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チャーハンの パラパラは、どうして むずかしいの?

チャーハンのパラパラは、なぜ家で作るのがむずかしいのか ── ご飯・卵・火力がパラパラに関わるしくみ

チャーハンの「パラパラ」はなぜ条件が確定しないのか ── 含水率・卵・鍋温度と、家庭用コンロの上限温度

分野:技術

おみせの チャーハンは パラパラなのに、おうちでは べたっと して しまう ことが あります。じつは、パラパラに なる じょうけんは、まだ はっきり きまって いません。

ごはん、たまご、あぶら、火の つよさ。どれが どう かかわるのでしょう。この 記事を よむと、かんがえる ヒントが 分かります。

家庭向けのレシピでは冷やご飯を使うものをよく見るのに、プロの中国料理店では温かいご飯が基本だといいます。お店のチャーハンはパラパラなのに、家で作るとべたっとしてしまう。料理研究家の樋口直哉さんの本の抜粋には、パラパラにするために必要な調理条件は、明らかになっていないとあります。

ご飯の水分、卵、油、そして火力。それぞれがどう関わり、家庭のコンロでは何がむずかしいのかが分かります。

パラパラのチャーハンを作る調理条件は、明らかになっていないと料理研究家の樋口直哉氏は書く[1]。米の含水率、でんぷんの状態、油、卵の熱変性、鍋の中での米粒の動きと、変数が多すぎるためだ。

さらに家庭用コンロには、鍋底の温度を抑える安全装置がある[4]。複数の資料から、条件の絞り込みと、火力の限界が分かる。

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1. パラパラは、うでの もんだい?

1. パラパラの条件は、まだ決まっていない

1. 「パラパラ」の定義と、未確定の調理条件

パラパラの チャーハンは、プロの うでまえだけで できる、と おもいがちです。でも、ある りょうりの 先生は「パラパラに する じょうけんは、まだ 分かって いない」と 書いて います[1]。

ごはんの 水、あぶら、たまご、なべの 中での ごはんの うごき。かかわる ものが たくさん あるからです。そもそも、どこまでが「パラパラ」かも むずかしい のです。

ひとつ 分かって いるのは、水を とばしすぎても よくない こと。パサパサに なります。しっとりが すきな 人も いて、水を どれだけ のこすかは、すきずきです[1]。

樋口直哉さんの文章では、パラパラチャーハンを作るために必要な調理条件は明らかになっていないとされています[1]。理由は変数の多さです。米の含水率、でんぷんの糊化の度合い、油の表面張力、卵が固まる速さ、鍋の中で米粒がどう動くか。しかも「パラパラ」の定義そのものがむずかしい、とも書かれています。

水分を飛ばせばいつかはパラパラになります。ただし、それだけではパサパサになります。しっとりしたチャーハンが好きな人もいて、水分をどれだけ残すかは好みで決まります[1]。

つまり「正解のパラパラ」が一つあるわけではありません。では、材料の側で、分かっていることはあるのでしょうか。まずご飯です。

樋口は、パラパラチャーハンの調理条件は明らかでないと述べ、その理由に、米の含水率、でんぷんの糊化度、油の表面張力、卵などの熱変性速度、鍋内での米粒の運動という複数の変数と、「パラパラ」自体の定義の難しさを挙げる[1]。

水分を飛ばし続ければいずれ粒は離れるが、同時にパサつく。どこまで水分を残すかは好みの領域だという[1]。以降の内容は、料理研究家の解説にもとづく経験則であり、実験で確立した結論ではない。では確かなことはどこにあるのか。手がかりは、ごはんの温度と、卵を入れる順番にある。

2. ごはんは、つめたい ほうが いいの?

2. プロが使うのは、意外にも温かいご飯

2. チャーハンには冷やご飯と温かいご飯のどちらを使うのか

「チャーハンは ひやごはんで」と 聞いた ことが ありませんか。でも ちゅうかりょうりの おみせの きほんは、あたたかい ごはんです[2]。

つめたい ごはんは、こめつぶ どうしが くっついて いて、ほぐしにくい からです。つめたい ごはんだと、あたたまるまでの 時間も かかります[2]。ごはんを ほぐして から いためる ことが、だいじなのですね。

おうち向けの 本では ひやごはんを すすめる ものも 多く、考えかたは 分かれて います[2]。

家庭向けのレシピには「冷やごはんを使う」と書くものが多くあります。ところがプロの中国料理店では、基本は温かいごはんを使うといいます。冷めたごはんは米粒どうしが固まっていて、炒めにくいからです。冷たいごはんから炒めると、温まるまでに時間もかかります[2]。

お店では、保温したごはんを使ったり、蒸して温め直したりする例もあります[2]。

ここに一つの研究があります。炊いたごはんは、含水率が低いほど、でんぷんが固くなる「老化」の速さを表す数値が大きいという報告です[5]。ただしこれはマイクロ波で炊いた米の研究で、チャーハンの調理を調べたものではありません。冷やごはんが炒めにくい理由を考えるヒントにはなりますが、そのまま結論にはできません。

家庭向けレシピは冷やごはんを勧めるものが多いが、中国料理の専門店では温かいご飯が基本だと樋口は述べる。冷めた飯粒は互いに固まって炒めにくく、冷たい飯から始めると加熱に時間がかかるためだ。保温した飯や、蒸して温め直す店もある[2]。つまり「冷やごはんが正解」とは言い切れず、説は分かれている。

参考になる研究として、吉田らはマイクロ波炊飯米で、含水率が低いほどでんぷんの老化速度定数が大きいと報告した[5]。ただし対象は炊飯後の飯粒の保存であり、炒め調理の研究ではない。冷えた飯が固まる現象を考える補助線にはなるが、チャーハンの条件と直接結びつける根拠にはならない。

では飯粒をほぐしたうえで、卵はいつ、どう加えればよいのか。

3. たまごは、いつ 入れるの?

3. 卵はご飯とどう混ぜるか ── 黄身と白身の役割

3. 卵黄のレシチンと卵白の水分 ── 先に混ぜる卵の使い分け

チャーハンの 作りかたには、たまごを 先に ごはんと まぜる やりかたが あります。この ときは、白身より 黄身が よいと されます[2]。

白身の ほとんどは 水です。ごはんと まぜると、ねばりの もとに なります。黄身には レシチンと いう ものが あり、あぶらと いっしょに なって、ごはんつぶの 水が 出るのを おさえる はたらきが あると いわれます[2]。

卵を先にごはんと混ぜる作り方では、白身より卵黄を使うほうがよいとされます。卵白の大部分は水分で、ごはんと混ぜると粘りの原因になるからです[2]。

卵黄にはレシチンという成分があります。これが油と合わさって米粒をおおい、米粒の中の水分が出ていくことも、外から水分が入ることも防ぐとされています[2]。米粒を一粒ずつ薄い膜で包むようなイメージです。

ただし、卵がこの働きだけでパラパラを決めるわけではありません。最初に見た通り、条件は一つではないのです。

ごはんと卵を先に混ぜる方式では、卵白より卵黄が適するとされる。卵白は大部分が水分で、飯と混ぜると粘りの原因になる。一方、卵黄のレシチンは油と合わさり、米粒からの水分の流出と外からの侵入を防ぐと説明される[2]。

これは、水分を残すか飛ばすかという前章の問いに、卵の側から答える仕組みの一例である。ただし出典は料理研究家の解説による説明である。卵は水分の調整役の一つにすぎず、鍋の温度と切り離しては考えられない。

4. おうちの コンロは、どうして よわいの?

4. 家のコンロには、鍋の温度を保つ安全装置がある

4. 業務用コンロとの火力差と、調理油過熱防止装置

お店の コンロは、おうちの コンロの 4ばいちかい 火力が あります[3]。ごはんを 入れると なべは ひえます。火が つよければ、すぐ もとの あつさに もどって、水が とびやすく なります。

おうちの コンロには、あんぜんの ための しかけも あります。きしゅに よって、なべの そこが 250ど ぐらいに なると、じどうで 火を よわく する ものが あります[4]。あぶらが 370どを こえると、火が ついて しまう おそれが あるからです。

つまり、パラパラが むずかしいのは、うでの せいだけでは ありません。

炒め物に必要な鍋の表面温度は230〜250℃とされます。業務用コンロの火力は、家庭用の4倍近いといいます[3]。具材やごはんを入れると鍋の温度は下がるので、火力が弱いと温度が戻るのが遅れ、水分が飛びにくくなります。

家庭用ガスコンロには、機種によって、鍋底が約250℃に達すると自動で火力を調節し、温度を保つ「調理油過熱防止装置」がついたものがあります。調理油は370℃を超えると自然発火の危険があるためです[4]。高温炒めモードで上限を290℃に上げる機種もあります[4]。

数値は販売店の解説にもとづく一例で、機種によってちがいます。制御のしかたや高温モードの使い方は、使っているコンロの取扱説明書で確かめるのが確実です。4倍も目安の比較です。

家庭では、一度に炒める量を少なくすると、ご飯を入れたときの鍋の温度が下がりにくくなります。安全装置のある範囲でも、こうした工夫ができます。

パラパラを阻む要因は技術だけではなく、設備側にもある。樋口によれば、炒め物に必要な鍋表面温度は230〜250℃、業務用コンロの火力は家庭用の4倍近い。投入した具材と飯で鍋温度が下がると、火力が弱い家庭用では温度の戻りが遅れ、水分が飛びにくい[3]。

加えて、家庭用ガスコンロには、機種により鍋底が約250℃に達すると火力を自動で調節して温度を保つ調理油過熱防止装置がある。調理油は370℃超で自然発火の危険があるための機構とされる。高温炒めモードで上限290℃とする機種もある[4]。

ただし温度の数値は販売店の解説に依拠した一例で、4倍も目安にすぎない。制御や高温モードの扱いは、機種ごとの取扱説明書で確認する必要がある。そのため「家庭用だから不可能」とは言えず、補うには、少量ずつ炒めて鍋温度の低下を小さくするなどの工夫が考えられる。

5. チャーハンは、いつ から にほんで たべられて いるの?

5. 日本のチャーハンは、いつごろから食べられてきたのか

5. 日本における受容 ── 用例・レシピ・家庭への普及

日本の「チャーハン」の 古い ことばの 使い方では、1939ねんの 日記に「夜店の チャーハンを 食った」と あります[6]。ただ、これは ことばの きろくで、りょうりが いつ 来たかを しめす ものでは ありません。

けんきゅうでは、めいじの 30ねんだい前半には、しだし べんとうに チャーハンが 入って いたらしい とも いわれます[6]。いつ、どこで うまれたかは、いろいろな せつが あります。

『精選版 日本国語大辞典』は、「チャーハン」の用例として、1939年6月11日の『古川ロッパ日記』にある「帰りに夜店のチャーハンを食った」を挙げています。ただし、これは言葉の用例であり、料理が日本に伝わった時期を示すものではありません[6]。

石田かおるさんの研究によれば、明治30年代前半には仕出し弁当にチャーハンが含まれていたとみられます。1913年の料理書にはレシピがあり、1926年の『主婦之友』には、夏の残飯の利用法として乾いたごはんのチャーハンが紹介されました[6]。

家庭に広がったのは、のちの時代です。NHK『きょうの料理』でのチャーハン掲載は、1960年代の4回から2000年代の53回に増えました。1987年には「具入りチャーハンの素」、2001年には家庭用の冷凍チャーハンが発売されています[6]。

日本語の「チャーハン」の用例として、『精選版 日本国語大辞典』は1939年の『古川ロッパ日記』を挙げる。これは語の用例であり、料理の伝来時期を示すものではない[6]。

では実際の料理はいつからあるのか。石田かおるの研究では、明治30年代前半に仕出し弁当へチャーハンが含まれていたとみられ、1913年の料理書にレシピが載り、1926年の『主婦之友』は夏の残飯の利用法として乾飯のチャーハンを紹介した[6]。

その後の家庭への広がりは、NHK『きょうの料理』(1957年開始)での掲載が1960年代の4回から2000年代の53回に増えたという川口幸大の分析で追える。1987年の具入りチャーハンの素、2001年の家庭用冷凍チャーハンの発売も、家庭の側からの需要を示す[6]。

なお炒飯の起源は諸説あり、6世紀の『斉民要術』には卵を油で炒める方法の記述があるが、これは炒飯のレシピではなく卵炒めである[6]。起源を一つに決めることはできない。

6. おうちで、くらべて みよう

6. 同じ量で、温度だけを変えて炒めてみる

6. 家庭で比べられること、比べられないこと

おうちの 人と いっしょに、やって みましょう。火を つかうので、かならず おとなが そばに います。

おなじ りょうの ごはんを、あたたかい もの、つめたい ものに わけます。すこしずつ、おなじ 時間 いためて、ごはんつぶが ほぐれやすいか くらべます。

パラパラの ほかに、しっとりが すきな 人も います。じぶんの すきな かたさを 見つけるのも、たのしみです。

家庭のコンロで試せることがあります。火を使うので、必ず大人と一緒に行い、鍋の油がはねないよう、ご飯は少量にしてください。

同じ量のご飯を、温かいものと冷えたものに分けます。同じ火加減、同じ時間だけ炒め、米粒のほぐれ方を比べます。一度に作る量を半分にして、鍋の温度の下がり方がちがうかも見られます。

パラパラが好きか、しっとりが好きかは、人によって決まるという話でした。自分の好みの水分を探すことが、いちばんの手がかりになりそうです。

家庭で比較できるのは、飯の温度と一度に炒める量である。同量の温かい飯と冷めた飯を、同じ火加減・同じ時間で炒め、米粒のほぐれ方を比べる。1回の量を半分にして、鍋温度の下がり方(ご飯を入れた直後の音や湯気の変化)を見る方法もある。火と油を扱うため、大人と一緒に行う。

測定器がなければ、水分の最適値や鍋表面温度は確かめられない。それでも、冷えた飯が固まっているという樋口の説明[2]は、自分の鍋で確かめられる。次に読むなら、『チャーハン』(樋口直哉)の抜粋から始めるのがよい[1]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

パラパラの条件・火力は料理研究家の解説と販売店の解説にもとづく。炊いたご飯の老化は研究論文による。日本での用例・レシピ史・商品発売年は、Wikipediaが紹介する辞典・研究(日本国語大辞典、石田かおる、川口幸大など)を、二次資料として読んだものである。

  1. 樋口直哉『チャーハン』抜粋(文春オンライン) https://bunshun.jp/articles/-/89051 (パラパラの条件、水分の残し方)
  2. 同 2ページ目 https://bunshun.jp/articles/-/89051?page=2 (ご飯の温度、卵黄と卵白)
  3. 樋口直哉の連載記事(文春オンライン) https://bunshun.jp/articles/-/89052 (鍋の温度と火力差)
  4. 交換できるくん スタッフブログ https://www.sunrefre.jp/staff/?p=36468 (調理油過熱防止装置の例。数値は機種による)
  5. 吉田・福岡・酒井(2010)『日本食品工学会誌』11巻2号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfe/11/2/11_85/_article/-char/ja (含水率とでんぷんの老化)
  6. Wikipedia日本語版「チャーハン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/チャーハン (用例・レシピ史・普及。引用された辞典・研究の二次資料)

なおした ところ

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