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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

月食の 月は、どうして 赤く なるの?

影に入った月が消えないのはなぜか ── 赤い月は、地球の夕焼けの光

皆既月食の赤銅色 ── 大気による屈折と散乱、噴火の影響、ダンジョンの尺度

分野:宇宙・天文

月が 地球の かげに すっぽり 入ると、月は 見えなく なりそうです。ところが、ほんとうは 赤黒い 月が のこります。

その 赤い 光は、どこから きたのでしょう。いっしょに たどって みましょう。

皆既月食では、月は地球の影のいちばん濃いところに完全に入ります。太陽の光は地球にさえぎられているのに、月は真っ暗にならず、赤黒く見えます。

その光の正体は、地球の夕焼けや朝焼けの光です。仕組みと、火山の噴火で色が変わった年の記録、色を記録するものさしの話を見ていきます。

皆既月食中の月は、地球の本影に完全に入っていながら、「赤銅色」と呼ばれる赤黒い色に見える[1]。この光は、地球の大気を通るときに曲げられた太陽光である[2]。

このメモでは、色が生じる仕組み(屈折と散乱)、NASAの「地球中の日の出と日の入り」という説明[3]、噴火のあとに色が変わった1982年と1993年の例[4]、色の目安「ダンジョンの尺度」[1]を、国立天文台とNASAの資料でたどる。

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1. 月は、きえて しまわないの?

1. 光がさえぎられても、月は見える

1. 皆既食中の月 ── 本影の中でも暗黒にならない

月食は、太陽と 地球と 月が 一列に ならんで、月が 地球の かげに 入る ことです。かげの まんなかに 月が すっぽり 入るのが、いちばん ふかい 月食です。

そのとき 月は、まっくろに ならず、赤黒い 色に 見えます[1]。しゃくどう色と いう、ふるい ことばで よばれます。

太陽の 光は 地球に さえぎられて いるはずです。ふしぎですね。

赤黒く残る月

太陽・地球・月が一直線に並び、月が地球の本影(影のいちばん濃い部分)に入るのが月食で、本影に月全体が入った状態が皆既食です。

国立天文台の資料によると、皆既食中の月は真っ暗にならず、「赤銅色」と呼ばれる赤黒い色に見えます[1]。赤銅は銅の合金の名で、その色にたとえた呼び名です。

直接の光が届かないはずの場所に、光がある。この矛盾が、この話の入口です。

月が地球の本影に完全に入った状態が皆既食である。本影の内側では太陽本体が地球に隠れているが、月は消えず、「赤銅(しゃくどう)色」と呼ばれる赤黒い色に見える[1]。

2026年3月3日の皆既月食では、皆既食は20時04分ごろから21時03分ごろまで、約59分続いた[1]。月食の始まりや終わりの時刻は、月が見える地域ならどこで見ても同じである。月の表面で起こることを遠く離れた地球から見ているためと説明されている[1]。

2. 光は、どこを とおって きたの?

2. 大気がレンズになって、光を影の中へ曲げる

2. 屈折 ── 大気が太陽光を本影の内側へ曲げる

地球の まわりには、空気の そうが あります。たとえば、水を 入れた コップの むこうが ゆがんで 見える ことが ありますね。空気も、光を すこし まげます。

太陽の 光は、地球の ふちの 空気を とおる とき、まがって かげの 中へ 入りこみます[2]。その かすかな 光が、月を てらします。

ただし、水と 空気では まげる 強さが ちがいます。ここでは 「光が まがる」ところだけ おなじです。

地球の縁を通る光

地球をとりまく大気は、レンズのような役割を果たします。地球の縁ぎりぎりを通った太陽光は屈折して、本影の内側へ入り込みます[2]。このかすかな光が、皆既食中の月面を照らします[2]。

もし地球に大気がなければ、光はまっすぐ進むだけで、本影の中の月には届かないはずです。月食の月が見えるのは、地球が空気に包まれているからでもあります。

国立天文台の解説では、大気がレンズのような役割を果たし、太陽光が屈折して本影の内側に入り込む。この弱い光が皆既食中の月面を照らすとされる[2]。

NASAも、皆既食の月が赤く見えるのは、地球の大気で曲げられた太陽光が月に届くためだと説明している[3]。大気がない天体なら、本影の中は光の届かない領域になる、というのが単純な予想である。

3. 青い 光は、どこへ いったの?

3. 青は散り、赤が残る ── 夕焼けと同じ理由

3. 散乱 ── 波長の短い光ほど大気で進行方向を外れる

光には、青い 光と 赤い 光が まざって います。青い 光は、空気の つぶに ぶつかって、あちこちへ はねかえされやすい 光です[1]。

赤い 光は、はねかえされにくく、よわく なりながらも 先へ すすみます。

これは、夕やけが 赤いのと おなじ 理由です[1]。月に とどく 光は、地球の ふちの 空気を とおって きた、赤みの 強い 光なのです。

散乱される青、通り抜ける赤

太陽光には、波長の短い青い光から、波長の長い赤い光までが混ざっています。国立天文台の資料では、波長の短い青い光は空気の分子に散乱されて大気をほとんど通過できず、赤い光は散乱されにくく、弱まりながらも通過するとされています[1]。

青い光は消えるのではなく、散乱によって進行方向が変わり、月へ向かう道から外れます。朝日や夕日が赤く見えるのも、同じ理由です[1]。

太陽光に含まれる波長の短い青い光は、大気中の空気分子によって散乱され、大気をほとんど通過できない。波長の長い赤い光は散乱されにくく、弱まりながら通過する[1]。朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由である[1]。

ここで、青い光が「なくなる」わけではない点に注意が要る。散乱とは進行方向が変わることで、月へ向かう光の中の青の割合が減る。NASAは、青い光は散乱されやすく、赤みがかった光はより直進すると述べている[3]。

4. 月から 見た 地球は、どんな 形?

4. 月から見れば、地球のふちは夕焼けの輪

4. NASAの説明 ── 地球中の日の出と日の入りが月に映る

月に 立って、地球を 見あげた ところを 思いうかべて みましょう。月食の とき、太陽は 地球の 後ろに かくれて います。

地球の ふちの 空気が、赤く 光る わのように なると 考えられます。わの どこかで 夕やけが 起きて いる ためです。

NASAは、地球中の 日の出と 日の入りが、月に うつって いるようだと せつめいしています[3]。

地球の縁を一周する朝焼けと夕焼け

NASAの解説には、月食の赤い月は、地球中の日の出と日の入りが月に映されているようなものだ、という表現があります[3]。

月食のときの月から地球を見ると、太陽は地球の後ろに隠れています。地球の縁の大気を通った光が、そのまま輪のように月へ向かっていると考えると、この説明のイメージがつかめます。地球のどこかで起きている朝焼けと夕焼けを、全部まとめて月が受け止めている形です。

NASAは、月食の赤い月を「地球中の日の出と日の入りが月に映されているようなもの」と説明している[3]。月から見て地球が太陽を隠すとき、地球の縁全体が、大気で赤く曲げられた光の輪になる、という見方になる。

この「輪」の見え方は、月面から実際に見るわけにはいかず、資料の説明にもとづく想像である。一方、地球側の仕組み(屈折と散乱)は国立天文台の解説で確認できる[2]。

5. 月の 色は、まい回 おなじ?

5. 色は毎回ちがう ── 噴火の後の月食

5. 色の変動 ── ちりの量と大規模噴火(1982年・1993年)

月食の 月の 色は、まい回 おなじでは ありません。空気に ちりが 多いか 少ないかで、明るさや 色が かわります[1]。

1982年の 12月の 月食では、月が まっくらに なって、ほとんど 見えませんでした[4]。その 年の 春に、メキシコの 火山が ふんかして いました。火山の はいが 空高くまで のぼった ためと 考えられて います。

ちりが少ないと明るく、多いと暗い

国立天文台の資料によると、大気中のちりが少ないと月は明るいオレンジ色に、多いと黒っぽく見えることがあります。大規模な噴火の噴出物が成層圏まで達したときは、黒っぽい皆既食が観察されています[1]。

1982年と1993年

1982年12月30日の皆既月食は真っ暗で、月がほとんど見えませんでした。同じ年の春に噴火したメキシコのエルチチョン火山の火山灰などが成層圏に達した影響と考えられています[4]。

1993年6月4日の皆既月食は、月面のほとんどが灰色で、わずかに赤みがかって見えました。1991年のフィリピン、ピナツボ火山の大噴火の影響が2年後まで残ったためと推測されています[4]。

皆既中の月の色は毎回同じではない。大気中のちり等が少ないと明るいオレンジ色に、多いと黒っぽく見える。大規模噴火の噴出物が成層圏に達したときには、黒っぽく見える皆既食が観察されている[1]。NASAは、ちりや雲が多いほど月は赤く見えると述べている[3]。前者は黒っぽさ(明るさ)、後者は赤みという別の面を述べているのかもしれない。いずれにしても、明るさや色味は大気の状態によって変わる。

国立天文台の解説には二つの例がある[4]。

  • 1982年12月30日の皆既月食は真っ暗で、月がほとんど見られなかった。同年春のエルチチョン火山(メキシコ)の噴出物が成層圏に達したためと「考えられている」。
  • 1993年6月4日の皆既月食は、月面の大部分が灰色でわずかに赤みがかっていた。1991年6月のピナツボ火山(フィリピン)の大噴火の影響が2年後まで残ったためと「推測されている」。

6. 月の 色を、どうやって きろくする?

6. 色を測るものさし ── ダンジョンの尺度

6. ダンジョンの尺度 ── 0から4の5段階

フランスの 天文学者、ダンジョンさんは、月食の 色が 毎回ちがうことに、100年ほど 前に 気づいたと されます[1]。そこで、色を 0から 4までの 5つに わけて しらべました。

0は まっくろで、月が ほとんど 見えません。4は オレンジ色の とても 明るい 月食です。

いまも、月食の 色を きろくする ときの めやすに なって います。

0から4までの色の目安

フランスの天文学者ダンジョンは、皆既中の色が食ごとに違うことに20世紀初頭に気づき、独自の「ダンジョンの尺度」で調べました[1]。国立天文台の資料では、次のように紹介されています[1]。

  • 0:非常に暗い。月の中心部がほぼ見えない(黒)
  • 1:灰色か褐色がかった暗い食
  • 2:赤、または赤茶けた暗い食
  • 3:赤いレンガ色の食
  • 4:赤銅色かオレンジ色の非常に明るい食

肉眼での観察が基本で、双眼鏡や望遠鏡を使うと明るさの感じ方が変わる、と注意書きがあります。

フランスの天文学者ダンジョンは、皆既月食の色が食ごとに違うことに20世紀初頭に気づき、「ダンジョンの尺度」と呼ばれる色の目安で調べた。この尺度は今も皆既中の色の観察に使われる[1]。

尺度は0から4の5段階で、国立天文台の資料では次のように示されている[1]。

  • 0:非常に暗い食。月の中心部がほぼ見えない(黒)
  • 1:灰色か褐色がかった暗い食
  • 2:赤もしくは赤茶けた暗い食
  • 3:赤いレンガ色の食
  • 4:赤銅色かオレンジ色の非常に明るい食

肉眼観察が基本で、双眼鏡・望遠鏡では明るさの感じ方が変わる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

空が 赤い 夕方に、空を 見て みましょう。太陽は 目で 見つづけては いけません。空の 赤さだけを 見ます。あの 赤が、月食の 月を てらす 光と 同じ なかまです。

これから できること

日本全国で 次に 見られる、月が ぜんぶ かくれる 月食は、2029年1月1日と、国立天文台が あんないして います。月の 色を 0から 4で きめて みましょう。

くわしくは、国立天文台の ホームページを 見て みて ください。

今日できること

夕焼けや朝焼けの空を見て、色の濃さを見比べてみましょう。太陽そのものは直接見ず、空の色だけを見ます。月食の月を照らす光と、同じ仕組みの色です。

次の皆既月食に向けて

国立天文台の案内では、日本全国で次に見られる皆既月食は2029年1月1日です[5]。ダンジョンの尺度に照らして、自分の目で見た色に0〜4の数字をつけて記録してみるのもよい方法です。肉眼で見るのが基本です。

公式情報

時刻や見え方の最新情報は、国立天文台の「天文情報」で確認できます。

今日できること

夕焼けの空を見て、色の濃さと明るさを見比べてみる。太陽を直接見ず、空の色だけを見る。月食の赤い月を照らす光と同じ仕組みで生じる色である。

次の観察機会

国立天文台の案内では、日本全国で次に皆既月食が見られるのは2029年1月1日である(欠け始めは0時7分ごろ)[5]。ダンジョンの尺度で0〜4の数字を記録し、当日の天候も書き添えておくと、色の違いを考える手がかりになる。

資料を読む

国立天文台の解説資料[1]と「月食とは」[2]、NASAの解説[3](英語)、国立天文台の「皆既月食中の月の色について」[4]が、この話の元になる資料である。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

記事づくりに使った資料です。国立天文台とNASAの資料をつき合わせています。

  1. 国立天文台「2026年3月3日 皆既月食 解説資料」 https://www.nao.ac.jp/contents/astro/sky/2026/03/lunar-eclipse-factsheet.pdf (赤銅色・散乱・色の変化・ダンジョンの尺度・時刻)
  2. 国立天文台「月食とは」 https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse.html (大気のレンズ作用と屈折)
  3. NASA Science「Eclipses and the Moon」 https://science.nasa.gov/moon/eclipses/ (地球中の日の出と日の入りという説明・ちりの効果)
  4. 国立天文台 天文情報「皆既月食中の月の色について」 https://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20111210/about/color.html (1982年・1993年の月食)
  5. 国立天文台「2026年3月 天文トピックス」 https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2026/03-topics02.html (次の皆既月食の日付)

なおした ところ

更新履歴

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