1. さつまいもと じゃがいもは、体の どこを 食べて いるの?
1. 食べているのは、根と茎という別の場所
1. 塊根と塊茎 ── 変形した器官が異なる
さつまいもは、根が 太った ものを 食べて います。かたちが かわって、えいようを ためこんだ 根を、「かいこん」と いいます[1]。
じゃがいもは、根では ありません。くきの 先が 太って、えいようを ためた ものを 食べます。これを 「かいけい」と いいます[2]。
見た目は にて いても、さつまいもは 根、じゃがいもは くきです。人で いえば、うでと あしほど ちがう ところを 食べて いる ことに なります。ただし、これは たとえ話で、植物の 体は 人とは ちがう つくりです。
では、そのように 食べる ところが ちがうと、ほかにも ちがいが あるのでしょうか。
2. ふたつは、しんせきなの?
2. 同じ「いも」でも、科は別
2. 科のちがい ── ナス科とヒルガオ科
じゃがいもは、植物の なかま わけでは、なすの なかまです[3]。夏に 花が さく ころ、じゃがいもを 畑で 見たら、なすと 同じ なかまだと 思って 見て みると おもしろいかも しれません。
さつまいもは、ひるがお科と いう、べつの グループです[1][3]。
つまり、おなじ 「いも」と よばれて いても、さつまいもと じゃがいもは、べつの なかまです。
さて、ふたつは 生まれた ばしょも 同じなのでしょうか。
3. ふたつの ふるさとは、どこ?
3. さつまいもとじゃがいものふるさとはどこ?
3. 原産地と日本への導入 ── 新大陸の二つの起源
じゃがいもは、南アメリカの アンデスと いう 山の ほうで 生まれました。高さ 3000メートルいじょうの ところには、もとに なった 野生の しゅが、今も のこって いると いいます[4]。
さつまいもは、メキシコから グアテマラの あたりに 生えて いる 野生の なかまが ごせんぞと されて います[1]。
どちらも、むかしの 日本には なかった 作物です。じゃがいもは、17せいきの はじめに、今の ジャカルタから 日本へ 来たと いわれます。名前の 「ジャガ」は、ジャカルタから 来た いもが かわった もの、という 話が あります[4]。
さつまいもは、中国や 南の しまじまから 入り、1597年に 宮古島へ 入ったのが さいしょと されます[1]。あおき こんようと いう 人が 1734年ごろに えどで ためして、広める もとを つくったと いわれます[1]。
さて、さつまいもは、とれた ばかりより、しばらく おいた ほうが あまいと 聞きます。どうしてでしょうか。
じゃがいもの故郷は、南米のアンデス山脈です。標高3000m以上の高地には、もとになった野生種が今も残っているとされています[4]。
さつまいもも、旧世界ではなく新大陸の起源とされます。野生の祖先とされる種は、メキシコからグアテマラにかけて自生しているとされ、起源はメキシコからグアテマラにかけてと考えられています[1]。
日本への道のりは、また別です。じゃがいもは17世紀初めにジャカルタから伝わり、その名前は「ジャカルタから来たいも」がなまったといわれます[4]。伝来年は資料によって少しずれるため、ここでは年を断定しません。
さつまいもは、1597年に宮古島へ入ったのが最初とされ、17世紀の初めに薩摩や長崎へ伝わりました。青木昆陽が1734年に江戸の小石川の薬園で試作し、普及の土台をつくったといわれます(1735年とする資料もあります)[1]。
同じ新大陸生まれの二つが、日本では別の道を通って来ました。そのうちさつまいもには、育てたあと「寝かせる」と甘くなるという不思議な性質があります。何が起きているのでしょうか。
じゃがいもは南米アンデスの原産で、標高3000m以上に野生種が残る[4]。さつまいもは新大陸起源で、野生の祖先種はメキシコからグアテマラに自生するトリフィダ種とされる。起源はメキシコからグアテマラにかけてとされている[1]。両者はいずれもアメリカ大陸の植物だが、生まれた地域と気候帯が異なる点に注意が要る。
日本への導入経路も異なる。じゃがいもは17世紀初めにジャカルタから伝わり、名はそれに由来するといわれる。伝来年は資料間で1598〜1601年のようにずれるため、年は特定しない[4]。江戸時代には、飢饉をしのぐ作物として広まったとされる。
さつまいもは、中国・南方諸島から導入され、1597年に宮古島へ入ったのが最初とされる。17世紀初めに薩摩・長崎へ入り、青木昆陽が1734年に小石川の薬園で試作して普及の礎を築いた。ただし昆陽の試作を1735年とする資料もあり、年は「〜とされる」の範囲にとどまる[1]。
じゃがいもの伝来史や毒は、当サイトの別の記事で詳しく扱っている。ここでは二つのいもの「変わり方」に目を向ける。さつまいもは、収穫直後から食卓まで、甘さが変わっていく。これは何によるのか。
4. さつまいもは、どうして やくと あまく なるの?
4. さつまいもは、ゆっくり温めるとあまくなる
4. デンプンから糖へ ── 酵素の働きと加熱の速さ
さつまいもは、とれた ばかりの ときは、あまさが すくないと いわれます。しばらく おいて ねかせると、あまく なります[6]。
中には、でんぷんと いう ものが 入って います。さつまいもの 中には 「こうそ」が あり、でんぷんを、あまい とうに かえる はたらきを します[6]。
この こうそは、さつまいもが あたたまって、まん中が 70度ぐらいの ときに、よく はたらくと されます。75〜85度を こえると、はたらきが とまると いわれます。ただし、本によって 温度には はばが あり、数字は めやすです[6]。
だから、ゆっくり やく 「やきいも」は、こうそが はたらく 時間が 長くて、あまく なりやすいと されます[6]。いきなり 強い 火で やると、あまさが 出にくい ことが あると 考えられます。
とれたばかりのさつまいもは、あまみが少なめだとされます。貯蔵して寝かせると、あまみが増します[3][6]。
加熱でも同じことが起きます。デンプンを麦芽糖に変えるβ-アミラーゼという酵素は、さつまいもの中心が約70℃のときにもっとも活発に働き、75〜85℃を超えると働きが止まるとされています[6]。適した温度は、資料により60〜80℃と幅があるので、「70℃前後」と受け止めるのが安全です。
そのため、ゆっくり温度が上がる焼き芋のような加熱では、酵素が働く時間が長くなり、糖が増えやすいといわれます。急に高温にすると、酵素が働く前に温度が上がりすぎて、あまみが出にくくなります[6]。
この加熱の説明は、野菜ソムリエ監修の解説記事に基づく二次資料のものです。
さて、いもの話の最後に、台所で気をつけたい点を一つだけ、じゃがいもで見ておきます。
収穫直後のさつまいもは甘みが少なく、貯蔵すると甘みが増す[3]。加熱では、β-アミラーゼ(麦芽糖をつくる酵素)がデンプンを麦芽糖に変える。この酵素は中心温度約70℃で最も活発に働き、75〜85℃を超えると作用が止まるとされる[6]。適温を60〜80℃と幅をもって述べる資料もあり、数値は目安である。
この性質から、加熱の速さが甘さに影響すると説明される。ゆっくり温度が上がる焼き芋では、酵素が作用できる時間が長く、糖が生成されやすい。急速に高温にする加熱では、酵素が働く温度帯を短時間で通過するため、甘みが出にくいとされる[6]。
ただし、この記述は料理解説記事(野菜ソムリエ監修)による二次資料に基づき、糖の増加量を条件別に測った原典で照合したものではない。そのため、「温度と時間の条件が甘さを左右する傾向がある」という範囲で読むのが妥当である。
では、同じ「いも」でも、じゃがいもには、台所で気をつけるべき別の性質がある。それは何か。
5. じゃがいもで、気を つける ことは?
5. じゃがいもは、芽と緑色の皮に気をつける
5. じゃがいもの芽・緑化部位と、加熱で減らない毒
じゃがいもの めと、その ねもと、日光に あたって 緑色に なった かわには、どくが 多いと されます[5]。「ソラニン」「チャコニン」と いう 名前の どくです。
この どくは、ゆでたり やいたり しても、へりません[5]。だから、めは まわりも いっしょに とって、緑色の ところは、まわりも かわを しっかり むきます[5]。
お店では、めが 出て いたり、皮が 緑色に なって いる ものは、買わない ように しましょうと、国の 役所が よびかけて います[5]。
この どくの 話は、じゃがいもに ついての ものです。じゃがいもを 食べる ときは、めと 緑色に なった ところに 気を つけます。
ふたつの いもは、食べる ところも、生まれた ばしょも、台所での あつかいも ちがって いました。
農林水産省によれば、じゃがいもの芽とその根元、光が当たって緑色になった皮には、天然の毒素であるソラニンやチャコニンが多く含まれます[5]。
ここで大事なのは、加熱しても毒素は減らないという点です。ゆでたから安全、とはいえません。芽は周囲ごと取り除き、緑色の部分は周りも皮を厚めにむきます[5]。買うときも、芽が出ていたり皮が緑色になっていたりするものは避けるよう、同省は呼びかけています。
この毒の話は、当サイトの別の記事「じゃがいもの芽の毒」で詳しく扱っています。
根を食べるさつまいもと、茎を食べるじゃがいも。同じ「いも」でも、体のつくり、科、ふるさと、加熱での変わり方、台所での気配りが、ずいぶん別でした。
じゃがいもの芽およびその付け根、光が当たって緑化した皮には、天然毒素のソラニン・チャコニンが多い。農林水産省は、芽が出た・皮が緑色になったじゃがいもを購入しないこと、芽は周囲ごと除去し、緑色の部分は周囲も皮を十分にむくことを示している[5]。
重要なのは、これらの毒素が加熱で減らない点である。「ゆでれば安全」という理解は成り立たず、除去が基本とされる。
ここまでの整理はこうなる。さつまいもは塊根でヒルガオ科、メキシコ〜グアテマラ起源とされ、加熱での糖化が甘さに寄与する。じゃがいもは塊茎でナス科、アンデス起源で、芽と緑化部の毒素に注意が要る。「いも」という共通の呼び名の下に、器官・系統・起源・化学的性質が別々にある。
ただし、この説明はじゃがいもについてのものだ。さつまいもの芽の安全性は、別の資料で確かめる必要がある。
台所で 見つけて みよう
いもを手に取って、確かめてみたいこと
資料に当たるときの手がかり
おうちで
おうちの 人と いっしょに、さつまいもと じゃがいもを 見くらべて みましょう。かわの 色、大きさ、でこぼこ、においは どう ちがうでしょうか。ならべて、気づいた ことを ひとつ ずつ 言って みます。
火や ほうちょうを 使う ときは、かならず おとなに おねがい します。
しらべる ときは
のうりんすいさんしょうの こどもページ 「じゃがいも」に、じゃがいもの 話が のって います。「じゃがいも」と いう 名前の ゆらいも、そこで 読めます。
台所で見くらべる
家の人と一緒に、さつまいもとじゃがいもを手に取って、皮の色や形、表面の模様、においを比べてみましょう。「根の太ったもの」と「茎の太ったもの」を、見た目から区別できるでしょうか。区別がつかなければ、それがこの記事の最初の問いの答えの一つです。
火や包丁を使うときは、必ず大人と一緒に行います。
あまさを確かめる
同じ種類のさつまいもを、オーブンなどで、ゆっくり加熱した場合と、短い時間で加熱した場合で、あまさがどう変わるか、家の人と食べ比べてみる方法があります。加熱の時間や温度は、家庭の道具や安全に合わせて、家の人が決めます。結果は加熱の条件によって変わるので、試した条件と、食べたときに感じた甘さを一緒に記録します。
資料を読むなら
農林水産省の「ソラニンやチャコニンによる食中毒を防ぐには」や、同省のこどもページは日本語で読めます。
家でできること
さつまいもとじゃがいもを手に取り、皮の質感、芽(または「目」)の位置、断面の様子を比較して記録する。断面も比べる場合は、大人に切ってもらい、切り口を観察する。器官の由来(根か茎か)が、外見からどこまで推定できるかを、自分で考える材料にできる。包丁や火を使う作業は、大人と一緒に行う。
加熱の条件を比べる
同じさつまいもを、加熱時間や方法を変えて食べ比べ、甘さの感じ方を記録する方法がある。ただし、味の感じ方には個人差があり、本稿の資料は二次資料である。結果は「傾向を確かめた」にとどめ、一般化しない。
資料を探すなら
農林水産省の食品成分の解説(いも類の特徴)、同省のこどもページ「じゃがいも」、ソラニン・チャコニンに関する食中毒予防のページは、日本語で読める。さつまいもの糖化の酵素については、農研機構などの原典論文に当たると、温度条件の根拠を確かめられる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
食べる部位と科は百科事典類と農林水産省の解説、原産地と日本への導入は事典と農林水産省こどもページ、甘さの出方は料理解説記事(野菜ソムリエ監修)、毒素は農林水産省の資料による。甘さの温度条件は二次資料のため、目安として読んでほしい。
- コトバンク「サツマイモ」(日本大百科全書) https://kotobank.jp/ (塊根・ヒルガオ科・起源・日本への導入)
- コトバンク「芋」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ほか) https://kotobank.jp/ (塊茎と塊根)
- 農林水産省 aff「いも類の特徴」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1711/characterinformation.html (科のちがい)
- 農林水産省 こどもページ「じゃがいも」 https://www.maff.go.jp/j/kids/agri/zyaga/z01.html (アンデス原産・ジャカルタからの伝来)
- 農林水産省「ソラニンやチャコニンによる食中毒を防ぐには」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/solanine/yobou/yobou.html (芽・緑色の皮と毒素)
- macaroni 解説記事(野菜ソムリエ監修) https://macaro-ni.jp/172227 (酵素と加熱による甘さ・二次資料)
なおした ところ
更新履歴
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