1. 太陽は うごくのに、おなじ 花を させるの?
1. 太陽は動いていくのに、巣の中のダンスはなぜ同じ花を指せるのか
1. 巣の壁の「真上」は太陽 ── 長く踊るハチが角度を直していく
ミツバチは、花を みつけて 巣に もどると、くらい 巣の 中で ダンスを します。おしりを ふりながら すすむ ダンスで、花が どの 方向に あるかを なかまに つたえます[4]。
目じるしに なるのは、太陽です。たてに 立った かべの 真上を「太陽の 方向」と きめて、花が 太陽より 右に あれば、真上から 右へ ななめに すすみます[3][2]。
でも、太陽は 1日の うちに うごきます。ダンスを 長い 間 つづける ハチは、太陽が うごくのに 合わせて、すすむ 向きを 少しずつ かえて いくと いわれます[2]。
けれども 巣の 中は くらくて、太陽は 見えません。それなのに、どうして 太陽が どれだけ うごいたか 分かるのでしょう。
暗い巣の中で、ミツバチは尻振りダンスを使って、花の方向を仲間に伝えます。壁の上側を、太陽の方向を表す目印として使います。巣の壁は垂直で地面の方位は使えないので、重力の向きと反対、つまり壁の真上を「太陽の方向」に読みかえるのです[4]。花が太陽の方向にあれば真上へ、太陽より右にずれていれば、そのずれと同じ角度だけ真上から右へ傾いて進みます[3][2]。
ところが、花は動かないのに太陽は動きます。花と太陽がつくる角度は、時間がたつと変わってしまいます。そのため巣の中で長く踊るハチは、変わっていく太陽の方位に合わせて、ダンスの向きを少しずつ直していくと報告されています。リンダウアーの観察として知られる話です[2][3]。
巣の中は暗く、太陽は見えません。それでもハチは、太陽がどれだけ動いたかを知っているように角度を変えます。この「直す」ことには、何が必要なのでしょうか。
尻振りダンスでは、垂直な巣の壁の「真上」が太陽の方向の代わりになる。花が太陽と同じ方向にあれば真上へ、太陽より右へずれた方向にあれば、そのずれの角度だけ真上から右へ傾いて進む[3][2]。日本大百科全書も、ミツバチは餌場へ飛んだときの太陽との角度を記憶し、巣の垂直面では重力の方向を太陽の方向に読みかえて示すと説明している[4]。
ここに難しさがある。花の位置は変わらないが、太陽は空を動くので、花と太陽の角度は時間とともに変わる。出発したときの角度をそのまま踊り続ければ、時間がたつほど、示す方向は実際の花からずれていく。実際には、巣の中で長い時間踊るハチは、変わっていく太陽の方位に合わせて踊りの向きを少しずつ更新するという観察が、リンダウアーのものとして伝わっている[2]。巣に長くいるハチが太陽の向きの変化に合わせて角度を調整するという記述は、百科事典にもある[3]。
巣の中は暗く、ハチは太陽を直接見られない。見えない太陽の動きを、ハチは何を手がかりに計算に入れているのか。この問いが、記事全体の中心になる。
2. 太陽を つかうには、時計も いるの?
2. 太陽の向きで方角を知るには、「いま何時か」も必要になる
2. 太陽コンパスの条件 ── 時刻の感覚が方位を補正する
太陽の 向きだけでは、方角は きまりません。朝の 太陽は 東がわ、午後の 太陽は 西がわに あるからです。おなじ 方角に 花が あっても、花と 太陽の 角度は 時間と ともに かわります。
ですから 太陽を 目じるしに するには、「いま 太陽は どこに ある 時間か」を 知って いなければ なりません。体の 中の 時計を 使って、太陽の うごきを 計算に 入れて 方角を 知る しくみを「太陽コンパス」と いいます[4]。
もし ハチが ほんとうに 時計を もって いるなら、時間を おぼえて いるはずです。それを 調べた 人が いました。
太陽の位置から方角を決めるには、いまが朝なのか午後なのかも知らなければなりません。朝の太陽は東寄り、午後の太陽は西寄りにあるため、同じ方角にある花でも、太陽との角度は時刻によって変わるからです。
動物が、ある時点の太陽の位置を基準にして、体内の生物時計がもたらす時刻の感覚で太陽の動きを計算に入れ、一定の方位を知ること。これを太陽コンパスといいます[4]。ミツバチのダンスの補正は、この考え方で説明されてきました。
この説明が正しいなら、ハチの体の中には、時刻を知る時計があるはずです。それを実験で確かめた研究が、1929年に出ています。
世界大百科事典は、太陽コンパスを、ある時点の太陽の位置を基準にして、体内の生物時計にもとづく時刻感覚で太陽の動きを補正しながら、一定の方位を知ることと定義する[4]。必要な要素は二つある。基準になる「ある時点の太陽との角度」の記憶と、その後の太陽の移動量を見積もる時刻の感覚である。
なぜ時刻が要るのか。太陽の方位は、朝は東寄り、午後は西寄りと、時刻の関数として変わる。ミツバチの補正を数理モデルで扱った論文も、午前は太陽が東にあるとみなし、正午に西へ切りかえる型を仮定に置いている[6]。つまり、時刻の感覚がなければ、動いた分を差し引けない。
では、ミツバチは実際に時刻を知る力をもつのか。その検証は、太陽コンパスの議論より前、1929年の実験にさかのぼる。
3. ハチは ほんとうに 時間を おぼえるの?
3. 砂糖水がなくなっても、決まった時刻に皿へ来たハチ
3. ベーリングの時間記憶(1929年)── 餌がなくても現れ、先回りして待つ
1929年、フォン・フリッシュに おそわった ベーリングは、しるしを つけた ミツバチを、1日の うち きまった 時間だけ さとうみずを おく おさらへ かよわせました[1]。
そのあと さとうみずを おくのを やめても、ハチは おそわった 時間に おさらへ 来ました。おく 時間を かえて、おしえ なおす ことも できました[1]。
もっと おどろくのは、その 少し 前から あつまり はじめる ことです。時間が ちかづくと ふえて、その ころに いちばん 多くなり、すぐ へりました[1]。時間を おぼえるだけでなく、さきまわりして まって いるように 見えます。
フォン・フリッシュは、ハチの 研究などで 1973年に ノーベルしょうを もらった けんきゅうしゃ です[7]。
カール・フォン・フリッシュの指導を受けたイングボルグ・ベーリングは、印をつけたミツバチを、1日のうち決まった時刻だけ砂糖水を置く皿に通わせました。1929年の論文「ミツバチの時間記憶について」にまとめたものです[1]。
ハチは、皿から砂糖水がなくなったあとでも、教えられた時刻に皿へ来ました。置く時刻を変えて、教え直すこともできました。「餌があるから来た」わけではなく、時刻そのものを覚えていたことになります[1]。
もっと面白いのは、来る時刻の少し前から皿に集まり始める点です。時刻が近づくと数が増え、予定の時間帯の直前か最中にいちばん多くなり、そのあとすぐ減りました[1]。覚えているだけでなく、先回りして待っているように見えます。
フォン・フリッシュは、ミツバチの感覚や意思伝達の研究を中心とした業績で、1973年にローレンツ、ティンバーゲンとともにノーベル生理学・医学賞を受けました[7]。
時刻を知る力を実験で示したのが、フォン・フリッシュの指導のもとにあったイングボルグ・ベーリング(Ingeborg Beling)である。個体識別の印をつけた採餌バチを、1日のうち決まった時刻だけ砂糖水を満たす皿へ通わせ、その結果を1929年の論文『ミツバチの時間記憶(Zeitgedächtnis)について』にまとめた[1]。
この実験で大切なのは、対照になる確認がある点だ。砂糖水を取り除いたあとでも、訓練されたハチは覚えた時刻に皿へ来た。もし匂いや餌の有無で来ていたなら、皿が空では説明できない。さらに、給餌の時間帯を変えて再訓練することもできた[1]。
皿への訪問は、ただ時刻に現れるだけではなかった。給餌が予想される時刻の少し前から訪問が増え、予想される時間帯の直前か最中にピークを迎え、その後すぐ減った[1]。時刻を記憶し、それに先回りして行動する、という点が、後の「体内時計」の議論につながっていく。
なお、フォン・フリッシュは1973年に、コンラート・ローレンツ、ニコ・ティンバーゲンとともに、ノーベル生理学・医学賞を受けた。授賞理由は「個体的および社会的行動様式の組織化と誘発に関する発見」で、業績の中心にミツバチの感覚と意思伝達の研究がある[7]。ベーリングの論文は、その研究の流れの中にある。
時刻を覚えていることは確かめられた。では、その時計は、外の明暗や太陽の位置を見て動いているのか、それとも体の中だけで時を刻んでいるのか。
4. その 時計は、お日さまが 見えなくても うごくの?
4. 外の変化がとどかない場所でも、リズムは続いた
4. 一定条件でも続く自由継続リズム ── 24時間からの小さなずれ
では、この 時計は 太陽や 明るさを 見て うごいて いるのでしょうか。あとの 研究では、地下の しおの ほりばしょのような、外の ようすが とどかない 一定の 場所でも、ハチの リズムは つづくと ほうこく されました[1]。
ただし、1日は ぴったり 24時間では ありませんでした。こういう 場所では、24時間より 少し みじかい リズムで ハチが あらわれると 考えられました[1]。ハチの 時計は、人が つくる 時計と ちがって、少しだけ ずれる ようです。
外の 光に たよらない、体の 中の 時計が ある。それなら、その 時計で 太陽の うごきを 計算する とき、太陽が どう うごくかは、どこで おぼえたのでしょう。
時刻を覚える力は、外の明るさや太陽を見て動いているのでしょうか。それを確かめるには、外の変化を断った場所で調べる必要があります。
その後の研究では、塩坑のように条件が一定の場所でも、ハチのリズムは続いたと報告されています。ただし周期は、ちょうど24時間ではなく、少しだけずれました。一定の条件の下では、ハチは24時間より短い周期で早めに現れると考えられました[1]。外の明暗や太陽に頼らず、体の中で時を刻む時計があることを示す結果です。
ここまでで、時計はあるとわかりました。残るのは、その時計と、太陽の動きの知識がどこから来るのかという問いです。ハチは、太陽が1日にどんな道すじで動くのかを、経験で学ぶのでしょうか。
時刻の記憶が、外の環境の周期的な変化に頼っているだけなら、それを断てば消えるはずだ。そこで、環境を一定にした実験が重要になる。ベーリングの研究を振り返る総説は、時間記憶のリズムが、塩坑のような一定条件の下でも続くと述べる。リズムは周期が24時間から少しずれる自由継続(フリーラン)を示し、一定条件でハチは早めに現れた、つまり24時間より短い周期と考えられた[1]。
ここで押さえておきたいのは、「ずれが少しである」点だ。ちょうど24時間ではない一方、大きく外れるわけでもない。24時間に近い周期で自走する時計が体の中にあり、外の明暗や太陽を見ていなくても動く、という解釈が成り立つ[1]。
時計があることは分かった。次の問題は、その時計とセットで使う「太陽は1日のうちにどう動くか」という知識を、ハチがどこで身につけたのか、である。
5. 夕方の 太陽しか しらない ハチは、朝に どう おどる?
5. 夕方の太陽しか見たことのないハチは、朝にどう踊ったか
5. ダイアーとディッキンソンの実験(1994年)── 見たことのない太陽の動き
1994年、ダイアーと ディッキンソンは、たまごから ふ化させて そだてた ハチに、夕方の 太陽だけを 見せました。朝の 太陽は、一度も 見て いません[5]。
そして くもりの 日の 午前に、はじめて そとへ とばせました。すると ハチは 午前じゅう、前の 夕方の 太陽の ほぼ はんたいがわに 太陽が あるかのように おどり、正午ごろから 夕方の 向きを 使った と ほうこく されて います[5]。
見た ことの ない 朝の 太陽の うごきを、前から 知って いるような おどり でした。この じっけんを した ひとたちは、ハチが 見た ことの ない 太陽の 道すじまで、頭の 中に 見通しを つくって いると 考えて います[5]。
ただし これは、ミツバチの 一つの じっけんの 話です。ほかの 生きものにも そのまま 当てはまる とは 言えません。
1994年、ダイアーとディッキンソンは、孵卵器で育てたミツバチに、夕方の太陽だけを見せました。朝の太陽は、そのハチにとって一度も見たことのないものです[5]。
このハチを、曇りの日の午前に初めて外へ飛ばしました。曇りなので、太陽そのものは手がかりになりません。ハチは午前のあいだ、前の夕方の平均的な太陽の方位のほぼ反対(約180度)に太陽があるかのように踊り、正午ごろから夕方の方位を使ったと報告されています[5]。午前の太陽は、ほとんど動かないものとして扱われているように見えます。
夕方の太陽しか知らないのに、朝は反対側に太陽があるという見通しで踊った。要旨は、ハチが「直接見たことのない太陽の動き」の空間的・時間的な特徴を含む内部表現をつくっている、という結論を述べます[5]。
これはミツバチの実験での結果です。要旨の数字も、実験の条件を限った値で、あらゆる昆虫や季節に当てはまるとは言えません。
太陽の動きの知識は、経験で学ぶのか、前もって備わっているのか。これを分けるには、「ある時間帯の太陽を一度も見ていないハチ」を作ればよい。ダイアー(Dyer)とディッキンソン(Dickinson)は1994年、孵卵器で育てたハチに夕方の太陽だけを見せる設計でこれを実現した[5]。
そのハチを、曇りの日の午前に初めて飛ばした。曇りなら、太陽の位置を直接の手がかりにもできない。結果は、ハチが午前じゅう、前の夕方の平均方位のほぼ反対(約180度)に太陽があるかのように踊り、正午ごろから夕方の方位を使うというものだった。午前は、ほぼ動かない太陽を想定していると読める[5]。
この約180度という数字は、午前の太陽の絶対的な方位ではなく、前の夕方の平均方位との差である点に注意したい。要旨はこの結果から、ハチが一度も直接見たことのない太陽の動きの空間的・時間的な特徴を取りこんだ内部表現をつくる、と結論している[5]。
これは一つの種(ミツバチ)の、限られた条件での実験結果である。経験からその土地に合わせて細部を埋めていく可能性も残るため、「生まれつきすべてを知っている」とまでは言えない。ここで確かなのは、見ていない時間帯の太陽について、ハチが見通しをもって踊ったという観察そのものである。
では、この「見通し」は、具体的にはどんな補正のやり方になっているのか。そして、体内の時計は脳のどこで、方角を決める回路とつながるのか。
6. 時計と 太陽は、ハチの あたまの どこで つながるの?
6. 太陽の動きを補う方法と、時計がつながる場所の手がかり
6. 階段型の補正と時計神経の候補 ── 分かっていること、まだ分からないこと
太陽の うごきを どう 計算に 入れて いるかは、いくつか 考えられます。時間と ともに なめらかに うごかす やり方と、午前は 太陽が 東に あると して、正午に きゅうに 西へ 切りかえる「かいだん」の ような やり方です。ミツバチは かいだんに 近い 方だと されます[6]。
おおまかな 計算でも、大きくは はずれません。計算で しらべた 研究では、ほせいが 少し あらくても、大きくは こうりつが おちない という けっかが あります[6]。これは コンピューターの 計算で、ハチを はかった けっかでは ありません。
時計が 頭の どこで 太陽の 道すじと つながるかも、少しずつ 分かって きました。時計の 中心に なる 神経の なかまが、ハチの 方角の 回路の 近くまで とどきそうな 場所に あるという 手がかりが あります[2]。でも、これは 有力な こうほで、決まった 答えでは ありません。
太陽の動きを計算に入れる方法には、いくつかの型が考えられます。時間とともになめらかに動かす型と、午前は太陽が東にあるとして、正午に急に西へ切りかえる「階段」型です。ミツバチは階段型に近い補正を使うとされます[6]。
階段型でも、大きくは外れません。補正が粗くても、効率は大きくは落ちない、というモデル計算の研究があります[6]。これはコンピューター上の計算の結果で、ハチ自身を測った結果ではありません。
時計のほうは、脳のどこでつながるのかが調べられています。昆虫では、副髄質(ふくずいしつ)にあるPDF(色素拡散因子)を含む神経細胞が、体内時計に関わるとされます。ミツバチでは、方角を決める回路の神経細胞の近くに、PDFをもつ神経細胞が枝をのばすことが報告されています[2]。ただし、機能的につながっているかは、まだ実証されていません。
補正の方式には、時間とともに連続的に動かす型と、午前は太陽が東にあるとみなし、正午に急に西へ調整する階段型が考えられる。ミツバチは階段型に近いとされる[6]。連続型のほうが理にかなって見えるが、粗い補正でも効率は大きくは落ちない、というモデル研究の結果がある。ただしこれは計算上の結果で、ハチ自身の測定ではない[6]。
時計の側では、昆虫の概日時計には、副髄質(accessory medulla)にあるPDF(色素拡散因子)を含む神経細胞が関わり、PDFは時計の出力信号にあたるとされる。ミツバチでは、空コンパス経路の神経細胞の近くにPDF神経細胞が枝を伸ばすことが報告されている[2]。これは時計と回路の接点の候補を示す解剖学的な手がかりで、機能的な接続は実証されていない。
整理すると、確かなこと(時刻を覚える力、一定条件でも続くリズム、見たことのない太陽の動きへの見通し)と、まだ仮説の段階にあること(補正の型の細部、時計と方位回路の接点)が混ざった状態にある。その線引きを見分けることが、この分野の論文を読むときの要になる。
7. かげの 向きを 1日に 3回 見て みよう
7. 影の向きを3回記録して、ハチが頭の中で追うものを想像する
7. 影の位置を記録する ── 太陽の動きを自分のデータにする
ハチが やって いる 計算を、かげで 見て みましょう。はれた 日に、家の そとの うごかない ぼうや てすりを えらびます。道路の 近くは さけて、ベランダや 庭で おこないます。太陽は じかに 見ないで ください。
朝、昼、夕方の 3回、その かげの 先に 小石を ひとつずつ おき、石の ならびを 見ます。かげの 先は、時間と ともに うごいて いくはずです。
かげの 反対がわに 太陽が あります。ハチは 巣の 中で、この うごきを 頭の 中で 追って いるのかも しれません。
家のベランダや庭にある、動かない棒や手すりを選びます。道路のそばは避けます。太陽は直接見ません。
よく晴れた日の朝、昼、夕方の3回、その影の先に小石を置き、時刻をメモします。石が並ぶ向きと間隔を見れば、太陽が動いたことが影の動きとして目に見えます。影の反対側が太陽の方向です。
ハチは巣の中で、時計を手がかりの一つにして、ダンスの向きを補っていると考えられています。この記事で紹介した研究では、時刻を覚える力や、見たことのない太陽への見通しが調べられています。
家の庭やベランダで、動かない棒や手すりの影を使い、朝・昼・夕方の3回、影の先の位置を小石や記録で残す。太陽は直接見ない。道路のそばは避ける。
記録すると、影の向きは時刻の関数として変わり、反対側に太陽があると確認できる。ハチも太陽の動きを何らかの形で補っていると考えられるが、具体的な仕組みは研究中である。本文で見たとおり、補正の細部(連続型か階段型か、時計がどこでつながるか)は、まだ研究が続いている。
資料を読むなら、①ベーリングの研究を約100年の歩みとして振り返った総説(PMCに掲載、英語)[1]、②1994年の実験の要旨[5]、③日本語で太陽コンパスを短く読める百科事典の項目[4]の順が入りやすい。③を除き英語の資料なので、実験の条件は原文で確かめてほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:論文・総説、百科事典、ノーベル賞公式サイトを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Ingeborg Beling and the time memory in honeybees: almost one hundred years of research (PMC). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10995049/ (1929年の時間記憶の実験、先回りの行動、一定条件でのリズムについて。総説)
- Transmedulla Neurons in the Sky Compass Network of the Honeybee (PMC). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4667876 (踊りの向きの更新と、時計の神経と方位回路の位置関係について。論文)
- Waggle dance (Wikipedia). https://en.wikipedia.org/wiki/Waggle_dance (壁の真上と太陽の方向の対応、角度の調整について。百科事典)
- コトバンク「太陽コンパス」(世界大百科事典・日本大百科全書)。https://kotobank.jp/word/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9 (太陽コンパスの定義と、重力の向きの読みかえについて。百科事典)
- Dyer and Dickinson (1994), ミツバチの太陽補正の発達に関する論文, PNAS (PMC). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC43807 (夕方の太陽だけを見たハチの踊りについて。論文の要旨)
- The efficiency of varying methods and degrees of time compensation for the solar azimuth (PMC). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10663790/ (補正の型と、70%・約90%のモデル計算について。論文)
- The Nobel Prize in Physiology or Medicine 1973. https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/1973/summary/ (フォン・フリッシュの受賞について。ノーベル賞公式サイト)
なおした ところ
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