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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

世界の 塩しおは、ほる ものなの? あつめる ものなの?

世界の塩は「掘る」か「集める」か ── 雨の少ない土地と地下の塩の層

世界の塩の採り方 ── 岩塩の坑道と溶解採鉱、天日塩の蒸発池、塩湖、そして海水を煮詰める日本

分野:自然

にほんの 塩しおの おおくは、うみの みずから 作られます。でも せかいには、じめんの したから ほり だす 塩しおや、みずうみで あつめる 塩しおも あります。

おなじ 塩しおなのに、どうして とりかたが ちがうのでしょう。この きじを よむと、その わけが わかります。

日本の塩は、海水から作るのがふつうです。ところが世界には、地面の下の塩の層を掘り出したり、広い池に海水をためて太陽で乾かしたり、湖に積もった塩を集めたりして、塩を手に入れている国がたくさんあります。

同じ塩なのに、なぜ採り方がこんなに違うのでしょうか。雨の量や土地の下のようすで採り方が変わる理由が、この記事で分かります。

日本で食べられている塩は、海水を濃縮して煮詰める方法で作られてきた。一方、世界の資料では、塩の生産の大部分を岩塩と天日塩が占めるとされ[2]、地下の塩の層を掘る国や、広い蒸発池に海水を引く国が多い。

同じ塩なのに、なぜ採り方はこれほど分かれるのか。雨の量、地下の地質、湖の有無という「場所の条件」が採り方を決めていく道すじが、この記事で分かる。

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1. 塩しおの ふくろの うらに、なにが かいてある?

1. 塩の袋の裏には、どこの国が書いてある?

1. 日本の塩はなぜ海水を煮詰めるのか ── 雨と、岩塩のない国土

うちに ある 塩しおの ふくろを、うらがえして みましょう。「げんさんこく」に、メキシコや オーストラリアと 書いて ある ことが あります。

にほんは、うみに かこまれた くにです。それなのに、どうして とおい くにの 塩しおを つかうのでしょう。

にほんには、ほって とれる いわの 塩しおも、塩しおからい みずうみも ありません。しかも あめが おおくて、うみの みずを ひなたに おくだけでは、なかなか 塩しおに なりません。

そこで にほんでは、うみの みずを こく してから、にて 塩しおに して きました。せかいの ほかの ところは、どうなのでしょう。

家にある塩の袋の裏を見ると、原産国にメキシコやオーストラリアと書かれていることがあります。海に囲まれた日本が、なぜ遠い国から塩を買うのでしょうか。

日本には、掘り出せる岩塩も、塩湖もありません。おまけに高温で雨が多く、海水を日なたに置くだけでは、塩ができにくい国です[2]。そのため日本では、海水を濃くする「採かん」と、それを煮詰める「煎ごう」の2段階で塩を作ってきました。1972年には、電気の力で海水を濃くするイオン交換膜法に切りかわっています[2]。

国内の生産量は食用の塩の消費量ぐらいで、足りない分は、天日塩などを輸入してまかなっているといいます[1]。では、輸入元の国々では、塩をどうやって手に入れているのでしょうか。

日本の塩づくりの歴史は、別のメモ「塩づくりの歴史」にくわしくあります。この記事は、世界のほうに目を向けます。

家庭の塩の原産国表示にメキシコやオーストラリアが見えるのは、日本の条件と関係する。日本には岩塩も塩湖もなく、高温多湿で雨が多いため、海水を天日だけで結晶させる方法が成り立ちにくい[2]。そこで日本では、海水を濃くする採かんと、それを煮詰める煎ごうの2段階で塩を作ってきた。採かんは1972年にイオン交換膜法へ転換され、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に並べて電圧をかけ、濃いかん水を得る方式になった[2]。

ただし国内の生産量は食用塩の消費量程度にとどまり、不足分は天日塩などの輸入で補われている[1]。日本の塩づくりの経緯は既存のメモ「塩づくりの歴史」に譲り、ここでは、輸入元をふくむ世界の採り方の違いに話を絞る。

では、日本の条件が当てはまらない土地では、どうなるのか。

2. うみの みずを、ひろい いけに ためると?

2. 広い池に海水をためて、太陽と風にまかせる

2. 天日塩 ── 蒸発池で約12か月かけて濃縮する

メキシコや オーストラリアでは、とても ひろい いけを 作ります。そこに うみの みずを ひき いれて、たいようと かぜで かわかします。こうして できる 塩しおを「てんぴ塩しお」と いいます[1]。

みずは、いくつもの いけを うつりながら、すこしずつ こく なります。オーストラリアの ある会社では、それに 1ねんぐらい かかると せつめい して います[4]。

こく なった みずは、さいごの いけで 塩しおの つぶに なります。それを きかいで あつめます[3]。

ただし この 1ねんは、その 会社の ひとつの ばしょの はなしです。ほかの ところが、みんな おなじとは かぎりません。

メキシコやオーストラリアでは、大規模な蒸発池に海水を引き、太陽と風の力で水を蒸発させて塩を作っています。これが天日塩です[1]。

オーストラリアの企業の説明によると、海水はまず浅い濃縮池に入れられ、いくつもの池を順に移りながら塩分が濃くなります。ほぼ飽和した濃い塩水が結晶池に送られると、底に塩が厚くたまり、それを機械で収穫します[3]。西オーストラリアのある計画では、池を移る間に約12か月かけて濃くなるとされ、濃縮池が塩田全体の約90%を占めるそうです[4]。

塩を作るというより、広い土地と時間を使って、太陽に濃くしてもらう仕事に近いのかもしれません。ただし、この12か月や90%は1社の1つの計画の数字で、天日塩すべてに当てはまるわけではありません。

ところで、雨の少ない土地には、もっと昔に「海を使い終えた」場所もあります。それが、地面の下の塩の層です。

メキシコやオーストラリアでは、大規模な蒸発池で海水を天日蒸発させる天日塩が生産されている[1]。オーストラリアの製塩企業の説明では、海水は浅い濃縮池に送られ、太陽と風で蒸発が進むにつれて塩分が上がり、ほぼ飽和した塩水が結晶池へ移されて、池の底に塩が厚く沈殿する。収穫は機械で行う[3]。

西オーストラリアのMardie計画の説明によれば、海水が一連の池を移動する間に約12か月かけて濃縮され、濃縮池の面積が塩田全体の約90%を占める[4]。つまり天日塩の生産では、機械で収穫する最後の工程より、広い面積と長い時間を使う濃縮の工程が大部分を占める。ただし、これは1施設についての記述で、天日塩全般の値ではない。

この方法が成り立つのは、雨が少なく蒸発が進みやすい土地に限られる。では、地下に塩の層がある土地では、どんな方法になるのか。

3. じめんの したに、塩しおの そうが あったら?

3. 地面の下の塩の層は、掘るか、水で溶かして汲む

3. 岩塩 ── 乾式採鉱と溶解採鉱、ヴィエリチカ岩塩坑

じめんの ずっと したに、いわの ような 塩しおの そうが ある ところが あります。これを「がん塩しお」と いいます。

とりかたは ふたつ あります。ひとつめは、あなを ほって すすむ やりかた。ふたつめは、そうに みずを おくって とかし、こい 塩しおみずを くみ あげる やりかたです。いまは、ふたつめが おおいと いわれます[1]。

ポーランドの ヴィエリチカには、むかしから ほられた 塩しおの あなが あります。ふかさは 300メートル ぐらい です[5]。

岩塩の採り方は、大きく2つに分かれます。ひとつは、岩塩の層に坑道を掘り進める乾式採鉱法。もうひとつは、層に水を送りこんで塩を溶かし、できた塩水を汲み上げて煮詰める溶解採鉱法です。現在は、溶解採鉱法が主流とされています[1]。

ポーランドのヴィエリチカ岩塩坑は、13世紀から掘られてきた坑道の跡です。百科事典の記述では、深さは約300メートルで、1978年にはユネスコの世界遺産の最初の12件の1つに選ばれました[5]。深さの数字は資料によって少し違うため、丸めて書いています。

岩塩は乾いた土地だけのものではなさそうです。では、水がたまったまま塩からくなった湖は、どうなっているのでしょうか。

岩塩の採鉱法には、岩塩層を坑道で掘り進む乾式採鉱法と、層に水を送りこんでできた塩水を汲み上げ煮詰める溶解採鉱法があり、現在は溶解採鉱法が主流である[1]。水に溶かせば、人が地下に入らずに済むという利点がありそうだが、この点は資料が理由まで述べていないため、推測にとどめる。

乾式の代表例の一つが、ポーランドのヴィエリチカ岩塩坑である。百科事典の記述では、13世紀から掘られ、深さは約300m(資料により数字に幅があるため丸めた)、1978年にユネスコ世界遺産の最初の12件の1つとなった[5]。

岩塩は、地下に塩の層があって初めて成立する。それでは、地表にある塩水の湖では何が起きているのか。

4. 塩しおからい みずうみでは、どうするの?

4. 塩からい湖と、白い大地のウユニ塩湖

4. 塩湖 ── 岩塩の前段階という見方と、ウユニ塩湖の採取量

「塩しおこ」は、みずが 塩しおからい みずうみです。うみの みずより こい ものも おおいと いわれます[1]。

ボリビアの ウユニ塩しおこは、ひろさ 1まん600へいほうキロメートル ぐらい です[6]。ウユニ塩しおこなどでは、あめの ふらない きせつに 塩しおを とると いわれます[1]。

ウユニ塩しおこで 1ねんに とる りょうは、あると いわれる 塩しおの 40まんぶんの 1より すくない ぐらいです。たくさん あるので、いっぺんに なくなる しんぱいは なさそうです。

塩湖は、湖水の塩分が1リットルに0.5グラム以上ある湖のことです。海水(1リットルにおよそ30グラム)より濃い塩湖も多く、陸地に閉じこめられた海水が岩塩に変わる途中の姿かもしれない、と考えられています[1]。有名なのは、イスラエルとヨルダンの境にある死海と、ボリビアのウユニ塩湖で、これらの湖では主に乾季に塩を採っているそうです[1]。

ウユニ塩湖は、広さが約1万600平方キロメートルあります[6]。年間の採取量は2万5千トン未満なのに対し、含まれる塩は約100億トンと推定されています[6]。計算すると、1年に採る量は推定量の約40万分の1より少ない量です。

こうして見ると、掘る・集める・作るの違いは、土地の条件の違いのようです。世界全体では、どのくらいの塩が、どこで採られているのでしょうか。

塩湖は、湖水の塩分が1リットル中0.5g以上の湖をいう。海水(約30g/L)以上の塩分をもつ塩湖も多く、陸地に閉じこめられた海水が岩塩に変わる途上の姿とも考えられている(あくまで考え方のひとつ)[1]。死海(イスラエル・ヨルダン国境)やウユニ塩湖(ボリビア)が知られ、これらでは主に乾季に採取するという[1]。

ウユニ塩湖は、面積約1万600km²とされる。年間の採取量は2万5千t未満で、これに対し、塩湖に含まれる塩の推定量は約100億t(原文の10 billion tonnes)とされる[6]。両者の比は2万5千:100億で、採取量は推定量の40万分の1より小さい。ただし、いずれも二次資料の数値である。

岩塩・天日塩・塩湖と並べると、いずれも「その土地に何があるか」で採り方が決まっている。世界全体の生産量は、どのくらいなのか。

5. せかいで いちばん 塩しおを つくる くには?

5. 世界の塩は年に約2億7000万トン ── 工場や冬の道路でも使われる

5. 世界と米国の統計 ── 生産の内訳と用途

せかい ぜんぶで、1ねんに 2おく7000まんトンぐらい の 塩しおが とれると いわれます[7]。いちばん おおいのは 中国で、5600まんトン ぐらいです[7]。

そして ほとんどの くにに、塩しおの そうか、みずを かわかす しせつが あります[7]。うみの 塩しおは、ほとんど なくならないと されて います[7]。

塩しおは、たべる ためだけでは ありません。アメリカでは、こうじょうで つかう ぶんや、ゆきや こおりを とかす ために つかう ぶんも、たくさん あります[7]。

アメリカ地質調査所(USGS)は、世界の塩の鉱山生産量を、2025年の推計で約2億7000万トンとしています。国別では、中国が約5600万トン、アメリカが約4000万トン、インドが約3000万トン、ドイツが約1500万トン、オーストラリアが約1200万トンです[7]。この5か国だけで、世界全体の約57%になります(丸めた数字からの計算)。

USGSは、ほぼ全ての国に塩の鉱床か蒸発式の施設がある、と書いています。また、海の中の塩は「ほぼ無尽蔵」で、塩の多くの用途には経済的な代わりの物質がない、としています[7]。

ここで、アメリカ1国の内訳も見てみましょう。2025年の推計では、種類別に塩水44%、岩塩38%、天日塩9%、真空蒸発釜の塩9%でした。使い道は、化学工業が約42%、道路の凍結防止が約37%を占めます[7]。これはアメリカだけの数字で、世界の内訳ではありません。

「食卓の塩」は、塩の使い道のごく一部のようです。それでも、地面と海と湖から集められた塩は、私たちの毎日に届いています。

USGSの2025年推計(e)では、世界の塩の鉱山生産量は約2億7000万tである。主な生産国は、中国約5600万t、米国約4000万t、インド約3000万t、ドイツ約1500万t、オーストラリア約1200万tで、この5か国で全体の約57%にあたる(丸めた値からの計算)[7]。USGSは、ほぼ全ての国に塩の鉱床か蒸発式の施設があり、海の塩は「ほぼ無尽蔵」で、多くの用途で経済的な代替品はないとしている[7]。

種類別の内訳は米国についてのみ示される。塩水44%、岩塩38%、天日塩9%、真空蒸発釜塩9%で、用途別では化学工業が約42%、道路の凍結防止が約37%だった[7]。これは米国1国の推計で、世界の内訳とは言えない。

別の資料は、世界の塩生産の約99%を岩塩と天日塩が占めると紹介する[2]。ただしこの割合は年や集計方法で変わるため、目安として読むのがよい。

結局、塩の採り方を決めるのは、雨、地下の地質、湖の有無である。日本は、岩塩も塩湖もなく雨も多いという条件のもとで、海水を煮詰める道を選んできた、と読める。

6. じぶんでも しらべて みたく なったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら ── 資料と手がかり

きょう できること

おうちの 塩しおの ふくろを 見て、「げんさんこく」や「せいほう」を さがして みましょう。ちがう ふくろを 2つ ならべると、書いて ある ことが ちがうかも しれません。

ちきゅうぎや ちずで、メキシコ、オーストラリア、ボリビア、ポーランドの ばしょを さがして みましょう。

もっと しりたく なったら

としょかんで、塩しおの ほんを さがして みましょう。おうちの ひとに、塩しおの ふくろを どこで かったか きいても いいですね。

今日できること

家の塩の袋の裏を見て、原産国や製法の欄を探してみましょう。袋が2つあれば、並べて読み比べると、違いが見つかるかもしれません。

地図帳や地球儀で、メキシコ、オーストラリア、ボリビア、ポーランドを探して、雨の多い土地か少ない土地かを想像してみるのもおもしろいです。

調べを広げるなら

日本語の資料としては、笹川平和財団のOcean Newsletterの塩の記事が読みやすいです。岩塩・天日塩・塩湖の違いが整理されています。

今日できること

家庭の塩の袋の原材料・原産国・製法の表示を読み比べる。輸入の天日塩を使う商品と、国産の海水を煮詰めた商品で、表示がどう違うかを見る。

資料へのあたり方

一次資料としてUSGSのMineral Commodity Summaries 2026「Salt」があり、国別の生産量の表と、資源の記述が読める(英語)。日本語では、笹川平和財団のOcean Newsletter(504号・355号)が、岩塩・天日塩・塩湖の違いを整理している。

次の問いとしては、日本が輸入する天日塩のうち、食用に回る割合はどのくらいか。この点は、今回の資料では確認できなかった。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

数値はいずれも、各資料の記述時点の推計値です。ウユニ塩湖・ヴィエリチカは二次資料も使っているため、数字は目安として読んでください。

  1. 千々岩良二「Ocean Newsletter 504号」笹川平和財団 海洋政策研究所(2021年8月5日) https://www.spf.org/opri/newsletter/504_3.html (岩塩・天日塩・塩湖の説明)
  2. 「Ocean Newsletter 355号」笹川平和財団 海洋政策研究所 https://www.spf.org/opri/newsletter/355_3.html (日本の塩づくりと世界の生産の割合)
  3. Cheetham Salt「How our salt is made」 https://www.cheethamsalt.com.au/how-our-salt-is-made (天日塩の工程)
  4. BCI Minerals「Salt 101 – how it's made」 https://www.bciminerals.com.au/salt-101-how-its-made/ (池を移る時間と濃縮池の割合)
  5. Wikipedia「Wieliczka Salt Mine」 https://en.wikipedia.org/wiki/Wieliczka_Salt_Mine (ヴィエリチカ岩塩坑の概要)
  6. Wikipedia「Salar de Uyuni」 https://en.wikipedia.org/wiki/Salar_de_Uyuni (面積・標高・採取量)
  7. USGS「Mineral Commodity Summaries 2026: Salt」 https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2026/mcs2026-salt.pdf (世界と米国の生産・用途)

なおした ところ

更新履歴

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