1. たねから そだてると、みは いつ なるの?
1. 種から育てたゆずは、いつ実をつけるのか
1. 実生のゆずは、なぜ「待つ木」と呼ばれるのか ── 15〜20年という目安
ゆずを、たべた あとの たねから そだてる ことを 「みしょう」と いいます。みしょうで そだてた ゆずは、実が なるまで 15年から 20年も かかる、と いわれて います[1]。
ゆずは、もともと 大きく なるのが ゆっくりな 木です[1]。10さいの 子が たねを まいたら、実を 見られるのは 25さいから 30さいの ころに なります。
では、お店の ゆずは、そんなに まって できたのでしょうか。ちがいます。木の そだて方に くふうが あります。
ゆずの木は、成長が遅いことで知られています。種から育てる「実生」では、実をつけるまで15〜20年かかるとされます[1]。10歳の子が種をまけば、はじめての収穫は25〜30歳です。
ただし、この年数はあくまで目安です。育てる場所や手入れによっても変わるはずで、きっちり何年と決まっているわけではありません。
「桃栗三年柿八年」のあとに、ゆずは十八年かかる、と続けて呼ばれることがあるそうです。いつ、だれが言い始めたのかは分かりません。それでも、ゆずは待たされる木だという印象が、昔から人の間に広まっていたことは想像できます。
待つのが当たり前の木が、どうして毎年たくさん出荷されるのでしょうか。
ゆずの木は成長が遅いことで知られ、種から育てる実生栽培では、実をつけるまで15〜20年かかるとされる[1]。実生とは種から芽を出して育てることで、親の木を切って増やす方法とは違い、木が小さな苗の状態から自力で成長する時間がそのまま待ち時間になる。
この年数は一つの資料が示す目安である。栽培場所や管理で変わりうるので、「必ず15年」と読むのは正確ではない。「桃栗三年柿八年」に続けて「ゆずの大馬鹿十八年」と呼ばれることがあるという紹介もあるが、ことわざの成立時期や由来は分からない。
ところが、産地のゆずは実生では育てていない。待ち時間を避ける方法が、栽培の標準になっているためである。
2. おとなに ならなくても、どうして みが なるの?
2. 産地ではどうやって、数年で実らせているのか
2. 接ぎ木は待ち時間をどう変えるか ── カラタチ台の利用と、ゆず台が減った理由
こたえは 「つぎ木」です。つぎ木は、ほかの 木の 根に、ゆずの えだを つなぐ やり方です。
多くの ゆずを つくる ところでは、からたちと いう 木に ゆずを つぎ木して そだてて います。こうすると、数年で 実が なります[1]。
15年から 20年が、数年に なるのです。たとえば 5年なら、4分の 1から 3分の 1ほどに へります。
ゆずの 木は、ふるくは ほかの かんきつの 台に つかわれた こともありました。ゆずの 台に すると 木は げんきに そだちますが、実の しつは 少し さがると いわれます。からたちの 台が ひろまってから、ゆずの 台は へりました[2]。
答えは接ぎ木です。別の木の根と幹を土台にして、そこにゆずの枝をつなぐ育て方で、土台になる木を台木と呼びます。多くの産地では、柑橘のカラタチなどを台木にして、ゆずを接ぎ木しています。そうすると、数年で実がなります[1]。
15〜20年が数年になるので、たとえば5年とすれば、待つ時間は4分の1から3分の1ほどに縮みます。ただし「数年」が具体的に何年かは、資料には書かれていません。
面白いのは、昔はゆずの実生のほうが台木に使われてきた、ということです。ゆずを台木にした柑橘は、木の勢いが強くなる一方で、実の品質が少し下がるとされます。カラタチ台が広まるにつれて、ゆず台の出番は減りました[2]。台木の選び方で、木の勢いも実の質も変わるのです。
つなぎ方で待ち時間は縮められました。では、ゆずの木とは、そもそもどんな姿なのでしょうか。
この遅さを避ける標準的な方法が接ぎ木である。多くの産地では、柑橘類のカラタチなどを台木とし、そこにゆずを接ぎ木して数年で実らせる[1]。実生の15〜20年に対して、仮に5年なら待ち時間は約4分の1から3分の1になる。ただし資料は「数年」としか書いていないので、この5年は計算のための仮の数字である。
接ぎ木の仕組みは、台木の根が水や養分を吸い上げ、接いだ穂木のゆずが実をつける、という分担と考えられる。台木には選択肢があり、その影響は小さくない。ゆずの実生もかつては柑橘の台木に使われたが、ゆず台は樹勢が強くなる一方で果実の品質が少し低下するとされ、カラタチ台の普及とともに使われることが減った[2]。「樹勢が強い」ことと「よい実がなる」ことは別である、という点が興味深い。
なお、接ぎ木で縮められるのは結実までの年数であり、ゆずという木の性質自体が変わるわけではない。では、その性質とは何か。
3. ゆずの 木には、とげが あるって ほんとう?
3. 5月に白い花が咲く、とげのある木
3. ゆずの木の形質 ── 直立した樹形、鋭いとげ、5月の花、扁球形の果実
ゆずは、一年中 はっぱが おちない 木です。えだに、するどい とげが あります[2]。
5月ごろには、白い 花が ひとつずつ さきます。花びらは 5まいです[2]。
実は ころんと 丸く、少し へこんだ かたちです。大きさは、はばが 6センチから 10センチほど あります[2]。ものさしで 10センチを 見て みてください。かわの ひょうめんは、でこぼこして います[4]。
育てる 人は、せんていの ときに、えだの とげを できるだけ とります。とげを とると、びょうきが へって、しゅうかくも らくに なる、と いう はなしも あります[5]。
ゆずはミカン科の常緑樹で、木はまっすぐ上へ伸びる性質があり、枝には鋭いとげがあります[2]。5月ごろ、白色から淡い紫を帯びた5弁の花が、ひとつずつ咲きます[2]。
実は直径6〜10cmの扁球形、つまり少しつぶれた丸い形です[2]。和歌山県の資料では、果実は比較的大きく、皮の表面がでこぼこしているとされています[4]。
育てる人にとって、とげは扱いにくいものです。栽培の解説には、剪定のとき、枝のとげをできるだけ取り除いておくと、病気が減り、収穫もしやすくなる、とあります[5]。収穫のときに枝に触れても、手を傷つけにくくなるという意味でもあるでしょう。
5月の白い花が、どのように冬の黄色い実になっていくのでしょうか。
4. みどりの 実は、いつ きいろく なるの?
4. 青い実が黄色くなるまで ── 8月から12月の収穫
4. 青ゆずから黄ゆずへ ── 収穫期のずれと、地域差の読み方
ゆずの 実は、はじめは みどり色です。8月ごろに、みどりの まま とる ことも あります。「あおゆず」と よばれる ものです[3]。
そのまま 木に のこすと、だんだん きいろく なります。きいろい 実の しゅうかくは、東京の ねりま区では 10月の なかばから 12月の なかばごろ です[3]。わかやま県では 11月から 12月です[4]。
ばしょに よって、とる じきが すこし ちがう ことが わかります。
ゆずの実は、はじめは緑色です。8月ごろに、緑のまま収穫して使うこともあります[3]。青ゆずと呼ばれる使い方です。
そのまま木に残すと、実は黄色く熟します。黄色いゆずの収穫期は、東京都練馬区の資料では10月中旬から12月中旬です[3]。和歌山県の資料では11月から12月と書かれています[4]。JETROによると、出荷量は11月から年明けの1月に集中します[1]。
地域によって、また同じ地域でも年によって、時期は少しずつずれます。資料の月は、あくまで目安です。
夏の青ゆずと冬の黄ゆずは、同じ木に実った、収穫の時期がちがうだけの果実です。では、冬に実を結ぶこの木は、寒さにはどのくらい耐えられるのでしょうか。
ゆずの実は緑色から黄色へ変わり、収穫の仕方も二つある。練馬区の資料によると、緑色のゆずは8月ごろ、黄色いゆずは10月中旬から12月中旬が収穫期である[3]。和歌山県の資料は収穫時期を11〜12月とし[4]、JETROは出荷が11月から翌年1月に集中するとする[1]。
3つの資料の月は完全には一致しない。これは、収穫の開始と終わり、地域の気候、収穫と出荷の違いなど、何を基準にしているかが違うためと考えられる。資料から一つの正しい月を決めることはできず、10月中旬から1月が目安、と読むのが妥当である。
青ゆずを含めると、収穫は8月から12月にまたがる。同じ木の実が、使い方の違いで2回の収穫期を持つ形である。この長い期間、木は寒さにも向き合う。
5. ゆずは、さむい ふゆにも だいじょうぶなの?
5. 寒さに強いといわれるゆずは、どこまで耐えられるか
5. 耐寒性の目安 ── マイナス5℃と7℃の意味
ゆずは、みかんの なかまの 中では、さむさに つよい ほうです。ただし、おとなに なった 木でも、マイナス5どより さむい ひが ながく つづくと、はっぱが おちます。マイナス7どより さむく なると、かれる ことも あります[5]。
「さむさに つよい」と いっても、ずっと へいきという わけでは ありません。ゆずの そだつ ところは、冬に あまり ひえこまない ばしょが 多いでしょう。
ゆずは、柑橘類の中では寒さに強いほうです。ただし、成木でもマイナス5℃以下の寒さに長く当たると葉が落ち、マイナス7℃を下回ると枯れることもあるとされます[5]。
「強い」といっても、どんな寒さにも耐えるわけではなく、柑橘の仲間のなかでの比べ方です。この数字も、一つの栽培解説にある目安で、木の年齢や土地の条件で変わる可能性があります。
冬の寒さに比較的強いことは、寒い季節に実を収穫できる柑橘として、ゆずの特徴のひとつになっています。
ゆずは柑橘の中では寒さに強い部類だが、成木でもマイナス5℃以下に長く当たると落葉し、マイナス7℃を下回ると枯れることがある、と栽培解説は述べる[5]。
この記述は、「柑橘の中では」という比較と、「長く当たると」という時間の条件がついた目安である。「寒さに最強」とは読めない。同じ資料は成木を対象にしており、苗木や若い木にそのまま当てはめられるかは分からない。
耐寒性は産地の広がりにも関わるはずだが、資料にそこまでの因果は書かれていない。ゆずが、実生で15〜20年かかる遅さ、とげ、冬の寒さという条件を抱えながら、収穫の季節を迎える木だ、という全体像が見える。
6. ゆずの 木を さがしに いって みよう
6. 近所のゆずの木で見つけたいこと
6. 資料の外へ ── 伝来の経緯と産地の偏り
ゆずは、もともと 中国の 大きな 川の 上の ほうが ふるさとと いわれます。1300年ほど 前までに、日本に はこばれて きました。さいしょは くすりとして 西日本で 育てられて きました[1]。
いまは、日本の ゆずの 半分ほどが 高知県でとれると いわれます[1]。
やって みよう。ちかくに ゆずの 木が あれば、少し はなれて 見て みましょう。木の かたちは どうでしょう。えだに とげは ありますか。とげには、ぜったいに さわらないで ください。
ゆずの 実を 見つけたら、かわの でこぼこを ゆびで なぞって みましょう。木が 近くに なくても、ゆずを たべた あとの たねを 水に つけて、めが 出るまでを 見るのも、おもしろいかも しれません。実が なるのは ずっと 先ですが。
ゆずの原産は、中国の長江の上流域といわれます。約1300年前の奈良時代までに朝鮮半島を経て日本へ伝わり、西日本で薬用として栽培されてきました[1]。食べ物として広がる前は、薬として育てられた木だったのです。
国内の生産は、高知県が約半分を占めているといわれます[1]。調査年が分からないため、「約半分」くらいの目安として受け取るのがよいでしょう。
近くにゆずの木があれば、観察してみてください。ひとつは、枝のとげです。ただし、鋭いので絶対に手を出さないでください。木が近くになくても、ゆずの実が手に入ったら、皮の表面のでこぼこを、ほかの柑橘と見比べてみると、違いが見つかるかもしれません。
もし庭にゆずの苗木があれば、同じ家の木が実をつけるまで何年かかるか、お家の人に聞いてみるのも手です。接ぎ木かどうかで、答えが変わるかもしれません。
ゆずの原産は中国・長江上流域といわれ、約1300年前の奈良時代までに朝鮮半島を経て日本に伝わり、西日本で薬用として栽培されてきた[1]。食用というより薬用の木から始まった点は、ゆずの扱われ方を考える手がかりになる。
国内の生産量は約2万7000トンで、高知県が約52%を占めるとJETROは述べる[1]。ただし調査年は示されていないので、数字そのものよりも「約半分」という規模で受け取るのがよい。
手元でできるのは、ゆずの木か実を見つけたときの観察である。木が近くにあれば、とげ、5月ごろの花、実の色の移り変わりを記録する(とげには触れない)。実が手に入れば、皮の凹凸を他の柑橘と見比べる。
さらに調べたくなったら、各県の農業関係機関の資料で収穫期や接ぎ木の年数が地域でどう違うかを見比べたり、JETROの「ゆず」のページで、本記事で「目安」とした数字がどういう文脈で書かれているかを読んだりする道もある。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の数字は、次の資料から拾った目安です。年数・時期・気温は、産地や条件で変わります。
- JETRO(日本貿易振興機構)「農林水産物・食品 ゆず」 https://www.jetro.go.jp/agriportal/pickup/yuzu.html (原産、実生の年数、接ぎ木、生産量)
- コトバンク「ユズ」(世界大百科事典・日本大百科全書・ブリタニカ) https://kotobank.jp/word/%E3%83%A6%E3%82%BA-12739 (木の特徴、台木)
- 練馬区「ゆず・レモン」 https://www.city.nerima.tokyo.jp/kankomoyoshi/nogyo/hureai/casualfarm/yuzu_lemon.html (収穫期)
- 和歌山県「ユズ」 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/130700/nrs/collection_yuzu.html (果実の特徴、収穫時期)
なおした ところ
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