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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ゾウの 耳は、どうして あんなに 大きいの?

ゾウの耳はなぜあんなに大きいのか ── 汗をかけない巨体と、暑さで変わる耳の大きさ

ゾウの耳はなぜ大きいのか ── アフリカゾウ・アジアゾウ・マンモスの耳を比べて読む

分野:生きもの

ゾウは、あつい 日に 耳を パタパタ ゆらします。うちわで あおいで いるように 見えますが、ひやされて いるのは、耳の 中を ながれる 血です。耳は 体の ねつを にがす、とても 大事な ばしょだと いわれて います[1]。

では、ゾウは どうして 耳で ねつを にがす ひつようが あるのでしょう。アフリカゾウや マンモスの 耳とも くらべながら、その わけが わかります。

暑い日の動物園で、ゾウは耳をパタパタと動かします。うちわであおいでいるように見えますが、冷やされているのは耳の薄い皮膚の下を流れる血だと、動物園の飼育員は説明しています[2]。

ゾウは汗で体を冷やすことができないといわれます。巨体の熱を、耳はどう逃がしているのでしょうか。アフリカゾウ、アジアゾウ、マンモスの耳を比べると、その理由と、耳の大きさが暮らす土地の暑さで変わってきたらしいことが分かります。

ゾウが暑い日に耳を動かす姿は、うちわであおいでいるように見える。だが冷やされているのは風を受ける耳の血液であり、アフリカゾウの耳の血流を調べた研究は、耳が暑い環境での体温調節に大きな役割を果たすと考えた[1]。

なぜゾウには、そのような放熱器が必要なのか。陸の哺乳類で体積に対する表面積の割合が最も小さいことと、汗で体温を調節できないことを手がかりに、アフリカゾウ・アジアゾウ・ケナガマンモスの耳を並べて読むと、必要な理由と、土地の気温と耳の大きさの関係が分かる。

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1. パタパタは、うちわ ですか?

1. 耳をパタパタさせるのは、ただの「あおぎ」ではない

1. 耳の動きは風を送る動作ではなく、血液を冷やす動作として調べられた

あつい 夏の 動物園どうぶつえんで、ゾウを 見て みましょう。大きな 耳を、ゆっくり パタパタ。まるで 大きな うちわです。

ところが、この パタパタは、ゾウが すずしい 風を 自分に おくって いる だけでは ありません。耳には 細い 血管けっかんが たくさん 通って いて、耳を ふると 耳の 血が 空気に ふれて ひやされます[2]。ひえた 血は 体じゅうを めぐって、体が あつく なりすぎるのを ふせぎます。

耳は、体の ねつを にがす まどのような ばしょなのです。では、ゾウは どうして そんな まどが いる のでしょう。

夏の動物園で、ゾウの耳はゆっくりとパタパタ動いています。見た目はうちわですが、仙台市八木山動物公園の飼育員の解説によると、狙いは自分があおがれることだけではありません[2]。

ゾウの耳は、体の中では比較的皮膚が薄く、細い血管がたくさん通っています。気温が高いとき、耳をよく動かして耳の裏に風を当てると、血管の中の血液が冷やされます。冷えた血液は全身をめぐるので、体温の上がりすぎを防げる、という説明です[2]。

耳は、血液を冷やす「放熱器」のような場所だと考えられているわけです。では、ゾウはなぜ、そんな場所を必要とするのでしょうか。

暑い日にゾウが耳を動かす動作は、単純にうちわで涼む行動に見える。しかし Wright は、アフリカゾウの耳の血流を測り、耳から逃げる熱が、体全体が出さなければならない熱のかなり大きな割合を占めること、そして耳の血流が体温調節のために調節されていると考えられることを報告した[1]。論文の題名そのものが「ゾウはなぜ耳をパタパタさせるのか」である。

動物園の飼育員による解説も同じ方向を向いている。ゾウの耳は体の中では皮膚が比較的薄く、細い血管が多い。気温が高いと耳を動かして耳の裏に風を当て、血管内の血液を冷やし、その血液が全身をめぐって体温の上昇を防ぐという[2]。つまり耳の動きは、風を起こすためというより、血液と空気の接する面を入れかえ続けるための動作として説明されている。

ここで、次の問いが生まれる。熱を逃がす専用の場所が、なぜゾウには必要なのか。

2. ゾウは、どうして ねつが にげにくいの?

2. 汗をかけず、熱がにげにくい巨体

2. 体積に対する表面積が小さく、汗にも頼れない体

あつい おゆを 入れた ふかい なべは、なかなか さめません。でも、おなじ おゆを 広くて うすい おさらに うつすと、すぐ さめます。ねつは、空気に ふれて いる ところから にげるからです。

ゾウの 体は、とても 大きな ふかい なべのようです。体の 大きさの わりに、空気に ふれる ところが すくなく、中の ねつが にげにくいのです。りくの どうぶつの 中では、いちばん にげにくい ほうだと されて います[4]。

しかも ゾウは、あせで 体を ひやす ことも できません[4]。ただし、ここまでは 体の 大きさの 話です。ゾウは、この むずかしさを、耳を 使って のりこえて いると 考えられて います。

熱いお湯を深い鍋に入れておくと、なかなか冷めません。同じお湯を平たい皿に広げると、すぐに冷めます。熱は、空気に触れている面から逃げるからです。

ゾウの体は、深い鍋によく似ています。体が大きいと、体の大きさ(体積)に対して外に触れている面(表面積)の割合は小さくなります。ゾウは、陸の哺乳類のなかでこの割合がいちばん小さく、熱が逃げにくい動物です[4]。

そのうえ、ゾウは汗で体温を調節することもできないといわれます。そこで、耳をパタパタさせる、血管を広げて血流を増やす、といった方法が体温調節に大きく貢献していると考えられています[4]。熱がたまりやすい体だからこそ、熱の出口が必要になるのです。

ただし、ここまでは「耳が役立つ理由」の説明です。耳の中で熱が逃げる様子は、実際に目で見ることができるのでしょうか。

熱の逃げやすさは、体の大きさと形で決まる部分が大きい。体が大きいほど、体積に対する表面積の割合は小さくなる。Myhrvold らの研究は、ゾウが陸生の哺乳類のなかでこの割合が最も小さいことを指摘し、さらに汗による体温調節もできない点を挙げている[4]。熱を生む体の中身は大きいのに、熱を捨てる面が相対的に少ない。これが、ゾウの体温調節の出発点である。

その結果、耳を動かす、血管を広げて血流を増やす、といった行動と生理が大きな役割を担うとされる[4]。熱を逃がす面を、体の外に突き出した薄い耳として「追加」しているとも読める。ただし、この読みは論文が直接そう書いているわけではなく、体積と表面積の関係から筆者が整理した見方である。

では、耳の中で熱が逃げている様子は、観測できるのか。

3. 耳の どこから ねつが にげるの?

3. 赤外線カメラで見えた、耳の「熱の窓」

3. サーモグラフィーが示した耳の「熱の窓」と、放熱の調節

ものの あつさを、いろで うつす カメラが あります。このカメラで、どうぶつえんの アフリカゾウ 6とうを しらべた 研究が あります[3]。

すると、耳に さかいめの はっきりした あたたかい ところが 見つかりました。ねつを にがす 「まど」の ようなので、「ねつの まど」と よばれて います。この まどは 耳だけでは なく、体の ほかの ばしょにも ありました[3]。

まどの かずは、気温が たかい ときや、体が おもい ときに ふえる ようすでした。ゾウは、ねつを にがす 場所を ふやしたり へらしたり して、ねつの にげかたを 細かく かえて いるのでは、と 考えられて います[3]。

耳の中で熱が逃げているなら、それは目に見えるはずです。研究グループは、動物園のアフリカゾウ6頭を赤外線サーモグラフィー(物の表面温度を色で表すカメラ)で調べました[3]。

すると、耳に境目のはっきりした温かい部分が見つかりました。血管が多く、熱が逃げやすい場所なので、研究では「熱の窓(サーモ・ウィンドウ)」と呼ばれています。熱の窓は耳だけでなく、体のほかの場所にも見られました[3]。

さらに、気温が高いときや体重が重いときほど、熱の窓は多く現れる傾向がありました[3]。研究者は、ゾウが熱の窓の数や場所を変えながら、放熱をこまかく調節しているのではないかと考えています。耳はその最大の窓のひとつ、というわけです。

耳が熱の出口なら、暑い土地で暮らすゾウほど、耳が大きいのではないでしょうか。

耳が放熱器として働くなら、その温度分布は可視化できるはずである。Weissenböck らは動物園のアフリカゾウ6頭を赤外線サーモグラフィーで撮影し、耳に境目のはっきりした温かい領域があることを確認した。研究では、血管が多く放熱が起こりやすいこうした領域を thermal window(熱の窓)と呼んでいる[3]。

この窓は耳だけでなく体のほかの部位にも見られ、気温や体重が増えると多く現れる傾向があった[3]。窓の数や場所が環境と体の状態に応じて変わることから、ゾウは血流の配分によって、放熱を細かく調節していると考えられている。耳は、そうした窓のなかでもとくに面積の大きいものと位置づけられる。

ここで注意したいのは、サーモグラフィーが示すのは表面温度であって、放熱量そのものではないことだ。熱の窓は「放熱が起こっていそうな場所」の手がかりであり、耳が体全体の熱の何割を逃がすかは、血流の測定など別の資料をあわせて考える必要がある。

耳が放熱器なら、暑い土地のゾウほど耳が大きくてもおかしくない。実際はどうか。

4. あつい ところの ゾウほど、耳が 大きい?

4. アフリカゾウとアジアゾウの耳くらべ

4. 暑い土地のゾウほど耳が大きいという説明

ゾウには、アフリカゾウと アジアゾウが います。アフリカゾウの ほうが、耳が 大きいのです。

千葉市動物公園の しりょうでは、アフリカの 草原に すむ アフリカゾウは アジアゾウより 大きな 耳を して いて、暑あつい ところに すむ ゾウほど 耳が 大きい、と いわれて います[6]。耳が 大きいと、空気に ふれる けっかんも ふえて、ねつを にがしやすく なるからだと 考えられます。

ただし、2しゅるいの ゾウの 耳から にげる ねつを、ちょくせつ くらべた はかった けっかは 見つかって いません。「あつい ところほど 大きい」は、いまの ところ 「そういう かたむき」と いう せつめいです。

ゾウには、アフリカゾウとアジアゾウがいます。顔を並べて見ると、耳の大きさがちがいます。千葉市動物公園の資料は、アフリカの草原で暮らすアフリカゾウはアジアゾウより大きな耳をしていて、暑いところに住むゾウほど耳が大きい、と説明しています[6]。

耳にはこまかい血管が網の目のようにはりめぐらされていて、体から流れてきた血液を空気にあてて冷やします[6]。耳が大きいほど空気に触れる面が広がり、熱を逃がす力も大きくなると考えるのは自然です。

ただし、アフリカゾウとアジアゾウの耳から逃げる熱を直接比べた測定は、ここで使った資料にはありません。「暑い地域ほど大きい」は、動物園の資料にある「傾向」の説明です。耳の大きさのちがいには、暑さ以外の事情が重なっている可能性も残ります。

もし暑さで耳の大きさが決まるのなら、とても寒い土地にいたゾウの仲間は、どんな耳をしていたのでしょうか。

耳が放熱器なら、気候が暑いほど大きな耳が有利になるはずだ。千葉市動物公園の資料はこの考えに沿って、草原に暮らすアフリカゾウはアジアゾウより大きな耳をもち、暑い地域のゾウほど耳が大きいと説明している。耳には細かい血管が網の目状にはりめぐらされ、体から来た血液を空気にさらして冷やすという[6]。

「暑い地域ほど大きい」は、耳の大きさと生息環境の傾向を述べたものであり、耳の大きさのちがいがもっぱら暑さによると証明したものではない。そのうえで、もっと極端な環境にいた仲間を見ると、傾向の輪郭がはっきりする。

5. さむい ところの マンモスは、どんな 耳?

5. 小さな耳のケナガマンモスは何を語るか

5. ケナガマンモスの耳は、約70万年かけて小さくなったらしい

さむい 北の 国に すんで いた ケナガマンモスも、ゾウの なかまです。でも、耳は アフリカゾウや アジアゾウより ずっと 小さかったと されて います[7]。

2023ねんの 研究では、マンモスの 小さな 耳に かかわるかもしれない いでんしが 見つかりました。そして、古い マンモスの 耳は、もっと 大きかったらしい、とも いわれます[7]。

耳が 小さいと、さむい ところでは ねつが にげにくいので、つごうが よかったと 考えられます。耳は、住む ところの あつさ さむさに あわせて、時間を かけて かわって きたのかも しれません。

寒い北の大地で暮らしていたケナガマンモスも、ゾウの仲間です。しかし耳は、アジアゾウやアフリカゾウよりも小さかったことが知られています[7]。

2023年、ストックホルム大学などの研究グループは、マンモスの遺伝子を調べ、小さな耳に関わるかもしれない変異をもつ遺伝子を見つけました。また、耳は約70万年のあいだに少しずつ小さくなったとされ、約70万年前の古いマンモスの耳は、もっと大きかったらしいといいます[7]。

出典は「寒いから耳が小さくなった」とまでは書いていません。ただ、耳が大きいと熱を逃がしやすいのですから、寒い土地では小さな耳のほうが熱を逃がしにくく、都合がよかったと考えるのは筋が通っています。暑い土地では大きく、寒い土地では小さい。耳の大きさは、暮らす場所の気温とつながっているらしい、という見通しです。

では、耳の仕事は熱を逃がすことだけなのでしょうか。

気温と耳の大きさの関係は、寒冷な環境にいたゾウ類でも確かめたくなる。ケナガマンモスはアジアゾウ・アフリカゾウより小さな耳をもっていた。Díez-Del-Molino らの2023年の遺伝子研究は、小さな耳に関わるかもしれない変異をもつ遺伝子を見つけ、耳は約70万年のあいだに小さくなり、古いマンモスの耳はもっと大きかったらしいと述べている[7]。

この結果だけで、「寒かったから耳が小さくなった」と言うことはできない。だが、体積に対する表面積を小さく保つことが寒冷地では熱を失いにくいという一般的な考え方と合わせれば、小さな耳は放熱を抑えるのに都合がよかったと推測できる。この推測の強さは「考えられる」程度であり、遺伝子の変異が実際に耳の大きさにどう効いたのかも、まだ研究の途中である。

いずれにしても、アフリカゾウ・アジアゾウ・マンモスの順に、暑い土地から寒い土地へと耳が小さくなる並びは、耳が気温と結びついていることを示唆している。では、耳の役目は放熱だけなのか。

6. 耳の しごとは、ひやす ことだけ?

6. 耳だけでは足りない熱と、耳のほかの役目

6. 耳の限界を補う毛と行動、そして耳のほかの役目

耳が ひやして くれるのは たしかですが、それだけでは 足りないと されて います。ゾウは、すなや 水を 体に かけたり します。体に ある まばらな 毛も、ねつを にがす のに 役立つと いわれます[5]。弱い 風の ときには、毛の おかげで ねつが にげやすく なる ようすが、計算で いちばん 多くて 23%ふえる、という 研究も あります[5]。

耳には、ほかの 役目も あります。耳が 大きいと 音が あつめやすく、とおくの 音や 小さな 音も 聞こえやすく なります。おこったときは、耳を よこに ひろげて 体を 大きく 見せる こうかも あると 考えられて います[2]。

耳だけで暑さをしのいでいるわけではありません。ゾウは、耳をパタパタさせたり、砂や水を浴びたりして体温の上昇を防ぎますが、それだけでは1日に体の中で生じる熱を逃がすには足りないとされています。

プリンストン大学の研究は、ゾウの体にまばらに生えた毛にも放熱を助ける働きがあるとして、弱い風のとき、毛によって放熱が最大23%高まると計算しました[4][5]。これは計算上の上限に近い値で、実際のゾウで測った数字ではありません。

耳にはもうひとつ、音の役目もあります。耳が大きいと音を集めやすく、遠くの音や小さな音が聞こえやすくなります。また、威嚇するときに耳を横に広げて体を大きく見せる効果があると考えられています[2]。

つまりゾウの耳は、熱を逃がす、音を集める、体を大きく見せる、といくつもの役目を兼ねているようです。

耳は有力な放熱路だが、それだけで熱収支が足りているわけではない。ゾウは耳を動かすほか、砂や水をかぶって体温の上昇を防ぐ。それでも1日に生じる熱を逃がすには十分でないとされ、Myhrvold らの研究は、体にまばらに生えた毛も放熱を助けていると考えた[4]。弱い風のとき、まばらな毛によって放熱が最大23%高まるという計算結果である[5]。「最大」「弱い風のとき」「計算上」という3つの条件つきの数値で、実測値ではない点に注意が要る。

また、放熱は耳の仕事の一部にすぎない。動物園の飼育員の解説では、耳介が大きいと音を集めやすく、遠くや小さな音が聞こえやすくなる。威嚇の際には耳を横に広げ、体を大きく見せる効果があると考えられている[2]。

耳の大きさは、放熱という機能だけで決まるのではなく、聴覚や威嚇といった複数の機能の兼ね合いで決まる可能性が高い。各機能が耳の大きさにどれだけ寄与しているかは、まだ細かく分けられていない。マンモスの小さな耳や、地域ごとの耳の大きさの差を、放熱以外の要因も含めて考える余地が残されている。

7. どうぶつえんで、ゾウの 耳を 見て みよう

7. 動物園で、ゾウの耳の動きを見てみよう

7. 耳の動きから確かめられること、読んでみたい原典

どうぶつえんで ゾウを 見る ときは、耳に ちゅうもくして みて ください。ゾウに 近づきすぎず、さくの そとから しずかに 見ましょう。

あつい 日と すずしい 日で、耳を うごかす ようすは かわるでしょうか。水を あびた あとや、日かげに いる ときは、どうでしょう。ノートに 「いつ」「どのくらい」と 書いて おくと、あとで くらべられます。

アフリカゾウと アジアゾウの 両方を 見られたら、耳の かたちも くらべて みましょう。

動物園でゾウを見るときは、耳に注目してみてください。暑い日と涼しい日、日なたと日かげ、水浴びのあとなどで、耳を動かす頻度や様子に違いはあるでしょうか。時刻と気温をメモしておくと、あとで比べられます。柵に近づきすぎず、離れたところから静かに見ましょう。

アフリカゾウとアジアゾウの両方がいる動物園なら、耳の形と大きさも見比べられます。ここで読んだ「暑いところに住むゾウほど耳が大きい」という説明が、自分の目で見た印象と合うかを確かめてみると、資料の言い方がどのくらい慎重なのかも分かります。

もっと知りたくなったら、各動物園が出している日本語の解説資料を、出典欄から探してみるのもよいでしょう。

動物園でゾウを観察できるなら、次の点を記録すると、本文で読んだ説明を自分で検証する材料になる。耳を動かす頻度は、気温・日なたか日かげか・水浴びの前後でどう変わるか。アフリカゾウとアジアゾウの両方を飼育している施設なら、耳の大きさと形の違いも観察できる。ただし、肉眼の観察は放熱量を測定するものではなく、あくまで傾向を見る手がかりにとどまる。

より踏みこんで読むなら、Wright(1984)の論文は耳の血流と体温調節を扱った古典的な研究で、題名からして「ゾウはなぜ耳をパタパタさせるのか」を問うている。Weissenböck らの2010年の研究は、サーモグラフィーで熱の窓を捉えた報告である。いずれも英語の論文で、要旨は論文のページで読める。耳の放熱が体全体の熱収支のなかでどれだけを占めるのかなど、本文で数字を書けなかった点は、原典に当たるといっそう具体的に見えてくる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の番号は、下の資料の番号に対応します。論文は題名と要旨のページで確かめ、動物園の資料は飼育員の解説として読みました。

  1. Wright, P.G. "Why do elephants flap their ears?" African Zoology 19(4):266-269 (1984). https://www.ajol.info/index.php/az/article/view/152820 (耳の血流と体温調節)
  2. 仙台市八木山動物公園「教えて!飼育員さん!」(2025年1月) https://www.city.sendai.jp/zoo/sns/documents/20250122_zou_mimiookii.pdf (耳の血管・パタパタ・音・威嚇の解説)
  3. Weissenböck, N.M. et al. (2010) Journal of Thermal Biology 35(4):182-188. https://vetdoc.vetmeduni.ac.at/vivo/display/publ_56757 (サーモグラフィーと熱の窓。書誌と要旨)
  4. Myhrvold, C.L., Stone, H.A., Bou-Zeid, E. (2012) "What Is the Use of Elephant Hair?" PLOS ONE. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0047018 (体積と表面積の割合・汗・毛)
  5. CNN.co.jp「ゾウの頭の毛は何のため?米プリンストン大が解明」(2012) https://www.cnn.co.jp/fringe/35023312.html (毛による放熱の日本語報道)
  6. 千葉市動物公園 アジアゾウのかんさつシートと解説 https://www.city.chiba.jp/zoo/school/documents/15elephant-worksheet.pdf (アフリカゾウとアジアゾウの耳の比較)
  7. Díez-Del-Molino, D. et al. (2023) Current Biology 33:1753(ストックホルム大学の研究の報道 Popular Science) https://www.popsci.com/environment/woolly-mammoths-evolution/ (マンモスの小さな耳と遺伝子)

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