1. 冬の いけの カモは、どこから きたの?
1. 冬の池のカモは、どこから来たのか
1. 冬の池のカモは、どこから来たのか ── ロシア東部・極東部という出発点
日本に 冬だけ くる 鳥を、「冬どり」と いいます[1]。カモの なかまにも、冬どりが たくさん います。
かんきょうしょうの 資料では、日本に わたって くる カモは、ロシアの ひがしの ほうから きた ものが とても おおい と されて います[1]。かずが おおい 代ひょうは、マガモと オナガガモです[1]。
冬の いけで ゆっくり して いる カモは、とおい たびを して きた 鳥かも しれません。
2. どこから きたか、どうして わかるの?
2. 「ロシアから来た」は、どうやって分かるのか
2. 渡りの経路を調べる方法 ── 標識(足環)と衛星追跡、それぞれの限界
カモの たびを しらべる やりかたは、2つ あります[1]。
1つめは、あしに ばんごうの ついた わっかを つけて はなす やりかたです。あとで だれかが その 鳥を みつけて 知らせると、はなした 場所と みつかった 場所が つながります[1]。
ただし、とちゅうで どこを とおったかは、よく わかりません[1]。
2つめは、せなかに 小さな きかいを つけて、人工えいせいで おいかける やりかたです[1]。この きかいは すこし おもいので、つけられる 鳥は かぎられます[1]。
環境省の資料は、渡りの経路を調べる方法を2つ紹介しています[1]。
1つは、番号入りの足環(標識)を付けて放す方法です。後でその鳥が見つかって報告されると、放した場所と見つかった場所が結ばれます。ただし、途中でどこを通ったかは分かりません[1]。
もう1つは、背中に小さな送信機を付けて、人工衛星で位置を追う方法です。足環より細かく動きが分かりますが、送信機には重さがあり、付けられる鳥が限られます[1]。
どちらも長所と短所があるので、使い分けて少しずつ全体の姿に近づいていくのです。では、衛星で追われたカモは、どんな旅をしたのでしょうか。
環境省の資料は、渡りの経路を調べる方法として、足環などの標識と、送信機による衛星追跡の2つを挙げている[1]。標識は、番号入りの足環を付けて放鳥し、回収報告から放鳥地と回収地を結ぶ。安価で多くの個体に使えるが、途中の詳しい経路は分からないという欠点がある[1]。
一方、背中に取り付ける送信機は、人工衛星を使って経路を追える。ところが送信機には一定の重さがあるため、付けられる鳥の大きさや種類が限られる[1]。このため、調べる方法の違いが、そのまま「分かること」と「分からないこと」の違いになる。
また、資料の地図に引かれた線は概略であり、鳥が本当に一直線に飛んだわけではない。では、衛星で追われたカモは、実際にどこをどう飛んだのか。
3. ちばの オナガガモは、どこまで いったの?
3. 千葉のオナガガモは、夏にどこへ行ったのか
3. 衛星追跡された千葉のオナガガモ ── 3月の出発から10月のサハリンまで
かんきょうしょうは、2005ねんどから、冬どりの カモに きかいを つけて おいかけ はじめました[2]。
ちばけんの オナガガモが 1わ、3月の なかごろに でかけました。4月の はじめには ほっかいどうに つきました[2]。
6月の おわりまで、ほっかいどうの 風れん湖の まわりで すごし[2]、そのあと オホーツク海を こえて、7月の なかごろ、ロシアの マガダンと いう ところの うみべに つきました[2]。
10月の おわりには、サハリンの きたの ほうまで もどって いました[2]。
ただし、これは 1わの はなしです。ぜんぶの オナガガモが おなじ みちを とおる わけでは ありません[2]。
環境省は、2005年度から、冬鳥のカモ類に送信機を付けて追跡を始めました[2]。その記録の中に、千葉県のオナガガモ1羽の旅があります。
このオナガガモは3月中旬に出発し、4月上旬には北海道に着きました。6月下旬まで、北海道の風蓮湖の周辺で過ごしています。そのあとオホーツク海をこえ、カムチャッカ半島の西の海岸を通って、7月中旬にロシアのマガダン州の海岸に着きました。そして10月下旬には、サハリン北東部の海岸まで、南へ下ってきています(2011年10月31日の時点)[2]。
千葉から北海道まで1か月ほど、そこからロシアまでもう数か月。夏の間に、遠いロシアの海岸にいたのです。ただし、追跡されたのは1羽だけで、すべてのオナガガモが同じ道を通るわけではありません[2]。
冬は日本、夏はロシア。では、一年中日本にいるカモはいないのでしょうか。
環境省は平成17年度(2005年度)から、冬鳥のカモ類に送信機を付けた追跡を行っている[2]。その中から、千葉県で捕獲されたオナガガモ1羽の経路を読むと、渡りの時間の使い方が見える。
この個体は3月中旬に出発し、4月上旬に北海道へ着いた。ところが、すぐ北へ向かったのではなく、6月下旬まで風蓮湖周辺に滞在している。その後、オホーツク海を越えてカムチャッカ半島西岸を経由し、7月中旬にロシア・マガダン州沿岸に到着した。さらに10月下旬には、サハリン北東部沿岸まで南下している(2011年10月31日時点)[2]。
つまり、春の北上の途中に3か月近く北海道に留まる期間があり、繁殖地とみられるロシア沿岸に着いてからは数か月で、すでに南へ戻り始めていることになる。ただし、これは追跡された1羽の記録であり、種全体の代表ではない[2]。
同じ資料では、オオハクチョウとコハクチョウも追跡されている。4月下旬に北海道を出発し、5〜6月にロシア東部(コリマ川流域など)に着いた個体が、9月下旬〜10月上旬に渡りを始めて戻っている[2]。ただし資料は、この結果が鳥インフルエンザウイルスを運ぶことを意味するものではない、とも明記している[2]。
冬鳥の多くが夏は国外にいるなら、一年中日本にいるカモはいるのか。
4. なつも いる カモは いるの?
4. 夏も日本にいるカモ ── カルガモ
4. 留鳥とされるカルガモ ── 一年中いるが、同じ地域にいるとは限らない
います。カルガモです。
カルガモは、1年を とおして おなじ ところに くらす 「りゅうちょう」と いう 鳥です。にいがたけんの 資料では、田んぼ、かわ、いけ、みずうみ、うみべなどに、1年中 すんで、子そだてもすると されて います[4]。
ある 資料では、4月から 7月ごろ、くさむらの 地めんに さらの ような かたちの すを つくる と いわれて います[5]。
そのため 夏の いけに いる カモは、カルガモの ことが おおいと いわれます。ただし、冬は ほかの ところから くる カルガモも いる と する 資料も あり、日本中の ぜんぶの カルガモが うごかない とは いえません。
日本には、渡ってこないカモもいます。カルガモです。
新潟県の資料では、カルガモは留鳥とされています。留鳥とは、同じ地域に一年中いて、季節で大きく移動しない鳥のことです。水田、河川、池、湖沼、海岸、内湾などで、一年を通して暮らし、繁殖もします[4]。
農研機構や我孫子市の鳥の博物館の資料の紹介では、4〜7月ごろ、草むらなど地面に皿のような形の巣を作るといわれます[5]。
夏の池で見かけるカモの親子は、多くの場合カルガモだと考えられます。ただし、冬には他の地域から来る個体も加わるとする資料もあり、日本中のカルガモが一か所に留まるとまでは言えません。
では、同じ池にいるカモは、一日のうちでも同じ場所にいるのでしょうか。
5. ひると よるで、いる ばしょは ちがうの?
5. 昼は池で休み、夜は田んぼで食べる
5. 昼と夜の使い分け ── 休む場所と食べる場所は別なのか
新潟県の 資料では、マガモは ひるまは いけや かわで やすみ、夕がたから 田んぼの あたりで おちぼや 草の たねを 食べると されて います[3]。
ただし、これは 新潟県の 資料の はなしで、ぜんこくで おなじとは いえません。こうえんの いけなどでは、ひるまも うごく カモも います[3]。
カルガモも、ひるは ぬまや いけで やすみ、よるに 田んぼの ような あさい 水べで えさを さがす ことが おおい と いわれます[5]。
カモは、ひるの 家と よるの ごはんの ばしょを、わけて いるのかもしれません。
カモの動きは、季節だけでなく一日の中でも変わります。
新潟県の資料によると、マガモは冬鳥として河川・池・湖沼・海岸・内湾などにいて、日中は休息し、夕方から水田地帯などで、落ち穂や青草、イネ科植物の種子などを食べるとされます[3]。ただし、これは新潟県の解説で、全国どこでも同じとは限りません。公園などの池では、昼間も活発に行動するカモもいます[3]。
カルガモについても、昼は沼や池で休み、夜は水田のような浅い水辺で餌を探すことが多い、という紹介があります[5]。
石川県の大聖寺川周辺で、ため池や水田の使われ方を調べた報告があります。カモ類の採食場所として適した水田の条件は、冬も水があることと、落ち穂などの食べ物があることだったそうで、水のない水田にはカモが来なかったといいます。
では、水の上でカモはどうやって食べているのでしょうか。
カモの行動は、季節だけでなく一日の時間帯によっても分かれる。新潟県の資料では、マガモは冬鳥として河川・池・湖沼・海岸・内湾などに渡来し、日中は休息し、夕方から水田地帯などで落ち穂・青草・イネ科植物の種子を食べるとされている[3]。ただし、これは新潟県の解説であり、全国で一様とはいえない。公園などの池では、昼間も行動することが記されている[3]。
カルガモについても、昼は沼や池で休息し、夜になると水田などの浅い水辺で餌を食べる、という紹介がある[5]。
石川県の大聖寺川周辺での報告では、カモ類が採食場所として選ぶ水田の条件は、冬も水があることと、落ち穂や二番穂などの食べ物があることだったという。水のない水田にはカモが来なかった、とされる。
このように、昼間に休む場所と夜に食べる場所が別なら、1か所だけを見ても、カモの暮らす場所は分からない。では、そうした暮らしぶりをもつカモは、日本にどれくらいいるのか。
6. カモは どれくらい いるの?
6. 日本のカモは、どれくらいいるのか
6. 全国ガンカモ一斉調査 ── 約172万7千羽という冬の数と、その読み方
日本では、1970ねんから、毎年 1月に 全こくで、カモなどを かぞえる 調さを つづけて います[7]。
2010ねんの 1月には、全こくで 9千か所くらいで、4千人くらいが 手つだい、カモは ぜんぶで 172万7千わくらい いました[7]。まえの 年より 1万7千わ(1%)ほど へった だけで、ほとんど かわりません[7]。
いちばん おおいのは、マガモです。ただし ながい 目で みると、すこしずつ へって いる ようです[7]。
かずは むかしの もので、いまの かずでは ありません。
日本に冬に来るカモは、どれくらいいるのでしょうか。環境省は昭和45年(1970年)から、全国で毎年、ガンやカモの仲間の数を調べています[7]。
平成21年度(2010年1月)の暫定値では、全国約9千か所で約4千人が協力し、カモ類は約172万7千羽でした。前の年より約1万7千羽(1%)減りましたが、ほぼ横ばいです[7]。いちばん多いマガモは、長い目で見ると緩やかに減る傾向にあるとされています[7]。
ただし、これは古い年度の暫定値で、最新の数字ではありません。たくさんの人が決まった時期に数え続けているからこそ、時間をかけた変化が見えてくるのです。
冬鳥としてのカモの数は、1970年(昭和45年)から続く全国ガンカモ一斉調査で把握されている[7]。平成21年度(2010年1月)の暫定値では、全国約9千地点・約4千人が協力し、カモ類は約172万7千羽だった。前年度比で約1万7千羽(1%)の減少で、ほぼ横ばいと読める。最も多いマガモは、長期的には緩やかな減少傾向にある[7]。
一方、この数字は古い年度の暫定値であり、最新の全国値ではない。また、数えているのは冬の一時点なので、渡りの途中に通過するだけの個体や、昼夜で動く個体を、どこまで正確に数えているかは別の問題だ。
とはいえ、半世紀にわたり同じ形式で数え続けているからこそ、増減の傾向が比較できる。冬鳥の数は、渡りの経路の両端で起きる変化を映す指標にもなりうる。
7. こんど カモを みたら、さがして みよう
7. 近くのカモを、時間と場所で見分けてみる
7. 身近な池のカモを、季節と時間帯で観察する
ちかくの いけや かわに いって、カモを みて みましょう。かならず、おとなと いっしょに いきましょう。水の ちかくでは、ころばないように きを つけます。
冬に いったら、水の 上で やすんで いる カモが いるかも しれません。夏に いったら、おや子の カモが いるかも しれません。
おなじ いけで、ひると 夕がたの ようすが かわるかも しれません。カモは、ことしも どこかから わたって きて、また どこかへ もどるのでしょう。
近所の池や川に、カモを見に行ってみませんか。大人と一緒に、水辺では足元に気をつけて出かけましょう。
冬なら、カモの数や種類が多いことがあります。夏なら、カルガモの親子を探せるかもしれません。季節をかえて同じ場所に行くと、いる鳥の顔ぶれの違いに気づくでしょう。
時間をかえて、昼と夕方で比べるのもおもしろそうです。同じ池でも、見える数や動きが変わるかもしれません。
環境省のウェブサイトには、渡りの経路を示した資料が公開されています。地図の線は概略なので、実際の飛び方の想像は、自分の頭の中で広げてみましょう。
身近な池や川で、季節をかえて同じ場所のカモを観察すると、冬鳥と留鳥の違いが確かめられる。水辺では足場に注意し、大人と一緒に出かけたい。
冬は種類や数が多くなり、夏は留鳥のカルガモが目立つことがある、という見通しを立てて確かめると、本記事の話が自分の目で試せる。時間帯をかえて見ると、昼の休息と夕方の移動の違いも観察のヒントになる。
原典としては、環境省の「カモ類(水面採食ガモ)の渡り」と「渡り鳥の飛来経路」のページが読める。地図の線は概略で、実際の経路は直線ではない点に注意したい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の事実は、次の公的機関などの資料にもとづいています。
- 環境省「カモ類(水面採食ガモ)の渡り」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/dabbler.html (渡来元と調べ方)
- 環境省「渡り鳥の飛来経路(平成23年)」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/migration_route.html (オナガガモなどの追跡)
- 新潟県「マガモ」(野生動物の解説) https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/1356908739332.html (マガモの暮らす場所と一日)
- 新潟県「カルガモ」(野生動物の解説) https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/1356908739422.html (留鳥としてのカルガモ)
- 我孫子市鳥の博物館の資料(農研機構の解説とあわせて) https://www.city.abiko.chiba.jp/bird-mus/info2/tegatan/tegatan2017_.files/tega201801.pdf (カルガモの巣と昼夜の動き。要約を手がかりにした)
- 山階鳥類研究所の資料(鳥類標識調査) https://www.bird-research.jp/1_newsletter/dl/BRNewsVol7No7.pdf (マガモの越冬。要約を手がかりにした)
- 環境省「平成21年度ガンカモ類の生息調査」(報道発表) https://www.env.go.jp/press/12441.html (全国の数と調査の歴史)
なおした ところ
更新履歴
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