。翌日か当日の最高気温が、おおむね35℃以上(青森県は33℃以上)になると予想されるときです。見ていたのは最高気温だけでした[1]。

2021年に、これに代わって熱中症警戒アラートが始まり、基準は暑さ指数(WBGT)の33になりました[1]。環境省と気象庁が全国で運用を始めたのは、2021年4月28日です。前の年の夏には、関東甲信で先に試されていました[2]。

暑さ指数は、気温と同じ「℃」で表されます。でも、中身は気温ではありません[3]。何が入っているのかを見てみましょう。

気象庁は2020年まで、翌日または当日の最高気温が概ね35℃以上(青森県では33℃以上)になると予想される場合に、高温注意情報を発表していた。基準は最高気温だけである[1]。

2021年、熱中症警戒アラートがこれに代わり、基準は暑さ指数(WBGT)の33になった[1]。環境省と気象庁による全国での運用開始は2021年4月28日で、前の2020年夏には関東甲信で先行して試された[2]。

暑さ指数は単位が気温と同じ摂氏度だが、値は気温とは異なる[3]。気温だけを見る方式から、なぜ替えたのか。まず、この指数の中身から見ていく。

2. 暑さ指数は、3本の 温度計で つくる

2. 3本の温度計と、「7・2・1」の配分

2. 湿球・黒球・乾球 ── 屋外では湿球が7割を占める

暑さ指数は、3本の 温度計を くみあわせて つくります。

  • ふつうの 温度計。これが、いつもの 「気温」です。
  • ぬれた ガーゼを まいた 温度計。しっきゅうと いいます。
  • 黒く ぬった 銅どうの 球の 中の 温度計。こっきゅうと いいます[1]。

ぬれた ガーゼは、水が かわく ときに ひえます。おふろあがりに、ぬれた からだが ひやっと するのと おなじです。空気が かわいて いるほど、しっきゅうの 温度は ひくく なります[1]。ただし、これは 人の からだの 温度では なく、温度計の 数字です。

黒い 球は、日ざしを うけた ときの あつさを はかります[1]。

そとで、日ざしが ある ときは、しっきゅう 7、こっきゅう 2、気温 1の わりあいで まぜます[4]。気温は、たった 1わりです。

くわしい 式や、しっきゅうを 手づくりする ほうほうは、あせの メモに あります。

暑さ指数は、次の3本の温度計の値を混ぜてつくります。

  • 乾球かんきゅう:ふつうの温度計です。いつもの「気温」にあたります。
  • 湿球しっきゅう:水で湿らせたガーゼを、温度計の球の部分に巻いたものです。水が蒸発するときに熱を奪われる分と釣り合った温度を示し、湿度が低いほど低くなります[1]。
  • 黒球こっきゅう:黒く塗った銅の薄い球の中心の温度です。直射日光を受けたときの温度で、風の弱い日なたの体感とよく合うとされています[1]。

屋外で日射があるときは、暑さ指数=0.7×湿球+0.2×黒球+0.1×乾球です。屋内で日射がないときは、0.7×湿球+0.3×黒球になります[4]。

いちばん重いのは湿球の7割で、気温にあたる乾球は屋外でも1割、屋内では0です。暑さ指数は「気温を少し補正した値」ではなく、湿度と日射を主役にした別の量だと分かります。式の意味や湿球を自作する実験は、汗のメモで扱いました。

暑さ指数は、人の熱収支に関わる要素として、湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標である[3]。測るのは3種類の温度になる。

  • 乾球かんきゅう温度:ふつうの温度計が示す気温にあたる。
  • 湿球しっきゅう温度:水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて測る。水分が蒸発するときの冷却と釣り合った温度で、湿度が低いほど低くなる[1]。
  • 黒球こっきゅう温度:反射をほとんどしない黒色塗装の、銅製の空洞の球(直径は日本生気象学会の指針で150mm)の中心の温度。直射日光を受けた状態での平衡温度で、弱風時の日なたの体感温度とよく相関する[1][5]。

日射がある場合は、WBGT=0.7×湿球+0.2×黒球+0.1×乾球。日射がない場合は、WBGT=0.7×湿球+0.3×黒球である[4]。気温にあたる乾球の重みは、屋外でも1割にとどまる。

測り方は国際規格のISO 7243と、その和訳のJIS Z 8504で定められている[5]。式の意味と湿球の手づくりは、汗のメモですでに扱った。

3. 生まれたのは、アメリカの くんれんじょ

3. 暑さ指数が生まれたのは、アメリカの新兵訓練所

3. パリスアイランドの海兵隊新兵訓練所 ── 1954年の提案と、1957年の論文

この ものさしは、アメリカの サウスカロライナ州に ある パリスアイランドで 生まれました。かいへいたいの しんぺいが くんれんを うける くんれんじょが ある ところです[4]。

そこは、しっけが 高いうえに、ふくや そうびの きまりも あり、きびしい くんれんが つづきました。ねっちゅうしょうが おきやすかったと、環境省かんきょうしょうの ページには あります[4]。

そこで、くんれんを はじめる まえに、きけんを 見わける ものさしが 考えられました。せんそうの はなしでは なく、くんれんじょで 熱中症ねっちゅうしょうを ふせぐ ための くふうでした。

1954年に アメリカで ていあんされたと されて います[3]。いまから 70年 いじょう まえです。

暑さ指数は、アメリカ・サウスカロライナ州のパリスアイランドにある海兵隊の新兵訓練所で、熱中症の危険を事前に判断するために開発されました[4]。

この訓練所は湿度が高く、服装や装備にも決まりのある厳しい訓練が続くため、熱中症が起きやすかったと説明されています[4]。

環境省の説明では、提案の年は1954年です[3]。日本生気象学会の指針は、1957年のYaglouとMinardの論文を引いています[4]。年が少し違って見えるので、この記事では「1954年に提案」「1957年の論文」と、資料どおりに並べておきます。

戦争の話ではなく、訓練所で熱中症を防ぐための工夫だったことが、ここでは大切です。

暑さ指数は、アメリカ・サウスカロライナ州パリスアイランドの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発された。高湿度の環境と、服装・装備に制約のある厳しい訓練の下で、熱中症が起きやすかったとされる[4]。

年については、環境省サイトが「1954年にアメリカで提案された指標」と説明し[3]、日本生気象学会の指針はYaglou and Minard(1957)の論文(Archives of Industrial Health 16巻302〜305ページ)を引用している[4][5]。

この由来は戦争ではなく、訓練所の熱中症対策である。人が多く動き、装備で熱が逃げにくく、湿度が高い。そうした条件のもとで、湿度や日射まで数字にして危険を事前に判断する方法が求められた、という位置づけになる。

4. おなじ 気温でも、ちがう 暑さ

4. 同じ30℃でも、暑さ指数は5ちがうことがある

4. 気温だけでは、なぜ足りないのか ── 湿度・日射と、28を境にした搬送者の増加

おなじ 気温でも、暑さ指数が ちがう ことが あります。

たとえば、しっけが 高いと、しっきゅうの 温度が 上がります。しっきゅうは 7わりも 入るので、暑さ指数は 大きく なります。日ざしが つよいと、黒い 球の 温度が 上がって、こちらも 数字を 上げます。

そして、暑さ指数が 28を こえると、ねっちゅうしょうで はこばれる 人が きゅうに ふえると いう データが あります。2005年の、大きな まちの きゅうきゅうしゃの きろくです[1]。

つまり、気温だけを 見ていると、体に かかる 暑さを 小さく 見つもって しまう ことが あります。

気温が同じ30℃の2日を比べてみます。次の数字は、計算の練習のために作った例で、実際の観測値ではありません。黒球温度はどちらも40℃にそろえます。

  • 蒸し暑い日:湿球28℃。0.7×28+0.2×40+0.1×30=30.6
  • からりとした日:湿球21℃。0.7×21+0.2×40+0.1×30=25.7

気温は同じでも、暑さ指数は約5違います。日本生気象学会の4段階で見ると、30.6は「厳重警戒」(28以上31未満)、25.7は「警戒」(25以上28未満)です[5]。

湿度の効き方には理由があります。相対湿度が同じ60%でも、30℃の空気は1立方メートルに約18gの水蒸気を含み、10℃の空気ではその3分の1以下です[6]。同じ「湿度○%」でも、気温が違えば含む水の量が違います。

国立環境研究所の気候変動適応情報プラットフォームは、東京大学の研究として、気温と湿度の関係が弱い日本では、湿度も含めて暑さを測れる暑さ指数のほうが、死亡リスクとより強く結びついたと紹介しています[6]。

もう1つ、28という数字があります。2005年の主要都市の救急搬送データでは、日最高暑さ指数が28を超えると、熱中症患者の発生率が急に増えていました[1]。

気温が同じ30℃の日で、暑さ指数の違いを試算する。以下は、計算の確認のために作った仮の値で、観測値ではない。黒球温度は両日とも40℃、屋外の式を使う。

  • 湿度が高い日:湿球28℃なら、0.7×28+0.2×40+0.1×30=30.6
  • 湿度が低い日:湿球21℃なら、0.7×21+0.2×40+0.1×30=25.7

気温は同じでも差は4.9になり、日本生気象学会の指針の段階では、前者が「厳重警戒」(28以上31未満)、後者が「警戒」(25以上28未満)に入る[5]。日射が違えば黒球温度が変わり、同じ気温でも指数は動く。

湿度は、相対湿度だけで見ると誤解しやすい。相対湿度60%でも、空気1m³が含む水蒸気は、30℃で約18g、10℃で約5.4gとされる[6]。相対湿度の数字が同じでも、気温が違えば含む水蒸気の量はまるで違う。

A-PLAT(気候変動適応情報プラットフォーム)は、日本のように気温と湿度の相関が弱い地域では、湿度を含めて暑さを評価できるWBGTのほうが死亡リスクとより強く関連したという東京大学の研究を紹介している[6]。ここでは、A-PLATが紹介する「より強く関連した」という内容を、そのまま伝えている。

搬送者の増え方にも境目がある。環境省サイトの図(気象庁青森地方気象台の資料に引用)によれば、平成17年(2005年)の主要都市の救急搬送データで、日最高暑さ指数が28を超えると熱中症患者の発生率が急に増えている[1]。全国や最新のデータではなく、この年の主要都市の例である点に注意したい。

5. 25・28・31、そして 33

5. 25・28・31の段階と、警戒アラートの33・特別警戒の35

5. 日常生活の4段階と、アラートの基準値 ── 33は「危険」の31より上にある

日本生気象学会にほんせいきしょうがっかいは、暑さ指数を 4つの だんかいに わけて います。25より 下が「ちゅうい」、25から 28が 「けいかい」、28から 31が 「げんじゅうけいかい」、31から 上が「きけん」です[5]。

「きけん」の ときは、こうれいの 人は じっと して いても ぐあいが わるく なる おそれが あります。そとに 出るのは なるべく やめて、すずしい へやで すごします[5]。

「熱中症ねっちゅうしょうけいかいアラート」は、それより もっと 高い 33で 出ます。おなじ 県の なかの どこか 1つの ちてんで、33に なりそうな ときです。前の日の 夕方 5時ごろと、その日の 朝 5時ごろに 出ます[7][1]。

さらに 2024年4月から、35で 出る「熱中症ねっちゅうしょうとくべつけいかいアラート」も はじまりました。県の ぜんぶの ちてんで 35に なりそうな ときです[8]。

日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針」は、暑さ指数を4段階に分けています。危険は31以上、厳重警戒は28以上31未満、警戒は25以上28未満、注意は25未満です[5]。危険の段階では、高齢者は安静にしていても発生の危険が大きく、外出はなるべく避けて涼しい室内で過ごすよう書かれています[5]。

熱中症警戒アラートの基準の33は、この「危険」の31より、さらに上です。府県予報区などの中の、いずれか1つの暑さ指数情報提供地点で、翌日または当日の日最高暑さ指数が33(予測値)に達するときに発表されます[7]。発表は前日の17時ごろと、当日の朝5時ごろです[1]。

2024年4月24日には、熱中症特別警戒アラートの運用が始まりました。気候変動適応法に基づく法定の情報です。こちらは、都道府県内のすべての情報提供地点(施行規則で除かれる地点を除く)で、翌日の日最高暑さ指数が35(予測値)に達する場合などに発表されます[8]。警戒アラートは「いずれか1地点」、特別警戒は「全地点」と、条件が逆向きなのが特徴です。

特別警戒アラートが出ると、市町村長が指定した暑熱避難施設(クーリングシェルター)が開放されます[8]。33も35も「予測値」であって、実際にその数字に達したという意味ではありません。

日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針 Ver.4」(2022年)は、暑さ指数を4段階に分ける。危険(31以上)、厳重警戒(28以上31未満)、警戒(25以上28未満)、注意(25未満)である。危険では高齢者は安静でも発生の危険が大きく、外出はなるべく避けて涼しい室内へ、とされる[5]。

熱中症警戒アラートの33は、この日常生活の指針の「危険」(31以上)をさらに超える水準だ。府県予報区等の中のいずれか1つの暑さ指数情報提供地点で、翌日・当日の日最高暑さ指数が33(予測値)に達する場合に発表される[7]。発表は前日17時頃と当日5時頃の1日2回である[1]。学会の4段階と、アラートの基準は、別の基準として使われている点に気をつけたい。

熱中症特別警戒アラートは、都道府県内の全ての暑さ指数情報提供地点(気候変動適応法施行規則の別表で除かれる地点を除く)で翌日の日最高暑さ指数が35(予測値)に達する場合などに発表される。気候変動適応法に基づく法定の情報で、令和6年(2024年)4月に全面施行され、4月24日に運用が始まった。市町村長が指定した暑熱避難施設しょねつひなんしせつ(クーリングシェルター)が開放される[8]。

警戒アラートは「いずれか1地点」、特別警戒は「全地点」と、範囲の条件が反対である。また、33と35はどちらも予測値で、実況で達したという意味ではない。既存のメモ汗と熱中症にも同じ数字が出てくるが、ここでは「気温から替えた」という流れの中に置き直した。

6. ニュースの 数字は、はかった もの?

6. 公表される暑さ指数は、多くが計算でつくられた推定値

6. 環境省サイトの値は推定式によるものが多い ── 実測地点は一部にとどまる

ここまで、3本の 温度計で はかる と 話しました。でも、環境省かんきょうしょうの ホームページに 出る 数字の 多くは、球を つかって はかった ものでは ありません[9]。

じっさいに はかって いるのは 一部の ばしょだけです。ほかの ところは、気温・しつど・日ざしの つよさ・風の 数字から、式で 計算します。あしたの 数字も、天気よほうの コンピューターの 計算から、おなじ 式で 出して います[9]。

お店に 売って いる 暑さ指数計も あります。なかには 黒い 球が ない ものも あって、日ざしの ある そとには むきません[5]。

だから、ニュースの 数字は 町ぜんたいの めやすです。校ていの すなの 上と、木かげでは、ちがうかも しれません。

環境省の熱中症予防情報サイトが載せる暑さ指数は、黒球温度計で実測している地点が少数で、多くの地点は推定式で求めています。気温、相対湿度、全天日射量、風速から計算する式です[9]。予測値も、気象庁の数値予報から同じ式で出しています[9]。

地点の数は年度によって変わります。記事では、一部が実測で、多くが推定、という書き方にとどめます。

市販の暑さ指数計は、日本生気象学会の指針で3種類に整理されています。本来の原理どおりに自然湿球を使うもの(高価で普及していない)、湿球の代わりに湿度センサーを使う電子式(安価で普及している)、黒球のない簡易型(日射のある屋外には向かない)です[5]。

公表値は地点の代表値ですから、日なたの校庭の上と、木陰では、実際の暑さが違うことも考えられます。とはいえ、どの値も「気温だけ」より、湿度と日射の情報を含んでいる点は変わりません。

環境省の熱中症予防情報サイトが提供する暑さ指数は、黒球温度計による実測値の地点が少数で、多くの地点は気温・相対湿度・全天日射量・風速から出す推定式(小野ら2014)で求めている。予測値も、気象庁の数値予報の値から同じ式で計算される[9]。

実測地点と推定地点の数は、年度で変わる。サイトには実測47地点・推定794地点という記載があるが、日本生気象学会の資料では2022年度が実測11・推定829地点とされていて、資料ごとに違う[9][5]。このため、本文では「一部が実測、多くが推定」とだけ書く。

市販の暑さ指数計には3種類ある。原理どおり自然湿球を使うもの(高価で普及しにくい)、湿球の代わりに湿度センサーを使う電子式(安価で普及している)、黒球を持たない簡易型(日射のある屋外には適さない)である[5]。

推定式は、地点ごとの気象観測値から作る。したがって、建物や日陰など、その場所だけの条件までは細かく映していない可能性がある(これは資料の記述ではなく、式の材料から考えた推論である)。公表値は、行動の目安として使う数字と考えるのがよい。

7. じぶんでも たしかめて みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

暑さ指数が 出て いる 日に、おうちの 人と いっしょに、ふたつの 数字を ならべて みましょう。

ひとつは、天気よほうの 「いちばん 高い 気温」。もうひとつは、環境省かんきょうしょうの 「熱中症ねっちゅうしょうよぼう情報じょうほうサイト」に 出て いる、住んで いる 町の 暑さ指数です。何日か つづけて ノートに 書くと、気温が おなじ ぐらいでも、暑さ指数が ちがう 日が 見つかるかも しれません。

暑さ指数が「きけん」に 近い 日は、そとで あそぶ 時間を みじかく して、すずしい ところで やすみましょう。

暑さ指数が発表されている日に、次のことを試してみてください。

  • 天気予報の最高気温と、環境省「熱中症予防情報サイト」に出ている、近くの地点の日最高暑さ指数を、数日分、表に並べる。気温がほぼ同じ日でも、暑さ指数が違う日があるでしょうか。
  • 暑さ指数の数字を、25・28・31・33の段階と見比べ、どの段階に入る日が多いかを数える。

資料としては、日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針」[5]が日本語で読めます。図や表がていねいで、暑さ指数の各段階での行動の目安も載っています。

暑い日は、無理に外で観察せず、家の中から公式サイトの数字を見るだけでも十分です。

確かめられることは、2つある。

  1. 気象庁の予報の最高気温と、環境省「熱中症予防情報サイト」の近隣地点の日最高暑さ指数を、数日分並べる。気温が近い日どうしで暑さ指数がどれだけ違うか、差を計算し、25・28・31・33のどの段階に入るかを付ける。
  2. 日本生気象学会の指針(Ver.4)を開き、日常生活での「危険」の段階の行動の目安[5]と、環境省のアラート基準[7]の説明を読み比べる。数字が別の基準に基づいていることが、原文で確かめられる。

資料として、環境省サイトの「暑さ指数(WBGT)の詳しい説明」[4]と、推定式を載せた「当サイトで提供する暑さ指数(WBGT)について」[9]は、どちらも日本語で読める。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:環境省・気象庁・気象台は公的機関の資料、日本生気象学会は学会の指針、A-PLAT(気候変動適応情報プラットフォーム)は国立環境研究所が運営する情報サイトです。本文の計算例のうち「同じ30℃の2日」は、計算のために作った数字です。

  1. 気象庁 青森地方気象台「あおぞら彩時記」2021年第3号。 https://www.jma-net.go.jp/aomori/pub-relations/pdf/saijiki/saijiki2021_03a.pdf (高温注意情報の旧基準、警戒アラートへの切り替え、湿球・黒球の説明、28を超えたときの発生率、発表時刻)
  2. 環境省 報道発表「熱中症警戒アラート」全国運用。 https://www.env.go.jp/press/109467.html (2021年4月28日の全国運用開始、前年の関東甲信での先行実施)
  3. 環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)について」。 https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php (1954年の提案、気温と値が異なること、3つの要素)
  4. 環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)の詳しい説明」。 https://www.wbgt.env.go.jp/doc_observation.php (算出式、パリスアイランドでの開発の経緯)
  5. 日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針 Ver.4」(2022年)。 https://seikishou.jp/cms/wp-content/uploads/20220523-v4.pdf (4段階の基準、ISO規格、市販の暑さ指数計3種類、黒球の大きさ、1957年の論文の引用)
  6. 気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)「気温の確認だけでは不十分?」。 https://adaptation-platform.nies.go.jp/climate_change_adapt/heatstroke/column/hs-02.html (湿度と水蒸気量、東京大学の研究の紹介)
  7. 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症警戒情報とは」。 https://www.wbgt.env.go.jp/about_alert.php (熱中症警戒アラートの基準33と発表の条件)
  8. 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症特別警戒情報とは」。 https://www.wbgt.env.go.jp/about_special_alert.php (特別警戒アラートの基準35と条件、暑熱避難施設)
  9. 環境省 熱中症予防情報サイト「当サイトで提供する暑さ指数(WBGT)について」。 https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_detail.php (実測地点と推定地点、推定式)

なおした ところ

更新履歴

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