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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

布ぬのは、なにから できて いるの?

繭まゆ1個から1本で1000〜1500mの糸:綿めんも絹も羊毛もポリエステルも「長い鎖の分子」でできている

絹・綿めん・羊毛ようもう・ポリエステルは、なぜ同じ「長い鎖の分子」で繊維になるのか:繭1個の糸が1000〜1500mある理由から考える

分野:技術

蚕かいこが つくる まゆ1こからは、1000メートルいじょうの 長い 糸が とれます。ほどくと、1ぽんの 糸なのです。ふく、ハンカチ、くつ下は、むかしの 草や 動物の 毛や、石油から できて いるのに、どうして おなじ ぬのに なるのでしょう。

この メモでは、まゆ、わた、ひつじの 毛、人が つくる 糸を くらべて、ぬのの 元に ある 「長い くさり」と、糸から ぬのに なる みちすじが わかります。

蚕の繭まゆ1個を最後までほどくと、1本につながった糸が1000〜1500mもとれるそうです。400mのトラックなら、2周半から4周近くになります。木綿の種についた毛、羊の毛、石油からできた糸は、見た目も手ざわりもちがうのに、どれも服や布団の布になります。何が共通しているのでしょうか。

答えを先に言うと、材料がばらばらでも、どの繊維も「長い鎖のような分子」でできています。絹・綿・羊毛・ポリエステルでそれを確かめ、糸を織ると布になる道すじまで分かります。

蚕の繭1個からとれる繭糸は、品種によって差はあるが、おおむね1000〜1500mの1本の糸である[2]。一方、綿は植物の種についた毛、羊毛は動物の毛、ポリエステルは化学合成で作る。出どころがこれだけ離れた材料が、なぜどれも「繊維」として同じように糸になり、布になるのか。

結論を先に言えば、出どころが離れていても、どの繊維も長く連なった高分子でできている。各繊維の形や成分からその共通点を確かめ、糸を織って布になる構造まで追う。

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1. まゆ1こに、どれくらい 長い 糸が あるの?

1. 繭1個から、1本で何m続く糸がとれるのか

1. 繭糸はなぜ「1本」で1000m以上も続くのか

かいこは、まゆを つくる ときに、1ぽんの 糸を はきつづけて、まるく ぐるぐる まきます。

この まゆを つくった 糸を ほどくと、1ぽんに つながった 糸が、1000メートルから 1500メートルほど とれます(ひんしゅで ちがいます)。ほどいた 1ぽんの 糸は「まゆ糸」と いいます。まゆ糸を 何ぼんか あわせて 糸に した ものが、生糸きいとです。

学校の ぐるぐる まわる トラックを 400メートルと すると、2しゅう はんから 4しゅう ちかくです。ちいさな まゆから、そんなに 長い 糸が でてくるのです。

この 生糸で おった ぬのが、絹きぬです。

蚕は繭をつくるとき、1本の糸を吐きつづけて身のまわりを包みます。1個の繭からとれる繭糸の長さは、品種によって差があるものの、おおむね1000〜1500mと説明されています[2]。400mのトラックなら2周半(1000m)から4周近く(1500m)です。

この繭糸は、断面が三角形に近い2本の「フィブロイン」という繊維を、「セリシン」というものがおおった形をしています。生糸の成分はフィブロインが70〜80%、セリシンが20〜30%で、どちらも約20種類のアミノ酸からできたたんぱく質です。セリシンは熱いお湯やアルカリにとけますが、フィブロインはとけません[2]。

つまり絹は、動物がつくったたんぱく質の長い糸そのものです。では、植物からとれる綿は、どんな形で糸になるのでしょうか。

蚕は繭をつくるとき、1本の糸を連続して吐き出す。そのため、繭をほどいて糸にとると、1個の繭から1000〜1500m、太さは2.5〜3.5デニールの繭糸が切れ目なくとれると辞典は記す[2]。400mのトラックに換算すると、2.5周(1000m)から約3.75周(1500m)に当たる。ただしこの長さは蚕の品種などで変わる幅のある値であり、すべての繭が同じ長さではない。

繭糸は、断面が近似三角形の2本のフィブロイン繊維を、セリシンが被覆する構造をもつ。生糸の組成はフィブロイン70〜80%、セリシン20〜30%で、どちらも約20種類のアミノ酸が連なったたんぱく質である。セリシンは熱水やアルカリに溶けるがフィブロインは溶けない[2]。なお、繊維は大きく天然繊維と化学繊維に分かれ、天然繊維には絹・羊毛のような動物性と、綿・麻のような植物性がある[1]。

絹は、動物が体内でつくった「長いたんぱく質」を、そのまま糸として取り出したものといえる。では、植物の繊維は、どういう形をして糸になるのか。

2. 綿めんの わたは、どうして 糸に なるの?

2. 木綿の種についた毛は、ねじれることで糸になりやすい

2. 木綿もめんの種子毛しゅしけは、乾くとねじれる:天然撚りと糸のつくりやすさ

綿めんの ふわふわした わたは、わたの 木の たねに ついている、細かい 毛です。

この 毛は、まだ わかい うちは、ストローのように なかが あいた つつの 形です。みのって かわくと、ちぢんで、ひらたい リボンのように なり、ぐるぐる ねじれます。

ねじれは、1センチの 間に 100かいほども あります。ねじれた 毛は、たがいに からみやすく、糸に しやすい と いわれています。

この 毛の 中みは、ほとんど 植物しょくぶつの 「セルロース」と いう ものです。

綿(木綿)の繊維は、木綿の種についた毛(種子毛)です。まだ成熟していないうちは中が空洞の円筒形ですが、成熟して乾くと収縮してねじれ、平らなリボンのような形になります。このねじれは「天然撚り」と呼ばれ、1cmあたり約100回です[3]。

糸にするには、繊維どうしをからませて引きのばし、より合わせます。ねじれたリボン状の繊維は、まっすぐな棒よりも互いにひっかかりやすいため、糸にしやすいと考えられています(辞典の記述は天然撚りまでで、からみ合いやすさは一般的な説明です)。

成分は、未精製のものでも90%以上がセルロースで、精製すると99.98%以上がセルロースになります[3]。つまり綿の布は、ほとんどがセルロース1種類でできています。次は、動物の毛を見てみましょう。

綿の繊維は、綿の種子の表面に生える種子毛である。未成熟な間は中空の円筒状だが、成熟して乾燥すると細胞膜が収縮し、ねじれを生じながら扁平なリボン状になる。このねじれは天然撚りと呼ばれ、約100回/cmに及ぶ[3]。このねじれによって繊維どうしが引っかかりやすいと一般には説明されるが、辞典の記述は天然撚りの存在までで、糸のつくりやすさとの関係は一般的な理解である。

成分は、未漂白の綿繊維で90%以上、精製すると99.98%以上がセルロースである[3]。この数値は成分の割合であり、実際の綿布には染色や仕上げの処理が加わる。

ここまでで、絹はたんぱく質、綿はセルロースと、成分が別の物質だと分かった。では、同じ動物性でも絹とはまったく見た目の違う羊毛は、どんな形で糸になるのか。

3. ひつじの 毛は、どうして あたたかいの?

3. 羊毛の表面のうろこと縮れは、何の役に立つのか

3. 羊毛はなぜ「縮れて」いて、吸湿してもべたつきにくいのか:スケールとクリンプ

羊毛ようもうは、ひつじの 毛です。わたしたちが 「ウール」と よぶ ものです。

羊毛を 細かく 見ると、さかなの うろこのような ものが たくさん ならんでいます。これを 鱗片りんぺんと いいます。しかも 毛は、ジグザグに ちぢれています。

この ちぢれの おかげで、のびても もとに もどりやすく、あたたかさを ためやすい と いわれます。

羊毛の 中みは、「ケラチン」と いう たんぱくしつです。

羊毛の主な成分は、ケラチンというたんぱく質です。表面にはうろこのような「鱗片(スケール)」が重なり、繊維はジグザグに縮れています(クリンプ)。この形のおかげで、のびても元にもどりやすい弾力があります[4]。

羊毛は保温性と吸湿性にもすぐれ、常温の空気中で、繊維の重さの16%にあたる水分を吸います。100gの羊毛なら、約16gの水です。表面のスケールは水のつぶをはじきつつ、湿気は通します[4]。(16%は常温の空気中での値で、水につけたときの最大量ではありません。)

絹はつやのある1本の長い糸、綿はねじれた毛、羊毛は縮れた毛。形は三者三様ですが、成分はどれも同じ種類の「長いつながり」からできています。それは何でしょうか。

羊毛の主成分はケラチンで、表面にはうろこ状の鱗片(スケール)が無数にあり、繊維はジグザグ形に捲縮している(クリンプ)。この形状のため弾力が大きく、永久変形を残しにくい。保温性・吸湿性にも富み、常温の空気中で自重の16%の水分を吸う。スケールは水滴ははじく一方で、湿気は通すとされる[4]。16%は常温空気中での吸湿量であり、飽和値や水中での値ではない。

ここまでの3つを並べると、形は、絹が連続した1本の長い糸、綿がねじれたリボン状の短い毛、羊毛が縮れた毛と、三者三様である。ところが成分を見ると、綿はセルロース、絹と羊毛はたんぱく質で、どちらも小さな単位が多数つながった巨大な分子である。この共通性を、次の章で確かめる。

4. ばらばらな もとの ものに、どんな 同じところが あるの?

4. 材料がちがうのに、どれも「長い鎖の分子」でできているのは本当か

4. セルロースもたんぱく質も高分子:繊維に向く分子の条件

綿めんの セルロースと、絹きぬや羊毛の たんぱくしつは、ぜんぜん ちがう ものです。でも、1つ だけ 同じ ところが あります。

どちらも、ちいさな つぶが、ものすごく たくさん 1れつに つながった、長い くさりの 形を しています。

たとえば、ビーズを 1まんこ つなげた ネックレスを 思いうかべてください。セルロースは、そんな ようすです。(ビーズは ほんとうは 「グルコース」と いう ちいさな 分子です。)

この 長い くさりが たくさん あつまって たばに なると、1本の 繊維せんいに なります。

繊維は大きく、植物由来の綿・麻(成分はセルロース)、動物由来の絹・羊毛(成分はたんぱく質)と、人がつくる化学繊維に分かれます[1]。

セルロースは、グルコースという小さな分子が約1万個、線のようにつながったものです。たんぱく質は、アミノ酸が多数つながったものです。このように、とても大きな分子を「高分子」といい、分子量が1万以上のものを指すことが多いですが、辞典によっては数千以上とする幅もあります[5]。

ビーズを1万個つなげた1本のネックレスが分子の鎖1本にあたり、そのネックレスをたくさん束ねたものが繊維、とたとえられます。ただし本当は、鎖と鎖のあいだにはたらく力で、きちんと並んだり、からまりあったりしています。

繊維に向く合成高分子は、分子どうしが規則正しく並びやすく、結晶をつくりやすいものだといいます[5]。人がつくる合成繊維も、この条件にあう鎖を選んでいるのだと考えられます。

セルロースは、グルコースの単位が約1万個、線状に結合した高分子である。たんぱく質は、アミノ酸が多数つながった高分子である。高分子とは分子量が非常に大きい分子のことで、一般には1万以上とされるが、辞典によって「数千以上」とする記述もあり、境界は厳密ではない[5]。

天然繊維を植物性(綿・麻、セルロース)と動物性(絹・羊毛、たんぱく質)に分ける分類は、成分の違いを反映しているが、いずれも長い鎖状の高分子という点で共通する[1]。長い鎖が束ねられて繊維となるとき、糸としての強さや弾力は、鎖の並び方と分子間の力に左右される。

では、合成高分子ならどんなものが繊維になれるのか。辞典によれば、繊維に向くのは、分子間の相互作用が強く、規則正しく配列して結晶をつくりやすい構造のものである[5]。つまり、どんな鎖でもよいわけではない。次の章では、この条件を満たす人工の鎖が、どう実用化されたかを見る。

5. 人が つくる 糸は、どこが ちがうの?

5. 石油などから人がつくる糸は、天然の繊維とどうちがうのか

5. 再生繊維からナイロン・ポリエステルまで:化学繊維の分類と、素材の特性

人が つくる 糸は、化学かがく繊維せんいと いいます。

まず、レーヨンの ように、セルロースを 1どとかして、ふたたび 糸に する ものが あります。

つぎに、1935ねんに、アメリカの カロザースさんが ナイロンを はつめいしました。ナイロンは 石油せきゆなどから 作る、さいしょの 合成ごうせい繊維せんいで、絹きぬに にた つやが あります。

ポリエステルは、水を あまり すいません。ねつや 光にも 強い と いわれます。1970ねんには、ナイロンを ぬいて、せいさんが 1ばんに なったと いいます。

化学繊維は、つくり方で4つに分かれます。セルロースなどをいったん溶かして糸にしなおす再生繊維(レーヨンなど)、再生繊維に手を加える半合成繊維(アセテートなど)、小さな分子をつなげて鎖にする合成繊維(ナイロン・ポリエステル・アクリルなど)、そして無機繊維(ガラス・炭素繊維)です[8]。

ナイロンは、1935年にアメリカのW・H・カロザースが発明し、1938〜39年にデュポン社が売り出した、最初の合成繊維です。絹に似た光沢があり、丈夫ですが熱には弱く、原料は石油由来のベンゼンなどです[6]。

ポリエステルは、テレフタル酸とエチレングリコールという2種類の分子をつなげて(重縮合)つくり、大部分はPETです。吸湿性が低く、熱や光に強い性質があります。1941年にイギリスで開発され、1953年に企業化、1970年にはナイロンを抜いて生産量の1位になりました[7](この1位が日本国内か世界かは、辞典の記述からは分かりません)。

ところでPETといえば、ペットボトルです。ペットボトルは、どれくらい服に生まれ変わっているのでしょうか。

化学繊維は、再生繊維(セルロース等を溶かして紡ぐ。レーヨン等)、半合成繊維(アセテート等)、合成繊維(ナイロン・ポリエステル・アクリル等)、無機繊維(ガラス・炭素繊維)に分けられる。最初の実用的な化学繊維は、1880年代にシャルドンネが、ニトロセルロースを紡糸したのち脱ニトロ化して作った「人造絹糸」とされる[8]。つまり最初の化学繊維は、セルロースという天然の高分子を一度溶かして糸に整え直したものだった。

これに対して合成繊維は、小さな分子から鎖を一から組み立てる。1935年にカロザースが発明したナイロンは、1938〜39年(年は辞典により揺れる)にデュポン社が商品化した最初の合成繊維で、生糸に似た光沢をもち丈夫だが熱に弱い。原料は石油由来のベンゼンなどである[6]。

ポリエステルは、テレフタル酸とエチレングリコールを重縮合させて作る。大部分はPETで、吸湿性が小さく、耐熱性・耐光性にすぐれる。1941年に英国で開発され、1953年に企業化され、1970年にナイロンを抜いて生産量第1位となった[7](国内統計か世界統計かは辞典の記述からは判別できない)。

吸湿性が小さい点は、羊毛の16%と対照的である。この性質の違いが、素材ごとの得意な用途を分ける。ところで、ポリエステルの大部分がPETならば、ペットボトルを回収すれば衣類になるはずだ。実際にはどれほどの割合なのか。

6. ペットボトルは、よく ふくに なるの?

6. 回収されたペットボトルは、どれくらい服になっているのか

6. 再生PETの用途別の割合:繊維は7.8%にとどまる

ペットボトルを あつめて、あたらしい ものに つくりかえる ことが あります。

2024ねんどに、あつめた ペットボトルから つくった ざいりょうの 使われ方は、またペットボトルに なるのが 57.7パーセントでした。いちばん 多いです。

繊維せんいに つかわれるのは、7.8パーセントです。ふくの ほかに、カーペットや くるまの 中の ざいりょうも ふくみます。ペットボトル100こ ぶんで 繊維せんいは 8こ くらい。ふくに なるのは、その 中の 一部です。

PETボトルリサイクル推進協議会によると、2024年度の再生PET樹脂の用途は、ボトルtoボトルが57.7%、シートが25.5%、繊維が7.8%(衣類は約2万トン)、成形品が6.8%などでした[9]。

「ペットボトルから服がつくられている」と聞くと、多くの服になっていそうですが、再生PET全体で見ると、繊維になる割合は10%に届きません。再生PET100kgのうち、繊維にまわるのは約7.8kgの計算です。(なお、ペットボトル何本でTシャツ1枚になる、という数字はよく見かけますが、この資料にはないので、ここでは使いません。)

ポリエステル繊維の大部分はPETで、ペットボトルと同じ「長い鎖」の仲間です。では、そうしてできた糸は、どうやって布になるのでしょうか。

PETボトルリサイクル推進協議会が公表する2024年度の再生PET樹脂利用量(426.2千トン)の内訳は、ボトルtoボトル57.7%、シート25.5%、繊維7.8%、成形品6.8%などである。繊維のうち衣類は約2万トンとされる[9]。

これを重さにすれば、再生PET426.2千トンのうち、繊維には約33千トン(426.2×0.078≒33.2)が使われる計算になる。上位の2つ(ボトルtoボトルとシート)で8割を超え、繊維はその次の位置づけにとどまる。回収ボトルが服になるという事例は目にしやすいが、全体の流れの中では少数派である。

ただし、この数字は再生PET樹脂の用途の比率であって、ポリエステル繊維全体の原料のうち再生品が占める割合を示すものではない。繊維用ポリエステルの大半が再生PETなのか否かは、この資料からは分からない。

では、こうして得られた糸は、どのような構造で布になるのか。

7. 糸は、どうして 布ぬのに なるの?

7. 縦糸と横糸を組み合わせると、どうして布になるのか

7. 経糸と緯糸の交差が平面をつくる:三原組織と編物

糸は、1ぽんだけでは ひもです。布ぬのに する には、たくさんの 糸を たてと よこに 交差こうささせます。

たてに ならべた 糸を 経糸たていと、よこから 通す 糸を 緯糸よこいとと いいます。この 2つを たてと よこに 交差こうささせて いくと、ひらたい 布ぬのに なります。

これを 織物おりものと いいます。ほかに、1本の 糸を わっかの ように からめて つくる あみものも あります。セーターなどです。

織物は、縦に平行に並べた経糸に、直角に緯糸を決まりに従って交差させて、平面をつくったものです。交差のさせ方の基本は、平織・綾織・繻子織の3つで、「三原組織」とよばれます[10]。

一方、編物は、1本の糸をループ状にからませてつくります。織物と編物では、糸のつなぎ方がちがうのです[10]。

ここまで見てきたように、布のもとは、長い鎖の分子が束ねられた繊維です。繊維を糸にまとめ、糸を織るか編むかして、ようやく布になります。この流れは、材料がちがっても共通です。

織物は、経糸を平行に並べ、それに直角に緯糸を一定の法則に従って交錯させ、平面をつくり上げたものである。基本となる組織は平織・綾織・繻子織しゅすおりの3つで、三原組織という[10]。これに対して編物は、1本の糸をループ状にからませて形成する。

これまでの章をつなげると、布の成り立ちは、次のようになる。長い鎖状の分子(セルロース・たんぱく質・合成高分子)が束ねられて繊維となり、繊維が糸にまとめられ、糸が織られるか編まれて布となる。天然繊維と化学繊維は出どころが異なるが、後半の工程はほぼ共通である。

8. おうちの ふくの 「タグ」を 見てみよう

8. 家の服のタグで、材料を見つけてみる

8. 衣類の表示と、さらに調べるための資料

おうちの ふくの うちがわに ある 小さな タグを さがして みましょう。「綿めん」「ポリエステル」「ナイロン」などと 書いてあります。

いくつか 見くらべて みると、1まいの ふくに 2しゅるい いじょうが まざって いることも あります。

ハンカチの はしを よく 見ると、たて糸と よこ糸が 交差こうさして いるのが 見えて、おもしろいです。糸は ぬかないで、見るだけに しましょう。

家にある服や靴下の内側のタグには、「綿」「ポリエステル」「ナイロン」「毛」などの繊維名が書かれています。3枚ほど選んで、材料と手ざわりをくらべてみましょう。1枚に2種類以上がまざっていることもあります。

古いハンカチがあれば、端を明るい窓のそばでよく見てください。縦糸と横糸が交差している様子が分かります。糸は抜かず、見るだけにしましょう。

さらに調べたいときは、科学館の繊維についての資料や、PETボトルリサイクル推進協議会のサイトで、数字の元を見られます。

衣類の内側のタグには、繊維の組成(綿、ポリエステル、毛など)が表示されている。複数の繊維が混ざった衣類もある。いくつかのタグを見比べ、素材の違いと手ざわり・乾きやすさを比べてみるとよい。

さらに詳しく調べるには、国立科学博物館などの繊維についての資料(出典[1])や、PETボトルリサイクル推進協議会のデータ([9])にあたるとよい。

辞典の記述は、年や数値が資料によって揺れる場合がある。ナイロンの商品化年やポリエステルの順位など、揺れが注記されているものは、原典で確かめるとより正確になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実は、次の資料で確かめました。

  1. 国立科学博物館「繊維」関連資料(PDF)。繊維の分類。 https://www.sci-museum.jp/ (天然繊維と化学繊維の分類)
  2. コトバンク「生糸」(世界大百科事典ほか)。 https://kotobank.jp/word/生糸 (繭糸の長さ・成分)
  3. コトバンク「木綿」(日本大百科全書ほか)。 https://kotobank.jp/word/木綿-142758 (綿の形・成分)
  4. コトバンク「羊毛」(化学辞典ほか)。 https://kotobank.jp/word/羊毛-145873 (羊毛の形・吸湿性)
  5. コトバンク「高分子」(化学辞典・世界大百科)。 https://kotobank.jp/word/高分子 (高分子と繊維に向く条件)
  6. コトバンク「ナイロン」(日本大百科全書ほか)。 https://kotobank.jp/word/ナイロン-114516 (ナイロンの発明)
  7. コトバンク「ポリエステル繊維」(世界大百科)。 https://kotobank.jp/word/ポリエステル繊維 (ポリエステルの性質と歴史)
  8. コトバンク「化学繊維」(世界大百科・化学辞典)。 https://kotobank.jp/word/化学繊維 (化学繊維の種類)
  9. PETボトルリサイクル推進協議会「再生PET樹脂の用途」。 https://www.petbottle-rec.gr.jp/data/use.html (2024年度の用途別割合)
  10. コトバンク「織物」。 https://kotobank.jp/word/織物-41480 (織物・編物の構造)

なおした ところ

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