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カフェインは、ねむけの あいずを うけとる ところに ふたを する?

カフェインは、眠気の合図を受けとる場所をふさぐ ── 寝つきと、子どもの量の目安

カフェインはなぜ目を覚まさせるのか ── 受容体の遮断、睡眠への影響、摂取目安

分野:からだ

コーヒーを のむと、ねむけが さめた きがします。でも カフェインは、ねむけを けして いるのでは なく、ねむけの あいずを うけとる ところに「ふた」を して いる と いわれます[1]。

では、ふたを すると、体に なにが おこるのでしょう。夜の ねつきや、のんで いい りょうは どう なるのか、おとなと 子どもの ちがいまで わかります。

コーヒーを飲むと眠気が覚めるのは、カフェインが眠気そのものを消すからではありません。眠気の合図を受けとる場所に、カフェインが先に入りこんで「ふた」をしてしまうためだと説明されています[1]。

では、ふたをされた体には何が起こるのでしょうか。夜の寝つきへの影響、飲みすぎたときの体の反応、そして大人と子どもで量の目安がちがう理由までが分かります。

カフェインが目を覚まさせる理由は、眠気を打ち消すからではなく、アデノシンの受容体に先に結合し、アデノシンの作用を弱めるからだと説明される[1]。覚醒への寄与は、受容体のうちA2A型の遮断が中心と考えられている[2]。

では、その作用は夜の睡眠や心拍にどう響き、なぜ大人と子どもで摂取目安がちがうのか。農林水産省・厚生労働省・EFSA・FDAの説明を比べると、体重あたりで量を決める考え方と、国による数字のちがいが分かる。

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1. ねむけを けさずに、どうやって めが さめるの?

1. 眠気を消すのではなく、受け皿に「ふた」をする

1. アデノシンと化学構造が似ているため、受容体を先にふさぐ

ぎゅうにゅうの びんに、ぴったり あう ふたが あると します。ふたが のって いると、中身は そこに はいれません。

体の 中にも、にた ことが あります。のうには、ねむけの あいずを だす「アデノシン」と いう ものが あり、あいずを うけとる ところ(じゅようたい)に くっついて、はたらきを つたえます[1]。

カフェインは、アデノシンと かたちが にて います。そのため、うけとる ところに さきに くっつき、アデノシンが くっつきにくく なります[1]。

ただし ほんとうは、びんの ふたは ものの たとえです。体の 中は もっと こまかく はたらいて います。

合図と、それを受けとる場所

脳には、眠気の合図に関わるアデノシンという物質があります。アデノシンは、神経の表面にある「受容体」という受け皿にくっつくことで、はたらきを伝えます[1]。

カフェインは、このアデノシンと化学構造が似ています。そのため、アデノシンより先に受け皿へ入りこみます。受け皿がふさがれると、アデノシンはくっつけなくなり、アデノシンの作用が弱まります[1]。

つまり、眠気の合図を打ち消しているというより、合図を受けとる場所を使えなくしている、という説明になります。

農林水産省の解説によると、カフェインはアデノシンと化学構造が似ており、アデノシンが結合するはずの受容体に結合する。その結果、アデノシンが受容体に結合できなくなり、アデノシンの作用が弱まる[1]。

この機構は、カフェインがアデノシンの作用を打ち消す物質ではなく、受容体に結合して場所をふさぐ「拮抗」の関係にあることを意味する。では、受容体のどこをふさぐと目が覚めるのか。次章で、受容体の種類に目を向ける。

2. ふたを するのは、どの うけとる ところ?

2. ふさぐ場所は一種類ではない ── マウスの実験

2. A1型とA2A型 ── 覚醒を促すのはどちらか

うけとる ところは、じつは なん しゅるいか あります。カフェインは、そのうち 2しゅるいに おなじ くらい つよく くっつくと されて います[2]。

目を さまさせて いる おもな ものは、「A2A」と よばれる ほうの ようです。この うけとる ところを もたない マウスでは、カフェインを のんでも、目が さめる はたらきが でませんでした[2]。

ただし、これは マウスの 実けんです。人でも まったく おなじだと は、いえません。

アデノシンの受容体には、いくつかの型があります。カフェインは、そのうちA1型とA2A型の両方に同じくらい強くくっつく物質だと、睡眠の研究をまとめた論文で説明されています[2]。

目を覚まさせるはたらきの中心は、A2A型をふさぐことだと考えられています。この型の受容体をもたないように作ったマウスでは、カフェインを与えても、覚醒させる効果が出ませんでした[2]。

ただし、これはマウスの結果です。人でも同じ道すじだと言いきれるわけではありません。

睡眠・覚醒調節の総説は、カフェインがアデノシン受容体のA1型・A2A型の両方に同程度の高い親和性をもつ拮抗薬だと整理する。そのうえで、カフェインが覚醒を促す主な経路はA2A型の遮断だとする[2]。

根拠のひとつが、A2A受容体を欠くマウスでカフェインの覚醒効果が現れないという実験結果だ[2]。ここで言えるのは、マウスで確かめられた経路であって、人の覚醒がすべてA2A型だけで説明されるとは限らない点である。では、この覚醒の効果は、いつとるかで変わるのか。

3. ゆうがたに のむと、ねつきが わるく なるのは なぜ?

3. 夕方に飲むと、寝つきが悪くなる

3. 夕方の摂取と睡眠潜時・睡眠効率 ── 約100mgでも影響しうる

ふたを した ままだと、よるに なっても ねむけの あいずが とどきにくい ことが あります。

ゆうがたなど おそい 時間に カフェインを とると、ねつくまでの 時間が ながく なり、ねむりの よさが さがる ことが、ねむりを はかる けんさで しめされて います[2]。

ヨーロッパの 食品の あんぜんを みる 役所(EFSA)は、およそ 100ミリグラムでも、ねる まえだと、おとなの 一部で ねむる 長さに えいきょうが ありうる と しています[3]。これは おとなの 数字で、子どもの ものでは ありません。

夕方など遅い時間にカフェインをとると、寝つくまでにかかる時間(睡眠潜時)が長くなり、睡眠の効率が下がることが、睡眠中の脳波などを調べる検査で一貫して示されています[2]。

欧州食品安全機関(EFSA)は、約100mgのカフェインでも、就寝前に近いと一部の大人で睡眠の長さやパターンに影響しうるとしています[3]。100mgは、コーヒーなら小さめのカップ1杯半くらいにあたります(次章の数字から計算)。ただし、これは一部の大人についての話で、子どもの数字ではありません。

夕方など遅い時間のカフェイン摂取で、睡眠潜時が延び、睡眠効率が低下することは、睡眠ポリグラフの測定で一貫して示されている[2]。

では、どのくらいの量から気にすべきか。EFSAは、約100mgでも就寝前に近いと、一部の成人で睡眠時間やパターンに影響しうるとする[3]。100mgはコーヒー(100mLあたり約60mg[4])なら約170mLにあたるという計算になる。ただしこれは成人の一部についての数字で、子どもに当てはめたものではない。

こうした影響は人によって大きく差が出る。FDAは、カフェインへの敏感さも、体から出ていく速さも人によって大きくちがい、体重・薬・病気などが関わるとする[5]。

4. のみすぎると、体に なにが おきる?

4. 飲みすぎたときの体の反応

4. 急性の作用 ── めまい・心拍数の増加・不安・震え

のみすぎた ときに、体に あらわれる ことが あります。めまいが する、どきどきが はやく なる、おちつかない、ふるえる、ねむれない、などです[1]。

これは カフェインの はたらきが つよく でた しるしです。もし いつもと ちがう かんじが したら、のむのを やめて、おうちの 人に つたえましょう。

農林水産省は、カフェインの急性の作用として、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠をあげています[1]。

飲んですぐにこうした反応が出る場合は、それ以上とらないようにして、周りの大人に伝えるのが安全です。どのくらい飲むと出やすいのかは、人によって大きくちがいます[5]。

農林水産省は、急性のカフェイン摂取で起こりうる作用として、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠をあげる[1]。

受容体を遮断する作用が強く出ると、神経がふだんより活発になる方向の反応が目立つと読み取れる。ただし、どの量で、どの人に出るかは一定ではない。FDAも、敏感さと体からの排出の速さが人によって大きく異なると述べる[5]。だから「何mgで必ずこうなる」という数字は示されず、次章以降の目安も「それ以下なら安全上の懸念が小さい」という意味合いになる。

5. のみものには、どれくらい はいって いるの?

5. 飲み物によって、量は大きくちがう

5. 100mLあたりの含有量 ── 幅の大きいエナジードリンク

おなじ 100ミリリットルでも、のみものに よって カフェインの りょうは ちがいます。

コーヒーは 60ミリグラム、こうちゃは 30ミリグラム ほどです[4]。りょくちゃや コーラの なかまは、20ミリグラムほどと されます[4]。

カフェインを おおく くわえた「エナジードリンク」は、32から 300ミリグラムまで、おおきな はばが あります[4]。まず ラベルを みて、りょうを たしかめる くせを つけたいですね。

厚生労働省の資料では、100mLあたりのカフェインは、コーヒーが約60mg、紅茶が約30mg、カフェインを多く添加した清涼飲料水が32〜300mgとされています[4]。農林水産省の資料では、緑茶やコーラ類は約20mgです。

清涼飲料水の幅が大きいのは、商品ごとに添加される量がちがうためです。下限の数字は、農林水産省の資料では28mgで、資料によって少しずれます。

飲み物の量は缶やペットボトルでまちまちなので、「100mLあたり」の数字に、実際に飲む量をかけて考える必要があります。

厚生労働省のQ&Aは、100mLあたりのカフェインを、コーヒー約60mg、紅茶約30mg、カフェインを多く添加した清涼飲料水32〜300mgとする[4]。農林水産省の資料では、緑茶とコーラ類は約20mgで、エナジードリンク類の下限は28mgと、厚労省の32mgとわずかに異なる[1][4]。

数字が資料ごとに少しずれるのは、含有量が製品ごとに異なり、調べた対象や時期が同じではないためとみられる。実際の摂取量は、100mLあたりの値に飲んだ体積をかけて求める必要がある。たとえば250mLなら、コーヒーは約150mg、紅茶は約75mgだ。

6. おとなと 子どもでは、のんで いい りょうが ちがうの?

6. 大人と子どもでは、量の目安がちがう

6. 体重あたりの上限 ── 大人は400mg、子どもは2.5〜3mg/kg

けんこうな おとなの めやすは、1日 400ミリグラム までです。これは ヨーロッパの EFSAや、アメリカの FDAが しめして います[3][5]。

子どもは、体が ちいさいので、体の おもさで りょうを きめます。カナダの 役所は、体の おもさ 1キログラムに つき 1日 2.5ミリグラム までと して います[4]。EFSAは 3ミリグラムです[3]。

どちらが ただしいと いう はなしでは なく、国や 役所で すうじが すこし ちがう、と いう ことです。FDAが しょうかいする アメリカの 子どもの いしゃの 学会など せんもん家は、子どもや 10代の わかい 人に エナジードリンクを すすめて いません[5]。

大人の目安

EFSAは、健康な大人なら、1日400mg(体重1kgあたり約5.7mg)までなら安全上の懸念はないとしています。1回あたりでは、200mgまでが同じ扱いです[3]。FDAも1日400mgを目安にし、12オンス(約355mL)のコーヒーなら2〜3杯分としています[5]。

子どもの目安は体重をもとに考える

子どもについては、カナダ保健省が体重1kgあたり1日2.5mgを上限にしており、年齢別の最大量として、4〜6歳で45mg、7〜9歳で62.5mg、10〜12歳で85mgを示しています[4]。EFSAは子どもや青少年にも体重1kgあたり3mgの目安を示します[3]。

国や機関によって数字が少しずつちがうのは、使っている考え方や基準が同じではないためです。FDAのページは、米国小児科学会などの専門家が、子どもや10代にはエナジードリンクをすすめていないと紹介しています[5]。

成人の目安について、EFSAは、健康な成人で1日400mg(体重1kgあたり約5.7mg)までなら安全上の懸念はなく、単回摂取では200mg(約3mg/kg)までも同様とする[3]。FDAも1日400mgを示し、12オンス(約355mL)のコーヒー2〜3杯分とする[5]。

では子どもはどうか。カナダ保健省は体重1kgあたり1日2.5mgを上限とし、年齢別の最大量を4〜6歳で45mg、7〜9歳で62.5mg、10〜12歳で85mgとしている[4]。EFSAは、この集団にも3mg/kg/日の目安が当てはまるとする[3]。同じ「子ども」でも、国や機関で2.5と3というように、数字が少しずつ異なる。

体重で決める理由は、同じ量でも体が小さいほど体重あたりの量が増えるためと考えられる。FDAのページは、米国小児科学会などの専門家が子どもや10代へのエナジードリンクを勧めていないと紹介している[5]。なお、これらは健康な人を想定した目安で、薬や持病などで変わりうる[5]。

7. おうちの ラベルを みて、けいさん して みよう

7. 家の飲み物のラベルで、計算してみよう

7. 出口 ── 成分表示と自分の体重で、上限を計算する

おうちに ある のみものの ラベルを みて、「カフェイン」と かいて あるか さがして みましょう。かいて ないものも あります。

つぎに、おうちの 人と いっしょに、体の おもさに 2.5を かけて、めやすの 数を だして みます。たとえば 30キログラムの 子なら、2.5ミリグラム×30で 75ミリグラムです。コーヒーなら 100ミリリットルあたり 60ミリグラムなので、およそ 125ミリリットルぶんに なります。

ただし、これは 数字の れんしゅうです。のんで いい りょうを きめる ものでは ありません。きに なる ときは、おうちの 人や、おいしゃさんに そうだんしましょう。

家にある飲み物のラベルを見て、カフェインの量が書いてあるものを探してみましょう。書いていないものも多くあります。

次に、体重に2.5mg(カナダの目安)や3mg(EFSAの目安)をかけてみます。たとえば体重30kgなら、2.5×30=75mg、3×30=90mgです。コーヒーは100mLあたり約60mgなので、75mgは約125mLにあたります。

これは数字の練習で、飲んでよい量を決めるものではありません。体調や持病によって変わるので、心配なときは家の人や医師に相談してください。

この記事の数字は、成分表示と体重から自分で再現できる。まず家の飲み物の成分表示でカフェインの記載を探す。記載のないものも多い。次に体重に2.5(カナダ)や3(EFSA)を掛け、1日の目安を出す。体重30kgなら75〜90mgで、コーヒー(約60mg/100mL)では125〜150mLにあたる。

これは考え方の練習であり、個人に当てはまる量を示すものではない。FDAも、感受性や排出の速さには大きな個人差があるとする[5]。原典は、農林水産省「カフェインの過剰摂取について」、厚生労働省のQ&A、EFSAとFDAの解説ページで読める。受容体の作用は、J Sleep Res(2022)の総説(PMC)が詳しい[2]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:農林水産省・厚生労働省の解説、EFSAとFDAの説明、睡眠研究の総説を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」。https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html (アデノシンとの関係、急性の作用、飲み物の量について)
  2. Adenosine, caffeine, and sleep-wake regulation (J Sleep Res, 2022, PMC)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9541543 (A2A受容体と覚醒、夕方の摂取と睡眠について)
  3. EFSA(欧州食品安全機関)Caffeine。https://www.efsa.europa.eu/en/topics/topic/caffeine (大人と子どもの目安、約100mgと睡眠について)
  4. 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html (飲み物の量、カナダの子どもの目安について)
  5. FDA Spilling the Beans: How Much Caffeine Is Too Much?。https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/spilling-beans-how-much-caffeine-too-much (大人の目安、個人差、エナジードリンクについて)

なおした ところ

更新履歴

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