1. たいように ちかいのに、さむいの?
1. 太陽に近い1月が、なぜ冬なのか
1. 近日点は1月:距離では冬の寒さを説明できない
ちきゅうは、たいようの まわりを ほぼ まるい みちで まわって います。たいように いちばん ちかい ときは 1がつ、いちばん とおい ときは 7がつだと、NASAは せつめいして います[1]。
きたの はんきゅうが ふゆの ときに、ちきゅうは いちばん ちかいのです。
では、ちかい ときと とおい ときで、どれくらい ちがうのでしょう。きょりの ちがいは、およそ 500まんキロメートルです。1おく 5000まんキロメートルほどの とおさに くらべると、3パーセントくらいです[1]。
この ていどの ちがいは、てんきに おおきな えいきょうを あたえません[1]。アメリカの NOAAも、きせつの わけは たいようとの きょりでは ない、と はっきり かいて います[2]。
ちかい ぶん、ひかりは すこし つよいくらいです。それでも ふゆは さむい。さむさの もとは、ほかに あるのです。
近いのは、むしろ冬
地球は太陽のまわりを、円に近い軌道で回っています。NASAの解説では、太陽にいちばん近づく近日点は1月、いちばん遠ざかる遠日点は7月です[1]。北半球の人が寒がっているとき、地球は太陽へ最も近づいています。
NOAAも、地球と太陽の距離は季節の原因ではないと明言しています。理由として、近日点が北半球の冬にあたることを挙げています[2]。
距離の差は、思ったより小さい
NASAの数字では、近日点はおよそ1億4710万km、遠日点はおよそ1億5210万kmです[1]。差は約500万kmで、遠い側の距離の3%ほどにしかなりません。
この距離の差から、日光の強さも計算できます。光の強さは距離の2乗に反比例するので、(1億5210万÷1億4710万)の2乗で約1.07、つまり近日点のほうが約7%強くなります。これは日光の強さの差で、気温の差ではありません。
北半球の冬に、地球が受ける日光はむしろ少し強め。それでも寒いなら、日光の「届き方」が冬と夏で違うはずです。
NASAの解説では、近日点はおよそ91,400,000マイル(約1億4710万km)、遠日点は約94,500,000マイル(約1億5210万km)とされる[1]。マイルからの換算値で、差は約500万km。遠日点を基準にすれば、(152.1−147.1)÷152.1≒3.3%にすぎない。NASAは、この程度の距離の変化は天気に大きな影響を与えないとも述べている[1]。
では、距離の差はまったく効かないのか。光の強さは距離の2乗に反比例するので、(152.1÷147.1)²≒1.07、つまり近日点の日光は遠日点より約7%強い。これは放射の強さの比であって、気温の差を表す数字ではない。それでも、北半球が冬の1月に地球全体が受ける日光はむしろ強めなのだから、冬の寒さは距離では説明がつかない。NOAAが、季節の原因は太陽との距離ではないと明言し、近日点が北半球の冬にあたることを理由に挙げている点とも一致する[2]。
距離が原因でないなら、同じ太陽の光が、冬と夏でどう違う形で地面に届くのかを考える必要がある。
2. ひかりが ななめに あたるから
2. 地軸の傾きで、日光が斜めに広がり、昼も短くなる
2. 地軸の傾き:太陽高度が下がると、光と時間の両方が減る
ちきゅうは、すこし かたむいた まま、たいように むかって まわって います。かたむきは 23.4どです[2]。
この かたむきの ため、ふゆの きたの はんきゅうでは、たいようが ひくい ところを とおります[1]。ひかりは、ななめから あたります。
かいちゅうでんとうを おもいだして ください。ゆかを まっすぐ てらすと、あかるい まるに なります。ななめに すると、ほそ ながく ひろがって、うすく なります。おなじ ひかりが ひろい ところに ちらばるので、あたためる ちからが よわく なるのです。
ただし、たいようの ひかりが へった わけでは ありません。あたる ひろさが かわって いるだけです。
もうひとつ、ふゆは ひるが みじかいです。ひが でて いる あいだしか あたたまらないので、あたためられる じかんも みじかく なります[6]。
でも、ふしぎが のこります。ひるが いちばん みじかいのは 12がつの とうじです。それなのに、いちばん さむいのは 1がつです。
23.4度の傾きが、太陽の高さを変える
地球の自転軸は、公転する面に垂直な線から約23.4度傾いています[2]。傾いたまま太陽のまわりを回るので、一年のうちに、日光がいちばん真上から当たる場所が南北に動きます[1]。北半球の冬には、太陽の通り道が南寄りで低くなります。
東京(北緯約35.7度)で、正午の太陽の高さを計算してみます。90度から緯度を引き、冬至には傾きの分だけさらに引くと約31度、夏至には足すと約78度です。冬至の太陽は、夏至より約47度も低いところを通ります。
同じ日光が、広い地面に薄く広がる
太陽が低いと、日光は地面に斜めに当たります。懐中電灯で床を照らして、真上から当てた円と斜めから当てた楕円を比べるとイメージしやすいでしょう。同じ量の光が広い面積に広がり、1平方メートルあたりの熱が減ります。
この「1平方メートルあたり」は、太陽の高さの正弦(サイン)に比例します。計算すると、冬至の正午は夏至の正午のおよそ半分(約0.53倍)です。これは大気の影響を入れない単純な計算です。
しかも、昼が短い
冬至のころの北半球では、太陽が遅く昇って早く沈み、日中も地平線に近い位置にあると説明されています[6]。光は弱く、当たる時間も短い。これが冬の寒さの中心です。
ただ、不思議が残ります。昼がいちばん短いのは冬至なのに、いちばん寒いのは、その少しあとなのです。
地軸は公転面に垂直な線から約23.45度傾いている[2]。このため、太陽の光がもっとも真上から当たる場所は一年のうちに移動し[1]、北半球の冬は太陽の通り道が南寄りで低くなる。冬至のころ北半球では太陽が遅く昇って早く沈み、日中も地平線に近いと述べている[6]。
この低さを東京で見積もる。南中高度は「90°−緯度±傾き」で求まる。緯度を35.7°とすると、冬至は90−35.7−23.4≒31°、夏至は90−35.7+23.4≒78°で、47°の差になる。暦計算室の値とは日や場所で0.5°ほどずれる可能性があるため、「約」を付けて読むべき数字である。
この高さの差は、光の量にどう効くのか。単位面積あたりの光は、太陽高度hの正弦(sin h)に比例する。sin31°≒0.52、sin78°≒0.98なので、冬至の南中時の地面は夏至の約0.53倍、およそ半分の光しか受けない計算になる。ここでは大気を通る距離の違いを入れていない理想化なので、実際の値そのものではなく、向きと大きさの目安として読む。
もう一つの効き方が、昼の長さである。高度が低いだけでなく、日の出から日没までも短いため、受ける光の総量はさらに減る。光が弱く、時間も短い。これが、距離では説明できない冬の寒さの中身である。
ところが、ここで一つ食いちがいが出る。昼がいちばん短く、太陽がいちばん低い日は冬至である。それなのに、気温が最も低くなるのは冬至ではない。
3. いちばん さむいのが 1がつなのは、どうして?
3. 冬至から約1か月たって、ようやく寒さが底になる
3. 最寒月が冬至より遅れる:地面と海の「ため込み」
とうきょうの へいきんきおんを みて みましょう。1991ねんから 2020ねんまでの へいきんだと、12がつは 7.7ど、1がつは 5.4ど、2がつは 6.1どです[3]。いちばん ひくいのは 1がつです。
とうじは 12がつ22にち ごろ。それから 1か月ほど あとが、いちばん さむい ころなのです。
りゆうの ひとつは、じめんと うみが、たいように あたためられた ねつを、ためて おいて、ゆっくり だすからだと いわれます[4]。
たとえば、おふろの ひを けしても、おゆは すぐには つめたく なりません。それと にて います。みずは、くうきの 4ばいほど ねつを ためられる、と うみの けんきゅうしゃは せつめいして います[4]。
ただし、これは おなじ おもさで くらべた めやすです。さむい ころは、ばしょに よっても ちがう ことが あります。
東京の気温は、1月が最も低い
気象庁の平年値(1991〜2020年)で東京の月平均気温を見ると、12月は7.7℃、1月は5.4℃、2月は6.1℃です[3]。日最低気温の月平均も、1月が1.2℃、2月が2.1℃、12月が3.8℃で、やはり1月がいちばん低くなります。冬至は12月22日ごろなので、およそ1か月の遅れです。
地面と海は、熱をためてゆっくり出す
NOAAの研究者は、地面や海が太陽の熱を受けとり、それをゆっくり放出するためだと説明しています[4]。海洋学者のLuAnne Thompsonは、水が同じ重さの空気の約4倍の熱をためられることを挙げています。
日本の大学の講義資料も、海洋の熱容量は大気よりはるかに大きく、大気は海の表層数メートル分にあたると述べています[5]。海面の水温が、日射の変化ほど大きく動かないのは、この熱容量の大きさによるとされています。
風呂の湯を想像してください。火を止めても、すぐには冷めません。冬至を過ぎて日差しが少しずつ戻り始めても、ため込んだ熱がゆっくり放出されることも、寒さが冬至のあとに深まる理由の一つです。
ただし、これは東京の平年値の例です。最も寒い月は地域で異なることがあります。
気象庁の平年値(1991〜2020年)によると、東京の月平均気温は12月7.7℃、1月5.4℃、2月6.1℃で、最低は1月である。日最低気温の月平均も、12月3.8℃、1月1.2℃、2月2.1℃と同じ順になる[3]。冬至(12月22日ごろ)から約1か月遅れて、気温の底が来ている。ただし、これは東京の月平均の例で、日本海側や北日本では2月が最低になる所もあるため、日本全体の話に広げてはいけない。
なぜ、日射が最小の日と気温が最小の日はずれるのか。AIP Inside Scienceの記事では、NOAAの研究者が「地面と海が太陽のエネルギーを受けとり、ゆっくり放出するから」と説明している。海洋学者のLuAnne Thompsonは、水が同じ重さの空気の約4倍の熱をためられる点を挙げた[4]。この「4倍」は、同じ重さあたりの熱の蓄えやすさ(比熱)の目安である。
日本の資料でも同じ向きの説明が読める。東京大学大気海洋研究所の講義資料は、海水の比熱を約4000 J/kg/Kとし、海洋の熱容量は大気よりはるかに大きい(大気は海洋の表層数メートル分)と述べる。そのため海面水温は、日射の変化ほどには変化しない[5]。
つまり、気温は日射の強さにすぐ追随せず、熱の貯金を取り崩す形で遅れて下がる。冬至以降も日射が戻りきるまでは、貯金が減り続けると考えられる。このとき、地面や海の熱の出入りが気温にどう伝わるかを、地域ごとに細かく数えた資料は今回の材料に含まれない。日本の気象庁の文章で、遅れの理由を直接述べた箇所も取得できていないため、本稿は米国の研究者の解説と大学講義の二つに依る。
4. かげの ながさで、たしかめて みよう
4. 影の長さで、太陽の高さの変化を確かめる
4. 自分の町で、傾きと季節のおくれを見る
ひなたに、おなじ ペットボトルを まっすぐ おきます。おひるごろ、かげの ながさを ものさしで はかって、ノートに かきます。
1しゅうかんに 1かい、おなじ ばしょ、おなじ じこくに はかると、かげの ながさが かわって いくのが わかります。たいように かわる ひくさが、かげに でるからです。
はかる ときは、たいようを じかに みては いけません。くるまが とおらない ばしょで やりましょう。
とうきょうなら、ふゆの おひるの かげは なつの およそ 8ばいも ながく なる、と けいさんできます。じぶんの まちでは どうでしょう。
今日できること
日なたに同じペットボトルを立て、正午ごろの影の長さを、同じ場所・同じ時刻に週1回測ります。東京の計算では、正午の太陽の高さが冬至は約31度、夏至は約78度です。影の長さは高さの正接(タンジェント)の逆数なので、約1.7倍と約0.2倍、つまり冬は夏の約8倍に伸びる計算です。実際にはどこまで近づくか、数か月続けて確かめられます。
太陽は直接見ないでください。道路や車から離れた場所で行いましょう。
公式の資料で比べる
気温の遅れは、気象庁の過去の気象データで、自分の町の月ごとの平均気温を見て比べられます[3]。冬至の日付と、気温が最も低い月がどれだけ離れているか、東京の例と比べてみてください。
影の長さは、棒の高さ÷tan(太陽高度)で決まる。東京の冬至の南中高度約31°ではtan31°≒0.60なので影は棒の約1.7倍、夏至の約78°ではtan78°≒4.7で約0.21倍になり、冬の影は夏の約8倍と見積もれる。同じ棒を同じ時刻に測り続ければ、傾きの効果を自分の町で確かめられる。ただし南中時刻は場所と日で変わる。国立天文台暦計算室などで、自分の町の南中時刻と高度を調べてから測るとよい。
気温の遅れは、気象庁の過去の気象データで、自分の町の月平均気温を並べれば確かめられる[3]。冬至と最寒月の間隔が東京と同じ約1か月か、海に近い町と内陸でずれるかを、数字で見比べるのも一つの調べ方である。近日点の日付や距離の値は、NASAとNOAAの解説に当たると原典で確認できる[1][2]。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
近日点・遠日点の距離と日付、地軸の傾きはNASAとNOAAの解説、東京の気温は気象庁の平年値、季節の遅れの理由はAIP Inside Scienceと東京大学の講義資料、昼の短さはBusiness Insider Japanの記事から確かめた。南中高度、日光の強さの比、影の長さの比は、これらの数値からの計算で、出典に書かれた値ではない。
- NASA Space Place「What Causes the Seasons?」 https://spaceplace.nasa.gov/seasons/en (近日点・遠日点の時期と距離、傾きと季節)
- NOAA NESDIS「Why Does Earth Have Seasons」 https://www.nesdis.noaa.gov/about/k-12-education/understanding-our-planet/why-does-earth-have-seasons (距離は季節の原因でないこと、傾き約23.45度)
- 気象庁「過去の気象データ 平年値(東京)」 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=44&block_no=47662 (東京の月平均気温・日最低気温)
- AIP Inside Science「Solstice Shmolstice: Why the Coldest Days Are Still to Come」 https://www.aip.org/inside-science/solstice-shmolstice-why-the-coldest-days-are-still-to-come (最寒が冬至より遅れる理由、水の蓄熱)
- 東京大学大気海洋研究所 藤尾 講義資料「海洋の熱収支」 https://ovd.aori.u-tokyo.ac.jp/fujio/2015chiba/2015chiba04.pdf (海洋の熱容量と海面水温)
- Business Insider Japan「冬至…なぜ地球に四季があるのか」 https://www.businessinsider.jp/article/263514/ (冬至のころの太陽の低さと昼の短さ)
なおした ところ
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