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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ねている 赤ちゃんは、なぜ にっこり するの?

眠る赤ちゃんの微笑は、うれしい夢のしるしなのでしょうか

新生児微笑(生理的微笑)と社会的微笑 ── 自発的な笑顔から、応じる笑顔へ

分野:からだ

ねている 赤ちゃんの 口もとが、ふっと ゆるむ。「いい ゆめを 見て いるのかな」と 思う 人も いるでしょう。

この にっこりには、きもちとは ちがう 仕組みが あると 研究で 言われて います。いつごろから 見られるのか、いつ 人に わらいかえすように なるのかを 見て いきます。

眠っている赤ちゃんの口もとが、ふっとゆるむ。それを見て、うれしい夢を見ているのだろうかと思った人は多いのではないでしょうか。

この笑顔は、外からの刺激がなくても起こる動きだと考えられています。いつごろから見られるのか、口の形は人に向ける笑顔とちがうのか、笑い返す笑顔はいつ現れるのかを、研究資料からたどります。

生まれて間もない乳児は、眠りながら口角を引き上げることがある。この新生児微笑(生理的微笑)は、外からの刺激がなくても起こる自発的微笑として研究されてきた。日本の発達研究、胎児の超音波観察、睡眠中の微笑を測定した研究などをもとに、その特徴と、生後2か月ごろに現れる社会的微笑との関係を整理する。

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1. ねて いる ときに 多い にっこり

1. 赤ちゃんの微笑は、大きく2種類に分けられる

1. 自発的微笑と外発的・社会的微笑 ── 睡眠中の微笑に偏る出現

赤ちゃんの にっこりは、二つに 分けて 考えられて います[1]。一つは、外から 何も されなくても、ねて いる ときに 出る 自発的微笑じはつてきびしょう。もう 一つは、話しかけられるなど 外の ことに 答えて 出る えがおです。

自発てきびしょうは、新生児微笑しんせいじびしょうとも、生理的微笑せいりてきびしょうとも よばれます。ねむりの 中でも、目が ぴくぴく 動く あさい ねむりの ときに 多いそうです[1]。

元気に 生まれた 赤ちゃん12人と、生まれつき 大きな 病気の ある 赤ちゃん3人を 調べた 研究では、ビデオに うつった びしょう383回の うち 377回が、この あさい ねむりの 間でした[2]。ほとんど、ねて いる ときです。お母さんが 話しかけても、この ねむりの 間の びしょうは ふえなかったと ほうこくされて います。

赤ちゃんの微笑は、大きく2種類に分けて考えられています。外からの刺激がなくても睡眠中に出る自発的微笑(新生児微笑、生理的微笑とも呼ばれます)と、外からの刺激に応じて起こる外発的・社会的微笑です[1]。

自発的微笑は、眠りのなかでも目がすばやく動くREM睡眠のときに出ることが多く、おもに新生児の時期に見られます[1]。

正期産の健康な新生児12人と、重大な先天異常のある乳児3人を、映像と睡眠の測定で調べた研究があります。記録された微笑383回のうち377回は、REM睡眠に当たる活動睡眠のなかでした[2]。ほぼすべてが眠っているときです。母親が働きかけても、活動睡眠中の微笑は増えなかったと報告されています。ただし、活動睡眠は大人のREM睡眠と完全に同じものとは限りません。

乳児の微笑は、外部刺激がなくても睡眠中に出現する自発的微笑と、外部刺激に反応して起こる外発的・社会的微笑に大別される。自発的微笑は、急速眼球運動を伴うREM睡眠時に出現することが多く、主として新生児期に見られるため、新生児微笑・生理的微笑とも呼ばれる[1]。

正期産の健康な新生児12名と重大な先天異常のある乳児3名を映像と睡眠ポリグラフで調べた研究では、記録された微笑383回のうち377回が活動睡眠中(REM睡眠に相当)だった。母親の働きかけで活動睡眠中の微笑は増えなかったという[2]。ただし活動睡眠は成人のREM睡眠と同一とは限らず、この研究の対象は少数である。

2. 生まれる 前から わらって いる?

2. 笑顔はおなかの中でも観察されている

2. 胎児期の微笑 ── 4次元超音波による観察

この にっこりは、生まれる 前の おなかの 中でも 見つかって います。日本の 研究者、川上さんは、おなかの 中を うつす とくべつな きかい(4次元ちょうおんぱ)で、おなかの 赤ちゃんが 生まれる 前から ほほえむ ことを 見つけました。22週の 赤ちゃんでも たしかめられたそうです[1]。

べつの 研究では、568人の おなかの 赤ちゃんを 見て、びしょうが 見られたのは 31人でした[3]。ほとんどの 赤ちゃんが わらうわけでは なく、見られた はんいでの 話です。びしょうは 51回で、1回は へいきん 3秒ほどでした。

研究した 人たちは、おなかの 中の びしょうは、人との やりとりの けっかでは ないと 書いて います。

自発的微笑は、生まれる前から見られます。川上(2009)は、4次元超音波診断装置で在胎22週の胎児にも見られると確認しました。早産児(在胎32週以降)でも見られることから、生まれつきそなわった仕組みと考えられています[1]。

川上らは、568人の胎児を4次元超音波で観察し、微笑が見られた31人を分析しています。51回の微笑は平均3.21秒で、著者らは、胎児の微笑は社会的な影響の結果ではないと述べています[3]。568人のうち31人ですから、すべての胎児が笑うという話ではなく、観察された範囲の報告です。

もちろん、おなかの中の赤ちゃんが「うれしい」と話したわけではありません。人の顔を見て笑い返すのとは、別の場面の動きだと読むほうが自然です。

自発的微笑は出生前から見られる。川上(2009)は4次元超音波診断装置で在胎22週の胎児にも確認しており、早産児(在胎32週以降)にも認められることから、生得的と考えられている[1]。

川上ら(2012)は、568人の胎児を4次元超音波で観察し、微笑が見られた31人を分析した。在胎156〜214日で計51回、平均3.21秒で、著者らは胎児の微笑が社会的影響の結果ではないと述べる[3]。568人中31人で微笑が観察されたという、観察できた範囲での報告であり、胎児の主観的な感情までは示さない。

3. うれしい きもちの にっこり なの?

3. 「うれしい」とは別の動きと考えられてきた

3. 起源をめぐる議論 ── 皮質下説と皮質の関与

では、ねて いる 赤ちゃんは、うれしい ゆめを 見て いるのでしょうか。うれしい ゆめの 表れだとは、言えません。

日本の 子育ての しりょうでは、新生じびしょうは、うれしい・楽しいと いう きもちを ともなわないと せつめいされて います[6]。外国の 研究でも、新生じの びしょうは、外の ことも おなかの 中の ことも 見当たらないときに、のうの 深い ところの はたらきで 起こると 考えられて きました[4]。

ただし、のうの どこで 起こるかは、研究者の 意見が わかれて います。さきに 出た 研究では、のうの ひょうめんが ほとんど ない 赤ちゃん 1人では、ねむりの 間の びしょうが 見られなかったと ほうこくされ、研究者は「のうの ひょうめんが ひつようだ」と 考えました[2]。

眠る赤ちゃんはうれしい夢を見ているのか。うれしい夢の表れだとは言えません。日本の子育て情報では、新生児微笑にはうれしい・楽しいという感情が伴わないと説明されています[6]。乳児は自分の気持ちを話せないので、何を感じているかを直接たしかめる方法もありません。

外国の研究では、新生児の微笑は、外の刺激も内臓の刺激も見当たらないときに、大脳より深い部分(皮質下)の活動で起こると考えられてきました[4]。感情を伴う微笑とは関係が薄いと見られています。

ただし、これは仮説です。3人の異常例を含む先の研究では、異常例3人のうち、大脳皮質がほぼない1人にだけ活動睡眠中の微笑が見られなかったと報告され、著者は大脳皮質が関わる可能性を支持しました[2]。脳のどこで起こるのか、研究者の見解は分かれています。

睡眠中の微笑を「うれしい夢」の表れとは言えない。日本の助産師監修の育児情報では、新生児微笑は楽しさ・うれしさなどの感情を伴わないとされる[6]。ただし乳児の主観は測れないため、感情の有無は断言できない。

Perogamvros(2012)が引く議論では、新生児の微笑は認識できる外的・内臓的刺激がないときに、皮質下ひしつかの活動で起こる内因性の微笑システムだとされ、感情を伴う微笑とは関連が薄いと考えられてきた[4]。一方、脳の異常がある3名を含む先の睡眠ポリグラフ研究は、異常例3名のうち皮質がほぼ欠如する無水脳症の1名だけ活動睡眠中の微笑が見られなかったとして、大脳皮質が関わる可能性を支持した[2]。皮質下起源は仮説であり、異常例3名に基づく結果も一般化できず、起源は見解が分かれる。

4. びしょうの 口の かたちも ちがうの?

4. 2つの微笑の区別 ── ウォルフと口の形の観察

4. ウォルフの区別と、1名の乳児の口の形態の追跡観察

この 二つの びしょうは、ずっと 前から 分けて 考えられて きました。ウォルフと いう 研究者は、1963年に、生まれて 1週間の 赤ちゃんを 見て、外の ことと かんけいなく 口の はしが 上がる びしょうと、外の ことに 答える びしょうを 分ける ひつようが あると 書きました[1]。

日本の 研究者が 1人の 赤ちゃんを 1年 ほど 追いかけた きろくでは、ねて いる ときの びしょうは 口を とじて、人に 答える びしょうは 口を あけて いました[1]。ただし 1人の けっかなので、口の かたちだけで 見分けられるとは いえません。

この2つを分けて考える必要があると最初に述べたのは、ウォルフ(1963)です。生後1週の新生児の観察から、外の刺激と関係なく口角が上がる自発的微笑と、刺激への反応として起こる外発的微笑を区別すべきだとしました[1]。

のちの日本の研究では、1人の乳児を0〜51週まで追跡し、眠っているときの自発的微笑は口を閉じ、人に応じる外発的・社会的微笑は口を開ける形のちがいが、1年間を通して見られました。著者はこのことから、2つの微笑は出生時から質的にちがうと考えました[1]。1人の結果なので、この形だけで見分けられると決めることはできません。

ウォルフ(1963)は生後1週の新生児の観察から、外部刺激と無関係に口角が引き上げられる自発的微笑と、刺激への反応としての外発的微笑を区別する必要があると論じた[1]。

池田(2018)は1名の乳児を0〜51週追跡し、自発的微笑は口を閉じ、外発的・社会的微笑は口を開ける形態の差が1年を通じて見られたことから、2つの微笑は出生時から質的に異なると考えた[1]。1名の観察であり、形態だけで判別できるとまでは言えない。

5. 人に わらいかえす ように なるのは いつ?

5. 生後2か月ごろ、笑い返す笑顔が現れる

5. 社会的微笑の出現時期と、その目安

人に むけた えがお、つまり 社会てきびしょうは、生まれた ときには なく、生まれて 2か月ごろに あらわれると されて います[4]。

アメリカの 国の きかん(CDC)は、2か月の 目安の 一つに「話しかけたり わらいかけたり すると わらう」を あげて います[5]。多くの 子が 2か月までに できる 目安です。気に なる ときは、お医者さんに そうだん できます。

日本の 子育ての 記事では、生まれて 2〜3か月を すぎると 新生じびしょうは へり、人の 顔などに むけた びしょうは 3か月ごろから 見られると されます[6]。しりょうによって 月数に はばが あります。

社会的微笑は、生まれたときにはなく、生後約2か月ごろに現れるとされています[4]。眠っている間に出る笑顔と、目の前の人に応じる笑顔は、始まる時期がちがいます。

米国の疾病対策センター(CDC)は、2か月の発達の目安のひとつに「話しかけたり笑いかけたりすると笑う」を挙げています[5]。多くの子が2か月までにできる目安です。気になるときは、医師に相談できます。

日本の子育て情報では、生後2〜3か月を過ぎるころから新生児微笑が減り、人の顔などに向けた微笑は3か月ごろから見られるとされます[6]。資料によって月数に幅があります。

社会的微笑は出生時には存在せず、生後約2か月ごろ出現するとされる(Dondi 2007を引くPerogamvros 2012)[4]。米国CDCの2か月の発達の目安にも、話しかけたり笑いかけたりすると笑うことが挙げられている(2026年5月版)[5]。多くの子が2か月までにできる目安として示されており、気になれば医師に相談できる。

日本の助産師監修の情報では、生後2〜3か月を過ぎるころから新生児微笑が減り、人の顔への微笑は3か月ごろから見られるとされる[6]。研究の時期は資料によって2〜3か月、13週など幅がある。

6. にっこりは、入れかわる の?

6. 入れ替わるのか、並んで育つのか

6. 二つの微笑の関係 ── 連続説と独立説

ねて いる ときの にっこりが、人に わらいかえす えがおに かわって いくのでしょうか。それとも、二つは べつべつに 育つのでしょうか。研究者の 意見は 分かれて います[1]。

さきの 1人の きろくでは、ねて いる ときの びしょうは 生まれて 13週ごろから へって いき、人に わらいかえす びしょうは 13週まで ふえました。そのあとは、どちらも へりながら ならんで 見られたそうです[1]。1人の きろくなので、みんなが 同じ 週とは いえません。

眠っているときの笑顔が、人に応じる笑顔へ入れ替わるのでしょうか。それとも、2つは別々に育つのでしょうか。研究者の立場は分かれています。入れ替わるとする立場と、入れ替わらず独立に発達するとする立場です[1]。

1人の乳児を追った先の研究では、自発的微笑の頻度は生後13週ごろから減り、外発的・社会的微笑は13週まで増えました。その後は、両方が減りながら並んで見られたと報告されています[1]。1人の観察なので、全員が同じ週に変わるとは言えません。

二つの微笑は連続的で、自発的微笑が社会的微笑に入れ替わるとする立場と、入れ替わらず独立した発達過程をたどるとする立場がある(松阪2013、池田2018が紹介)[1]。

1名の乳児の0〜51週の追跡では、自発的微笑の頻度は出生直後の高い水準から13週以降に減少し、外発的・社会的微笑は13週まで増加した。その後は両者が減少しつつ並存した[1]。1名の観察であり、週数は一般化できない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

まわりに 赤ちゃんが いて、おとなの 人が いっしょに いるときは、話しかけたときの えがおと、ねて いる ときの 口もとの ちがいを 見て みましょう。起こさないよう、近づきすぎないように します。

赤ちゃんが 近くに いなければ、図書館で 「赤ちゃんの 発たつ」の 本を さがして、びしょうの ページを 読んで みるのも いいでしょう。

もっと 知りたい とき

しゅってんに のせた 日本語の ろんぶんや、子育ての 記事を 読んで みましょう。

今日できること

身近に赤ちゃんがいて、大人がそばにいるときは、話しかけたときの笑顔と、眠っているときの口もとを見比べてみましょう。起こさないよう、近づきすぎないようにします。

赤ちゃんが近くにいなければ、図書館で乳児の発達に関する本を探し、微笑の項目を読んでみるのもよいでしょう。

公式情報・資料

出典欄の日本語の論文(J-STAGE)や子育て情報から読めます。研究の数字は、どの人数を調べたものかをたしかめると、言い切れる範囲が見えてきます。

今日できること

乳児と接する機会があれば、養育者のそばで、眠っている間の口もとと、話しかけたときの口の開き方を見比べる。近づきすぎず、起こさないように行う。

資料を読むなら

まず日本語の出典[1](J-STAGE)と[6]から読める。英語の資料([2]〜[5])は、興味が出たときの補足として、出典欄の題名で検索できる。どの人数のデータを根拠にしているかを確かめながら読むと、言い切れる範囲が分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料の一覧です。内容は執筆時点(2026年9月29日)に確かめたものです。

  1. 池田正人「乳児の自発的微笑と外発的・社会的微笑の質的な違い」『笑い学研究』25(2018) https://www.jstage.jst.go.jp/article/warai/25/0/25_42/_pdf (2種類の微笑、ウォルフ、川上、追跡観察)
  2. A video polysomnographic study of spontaneous smiling during sleep in newborns(PubMed 32748500) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32748500/ (睡眠中の微笑の割合と皮質の議論。要旨で確認)
  3. Smiles in the fetal period(Kawakami & Yanaihara, 2012, PubMed 22721744) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22721744/ (胎児の微笑の観察。要旨で確認)
  4. Perogamvros (2012) Frontiers in Psychology https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3435564/ (皮質下説、社会的微笑の出現時期)
  5. CDC「Milestones by 2 Months」 https://www.cdc.gov/act-early/milestones/2-months.html (2か月の発達の目安)
  6. HugKum「新生児微笑とは」(助産師監修) https://hugkum.sho.jp/119154 (日本の子育て情報での説明)

なおした ところ

更新履歴

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