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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

かんけりは、いつごろから ある あそびなの?

缶けりは、いつごろ始まった遊びなのか ── 作者のいない遊びの手がかり

缶けりはいつからあるのか ── 起源不明の遊びを、大正期の記述と缶の変遷から考える

分野:歴史・文化

かんけりを はじめた 人は だれなのか、いつから あるのか、じつは いまも わかって いません。それでも、100ねんほど まえの 町の 子どもたちが、ほうかごに かんけりで あそんで いた ことが わかる しりょうは あります。

では、わかって いる いちばん ふるい てがかりは、なんでしょう。この 記事で、わかって いる ことと、わかって いない ことが わかります。

缶けりを最初に考えた人も、始まった年も、じつは分かっていません。それでも、大正時代(1912〜1926年)の都市の子どもが放課後に缶けりをして走り回っていた、という博物館の解説があります[2]。

作者のいない遊びの、書かれたものでたどれる手がかりは、どこまでさかのぼれるのでしょうか。缶はどこから来て、いまの子どもたちはこの遊びを知っているのでしょうか。この記事で、その手がかりと、いま起きていることが分かります。

缶けりの起源を示す史料は、少なくとも今回あたれた範囲では見つかっていない。アメリカ伝来説、各地での自然発生説、古代ギリシャ説などが語られるが、いずれも出典のない推測にとどまる[1]。一方、日本玩具博物館の展示解説には、大正期の都市の子どもが放課後に缶けりをしていたとの記述がある[2]。

起源が分からないのに、遊ばれていた時期は書かれたものでたどれるのはなぜか。缶という「道具」の側の歴史、英語圏の同名の遊び、2010年の調査と2022年の継承の動きを合わせて、この遊びの現在地が分かるようにする。

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1. かんけりは、だれが はじめた あそびなの?

1. 缶けりを最初に考えたのは誰か

1. 起源を示す史料がない ── 三つの説は、どれも推測にとどまる

まず、あそびかたを おさらいします。まるい わくの 中に、からの かんを おきます。おにが、見つけた 子の 名まえを よんで かんを ふむと、その 子は つかまります。なかまが かんを けとばせば、つかまった 子も にげられます[9]。

この あそびを、だれが いつ はじめたのでしょうか。しらべて みると、はじまりを しめす きろくは 見つかって いません[1]。

「アメリカから きた」「あちこちで ひとりでに うまれた」「むかしの ギリシャから」と いう せつは あります。でも、どれも ほんとうだと いえる もとは ない、と いわれて います[1]。

では、かいた ものから わかる、いちばん ふるい すがたは どこに あるのでしょう。

缶けりは、円の中に空き缶を置いて始めます。鬼が、見つけた子の名前を呼んで缶を踏むと、その子は捕まります。仲間が缶を蹴れば、捕まった子も逃げられます[9]。日本スポーツ協会は、この遊びを指導者向けに紹介しています。

これだけ有名な遊びなのに、いつ、どこで、誰が始めたのかを示す史料は見つかっていません。アメリカから伝わったという説、日本各地で自然に生まれたという説、古代ギリシャにさかのぼるという説がありますが、どれも出典のない推測とされています[1]。

とくに「アメリカ起源」は、よく聞く話ですが、説の一つにすぎません。英語圏でもこの遊びの起源は「不明」とされているからです[5]。

始まりが分からないなら、書かれたものでたどれる一番古い姿は、いつの、どんな場面なのでしょうか。

日本の缶けりについて、いつ・どこで・誰がという起源を直接示す史料は、確認できた範囲では見当たらない。語られる説は主に三つあり、明治〜大正期のアメリカ伝来説、日本各地での自然発生説、古代ギリシャ起源説である。ただし、いずれも出典を伴わない推測として扱われている[1]。この三つのうち、どれか一つを選べる材料は、今回の資料にはない。

とくにアメリカ伝来説は広く聞かれるため、断定しないことが重要になる。英語圏の Kick the can 自体が起源不明とされているので、「あちらが元で、日本へ渡った」という筋道を支える足場がそもそも不確かなのだ[5]。同名の遊びが海外にあることと、日本の遊びがそこから来たことは、別の話である。

遊び方は、日本スポーツ協会の指導者向け資料に、円に缶を置き、鬼が見つけた子の名を呼んで缶を踏めば捕まえ、味方が缶を蹴れば解放される、という形で整理されている[9]。起源が不明でも、規則の骨組みは今も共有できる。では、書かれたものでたどれる最も早い場面はどこか。

2. いちばん ふるい てがかりは、どこに ある?

2. 大正時代の放課後に、缶けりの名が見える

2. 「発祥」ではなく「遊ばれていた」記述 ── 大正期の都市の放課後

日本おもちゃはくぶつかんの てんじの せつめいに、こんな ところが あります。大正じだいの 町の 子どもたちは、ほうかごに くさやきゅうや おにごっこ、かんけりなどを して はしりまわって いた、と かかれて います[2]。

大正じだいは、1912ねんから 1926ねんまでです。いまから 100ねんいじょう まえに なります。

ただし、これは 「大正に かんけりが はじまった」と いう いみでは ありません。「その ころ、もう あそばれて いた」と いう てがかりです。もっと むかしから あった かも しれませんが、それは わかって いません。

この 町の 子どもたちは、メンコや ビーだまなどでも あそんで いました[2]。ところで、かんけりの 「かん」は、どこから きたのでしょう。

日本玩具博物館の展示解説に、次のような場面があります。大正時代の都市部の子どもたちは、放課後、草野球や鬼ごっこ、缶けりなどをして走り回っていました。メンコやベーゴマ、ビー玉、おはじきを使う遊びも、このころには定着していたといいます[2]。

ここで気をつけたいのは、これが「大正に缶けりが始まった」という意味ではないことです。分かるのは、遅くとも大正の都市の子どもたちにとって、缶けりは放課後の遊びの顔ぶれの一つだった、ということまでです。

草野球や鬼ごっこと並んで名前が出てくること自体が、おもしろい点です。缶けりは、ボールもバットも要らず、広いグラウンドも要らない遊びです。路地や空き地で、子どもだけで始められる遊びだったと考えられます。

では、その「缶」は、どこから来たのでしょうか。

日本玩具博物館の展示解説(「日本の近代玩具のあゆみ」)は、大正期(1912〜1926年)の都市部の子どもが放課後に草野球、鬼ごっこ、缶けりなどをして走り回り、メンコ、ベーゴマ、ビー玉、おはじきを使う遊びも定着していった、と記す[2]。缶けりの名が見える、確かな記述としては早い部類にあたる。

ただし、読み方に注意が要る。この記述が示すのは、大正期に缶けりが「遊ばれていた」ことで、「発祥」ではない。記述が見える時期と、遊びが生まれた時期は一致するとは限らず、それ以前に遊ばれていた可能性は、この資料からは否定も肯定もできない。

もう一つ読み取れるのは、缶けりが草野球や鬼ごっこと同列に書かれている点だ。専用の道具を買わずに始められる遊びだったから、放課後の都市の子どもの遊びの顔ぶれに入っていたのではないか、という見方もできるが、これは資料に書かれた因果ではなく、本稿の推測である。遊びの側は分かった。次は道具の側、つまり缶の歴史を見る。

3. かんけりの かんは、どこから きたの?

3. 缶は、缶詰から缶ジュースへと姿を変えてきた

3. 缶の側の歴史 ── 缶詰(1877年)から缶ジュース・缶コーヒー(1954〜1969年)まで

かんけりに つかった かんが、ほんとうは なんだったのかを、はっきり かいた しりょうは 見つかって いません。

けれども、かんの ほうの れきしは わかります。日本で かんづめが つくられ はじめたのは めいじの はじめ ごろです。1877ねん 10月10日、北かいどうの いしかりで、さけの かんづめが つくられました[3]。

この 日は 「かんづめの 日」に なって います。大正が はじまる 1912ねんより、35ねんほど まえの できごとです。

のみものの かんは もっと あとです。日本で はじめての かんジュースは 1954ねんに うられました。さいしょは かんきりで あけて いました。1965ねんには、かんきりが いらない プルタブが つかわれました[4]。かんコーヒーは 1969ねんです[6]。

ここで ふしぎな ことが わかります。大正の かんけりの かんは、かんジュースの かんでは ありえません。かんけりの かんは、じだいごとに ちがう かんだった かも しれません。

かんが かわっても、あそびは つづきました。では、日本の 外では どうなのでしょう。

缶けりの缶は、何だったのでしょうか。これを直接書いた資料は、見つかっていません。ですから、缶の側の歴史を並べて、時間の流れだけを確かめます。

日本の缶詰づくりは、1877年(明治10年)10月10日に北海道の石狩にあった開拓使の缶詰所で、サケ缶詰が作られたことが一つの節目とされています。この日は、のちに「缶詰の日」になりました[3]。大正のはじまり(1912年)より約35年前です。

飲み物の缶はもっと新しく、日本初の缶ジュースの発売は1954年です。最初は缶切りで開けていました。1957年に缶の上に開ける道具が付いた型が全国で発売され、1965年に缶切りの要らないプルタブが採用されました[4]。世界初の缶コーヒーとされるものは1969年の発売で、これも当時は缶切りで穴をあけていました[6]。

こうして並べると、大正の子どもたちが蹴っていた缶は、缶ジュースの缶ではありません。缶詰の空き缶だったかもしれませんが、それを書いた資料はありません。分かるのは、缶のほうは時代ごとに姿を変え、そのあいだも遊びは続いていたと考えられることです。

では、日本の外では、この遊びはどう語られているのでしょうか。

缶けりの缶の正体を直接述べた資料はないので、缶の側の歴史を時間軸に置き、何が言えて何が言えないかを分ける。

日本の缶詰づくりは、1877年(明治10年)10月10日に北海道石狩の開拓使の缶詰所でサケ缶詰が製造されたのが商業的な生産の始まりとされる[7]。10月10日は1987年に「缶詰の日」と定められている[7]。大正の始まりの1912年まで、1877年から約35年ある計算だ。

飲み物の缶は、さらに時代が下る。日本初の缶ジュース「明治天然オレンジジュース」は1954年に東京地区で発売され、当初は缶切りで開けた。1957年に缶の上にオープナーを付けた型が全国発売され、1965年に缶切り不要のプルタブが採用された[4]。缶コーヒーは1969年4月のUCC「コーヒーミルク入り」が世界初とされ、当時は缶切りで穴をあける方式だった[6]。

ここから言えるのは、一つの時間の関係だけだ。缶ジュースの発売(1954年)は、缶けりが大正期に遊ばれていた記述(1912〜1926年)の終わり(1926年)から数えても約28年後であり、缶ジュースの普及が缶けりを生んだ、という筋道は成り立たない。逆に、缶詰の空き缶が使われたという説明は自然に見えるが、これを直接支える資料はなく、国内で缶詰が作られていた事実との並置にとどまる。缶の種類が変わる時代にも、缶けりは遊ばれていたようだ。ただし、缶の変化と遊びの続き方を直接結びつける資料はない。次に、海外の同名の遊びを見る。

4. うみの むこうにも、かんけりは あるの?

4. 英語圏の Kick the can も、起源は分からない

4. 英語圏の Kick the can ── 起源不明と、比喩になった言葉

えいごを はなす くにぐにには、「キック・ザ・カン」と いう、にた あそびが あります。かんを けるので、かんけりと おなじような 名まえです[5]。

この あそびも、いつ はじまったのかは わかって いません。1930ねんだいの アメリカで、ひろく あそばれて いた、と いわれます。あそぶのに、ひろい ばしょも どうぐも いらず、すてられた かん ひとつで できたからだ、と されて います[5]。

「ひろまった」とは いわれても、「そこで うまれた」とは いわれて いません。

ひとつの かんで、だれでも はじめられる。この かるさが、あそびを ながく のこして きたのかも しれません。では、いまの 日本の 子どもたちは、かんけりを しっているのでしょうか。

英語圏にも、Kick the can(缶を蹴る)という似た遊びがあります。こちらも起源は不明とされています。1930年代の大恐慌のころ、広い場所も道具も要らず、捨てられた缶一つで遊べたため、広く遊ばれたと、ある資料は伝えています[5]。

「大恐慌で生まれた」のではなく、「そのころ広まった」とされている点が大切です。生まれた時期は、英語圏でも分かっていません。

日本の缶けりと英語圏の Kick the can は、名前も形もよく似ています。けれども、似ていることと、どちらかがどちらかの元になったことは、別の話です。海をはさんで二つの国で、缶一つで始められる遊びが、それぞれに遊ばれていたのかもしれません。もしそうなら、缶けりは「誰かが伝えた遊び」というより、「缶がある場所なら、子どもが自然に思いつく遊び」と見ることもできますが、これは資料にある結論ではなく、一つの見方です。

では、いま日本の子どもたちは、缶けりをどれくらい知っているのでしょうか。

英語圏の Kick the can も、起源は不明とされる。Play & Playground Encyclopedia を引用する資料によれば、1930年代の大恐慌期に広まったとされ、広い場所も道具も不要で、捨てられた缶一つで遊べることが理由に挙げられている[5]。ここで「広まった」と「生まれた」を混同してはならない。大恐慌が遊びを生んだ、という意味ではない。

この遊びの名前は、英語で別の意味も持つようになった。kick the can は「問題を先送りにする」という比喩としても使われる。言語学者のリバーマンはこの比喩が約100年前からあるかもしれないと述べたが、具体的な日付は示せず、別の英語学者のアダムズは、缶より前に、石を道で蹴る行為にさかのぼる可能性を示している[10]。つまり、比喩の起源も確定していない。

日英で共通するのは、「缶を蹴る」という動作と、道具の乏しさである。ただし、共通点があることは、伝播の証拠にはならない。この点を踏まえると、日本の缶けりの起源を、英語圏の記述から逆算して決めることはできない。起源を論じる際には、似た遊びが別々に生まれた可能性も含めて、慎重に扱う必要がある。次は、現在の日本の状況を見る。

5. いまの 子どもは、かんけりを しって いるの?

5. 「やったことがない」小学生が4分の3 ── 遊びを残す動き

5. 2010年の調査と2022年の専用セット ── 継承を物とルールの形にする試み

2010ねんに、あるかいしゃが 小学生 100人に ネットで ききました。かんけりを 「やった ことが ない」と こたえた 子は 4ぶんの 3 でした。「しらない」と こたえた 子も、1わりを こえました[8]。

ただし、これは 100人の ちょうさです。日本じゅうの 子の わりあいでは ありません。

そんな中、2022ねんには、かんけりの せんようの セットが うられました。プラスチックの かんと、あそびかたを かいた 本が いっしょに なって います。「つくった 人の いない あそびを、ものと ルールで のこしたい」と いう おもいから うまれました[11]。

わたしたちの 町でも、むかしから つたわる あそびは、いつの まにか すがたを かえて いるかも しれません。

2010年6月に発表された、UCC上島珈琲の調査があります。都市部とそれ以外の小学生100人にネットで聞いたところ、缶けりを「経験したことがない」子は4分の3、「知らない」と答えた子も1割を超えました[8]。

これは100人への調査で、全国の小学生の割合ではありません。それでも、缶けりが「みんなが知っている遊び」ではなくなってきている様子の一端が見えます。

2022年には、鬼ごっこ協会が監修した缶けり専用セットが、オインクゲームズから発売されました。プラスチック製の缶と、解説本『カンケリのデザイン』が一組になっています。作者のいない伝承ゲームを、物とルールの形で残したいという思いから生まれたといいます[11]。

作者がいない遊びは、誰かが遊び続けなければ、記録なしに消えていくかもしれません。だからこそ、遊びを「物」と「ルール」にして残す試みが出てきたのでしょう。では、身近な人の缶けりの記憶を聞いてみましょう。

2010年6月に発表されたUCC上島珈琲の調査(都市部とそれ以外の小学生100人、インターネット調査)では、缶けりを経験したことがない小学生が4分の3、知らないと答えた子も1割を超えた[8]。サンプルは100人で、全国の小学生の割合を代表するものではない点に注意が要る。それでも、経験者が少数派になりうる状況を一例として示す。

この状況に対し、2022年に鬼ごっこ協会の監修で、プラスチック製の缶と解説本『カンケリのデザイン』を組み合わせた缶けり専用セットが、オインクゲームズから発売された。作者のいない伝承ゲームを、ルールとモノの形で残したいという動機によるものだ[11]。調査と商品化に直接の因果が書かれているわけではないが、同じ時代に起きた二つの出来事として並べることはできる。

起源が不明なまま継承されてきた遊びは、仕様書が最初からないために、保存の方法そのものを新しく設計する必要がある。ルールを文章にし、缶を決まった形のモノにすることは、「本来の缶けり」を固定するのではなく、地域ごとに揺れてきた遊び方を一つ記録しておく試みと読める。ただし、その読み方は本稿のものである。

6. おうちの 人の かんけりは、どんな かんだった?

6. 家の人に、缶けりの缶やルールを聞いてみよう

6. 記録に残りにくい情報 ── 缶の種類・呼び名・ルールの違いを聞き取る

かんけりの はじまりは わからなくても、おうちの 人の 子どもの ころの はなしは、きけます。

「どんな かんで あそんだ?」「なんて よんでた?」「つかまった 子は どうやって たすけた?」と、きいて みましょう。おうちの 人が かんけりを した ことが ない ときは、にた あそびを きいても いいですね。

あそぶ ときは、かんが どうろに とんだり、人や たてものに あたったり しないように、ひろい ばしょを えらびます。けとばす ときは、まわりを よく 見ましょう[9]。人が おおい ときは、おにを 2〜3人に する やりかたも あります[9]。

きいた はなしは、ノートに かいておくと、いつか だれかの てがかりに なるかもしれません。

缶けりの始まりは資料では分かりませんが、家の人の子どものころの缶けりなら、直接聞けます。使った缶は空き缶か、ジュースの缶か。鬼は何人だったか。つかまった子を助けるルールはどうだったか。同じ「缶けり」でも、場所や時代によって違いが出てくるはずです。

聞いた話は、年代と場所を添えてノートに書いておくと、のちに誰かが缶けりの歩みを調べるときの手がかりになります。これは、史料の少ない遊びだからこそ、一人ひとりの記憶が意味を持つ、ということでもあります。

実際に遊ぶときは、日本スポーツ協会の紹介にあるように、蹴った缶が道路に出たり、人や建物に当たったりしないよう、広い場所で周りをよく見て行います。人数が多いときは、鬼を2〜3人にする方法もあります[9]。

聞き取りの結果が、この記事の「分からない」を少しだけ埋めるかもしれません。

起源に関する史料が乏しい遊びでは、聞き取りが貴重な一次情報になりうる。確かめたい点を三つ挙げる。

第一に、缶の種類。空き缶か、缶詰か、ジュースの缶かによって、時期の手がかりになる。本稿で見たように、缶ジュースは1954年以降、缶コーヒーは1969年以降の缶であり、それ以前の缶けりに使えたはずがない[4][6]。第二に、呼び名とルール。鬼の人数、捕まった子の解放方法、陣地の形などは、地域や世代で異なる可能性がある。公的な資料ではなく、個人の回想という形でしか記録されていないことが多い。第三に、遊んでいた場所と時期。路地、空き地、校庭など、環境の違いがルールの違いにつながったかどうかを、聞き取りの中で確かめられる。

実際に遊ぶ場合は、日本スポーツ協会の資料にあるように、缶が道路や人、建物に当たらないよう配慮し、人数が多いときは鬼を複数にするなど、状況に合わせる[9]。

なお、日本の缶けりの最も古い文献は、本稿では特定できていない。国立国会図書館デジタルコレクションや、遊びの事典類にあたると、さらに古い記述が見つかる可能性がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

起源の説、大正期の記述、缶の歴史、調査、保存の動き、遊び方を、次の資料から確かめた。個人サイトや百科事典サイトの記述は、補助的に使っている。

  1. 日本文化「缶蹴りの発祥と歴史」 https://jpnculture.net/kankeri/ (起源を示す史料がないこと、三つの説)
  2. 日本玩具博物館「日本の近代玩具のあゆみ・I」 https://japan-toy-museum.org/ (大正期の都市の子どもの放課後の遊び。展示解説はサイト内で検索)
  3. 明治屋プレスリリース(2016年10月3日) https://digitalpr.jp/r/18508 (1877年のサケ缶詰、缶詰の日の由来)
  4. All About ニュース「缶ジュースの豆知識」 https://news.allabout.co.jp/articles/o/60223/ (缶ジュースの発売年、開け口の移り変わり)
  5. Wikipedia「Kick the can」 https://en.wikipedia.org/wiki/Kick_the_can (英語圏の遊びの起源不明、大恐慌期に広まったとされること)
  6. J-Net21「ヒット飲料の歴史」 https://j-net21.smrj.go.jp/special/populardrinks/2011072701.html (缶コーヒーの発売年)
  7. 日本食糧新聞「今日は何の日」 https://news.nissyoku.co.jp/today/591500 (日本の缶詰の始まり、1871年の試作と1877年の製造)
  8. J-CASTニュース(2010年8月22日) https://www.j-cast.com/2010/08/22072857.html (小学生100人の調査)
  9. 日本スポーツ協会 アクティブチャイルドプログラム「缶けり」 https://www.japan-sports.or.jp/portals/0/acp/shidousya_kankeri.html (遊び方と安全の注意)
  10. Marketplace「The origin of 'kick the can'」(2011年12月19日) https://www.marketplace.org/story/2011/12/19/origin-kick-can (比喩としての kick the can の起源。英語の資料)
  11. 電ファミニコゲーマー(2022年4月8日) https://news.denfaminicogamer.jp/news/220408z (缶けり専用セットの発売)

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