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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

アブラムシを たべに くる 虫は、どんな 虫が いるの?

アブラムシの天敵には、どんな虫がいて、どうやって狙うのでしょうか

アブラムシの天敵昆虫は、それぞれどのような方法でアブラムシを捕食・寄生するのか

分野:生きもの

はっぱの うらに いる アブラムシの 中には、からだの 中で ハチの 子が そだって、かたい から のように なって しまう ものが います[10]。

アブラムシは、どんな 虫に ねらわれて いるのでしょう。この ページを よむと、テントウムシ、ヒラタアブ、クサカゲロウ、アブラバチの ねらいかたの ちがいと、アブラムシの まもりかたが わかります。

葉の裏にいるアブラムシの中には、体の中でハチの子が育ち、中身を食べられて、固い殻のようになってしまうものがいます[10]。アブラムシを食べる虫は、テントウムシだけではないのです。

アブラムシを、虫たちはどんな方法で狙うのでしょうか。この記事を読むと、テントウムシ、ヒラタアブ、クサカゲロウ、アブラバチの狙い方のちがいと、アリに守られるアブラムシの工夫が分かります。

アブラムシの体内にアブラバチの卵が産みつけられると、孵化した幼虫に組織を食べられたアブラムシは、固い殻状の「マミー」になる[10]。アブラムシの天敵はテントウムシだけではなく、食べ方そのものが大きく異なる。

体の柔らかい虫を、昆虫たちはどのように分けあって狙っているのか。この記事では、テントウムシ・ヒラタアブ・クサカゲロウ・アブラバチの狙い方の違い、農業での使われ方、そしてアブラムシ側の守り方が分かる。

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1. アブラムシは、どうして ねらわれやすいの?

1. 逃げ足のないアブラムシは、どんな動物に狙われるのでしょうか

1. 柔らかい体と集団生活:アブラムシが多くの動物に狙われる理由

アブラムシは、からだの そとがわが やわらかい 小さな 虫です。しかも、たくさんで あつまって くらして います。だから、たべに くる 動物が とても おおいのです[1]。

テントウムシ、クサカゲロウの 幼虫ようちゅう、ヒラタアブの 幼虫ようちゅう、鳥の エナガなどが います。ハチの なかまの アブラバチも、アブラムシの 天敵てんてきです[1]。

みんな おなじ たべかたでは ありません。からだの 中から たべる 虫まで います。まず、いちばん みぢかな テントウムシから みて いきましょう。

アブラムシは、外側の殻が柔らかく、集団で暮らしています。そのため、これを食べる動物は数多いとされています[1]。

代表的なのは、ナナホシテントウやナミテントウ、クサカゲロウの幼虫、ヒラタアブの幼虫などです。小鳥のエナガも食べます。ハチの仲間のアブラバチ類は、食べるのではなく、卵を産みつけて育つ寄生バチで、これも天敵に数えられます[1]。

同じアブラムシが相手でも、狙い方はずいぶんちがいます。大人も子どもも食べる虫、子どもだけが食べる虫、体の中から食べる虫がいます。まずは、いちばん身近なテントウムシから見ていきましょう。

アブラムシは外殻が柔らかく、集団で生活するため、捕食者が数多いとされる[1]。群れているので、天敵は一度に多くのアブラムシを見つけられることがある。

資料に挙がる天敵は、ナナホシテントウ、ナミテントウ、クサカゲロウの幼虫、ヒラタアブの幼虫、小鳥のエナガ、そして寄生バチ(アブラバチ亜科)である[1]。以下では昆虫に絞り、「捕食」(相手を食べて殺す)と「寄生」(相手の体を使って自分の子を育てる)という二つの方法のちがいに注目する。

では、最もなじみ深いテントウムシは、アブラムシをどのように食べているのだろうか。

2. テントウムシは、なにを たべて そだつの?

2. テントウムシは、子どものときも大人になっても、アブラムシを食べるのでしょうか

2. ナミテントウ:幼虫も成虫も食べる捕食者が、農業で使われるまで

ナミテントウという テントウムシは、幼虫ようちゅうの ときも、成虫せいちゅうに なってからも、アブラムシを たべます[2]。えさが なくなると、ほかの 幼虫ようちゅうや さなぎを たべて しまう ことも あります。

はたけで はたらく テントウムシも います。三重県の しけんでは、イチゴに ついた ワタアブラムシに、テントウムシの 幼虫ようちゅうを はなしました。すると、アブラムシが へる ききめが 1週間ほど つづきました[4]。

では、はなの 上を ぶんぶん とぶ、ハチに にた 虫は、なにを して いるのでしょう。

ナミテントウは、幼虫も成虫もアブラムシを食べる肉食の虫です。食べものが尽きると、ほかの幼虫やさなぎを共食いすることもあります[2]。多くの種類のアブラムシを食べる、好ききらいの少ないタイプともいわれます[3]。

この食べっぷりに目をつけたのが、農業です。ナミテントウはアブラムシを大量に食べるうえ、ほかのテントウムシより増やしやすいため、害虫を天敵で減らす「生物的防除」に使われてきました[5]。農研機構は、あまり飛ばない系統の「飛ばないナミテントウ」を開発しています。ハウスの中で天井へ飛び去らず、居ついてもらいやすくするためです[5]。

三重県農業研究所の試験では、早春のイチゴ畑のワタアブラムシに、ナミテントウの幼虫を放しました。アブラムシを減らす効果は約1週間続いています。ナミテントウもナナホシテントウも、幼虫は花房にいるアブラムシを優先して食べました[4]。

テントウムシは成虫の姿が印象に残りますが、畑で効果を見せたのは、この試験では幼虫でした。さて、次の天敵は、花の上でよく見かける虫です。

ナミテントウは、幼虫も成虫もアブラムシを捕食する肉食性で、餌が尽きると他個体の幼虫や蛹を共食いすることがある[2]。多種のアブラムシを食べるジェネラリスト(特定の種に頼らない捕食者)とされる[3]。

農業での利用は、この食べ方に由来する。難防除害虫とされるアブラムシを大量に食べ、他のテントウムシ類より大量増殖が容易なため、生物的防除の天敵として期待されてきた[5]。ところが、成虫は飛ぶ。施設栽培では天井やすき間へ飛び去り、定着しにくい。そこで農研機構は飛翔能力の低い系統(飛ばないナミテントウ)を開発し、施設内に留まりやすくした[5]。

効果を測った例として、三重県農業研究所の試験がある。早春のイチゴ圃場でワタアブラムシを対象にナミテントウ幼虫を放飼したところ、密度を下げる効果が約1週間続いた。ナミテントウとナナホシテントウの幼虫は、どちらも花房部のワタアブラムシを優先して捕食した[4]。ただし、これは特定の作物・時期・放飼量での試験結果であり、他の作物や季節にそのまま当てはまるとは限らない。

では、成虫が食べるものも幼虫が食べるものも同じテントウムシに対し、成虫と幼虫で役割が分かれる天敵はいないのか。

3. ハチに にた 虫は、おとなも アブラムシを たべるの?

3. 花に来るヒラタアブは、おとなもアブラムシを食べるのでしょうか

3. ヒラタアブ類:成虫は花粉媒介者、幼虫は捕食者という分業

ヒラタアブは、くろに きいろの もようが あって、ハチに にて います。ハチに そっくりに みえる ことを「ぎたい」と いいます[6]。

おとなの ヒラタアブは、はなの みつや かふんを たべます。そのとき、はなの じゅふんを たすけて います。アブラムシを たべるのは、おとなでは なくて、幼虫ようちゅうの ほうです[6]。

とくしま県の しけんでは、ヒラタアブの 幼虫ようちゅうなどが でた ソルゴーという 植物を、ナスの ハウスに おきました。すると、アブラバチを はなした ときと おなじ くらい、アブラムシを おさえる ききめが ありました[7]。

つぎの 虫は、たまごから ふしぎです。

ヒラタアブは、ハナアブ科の虫です。黒地に黄色い模様があり、ハチによく似ています。ハチのように見える「擬態」です[6]。

成虫は、花から花へ飛び回って蜜や花粉を食べます。そのとき受粉を助けています。アブラムシを食べるのは成虫ではなく、幼虫です[6]。同じ虫でも、子どもと大人でまったく別の仕事をしているのです。

この幼虫の力は、農業でも試されています。徳島県の資料にある試験の例では、ヒラタアブ類やショクガタマバエの幼虫が出たソルゴーという植物をナスのハウスに置くと、コレマンアブラバチを放した場合と同じくらいの防除効果が認められました[7]。

次に紹介するクサカゲロウの幼虫は、食べる数が百科事典に書かれています。しかも、卵が風変わりです。

ヒラタアブ類(ハナアブ科)は、成虫と幼虫で役割が分かれる。成虫は花で蜜と花粉を食べ、結果として受粉を助ける。黒地に黄色の模様はハチに似ており、擬態と説明される。アブラムシなどの微小な昆虫を好んで食べるのは幼虫である[6]。

この幼虫が農業現場でどれほど頼りになるかを示す例が、徳島県の資料にある試験例である。ヒラタアブ類やショクガタマバエ等の幼虫が発生したソルゴーを、ナスのハウスに置いたところ、コレマンアブラバチを放した場合と同等の防除効果が認められたという[7]。ただし、この結果は一つの試験の報告であり、時期や面積、アブラムシの密度といった条件によって変わりうる。

そのため、ヒラタアブ類が「アブラバチと同じくらい強い」と一般化することは避けたい。1日に何匹食べるかという数字も、種や条件で大きく変わると考えられる。

一方、クサカゲロウ幼虫の捕食数は百科事典に記載があり、卵の形も特徴的である。

4. クサカゲロウの たまごは、なぜ 花のように 見えるの?

4. クサカゲロウは、卵も幼虫も変わっているのでしょうか

4. クサカゲロウの幼虫は何を食べ、卵や幼虫はどんな姿をしているのか

クサカゲロウの 幼虫ようちゅうも、アブラムシを たべます。ほかの 虫を つかまえて たべる 虫で、おおきく なる あいだに 300〜600ぴきも たべると、百科じてんに 書いて あります。ただし、しゅるいや じょうけんで かわります[8]。

おとなの クサカゲロウは、はなの みつや かふん、アブラムシの だす あまい しるを たべる しゅるいが おおいです[8]。

たまごは、ほそい 糸のような ものの さきに ついて います。それを 十本あまり まとめて うみつけます。小さな はなのように 見えるので、むかしから 「うどんげ」の はなと よばれて きました[9]。

幼虫ようちゅうの なかには、せなかに かれはや えものの からだを のせて、かくれて いる しゅるいも います[9]。

つぎは、アブラムシを たべない のに、てきに なる 虫です。

クサカゲロウの幼虫は、アブラムシやハダニを捕らえて食べる肉食の虫です。幼虫のあいだに食べるアブラムシは300〜600匹におよぶと、世界大百科事典にあります。種類や条件で変わる目安です[8]。

大人のクサカゲロウは、花粉や花の蜜、アブラムシが出す甘い汁(甘露)を食べる種類が多いようです。一部の種類は、大人も肉食です[8]。

卵はもっと風変わりです。細くて長い糸のような柄の先に卵がつき、それを十数本まとめて産みつけます。草のように見えるその姿は、古くから「うどんげ」の花と呼ばれてきました[9]。

幼虫の一部の種類は、背中の鉤のような毛に、植物のかけらや獲物の死骸を引っかけて背負っています[9]。食べた相手の殻が、そのまま身を隠すコートになるわけです。

ここまでは、どれも「食べる」天敵でした。ところが、アブラムシを食べないのに、アブラムシの数を減らす天敵がいます。

クサカゲロウの幼虫は肉食で、アブラムシやハダニを捕らえて食べる。世界大百科事典には、幼虫期の捕食数が300〜600匹に及ぶとあるが、種と条件により変動する目安である[8]。同書はこの獲物を「アリマキ」と記すが、これはアブラムシの古い呼び名である。成虫は、花粉・花蜜・アブラムシ類の排泄する甘露を摂る種が多い(一部の種は成虫も肉食)[8]。つまり、成虫と幼虫は食物が異なる。

卵は、テグスのような細長い柄の先につき、十数本をまとめて産みつける。植物のように見える姿から、古くから優曇華(うどんげ)の花と呼ばれた。なお卵の色は資料によって緑と白で記述が食い違うため、ここでは色には触れない[9]。

幼虫の一部の種は、背中の鉤状の毛に、植物片や獲物の死骸を引っかけて背負う[9]。この「食べかすの衣」が、天敵の目をそらす役に立っているとする説明もあるが、本記事で参照した資料からは効果の程度は分からない。

ここまでの三つは、いずれもアブラムシを捕食し、相手を殺す。では、「食べない」のに死に至らしめる天敵とは何か。

5. アブラバチは、アブラムシを どうやって やっつけるの?

5. アブラバチは、食べずにアブラムシの数を減らすのでしょうか

5. アブラバチ類:体内寄生と「マミー」、生物農薬としての使い方

アブラバチは、小さな ハチです。めすは、たまごを うむ ための 細い くだを アブラムシの からだに さして、中に たまごを うみます[10]。

たまごから かえった 幼虫ようちゅうは、アブラムシの からだの 中を たべて そだちます。アブラムシは、かたい から のような「マミー」に なります。幼虫ようちゅうは、その 中で さなぎに なり、おとなに なると、まるい あなを あけて 出て きます[10]。

やさいを そだてる ハウスでは、アブラバチを アブラムシを へらす 生きものの くすり(生物のうやく)として つかいます。ただし、アブラムシが ふえて からだと ききめが たりない ことが あります。すくない うちに はなすのが よいと いわれて います[11]。

では、アブラムシは ねらわれて ばかりなのでしょうか。

アブラバチ類のめすは、産卵管をアブラムシの体に刺し、体の中に卵を産みます。孵化した幼虫は、アブラムシの体の中の組織を食べて育ちます。やがてアブラムシは、乾いた固い殻のような「マミー」になります。幼虫はその中でさなぎになり、成虫は円い穴を開けて外へ出てきます[10]。この過程の一部は、農研機構のギフアブラバチ利用マニュアルにも説明があります[11]。

つまり、アブラムシは食べ尽くされるのではなく、アブラバチの子の「育つ場所」にされます。これまでの天敵が外側から食べていたのとは、まるで逆の方法です。

この性質は、農業でも活かされています。アブラバチ類は、施設野菜のアブラムシ防除でもっとも普及している生物農薬のひとつとされ、コレマンアブラバチや、日本に元からいるギフアブラバチなどが使われます[11]。ただし、アブラムシが増えてから放すと効果が足りないことがあり、発生の初期に放すのが勧められています[11]。

こうして見ると、アブラムシはあらゆる方向から狙われています。ところが、アブラムシも黙ってやられているわけではありません。

アブラバチ類の雌は、産卵管をアブラムシの体に刺して体内に産卵する。孵化した幼虫は宿主の組織を食べて育ち、宿主は乾燥した殻状の遺骸「マミー」となる。幼虫はマミーの中で蛹化し、成虫は円形の穴を開けて羽化する[10]。マミーは1〜2mm程度で葉裏に多いとされる。羽化口の形や大きさは種や状態で異なりうるので、観察では目安として扱いたい。

このような、宿主の体内で育って最終的に殺す昆虫を寄生蜂という。捕食者と異なり、一匹のアブラムシから一匹のハチが生まれる。したがって、捕食者のように一度に多くを食べる方法とは異なる。

農業では、アブラバチ類(コレマンアブラバチ、土着のギフアブラバチなど)が、施設野菜のアブラムシ防除でもっとも普及している生物農薬とされる[11]。ただし、アブラムシが増えてからの放飼では効果が不十分となることがあり、発生初期の放飼が勧められている[11]。ヒラタアブ類の幼虫が出たソルゴーを置いた試験で、アブラバチ放飼と同等の効果が得られたのも、この比較の文脈である[7]。

ここまでは、攻める側の話だった。ではアブラムシ側は、何も備えないまま狙われ続けているのか。

6. アブラムシは、やられて ばかりなの?

6. アブラムシは、アリや仲間の力でどう身を守るのでしょうか

6. アリとの共生、そして仲間による防衛:アブラムシ側の対策

アブラムシの 中には、アリに まもって もらう しゅるいが います。アリは、アブラムシの だす あまい しるが すきで、あつまって きます。おれいに、テントウムシなどの てきを おいはらいます[1]。

ただし、すべての アブラムシが アリと なかよしでは ありません。アリと アブラムシの かんけいは、しゅるいに よって ちがいます。

みずから まもる アブラムシも います。東京大学の けんきゅうに よると、ヨシノミヤアブラムシは、はっぱに できる ふくろの 中で くらします。ふくろに あなが あくと、テントウムシの 幼虫ようちゅうなどが はいって きます。そこで、うまれたばかりの 子と、こどもを うみおえた としうえの 虫が あなの まわりで まもります。まんなかの 年れいの 虫は、おくに にげて、こどもを うむ ことに せんねんします[12]。

アブラムシの種類によっては、アリに守ってもらいます。アリはアブラムシが出す甘露を求めて集まり、そのお礼に、テントウムシなどの天敵を追い払います[1]。ただし、すべてのアブラムシがアリと共生するわけではなく、関係は種によってちがいます。

仲間で守る種類もいます。東京大学の研究(2013年発表)では、虫こぶ(植物にできるふくろ状のこぶ)をつくるヨシノミヤアブラムシが調べられました。虫こぶに穴が開くと、テントウムシの幼虫などの天敵が入ってきます。すると、生まれたばかりの1齢幼虫と、繁殖を終えた年老いた成虫が穴の周りに集まって守ります。中間の年齢の個体は、奥へ逃げて繁殖に専念します[12]。

守る側の1齢幼虫は、口の先で天敵を突き刺し、年老いた成虫は、お腹から出す液で敵にくっついて動きを止めるそうです[12]。年齢に応じて役割を分ける、という巧みな方法です。

ここまで読むと、葉の裏が急に生き生きとして見えてきませんか。次は、実際に探しに行くときの手がかりを整理します。

アブラムシ側にも対抗手段がある。ある種ではアリと共生し、アリはアブラムシが出す糖分の多い甘露を求めて集まり、代償として天敵(テントウムシなど)を追い払う[1]。ただし、これは種によって異なり、すべてのアブラムシに当てはまるわけではない。

もう一つは、アブラムシ自身が集団で防衛する方法である。東京大学の研究(2013年1月発表)では、虫こぶ(植物の組織が膨らんでできた袋状の構造)をつくる社会性アブラムシ、ヨシノミヤアブラムシが調べられた。虫こぶに穴が開くと、テントウムシ幼虫などの天敵が侵入する。そのとき、生まれたての1齢幼虫と繁殖を終えた老齢の無翅成虫が穴の周りに集まって防衛し、中間の年齢の個体は奥へ逃げて繁殖に専念する[12]。

防衛の方法も年齢で異なる。1齢幼虫は口吻で天敵を突き刺し、無翅成虫は腹部から分泌液を出して天敵に付着し、動きを止める[12]。若い個体は繁殖前、老いた個体は繁殖後であり、いずれも「次の子を残す」役割を終えているか、まだ始めていない個体である。

ここまで、四つの天敵のグループと二つの守り方を見てきた。最後に、これらを実際に探すための道すじを示す。

7. はっぱの うらを のぞいて みよう

7. 葉の裏に、天敵の手がかりを探すなら

7. 観察の道すじと、資料の読み方

アブラムシが ついた 草を みつけたら、そっと はっぱの うらを のぞいて みましょう。

テントウムシの 幼虫ようちゅう、ヒラタアブの 幼虫ようちゅう、クサカゲロウの「うどんげ」、かたく ふくらんだ マミー。どれが みつかるでしょうか。マミーは とても 小さいので、虫めがねが あると べんりです。

さわらずに、見るだけに しましょう。ハチや けむしが いたら ちかづかないで、見たあとは 手を あらいます。

ふえた アブラムシの まわりには、ほかの 虫が いる ことが おおいのか、それとも すくないのか。見つけた ものを ノートに 書いて、ちがいを くらべて みると おもしろいです。

アブラムシのついた草花を見つけたら、葉の裏をそっとのぞいてみてください。テントウムシの幼虫、ヒラタアブの幼虫、クサカゲロウの卵、そして固くふくらんだマミーがあるかもしれません。小さなものは虫めがねがあると便利です。

触らずに見るだけにします。ハチや毛虫がいたら近づかず、見終わったら手を洗いましょう。農薬をまいた場所は避けます。

見つけた虫を、天敵の種類ごとにノートに記録してみると、「アブラムシの多い葉に誰が来ているか」が少しずつ見えてきます。

もっと知りたくなったら、農研機構や各県の農業試験場が公開している、天敵の利用についての資料があります。農業の現場で、どの虫がいつ使われているかを知る手がかりになります。

観察では、マミーの大きさ(1〜2mm程度とされる)と円形の羽化口が目印になる。羽化口が開いたマミーは、すでに成虫が出たあとと考えられる。ただし、確実な識別には図鑑や専門家の資料を併用したい。

そのほか、クサカゲロウの卵(柄の先につく)、ヒラタアブ幼虫、テントウムシ幼虫も葉の裏で探せる。観察は触らずに行い、ハチや毛虫には近づかず、終えたら手を洗う。農薬が散布された場所は避ける。

資料の読み方としては、農研機構の飛ばないナミテントウの利用マニュアルや、各県の農業試験場の報告が一次に近い。そこには、放飼の時期や量といった条件が書かれているため、本記事のような要約では分からない「どの場面で効くのか」を確かめられる。

観察の案として、アリが来ているアブラムシの群れと来ていない群れを探し、葉の上にいる天敵(テントウムシの幼虫やヒラタアブの幼虫など)の数を同じ時間で数えて比べてみるとよい。アリの有無で天敵の数がどう変わるかは、自分の目で確かめられる問いである。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の[数字]は、下の出典の番号です。農業での使用例は、条件つきの一例として紹介しています。

  1. 日本語版Wikipedia「アブラムシ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/アブラムシ (天敵の概観、アリとの関係)
  2. Honda 生きもの図鑑「ナミテントウ」 https://www.honda.co.jp/outdoor/adventure/namitentou.html (食性)
  3. 日本語版Wikipedia「ナミテントウ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ナミテントウ (ジェネラリストであること)
  4. 三重県農業研究所 研究所報告(2009) https://www.pref.mie.lg.jp/nougi/hp/29146026999.htm (イチゴ畑での放飼試験)
  5. 農研機構「飛ばないナミテントウ利用マニュアル」 https://www.naro.go.jp/laboratory/warc/original_contents/manual_tobanai_namitento.pdf (生物的防除への利用)
  6. マイナビ農業 ヒラタアブの紹介記事 https://agri.mynavi.jp/2020_01_23_103823/ (成虫と幼虫の食べもの)
  7. 徳島県 資料 https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/431991.pdf (ナスのハウスでの試験例。データは省略されている)
  8. コトバンク「クサカゲロウ」(世界大百科事典ほか) https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%AB%E3%82%B2%E3%83%AD%E3%82%A6-3149647 (幼虫の捕食数、成虫の食べもの)
  9. 日本語版Wikipedia「クサカゲロウ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/クサカゲロウ (卵と幼虫のすがた)
  10. 日本語版Wikipedia「アブラバチ亜科」 https://ja.wikipedia.org/wiki/アブラバチ亜科 (寄生のしかたとマミー)
  11. 農研機構 ギフアブラバチ資料 https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/NIVFS_gifuaburabachi.pdf (生物農薬としての利用)
  12. 東京大学 プレスリリース(2013年1月16日) https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/p01_250116.html (ヨシノミヤアブラムシの防衛)

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