1. まゆの 糸は、どれくらい 長いの?
1. 一つの繭から、1キロ前後の糸が取れる
1. 繭糸の長さと二層構造 ── 天然繊維で唯一の長繊維
かいこが つくる まゆから、一本の 糸が とれます。ほどいて つなぐと、1キロメートル ぐらいに なる ことが あります[5]。
しらべた 本に よって、800メートルから 1500メートルまで、かずが ちがいます。だから「1キロ ぐらい」と おぼえて おきましょう。
その 糸は、とちゅうで 切れません。しぜんの 糸の なかでは、めずらしい ことです[5]。
2. まゆの 糸に、のりが ついて いるって ほんとう?
2. 糸の四分の一は「のり」で、煮るとはがれる
2. 繭糸の構造とセリシン ── 精練で光沢と柔軟さが増す
まゆの 糸は、二本の しんと、それを くっつける のりで できて います[1]。しんの ほうが フィブロイン、のりの ほうが セリシンと いいます。
のりは、糸の ぜんぶの 4分の 1 ぐらいです[3]。おゆで にると、のりが とけて、しんが でて きます。
のりを ほとんど とると、糸は つやが でて、やわらかく なる ことが あります[5]。
3. 糸を きって みたら、かたちは どうなって いる?
3. 断面は、丸ではなく三角に近い
3. 三角形に近い断面 ── 不規則な三角形と、約10μmという太さ
きぬの 糸を、ものすごい けんびきょうで 見ると、切り口は まるでは ありません。かどが まるい、三角に ちかい かたちです[2][4]。
三角は、きれいな 正三角形では なく、すこし ゆがんで います。それが たくさん ならぶと、光が いろいろな ほうへ ちらばります[2]。
糸の 太さは、1ミリの 100分の 1 ぐらいです[2]。糸の 切り口は、むしめがねでは 見えません。
顕微鏡でのぞいた切り口
精練したフィブロインの糸を横に切ると、断面は不規則な三角形をしています。丸みのある角をもった三角形で、細い糸が密に集まると光を細かく散らす、と織物工業組合の資料は説明しています[2]。英語版Wikipediaも、丸みのある角と三角形の断面が絹の光沢に関わるとしています[4]。
研究論文では、電子顕微鏡(TEM)でカイコ絹糸の断面を観察し、ほぼ三角形で、角が丸いと報告されています[6]。太さは、織物工業組合の資料では約10μm(0.01mm)前後とされています[2]。1mmに100本ほどの糸が並ぶ細さで、「1mmの100分の1ほど」と覚えておくのがよさそうです。
断面が丸ではなく三角なら、光はどう返るのでしょうか。次の章で見ていきます。
4. 光は、どうして やさしく かえって くるの?
4. 光は、表面と内部の両方で返ってくる
4. 表面反射と内部での屈折・干渉 ── フィブリル構造と真珠のような輝き
フィブロインの 糸は、すこし すきとおって います。光の 一部は、おもての ところで はねかえり、一部は、中に 入って まがります[2]。
ふたつの 光が まざる ことで、きぬの やさしい つやが うまれる、と いわれて います[2]。
しんじゅの つやを 思い出して みて ください。うすい かさなりの 中で 光が はねかえって、いろいろな 色が のぞく ところが、すこし にて います[2]。ただし、しんじゅと きぬは べつの ものです。
5. きぬみたいな ぬのを、にんげんは つくれる?
5. 合成繊維は、断面の形まで絹をまねてきた
5. 絹の断面を模した合成繊維と、「絹鳴り」の説明
きぬに にた ぬのを、人間も 作ろうと して きました。化学で 作る 糸の なかには、きぬと おなじ 三角に ちかい 切り口に した ものが あります[4]。
きぬを こすると「きゅっ」と 鳴る ことが あります。これも、三角の かたちと かんけい するのかも しれません。でも、げんいんが 三角だと きまった わけでは ありません[5]。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
きょうの やってみよう:家に きぬの スカーフや ネクタイが あれば、明かりの 下で、かたむけて みます。かたむけ かたで、光が どう かわるか、見て みましょう。
ナイロンや わたの ぬのが あれば、ならべて くらべます。ぬのに ついた ラベルにも、「きぬ」「ナイロン」など、ざいりょうが かいて あります。
今日できること
家に絹のスカーフやネクタイがあれば、明るい窓ぎわで角度を変えながら見てみます。傾けると、明るさや色みが変わって見えるかもしれません。ナイロンや綿の布があれば、並べて同じ角度で見比べてみましょう。
公式情報にあたる
農研機構や、丹後織物工業組合の解説ページは、繭糸の構造や絹の光沢を説明しています。「絹鳴り」や、三角断面がなぜ光沢になるかは、資料により説明が分かれるところです。読み比べてみると、どこまでが確かめられた話か、見えてくるかもしれません。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
図や写真は載せていません。数値は資料によって幅があるため、幅を示して書いています。
- 農研機構「カイコのひみつ 第2弾」 https://www.naro.go.jp/publicity_report/season/166829.html (繭糸の二層構造)
- 丹後織物工業組合「THE SILK」2.シルクの光沢感 https://tanko.or.jp/2020/12/01/7496/ (断面・表面と内部の光・フィブリル)
- iroai.jp「シルクの特性」 https://iroai.jp/silk-characteristic/ (セリシンの割合・精練・プリズム説の紹介)
- Wikipedia「Luster (textiles)」 https://en.wikipedia.org/wiki/Luster_(textiles) (三角断面と合成繊維)
- Wikipedia「絹」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B9 (繭糸の長さ・精練・絹鳴り)
- Microstructural Characterization of Bombyx mori Silk Fibers, Macromolecules https://pubs.acs.org/doi/10.1021/ma980281j (断面の観察と直径)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。