1. プチプチは、かべがみの しっぱいから うまれた
1. 壁紙のつもりが、荷物を守る材料になった
1. 壁紙から梱包材へ ── 気泡緩衝材の出発点
1957ねん、アメリカの ふたりが、でこぼこの ある かべがみを つくろうと しました。ふたりの なまえは、アルフレッド・フィールディングと マーク・シャヴァンヌです[1]。
シャワーカーテンに つかう プラスチックの シートを 2まい、あつで はりあわせて みました。すると、できたのは かべがみでは なく、空気の つぶが とじこめられた うすい まくでした[1]。
この まくは、おんしつの だんねつざいとしても ためされましたが、うまく いかなかったと かく ほんも あれば、うれたと かく ほんも あります[1][2]。ふたりは とっきょを とり、つかいみちを 400いじょう かんがえたそうです[1]。
そして 1961ねんごろ、にもつを まもる ざいりょうとして うりこまれました。さいしょの 大きな おきゃくさんは IBMで、大がたの コンピュータを はこぶ とき、こわれないように つつんだと つたえられて います[2]。
日本で「プチプチ」は、かわかみさんぎょうと いう 会社の とうろく しょうひょうです。ほかにも、会社ごとに ちがう よびかたが あります[3]。
1957年、アメリカのアルフレッド・フィールディングとマーク・シャヴァンヌは、凹凸のある壁紙を作ろうとしていました。シャワーカーテン用のプラスチックシート2枚を熱で貼り合わせてみると、できたのは壁紙ではなく、空気の粒が閉じこめられた膜でした[1]。
次に試されたのは、温室の断熱材としての使い道です。スミソニアン誌はこれもうまくいかなかったと書いていますが、ウィキペディアは売れたと書いていて、資料によって食いちがいがあります[1][2]。いずれにしても二人は特許を取り、用途を400以上考えたと伝えられています[1]。
転機は梱包材としての売りこみでした。会社は1960年に設立され、1961年ごろに梱包材として売り出されたとされます。最初の大口の客はIBMで、コンピュータのIBM 1401を運ぶときの保護に使われました[2]。
日本で「プチプチ」は川上産業の登録商標で、会社の設立は1968年です。気泡緩衝材はほかに、エアキャップなど、メーカーごとに呼び名がちがいます[3]。
気泡緩衝材は、1957年にアルフレッド・フィールディングとマーク・シャヴァンヌ(Chavannes)が、凹凸のある壁紙を作ろうとして始まったとされる。シャワーカーテン用のプラスチックシート2枚を熱で貼り合わせたところ、空気の粒が閉じこめられた膜ができた[1]。壁紙としては売れなかったため、次に温室の断熱材が試された。
この温室向けの扱いは、資料で食いちがう。スミソニアン誌は性能が低かったと述べ、ウィキペディアは売れたと記す[1][2]。一次資料(特許や社の資料)は今回読めていないので、壁紙→温室→梱包材という順序も、二次資料にもとづく説明として扱う。二人は特許を取り、用途を400以上考えたという[1]。
では、なぜ梱包材が答えになったのか。会社は1960年にできて、1961年に梱包材として売りこんだ。最初の大口客はIBMで、IBM 1401の輸送時の保護に使われた[2]。
日本で「プチプチ」は川上産業の登録商標で、同社の設立は1968年。名称はメーカーごとに異なり、エアキャップも同種の材料の呼び名だ[3]。同社の公式ページには誕生の経緯の説明がないので、日本での普及史は扱わない。
2. まもるって、やわらかく することなの?
2. 守るとは、「やわらかくする」ことではない
2. 緩衝設計の目的 ── 許容加速度を超えない
われものを おとして こわれるのは、ぶつかった ときの「しょうげき」が 大きすぎる からです。
そこで、つつみ方を きめる人は、中身が たえられる しょうげきの 大きさを まず かんがえます。そして、おとしても その 大きさを こえないように、クッションを えらびます[4]。
おとす 高さは、にもつの 重さや 大きさで きまりが あります[4]。かるい ものと 重い ものでは、えらぶ クッションが かわる のです。
だから、「やわらかければ いい」でも「かたければ いい」でも ありません。この 題名の しつもんへの こたえは、まず ここに あります。中身と おとす 高さに あわせて えらぶ、です。
緩衝設計の目的は、落としたとき製品に伝わる衝撃を、その製品が耐えられる値以内におさえることです。衝撃は加速度(G値)で表し、製品ごとの許容加速度と、想定する落下高さから、必要な緩衝材の硬さを判断します[4]。
落下高さは、荷物の重さや大きさによって、JIS規格や各メーカー独自の基準で決まっています[4]。軽い荷物と重い荷物とで、同じ緩衝材をそのまま使えないのはこのためです。
つまり、題名の問いへの答えの要点はこうです。緩衝材は、中身が耐えられる衝撃、荷物の重さ、落ちる高さから選ぶ。この資料は「柔らかいほどよい」とも「硬いほどよい」とも書いていません。
緩衝設計の目的は、落下時に製品へ伝わる衝撃(加速度、G値)を、その製品の許容値以内におさえることだ。許容加速度が分かれば、必要な緩衝材の硬さを判断できる。落下高さは、重さや大きさにもとづくJIS規格や各メーカーの独自規格で決められる[4]。
ここに、題名の問いの答えの核心がある。選ぶ基準は素材の「やわらかさ」そのものではなく、①中身が耐えられる衝撃、②想定する落下高さ、③中身の重さの三つで、これらを満たす硬さと厚さを探す作業になる。同じ緩衝材でも、軽い荷物に使うと硬すぎ、重い荷物に使うとつぶれすぎることが起こりうる。
この説明は、メーカーの解説(あいろっぷ)にもとづく。落下高さの具体的な数字は、ここでは示さない。
3. うすすぎても あつすぎても だめ
3. 薄すぎても厚すぎても、衝撃は中身に届く
3. 厚さと受け面積 ── クッションカーブという考え方
クッションは、あつければ あつい ほど 安心、と おもいますか。じつは「うすすぎても あつすぎても、しょうげきが 中身に つたわる」と いわれます[4]。
おなじ しょうげきを うけとめるなら、クッションが 中身を うける ひろさが 広い ほど、うすく できます[4]。たとえば、とがった ところで 中身を うけるより、ひらたい ところで うけた ほうが やさしい、という ことです。
もし おとして こわれても、「クッションを ふやせば いい」と かんたんに かんがえるのは きけんだそうです。まず、あつさや ふれる ばしょを 見なおします[4]。
薄すぎても厚すぎてもだめ
メーカーの解説では、緩衝材は「薄すぎても厚すぎても商品に衝撃が伝わる」とされます。同じエネルギーを吸収するなら、中身を受ける面積が広いほど薄くできます。設計の目安として、厚みが60%程度に変形するようにする、という説明もあります[4]。これは一つの会社の目安で、材質や条件によって変わります。
性能は「クッションカーブ」で見る
緩衝材の性能は、JIS Z 0235に従う試験で調べます。横軸に静的応力(中身の重さをクッションが受ける面積で割った値のようなもの)、縦軸に最大加速度をとった線図を、クッションカーブといいます。落下高さ別、緩衝材の厚さ別のグラフになり、適切な厚みと受け面積をそこから求めます[5]。
落下試験で製品が壊れても、「もう少し緩衝材を増やそう」と考えるのは危険だとされます。厚みや接触位置などの設計から見直します[4]。
では、厚くすればするほど守れるのか。メーカーの解説は、緩衝材が「薄すぎても厚すぎても商品に衝撃が伝わる」と述べる。同じエネルギーを吸収するなら、緩衝材の面積が広いほど薄くできる。設計の目安として、厚みが60%程度に変形するよう設計するとされる[4]。これは一社の目安で、材質や荷重条件で変わる。
この判断を支えるのが、クッションカーブだ。JIS Z 0235に従う試験で、静的応力(ここでは、中身の重さ÷緩衝材が受ける面積と読む)を横軸、最大加速度を縦軸に取る。落下高さ別、緩衝材の厚さ別のグラフが得られ、そこから適切な厚みと受け面積を求める[5]。重さを同じ面積で受ければ静的応力は大きく、面積を広げれば小さくなる。曲線のどこに中身を置くかで、伝わる加速度が変わるわけだ。
だから、落下試験で壊れたときの対処も、枚数を足すだけでは終わらない。「もう少し緩衝材を増やそう」という安易な考えは危険とされ、厚みや接触位置などの設計を見直す[4]。なお、これらの出典は企業の解説である。
4. はっぽうスチロールは、ほとんど 空気
4. 発泡スチロールは、体積の約98%が空気
4. 発泡スチロール(EPS)── 体積の約98%が空気の素材
かでんの はこに はいっている、白くて かるい ものを 見たことが ありますか。あれが「はっぽうスチロール」です。
石油から つくる つぶを 50ばいほどに ふくらませて つくり、できあがりの ほとんど、98%ほどは 空気です[6]。むすうの 小さな あわの かたまりなので、しょうげきを やわらげるのが とくいと いわれます[7]。
たとえば 1リットルの はこ ぶんの はっぽうスチロールの うち、げんりょうは 20ミリリットルほど。小さじ4はい ぶんです。
5. かみの クッションが ふえて いる わけ
5. 発泡スチロールから紙へ ── 置きかえが難しい理由
5. 紙・段ボール製への置きかえと、設計の難しさ
さいきんは、かでんの はっぽうスチロールを、かみや ダンボールの クッションに かえる うごきが あります。プラスチックを へらす ためです[8]。
でも、かみの クッションは かんたんでは ありません。1つ1つの しなものごとに、せんようの かたちを つくります。ためして こわれないか たしかめるのも、なんども くりかえします[8]。
ダンボールは、おす 向きで つよさが かわるので、コンピュータで けいさんするのも むずかしい、と いわれて きました[8]。
家電の発泡スチロール緩衝材を、プラスチック削減のために紙や段ボールに置きかえる動きがあります[8]。
ただ、紙や段ボールの緩衝材は、製品ごとに専用の設計になります。試作と試験をくり返す必要があり、段ボールは力を加える方向で強さが変わるため、コンピュータによる解析も難しいとされてきました[8]。
これは企業の発表にもとづく話です。紙のほうが発泡スチロールより優れる、という意味ではありません。素材が変わると、守り方の設計をやり直す必要がある、という点が大切です。
プラスチック削減を背景に、家電などの発泡スチロール緩衝材を紙・段ボール製に置きかえる動きがある。ただし紙・段ボールは製品ごとの専用設計になり、試作と試験をくり返す必要があった。段ボールは方向で強さが変わるため、コンピュータ解析(CAE)による開発も困難とされてきた[8]。
ここでも、前の章の考え方が効く。素材を替えれば、クッションカーブも厚さと面積の最適な組み合わせも変わるので、設計の見直しが必要になる。出典は企業の発表で、紙が発泡スチロールより優れるとまでは言えない。
6. いえに とどく にもつは、どう つつまれて いる?
6. 家に届く荷物の梱包は、どう組み合わせられている
6. 梱包の現場 ── 日本郵便の案内と、使い分けの考え方
にほん ゆうびんは、にもつを 出す人に「クッションを 入れるなど、中身に あった つつみ方を おねがいします」と つたえて います[9]。
こくさい ゆうびんの あんないでは、中身が うごかないように、クッションを 十分に いれる ことを もとめて います。れいとして、しんぶんしや エアクッションが あがって います[9]。
つまり、ここまでの 話が 家で つかえます。すきまが 大きければ しんぶんしを つめる。中身が うごかないように、クッションで すきまを うめる。「中身と はこに あわせて、すきまを どう うめるか」を かんがえる ことが だいじです。
日本郵便は、荷物に「緩衝材を入れる等内容品に適した梱包」をするよう案内しています[9]。国際郵便の梱包の案内では、内容品が動かないよう十分な緩衝材を入れ、外の衝撃が中身に届かないようにすることを求めていて、例として新聞紙やエアクッションを挙げています[9]。
ここまでの話を、家での梱包に重ねてみましょう。箱と中身にすき間が大きければ、新聞紙のような詰める材料を入れます。素材は中身と箱に合わせて選び、すき間を埋めて中身が動かないようにするのが基本です。
どの緩衝材を選んでも、箱と中身の間に空間があれば、その分だけ緩衝材とごみが増えます。緩衝性を高めるほどごみも増えがちなので、必要な量を考えることも、梱包では大切です。
日本郵便は、国内向けのQ&Aで「緩衝材を入れる等内容品に適した梱包」を求める。国際郵便の梱包ページ側では、内容品が動かないよう十分な緩衝材を入れ、外の衝撃が中身に届かないようにすることを求め、例として新聞紙とエアクッションを挙げる[9]。後者の「動かないように」という記述は国際郵便側のもので、国内の案内にはない。
ここまでの原則を実務に当てはめると、考え方はおおよそ次のとおりだ。すき間が大きいときは詰める材料(新聞紙など)を入れ、素材は中身と箱に合わせて選び、すき間を埋めて動かないようにする。素材ごとの使い分けを決める公的な基準は、ここでは示さない。本来は、許容加速度と落下高さ、クッションカーブから個別に決める。
一方、緩衝材を増やすほど箱の中の空間は埋まり、ごみも増える。必要な性能に対して、素材と量を選ぶ視点が要る。
7. はこの なかを 見て、ためして みよう
7. 届いた箱の中身と、空き箱で試す
7. 出口 ── 箱の中を観察する、空き箱で比べる
とどいた にもつの はこを あけたら、中に どんな クッションが はいっているか 見て みましょう。かみ、プチプチ、しろい かたまり。中身の 重さや 大きさと、くらべて みてください。
おうちの 人と いっしょに、あき箱で ためすことも できます。小さな すず(なければ ビー玉)を 入れて、新聞紙を まるめて つめた 箱と、なにも つめない 箱を、ひざの 高さから ざぶとんの上に そっと おとします。音と、中身の うごき方を くらべて みてください。
かならず ゆかや 人に あたらない ところで、手を はさまないように 気を つけてね。ここでの ちがいは、ほんとうの しけんとは べつの ものです。
荷物が届いたら、箱を開けて、緩衝材の種類と量を観察してみましょう。中身の重さや大きさ、割れやすさと比べると、なぜその材料なのかを考えるヒントになります。
家にある空き箱でも、考え方を試せます。小さな鈴(なければビー玉)を箱に入れ、新聞紙をまるめて詰めた箱と、何も詰めない箱を作ります。ひざの高さから、座布団の上へそっと落として、音と中身の動き方を比べます。床や人に当たらない場所で、手をはさまないように気をつけてください。本当の試験とは別の、ごく簡単な観察です。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:スミソニアン誌、ウィキペディア、川上産業、発泡スチロール協会、あいろっぷ、新栄、MONOist、日本郵便の各ページを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Smithsonian Magazine「The Accidental Invention of Bubble Wrap」。https://www.smithsonianmag.com/innovation/accidental-invention-bubble-wrap-180971325/ (気泡緩衝材の誕生、温室での試み、用途探しについて。二次資料)
- Bubble Wrap(Wikipedia)。https://en.wikipedia.org/wiki/Bubble_Wrap_(brand) (梱包材としての売りこみ、IBMとの関係について。二次資料)
- 川上産業「プチプチ」公式情報。https://pr.mono.ipros.com/putiputi/information (登録商標と会社の設立年について)
- あいろっぷ「緩衝設計 気をつけて!正しく理解する緩衝材の使い方」。https://ailop.co.jp/information/ailopinfo140/ (緩衝設計の目的、厚さと面積について。企業の解説)
- 新栄「緩衝材試験」。https://www.shinyei-tm.co.jp/tech_packingplan_testing2.html (クッションカーブについて。企業の解説)
- 発泡スチロール協会(JEPSA)「発泡スチロールとは」。https://www.jepsa.jp/styrofoam/ (空気と原料の割合について)
- 東京都 デザインアワード資料。https://design-award.metro.tokyo.lg.jp/archive/2017/03/thema.html (発泡スチロールの緩衝性について)
- MONOist(2025年8月15日)。https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2508/15/news011.html (紙・段ボール緩衝材への置きかえと設計の難しさについて。企業の発表)
- 日本郵便「よくあるご質問」。https://www.post.japanpost.jp/question/12.html (梱包の案内について。国際郵便の例は国際郵便の梱包ページの記述)
なおした ところ
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