1. うまれる まえから はじまっているの?
1. 生まれる前から右腕を多く動かす
1. 胎児期の腕の動きと指しゃぶりの偏り
おなかの中の あかちゃんを、ちょうおんぱで のぞいた 研究が あります。10しゅうの 赤ちゃん72人を みたら、85パーセントで、右うでの ほうが 左うでより よく うごいたと ほうこくされています[1]。
ゆびしゃぶりも しらべられました。224人のうち、右の おやゆびを すった 子は 94.6パーセント。左は 12人だけでした[2]。
まるで 手の 「くせ」の たねが、もう あるみたいですね。ただし、これは 「かたよりが ある子が おおい」という はなしで、ぜんいんが そうという ことでは ありません。
この 子たちを 10〜12さいまで おいかけた 研究では、およそ 9わりの 子で、ゆびしゃぶりの 手と ききてが おなじでした[3]。
超音波で妊娠10週の胎児72人を調べた研究では、85%が右腕を左腕より多く動かしたと紹介されています[1]。指しゃぶりでも同じ向きの偏りがあり、224人の胎児のうち右の親指を好んだのは94.6%、左は12人(5.4%)でした[2]。
この偏りは、生まれたあとにつながるのでしょうか。胎児期の指しゃぶりの手と、10〜12歳のときの利き手を75人で比べた研究では、約9割で同じでした[3]。二次的な紹介では、胎児期に右を好んだ60人は、全員が10〜12歳のときに右利きだったと報告されています。
おなかの中の偏りが、どこから来るのかも調べられています。胎児5人の首から胸の脊髄を調べたところ、遺伝子のはたらき方に左右差がありました。脳と脊髄がつながる前から腕の動きに偏りがあるため、脊髄がその出発点かもしれないという提案です[4]。5人の結果なので、原因が分かったと言える段階ではありません。
胎児期にはすでに運動の偏りが観察される。Hepper らの研究として、妊娠10週の胎児72人のうち85%で右腕の動きが左腕より多かったと紹介されている[1]。指しゃぶりの左右も調べられ、胎児224人中、右の親指を好んだのは94.6%、左は12人(5.4%)だった[2]。成人の右利きが約9割(後述)であることと比べても、右への偏りは大きい。ここで示す数値は二次紹介と検索抜粋に基づく点に注意したい。
胎児期の選好は、その後の利き手と関連する。Hepper, Wells & Lynch(2005)は、胎児期に指しゃぶりの手を記録した75人を10〜12歳で追跡した。胎児期に右を好んだ60人は全員が右利きで、全体では約9割(70人ほど)が一致したと紹介されている[3]。左を好んだ15人の内訳は、資料から確かめられなかった。
出発点については仮説がある。Ocklenburg ら(2017)は、胎児5人の頸部・胸部の脊髄で、発育に伴って変わる遺伝子発現の左右差を報告した。運動野と脊髄が結びつく前から腕の動きに偏りがあることから、脊髄が利き手の分子的な出発点かもしれないと提案している[4]。対象が5人であり、因果を示すものではない。
2. 6か月ごろの あかちゃんは?
2. 6か月ごろ:まだ決まっていない子が多数
2. 乳児期:6〜14か月の観察と「取る手」
うまれてからは どうでしょう。6か月から 14か月まで、まいつき 38人の 赤ちゃんを みた 研究が あります。おもちゃに 手を のばす ようすを しらべました。
この あいだに 右手に かたよった 子は 15人(39パーセント)。のこりの 23人(61パーセント)は、どちらの手にも かたよりが ありませんでした[5]。
「まだ きまっていない」のは、ふつうの ことのようです。ものを とる とき、じぶんの 手を まだ ためして いる ところ、と いえるかも しれません。
3. もつ 手は、あとから きまる
3. 「持って使う手」は遅れて現れる
3. 操作の手の遅れと、幼児期の分化
おなじ 研究で、ものを もって うごかす 手を しらべると、はっきり かたよるのは 11か月ごろでした。14か月に なっても、まだ きまらない 子が たくさん いました[6]。
さいしょの 研究の 18〜24か月では、右手が 76パーセント、左手が 21パーセントに なりました。赤ちゃんの ころ かたよりの なかった 子も、この ころには どちらかに かたよって いました[5]。
ききては、ある日 とつぜん きまるのでは なく、じわじわ すがたを あらわして くるようです。
4. いでんは どのくらい かんけいする?
4. 遺伝が説明するのは、約4分の1
4. 双子研究とゲノム解析にみる遺伝の寄与
ききては おやから うけつぐの でしょうか。ふたごの 家族 5万4千人ぶんを しらべた 研究では、いでんで せつめいできる 部分は およそ 4ぶんの 1でした[7]。
のこりは、ひとりひとり ちがう 環境などで せつめいされています。
ただ、これは 「1人の ききてが 4ぶんの 1 いでんで きまる」という いみでは ありません。人の あつまり ぜんたいで、ちがいの 4ぶんの 1 くらいを いでんで せつめいできる、という ことです。
5. うまれてからの ことは?
5. 生まれてからの環境との関係
5. 出生後の要因との関連と、その解釈
それでは、うまれてからの くらしは どうでしょう。イギリスの 約50万人を しらべた 研究では、左ききの 人は 9.3パーセントでした。ほかの ことが いくつか かんけいして いましたが、ちがいは ちいさく、これで 手の ようすを よそうする ことは ほとんど できませんでした[8]。
世界では、右手を このむ 人が およそ 9わり、左手が 1わりと いわれます[8]。
どちらの 手も、その人の 「ふつう」です。
6. じぶんでも しらべてみたい とき
6. 自分でも調べてみたくなったら
6. さらに調べるために
きょう できること:ふだん つかう 手を、いくつかの ことで くらべてみましょう。字を かく、ボールを なげる、はさみを つかう、ドアを あける。ぜんぶ おなじ 手でしょうか。ちがう 手が でて くるかも しれません。
もし ちかくに あかちゃんが いたら、まえに おもちゃを おいて、どちらの手で とるか、ながめてみましょう。1回では きめず、なんども ようすを みます。あかちゃんの 手を むりに うごかしては いけません。
今日できること:字を書く、ボールを投げる、はさみを使うなど、いくつかの動作で使う手を思い出してみましょう。すべて同じ手でしょうか。動作によって手が変わる人も、いるかもしれません。
身近に赤ちゃんがいるときは、おもちゃを体の正面に置き、どちらの手で取るかを何度か見てみましょう。1回では決めつけず、日をかえて見るのがポイントです。赤ちゃんの手を無理に動かしてはいけません。
もっと知りたくなったら:出典の研究は、PubMed や PMC の論文検索で読めます。「handedness infant」で探せます。
身近な動作(書く、投げる、はさみ、歯みがき)で使う手を書き出し、動作ごとに手が違うかを見る。身近に乳児がいる場合は、玩具を正面に置いて取る手を複数回・日を変えて記録する方法がある。1回の観察で決めつけないこと、乳児の手を無理に動かさないことが前提となる。
原典に当たるなら、出典欄の PMC の2本(乳児期と幼児期の追跡研究、乳児のプレヘンションの研究)が、月齢ごとの図表を確かめやすい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
胎児期の3件(Hepper 1990、2005、Psychology Today の紹介)は、二次紹介と検索抜粋に基づく。
- Psychology Today「Does Left-Handedness Develop Before or After Birth?」(胎児の腕の動きの紹介) https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-asymmetric-brain/202006/does-left-handedness-develop-before-or-after-birth (妊娠10週の腕の動き)
- Hepper ら「Origins of fetal handedness」(1990) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2215661 (胎児の指しゃぶりの左右)
- Hepper, Wells & Lynch「Prenatal thumb sucking is related to postnatal handedness」Neuropsychologia 43(2005) https://pure.qub.ac.uk/en/publications/prenatal-thumb-sucking-is-related-to-postnatal-handedness/ (胎児期と10〜12歳の利き手)
- Ocklenburg ら「Epigenetic regulation of lateralized fetal spinal gene expression」eLife 6:e22784(2017) https://elifesciences.org/articles/22784v1 (脊髄の遺伝子発現の左右差)
- 乳児期(6〜14か月)と幼児期(18〜24か月)の手の好みを追った研究(PMC3615031) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3615031 (38人の追跡)
- 乳児の手の好みの発達を調べた研究(PMC4417424) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4417424 (取る手と操作の手)
- Medland ら「Genetic influences on handedness」Neuropsychologia(2009) https://researchers.mq.edu.au/en/publications/genetic-influences-on-handedness-data-from-25732-australian-and-d/ (遺伝の割合)
- 英国バイオバンク約50万人の利き手の研究(PMC6345846) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6345846/ (左利きの割合、遺伝率、関連要因)
なおした ところ
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