1. 黒板の 字は、なにで できて いるの?
1. 黒板の字は、粉が残った跡
1. チョークとは何か ── 字は「粉の跡」
チョークは、しろい こなを みずで ねって、ぼうの かたちに かためた ものです[1]。むかしから ある もとは、たんさんカルシウムと、石膏です[2]。
黒板に かくと、チョークの ほんの 少しが けずれて、こなに なって 黒板に のこります。字は、その こなが ならんだ ものと 考えられます。
そうだとすると、黒板けしで 消す ことは、字を なくす ことでは ありません。こなを 黒板から 取る ことです。では、取った こなは どこへ 行くのでしょう。
チョークは、焼いた石膏や炭酸カルシウムの粉を水で練り、型に入れて棒の形に固めた筆記具です[1]。黒板用には、炭酸カルシウムが主成分の石灰石の粉を粘結剤で固めたものと、石膏を使ったものがあります[2]。日本には1873年(明治6)にフランスから輸入され、1875年に国産品がつくられた、と紹介されています[1]。
黒板に書くとチョークが少しずつ削れ、粉になって黒板面に残ります。字はその粉の跡だと考えられます。貝殻入りチョークの開発資料でも、粉の付着のようすと線の鮮明さがいっしょに語られています[2]。つまり、黒板消しは粉を黒板面から取り除いている、と考えられます。
消すことが粉を取ることなら、取られた粉には行き先があります。次は、その行き先を見てみます。
チョークは、焼石膏や炭酸カルシウムの粉末を水で練り、型に入れて棒状に固めた筆記具である[1]。黒板用では、炭酸カルシウムを主成分とする石灰石粉末を粘結剤で固めたものと、石膏を用いたものがある[2]。国内には1873年(明治6)にフランスから輸入され、1875年に国産化されたという[1]。
筆記の際には棒の先が削れ、粉が黒板面に付着して線になる。ホタテ貝殻配合チョークの開発報告は、「粉の付着状態」と線の鮮明さをあわせて評価している[2]。したがって、字は粉の跡であり、消すとは粉を取り除くことだと解釈できる。字は粉の跡であり、消すと粉が黒板面から取り除かれると考えられる。
では、取り除かれた粉はどこへ行くのか。次章で、粉が空気中に出る問題に進む。
2. 消した こなは、どこへ 行くの?
2. 消した粉は空気へ ── 「たたいて落とす」の難点
2. 粉の行き先 ── 浮遊粉じんと清掃時の飛散
黒板けしが 白く なった ことは ありませんか。取った こなが、けしに ついて いるからです。
この けしを 外で ぼうなどで たたくと、こなが ぱっと とびます。まわりが よごれて しまうのが こまる ことだと、とっきょの 文書に 書かれて います[7]。
べつの とっきょでは、こなで 手や 服が よごれる ことや、すいこむと からだに よくない おそれも 書かれて います[8]。チョークの こなは、10マイクロメートル いかの とても 小さな つぶにも なると いわれます。1ミリメートルの 100ぶんの 1 いかの 大きさです[5]。
では、こなが とばない ように するには、どこから 手を つければ よいでしょう。
使い終わった黒板消しは、粉でいっぱいです。これまでは、棒などで叩いて粉を落とす方法がありましたが、粉が飛び散って周りを汚す難点があった、と特許の書類に書かれています[7]。
別の特許には、白い粉の飛散で手や服が汚れること、吸い込むと肺に影響が出るおそれがあることが、従来の課題として挙げられています[8]。Wikipediaの説明では、チョークは10マイクロメートル以下の浮遊粉じんを出すとされています[5]。10マイクロメートルは0.01mm、1mmの100分の1です。
消すたびに粉は少しずつ空気へ出ていきます。粉を出さないための工夫は、チョークそのものにもあります。
黒板消しに移った粉を棒などで叩いて落とす方法では、粉が飛散して周囲を汚す難点があった。これは黒板払いの掃除具に関する特許(JP3582008B2)に述べられた課題だ[7]。
電動黒板クリーナの特許(JPH0646719Y2)も、従来品では白粉の飛散で手や服が汚れ、吸い込むと肺に影響する恐れがあると課題を挙げる[8]。チョークは10マイクロメートル以下(0.01mm以下)の浮遊粉じんを発生させると、Wikipediaでは説明されている[5]。
いずれも特許の「従来の課題」の記述であり、現在の教室の状況を測った値ではない。粉の発生を、チョーク自体の側から減らす道は探られてきたのか。次章で成分から見る。
3. こなが とばない チョークは あるの?
3. 飛びにくいチョークは、粉が出ないチョークではない
3. 成分による違いと「ダストレス」の限界
チョークには、しゅるいが あります。主な ざいりょうが たんさんカルシウムの ものと、石膏(りゅうさんカルシウム)の ものです[4]。
高校生の じっけんでは、たんさんカルシウムの チョークは かたく、いろが よく 出ました。石膏の チョークは ねばり気が ありました。せいぶんが かき心地に えいきょうして いるかも しれない、と いう けっかです[4]。
日本理化学工業の「ダストレスチョーク」は、とびにくい チョークとして しょうかいされますが、こなが 出ない わけでは ありません[6]。
その くふうの 一つに、すてる かいがらを 使った ものが あります。
4. ホタテの かいがらが チョークに なる?
4. ホタテの貝殻が、チョークの原料になる
4. ホタテ貝殻配合チョーク ── 付着状態と資源利用
北海道では、ホタテを 食べた あとに、たくさんの かいがらが 出ます。この かいがらを チョークの げんりょうに した ものが あります[3]。
ホタテの かいがらも、たんさんカルシウムが 主な せいぶんです。日本理化学工業と 北海道の 研究所が、せっかいせきの こなの 一部を ホタテの かいがらの こなに かえて、チョークを 作りました。おれにくく なり、黒板に こなが よく くっついて、線が はっきり しました[2]。
2005年から 売られて います。北海道で 毎年 やく 20万トン 出る かいがらの うち、やく 80トンが 毎年 チョークに なります[3]。これは、かいがらの やく 2500ぶんの 1です。すてる ものを 教室で 役立てる、ちいさな 一歩です。
日本理化学工業と北海道立工業試験場は、ホタテ貝殻の粉末を、石灰石由来の粉末の一部に置き換えたチョークを開発しました。貝殻の主成分は炭酸カルシウムで、粒子が棒状をしています[2]。
開発品は、従来の炭酸カルシウムチョークより折れにくく、黒板への粉の付着状態がよく、線が鮮明になり、書き味も滑らかになりました[2]。粉がよく付くので、書いた線が鮮明になるという流れです。
2005年(平成17年)から商品化され、北海道で毎年約20万トン出るホタテ貝殻のうち、約80トンが毎年チョークの原料に使われています[3]。割合にすると約2500分の1、0.04%です。多くはありませんが、水産廃棄物だった貝殻が教室で役立っています。
ただし、貝殻入りだから粉が飛ばない、という資料はありません。次は、飛んでしまった粉のほうを取り除く道具です。
日本理化学工業と北海道立工業試験場は、ホタテ貝殻粉末(炭酸カルシウム主成分、粒子は棒状)を石灰石由来粉末の一部に置き換えたチョークを開発した[2]。従来の炭酸カルシウムチョークに比べ、折れにくく、黒板への粉の付着状態がよく、描線が鮮明で書き味も滑らかになったという。
この開発は2005年(平成17年)に商品化された。北海道の年間約20万トンのホタテ貝殻のうち約80トンが毎年チョーク原料に利用されている[3]。20万トンは道内の貝殻の排出量、80トンはチョークでの利用量で、比は約1/2500(0.04%)にすぎない。量は小さいが、水産廃棄物の用途が一つ増えたことになる。
粉の付着が良いことと、飛散が少ないことは別の性質だ。報告が示すのは付着と線の鮮明さであり、貝殻配合が飛散を減らすとは述べていない。飛散を減らすもう一つの道は、出てしまった粉を機械で回収することだ。
5. こなを すい取る どうぐは どう はたらくの?
5. 粉を吸い取る掃除具は、空気の通り道でできている
5. 吸引式黒板クリーナーの構成 ── 特許の一例から
こなを とばさずに 取る どうぐが あります。とっきょの 文書に 書かれた 一つの れいを 見て みましょう[8]。
中には 空気を すう ファンが あります。ファンが 回ると、黒板けしの こなが 空気と いっしょに すいこまれます。その 空気は、ぐるぐる まわる ベルトの ような ふるいを 通ります。こなだけが ここで ひっかかり、きれいに なった 空気が 外へ 出ます。
ひっかかった こなは、ひきだしに たまります。たとえば、ざるで めんを ゆでると、おゆは 通って、めんだけ のこります。ただし 本当の ふるいは、もっと ずっと 細かい あなで、こなを ひっかけます。
これは 一つの とっきょの れいで、どの 商品も 同じ しくみとは かぎりません。
叩くと粉が飛ぶ、という課題に対して、バキュームで吸引して回収する掃除具が特許で提案されています[7]。電動黒板クリーナの特許には、こんな構成が書かれています[8]。
まず、筐体の中の空気を、吸い込みファンで吸います。空気は、循環するベルト状の濾過材(回転フィルタ)を通り、白い粉が濾し取られます。きれいになった空気は筐体の外へ出て、白い粉は引き出しに回収されます。
たとえば、空気は水、フィルタは水切りのざるだと考えてみてください。水は通り、ごみだけがざるに残ります。ただし本物の回転フィルタは、ベルトが動き続けて詰まりを避けようとする点が、動かないざるとは違います。
これは特許の一例の構成で、すべての製品が同じ仕組みとは限りません。
叩き落としによる飛散という課題に対し、バキュームで吸引して回収する黒板払いの掃除具が、特許(JP3582008B2)で提案されている[7]。電動黒板クリーナの特許(JPH0646719Y2)に記された構成を見ると、次のとおりだ[8]。
回転駆動する吸い込みファンが筐体内の空気を吸入する。空気は、循環するベルト状の濾過材(回転フィルタ)を通り、白粉が濾過除去される。清浄化した空気は筐体外へ排出され、除去した白粉は引き出しの内部に回収される。ベルトを循環させるのは、粉が同じ場所に詰まり続けるのを避ける狙いと読めるが、これは筆者の推測で、特許の文言そのものではない。
これはあくまで特許の一例で、全製品が同じ構成とは限らない。
清掃具が機械でも、粉が出る量は0にならない。では、教室の空気のきれいさは、どの数字で見張られているのか。
6. 教室の 空気は、どのくらい きれいなら いいの?
6. 教室の空気に決まりはあるのか
6. 学校環境衛生基準 ── 浮遊粉じん0.10mg/m³以下
学校には、教室の 空気の きまりが あります。国が 決めた「がっこう かんきょう えいせい きじゅん」です[9]。
その 中に、空気中に ういている こなの りょうの 目安が あります。1立方メートルの 空気に つき、0.10ミリグラム いかです[9]。1グラムの 1万ぶんの 1です。
これは チョークの こなだけの きまりでは ありません。教室の 空気に ういている こな ぜんぶが たいしょうです。
この きまりには、黒板の ことも 書かれて います。黒板の 色の こさや、明るさ、ひかりの はんしゃの ことも きめられて います[9]。
学校環境衛生基準(文部科学省告示)は、教室内の浮遊粉じんを0.10mg/m³以下と定めています[9]。1m³の空気中に0.10mgまで、という意味で、1gの1万分の1です。測るときは、相対沈降径10μm以下の粉じんをろ紙に集め、その質量から求める方法などが使われます。
この基準はチョークの粉だけを対象にしたものではなく、教室の浮遊粉じん全体の値です。この基準値だけでは、実際の教室の濃度は分かりません。
同じ基準は黒板についても定めています。無彩色の黒板面は明度が3を超えないこと、黒板の照度は500lx以上が望ましいこと、黒板面に見え方を妨げる光沢がないことです[9]。粉の少ない工夫と、字の見やすさを守る基準は、同じ文書に並んでいます。
学校環境衛生基準(文部科学省告示、令和4年4月1日施行版)は、教室内の浮遊粉じんを0.10mg/m³以下とする。測定は、相対沈降径10μm以下の粉じんをろ紙に捕集し、質量から求める方法などによる[9]。0.10mgは1gの1万分の1にあたる。
注意すべきは、これがチョーク粉に限らない教室全体の浮遊粉じんの基準である点だ。基準の数字だけでは、チョーク粉が占める割合も、黒板消し使用時の値も分からない。この基準値だけでは、実際の教室の濃度は分からない。
同じ基準は黒板面も定める。無彩色の黒板面の明度は3を超えないこと、黒板と教室の照度は500lx以上が望ましいこと、見え方を妨げる光沢がないことだ[9]。字を見やすくする条件と、粉の量を抑える条件が、同じ文書に置かれている。
7. 黒板けしで 消した あとを、よく 見て みよう
7. 消した後の黒板を観察してみる
7. 消した後の黒板を観察し、原典を読んでみる
じゅぎょうが おわった あとに、先生と いっしょに 見て みましょう。こなを まわせる ことは しません。
黒板を、よこから 見て みます。字は 見えなく なって いますか。うっすらと 白い ところは のこって いませんか。
もう 一つ。黒板けしの めんも 見て みましょう。白く なって いれば、こなが うつった しるしと 考えられます。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
特許は一例の構成、Wikipediaは補助的な説明として使いました。
- コトバンク 日本大百科全書「チョーク」。 https://kotobank.jp/word/チョーク (チョークの材料、日本への伝来について)
- 北海道立工業試験場 技術情報「ホタテ貝殻を配合したチョークの開発」。 https://www.hro.or.jp/upload/2670/30-03-07.pdf (黒板用チョークの種類、貝殻配合チョークの性能について)
- 北海道立総合研究機構 産業技術研究本部「水産廃棄物を使って性能向上 ホタテ貝殻を活用したチョークの開発」。 https://www.hro.or.jp/upload/56593/iri_dustless_chalk.pdf (商品化の年、貝殻の量について)
- 伊那北高校 理数科課題研究「チョークの成分と書き味について」。 https://www.nagano-c.ed.jp/ina/B_educationalinfo/2019/kadaikenkyu/R1kagaku1.pdf (成分による書き味の違いについて)
- 日本語版ウィキペディア「チョーク」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/チョーク (浮遊粉じん、比重と飛散の説明について)
- ライフハッカー[日本版]ダストレスチョーク紹介。 https://www.lifehacker.jp/article/160202lht_dustless_chalk/ (ダストレスチョークの紹介について)
- 特許 JP3582008B2「黒板払きの掃除具」。 https://patents.google.com/patent/JP3582008B2/ja (黒板消しを叩く方法の難点について)
- 特許 JPH0646719Y2「電動黒板クリーナ」。 https://patents.google.com/patent/JPH0646719Y2/en (吸引式クリーナーの構成の一例について)
- 文部科学省 学校環境衛生基準(令和4年4月1日施行版)。 https://www.mext.go.jp/content/20230817-mext_kenshoku-100000613_1.pdf (教室の浮遊粉じん、黒板の基準について)
なおした ところ
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