1. 新しい くだものは、どうやって 作るの?
1. 2つの品種をかけ合わせ、育った木から「当たり」を選ぶ
1. 交雑育種の流れ ── 数千の種から、おいしい木を選び出す
スーパーで ぶどうの ふくろを 見ると、品種の 名前が 書いて あります。この 名前の 木は、むかし だれかが 作った ものです。
いま いちばん よく つかわれて いる 作り方は、2つの 品種を かけあわせる 方法です。花の 花粉を べつの 品種の 花に つけて、たねを とります[1]。
その たねを まいて 木を 育て、実が なったら、あじや 見た目が いい ものを 1本 えらびます[1]。
たとえば 秋田県では、7つの 品種から 15通りの くみあわせを 作り、およそ 7500本の 木を 育てました。そこから えらばれたのが「千秋」という りんごです[1]。
7500本も 育てて、1つを えらぶ。でも、いったい どのくらい 時間が かかるのでしょう。
スーパーのぶどうやりんごの袋には、品種の名前が書かれています。その名前の木は、いつかだれかが交配して、育てて、選び出したものです。
秋田県果樹試験場の資料によると、いま最も多く使われている品種改良の方法は「交雑育種法」です。2つの品種を交配して種をとり、その種をまいて育て、実のなった木の中から味や見た目のよいものを選びます[1]。
7500本から選んだ「千秋」
秋田県のりんご「千秋」の場合、7つの品種を使って15通りの組み合わせを作り、約7500本の苗を育てました[1]。選ばれたのは、「東光」と「ふじ」を掛け合わせた71個の種から育った木の中の1本とされます[1]。
数千本も育てて、そのうち選ぶのはごくわずかです。では、植えてから実がなるまで、どれくらい待つのでしょうか。
スーパーに並ぶ果物の品種名は、誰かが交配し、育て、選び抜いた結果の名前である。現在もっとも多く使われている方法は交雑育種法で、2つの品種を交配して得た種をまき、育った木から食味や外観のよい果実をつけるものを選ぶ[1]。
この方法の特徴は、種をまいた時点では、どの木がよい果実をつけるか分からない点にある。そのため数千の種をまく必要がある[1]。秋田県の「千秋」では、昭和41年に交配を始め、7品種・15組み合わせから約7500個体の実生を育てた。選抜されたのは「東光」×「ふじ」の71個の種子由来の個体だった[1]。7500は育てた総数で、71は選ばれた組み合わせの種子数なので、混同しないようにしたい。
これほど多く育てても、実を見るまで結果は分からない。では、その待ち時間はどのくらいなのか。
2. 木が 大きくなるまで、何年 まつの?
2. 種をまいてから実を食べるまで、十年近くかかる
2. 交配から登録までの年数 ── 18年、16年、22年という実例
くだものの 木は、たねから 実が なるまでに、十年ちかく かかります[1]。
「千秋」は、昭和41年に かけあわせて、はじめて 実が なるまで 7年。品種として とうろくされるまで、14年 かかりました[1]。
シャインマスカットは、1988年に かけあわせ、2006年に とうろくされました。18年です[3]。親は「あきつ21ごう」と「白南」で、かわが うすく、ぜんぶ たべられる ぶどうに なりました[4]。
ほかにも あります。みかんの なかまの「かんぺい」は 16年[6]。ながのけんの りんご「シナノスイート」は、昭和53年から へいせい8年までで 18年です[7]。
さて、べつの かけあわせで 生まれた「シナノドルチェ」は 昭和58年から へいせい17年まで。ひきざんを して みると 22年です。
こんなに まつのは、たいへんです。まつ あいだに、研究する 人は なにを して いるのでしょう。
果物の木は、種から育てると、実がなるまでに十年近くかかります[1]。「千秋」は昭和41年に交配して、初めて実がなるまで7年、品種登録まで14年かかりました[1]。
18年のシャインマスカット
シャインマスカットは、「安芸津21号」に「白南」を交配したのが1988年です。翌1989年に種をまいて苗を育て、1997年に一次選抜、1999年からは28の都道府県の30か所で、それぞれの土地に合うかを調べました。2003年に命名登録、2006年に品種登録です[3]。1988年から2006年までを引き算すると18年で、これは命名登録までなら15年になります。
香川県の資料では、皮が薄く、果実のすべてを食べられるぶどうとして紹介されています[4]。
ほかの果物の年数
愛媛県のカンキツ「甘平」は、交配から品種登録まで16年です[6]。長野県のりんご「シナノスイート」は昭和53年(1978年)に「ふじ」と「つがる」を交配し、平成8年(1996年)に登録されました。「シナノドルチェ」はそれとは別の交配で、昭和58年(1983年)に始まり、平成17年(2005年)に登録されました[7]。年号から引き算すると、18年と22年です。
十数年から二十年あまり待つのですから、育てる側の工夫が欠かせません。何を縮められるのか、見ていきましょう。
果物は種から実がなるまで十年近くかかるため、品種育成は長期戦になる[1]。「千秋」は交配(昭和41年)から初結実まで7年、品種登録まで14年を要した[1]。
では、現在の代表的な品種はどうか。シャインマスカットは、ブドウ安芸津21号(スチューベン×マスカット・オブ・アレキサンドリア)に「白南」を交配したのが1988年で、翌1989年に播種・接ぎ木をした。1997年に一次選抜を行い、1999年から28都道府県30か所の試験研究機関で系統適応性検定にかけている。命名登録は2003年9月、種苗法による品種登録は2006年3月である[3]。だから「18年」は交配から品種登録までの計算で、命名登録までなら15年になる。
「甘平」は交配から品種登録まで16年[6]。長野県のりんごでは、「シナノスイート」が昭和53年の「ふじ」×「つがる」の交配から平成8年の登録まで18年、「シナノドルチェ」は別の交配で、昭和58年から平成17年の登録まで22年である[7]。この2つの年数は、年号から計算した値である。
「ふじ」も例外ではない。農林水産省が昭和14年に「国光」を母、「デリシャス」を父として作った種子から育て、昭和37年に命名登録した。種子づくりから数えると23年である[2]。ふじは現在も日本のりんご生産量の約半分から6割を占める[2]。
これだけ待つなら、待ち方に工夫が要る。次の問いは、何を縮められるのかである。
3. まつ 時間を、へらす ことは できる?
3. 幼い苗を接ぎ木して、実がなる時期を早める
3. 接ぎ木による幼若期の短縮 ── 熊本県の寄せ接ぎと愛媛県の高接ぎ
たねから 育てた 小さな 木は、実が なるまで 時間が かかります。そこで、小さな 木の えだを、もう 大きな 木に つなぐ 方法が あります。これを つぎ木と いいます。
みかんの なかまは、かけあわせてから 実が なるまで およそ5年 かかります。くまもとけんの 研究では、小さな 苗を 大きな 木に つなぐと、およそ4年めに 実が なりました。1年 はやく なります[5]。
えひめけんの 方法は、こうです。つないでから 3年めに 実が なりはじめます。そこで、よさそうな 木だけを のこし、見こみの ない 木は 切ります[6]。
のこした 木を もう1回 つないで、また えらびます。そのあと、いろいろな 土地で そだつか ためして、とうろくを もうしこみます[6]。
ただし 1年へらしても、まだ 長い たびです。もっと 早く 新しい 品種に 会う 道は ないのでしょうか。
交配から実がなるまでが長いのは、苗が小さい時期に実をつけないからです。そこで、苗を早く実をつけさせる工夫が研究されています。
熊本県の寄せ接ぎ
熊本県の研究成果によると、カンキツは交配から実がなるまで約5年かかります。幼い苗を台木に寄せ接ぎすると、約4年目で実がなり、1年縮まります[5]。
愛媛県の高接ぎと伐採
愛媛県の資料では、「甘平」の育成で、高接ぎ3年目から実がなり始めます。そこで優れた系統を一次選抜し、見込みのないものは伐採します。残した系統は、再び高接ぎして二次選抜し、現地適応性試験を経て登録を出願します[6]。
木を育てる場所は限られますから、早めに見込みのない木を減らすことが、全体の時間と手間を縮めます。ただ、これでも1年短くなる程度です。実がなる前に待たずに済む手段はないのでしょうか。
交配から結実までが長いのは、果樹の苗が実をつけるまでの幼若期が長いからである。そこで、苗木の幼い枝を成木に接いで、早く実をつけさせる工夫が行われる。
熊本県の研究成果情報によると、カンキツの育種は交配から着果まで約5年かかる。これに対し、幼苗を早い段階で台木に寄せ接ぎすると、約4年目で着果でき、1年短縮できる[5]。
愛媛県のカンキツ育種資料は、「甘平」の流れをこう示す。高接ぎの3年目から着果が始まるので、そこで優良な系統を一次選抜し、見込みのないものは伐採する。選んだ系統は再び高接ぎして二次選抜し、現地適応性試験を経て登録を出願する[6]。この流れで、交配から品種登録までは16年である。
ここで注目したいのは、「伐採」の位置である。場所も手間も限られる中で、早い段階で見込みのない個体を減らしておけば、残りの年数と労力を有望な系統に集中できる。ただし短縮できるのは、資料の範囲では1年程度で、18年がたちまち数年になるわけではない。
では、実がなるのを待たずに、あるいは別の道から、新しい性質を手に入れる方法はないのか。
4. えだが とつぜん かわる ことが ある?
4. 自然に起きる「枝変わり」から、新しい品種が見つかる
4. 枝変わり(突然変異)── 味を受け継いだ、色や熟す時期の違いが見つかる
ある日、りんごの 木の 1本の えだだけ、ほかと ちがう 実が なる ことが あります。これを「えだがわり」と いいます[1]。
とつぜん、自然に おこる ことです。もとの 品種の あじは そのままで、色が よく なったり、実が はやく みのったり します[1]。
秋田県では、「ふじ」の えだがわりから、はやく みのる「やたか」や、色の きれいな「みしまふじ」が 見つかりました[1]。
みかんでも、えだがわりは 大かつやくです。えひめけんの 資料では、みかんの えだがわりは、かわる 幅が 大きく、とても かわった 系統が 生まれやすいと されます。多くは、育てる 人が 見つけて きました[6]。
見つけるのは 人ですが、いつ おこるかは だれにも 分かりません。では、人の 手で へんかを おこす ことは できるのでしょう。
実の色が1本の枝だけちがう。そんな変化が、ときどき果樹園で見つかります。自然に起こる突然変異で、「枝変わり」と呼ばれます。
秋田県果樹試験場の資料によると、枝変わりを使うと、もとの品種の味を受け継いだまま、実の色がよくなったり熟す時期が早くなったりします。「ふじ」からは、成熟の早い「やたか」と、着色のよい「みしまふじ」が見つかっています[1]。
みかんを支えた枝変わり
愛媛県の資料は、温州みかんでは、種から育てた苗に比べて枝変わりのほうが変異の幅が大きく、画期的に変わった系統が生まれやすいと述べます。宮川早生などの枝変わりがカンキツ産業を支え、多くは生産者が見つけてきたとされます。「日南1号」は「興津早生」の枝変わりです[6]。
枝変わりは待つ年数の面では魅力ですが、いつ起こるかは決められません。人の手で変化を起こす方法はあるのでしょうか。
交雑育種のほかに、自然に起こる突然変異を利用する方法がある。いわゆる枝変わりで、もとの品種の食味を受け継いだまま、着色が良くなったり熟期が早くなったりする。秋田県では「ふじ」から成熟期の早い「やたか」、着色のよい「みしまふじ」が見つかっている[1]。
枝変わりは交配による組み合わせではなく、元の品種の一部に変化が起こったものである。そのため、味など元の性質を残したまま、色や熟期の違いだけが見つかることがある。
カンキツでも重要である。愛媛県のカンキツ育種資料は、温州みかんでは珠心胚実生よりも枝変わりのほうが変異幅が大きく、画期的に変化した系統が生まれやすいと述べる。宮川早生などの枝変わりがカンキツ産業を支え、その多くは生産者が発見してきた。「日南1号」は「興津早生」の枝変わりである[6]。
ただし、枝変わりがいつ、どの木に起こるかは人が決められない。見つかるのを待つ育種であり、計画的に新しい性質を作り出す方法ではない。人の手で変異を起こす方法はないのか。
5. ほうしゃせんで、黒斑病に強い なしが 見つかった?
5. ガンマ線を当てた木から、黒斑病に強い「ゴールド二十世紀」が見つかった
5. 放射線育種 ── 19年待って見つかった1本の枝と、ゴールド二十世紀
「にじっせいき」という なしは、ある びょうきに 弱い 品種でした[8]。
そこで 研究者は、木に ガンマせんという ほうしゃせんを あてました。変化を おこして、病気に 強い 木を さがす ためです[8]。
1962年に、ガンマせんの 畑に 木を 植えました。19年後の 1981年に、くすりを へらして みると、病気の しょうじょうが 出ない えだが 1本 見つかりました[8]。
この えだを つぎ木で ふやし、ためして 1990年6月に「ゴールドにじっせいき」と 名前が つきました[8]。
ただし ほうしゃせんを あてれば ねらった とおりに なる、という わけでは ありません。ぐうぜん できた 1本を、さがしだしたのです。
では、さがす 時間を、もっと みじかく する ことは できないでしょうか。
日本の代表的なナシ「二十世紀」は、黒斑病という病気に弱いという弱点がありました。この病気への強さは、1つの遺伝子で決まり、二十世紀はその遺伝子が「ヘテロ」の状態だと分かりました。そこで、放射線で遺伝子を変え、劣性ホモにしようと考えました[8]。
19年後に見つかった1本の枝
1962年、ガンマ線を照射する圃場(ガンマーフィールド)に木を植えました。1981年に殺菌剤の散布を控えたところ、黒斑病の症状が出ない枝が1本だけ見つかりました[8]。
この枝を接ぎ木で増やして検定し、1990年6月22日に、なし農林15号「ゴールド二十世紀」と命名登録されました[8]。植えてから命名まで、28年です。
放射線は「ねらい撃ち」ではない
放射線を当てると、木の遺伝子に偶然の変化が起こることがあります。その中から、望む性質をもつものを探すのです。この例では、病気の症状が出ない1本の枝を、人が見つけ出しました[8]。
探す作業にも時間がかかります。時間をさらに縮めるために、いま研究されているのが、DNAの目印を使う方法です。
「二十世紀」は黒斑病に弱いナシだった。ATOMICAの資料によると、耐病性は単一遺伝子で決まり、二十世紀はそれがヘテロなので、遺伝子を劣性ホモにすれば抵抗性を得られると考え、ガンマ線による放射線育種が試みられた[8]。
1962年にガンマーフィールドに植えた木のうち、1981年に殺菌剤の散布を控えたところ、黒斑病の病徴が見られない枝が1本だけ見つかった。この枝を接ぎ木で増やして検定し、1990年6月22日に、なし農林15号「ゴールド二十世紀」と命名登録された[8]。植えてから病徴のない枝が見つかるまで19年、命名登録まで28年である(年号からの計算)。
ここで押さえたいのは、放射線を当てれば狙った変異が出るわけではない点だ。放射線がもたらすのは偶然の変化で、そこから望みの性質をもつものを探す必要がある。この事例でも、見つかったのは偶然の1枝で、発見の決め手は殺菌剤を控えて病気にさらすという「選び方」の工夫だった。
変異を起こす手段があっても、探すのに年月がかかる。ならば、探す作業そのものを効率化できないか。
6. 木が 大きく なる まえに、よい ものを えらべる?
6. DNAの目印で、苗のうちに「当たり」を見分ける研究
6. DNAマーカー選抜 ── りんごの黒星病抵抗性遺伝子と、モモの幼苗選抜
いま 研究が すすんで いるのは、DNAの 目じるし(DNAマーカー)を つかう 方法です。苗が 小さい うちに、どんな 木に なりそうかを 予想して、よさそうな 苗に しぼります。
のうけんきこうでは、りんごの 苗の 中から、ある びょうきに 強い 遺伝子を もつ 苗を、172本 えらびました[9]。
岡山県では、ももで 研究が あります。苗を うえる まえに、花粉が できるか、実の 中の 色は どうかを、DNAマーカーで 予想して、よくない 苗を のぞく 研究です。ももの 木は 大きいので、たくさんは 育てられないからです[10]。
これで 何年 みじかくなるのかは、くわしい 数字を 書いた 資料は 見つけて いません。でも、植える まえに えらべれば、場所も 手間も へらせます。
くだものの 木は、何年も 育てる ものです。だから、早く えらぶ くふうが、大切に されて います[9]。
農研機構果樹茶業研究部門の成果概要によると、りんごの交雑実生群から、黒星病への抵抗性遺伝子「Rvi6」をもつ172個体を、DNAマーカーで選び出しました[9]。DNAマーカーは、苗の段階で性質を予測して、候補を絞るための目印です。実がなるのを待たなくても、見込みのある苗を選べます。
資料は、果樹や茶は何年も育てる永年生作物なので、品種開発に長い年月がかかり、効率的な育種方法が重要だとしています[9]。
モモの苗を、植える前に選ぶ
岡山県の資料には、モモで、定植前の幼い苗の段階で、DNAマーカーにより花粉の稔性と果肉の色(白・黄・紅)を予測し、不良な個体を植える前に除く研究が載っています。モモは木が大きく、たくさんの個体は栽培できないためです[10]。
ただし、これで年数が何年短くなるのかは、今回見た資料からは分かりません。それでも、植える前や実がなる前に減らせれば、場所と手間の節約になります。
近年の工夫に、DNAマーカーによる選抜がある。農研機構果樹茶業研究部門の成果概要によると、りんごの交雑実生群から、黒星病真性抵抗性遺伝子Rvi6をもつ172個体をDNAマーカーで選抜した[9]。DNAマーカーは、苗の段階で形質を予測し、候補を絞るために使う。実がなるのを待たずに「当たり」の見当をつけられることが、利点である。
資料は背景として、果樹や茶は永年生作物で品種開発に長い年月がかかるため、効率的な育種方法の開発と適用が重要だと述べる[9]。
岡山県の資料では、モモで定植前の幼苗の段階で、DNAマーカーにより花粉稔性と果肉色(白・黄・紅)を予測し、不良個体を植える前に除く研究が進められている。モモは木が大きく、多くの個体を栽培できないからである[10]。
これらは、何年短縮できるのかを数字で示した資料ではない。ただ、第3章の接ぎ木が実がなる時期を早める工夫だったのに対し、DNAマーカーは、実を見る前に個体を減らす工夫である。時間を縮める手段が、年数から選別の段階へと、広がっているのが分かる。
7. たべて いる 品種の 「年れい」を 計算 して みよう
7. 好きな果物の品種名から、「交配から登録まで何年か」を計算してみる
7. 品種名から親と年数を調べる ── 県の試験場の資料を読むときの視点
おうちに くだものが あれば、ふくろや シールに 書いて ある 品種の 名前を 見て みましょう。
名前を おうちの 人と パソコンで けんさくして、県や 国の 研究所の ページを さがします。親の 品種や、かけあわせた 年が 書いて ある ことが あります。
かけあわせた 年から とうろくの 年を ひきざん すれば、その くだものが 生まれるまでの 年数が 分かります。1988年から 2006年なら、2006−1988=18です。
そのくだものの 年れいと、これまでに 出会った くだものの 年れいを くらべるのも、おもしろいですよ。
家に果物があれば、袋やシールに書かれた品種名を見てみましょう。その名前を、保護者の方と一緒に「果樹試験場」や県の農業試験場のページで検索すると、親の品種や、交配した年が書かれていることがあります。
交配の年から品種登録の年を引き算すれば、その果物が生まれるまでの年数が分かります。たとえばシャインマスカットは1988年から2006年で18年です[3]。
読むときは、「交配の年」「命名登録の年」「品種登録の年」のどれを使っているかを確かめると、年数がそろえやすくなります。シャインマスカットなら、命名登録まででは15年、品種登録までなら18年と、数え方によって数字が変わるからです。
国や県の資料は、PDFで公開されているものが多く、年表や選抜の様子が載っています。「ふじ」の親の組み合わせは、秋田県の資料[2]にも出ています。
家にある果物の品種名を調べると、国や県の試験場が親の品種と交配年、登録年を公開している場合がある。交配年から登録年までを引き算すれば、本稿の例と同じ方法で「品種が生まれるまでの年数」を出せる。
比べるときの注意が一つある。交配年、命名登録年、品種登録年のどれを終点にするかで、数字は変わる。たとえばシャインマスカットは、品種登録までなら18年、命名登録までなら15年である[3]。「千秋」でも、秋田県の資料の本文は昭和55年の品種登録としているが、図表欄は別の年(昭和53年)の種苗登録としている。資料を読むときは、何の登録の日付かを必ず確かめたい。
資料の読みどころは三つある。①秋田県の資料[1]は、交雑育種のあらましと、枝変わりの例を平易に示す。②農研機構の報告[3]は、シャインマスカットの交配から登録までの各段階を、年ごとに記録する。③ATOMICAの資料[8]は、ゴールド二十世紀が偶然の1枝から見つかり、命名されるまでの経過を示す。
DNAマーカー選抜が、実際に何年の短縮につながるかは、本稿の資料の範囲では数字になっていない。農研機構の成果の続報を読めば、答えが書かれているかもしれない。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:県の試験場や農研機構などの公的な資料を中心に使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 秋田県果樹試験場「新しいくだものを作るには?」。https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000051281_00/あたらしいくだものを作るには.pdf (交雑育種の流れ、「千秋」の年数、枝変わりについて)
- 秋田県「りんごの王様『ふじ』の誕生」。https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000051281_00/りんごの王様「ふじ」の誕生.pdf (「ふじ」の親と命名登録の年について)
- 山田昌彦ら「ブドウ新品種'シャインマスカット'」果樹研究所研究報告7(2008)。https://www.naro.go.jp/PUBLICITY_REPORT/season/fruit7_03.pdf (交配から品種登録までの年表について)
- 香川県「さぬきのフルーツ シャインマスカット」。https://www.pref.kagawa.lg.jp/seiryu/sanukisanfruit/items/shinemuscat.html (親の品種と特徴について)
- 熊本県 農業研究成果情報 No.647。https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/4957.pdf (カンキツの寄せ接ぎによる着果の短縮について)
- 愛媛県 カンキツ育種資料。https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/131785.pdf (「甘平」の育成年数、高接ぎと選抜、枝変わりについて)
- 長野県果樹試験場「りんごの品種育成」。https://www.pref.nagano.lg.jp/kajushiken/jisseki/joho/ringo.html (「シナノスイート」「シナノドルチェ」の交配年と登録年について)
- ATOMICA「放射線照射による品種改良の例」。https://atomica.jaea.go.jp/data/pdf/ATOMICA_08-03-01-09.pdf.zip (ゴールド二十世紀の育成経過について)
- 農研機構果樹茶業研究部門「国際競争力強化技術開発プロジェクト 成果概要」。https://www.naro.go.jp/smart-nogyo/files/kokusai-kyosoryoku-kyoka_project2021_seika-gaiyo_yuN2ka.pdf (DNAマーカーによるりんごの選抜について)
- 岡山県農林水産総合センター資料。https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/414799.pdf (モモの幼苗段階での選抜研究について)
なおした ところ
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