このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

使い おわった 電池は、どこへ 行って、何に なるの?

使い終わった乾電池は、どこへ行って何になるのか

使用済み電池の行き先:乾電池を北海道で処理する理由と、充電式電池から金属を取り出す試み

分野:技術

東京の 新宿区で あつめた 使い おわった 乾電池かんでんちは、はるばる 北海道の 北見市まで はこばれて、リサイクルされます[3]。近くの 工場では ないのは、どうしてでしょう。

この ページを 読むと、むかしの 乾電池かんでんちに 水銀が 入って いた ことが、みんなを まとめて あつめる わけに つながって いる ことが わかります。また、くり返し 使える 電池を、また 電池の ざいりょうに もどす 研究の ことも わかります。

東京都新宿区で集めた使い終わりの乾電池は、はるばる北海道北見市の工場へ送られ、鉄・マンガン・亜鉛・水銀などにリサイクルされます[3]。近くの工場ではなく、なぜ北海道なのでしょうか。

昔の乾電池に使われた水銀は、工場で取り出され、金属として再利用されます。この記事を読むと、昔の乾電池に水銀が入っていたことが、乾電池をまとめて集める理由につながっていることが分かります。あわせて、充電式の電池から金属を取り出し、もう一度電池の材料に戻す取り組みが進んでいることも分かります。

東京都新宿区が集めた乾電池は、北海道北見市の野村興産イトムカ鉱業所で、鉄・マンガン・亜鉛・水銀などにリサイクルされる[3]。全国から一か所へ運ぶ形になっているのはなぜか。そして、充電式電池は同じ道をたどるのか。

この記事を読むと、1990年ごろまでの水銀入り乾電池が、分別せずにまとめて回収する理由になっていることが分かる。さらに、リチウムイオン電池などから回収した金属を、電池の材料に戻す開発の現状と、その限界が分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 東京の 乾電池かんでんちが、北海道へ 行くって ほんとう?

1. 東京の乾電池は、本当に北海道まで運ばれるのか

1. 新宿区の乾電池は、どこで何に分けられるのか

つかい おわった 乾電池かんでんちを ごみばこに 入れる 前に、行き先を 考えた ことは ありますか。

東京都の 新宿区では、あつめた 乾電池かんでんちは 北海道の 北見市に ある 「イトムカこうぎょうしょ」という 工場に とどきます。そこで、鉄や マンガン、亜鉛あえん、水銀などに わけられます[3]。

どうやって 北海道まで 行くのでしょう。2014年の 業界の 雑誌ざっしには、全国の 会社が あつめた 乾電池かんでんちを、いちばん 近い JRの 駅から 貨物かもつ列車で 北見駅まで 送ると 書いて ありました。協力きょうりょくして いる 会社は 41社だったそうです[5]。ただ、これは 2014年の ころの 話です。今も ずっと 同じだとは 言えません。

東京の 電池が、遠い 北海道の 工場へ。わざわざ 一つの 場所に あつめるのは、むかしの 乾電池かんでんちの 中身が かかわって います。

引き出しの奥から、使い終わった乾電池が出てきたとします。ごみ箱に入れる前に、この電池がどこへ行くのかを調べてみましょう。

東京都新宿区の説明では、自治体が集めた乾電池は、北海道北見市の野村興産イトムカ鉱業所でリサイクルされます。ここで、鉄・マンガン・亜鉛・水銀などに分けられます[3]。

運び方については、2014年の業界誌に手がかりがあります。全国の協力会社(41社)が集めた乾電池や蛍光灯を、最寄りのJRコンテナ駅から貨物列車でJR北見駅まで運び、イトムカ鉱業所へ届けるという記事です[5]。ただし2014年時点の記述なので、いまも同じ方法とは言い切れません。

東京の電池が、遠い北海道の工場へ向かう。なぜ近くで処理せず、一か所に集めるのでしょうか。ヒントは、昔の乾電池の中身にあります。

引き出しに残った使用済みの乾電池は、自治体の回収に出すと、どこへ行くのか。東京都新宿区の案内によれば、自治体が集めた乾電池は、北海道北見市の野村興産イトムカ鉱業所で、鉄・マンガン・亜鉛・水銀などにリサイクルされる[3]。

輸送の手段については、2014年10月号の業界誌に記述がある。全国41の協力会社が地域で回収した乾電池や蛍光灯を、最寄りのJRコンテナ駅から貨物列車でJR北見駅まで送り、イトムカ鉱業所へ届けるという内容だ[5]。これは2014年時点の記述で、現在も同じ経路とは断定できない。また、ここで挙げた新宿区の例は一つの自治体の説明であり、全国のすべての乾電池が同じ経路をたどると言っているわけではない。

それでも、東京の乾電池が遠い北海道の工場で処理されうるという事実は残る。なぜ地域ごとに処理せず、一か所に集める形が成り立つのか。理由は、昔の乾電池の成分にある。

2. 古い 乾電池かんでんちが まざって いると、なぜ 全部 まとめるの?

2. 古い乾電池と新しい乾電池は、なぜ分けずに集めるのか

2. 水銀入りの乾電池を見分けられないことが、回収の形を決める

むかしの 乾電池かんでんちには、水銀と いう 金ぞくが 入って いました。1990年ごろまでに 日本で 作られた 乾電池かんでんちには、水銀が 使われて いたのです[1]。

どうして 水銀を 入れたのでしょう。乾電池かんでんちの 中の 亜鉛あえんは、使っていない ときでも 勝手に はんのうして、水素すいそと いう ガスを 出します。そうなると 液えきが もれやすく なります。水銀には、それを おさえる はたらきが ありました[1]。

その後、日本の メーカーは 水銀を 入れない 電池を 出しました。1991年に マンガン乾電池かんでんち、1992年に アルカリ乾電池かんでんちです。今 日本で 作られる 乾電池かんでんちには、水銀は 使われて いません[2]。

でも、家の 引き出しには 古い 電池が ねむって いるかも しれません。外国で 作られた 乾電池かんでんちには、水銀が 入って いる 場合も あります[1]。外から 見ても、どれが 古いのか 見分けるのは むずかしいのです。

だから、古い 電池だけを 分けて あつめるのは、げんじつには 大変かです[1]。それで 乾電池かんでんちは、まとめて 回収かいしゅうされます。亜鉛あえんや マンガンには、しげんと しての ねうちも あります[1]。

昔の乾電池には、水銀が使われていました。1990年ごろまでに国内で作られた乾電池が、その対象です[1]。

なぜ水銀を入れたのでしょうか。乾電池の亜鉛の負極は、使っていないときでも勝手に反応し、水素ガスが出ます。これが液もれの原因になります。水銀には、この反応を抑える働きがありました[1]。

やがて日本のメーカーは、水銀を使わない乾電池を出しました。1991年に水銀ゼロのマンガン乾電池、1992年に水銀ゼロのアルカリ乾電池です[2]。この年は各メーカーの発売で、業界全体がそろった年ではありません。現在、日本で作られる乾電池には水銀は使われていません[2]。

けれども、使い終わった電池の側には、古いものも海外製も混ざります。海外で生産された乾電池には、水銀が含まれている可能性があるからです[1]。外見で古い電池や海外製の電池だけを区別して回収するのは、現実的に難しいとされています[1]。

そこで乾電池は、まとめて回収されます。亜鉛やマンガンには資源としての価値もあるため、集めて処理する意味があります[1]。見分けられないという事情が、回収の形を決めていたのです。では、集まった電池はどう処理されるのでしょうか。

乾電池を一か所に集めて処理する形の根には、水銀がある。1990年以前に国内で製造された乾電池には水銀が使われていた。水銀は、負極の亜鉛が自然に反応して水素ガスが出る現象(自己放電や液もれにつながる)を抑える効果があるため、添加されたと説明される[1]。同じ資料には「平成3年以前」という表記もあり、時期は「1990年ごろまで」と幅をもたせて読むのが適切だ。

その後、日本のメーカーは1991年に水銀ゼロのマンガン乾電池、1992年に水銀ゼロのアルカリ乾電池を出した。現在、国内で製造される乾電池に水銀は使われていない[2]。ただし、この2つの年はメーカー個社の発売で、業界全体の完了年ではない。

ところが、使用済みの側では事情が違う。家庭に残る電池には、水銀を使っていた時代のものも、水銀が含まれる可能性のある海外製もある[1]。見た目や製造地を一つひとつ確かめて古い電池だけを区分して回収するのは、現実的に難しい[1]。だから、乾電池はまとめて回収・処理する形がとられる。

つまり、いまの製品は水銀を使っていなくても、回収の段階では「水銀入りが混ざっているかもしれない」ものとして扱う。この処理にも利点がある。亜鉛やマンガンには資源としての価値があり、集めて処理することで取り出せる[1]。では、混ざった電池から、実際にどう水銀を取り出すのか。

3. 北海道の 工場では、電池を どうやって 分けるの?

3. 北海道の工場では、水銀をどう取り出すのか

3. 熱して蒸気にして集める:水銀のリサイクルの流れと数字の読み方

電池を あつかう 会社の 説明せつめいを 読むと、水銀の 取り出し方は 次のようです。

まず、乾電池かんでんちを 熱ねっします。会社の Q&Aでは、600から800度くらいと いわれて います[4]。水銀は 熱ねっすると 蒸気じょうきに なるので、それを 集めます。つぎに 冷つめやすと、もとの 液体えきたいの 水銀に もどります[4]。

これは、おゆを わかした ときの 湯気が、ふたに ついて 水に もどるのと にて います。ただし 水銀は、ふつうの 水とは ちがって、すこし 取りあつかいに 気を つける 金ぞくです。

会社は 「水銀は 100%リサイクルする。ほかの 成分せいぶんも、できるだけ くり返し 使える しくみ」と 説明せつめいして います[4]。これは 会社自身の 説明せつめいです。

こまりものだった 水銀が、また 金ぞくとして 使える ように なる。ここまでが、乾電池かんでんちの 旅です。

では、スマホや ゲームに 使う くり返し 使える 電池も、同じ 箱に 入れて いいのでしょうか。

野村興産は、自社のリサイクルについて「水銀は100%リサイクルし、ほかの構成成分もできるだけ循環させる」と説明しています[4]。これは会社自身の説明です。

水銀の取り出し方は、熱を使います。乾電池を約600〜800℃で熱して水銀を蒸気にし、その蒸気を集めて冷やすと、液体の水銀に戻ります[4]。この温度は、会社のQ&Aを要約した値です。

やかんのお湯を沸かすと湯気が出て、冷たいふたに触れると水に戻ります。水銀の取り出しも、「蒸気にして集め、冷やして液体に戻す」という点は似ています。ただし水銀の蒸気は、水蒸気のように安全なものではありません。処理は専門の工場で行います。

昔は液もれを抑えるために電池へ入れていた水銀が、いまは電池から取り出されて、再び使える金属になります。見分けられないからまとめて集める、という選択が、水銀を無駄にしない処理につながっています。

ところで、スマホやゲーム機に使う充電式の電池は、乾電池と同じ箱に入れてよいのでしょうか。

野村興産は、自社の処理を「水銀は100%リサイクル、他の構成成分も可能な限り循環できるシステム」と説明している[4]。これは事業者自身の説明であり、第三者の測定値ではない点に注意したい。

処理の流れは、乾電池を加熱して水銀を蒸気にして集め、それを冷やして液体の水銀に戻すというものだ。加熱の温度は600〜800℃とされるが、これは同社のQ&Aを要約した値なので、「約」「といわれる」程度に読むのが無難である[4]。

水を沸かして出る湯気がふたで水に戻る現象は、この「蒸気にして集め、冷やして戻す」流れと似ている。ただし水銀蒸気は水蒸気と違って取り扱いに注意が要り、処理は専門の工場で行われる。

水銀を含むために回収の形が決まった乾電池は、いまの水銀ゼロの製品でも、まとめて扱う仕組みの中で資源として循環する。では、充電式の電池は同じ道をたどるのか。

4. くり返し 使える 電池は、どこへ 出せば いいの?

4. 充電式の電池は、どこへ出せばよいのか

4. 充電式電池は店の回収箱へ:端子の絶縁と、出し方の難しさ

スマホや カメラに 使う くり返し 使える 電池は、乾電池かんでんちとは 出し方が ちがいます。

ニカド電池、ニッケル水素すいそ電池、リチウムイオン電池と いう しゅるいが あります。電池の はしの 金ぞくの ところを テープで つつんで、リサイクルマークの ついた ものを、店に ある 「ちいさな 電池の リサイクルBOX」に 入れます。お金は かかりません[6]。町によっては、ごみを 出す 場所で あつめる ことも あるので、おうちの 人と 町の あんないを 見て みましょう。

ただし、車の バッテリーなどに 使う なまりの 電池は、この 対象たいしょうでは ありません[6]。

出し方を まちがえると、あぶない ことも あります。リチウムイオン電池が もとの 火事は、2023年度に 8,543件けんあったと いわれます。その 多くは、燃ねんえない ごみに まぜて すてた ことが もとでした[9]。だから、決まった 場所に 出すのが 大事です。

充電式の電池は、乾電池とは別の道で集めます。対象はニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池です。

文京区の案内では、ビニールテープなどで電池の端子部を絶縁し、リサイクルマークのあるものを、協力店にある「小型充電式電池リサイクルBOX」に出します。回収は無料です。車のバッテリーなどに使う鉛蓄電池は対象外です[6]。この回収は、JBRCという一般社団法人が協力店と進めています。ただし、これは店で回収する場合の説明です。自治体によっては、ごみの集積所などで回収する場合もあるので、出し方は住んでいる町の案内で確かめます。

出し方が大切な理由もあります。ITmediaの報道によると、リチウムイオン電池が原因とされる火災は2023年度に8,543件あり、多くは燃えないごみなどに混ぜて捨てた誤った出し方が原因でした。市町村の分別回収は約75%にとどまるとされます。環境省は2025年に、リチウム蓄電池等を標準的な分別収集区分に位置づけ、家庭のすべてのリチウムイオン電池の分別回収を市町村に求めました[9]。出し方を決めておけば、事故を防ぎ、中の資源も活かせます。

では、回収した充電式電池は、どんな資源になるのでしょうか。

充電式電池(ニカド・ニッケル水素・リチウムイオン)は、乾電池とは別の回収ルートがある。自治体の案内では、端子部をビニールテープなどで絶縁し、リサイクルマークのあるものをJBRC協力店の「小型充電式電池リサイクルBOX」に出す。回収は無料で、鉛蓄電池は対象外である[6]。JBRCは一般社団法人である。これは店頭回収の例で、自治体によっては集積所での回収も行われるため、実際の出し方は住んでいる自治体の案内で確かめる必要がある。

この分け方が必要な背景には、出し方の問題がある。ITmediaの報道では、リチウムイオン電池による火災事故は2023年度に8,543件で、多くは燃えないごみなどに混ぜた誤った出し方が原因とされる。市町村の分別回収は約75%(2023年度)にとどまっていた。そのため環境省は2025年に、リチウム蓄電池等を標準的な分別収集区分に位置づけ、家庭の全てのリチウムイオン電池の分別回収を市町村に求めた[9]。ただし、環境省の通知本文は参照しておらず、報道経由の内容として読む必要がある。

つまり、回収先を分けることは、事故を減らすことと、中の金属を取り出す前提を整えることの両方に関わる。では、集まった充電式電池の中身は、何に生まれ変わりうるのか。

5. 回収かいしゅうした 電池は、また 電池に なれるの?

5. 回収した電池は、もう一度電池の材料になれるのか

5. 電池から電池へ:ブラックマスと、再生リチウムの性能確認

集めた 電池を 安全に して くだくと、黒い 粉こなが できます。この 粉こなを 「ブラックマス」と 呼よびます[8]。

この 粉こなの 中には、リチウム、ニッケル、コバルトと いう 金ぞくが 入って います。どれも 電池の 大事な 材料ざいりょうです。ところが、これらの 金ぞくは、とれる 国が かたよって います[8]。使い おわった 電池から 取りもどせれば、助かるのです。

ある 会社は、この 粉こなから 炭酸たんさんリチウムを 取り出す 技術ぎじゅつを もって います。さらに 2026年7月には、ニッケルと コバルトを 取り出す 方法ほうほうを つくり、電池の 材料ざいりょうを 作る 会社に 直接ちょくせつ 売る ための 実験じっけんを はじめました[8]。

べつの 会社の 発表も あります。2024年10月、住友金属きんぞくこうざんが 銅どう・ニッケル・コバルトを 取り出し、そこで できた 中間の ものから 関東かんとう電化工業が リチウムを 取り出しました。この リチウムで 作った 電池の 材料ざいりょうは、ふつうの リチウムで 作った ものと 同じ はたらきだと 確たしかめられました[7]。電池が、また 電池に なる 道です。

ただし、この はたらきの 確認かくにんは 小さな 実験じっけん用の 工場での 結果けっかです。大きな 工場で 同じ ことが できるかは、ここでは 言えません。

充電式電池を安全に処理して砕くと、黒い粉ができます。これが「ブラックマス」です。正極材などを含み、リチウム、ニッケル、コバルトといった金属が入っています[8]。

これらの金属は、産出する国が偏っています。需要が増えるなか、資源を確保することが課題になっています[8]。使い終わった電池から取り戻せれば、新しく掘る量を減らす助けになります。

DOWAエコシステムは、ブラックマスから炭酸リチウムを回収する技術に加え、2026年7月にニッケルとコバルトを硫酸塩として回収する工程を開発しました。正極材メーカーへの直接販売をめざした実証試験も始めています[8]。

別の事例が「電池to電池」です。2024年10月の発表では、住友金属鉱山が使用済みリチウムイオン電池から銅・ニッケル・コバルトを回収し、その工程で出る中間物から関東電化工業が高純度のリチウムを取り出しました。この再生リチウムで作った正極材は、天然資源由来のものと同等の性能と確認されています[7]。

注意したいのは、この性能確認は住友金属鉱山のパイロットプラントでの評価だという点です。商業規模で同じことができるとは限りません。それでも、電池が電池に戻る道すじが具体的に見えてきたことは確かです。

回収したリチウムイオン電池は、安全に処理したうえで砕くと、黒い粉「ブラックマス」になる。ここには正極材などが含まれ、リチウム・ニッケル・コバルトの金属を回収できる[8]。

こうした回収が注目される理由は、リチウム・ニッケル・コバルトの産出国が偏っており、需要の拡大とともに資源確保が課題になっているためだ[8]。DOWAエコシステムは、ブラックマスから炭酸リチウムを回収する技術に加え、2026年7月にニッケル・コバルト硫酸塩を回収する工程を開発し、正極材メーカーへの直接販売に向けた実証試験を始めた。

もう一つの例が「電池to電池」だ。2024年10月の発表で、住友金属鉱山は使用済みリチウムイオン電池から銅・ニッケル・コバルトを回収した。その工程で出る中間物から関東電化工業が高純度のリチウムを取り出し、再生リチウムで作った正極材は、天然資源由来のものと同等の性能と確認された[7]。

ただし、この結果には限界がある。性能確認は住友金属鉱山のパイロットプラント(小規模な試験設備)での評価で、商業規模で同じ品質や費用が保てるとは限らない。また、リチウムイオン電池のリサイクル率の全国値は、使った資料からは示せない。分かるのは、金属ごとに回収する工程が企業の側で整い、電池の材料に戻す試みが進んでいる、という段階までである。

ここまでで、乾電池は北海道へ運ばれ、充電式電池は店の回収箱などを通り、金属を電池材料に戻す試みが進んでいる、という2つの道が見えた。では、読者は日常のどこで、この仕組みに関われるのか。

6. 自分の 町では、電池を どこへ 出すの?

6. 自分の町では、電池をどこへ出すことになっているのか

6. 出し方を調べ、回収の形の違いを自分の目で確かめる

やってみよう。おうちの 人と いっしょに、住んで いる 町の ごみの 出し方の あんないを 見て みましょう。紙の あんないでも、町の ページでも かまいません。

見るのは 3つです。乾電池かんでんちは どこに 出すのか。くり返し 使える 電池は どこに 出すのか。2つは 同じ 場所か、ちがう 場所か。

電池そのものは、さわらなくて かまいません。使い おわった 電池が 家に あるなら、おうちの 人に 場所を 聞いてから、そのまま 動かさずに、見るだけに しましょう。

町によって、出し方が ちがうかも しれません。ちがいを みつけたら、なぜ ちがうのかを 考えるのも おもしろいですよ。

やってみよう。自分の町の電池の出し方を調べます。「町の名前+電池 出し方」で検索し、自治体のページを開いて、次の3点を見ます。

乾電池はどこに出すのか。充電式の電池はどこに出すのか。2つは同じ場所か、違う場所か。見つけたら、それがこの記事の「まとめて集める乾電池」と「店の回収箱に出す充電式」のどちらの形に近いかを考えてみます。

家に使い終わった電池があるときは、勝手に分解したり、ぬれた場所に置いたりしないようにします。出し方は大人に確認してから動かします。

自治体のページには、ボタン形の電池の出し方も載っていることがあります。この記事では深く扱わなかったので、そこから先は自分で調べるのも手です。町ごとのちがいを見つけたら、なぜちがうのかを考えると、次の問いが生まれます。

確かめの入り口は2つある。1つは、自分の町の自治体のページで、乾電池と充電式電池の出し方を比べること。「回収の形は水銀の有無でなく、見分けにくさで決まる」という本記事の読みが、実際の出し方の説明と合うかを確かめられる。

もう1つは、原典に当たることだ。乾電池と水銀は野村興産の資料[1]、水銀ゼロの年代はソニーの解説[2]、再生リチウムの発表は企業の公表資料[7]で読める。たとえば「水銀は100%リサイクル」という言葉は、事業者自身の説明だ。原典の説明で、何を指して100%と言っているのかを読むと、数字の意味が見えてくる。

次の問いとして、ボタン電池の回収や、リチウムイオン電池の回収が自治体ごとにどう進んでいるかがある。この記事では扱わなかったので、自分で調べる余地が残っている。家に電池がある場合は、分解せず、保管場所を大人に確かめてから観察する。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

使い終わった電池のリサイクルについて参照した資料です。企業の説明は、その会社自身の発表です。

  1. 野村興産「水銀について」 https://www.nomurakohsan.co.jp/disclosure/about-mercury (乾電池と水銀、まとめて回収する理由)
  2. ソニー「電池まめ知識(水銀)」 https://www.sony.jp/battery/knowledge/suigin.html (水銀ゼロの乾電池の年)
  3. 新宿区「乾電池のリサイクルの流れ」 https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/seiso01_001020.html (乾電池の行き先)
  4. 野村興産「使用済み乾電池・蛍光灯のリサイクル」 https://www.nomurakohsan.co.jp/business/recycle (水銀の取り出し方)
  5. JWセンター情報 2014年10月号 https://jwnet.or.jp/info/kikansi/assets/files/JW2014_10_p17-19.pdf (貨物列車での輸送。2014年時点)
  6. 文京区「小型充電式電池」 https://www.city.bunkyo.lg.jp/b038/p000963.html (充電式電池の出し方)
  7. 関東電化工業の発表(PR TIMES経由)エキサイトニュース http://www.excite.co.jp/news/article/Prtimes_2024-10-06-114543-1/ (電池to電池、2024年10月)
  8. LOGISTICS TODAY(DOWA発表) https://www.logi-today.com/972130 (ブラックマスと金属の回収)
  9. ITmedia「環境省の方針」2025年4月 https://www.itmedia.co.jp/news/article/2504/15/1250415164/ (火災件数と分別回収の方針)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。