1. はしの うえは、ふつうの みちより さきに こおる ことが あります
1. 橋は、道路より先に冷えやすい
1. 橋の路面が先に凍る、という経験則
くにの しりょうには、「はしや こうかどうろは うえと したから ひやされるので、ほかの ろめんが かわいて いても、そこだけ こおって ブラックアイスに なって いる ことが あります」と かいて あります[1]。
ブラックアイスは、うすく すきとおった こおりです。したの みちの くろい いろが そのまま みえるので、ぬれて いるだけに みえて しまいます。
ほかの くにでも おなじです。アメリカの きしょうの やくしょ(NWS)は、はしの したに くうきが あるので、はしは うえからも したからも つめたい くうきに かこまれる、と せつめいして います[3]。
いえば、はしは「ぜんぶ ふきさらしの ゆか」です。ちめんの ない ところに かかって いるので、ひえやすいのです。
橋の凍結は、日本の道路管理者が冬の運転で繰り返し注意している点です。国土交通省北海道開発局小樽開発建設部の「冬のドライブミニガイド」は、橋や高架道路は上下から冷やされるため、他の路面が乾いていてもそこだけ凍ってブラックアイスになっていることがある、と書いています[1]。
ブラックアイスは、薄く透明な氷が路面をおおった状態のことです。路面の黒い色が透けて見えるので、ぬれているだけに見えてしまいます。
米国でも同じ注意が出ています。アメリカ気象局(NWS)は、橋の下には空気があるので、冷たい空気が橋の上と下の両方を取り囲む、と説明しています[3]。連邦道路庁(FHWA)の技術メモも、ミシガン州では冬の嵐のとき、橋の路面がとなりの道路より先に凍ることがよくある、と述べています[4]。
まとめると、橋の路面は「周りが空気で、下に地面がない」ために、道路より早く冷えやすいのです。
橋の路面凍結は、道路管理者が冬の運転でくり返し注意する点である。国土交通省北海道開発局小樽開発建設部の「冬のドライブミニガイド」は、橋や高架道路は上下から冷やされるため、他の路面が乾いていてもそこだけ凍ってブラックアイスになっていることがある、と書く[1]。ブラックアイスは、薄く透明な氷が路面をおおい、下の路面の色が透けて見える状態を指す。
米国でも同じ注意が出ている。アメリカ国立気象局(NWS)は、橋の下には空気があるため、冷たい空気が橋の上下の両方を取り囲み、下に地面もないので構造物全体があらゆる方向から冷える、と説明する[3]。連邦道路庁(FHWA)の技術メモも、ミシガン州では、冬の嵐のときに橋の路面が隣接する道路より先に凍ることがよくある、と述べる[4]。
ここまでが問いへの答えの要点である。橋は、周囲を空気に囲まれ、地面の熱も受けにくい。だから、上と下の両方から冷えて、道路より早く凍る条件に入りやすい。ただし「必ず先に凍る」ではなく、「先に凍ることがよくある」という経験則である。この点は第5章で戻る。
2. みちの したには、ちめんが あります
2. 道路の下には、地面がある
2. 地面の熱が道路を温め、橋には届きにくい
ふつうの どうろは、ちめんの うえに つくられて います。ちめんの なかは、くうきほど すぐには ひえません。その ぬくもりが、うえの ろめんを すこしずつ あたためて くれると いわれます。
はしは、したが くうきです。ちめんの ぬくもりが とどきません。だから、くうきが ひえると、はしの ろめんも いっしょに ひえて いきます。
アメリカの だいがくせいの けんきゅうも、はしは かぜと さむさを まわりから うけて、どうろに ある ちめんの ぬくもりが ない、と まとめて います[6]。
道路は地面の上に作られています。地面の中は、空気ほど急には冷えません。そのため地面にたくわえられた熱が、道路の路面を少しずつ温めると説明されます。
橋は、下が空気です。地面のぬくもりが路面に届きません。空気が冷えれば、橋の路面もいっしょに冷えていきます。
米国のミネソタ州立大学マンケート校の学部生の研究ポスターは、橋の路面が周りの道路より先に凍るのは、風と寒さをあらゆる方向から受けるためで、道路にある地面の暖かさが橋にはないからだ、と整理しています[6]。これは大学の研究発表の要旨です。
道路は地面の上に作られている。地面の中の温度は、空気の温度ほど急には変わらない。そのため、地面にたくわえられた熱が、道路の路面を下から少しずつ温めると説明される。この「地熱」が、橋にはほとんど届かない。
橋の路面は、下が空気である。空気が冷えれば、橋の路面は上からも下からも熱を奪われる。道路は主に上から冷やされるが、橋は上と下の両方から冷やされる。
ミネソタ州立大学マンケート校の学部生の研究ポスターは、橋の路面が周囲の道路より先に凍るのは、風と寒さをあらゆる方向から受けることと、道路にある地面の暖かさが橋にないことが理由だと整理している[6]。ただしこれは学部生の研究発表の要旨なので、主な根拠は、道路管理者・気象局の説明に置く。
3. かぜも、はしを ひやします
3. 風が橋の熱をうばう
3. 風通しのよさが、冷えを速める
はしの うえは、かぜを まともに うけます。さむい かぜに あたると、からだが ひえるように、はしの ろめんも ひえます。
くにの しりょうには、「かぜとおしの よい はしの うえ、トンネルの でいりぐち ちかくが、もっとも きけんです」と あります[2]。
ふきさらしの ろめんは こおって いる ことが おおいので、「スピードは ひかえめに」して、おなじ スピードで とおりましょう、とも よびかけて います[2]。
あぶないと おもったら、はしの うえで きゅうブレーキや きゅうハンドルは しません。これが、くるまを うんてんする おとなの おやくそくです。
橋は、風を遮るものが少ない場所にあります。冷たい風が路面に当たり続けると、路面の熱はどんどんうばわれます。
国土交通省中部地方整備局三重河川国道事務所は、「事故の起こりやすい場所として、もっとも危険なのが、風通しのよい橋の上、トンネルの出入り口付近です」と書き、吹きさらしの路面は凍結していることが多いので、「速度は控えめに」して一定の速度で通過するよう呼びかけています[2]。
凍った橋の上で、急ブレーキや急ハンドルをすると、タイヤがすべりやすくなります。だから、橋の手前で速度を落とすのが基本です。
橋は、風を遮るものが少ない場所にある。冷たい風が路面に当たり続けると、路面から空気へ熱が移るのが速くなる。
国土交通省中部地方整備局三重河川国道事務所は、事故の起こりやすい場所として「もっとも危険なのが、風通しのよい橋の上、トンネルの出入り口付近です」と書き、吹きさらしの路面は凍結していることが多いので、「速度は控えめに」して一定の速度で通過するよう呼びかけている[2]。
凍っているかもしれない路面では、急ブレーキや急ハンドルがスリップにつながる。橋の手前で速度を落としておくのは、そのための対策である。なお、トンネルの出入り口は、橋とは別の理由(溶け出した雪が凍る、など)も挙げられている[2]。
4. かならず はしが さきとは かぎりません
4. 「必ず先」ではない ── 橋の条件
4. 橋が先に凍る条件と、そうでない場合
アメリカの きしょうの やくしょは、「こおりかたは ぜんぶ おなじでは ありません。ひかげは こおって いても、ひなたは こおって いない ことが あります」と かいて います[3]。
また、はしの ざいりょう、むき、おおきさ、したに ある ばしょの ようすで、こおる はやさは かわる、と いう けんきゅうも あります[6]。かわの うえに ある はしか、りくの うえに ある はしか。ひあたりは いいのでしょうか。それも かんけいして いるのでしょう。
ですから、「はしは かならず さき」と おぼえるより、「はしは さきに こおる ことが よく あります。だから きを つけます」と おぼえると ただしいです。
橋が必ず先に凍るわけではありません。NWSは、凍り方は一様ではなく、日かげは凍っていても日なたは凍っていないことがある、と書いています[3]。
ミネソタ州立大学マンケート校の学部生の研究ポスターは、サーモグラフィーカメラと実験の結果から、橋の材料・向き・大きさ・橋の下の地形によって、凍る速さが変わると述べています[6]。川の上か、地面の上か、日が当たるかどうかなど、橋ごとに条件がちがうわけです。
ですから、「橋は必ず先に凍る」ではなく、「橋は先に凍ることがよくあります。だから気をつけます」と受けとめるのが正確です。
橋が必ず先に凍るわけではない。NWSは、凍り方は一様でなく、日かげは凍っていても日なたは凍っていないことがある、と書く[3]。
マンケート校の学部生の研究ポスターは、サーモグラフィーカメラと実験から、橋の材料・向き・大きさ・橋の下の地形が、凍る速さに影響すると結論している[6]。川の上か陸の上か、日が当たるか、風の通り道かで、橋ごとに条件が変わるということである。
したがって、「橋は先に凍ることがよくある」が根拠のある言い方で、「必ず先に凍る」は言いすぎになる。ここまで見た資料は、道路管理者の注意喚起と、研究の要旨である。橋と道路の路面温度を同じ場所で同時に測って比べた日本の結果は、今回は見つけていない。
5. こおる はしを みはる しくみ
5. 凍る橋を見はる仕組み
5. 橋面センサーと、霜の予測モデル
アメリカの ミシガンしゅうでは、11か所の はしに かんそくじょを つくりました。ろめんや てんきを はかる センサーで ようすを しらべて、プラウ(ゆきかきしゃ)を だすか、こおりを とかす くすりを まくかを きめます[4]。
アイオワしゅうの けんきゅうしゃは、はしに つく しもを よそくする コンピューターの モデルを つくりました。「BridgeT(ブリッジティー)」と いう なまえです[5]。てんきよほうの データから、はしの ろめんの おんどを 1ぷんごとに けいさんします。
こおりを とかすには、しおを つかう ことも あります。しおが どうして こおりを とかすのかは、こおった みちに しおを まくと どうして とけるのの きじに あります。
橋が凍りやすいなら、凍る前に知る仕組みがあればいいはずです。ミシガン州では、11か所の橋に観測所を設け、路面と気象のセンサーで橋の様子をリアルタイムでつかみます。道路管理者はその情報で、除雪車を出すか、凍結防止の薬剤をまくかを決めます[4]。
アイオワ州立大学などの研究チーム(Greenfieldら)は、橋の霜を予測するコンピューターモデル「BridgeT」を作りました。天気予報モデルのデータを使い、橋の上と下の気象条件から、橋の路面温度を1分ごとに計算し、霜がつく・溶ける・昇華する様子を追います。アイオワ州エイムズ周辺の、薬剤をまいていない橋で、2冬分の早朝に霜を観察して、予測と比べました[5]。
凍結防止の薬剤が、なぜ氷をとかせるのかは、道路に塩をまくと氷がとける理由の記事で扱っています。
橋が凍りやすいなら、凍る前に知る仕組みが役に立つ。FHWAの技術メモによると、ミシガン州では11か所の橋に観測所を設け、路面と気象のセンサーで、リアルタイムの情報から、除雪車を出すか、凍結防止剤をまくかを判断している。人手と薬剤を節約し、運転者の安全を高めるのが狙いとされる[4]。
Greenfieldらは、橋の霜を予測する差分法モデル「BridgeT」を作った。気象予報モデルが与える橋の上面・下面の気象条件から、橋内部の鉛直方向の熱の伝わりを計算し、路面温度を1分ごとに出して、霜の付着・融解・昇華を追う。アイオワ州エイムズ周辺の、薬剤をまいていない橋で、2冬分の早朝に霜を観察し、予測と比べた。ずれは、予報モデルの精度、細かい場所ごとのちがい、BridgeTの熱計算、霜の目視の限界のいずれかによる、と著者らは考察している[5]。
この論文は、「橋が上下の気象条件を受ける」ことを、計算モデルの入力にしている点が興味深い。凍結防止剤が氷を溶かす仕組みは、道路に塩をまくと氷がとける理由の記事で扱った。
6. じぶんでも しらべて みよう
6. 自分でも調べてみたくなったら
6. 自分でも調べてみたくなったら
ふゆの あさ、おうちの 人の くるまや バスに のって、はしの てまえに ある ひょうしきを さがして みましょう。「ろめんとうけつ ちゅうい」などの かんばんが ある ばしょが あるかも しれません。
あるく ときは、はしの うえで こおって いる ことが あるので、すべらないように ゆっくり あるきましょう。こおって いそうな ところで、あそんだり はしったり しないでください。
もっと しりたい 人は、ほっかいどうかいはつきょくの「ふゆの ドライブミニガイド」[1]や、みえかわこくどうじむしょの ページ[2]を みて みよう。
冬の朝、家の人の車やバスに乗ったときに、橋の手前に「路面凍結注意」などの看板があるかを探してみましょう。見るのは看板だけで、路面の見くらべは、運転している人の邪魔にならないよう、車が止まっていて安全なときに大人といっしょにします。
徒歩のときは、橋の上が凍っているかもしれないので、ゆっくり歩きます。滑りそうな場所で、走ったり遊んだりしないでください。
資料も読めます。北海道開発局の「冬のドライブミニガイド」[1]や三重河川国道事務所の「冬の三重の走り方」[2]は、冬道の注意をやさしい言葉で書いています。二つを読み比べると、橋の注意のしかたが同じか、ちがうかが分かります。
冬の朝、車やバスの窓から、橋の手前の「路面凍結注意」などの看板を探して、位置を地図に記録してみる。路面の見え方(乾いている・濡れている・光って見える)の比較は、走行中には行わず、安全な場所に停車したときに同乗者が確かめる場合に限る。徒歩のときは、橋の上が凍っているかもしれないので、ゆっくり歩き、滑りそうな場所では走ったり遊んだりしない。
読み比べるなら、北海道開発局の「冬のドライブミニガイド」[1]と、三重河川国道事務所の「冬の三重の走り方」[2]で、橋とトンネルの扱いがどうちがうかを見るとよい。FHWAの技術メモ[4]は短く、橋面センサーの導入例が読める。BridgeTの論文集[5]は、題名で検索すると要旨が読める。日本の橋面温度や凍結の調査は、「橋面 凍結 路面温度」などの語で探せる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:北海道開発局・三重河川国道事務所は日本の公的機関の資料、NWS・FHWAは米国の公的機関の資料、Greenfieldらは国際会議の論文集に載った研究報告、マンケート校のものは学部生の研究発表の要旨です。橋の凍結の仕組みは、公的機関の資料では短く説明されているため、一部は研究発表の要旨で補っています。
- 国土交通省 北海道開発局 小樽開発建設部「冬のドライブミニガイド」。 https://www.hkd.mlit.go.jp/ot/douro_keikaku/a8pgkh0000007e1s.html (橋・高架道路は上下から冷やされる/ブラックアイス)
- 国土交通省 中部地方整備局 三重河川国道事務所「積雪・凍結道路の注意ポイント」。 https://www.cbr.mlit.go.jp/mie/snow/caution.html (風通しのよい橋の上・トンネル出入口が危険/吹きさらしの路面は凍結が多い/速度は控えめに)
- アメリカ国立気象局(NWS) Weather-Ready Nation「Social Media: Winter Driving」。 https://www.weather.gov/wrn/winter-driving-sm (橋の下に空気があり、上下から冷える/日かげと日なたで凍り方がちがう)
- 米国連邦道路庁(FHWA) Road Weather Management「Michigan Finds a Solution for Icy Bridges」(FHWA-SA-96-045, CS037)。 https://ops.fhwa.dot.gov/weather/resources/publications/tech_briefs/cs037.htm (橋の路面は隣の道路より先に凍ることがよくある/11か所の橋のセンサー)
- Greenfield, T.M., Takle, E.S., Tentinger, B.J., Alamo, J.J., Burkheimer, D., McCauley, D. (2004) “Bridge Frost Occurrence and Prediction.” Transportation Research Circular E-C063, pp. 391–398(第6回 雪氷除去技術国際シンポジウム)。 https://trid.trb.org/View/702034 (BridgeT・アイオワ州エイムズ周辺の2冬の観察。要旨のみ確認)
- Bollendorf, E. (2021) “Bridge Deck Thermography: Revisiting ‘Bridges Freeze Before Roadway’ From a Safe Salt Perspective.” Minnesota State University, Mankato 学部生研究発表会。 https://cornerstone.lib.mnsu.edu/urs/2021/undergraduate-poster-session-04/1 (橋の材料・向き・大きさ・下の地形が凍る速さに影響/道路にある地面の暖かさが橋にはない。要旨のみ確認)
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