1. ちいさな 脳が、どうして たくさん エネルギーを つかうの?
1. 重さは2%なのに、エネルギーは約20%
1. 体重比約2%、消費は約20% ── 使い道の大半は「情報のやりとり」の維持
脳は、からだの おもさの 約2%しか ありません。それなのに、からだが つかう エネルギーの 約20%を つかって います[1][2]。おもさの わりには、からだ ぜんたいの へいきんの 10ばい くらい つかう 計算です。
どうして、そんなに つかうのでしょう。むずかしい ことを かんがえて いる とき だけ では ありません。脳の エネルギーは、ぼんやり して いても、ひっしに かんがえて いても、あまり かわらないと いわれます[1]。
たとえば、おみせを おもいうかべて ください。おきゃくさんが いなくても、でんきは ついて いて、れいぞうこも うごいて います。脳も、すこし にて います。
ただし、これは たとえです。脳の ばあいは、神経細胞どうしが れんらくを とりあう ことに、エネルギーの 6わりから 8わりが つかわれる、と みつもられて います[1]。いま めの まえの ことに ふえる ぶんは、ぜんたいの 0.5〜1%ほど、と みつもる 研究も あります[9]。
しんぞうや じんぞうも、エネルギーを たくさん つかいます。脳だけが とくべつ では ありません。では、この れんらくで、脳の どこが なにを して いるのでしょう。
ふだん、脳が大きな仕事をしているという実感は、あまりないかもしれません。ところが、成人の脳は体重の約2%の重さなのに、体が使う酸素、つまりエネルギーの約20%を使っています[1][2]。同じ重さあたりで比べると、全身の平均の約10倍の使い方になります(20÷2の計算です)。
そのエネルギーは、むずかしい考えごとのために使われているのでしょうか。じつは、そうではありません。脳のエネルギー消費は、頭を使っているときも、ぼんやりしているときも、大きくは変わらないとされています[1]。
使い道の大部分は「連絡」
見積もりでは、消費の約60〜80%が、神経細胞どうしが信号をやりとりする過程に使われるとされます。目の前の課題に応じて増える分は、全体の0.5〜1%ほどという推定があります。この推定は、2006年の解説論文(Raichle)を引いた二次的な紹介にもとづきます[1][9]。
お店にたとえると、お客さんが来ていなくても電灯がつき、冷蔵庫が動き続けているような状態です。ただし脳の場合、その「電気」は、細胞どうしの連絡という脳の仕事そのものに使われています。
誤解しやすいので書いておくと、この数字は「考えても脳は疲れない」という意味ではありません。また、心臓や腎臓など、ほかの器官もエネルギーをたくさん使います。脳だけが特別な大食いというわけではありません。
では、その休みない連絡のなかで、脳のどの部分が何を受け持っているのでしょうか。
脳は体重の約2%の重さしかないが、体が使う酸素の約20%、したがってエネルギーの約20%を消費する[1]。別の総説(Roth & Dicke, 2005)にも同じ比率が出ている[2]。重さあたりに直すと、全身の平均の約10倍(20÷2)にあたる。
この大きな消費は、難しい課題に取り組むための追加費用だろうか。そう考えると予想が外れる。脳のエネルギー代謝は、精神活動や運動の程度が大きく変わってもほぼ一定とされ[1]、使い道の約60〜80%は神経細胞どうしの信号のやりとりに関わる過程にあてられると見積もられている[9]。いま目の前の出来事に応じた追加分は、全体の0.5〜1%程度という推定がある(Raichle, 2006の見積もりを、2002年論文[1]などの二次的な紹介から引いた)[9]。
この数字の読み方
平均的な脳についての見積もりであり、「考えても疲れない」という意味ではない。0.5〜1%は、あくまで見積もりである。また、心臓・肝臓・腎臓など、ほかの器官もエネルギー消費は大きい。脳だけが特別に大食いだとは言えない。それでも、重さの割に消費が大きく、しかも「何もしていない」ときの消費の大半が神経細胞間の情報のやりとりに回るという点は、脳の性質をよく表している。
では、その絶え間ない情報のやりとりは、脳のどの部分が何を受け持つ形で成り立っているのか。
2. 脳の なかでは、だれが なにを して いるの?
2. 息を続ける係、感覚を届ける係、動きを整える係、考える係
2. 脳幹・視床・小脳・大脳 ── 部位ごとの役割分担
脳の いちばん したの ほうに、延髄と いう ところが あります。ここには、いきを する、しんぞうを うごかす、ものを のみこむ、といった 大じな しごとを ととのえる ところが あります[5]。ねて いる ときに、いきを しようと 思わなくても つづくのは、こう いう ところが あるから だと かんがえられて います。
その うえの ほうには、視床と 視床下部が あります。ししょうは、においを のぞく 目や 耳などの 知らせを、大脳へ とどける 中つぎの ところです。ししょうかぶは、たいおんや しんぞうの うごき、食べる こと、水を のむ ことを ととのえる まとめやくです[5]。
うしろの ほうの 小脳は、あるく、はなす、こまかい ことを する ときの うごきを なめらかに します。れんしゅうして じょうずに なる ときにも はたらくと いわれます[5]。ピアノや テニスの うごきも、れいに あげられて います[6]。
いちばん 大きな 大脳は、かんがえる、おぼえる、けいかくを たてる、そうぞうする ところです[6]。
ここで しょうかいした のは、おもな やくわりの 一部です。ひとつの ぶぶんだけで はたらく わけでは ありません。では、これらを ささえる さいぼうは、いくつ あるのでしょう。
夜、眠っている間も、息は止まりません。それは「息をしよう」と考えているからではなく、脳の下のほうの部分が、休みなく調節を続けているからと考えられます。
下から順に見る
脳の下のほうにある延髄には、呼吸、心臓の動き、血管の太さ、ものを飲み込む動きを調節する中枢があります。延髄を含む脳幹には、大脳が目覚めた状態を保つのを助ける網様体もあります[5]。NINDSも、後脳(脳幹と小脳)を、呼吸や心拍など生命の維持を担う部分として説明しています[6]。
その上にある視床は、においをのぞくほとんどの感覚の情報を大脳皮質に中継します。すぐ下の視床下部は、体温や血圧、心拍、食べることや水を飲むことの調節の高い位置にある中枢です[5]。
動きを整える小脳、考える大脳
後ろ下にある小脳は、感覚や大脳皮質からの情報をもとに運動を調節します。姿勢を保って歩く、なめらかに話す、細かい作業をする、といった動きを支え、練習で動きがうまくなる学習にも関わります[5]。NINDSは、ピアノやテニスの動作を例にあげています[6]。
一番大きな大脳は、意識的な考えや行動のもとであり、記憶をたもち、計画し、想像し、考えることを可能にする部位とされています[6]。
ここで挙げたのは、主な役割の一部です。たとえば、感覚の知らせは視床を通って大脳皮質に届き、小脳はその感覚や大脳皮質からの情報を受けて動きを調節します。部位どうしは、互いの情報を使いながら働いています[5]。意識が保たれるのも、大脳皮質と、脳幹の網様体の働きによるものです。
この分担を支える細胞は、全部でいくつあるのでしょうか。
眠っている間も呼吸が続くのは、延髄に呼吸中枢・心臓中枢・血管運動中枢・嚥下中枢などの生命維持の中枢があるためと説明される。脳幹の網様体は、大脳の覚醒を保つ働きをもつ[5]。NINDSも、後脳(脳幹と小脳)が呼吸や心拍など生命維持を担うとまとめている[6]。
その上の間脳では、視床が嗅覚以外のすべての感覚情報を大脳皮質へ中継し、視床下部は体温・血圧・心拍・摂食・飲水などを調節する自律神経系と内分泌系の高位中枢となる[5]。感覚が大脳皮質に届くまでに、視床という中継点を通る点が重要である。
運動を整える小脳と、考える大脳
小脳は、感覚・脊髄・大脳皮質からの入力を受け、錐体路などを介して運動を調節する。歩行での姿勢の維持、なめらかな発話、細かい動作、そして運動の学習が、その働きの例である[5]。NINDSは、ピアノやテニスの動作を例示している[6]。大脳は、意識的な思考と行動の源で、記憶を保ち、計画し、想像し、考えることを可能にするとされる[6]。
役割分担の読み方
これは各部位の「主な」役割であり、1か所が1つの仕事を独占するわけではない。感覚は視床を経て大脳皮質に届き、小脳はその入力と大脳皮質からの情報をもとに運動を調節する、というように、部位は情報を受け渡しながら働く[5]。意識の維持も、大脳皮質と上行性網様体賦活系の働きによる。脳幹・間脳・大脳皮質のいずれが障害されても意識障害が起こりうるのは、このためと説明される[5]。
では、これらの部位を構成する細胞は、全部でいくつあるのか。
3. 細胞は いくつ あって、どこに いちばん おおいの?
3. 「神経細胞1000億個」は実測ではなかった
3. 神経細胞は約860億 ── 溶かして数えた2009年の測定と、小脳に偏る分布
脳の 神経細胞は「1000おく こ」と、むかしから よく いわれて きました。でも、これは じっさいに かぞえた かずでは ありませんでした[3][4]。
2009年に、脳を とかして、細胞の 中の 「かく」を かぞえる ほうほうで しらべられました。おとなの 男の 人 4人に きょうりょく してもらい、その 脳を しらべました。神経細胞は へいきん 約861おく こ。神経細胞では ない 細胞も 約846おく こで、かずは ほぼ おなじでした[3]。
いちばん おおいのは どこでしょう。いちばん 大きな 大脳皮質では ありません。おもさの 約82%を しめる のに、神経細胞は 約19%です。小脳は、おもさが 約10%なのに、神経細胞の 約8わりが あります[3]。
861おくの 8わりは、約690おく こ(けいさんです)。ちいさな 小脳に、ぎゅっと つまって います。
ただし、だれの 脳でも ちょうど 861おくと いう わけでは ありません。ひとり ひとり、すこし ずつ ちがいます。さて、この たくさんの 細胞は、まわりの ことを どう つかんで いるのでしょう。
「脳には神経細胞が1000億個ある」。どこかで聞いたことがあるかもしれません。ところが、MITの解説資料(研究論文ではなく、二次資料です)によれば、この数を支える査読論文は存在せず、ほかの測定から概算されたものだといいます[4]。
脳を溶かして、核を数えた
2009年、アゼヴェドらの研究チームは、脳の組織を溶かし、細胞の核を数える方法で、成人男性4人に協力してもらい、その脳を調べました。結果は、神経細胞が平均約861億個、神経細胞以外の細胞が約846億個で、数はほぼ同じでした[3]。「神経以外の細胞は神経細胞の10倍」という通説も、この実測ではあてはまりませんでした。ただし、調べたのは4人で、ばらつきは約81億個あります。「ちょうど860億」と覚えるのは正確ではありません。
一番多いのは、一番大きい部分ではなかった
部位ごとの内訳も分かりました。大脳皮質は脳の質量の約82%を占めますが、神経細胞は全体の約19%です。一方、小脳は質量の約10%しかないのに、神経細胞の約8割があります[3]。861億の8割は約690億個で、約160億個が大脳皮質にあたります(どちらも計算です)。同じ重さあたりで比べると、小脳は大脳皮質の30倍をこえる細胞が詰まっている計算になります。
歩く、話す、細かい動作をなめらかにする仕事に、これだけの細胞が使われているという見方もできます。ただし、数と働きを1対1で結びつけてよいかは、慎重に考えたいところです。
これだけの細胞は、入ってきた感覚に反応するだけの装置なのでしょうか。
「ヒトの脳には神経細胞が1000億個あり、グリア細胞はその10倍」。長く教科書的に語られてきたこの数は、実測にもとづくものではなかった。MITの解説資料(二次資料)は、この数を支える査読論文はなく、ほかの測定からの概算だったと説明する[4]。
そこで2009年、Azevedoらは、脳組織を溶かして細胞の核を数える方法(等方性フラクショネーター法)を使って、成人男性4人に協力してもらい、その脳を調べた。結果は神経細胞が平均約861億(±約81億)、神経細胞以外の細胞が約846億(±約98億)で、数はほぼ同じだった[3]。グリア細胞を神経細胞の10倍とする通説は、この実測では成り立たなかったことになる。ただし、調べたのは成人男性4人で、個体差が大きい。「ちょうど860億」と書くのは正確でない。
数は大脳皮質より小脳に偏る
部位ごとの内訳も見えた。大脳皮質は脳の質量の約82%を占めるが、神経細胞は全体の約19%にとどまる。小脳は質量の約10%で、神経細胞の約8割をもつ[3]。861億の8割は約690億個、19%は約160億個になる(丸めた数字からの計算)。同じ質量あたりに直すと、小脳は大脳皮質より30倍をこえる密度で神経細胞が詰まっている。
この偏りは、小脳が運動の調節と学習という、膨大な入力を処理しつづける役割をもつことと、並べて考えたくなる。しかし、細胞の数と働きの関係を1対1で結ぶ根拠は、ここで使った資料には示されていない。数が多いこと自体が、働きの大きさや「賢さ」を決めるわけではない点に注意が要る。
これだけの細胞は、入ってきた感覚に反応するだけの装置なのか。
4. 脳は、おこった ことに あとから きづくだけ なの?
4. 脳は「先に予測している」という考え方
4. 予測符号化 ── 感覚を受け取る器官ではなく、予測を更新する器官という見方
くらい かいだんを おりて いて、さいごの 一だんが なくて、どきっと した ことは ありませんか。あしは「ここに ゆかが ある」と 思って いたのです。
脳は、これまでの けいけんから「つぎは こう なるはず」と 予測する、と いう かんがえが あります。そして、じっさいに かんじた ことと くらべ、ずれが あれば、予測を なおして いきます[7]。
脳は、ただ うけとって いるのでは なく、じぶんで 見て いる せかいを つくって いる、と いう みかたです[8]。
ただし、これは まだ「理論」や「仮説」の だんかいです。脳の さいぼうの つながりで、どう おこって いるのかは、まだ よく わかって いません[8]。
暗い階段を降りていて、最後の1段がなく、ドキッとしたことはありませんか。足は「ここに床がある」と思って出ていたのです。
この「ずれ」を説明する考え方に、予測符号化とよばれる理論があります。脳は過去の経験をもとに外の世界を予測し、実際に入ってきた感覚との不一致(予測エラー)を使って、予測を更新しつづけるというものです[7]。
受け身ではないという見方
生理学研究所の研究会資料も、脳は感覚器から入る刺激に受け身で反応しているのではなく、内部モデルの予測と実際の感覚信号を比べ、ずれにもとづいて内部モデルを更新し、知覚を能動的に生み出す、と説明しています[8]。
理論の段階であること
ただし、これは仮説や理論として研究されている枠組みで、脳の仕組みの確定した事実ではありません。神経回路のなかでそれがどう実現されているかは、まだ分かっていません[8]。先ほどの階段の例も、この考え方で説明しやすい場面にすぎません。
暗い階段で、最後の1段がないと分かったときの「ドキッ」は、予測がはずれた感覚として語られやすい。こうした現象を説明する枠組みの1つが、予測符号化である。脳が過去の経験にもとづいて外界を予測し、実際の感覚入力との不一致(予測エラー)によって予測を継続的に更新するという理論だ[7]。
受け身の受信器ではない
生理学研究所の研究会資料は、脳は感覚器から入る刺激に受動的に反応するのではなく、内部モデルによる予測と実際の感覚信号を比較し、そのずれ(予測誤差)の計算にもとづいて内部モデルを更新し、知覚を能動的に生み出すとまとめる[8]。この見方では、感覚は「入ってきたものをそのまま受け取る」のではなく、「予測との差」として処理される。
確かさの層を分ける
ここまでの内容には、確かさの違う層がある。エネルギー消費の比率や神経細胞数は、測定・計算にもとづく数値である。予測符号化は、それに対して、理論・仮説として研究されている枠組みだ。同じ資料が、この仕組みが神経回路でどう実装されているかは未解明だと述べている[8]。したがって「脳は予測している」を、確定した事実として書くのは避けたい。
では、ここまでの話を、自分の体の上でどう確かめられるのか。
5. じぶんの 脳の はたらきを さがして みよう
5. 息をするときや歩くときに、脳の分担を探してみる
5. 出口 ── 自分の体で試せることと、原典に当たるときの目安
ひとつめは、いきを 10かい かぞえる ことです。むりに ふかく すわず、ふだんの いきの ままで かまいません。じぶんで ひっぱって いなくても、いきは ずっと つづいて います。脳の したの ほうの はたらきだと いわれます[5]。
ふたつめは、あんぜんな ひらたい ところで、ゆっくり あるいて、あしを だす じゅんばんを、ひとあしずつ ことばに して みる ことです。ふだんは かんがえて いないのに、なめらかに あるけて います。そこで 小脳が はたらいて いる と いわれます[5]。
これは じっけんでは ありません。脳の はたらきが、ふだん 気づかない ところで つづいて いる ことを、かんじる ための あそびです。
つぎに ぼんやり した ときは、「いま 脳は、たいおんや いきを ととのえながら、つぎの ことを 予測して いるのかな」と、ちょっと だけ おもって みて ください。
脳の分担は、自分の体で、少しだけ感じ取れます。
1つめは、呼吸を10回数えることです。無理に深く吸わず、いつもの息のままにします。意識して指示を出していなくても、息はずっと続いています。延髄などの働きによるものと説明されています[5]。
2つめは、安全な平らな場所で、ゆっくり歩きながら、足を出す順番を1歩ずつ言葉にしてみることです。ふだんは考えていないのに、足はなめらかに運べています。そこには小脳が関わるとされます[5]。
どちらも実験ではなく、気づかないところで働いている脳に気づくための遊びです。うまく気づけなくても、特に問題はありません。
ふだん何気なく続いていることの多くは、脳が受け持ってくれているのかもしれません。歩き出す前に、次の一歩で足がどこに着くかを予想してみてください。思った位置とちがったとき、どんな感じがするでしょう。その「あ」と思う瞬間が、予測と更新の小さな見本になります。
自分の体で確かめる方法がある。たとえば、安静時の呼吸を10回数える。意識して制御しなくても呼吸は続き、これは延髄の呼吸中枢などの働きと説明される[5]。次に、安全な平らな場所でゆっくり歩き、足を出す順を1歩ずつ言葉にしてみる。通常は意識せずに行う動きが、ぎこちなくなる人もいるだろう。小脳が関わる運動の調節は、ふだん意識に上らない、という点を体で感じる方法である[5]。ただし、これは検証実験ではなく、個人の観察にとどまる。
原典に当たるときは、「何が測られ、何が理論なのか」を分けて読むとよい。エネルギー消費の比率はRaichleらの論文[1](Roth & Dickeの総説[2]にも同じ比率がある)、神経細胞数はAzevedoらの測定[3]、各部位の役割はNINDSの解説[6]と生理学の教材[5]、予測符号化は大学の発表[7]と研究会資料[8]である。たとえば、MITの資料[4]は「1000億個」の通説がどこまで支えられているかを知る助けになる。
数値の出どころ(誰の脳を何人分調べたか)と、研究者が「まだ分かっていない」と述べている箇所(予測符号化の神経回路での実装)を、自分の言葉でノートに書き分けてみると、論文を読む力がついていく。まず日本語の資料([7][8])から入り、英語の原典の要旨に進む順が読みやすい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
脳のはたらきには確かさの異なる情報が混ざるため、論文・公的機関・大学の資料を使い、数値は出どころを示した。一部の数値は、検索で得た抄録や二次資料による。
- Raichle & Gusnard (2002) Appraising the brain's energy budget, PNAS. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC124895 (脳の重さの比率とエネルギー消費の比率、消費がほぼ一定であること。0.5〜1%の見積もりはRaichle 2006の引用)
- BioNumbers, Fraction of brain utilization of total metabolism (原典 Roth & Dicke 2005, Trends Cogn Sci). https://bionumbers.hms.harvard.edu/bionumber.aspx?id=100723 (別の総説にも同じ比率があることについて)
- Azevedo et al. (2009) Equal numbers of neuronal and nonneuronal cells make the human brain an isometrically scaled-up primate brain, J Comp Neurol 513:532-541. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19226510/ (神経細胞数と、大脳皮質・小脳の内訳について。抄録による)
- MIT Teach Me Something, How many neurons are there in the human brain? https://teachmesomething.mit.edu/tms/how-many-neurons-are-there-human-brain (「1000億個」の通説と数え方について。二次資料)
- 看護roo!「図解ワンポイント生理学」脳幹・小脳の項. https://www.kango-roo.com/learning/2112/ (延髄・視床・視床下部・小脳・意識の維持について。二次資料)
- NINDS, Brain Basics: Know Your Brain. https://www.ninds.nih.gov/health-information/public-education/brain-basics/brain-basics-know-your-brain (大脳と後脳の役割について)
- 東京工業大学ニュース(2024年8月7日)予測をうまくつかえない脳、自閉症の新たな発見. https://www.titech.ac.jp/news/2024/069683 (予測符号化の説明について)
- 生理学研究所 NIPS研究会2023 小坂田文隆資料. https://www.nips.ac.jp/circuit/NIPSkenkyukai2023_osakada.pdf (予測と感覚信号のずれによる更新、神経回路での実装が未解明なことについて)
- Raichle (2006) The brain's dark energy, Science 314:1249-1250. https://www.science.org/doi/10.1126/science.1134405 (60〜80%と0.5〜1%の見積もりの原典。本記事では二次的な引用を通じて紹介)
なおした ところ
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