1. きおんが 4どでも、霜が おりるの?
1. 気温が4℃でも、霜はおりるのか
1. 気温は氷点より上なのに、なぜ霜がおりるのか
0ど いかに ならないと、霜は おりないと おもいますよね。ところが、ふくおかの 気しょうだいが 出した 読みものには、気温が 3ど から 4ど まで さがると 霜が おりやすくなる、と 書いて あります[1]。
ひみつは、気温を はかる たかさです。ふつうの 気温は、地面から 1.5メートルの ところで はかります。そこが 4ど くらいでも、草や 地面の すぐ ちかくは 0ど いかに なって いることが あるのです[1]。
あなたの 目の たかさと、草の たかさでは、さむさが ちがう のかも しれません。では、地面の ちかくは、どうして そんなに ひえるのでしょうか。
天気予報の「気温」は、どの高さの温度か
霜は氷点下の日だけにおりる、と考えるのは自然です。ところが福岡管区気象台の解説では、晴れて風が弱く、気温が3〜4℃まで下がると霜がおりやすくなる、とされています[1]。
手がかりは、気温を測る高さです。ふだんの気温は、地面から1.5mの高さで測った値です。その高さが4℃くらいでも、地面付近は0℃以下になって、霜がおりることがあります[1]。
天気予報の数字は、人の胸から頭の高さの空気の温度です。草の葉や車の屋根は、もっと低いところ、あるいは空気に熱を逃がしやすいところにあります。では、地面の近くはなぜそんなに冷えるのでしょうか。
気温が氷点より上なのに霜がおりる、という矛盾は、「気温」がどの高さの値かを考えると解ける。気象観測で使う気温は、地面から1.5mの高さで測る。福岡管区気象台の解説では、その高さが4℃くらいでも、地面付近では0℃以下になって霜がおりることがあるとされる[1]。
一般には、晴れて風が弱く、気温が3〜4℃まで下がると、霜がおりやすくなるという[1]。つまり「気温4℃」は、霜の心配がないしるしではなく、むしろ注意が必要な目安にもなる。
ここで注意したいのは、この3〜4℃が全国どこでも同じ境目ではなく、霜がおりやすくなる一般的な目安だという点だ。地面付近の温度は、その夜の天気と風、場所によって変わる。では、地面付近はどういう仕組みで冷えるのか。次の章で、夜の地面のようすを見る。
2. 霜が おりる よるは、どんな よる?
2. 霜がおりやすい夜は、どんな夜か
2. 放射冷却:雲と風が、夜の地面の冷え方を変える
ひるま、地面は たいように あたためられます。よるに なると、その あたたかさを もらえなくなり、地面や 草や 車が、じぶんの あたたかさを そらへ にがして ひえて いきます。これを 放射冷却と いいます[1]。
よるの うちに、まわりの 空気も ひえます。空気が ひえて、草などの ひょうめんが 0ど いかに なると、水蒸気が その ひょうめんで 氷の 結晶に なります。これが 霜です[1]。
でも、そらに 雲が あると、布団を かけた ときと おなじで、地面は ひえにくく なります。かぜが ふくと、ひえた 空気が まわりの 空気と まざって、ひえかたが よわく なります[1]。だから、はれて 雲が なく、かぜが よわい よるに 霜が おりやすいのです。
山に かこまれた 盆地や、たにの そこは、つめたい 空気が たまりやすく、霜の おりやすい ばしょです[1]。
さて、できた 霜は、つゆが こおった ものなのでしょうか。
昼にためた熱を、夜に宇宙へ逃がす
昼のあいだ、地面は太陽の熱で温まっています。夜になると、太陽の熱がもらえなくなり、地面や車、草は自分の熱を空へ出して、冷えていきます。これが放射冷却です[1]。地面のそばの空気も冷え、0℃以下になると、空気中の水蒸気が氷の結晶になって、冷えた表面にくっつきます[1]。
雲と風は、冷え方を弱める
上空に雲があると、布団をかけたときのように地面が冷えにくくなります。風が吹くと、地面の近くで冷えた空気が周りの空気と混ざり、冷え方が弱くなります[1]。このため、霜がおりやすいのは、晴れて雲が少なく、風が弱い夜です。
盆地や谷底は冷たい空気がたまりやすく、霜がおりやすい場所とされています[1]。同じ夜でも、場所によって霜のおりかたが変わるのは、このためです。
こうしてできた白い霜は、よく「凍った露」と言われます。本当にそうなのでしょうか。
では、地面付近はどのように冷えるのか。昼間に温まった地面や草、車は、夜になると太陽からの熱を受けとれなくなり、自分の熱を空へ出して冷える。これが放射冷却であり、近くの空気も冷やされる。その空気が0℃以下になると、水蒸気が氷の結晶になって表面に付着する[1]。
この冷え方は、条件によって弱まる。上空に雲があると、布団をかけたように地面が冷えにくくなる。風が吹くと、地面付近で冷えた空気が周囲の空気と混ざるため、冷え方が弱くなる[1]。そのため、霜は晴れて雲が少なく、風が弱い夜におりやすい。盆地や谷底は冷気がたまりやすいので、霜のおりやすい場所になる[1]。
ここまで読むと、「霜は露が凍ったもの」という説明が頭に浮かぶかもしれない。だが、その説明は、霜の成り立ちを正確に表しているのだろうか。
3. 霜は、つゆが こおった もの?
3. 霜は、本当に凍った露なのか
3. 昇華:水蒸気が液体を通らずに氷になる
つゆは、空気の 中の 水蒸気が、水の つぶに なった ものです。霜は、ちがいます。水蒸気が、水に ならずに、そのまま 氷の 結晶に なった ものです[3]。
この、気体から じかに かたまりに なる へんかを、昇華と よびます[2]。ほかの 国の 本では、おなじ ことを ほかの ことばで 言う こともあります。
よく 見ると、霜の 結晶は、うろこの ような かたち、はりの ような かたち、はねの ような かたち、せんすの ような かたちを して います[2]。
つぎは、おなじ 白い ものでも、霜とは べつの できかたを する ものを 見ましょう。
水が液体にならず、そのまま氷になる
霜は、0℃より冷たい表面に、水蒸気が直接くっついてできた氷の結晶です。いったん水滴になった露が凍ったものとは別物です[3]。霜ができるのは、水蒸気が氷になる温度(霜点)が氷点下で、物の表面の温度がその霜点より下がったときだと説明されています[3]。
仙台管区気象台の資料では、霜を「空気中の水蒸気が昇華して、地面や地物に付着した氷の結晶」としています。この資料でいう昇華は、気体から直接固体への変化のことです[2]。
結晶には形がある
霜の結晶は、うろこ状、針状、羽状、扇子状などの形をしています[2]。白く見えるのは、小さな氷の結晶が表面にびっしりついているからです。
霜の形は、温度や湿り気の条件で変わります。ただし、その細かい対応は、この記事では扱いません。次は、霜と間違えられやすいものを見ます。
霜が「凍った露」ではない、というのはどういうことか。米国の気象解説ページ(NOAAのサイトに掲載)では、霜を、0℃より冷たい表面に水蒸気が直接付着してできた氷の結晶と説明している。いったん液体の水滴になった露が凍ったものとは別物で、霜ができるのは霜点(水蒸気が氷になる温度)が氷点下で、表面温度がその霜点を下回るときである[3]。
仙台管区気象台の資料も、霜を「空気中の水蒸気が昇華して、地面や地物に付着した氷の結晶」としている。この資料の用語では、昇華は気体から直接固体への変化を指す[2]。英語圏では、同じ現象を別の語(deposition、日本語では凝華)で呼ぶことがあるため、資料によって用語が違う。
結晶の形は、うろこ状、針状、羽状、扇子状などとされる[2]。ただし、結晶の形が温度や湿度とどう対応するかは、この記事で使った資料では詳しく扱われていない。形の違いを知りたいなら、結晶の形をまとめた資料にあたるとよい。
ここで、霜とよく混同される白い現象がある。次は、霜柱を取りあげる。
4. しもばしらも、霜の なかま?
4. 霜柱は、霜と同じものなのか
4. 高校生が確かめた、霜柱の水が来る場所
しもばしらは、霜とは べつの ものです。土の 中の 水が、ひえた 地面に ちかづくと こおって、できます。たかさが 10センチメートル いじょうに なる ことも あります[4]。
中谷宇吉郎という 先生が しょうかいした 女の子の 高校生 5、6人の 研究が あります。しもばしらの とちゅうに しるしを つけて おくと、その しるしが 上に もちあがりました。これで、土の 中の 水が こおりながら 上に のびて、しもばしらに なると わかったそうです[5]。
霜の 水は 空から、しもばしらの 水は 土から。おなじ 白い ものでも、水の 来る ばしょが ちがう のです。
水の来る場所が違う
霜柱は霜とは別のものです。土の中の水分が、冷えた地面に近づくと凍ってできます。高さは土の種類や気温で変わり、10cm以上になることもあります[4]。霜は空気中の水蒸気が氷になったもの、霜柱は土の中の水が氷になったものです。
印をつけて確かめた高校生たち
物理学者の中谷宇吉郎が、女子高校生5、6人の共同研究を文章で紹介しています。霜柱が伸びている途中に印をつけておくと、その印が持ち上がりました。このことから、霜柱は土の中の水が凍って伸び出るものだと確かめた、と紹介されています[5]。
土の種類を変えて比べると、霜柱ができるには、土の中に細かい粒(微粒子)があることが欠かせない、という結論になったそうです[5]。これは、千葉大学の資料による紹介です。原典は、青空文庫で読めます。
霜と間違えられやすい白い現象に、霜柱がある。気象庁の気象キッズは、霜柱を、土の中の水分が、冷えた地面に近づいて凍ったものと説明している。高さは土の種類や気温で変わり、10cm以上になることもある[4]。霜は空気中の水蒸気から、霜柱は土の中の水からできるので、材料の水が来る場所が異なる。
その違いを、高校生が自分たちで確かめた例がある。千葉大学の資料によると、物理学者の中谷宇吉郎が紹介した女子高校生5、6人の共同研究では、霜柱が伸びる途中に印をつけた。印が持ち上がったことから、霜柱は土中の水が凍って伸び出るものだと確かめられた[5]。
さらに土の種類を変えて比べ、霜柱ができるには微粒子の存在が必須だという結論に至っている[5]。この記事で使った千葉大の資料は、中谷の文章の紹介であり、人数や結論は紹介文に依っている。細部を確かめたいなら、原典(青空文庫)を読むのが確実だ。
5. 霜が こまる ときは、どうするの?
5. 霜から作物を守るには、どうするのか
5. 防霜ファンは、どんなときに止めるのか
霜は、秋の はじめや 春の おわりに、はたけの 作物に ひがいを 出す ことが あります[1]。そこで、気しょうだいは 「霜ちゅういほう」を 出して、作物を そだてる 人に しらせます。
ふせぐ くふうの ひとつは、ファンです。ファンで 風を おこして、つめたい 空気が たまらない ようにします。ほかにも、けむりで 地面の ひえかたを おさえたり、水を まいて 作物が 0どいかに ならない ように したり します[1]。
お茶の はたけでは、ファンが ひろく つかわれて います[6]。夜の 空気を かきまぜて、霜から 守って いるのです。
農作物を守る3つの方法
霜は、秋の早霜と春の晩霜として、農作物に被害を出します。気象台が出す霜注意報は、主にこの時期の農業関係者に向けた注意報です[1]。
被害を防ぐ方法には、煙霧を出して放射冷却を弱める、防霜ファンで風を起こして冷気がたまるのを防ぐ、水をまいて作物の温度が0℃より下がるのを防ぐ、などがあります[1]。
風が強い夜は、ファンを止める
茶の畑では、防霜ファンが霜の被害を防ぐ方法として広く普及しています。ただし、強い自然の風があるときは、ファンの風で空気をかきまぜる効果が小さくなります[6]。
そこで静岡県の試験では、葉のある高さの気温と、ファンの高さの気温の差から風の強さを推測し、効果が小さいときにはファンを止める制御が試されました[6]。冷たい空気がどうたまるかを考えると、動かすべき夜と止めてよい夜があるのです。
霜は、秋の早霜と春の晩霜として、農作物に被害をもたらす。気象台が発表する霜注意報は、主にその農業関係者に向けたものである[1]。被害を防ぐ方法として、煙霧で放射冷却を弱める、防霜ファンで風を起こして冷気が滞留するのを防ぐ、散水して作物の温度が0℃より下がるのを防ぐ、という3つが挙げられている[1]。
防霜ファンは、茶の凍霜害対策として広く普及している。ところが、強い自然の風が吹いているときは、ファンの風による空気のかきまぜ効果が小さく、送風の必要性が低い[6]。農研機構の資料によれば、このことから、静岡県で、樹冠面付近とファンの設置高の気温差から風の強さを推定し、効果が小さいときは止める制御が試験された[6]。
この試験では、気温差が1.5〜2.0℃以上で、かつ樹冠面の気温が3.0℃以下のときに稼働させると、電気料金を減らせたという。ただし、この数字は静岡県での試験の目安であり、全国共通の基準ではない[6]。霜が出る条件(無風に近い冷えた夜)を逆に利用して、ファンをいつ回すかを決めている点が興味深い。
6. 霜の おりた あさに、くらべて みたい こと
6. 霜がおりた朝に、見くらべてみたいこと
6. 霜の観察と、気象台が記録する初霜
霜が おりて いる あさは、草と 車の まどと やねを、くらべて みましょう。どこに おりて いて、どこに おりて いないか。すぐ ちかくでも、ちがいが あるかも しれません。
みるだけで いいので、さわらずに、近くで じっくり 見て みます。霜の つぶは、小さな うろこの ように 見える でしょうか、はりの ように 見える でしょうか。
気しょうだいでは、場所ごとに、はじめて 霜が おりた 日を 「はつしも」と して、かかりの 人が 目で 見て きろくして います[2]。
草・車の窓・屋根を見くらべる
霜がおりた朝は、同じ場所で、草と車の窓と屋根を見くらべてみてください。霜がついている場所と、ついていない場所があるはずです。氷の粒が、うろこ、針、羽のどれに近いかも見てみましょう。
気温が3〜4℃の朝にも、霜は見つかるかもしれません。天気予報の気温と、実際に見た霜の場所を並べて考えると、「気温」がどの高さの値かを実感できます。
初霜は、人が目で見て記録する
気象台では、秋から春に初めて霜を観測した日を「初霜」としています。気象台の職員が、観測する場所や周辺のようすを目で見て確かめます[2]。たとえば仙台では、2024年の初霜は11月20日で、平年(11月14日)より遅い観測でした[2]。初霜の日は地点や年によって変わるので、仙台の例として読んでください。
霜を観察するなら、同じ朝に、草、車の窓、屋根など、材質や高さの違うものを見くらべるとよい。霜がおりている場所とおりていない場所を並べると、地面付近の冷え方が一様でないことが分かる。霜の結晶の形も、うろこ状、針状、羽状、扇子状のどれに近いかを見られる[2]。
霜の記録は、気象台でも続けられている。「初霜」は、秋から春の間に初めて霜を観測した日で、露場(観測する場所)やその周辺の状態を目で見て観測する。仙台は1926年から観測しており、最も早い初霜は1944年10月3日、最も遅いのは2004年12月3日だった。2024年は11月20日で、平年(11月14日)より遅かった[2]。初霜の日付は地点と年で変わるので、これは仙台の一例である。
この記事は、霜の結晶が分子のレベルでどう成長するかまでは扱っていない。そこを知るには、気象や雪結晶の専門書にあたるとよい。霜の氷の話は、冷たいコップの外側がくもる現象(露点と結露)とも、霜柱の成り立ち(霜柱の記事)ともつながっている。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。年・人名・名称は、資料によって細部が異なることがあります。
- 福岡管区気象台「はれるんマガジン 第17号」(2020年11月26日) https://www.data.jma.go.jp/fukuoka/chosa/files/harerun0080.pdf (霜の条件、放射冷却、雲と風、霜害と予防)
- 仙台管区気象台 報道発表「仙台で初霜を観測」(2024年11月20日) https://www.data.jma.go.jp/sendai/topic_old/24/20241120_sendai_hatsushimo.pdf (霜の定義、結晶の形、初霜の観測)
- NOAA/National Weather Service Houston-Galveston「Dew and Frost」 https://www.weather.gov/source/zhu/ZHU_Training_Page/fog_stuff/Dew_Frost/Dew_Frost.htm (霜と凍った露の違い。英語の資料)
- 気象庁 気象キッズ「霜柱はどうしてできるの?」 https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a1_23.html (霜柱のできかた)
- 千葉大学 先進科学センター「霜柱の研究」(中谷宇吉郎の文章の紹介) https://www.cfs.chiba-u.jp/koudai-renkei/information/files/shimobashira.pdf (女子高校生の共同研究の紹介。二次資料)
- 農研機構「気温差制御による防霜ファンの省エネ化技術」 https://www.naro.go.jp/smart-nogyo/midori/files/cha_04.pdf (茶の防霜ファンと静岡県の試験)
なおした ところ
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