1. いけの かもは、くさだけ たべて いるの?
1. 池のカモは、草だけでなく虫やエビも食べる
1. マガモとカルガモの食べ物 ── 植物が中心だが、動物も食べる
こうえんの いけで、かもが みずの うえに くちを つけて いるのを みた ことは ありますか。あの とき、くちの 中に はいって いるのは なんでしょう。
ずかんには、まがもは 草の は、ね、み、こくもつを たべると かいて あります[1]。みずくさや、くさの たねも たべます。それだけでは ありません。虫や、エビも たべると されて います[1]。
かるがもも、くさの たねや、みずくさの ね、め、こくもつを たくさん たべます[2]。あきには、いねを たべる ことも あるそうです。
つまり、くさや たねが 中心で、虫や エビも たべる。いろいろ たべる かもなのです。
では、いけで ねて いる かもは、いつ ごはんを たべて いるのでしょう。
公園の池で、カモが水面に口をつけてもぐもぐしている場面を思い浮かべてください。あのとき口に入っているのは何でしょうか。
図鑑の説明では、マガモは草の葉や根、実、穀類を食べます。食べ物として挙げられるのは、植物の種子や水草のほか、昆虫やエビなどです[1]。カルガモも、草木の種子や水草の根・芽、穀類をかなり食べ、昆虫やエビも図鑑に載っています[2]。秋にはイネを食べることもあるそうです。
植物が中心で、動物も食べる。身近なカモの食べ物は、まずそう整理できます。では、池で休んでいるカモは、いつ食べているのでしょうか。
公園の池の水面で口を動かすカモの食べ物は、図鑑類では植物質が中心の雑食と整理される。コトバンクが収める事典・図鑑の記述では、マガモは繁殖期以外は植物食で、草の葉・根・実や穀類を食べ、食物として植物の種子・水草のほか昆虫やエビが挙げられる[1]。カルガモは草木類の種子と水草の根や芽を食べ、穀類もかなり食べる。やはり昆虫やエビが図鑑に載り、秋にはイネを食べることもある[2]。
したがって、「カモは水草を食べる」だけでは足りず、「植物が中心だが、動物も食べる」が大枠の答えになる。ただし、これは事典・図鑑の記述であり、どの餌がどれだけの割合かという数量ではない。年や場所で比率が変わる可能性もある。
池に浮かぶ姿ばかり見ていると、食べる場面を見落とす。実際、昼間の池のカモは休んでいることが多い。では、カモはいつ、どこで食べているのか。
2. ひるに いけで ねて いる かもは、いつ たべるの?
2. 昼は池で休み、夜に田んぼや川で食べる
2. 昼の池と夜の採食場 ── 食べる時間と場所を分けるマガモ
ひるまの いけで、かもが のんびり ういて いる すがたを よく みます。でも、ごはんは ひるでは なく、よるに たべる ことが おおいと いわれます[1]。
まがもは、よるに たんぼや かわへ でかけて、くさの たねや こくもつを たべる とされます。ひるは いけで やすんで、よるに ごはんを さがす のです。
ただし、すべての かもが まいばん そうする わけでは ありません。
では、いけで たべる ときは、どうやって たべるのでしょう。かもの くちばしを みて みましょう。
昼の池でカモがのんびり浮かんでいる姿を、よく見かけます。ところが百科事典には、マガモは水田や河川などで草の種子や穀類を食べる、しかもそれは夜間のことだと書かれています[1]。昼は池で休み、夜に食べに出かける、という暮らしです。
「池のカモ」でも、食事場所は池とは限りません。ただし、これはマガモについての記述で、すべての個体が毎晩同じように行動するとは書かれていません。食べる時間も場所も、種類や季節で違うと考えるのが安全です。
では、池で食べるときはどうでしょうか。次は、カモのくちばしを見てみます。
昼の池で休むカモを見て「ここで食べている」と考えるのは、少し早い。百科事典(マイペディア)の記述では、マガモは水田や河川などで草の種子や穀類を食べ、その採食は夜間とされる[1]。つまり、昼は休息場所の池に、夜は採食場所の水田・河川に、と場所を使い分ける種類がある。
ただし、これは辞典の短い記述で、全個体が常に夜だけ食べるとは読めない。「マガモは夜に食べる」は、一般的な傾向の説明にとどまる。
では、池で食べるとき、食べ方の違いを分けているものは何か。手がかりの1つが、くちばしの形である。
3. かもの くちばしは、どうして ふちが ぎざぎざ なの?
3. くちばしのふちは、水を濾す櫛になっている
3. 扁平なくちばしと櫛形の縁 ── ハシビロガモの濾しとり採食
かもの くちばしは、ひらたい かたちを して います。ふちを よく みると、うえも したも、あさい くしのように なって います[5]。
これは、みずの うえに うかぶ くさの たねなどを、みずと いっしょに すいこんで、みずだけ ながす ためと いわれます[5]。ざるで ごはんを こす ように、たべものを こしとるのです。
こしとって たべる ことで しられる かもに、はしびろがもが います。みずの おもてに くちばしを つけて、せまく ひらいたり とじたり しながら、うかんで いる くさの たねなどを こしとる そうです[6]。
みずの うえで たべる かもは、これで じゅうぶん なのでしょうか。もぐらない かもが、さかだちを する ことも あります。
4. みずの うえで たべる かもが、もぐる ことも あるの?
4. 逆立ちする水面ガモ、潜って食べる潜水ガモ
4. 水面採食・逆立ち・潜水 ── 食べ方の境目は、固定されていない
オカヨシガモと いう かもは、さかだちを して、みずの そこの みずくさを たべる ことが しられて います[7]。
ずかんでは、いけの かもは めったに もぐらない とされます。でも、ある しつげんの かんさつでは、ヨシガモや ヒドリガモも さかんに もぐりました[7]。
もぐって たべる ことが ふつうの かもも います。キンクロハジロです。みずに もぐって、貝を よく たべます。こんちゅうや、エビ、カエルも たべます[3]。
とっとりけんの しりょうには、もぐった ときの きろくが あります。1かいの せんすいは、やく 19びょうでした。ただし、これは かんさつした 1れいです[4]。
水面で食べるカモの仲間にも、食べ方の幅があります。オカヨシガモは、逆立ちして水底の藻類を食べることが知られています[7]。図鑑では淡水ガモはめったに潜らないとされますが、広報「はいづか」が紹介する湿地では、ヨシガモやヒドリガモもさかんに潜りました[7]。これは、その湿地での観察例です。
一方、潜ることが仕事のカモもいます。キンクロハジロは潜水ガモで、貝類をよく食べ、昆虫・エビ・カエル・水生植物も食べます[3]。鳥取県のページには、水中の軟体動物、カニやエビ、昆虫、水草などを食べるとあります[4]。同じ資料に、1回の潜水が約19秒という観察の記述がありますが、これは1例で、標準的な長さではありません。
水面ガモ・潜水ガモという分け方は、目安です。では、水面のカモが本当に潜る場面は、どんな状況でしょうか。
カモの採食は、水面で食べる種類と、潜って食べる種類に分けられることが多い。しかし、その境目は固定されていない。広報「はいづか」によれば、水面採食ガモのオカヨシガモは、逆立ちして水底の藻類を食べることが知られる。図鑑では淡水ガモはめったに潜らないとされるが、この湿地ではヨシガモとヒドリガモもさかんに潜った[7]。ただし、これは1か所の湿地での観察例であり、種全体の性質として一般化はできない。
これに対して、潜水を本業とするのがキンクロハジロで、貝類が多いが、昆虫・エビ・カエル・水生植物も食べる[3]。鳥取県の資料は、水中の軟体動物・貝・甲殻類・昆虫・水草などを挙げ、潜水を繰り返す様子と、1回の潜水が約19秒だった記述を載せる[4]。19秒は観察された1例であり、もぐる時間の標準値ではない。
つまり、採食法は種の固定的な性質とは言い切れず、条件によって動く例がある。それなら、水面で食べるはずのマガモにも、「条件が変われば潜る」ことはあるのか。報告がある。
5. さむい ふゆ、まがもは なにを して いたの?
5. 凍る冬の北海道で、マガモは貝を目がけて潜った
5. 厳冬期のマガモの潜水採食 ── 成功率約80%、平均6秒
ほっかいどうの、うみの しおが まざる かわで、ふゆに ちょうさが ありました。そこでは、ふだん みずの うえで たべる まがもが、みずに もぐって、貝を とって いました[8]。
みずの ふかさは 1メートル ぐらい。もぐって 貝を つかまえるのに せいこうした わりあいは、やく 8わりでした。もぐって いた じかんは、1かいで へいきん 6びょう。いちばん ながくて 12びょうでした[8]。
もし 貝だけで くらすなら、1にちに じぶんの おもさの 1ばいから 3ばいくらいの 貝を たべる けいさんに なる そうです。これは けいさんで だした かずです[8]。
ふつうは しない もぐる ことを、こおる ふゆに して いた。かもの たべかたは、きまった ものだけでは ない ようです。
水が凍る北海道の厳冬期。通常は水面で食べるマガモが、汽水(海水がまじった水)の川で潜水し、二枚貝を捕らえた記録があります。岡奈理子さんが日本鳥学会誌に報告したもので、水深は約1mでした[8]。
潜水で貝を捕らえる成功率は約80%、1回の潜水は平均6秒で、最長でも12秒です。この観察では、マガモが潜って、貝を実際に捕らえていました。
報告には、貝だけで暮らす場合の計算も出てきます。1日に体重の約1.1〜3.5倍を食べる計算になるとのことで、これは仮定の計算値です[8]。体重を超えるほどの量になるので、貝だけで暮らす場合の見積もりとして読むのがよいでしょう。
図鑑の「植物が中心」は大枠として正しく、そのうえで、条件しだいで食べ方まで切りかえるのがマガモの顔です。
水面採食ガモの代表であるマガモが、結氷する厳冬期に潜水して二枚貝を採食した。岡奈理子の日本鳥学会誌の報告(2010)によれば、場所は北海道のオホーツク海側の汽水の川で、水深は約1mだった[8]。潜水による捕獲の成功率は約80%、1回の潜水は平均6秒(最長12秒)である。
この観察では、マガモが潜って貝を捕らえ、その成功率は約8割だった。1回の潜水が数秒と短い点も、貝を捕らえるための動きとして読める。ただし水深は約1mの場所での数字で、深い水域での潜水能力を示すものではない。
同じ報告には、二枚貝だけで暮らすなら1日に体重の約1.1〜3.5倍を食べる計算になる、という見積もりがある[8]。これは仮定にもとづく計算値で、実際に貝だけを食べていた量ではない。体重を超える量なので、これは貝だけで暮らす場合の見積もりとして読むべき数字である。
なお、潜水の理由(水面の餌が少なかったためか等)は、この記述だけでは決められない。確かなのは「食べ方の枠は、条件によって越えられる」という点までだ。では、こうした食べ物を人が与えるとき、何が起きるのか。
6. パンを あげても いいの?
6. 池にパンを投げ入れると、何が起きるのか
6. 餌やりと水質 ── 公園の資料が説明する悪循環
いけの かもに パンを あげたく なる ことが あります。でも、こうえんの しりょうは、おすすめして いません。
おおくの えさを なげこむと、えさや ふんで、いけの みずが よごれる おそれが ある と、ちばしの こうえんの しりょうは せつめい して います[9]。えさを めあてに とりが ふえると、えさやりも ふえて、さらに みずが よごれる ことが あります。
かもは、じぶんで ごはんを さがします。ひとの たべものは、のぞましく ない せいぶんを ふくむ こともある と いう しりょうも あります。
かもを みたい ときは、えさを あげずに、とおくから しずかに みて みましょう。
池のカモを見ると、パンをあげたくなる人もいるでしょう。ここまで読むと、カモは自然の餌をうまく探し、食べ方まで変える鳥だと分かります。
千葉市の公園の資料は、大量に投げ込まれた餌や、鳥が出すフンが水質を悪くする原因になる、と説明しています[9]。餌を目当てに水鳥が増えると、餌やりも増えて、さらに水が汚れる悪循環になるとも述べています。人の食べ物には、野生動物に望ましくない成分が含まれる場合がある、という説明もあります。
ただし、この資料は「パンで必ず病気になる」と言っているわけではなく、中心は水質と、餌やりが増える循環です。観察するときは、餌を与えず、離れて見ることにしましょう。
カモの食べ物を知ると、公園の池での餌やりが気になってくる。千葉市の公園の「餌やり禁止」の資料は、大量に投げ込まれた餌が、動物のフンも含めて水質を悪くする原因になると説明している[9]。さらに、餌目当てに水鳥が増えれば、餌やりも増えて悪循環になるという。人の食べ物は野生動物に望ましくない成分を含むとも述べる。
注意したいのは、この資料の主張の中心が、水質と餌付けの悪循環である点だ。「パンを食べると必ず病気になる」という趣旨ではない。
前の章までの採食の柔軟さを考え合わせれば、カモは自然の餌を探し、状況に応じて食べ方を変える力をもつ。餌を与えずに離れて観察し、その採食を見るのが、池での楽しみ方の1つになる。
7. こうえんの いけで、かもの たべかたを みて みよう
7. 次に池へ行ったら、食べ方を3つに分けて見る
7. 観察の手がかり ── 食べ方を3種類に分けて数える
こうえんの いけに いったら、かもが どうやって たべて いるかを みて みましょう。みずの おもてで くちを うごかして いるか、さかだちを して いるか、もぐって いるか。3つに わけて みます。
みずの ふちには ちかづきすぎません。おとなと いっしょに、とおくから みます。えさは あげません。
みつけたら、ノートに かいて みましょう。「みずの おもて 3わ、さかだち 1わ、もぐる 0わ」のように かずを かきます。
あしたも、おなじ いけで みて みます。かずが かわったら、どうして かな、と かんがえて みましょう。かもが いない ひは、いなかった ことを ノートに かいて おきます。
公園の池にカモがいたら、食べ方を3つに分けて見てみましょう。水面で口を動かしているか、逆立ちしているか、もぐっているか。10分ほど見て、数をノートに書きます。カモがいない日は、いなかったことも書いておきます。
池のふちには近づきすぎず、大人と一緒に、離れたところから見ます。餌はあげません。
季節や場所を変えると、数が変わるかもしれません。冬の池で、水面ガモがもぐる場面に出会えたら、それはこの記事の報告のように、条件しだいで食べ方が変わる例かもしれません。いつ、何羽、どの種類かを書いておくと、あとで見返せます。
もっと知りたいときは、岡奈理子さんの報告[8]が、J-STAGEで日本語で読めます。
観察の手がかりは、採食法を水面・逆立ち・潜水の3つに分けて数えることだ。種類ごとに記録すれば、種ごとのくちばしの形(前章まで)と、採食法の対応が見えてくる。同じ種類でも、場所・季節・水深で比率が変わる可能性がある。その変化は、水面採食ガモがもぐる例[7][8]の裏づけにも、反例にもなる。
記録の取り方は、日時・場所・種類・羽数・食べ方を、毎回同じ形式で書く程度でよい。水際には近づかず、餌は与えない。1回の観察は1例にすぎないので、この記事の数字(約80%、平均6秒、約19秒)と直接比べず、変化のしかたを見る。
資料としては、日本鳥学会誌の報告(岡、2010)[8]が、潜水の頻度・時間・成功率を一次資料として示している。広報「はいづか」[7]とあわせて読むと、種による違いと、同じ種の中での柔軟さの両方を確かめられる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:事典・図鑑は一般的な食べ物の説明に、学会誌・自治体の資料は具体的な観察や調査に使いました。何に使ったかは、それぞれの項目に書いています。
- コトバンク「マガモ」(世界大百科事典・小学館の図鑑NEO・百科事典マイペディア)。https://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%83%A2-135649 (マガモの食べ物・夜間の採食について)
- コトバンク「カルガモ」(世界大百科事典・小学館の図鑑NEO・日本大百科全書)。https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%A2-3147945 (カルガモの食べ物について)
- コトバンク「キンクロハジロ」(ブリタニカ小項目事典ほか)。https://kotobank.jp/word/%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%8F%E3%82%B8%E3%83%AD-3149307 (潜水ガモの食べ物について)
- 鳥取県「キンクロハジロ」の紹介ページ。https://www.pref.tottori.lg.jp/item/1384999.htm (潜水採食の様子。19秒は観察された1例)
- 国土交通省中国地方整備局 広報「はいづか」56号。https://www.cgr.mlit.go.jp/miyoshi/haizuka/wetland/pdf/haiduka056.pdf (くちばしの櫛形とハシビロガモの濾しとり)
- サントリー愛鳥活動 鳥類事典 ハシビロガモ。https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4661.html (ハシビロガモの採食のしかたの説明)
- 国土交通省中国地方整備局 広報「はいづか」57号。https://www.cgr.mlit.go.jp/miyoshi/haizuka/wetland/pdf/haiduka057.pdf (逆立ち・潜水する水面ガモの例。湿地での一例)
- 岡奈理子「オホーツク海潟湖で越冬するマガモの潜水採食行動」日本鳥学会誌 59(2): 161-167(2010)。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjo/59/2/59_2_161/_article/-char/ja (厳冬期のマガモの潜水採食の成功率・時間)
- 千葉市「餌やり禁止」の資料。https://www.city.chiba.jp/toshi/koenryokuchi/kanri/chuo-mihama/documents/esayari-kinshi_1.pdf (餌やりと水質・水鳥の増加について)
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