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さくらが さいた日は、だれが どうやって きめるの?

桜の開花日は、どうやって決まるのか ── 決まった1本の花を数えて70年

桜の開花日と生物季節観測 ── 標本木「5〜6輪」の基準と、1953年以降10年で約1.1日の変化

分野:自然

ニュースで「東京で さくらが さきました」と 聞いた ことは ありませんか。

でも、さくらの 木は 町じゅうに あります。「さいた日」は、だれが、どの 木を 見て きめて いるのでしょうか。しらべると、「5〜6りん」という 数が でて きました。

「東京で桜が開花しました」というニュースは、公園の桜が咲いた日ではなく、決まった1本の木の花を数えて出した日のことです。

その数は、5〜6輪。数え方には、少し意外なきまりもあります。気象庁の資料をもとに、開花日の決め方と、その日が70年ほどでどれくらい動いたか、そして観測が減った2021年に桜が残った理由をたどります。

気象庁の桜の開花日は、標本木に5〜6輪の花が咲いた最初の日である[1]。東京の2026年は3月19日で、平年(3月24日)より5日早かった[4]。全国58地点の開花日は1953年以降、10年あたり1.1日の割合で早まっている[5]。

この記事では、何をもって「開花」とするかの基準、東京の標本木の来歴、平年値の比較、そして2021年の観測縮小で桜が残った理由を、気象庁の資料で確かめる。変化の要因は断定されておらず、その扱いも合わせて整理する。

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1. 「さいた」は、花が いくつで きまるの?

1. 「開花」の基準は、標本木の5〜6輪

1. 開花日の定義 ── 標本木に5〜6輪、満開は約80%以上

気象庁きしょうちょうでは、「ひょうほんぼく」という きまった 木を 見ています。この 木に 5〜6りんの 花が はじめて さいた 日が、かいか日です[1]。

気象台きしょうだいなどごとに、きまった 木を 見て います。全国で 58の 場所で 見て います[5]。ふつうは ソメイヨシノという しゅるいの さくらを 見ます[2]。

たとえるなら、木の 温度計 です。ただし 本当の 温度計と ちがって、花の 数は 人が 目で 見て かぞえます。

気象庁が桜の開花日と呼んでいるのは、「標本木」という決まった木に、5〜6輪の花が咲いた最初の日です[1]。公園や街のあちこちの桜ではなく、気象台ごとに決めた1本を見ています。指針では、この標本木を「気象観測における測器の役割を果たすもの」としています。

見る木は主にソメイヨシノです。ソメイヨシノが育たない地域では、ヒカンザクラやエゾヤマザクラを観測します[2]。開花の観測地点は、稚内から南大東島まで全国で58あります[5]。

満開は別に決めていて、咲き揃ったときの約80%以上が咲いた状態になった最初の日です[1]。

気象庁の生物季節観測指針では、さくらは開花と満開を観測する。標本木に5〜6輪の花が咲いた最初の日を開花日、咲き揃ったときの約80%以上が咲いた状態になった最初の日を満開日とする[1]。

標本木は、原則として各気象官署の構内に1本の正標本木を定めて観測する。構内に置けない場合は近くの公園などの木を選び、病気などに備えて副標本木も選ぶ。指針は標本木を「気象観測における測器の役割を果たすもの」と位置づけ、日陰を避けて周囲の開けた場所が望ましいとする[1]。

対象は主に染井吉野(そめいよしの)で、江戸末期に始まる品種、江戸彼岸(えどひがん)と大島桜(おおしまざくら)の交雑種とされる。染井吉野が育たない地域では緋寒桜(ひかんざくら)、蝦夷山桜(えぞやまざくら)を観測する[2]。開花の観測地点は稚内から南大東島までの58地点(2022年1月1日現在)である[5]。

2. ちった 花も、かぞえて いいの?

2. 5〜6輪は、同時に咲いていなくてよい

2. 数え方のきまり ── 散った花も含め、胴咲きは除く

ここに おもしろい きまりが あります。5〜6りんは、いっぺんに さいて いなくても いいのです。ちって しまった 花も、数に 入れます[1]。

きのう さいて、けさ ちった 花も 1りんと 数える、と いうことです。

ただし、みきや 根から さく 「どうざき」の 花は、数に 入れません。かぞえるのは 人の 目です[1]。

意外なのは、5〜6輪が「同時に咲いている必要はない」ことです。散った花も数に入れます[1]。

一方、枝ではなく幹や根から咲く「胴咲き」は、5〜6輪に含めません。観測は機械ではなく、目で見て行います[1]。

指針は、5〜6輪が同時に咲いている状態である必要はなく、散った花も数に入れるとする。開花日は「目視によって」花が開花した最初の日とされ、幹や根から咲く胴咲き(どうざき)は5〜6輪に含めない[1]。

満開日も、約80%以上が咲いた状態になった日であり、同時に咲いている必要はない[1]。つまり「開花日」も「満開日」も、その瞬間の景色ではなく、それまでの経過を人が判断した日である。この点は、記録の読み方に効いてくる。

3. とうきょうの 1本は、どこに ある?

3. 東京の標本木は、靖国神社の1本

3. 東京の標本木と、2021〜2026年の開花日

とうきょうの ひょうほんぼくは、やすくにじんじゃの さくらです。1966年から、ここで 見て います。それまでは 気象庁きしょうちょうの 中の 木でした[3]。

2026年の 開花は 3月19日。ふだんの 年(平年)より 5日 はやい 日でした[4]。

さいきん 6年の 開花日は、3月14日、20日、14日、29日、24日、19日です[4]。いちばん はやい 年と おそい 年で、15日も ちがいます。

東京の標本木は、靖国神社の桜です。1966年からここで観測していて、それ以前は気象庁の敷地内の木を見ていました[3]。観測種目や方法を統一して統計を始めたのは1953年で、開花日の長い比較はここから始まります。

2026年の東京の開花日は3月19日で、平年(1991〜2020年の平均)の3月24日より5日早く、前の年の3月24日よりも5日早い日でした[4]。

ただ、年ごとの差は大きいです。2021〜2026年の東京は、3/14、3/20、3/14、3/29、3/24、3/19。いちばん早い年と遅い年で15日もちがいます[4]。1年や2年の早い・遅いだけで、長期の傾向は語れません。

東京の標本木は靖国神社の桜で、1966年から観測している。それ以前は気象庁の敷地内の木であった。観測種目や方法を統一し、統計を開始したのは1953年(昭和28年)である[3]。

2026年の開花日は3月19日で、平年(1991〜2020年の平均)の3月24日より5日早く、前年2025年(3月24日)より5日早い。2021年から2026年までの東京の開花日は、3/14、3/20、3/14、3/29、3/24、3/19(平年3/24)と推移し、最も早い年(2021年・2023年)と最も遅い年(2024年)の差は15日ある[4]。年ごとの振れ幅が長期の変化(次章)より大きいため、単年の値で傾向を論じることはできない。

4. 70ねんで、どれくらい はやく なったの?

4. 10年で約1.1日、70年ほどで7〜8日ぶん

4. 開花日はどれだけ早まったか ── 1953年以降の変化率と、平年値(1961〜1990年→1991〜2020年)の比較

1953年から 2021年までを、全国で ならべた 記録きろくが あります。さくらの 開花日は、10年で だいたい 1.1日の わりで はやく なって います[5]。

1年で 1.1日では ありません。10年で 1.1日です。この わりを 70年 ちかくに あてはめると、あわせて 7〜8日ぶんに なります。

東京の 平年は、1961〜1990年の へいきんで 3月29日、1991〜2020年の へいきんで 3月24日でした。5日 はやく なって います[5]。

全国58地点の桜の開花日は、1953年以降、10年あたり1.1日の割合で早まっています。この変化は、統計的に意味のあるもの(信頼水準99%)と報告されています[5]。

「1年で1.1日」ではなく「10年で1.1日」です。1953年から2021年までは68年ほどなので、あわせて7〜8日分の前倒しになります。1.1日×6.8で約7.5日という計算です。

「平年」は、30年の平均です。1961〜1990年の平年と、今の平年(1991〜2020年)を比べると、東京は3月29日から3月24日へ5日、大阪は4月1日から3月27日へ5日、仙台は4月14日から4月8日へ6日、札幌は5月5日から5月1日へ4日、それぞれ早くなっています[5]。

気象庁の気候変動監視レポート2021は、1953年以降、さくらの開花日が10年あたり1.1日の変化率で早くなっているとする。対象は58観測地点で、変化は信頼水準99%で統計的に有意である[5]。「1年あたり」ではなく「10年あたり」である点に注意が要る。1953〜2021年の約68年に当てはめれば、1.1日×6.8で約7.5日となる。

平年値は30年平均で、現行は1991〜2020年、前回は1961〜1990年である[5]。二つを比べると、東京は3/29→3/24(5日早い)、大阪は4/1→3/27(5日早い)、仙台は4/14→4/8(6日早い)、札幌は5/5→5/1(4日早い)、鹿児島は3/27→3/26(1日早い)である[5]。

5. どこでも はやく なったの?

5. 全部が早くなったわけではなく、原因は「考えられる」まで

5. 石垣島は遅くなり、要因は気温上昇の「影響が考えられる」

ぜんぶの 町が はやく なった わけでは ありません。いしがきじまは 1月15日から 1月18日へ、3日 おそく なりました。なはは かわりません[5]。

では、はやく なる わけは なんでしょう。気象庁きしょうちょうは、さくらが さく 前の 気温と よく にて いる ことから、長い 間に 気温が 上がった えいきょうが 考えられる、と 書いて います[5]。「かならず そう」とは 書いて いません。

ちなみに ヒカンザクラという さくらは、おきなわの ほうで 1月ごろに さきはじめます[2]。

先ほどの平年の比較には、例外があります。石垣島は1月15日から1月18日へ、3日遅くなりました。那覇は変わらず、鹿児島は1日だけ早くなっています[5]。全部の地点が同じように前倒しになったわけではありません。

では、早まる理由は何でしょうか。気象庁は、桜の開花が早まる傾向は開花前の平均気温との相関が高いと述べ、要因の一つとして「長期的な気温上昇の影響が考えられる」としています[5]。「気温上昇のせい」と断定はしていません。

桜前線の進み方も参考になります。ソメイヨシノの開花は、3月下旬に九州から関東南部の地域に達し、4月10日ごろに北陸・関東北部・東北南部、5月中旬に北海道の北部・東部に達するとされます。ヒカンザクラは、沖縄や奄美で1月中旬ごろから咲き始めます[2]。この分布は年によって前後します。

平年値の比較で、石垣島は1/15→1/18(3日遅い)、那覇は1/16→1/16(変化なし)となり、全地点が早まったわけではない[5]。緋寒桜は沖縄・奄美で1月中旬ごろから咲き始める種類で、染井吉野が育たない地域ではこちらを観測する[2]。石垣島・那覇が本州と同じ種類かどうかは、資料で確かめられていないので、単純な比較は避ける。

要因について、レポートは、これらの現象が発現する前の平均気温との相関が高いことから、経年変化の特徴の要因の一つとして長期的な気温上昇の影響が考えられる、と述べる[5]。「一つとして」「考えられる」という書きぶりで、気温以外の要因(たとえば標本木周辺の環境の変化)を切り分けた記述は、この資料の範囲では確認できていない。

染井吉野の開花が九州〜関東南部に達する時期は3月下旬、北陸・関東北部・東北南部は4月10日、北海道北部・東部は5月中旬とされる(2012年版の解説PDFにある平年的な説明で、年により前後する)[2]。

6. どうぶつの かんさつは やめたのに、さくらは?

6. 2021年、動物の観測は終わり、桜は残った

6. 2021年の生物季節観測の縮小と、桜が継続された理由

気象庁きしょうちょうは 2021年から、どうぶつ 23しゅるいの かんさつを ぜんぶ やめました。のこったのは、さくら、うめ、あじさい、いちょう、かえで、すすきの 植物 6しゅるいです。さくらは 開花と 満開まんかい、いちょうや かえでは 色づきと 落ち葉なので、ぜんぶで 9つの ようすを 見て います[7]。

やめた わけは、気象台きしょうだいの まわりの しぜんが かわり、植物では ひょうほんぼくを 用意しにくく、どうぶつでは すがたを 見つけにくく なった ためだと いわれて います[7]。

さくらは、長い 間の きこうの うつりかわりを つかむのに 向いて いる、として のこりました[6]。

気象庁は2020年に、生物季節観測を縮小すると発表したと報じられています。2021年からは、動物23種の観測をすべてやめ、植物6種9現象(アジサイの開花、イチョウの黄葉・落葉、ウメの開花、カエデの紅葉・落葉、サクラの開花・満開、ススキの開花)だけを続けています[7]。減ったのは動物と一部の植物で、桜の観測が減ったわけではありません。

理由は、気象台や測候所の周辺で生き物の環境が変わり、植物では適切な場所に標本木を確保しにくく、動物では対象を見つけにくくなったことだと報じられています[7]。残す種目は、季節の遅れ・進みや気候の変化を捉えるのに適したものとされました[6]。桜は、その条件に合う観測として続いています。

2021年から、動物23種の観測はすべて廃止され、植物6種目9現象(あじさい開花、いちょう黄葉・落葉、うめ開花、かえで紅葉・落葉、さくら開花・満開、すすき開花)に絞られた[7]。桜については、開花・満開とも継続されている。桜の観測が減ったのではなく、動物と他の植物が減った点を混同しない。

縮小の理由は、気象台・測候所周辺の生態環境が変化し、植物では適切な場所に標本木を確保しにくく、動物では対象を見つけにくくなったためと報じられている[7]。存続させる種目の基準は、長期の気候変化や季節の遅れ進みなど総合的な気象状況の推移を把握するのに適していることとされる[6]。この2点は、標本木という一定の条件の下で、同じ方法で長く続けるからこそ意味をもつ観測であることを示している。なお、縮小の発表日や種目数は、気象庁の報道発表の原文までは確認していない。

7. じぶんでも たしかめて みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

おうちの 人と、気象庁きしょうちょうの ホームページで 「さくらの 開花日」の 表を 見て みましょう[4]。とうきょうの 2021年から 2026年までの 6つの 日づけが のって います。

いちばん はやい 年と おそい 年を さがして、なんにち ちがうか ひきざんを して みます。15日に なれば、この メモと おなじです。

おでかけの ときには、ちかくの さくらの 木を 1本 えらんで、道の 名前や めじるしを ノートに 書いて おきます。そして 花が なんりん さいて いるか、あんぜんな ところから かぞえて、日づけと いっしょに 書きます。車に 気を つけて ください。

今日できること:気象庁の「さくらの開花日」の表を開き、東京の2021〜2026年の6つの日付から、いちばん早い年と遅い年の差を数えてみてください。ほかの町の行を見て、年ごとの動き方がそろっているかも見られます[4]。

出かけてできること:近所の桜を1本選び、場所と目印をノートに残します。その木が「標本木」だったら、どこに咲いたら5〜6輪と数えるかを考えると、決まりのむずかしさが分かります。車道の近くでは、立ち止まる場所に気をつけてください。

公式情報:気象庁の生物季節観測のページ[6]と、気候変動監視レポート[5]で、開花日の統計や変化の説明を読めます。

今日できること:気象庁「さくらの開花日」の2021〜2026年の表を開き、東京と他の1地点(札幌や大阪など)について、年ごとの差を並べてみる。2地点の動きがそろうかどうかを見ると、単年の値と長期の傾向の違いが実感できる[4]。

出かけてできること:近所の桜を1本選び、位置と目印を記録し、標本木と同じように「ここに何輪咲けば開花か」を自分の基準で決めてみる。基準を決めるだけで、指針が「散った花も数える」「胴咲きは除く」と細かく定める理由が分かる。道路沿いでは立ち位置に注意する。

公式情報:観測の基準は「生物季節観測指針」[1]、長期変化の分析は気候変動監視レポート2021[5]で読める。旧指針との違いなど、この記事では比べていない点もあるため、詳しく知りたい場合は原文に当たってほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:気象庁・東京管区気象台の資料は公的機関の一次資料、日本経済新聞は報道です。

  1. 気象庁「生物季節観測指針」(令和3年12月)https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/shishin.pdf (開花・満開の基準、数え方、標本木の定め)
  2. 気象庁「さくらの開花日と満開日」解説PDF https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/sakura2012.pdf (観測する種類、桜前線の目安)
  3. 東京管区気象台「桜の観測について」 https://www.data.jma.go.jp/tokyo/shosai/kanyoho/sakura/sakura.html (東京の標本木の場所と観測の始まり)
  4. 気象庁「さくらの開花日(2021〜2026年)」 https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/sakura003_07.html (最近6年の開花日と平年)
  5. 気象庁「気候変動監視レポート2021」2.7 生物季節観測 https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/monitor/2021/pdf/ccmr2021_sec2-7.pdf (1953年以降の変化率、平年値の比較、観測地点)
  6. 気象庁「生物季節観測の情報」 https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/ (観測の目的、継続する種目の考え方)
  7. 日本経済新聞「野鳥初鳴きの観測廃止 2021年から気象庁、桜は継続」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66055590Q0A111C2CR8000/ (2021年からの観測縮小の内容と理由の報道)

なおした ところ

更新履歴

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